JP4521595B2 - 耐熱・撥水性燃焼触媒容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼触媒担持物を収納するための耐熱・撥水性燃焼触媒容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知の如く、触媒燃焼容器では、燃焼触媒(担体)を耐熱性の燃焼触媒容器に入れ、その給排気用の孔若しくは空隙を通して、燃料ガスを空気と共に燃焼触媒に接触させ触媒燃焼を生じさせる方法や、アルコールランプのような構造で、碍子が燃焼触媒担体となっていて、燃料タンクから浸透性の心材を通って移動してきた燃料を、その多孔性の碍子表面で触媒燃焼させる方法などがあった。
【0003】
従来、こうした触媒燃焼させる技術としては、メチルアルコールを気化させて低温活性型酸化燃焼触媒に接触させて酸化燃焼させる技術(特許文献1)が知られている。また、液体燃料気化装置と、発熱体を備えた触媒体とから構成され、かつ、前記触媒体がアルミン酸石灰と耐熱性蓋骨材より構成される触媒担体と、少なくとも、ロジウム、パラジウム、ルテニウムよりなる群より選ばれる金属と白金より構成される触媒物質とより構成される液体燃料燃焼装置(特許文献2)が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭61−86510号公報(第2頁左上欄)
【0005】
【特許文献2】
特開昭60−207818号公報(第3頁左下欄10行目〜第4頁左下欄17行目)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の触媒燃焼容器は触媒燃焼装置を兼用したもので、燃焼触媒の担体材料の他に、燃料タンク等が備わっている。こうした装置の場合、触媒燃焼の火力は燃焼触媒表面への燃料の供給量で規制されるか、または燃焼空気孔から流入する酸素量によって規制されているが、燃料は心材等の毛管現象と燃料の揮発により、また酸素量は比較的目開きの大きなスリット状の燃焼空気孔等により調節されるため、燃料と空気量の割合を適正に制御することは難しく、未燃の燃焼ガスが排気されて臭気を伴ったり、燃料ガスの種類によっては刺激性のガス成分を生成するという問題があった。
【0007】
また、担持触媒はその使用時には構造の外表面に露出されるので、水叉は水溶性成分と接触しこれらを吸収すると、触媒の活性が低下してしまうことがあった。従って、多くの燃焼触媒装置では、燃焼の開始をライターやヒーター等の熱源を用いて行うことが前提となっている。これは、使用する度に触媒の活性が低下していくことにより、再度使用する際においては触媒と燃料蒸気との接触のみでは燃焼を開始することができないためである。
【0008】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、ドーナツ型円状板を複数個積層してなる筒状体と、この筒状体の両端の開口部を閉じる多孔質材料からなる円板とを具備し、燃料ガス、空気及び燃焼ガスを透過、吸排気し、内部で触媒燃焼を行うとともに、外部からの水及び水溶性成分の侵入を阻止する構成とすることにより、触媒が水叉は水溶性成分で覆われて失活するのを防ぐことができるとともに、気体の通気量を調整することで触媒燃焼の速度を調節でき、更には燃焼をより完全なものとして有害成分をも燃焼によって除去することが可能な耐熱・撥水性燃焼触媒容器を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、多孔質材料からなる袋状体を具備し、燃料ガス、空気及び燃焼ガスを透過、吸排気し、内部で触媒燃焼を行うとともに、外部からの水及び水溶性成分の侵入を阻止する構成とすることにより、上記と同様、触媒の失活を防ぐことができるとともに、触媒燃焼の速度を調節でき、更には有害成分をも燃焼によって除去することが可能な耐熱・撥水性燃焼触媒容器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る耐熱・撥水性燃焼触媒容器は、燃焼触媒を収納するための耐熱・撥水性燃焼触媒容器であり、ドーナツ型円状板を複数個積層してなる筒状体と、この筒状体の両端の開口部を閉じる多孔質材料からなる円板とを具備し、燃料ガス、空気及び燃焼ガスを透過、吸排気し、内部で触媒燃焼を行うとともに、外部からの水及び水溶性成分の侵入を阻止することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る耐熱・撥水性燃焼触媒容器は、燃焼触媒を収納するための耐熱・撥水性燃焼触媒容器であり、多孔質材料からなる袋状体を具備し、燃料ガス、空気及び燃焼ガスを透過、吸排気し、内部で触媒燃焼を行うとともに、外部からの水及び水溶性成分の侵入を阻止することを特徴とする。
