JP4521853B2 - 乳飲料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生乳及び/又は乳製品を主原料とする、リラックス効果を持つ乳飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、健康志向の高まりと共に、ストレスをいかに少なくすることができるかに注目がなされている。ストレスが原因とされる寝つきの悪さを訴える人も多く、そのストレスを少しでも和らげるために、薬用、香料用、風味用の草木であるハーブを使ったさまざまな飲食品の開発がなされている。従来よりハーブを用いた嗜好飲料として、生又は乾燥したハーブを沸騰した湯にひたして飲むハーブティーがあり、また、ハーブエキスやハーブフレーバーを添加した飲料も数多く知られている。
【0003】
一方、高齢化社会への移行に伴い、骨粗鬆症が大きな社会問題となっており、カルシウム摂取の不足を補うために、カルシウムを強化した多種類の飲食品が市販されている。特に、牛乳には比較的多量のカルシウムが含まれているので、そのカルシウムを摂取したり、あるいはその他の栄養素を摂取するために、非常に重宝な飲料としての牛乳を飲む人が多いというのが現状ある。牛乳の飲用機会が最も多いのは朝であり、次いで夕食時、ふろ上がり、更には就寝前という場合もある。
【0004】
しかしながら、牛乳には牛乳独特の臭いがあり、該牛乳独特の臭い、香りが嫌いで牛乳を敬遠する人もあるというのが現状である。したがって、該牛乳独特の臭い、香りが少なく、ストレスが原因とされる寝つきの悪さを解消するために、就寝前に飲むことにより、やすらぎ効果、リラックス効果のある機能性ミルクの開発が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術にかんがみ、牛乳独特の臭い、香りが少なく、また、香味良好で飲みやすく、更に、就寝前に飲むことにより、やすらぎ効果、リラックス効果のある乳飲料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すれば、本発明は、生乳及び/又は乳製品を主原料とし、0.005〜5.0重量%のベンゾジアゼピン型の活性ペプチドを有するカゼイン分解物を含有し、かつ0.01〜0.08重量%のカモミールエキス及び/又はラベンダーエキスを含有する乳飲料に関する。
【0007】
本発明者らは、牛乳独特の臭い、香りが少なく、香味良好で飲みやすく、また、ストレスが原因とされる寝つきの悪さを解消するために、就寝前に飲むことにより、やすらぎ効果、リラックス効果のある乳飲料を提供すべく、鋭意検討を重ねた結果、生乳及び/又は乳製品を主原料とし、0.005〜5.0重量%のベンゾジアゼピン型の活性ペプチドを有するカゼイン分解物を含有し、かつ0.01〜0.08重量%のカモミールエキス及び/又はラベンダーエキスを含有させることにより、牛乳独特の臭い、香りが少ない機能性乳飲料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を具体的に説明する。
まず、本発明でいう乳飲料とは、乳を原料として得られる飲料であって、生乳、脱脂粉乳等の乳成分を主原料として含有するものであれば特に限定されることはない。乳飲料には栄養素添加乳飲料、フレーバー乳飲料などがあるが、具体的には、ビタミン類、カルシウムや鉄などのミネラル類を添加・強化した乳飲料、コーヒー乳飲料、フルーツ乳飲料、チョコレート乳飲料等が挙げられる。また、主原料となる乳製品としては、脱脂粉乳、全脂粉乳、部分脱脂粉乳、脱脂乳、濃縮乳、バター、クリームなど乳原料として使用可能な原料であれば特に限定されることはない。ビタミン類、ミネラル類は、食品に添加が認められているものであれば特に限定されることはない。生乳に脱脂粉乳を混合することにより、低脂肪とすることができるので特に好適である。
【0009】
本発明におけるハーブエキスとしては、例えばカモミール、ラベンダー、ティリヤ、ジャスミン、ペパーミント、スペアミント、ウオーターミント、アップルミント、パイナップルミント、ローズマリー、メリッサ、バジル、セージ、マジョラム、タイム、マロウ、アンゼリカ、キャラウェイ、ジンジャー、シナモン、オレンジフラワー、ユーカリプタス、イランイラン、ローズ、ジュニパーベリー、サンダルウッド、ローズウッド、ベルガモット、レモン、オレンジ、グレープフルーツ等のハーブエキスが挙げられる。芳香療法で鎮静効果があるとされるカモミールエキス、ラベンダーエキス、ティリヤエキスが好適である。
【0010】