【0012】
前記袋状体としては、例えば、環状のふっ素樹脂製第1シートと、この第1シートの上下面側に夫々該第1シートと融着して積層され,第1シートとともに袋状体を構成する多孔質材料からなる第2シートとを備えたものが挙げられるが、これに限定されない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明において、前記ドーナツ型円状板としては、例えばふっ素樹脂製の板等の耐熱性、撥水性を有するものが挙げられる。また、前記円板あるいは第2シートとしては、例えばふっ素樹脂を被覆した繊維叉は織物からなる多孔質体(ファブリック)、ふっ素樹脂製多孔質板、ふっ素樹脂製織布、ふっ素樹脂製不織布のいずれか等の耐熱性、撥水性を有するものが挙げられる。ここで、前記ファブリックにおける「被覆」とは、例えばふっ素樹脂ディスパージョンを織布に含浸,乾燥,焼成したものを意味する。
【0014】
本発明において、前記ふっ素樹脂としては、四ふっ化エチレン樹脂、四ふっ化エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレンパーフロロアルキルビニールエーテル共重合体、四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体樹脂、三ふっ化塩化エチレン−エチレン共重合体、四ふっ化エチレン−エチレン共重合樹脂、三ふっ化塩化エチレン樹脂、二ふっ化ビニリデンのいずれかが挙げられる。なお、上記ふっ素樹脂は耐熱性に優れた順に並べたもので、四ふっ化エチレン樹脂が広い温度範囲で使用できるので最も好ましい。
【0015】
[作用]
上記のような燃焼触媒容器では、容器の多孔質部に形成された気孔サイズや気孔率を変化させることで、容器の壁を透過する気体の量を規制することができるので、その結果として触媒燃焼温度の高低を制御することができる。また、燃料、空気のみならず触媒燃焼で生成するガスの排気量も同時に規制されることから、未反応の燃料ガスや不完全燃焼等に伴う刺激性ガスの発生を少なくすることができる。更に、燃焼触媒はその活性を常に維持できるので、別の点火装置を用いることなく、燃料蒸気との接触によって燃焼を開始することができる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の各実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
図1(A)〜(C)を参照して本発明に係る燃焼触媒容器について製造方法とともに説明する。
まず、種々の目開きのガラス繊維クロスに四フッ化エチレン樹脂(PTFE)ディスパージョンを含浸、乾燥、焼成して得られた多孔質材料(以下、単にファブリックと記す。)を、図1(A)に示すように、外径45mm、内径35mmのドーナツ形状に加工してドーナツ型円状板1とし、これらドーナツ型円状板1を30枚用意した。なお、図1(A)では便宜上3枚の円状板1が描かれている。次に、これらのドーナツ型円状板1を30枚重ねて加熱プレス機(図示せず)により400℃下で1MPaの圧力で1分間、加熱加圧し融着し、高さ3mmの筒状体2とした後、前記ドーナツ型円板1の上下に該円板1と同材質からなる円板3を夫々配置した(図1(B)図示)。つづいて、前記筒状体2及び上下の円板3からなる空間部にγアルミナ担持白金黒触媒(以下、担持触媒と記す。)を所定量入れた後、加熱プレスによって380℃下で1MPaの圧力で1分間、加熱加圧し融着することによって、担持触媒を充填した燃焼触媒容器4を作製した。
【0017】
ここで、γアルミナ担持白金黒触媒は、γアルミナビーズ(商品名:NKHD−24、住友化学工業製)に0.5wt%の塩化白金酸水溶液(H2PtCl6・6H2O)に20mlを含浸させ、更に105℃で乾燥し蒸発乾固させた後、80℃に加熱し、更に36%ホルマリン水溶液を10ml加え、当該γアルミナビーズの表面が黒化するまで80℃で加熱して得た。
【0018】
上記したように、実施例1に係る燃焼触媒容器4は、図1(C)に示すように、ガラス繊維クロスを四フッ化エチレン樹脂(PTFE)で被覆した材料からなるドーナツ型円状板1を複数枚重ねて圧着した筒状体2と、この筒状体2の上下に夫々配置して全体を圧着した前記筒状体2と同材質の円板3と、前記筒状体2及び円板3で囲まれた空間部に充填された担持触媒とを具備した構成となっている。