本発明に用いられる乳ペプチドとは、乳中に存在するタンパク質、又はその分解物のことをいう。その中では乳タンパク質の主成分であるカゼインの分解物が好ましい。カゼイン分解物の調製方法としては、酵素分解、化学的分解等があるが特に限定されることはない。カゼイン分解物の中では、αS1−カゼイン分解物が好ましく、ベンゾジアゼピン型の活性ペプチドを有するものが特に好ましい。その例としては、プロダイエットF244〔イングレディア社製〕、プロダイエットF245〔イングレディア社製〕が挙げられる。乳ペプチドの添加量は、総乳飲料重量に対して0.005〜5.0重量%の範囲で用いるのが好ましい。特に0.01〜1.0重量%の範囲で用いるのがより好ましい。乳ペプチドが0.005重量%未満であると、鎮静効果が少なく、また、5.0重量%超であると、牛乳本来の好ましい香りが完全に打ち消されることになる。pHに関しては、pH5〜9、特にpH5.5〜8の間で用いるのが好ましい。
【0011】
乳ペプチドとハーブエキスとを併用することにより、牛乳独特の臭い、香りを低減するという相乗効果があり、牛乳独特の臭い、香りの消臭剤としても使用することができる。
【0012】
本発明に係る乳飲料は、その他の原材料として、任意の食品及び食品添加物を使用することができる。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、上白糖、グラニュー糖、果糖、ぶどう糖、オリゴ糖等の糖質及び/又はアスパルテーム、ステビア、フコース、ミラクリン、ラカンカ等が挙げられる。牛乳との相性からは、砂糖カエデから得られるメープルシロップが、ほのかな甘さをつけることができるので、特に好適である。本発明に係る乳飲料の製造方法を例示すると、まず、水等に脱脂粉乳、乳ペプチド等の粉末材料を50〜60℃で加温溶解し、更に加水して、40℃付近まで冷却後、かくはんする。これに必要に応じてpHを調整する。その後、生乳、ハーブエキスを加えてかくはんし、保持する。必要に応じて乳化剤、香料等を加える。次に、ろ過、殺菌して、均質化した後、容器に充填することにより目的とする乳飲料を製造することができる。
【0013】
また、上述の乳飲料にアルコール類を加えることによって、アルコール含有乳飲料をつくることもできる。添加するアルコール類としては、蒸留酒では例えば焼酎、ウイスキー、ブランデー等、醸造酒では例えば清酒、老酒、果実酒、みりん等が使用できる。更に醸造用アルコール等を用いることもできる。
【0014】
本発明に係る乳飲料とハーブティー、ミルクティーとの違いを下記に詳述する。ハーブティーでは、ハーブの香りが引き立ちすぎ、味に甘さ、まろやかさがなく、渋味も少しあり、飲みにくい。ミルクティーでは、牛乳独特の臭い、香りがどうしても残ることになる。ミルクティーに砂糖等を入れることにより甘みをつけることもできるが、牛乳独特のべたつき感をなくすことは難しい。本発明では、メープルシロップでほのかな甘さをつけると、味に甘さ、まろやかさがあり、牛乳独特のべたつき感もなくなる。総合的に香味良好で飲みやすいものとなる。
また、果汁や香料を添加してフルーツ乳飲料とした場合は、香りにクセがなく、フルーティーな香りとすがすがしさがあるものとなる。
【0015】
検討例1(牛乳に各種ハーブエキスの添加割合を変えて検討した例)
牛乳に各種ハーブエキスを添加して、ハーブエキスの有無による牛乳の官能特性について検討を行った。牛乳に、カモミールエキス、ラベンダーエキス、ティリヤエキス、ジャスミンエキス、ペパーミントエキスのぞれぞれを、添加割合として、0.005、0.0075、0.01、0.02、0.04、0.08、0.12、0.20重量%と変えて添加したときの官能評価試験を専門のパネラー10名にて行った。結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
カモミールエキス、ラベンダーエキスをそれぞれ0.005重量%以上添加することにより牛乳独特の臭い、香りを少なくすることができる。ハーブの香りが強すぎずに、香味良好で飲みやすいという点からは、カモミールエキス、ラベンダーエキスでは、0.01〜0.08重量%がよいという評価であった。
【0018】
検討例2(牛乳にカモミールエキス及びラベンダーエキスを添加し、更に乳ペプチドの添加割合を変えて検討した例)