【0019】
上記燃焼触媒容器4を、図2に示すような燃料容器5の開口部6に置き、燃料容器5の底に溜めたメタノールから発生するメタノール蒸気を、燃焼触媒容器4の下面から接触させた。ここで、燃料容器5の容積は150mlで、上部に直径35mmの開口部6を有するとともに、側面に4つの長穴(空気の吸入口)7を持つ円筒形の燃料容器である。燃焼触媒容器4に用いたファブリックの通気量、厚み、充填触媒量、燃焼温度、及びファブリックの直上で測定したホルムアルデヒド濃度(気体検知管による)を下記表1に示す。なお、ホルムアルデヒドは、メタノールの不完全な燃焼に伴って発生するガスで、刺激性で有害な物質である。
【0020】
【表1】
【0021】
なお、表1において、通気量は、JIS L 1096 フラジール法により測定した。また、燃焼温度は、ファブリックの表面や場合によって触媒担体の表面にK熱電対を直接接触させて連続的にデジタルマルチメーター(直読式記録計)で測定した。更に、ホルムアルデヒド濃度は、(株)ガステック社製の気体検知管(ホルムアルデヒド用、No.91L、吸引装置はモデルGV−100 50−100ml用)で測定し、測定個所はファブリックの直上(ファブリックから5mmの距離)とした。
【0022】
触媒燃焼容器の温度変化を容器上面に貼付した熱電対により測定すると、何れの燃焼触媒容器も接触1〜2分後には昇温を開始し、約10分後には安定した燃焼状態に入り、その後は上記表1で最高温度とした平均の容器上面の平均温度を中心に概ね±3℃の安定した燃焼が持続した。燃焼触媒容器の上下面に用いたファブリックの通気量(圧損:12mmH2O)は0.53〜48.8(cm3/cm2/sec)の範囲にあったが、燃焼温度は110〜138℃の範囲にあり、通気量の大きなものほど燃焼温度も高くなる傾向を示した。また、ホルムアルデヒド濃度は概ね1〜2ppmの範囲にあったが、これを図1記載の燃焼触媒容器と同じ外径寸法の目開き1mmの銅メッシュ容器に燃焼触媒を充填し、上記と同様の条件で燃焼を行ったときに得られたホルムアルデヒド濃度の17.5ppmに比べると、後述する表5より約10分の1になっていることから、本発明による燃焼触媒容器の使用効果も明らかである。
【0023】
因みに、銅メッシュ使用時の燃焼温度は240℃に達しており、本発明による燃焼温度の抑制効果も明らかである。更に、通気量が0.53cm3/cm2/secと最も小さかったNo.Gの試料は、燃焼温度は110℃と最も低かったが、それに応じてホルムアルデヒド濃度も0.2ppmと供試料中で最低となっており、通気量が小さなファブリックを用いるとホルムアルデヒド発生量を小さくできることがわかる。
【0024】
(実施例2)
実施例1で説明した燃焼触媒容器と基本的には同じ構造で、その筒状体の厚みを10mmにした燃焼触媒容器を作製し、その中に担持触媒を下記表2に記載されているように、2.5g,5.0g,7.5g及び10.0g充填した。この燃焼触媒容器を実施例1と同様に燃料容器の上に置き、メタノール蒸気を燃焼触媒容器の下面から接触させた。燃焼触媒容器に用いたファブリックの通気量、充填触媒量、燃焼温度、及びファブリックの直上で測定したホルムアルデヒド濃度(気体検知管による)を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】
これによれば、触媒充填量が多いほどファブリック表面温度は低くなった。一方、ホルムアルデヒド濃度は触媒充填量2.5gのものが1.25ppmを示したのに対し、5g以上充填した場合では0.25〜0.4ppmと大幅に減少している。この表面温度低下の原因は、触媒充填量の増加による燃焼温度低下や触媒担体による発生熱量が考えられるが、それに伴ってホルムアルデヒド濃度は大幅に低下することが分かる。なお、この実験で、触媒燃焼容器内の下部の触媒に熱電対を直接接触させてその表面温度を計測すると、140〜160℃に達しており、表面温度の低下は触媒燃焼容器の上部の空間で燃焼ガスが冷えた結果と考えられる。
【0027】
(実施例3)
実施例1で説明した燃焼触媒容器と基本的には同じ構造で、その筒状部の厚みを10mmにした燃焼触媒容器を作製し、その中に粒径が実施例1及び実施例2の約半分(1.2mm)の担持白金触媒を下記表3に記載されているように、何れも5g充填した。この燃焼触媒容器を実施例1と同様に燃料容器の上に置き、メタノール蒸気を燃焼触媒容器の下面から接触させた。燃焼触媒容器に用いたファブリックの通気量、充填触媒量、燃焼温度、及びファブリックの直上で測定したホルムアルデヒド濃度(気体検知管による)を表3に示す。
【0028】
【表3】
【0029】
これによれば、触媒担体の種類が変わっても燃焼温度の変化はなく、また、ホルムアルデヒド濃度は0.4〜0.7であり、後述する表5より銅メッシュ使用時の1/20〜1/40に押えられていることが分かる。このように、本発明による燃焼触媒容器は、充填する触媒担体のサイズが変わっても、その影響は小さく、ファブリックの表面温度とホルムアルデヒド濃度を十分に抑制できることが分かる。
【0030】
(実施例4)
実施例3で説明した燃焼触媒容器と基本的には同じ構造で、その上下面に用いるファブリックを、通気量が18.5,0.53cm3/cm2/secと、実施例3と異なる2種を用いて燃焼触媒容器を作製し、その中に実施例2と実施例3で用いた、粒径が異なる担持白金触媒(直径が2.4mmφ及び1.2mmφ)を下記表4記載の条件でいずれも5g充填した。この燃焼触媒容器を実施例1と同様に燃料容器の上に置き、メタノール蒸気を燃焼触媒容器の下面から接触させた。燃焼触媒容器に用いたファブリックの通気量、充填触媒量、燃焼温度、及びファブリックの直上で測定したホルムアルデヒド濃度(気体検知管による)を表4に示す。
【0031】
【表4】
【0032】
その結果、触媒燃焼容器の上下面に用いるファブリックの通気量が、実施例2の場合の約40%と減少しても、ファブリック表面温度は70〜80℃の範囲に維持されており、ホルムアルデヒド濃度も約0.8ppm程度で、基本的には同メッシュ使用時よりも表面温度、ホルムアルデヒドの発生量はともに大幅に抑制されていた。
【0033】
一方、ファブリックの通気量が実施例2の約10%とより小さくなると、ファブリックの表面温度は60℃叉は40℃と、上記の通気量が約40%の場合よりも明らかに低く、ホルムアルデヒド濃度も何れも0.1(痕跡)と大幅に抑制されていることが分かる。このように、本発明による燃焼触媒容器は、使用するファブリックの通気量を小さくすることで、ファブリック表面温度とホルムアルデヒドの発生を抑制することができることが分かる。
【0034】
(実施例5)
図3(A),(B)を参照する。
まず、PTFE樹脂(旭硝子(株)製の商品名:G353)500gと気孔形成剤としての精製ナフタリン(新日鉄化学(株)製)を粉砕加工したもの(平均粒径約140μm)330gを、ヘンシェルミキサー(三井三池工機(株)製、型式:FM10B)に投入し、1600rpmで2分間攪拌して気孔形成剤入り樹脂(PTFE:60重量%、気孔形成剤:40重量%)を製造した。次に、この樹脂を金型に入れ、単位圧力4.41MPa下で5分の条件で予備成形後、焼成を行い多孔質成形体11を得た。但し、焼成条件は、常温〜200℃/2.9hr→200〜370℃/4.3hr→370℃/3hrs→370℃〜常温/4.3hrとした。
【0035】
つづいて、前記多孔質成形体11を機械加工し、φ40×φ60×高さ20mmとした。なお、底面の厚みは0.5mmに仕上げた。更に、図3(A)に示すように、機械加工した多孔質成形体11内部に担持触媒を5g入れた後、多孔質成形体11の上面に100μm×φ40×φ60のPFAフィルム12を介してφ60のファブリック13を乗せ、これらを加熱プレス機によって380℃下で1MPaの圧力で1分間、加熱加圧し全体を融着することによって、担持触媒を充填した燃焼触媒容器14を作成した(図3(B)参照)。
【0036】
(実施例6)
なお、本実施例6は、実施例5とファブリックを除いて同様であるので、図面を省略する。
まず、PTFE樹脂(旭硝子(株)製の商品名:G353)500gと気孔形成剤としての精製ナフタリン(新日鉄化学(株)製)を粉砕加工したもの(平均粒径約140μm)330gを、ヘンシェルミキサー(三井三池工機(株)製、型式:FM10B)に投入し、1600rpmで2分間攪拌して気孔形成剤入り樹脂(PTFE:60重量%、気孔形成剤:40重量%)を製造した。次に、この樹脂を金型に入れ、単位圧力4.41MPa下で5分の条件で予備成形後、焼成を行い多孔質成形体11を得た。但し、焼成条件は、常温〜200℃/2.9hr→200〜370℃/4.3hr→370℃/3hr→370℃〜常温/4.3hrとした。
【0037】