牛乳にハーブエキスを添加して、更に、乳ペプチドを添加し、乳ペプチドの有無によるハーブエキス添加牛乳の官能特性について検討を行った。牛乳に、カモミールエキスを、添加割合として、0.0075重量%添加し、更に、乳ペプチドであるプロダイエットF245〔イングレディア社製〕を、添加割合として、0.005、0.0075、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.0、5.0、10.0重量%と変えて添加したときの官能評価試験を専門のパネラー10名にて行った。結果を表2に示す。
【0019】
【表2】
【0020】
乳ペプチドを0.005重量%以上添加することにより牛乳独特の臭い、香りを少なくすることができる。また、香味良好で飲みやすいという点からは、乳ペプチドが0.005〜5.0重量%のものがよく、0.01〜1.0重量%のものがより香味良好で飲みやすいという評価であった。乳ペプチドとハーブエキスを併用することにより、相乗効果が認められ、香味良好で飲みやすいものとなった。しかしながら、乳ペプチドが5.0重量%を超えると、牛乳本来の好ましい香りが完全に打ち消されるという評価であった。
【0021】
カモミールエキスの代りに、ラベンダーエキスを用いて、同様の検討を行ったところ、やはり同様の結果が得られた。すなわち、乳ペプチドを0.005重量%以上添加することにより牛乳独特の臭い、香りを少なくすることができ、また、乳ペプチドとハーブエキスを併用することにより、相乗効果が認められ、香味良好で飲みやすいものとなった。
【0022】
以上述べたごとく、本発明により、生乳及び/又は乳製品を主原料とし、乳ペプチド及びハーブエキスを含有させることにより、牛乳独特の臭い、香りが少なく、また、香味良好で飲みやすい機能性乳飲料を提供することができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0024】
実施例1
牛乳を主原料とした乳飲料において、乳ペプチド及びハーブエキスの組み合わせに関する試験を行った。乳ペプチドは、プロダイエットF245〔イングレディア社製〕を用いた。ハーブエキスは、カモミールエキス〔三栄源エフエフアイ株式会社製〕、ラベンダーエキス〔三栄源エフエフアイ株式会社製〕を用いた。牛乳250g及び脱脂粉乳70gをベースに、常法に従い、表3に示す配合により、乳ペプチド及びハーブエキスを添加し、それぞれ合計1kgになるように水で希釈し、乳飲料の調製を行った。
【0025】
【表3】
【0026】
得られたそれぞれの乳飲料について、香味についての官能評価試験を行った。
官能評価試験は、専門のパネラー10名により行った。結果を表4に示す。
【0027】
【表4】
【0028】
表4より、乳ペプチド、カモミールエキス、ラベンダーエキスを配合した本発明1、本発明2、本発明3の評価が高く、香味良好な乳飲料であった。特に、カモミールエキス、ラベンダーエキスの両方を配合した本発明1は、牛乳独特の臭い、香りが少なく、香りのバランスがよく、味も良好であるとの評価を得て、香味に優れたものであった。
【0029】
実施例2
牛乳250g及び脱脂粉乳70gをベースに、実施例1と同様に、乳ペプチドを0.075g、カモミールエキスを0.1g、ラベンダーエキスを0.1g添加し、常法に従い、乳飲料の調整を行った。また、メープルシロップを少量添加し、さらに、乳化剤、香料を添加した。得られた乳飲料(本発明4)は、牛乳独特の臭い、香りが少なく、また、香味に優れた良好なものであった。調整した乳飲料を被験者10名に、就寝30分前に200mlを飲んでもらうこととし、やすらぎ効果、リラックス効果の有無を評価した。対照は、乳ペプチド及びハーブエキスを全く含まない無添加のものとした。対照を先に評価し、その一週間後に本発明4での評価を行った。結果を表5に示す。
【0030】
【表5】
【0031】
本発明4は、就寝前に飲むことにより、やすらぎ効果、リラックス効果のあると答えた人が9名であった。また、特に寝つきがよかったと答えた人は5名あり、有意に高い評価であった。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、牛乳独特の臭い、香りが少なく、ストレスが原因とされる寝つきの悪さを解消するために、就寝前に飲むことにより、やすらぎ効果、リラックス効果のある乳飲料を提供することができ、本発明品は有用な乳飲料である。
Claims (1)
- 生乳及び/又は乳製品を主原料とし、0.005〜5.0重量%のベンゾジアゼピン型の活性ペプチドを有するカゼイン分解物を含有し、かつ0.01〜0.08重量%のカモミールエキス及び/又はラベンダーエキスを含有する乳飲料。
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