つづいて、この多孔質成形体を機械加工し、φ40×φ60×高さ20mmとした。なお、底面の厚みは0.5mmに仕上げた。更に、機械加工した多孔質成形体内部に担持触媒を5g入れた後、多孔質成形体の上面に100μm×φ40×φ60のPFAフィルムを介してφ60のPTFE織編物(商品名:トヨフロン(型式#406P,#406W,#2512のいずれか)、東レ・ファインケミカル(株)製)を乗せ、これらを加熱プレス機によって380℃下で1MPaの圧力で1分間、加熱加圧し全体を融着することによって、担持触媒を充填した燃焼触媒容器を作成した。
【0038】
(実施例7)
図4(A)〜(C)を参照する。
まず、平面形状がコ字型のふっ素樹脂製第1シートとしてのPFAフィルム15と、第2シートとしてのPTFE不織布16a,16bを用意する。ここで、PFAフィルム15の形状は100μm厚み×5mm幅である。また、PTFE不織布16a,16bは、ダイキン工業(株)製の商品名:ポリフロンウェブBで、その大きさは50mm×50mmである。また、次に、これらを図4(A)のように、PTFE不織布16a,16b間にPFAフィルム15が介在するように配置させる。次に、前記PTFE不織布16a,16b及びPFAフィルム15を加熱プレス機によって380℃下で1MPaの圧力で1分間、加熱加圧し全体を融着することによって、袋状に加工した袋状体17を形成した(図4(B)参照)。つづいて、この袋状体17の内部に担持触媒を3g入れた後、袋状体の開口部側のPTFE不織布16a,16b間にPFAフィルム(図示せず)も介在させた状態で、上記と同様に加熱加圧して開口部を閉じ、燃焼触媒容器18を形成した(図4(C)参照)。
【0039】
上記したように、実施例7に係る燃焼触媒容器4は、図4に示すように、平面形状がコ字型のPFAフィルム15と、このPFAフィルム15の上下面側に夫々該フィルム15と融着して積層され,フィルム15とともに袋状体17を構成する多孔質材料からなるPTFE不織布16a,16bとを具備し、燃焼触媒容器を袋状体17に収納した後,袋状体17の開口側の一側部17aは閉じられるようになっている。
【0040】
なお、上記実施例7では、平面形状がコ字型のPFAフィルム(第1シート)とPTFE不織布(第2シート)とから袋状体を構成する場合について述べたが、これに限定されない。例えば、第1シートは必ずしも必要なものではなく、第2シートのみで袋状体を構成してもよい。また、第1シートの形状はコ字型に限らず、環状等の形状でもよい。更に、第1シートと第2シートの融着も上述したように加熱プレス機による加圧加圧に限らず、例えば接着剤等により第1シートと第2シートを接続してもよい。
【0041】
以上詳述した如く本発明によれば、以下に述べる効果を有する。
(1)本発明では、耐熱性で撥水性の多孔性燃焼触媒容器に担持触媒を収納するため、燃料蒸気や空気、及び燃焼ガスはその容器の壁を通過できるが、水や水溶性の成分、例えば水溶性の調味料や飲料等はその撥水性の壁で阻止されるので、触媒が水叉は水溶性の成分で覆われて失活するのを防ぐことができる。従って、メタノール等の低沸点の燃料では点火装置を用いずに燃焼を開始することができる。
【0042】
(2)燃焼触媒容器の壁(叉は主要部)は多孔性で、気孔の大きさ、あるいは織物の隙間を変化させることで、気体の通気量を調整することができ、その結果として触媒温度を調整することが可能となる。
【0043】
(3)更に、触媒燃焼ガスの中には刺激性で人体に有害な物質が含まれる事もあるが、本発明による燃焼触媒容器では、触媒と燃料ガス及び空気、さらには副生成ガスとの接触時間を充分にとることができるので、燃焼をより完全なものとして有害成分を燃焼によって除去することができる。
【0044】
(4)本発明による燃焼触媒容器は、加熱したい物体を直接に接触させることができる。例えば、液体や食品を入れたカップや皿をその上に置くことで、液体や食品を加熱する器具として機能する。
【0045】
(5)本発明による燃焼触媒容器は一般の触媒燃焼装置と異なり、装置の構造の一部ではないので、燃料を入れた容器との任意の組合せが可能である。単純なあるいは複雑な形状の燃料容器の開口部に設置することで、簡単に加熱装置となりうる。
【0046】
【表5】
【0047】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明によれば、ドーナツ型円状板を複数個積層してなる筒状体と、この筒状体の両端の開口部を閉じる多孔質材料からなる円板とを具備し、燃料ガス、空気及び燃焼ガスを透過、吸排気し、内部で触媒燃焼を行うとともに、外部からの水及び水溶性成分の侵入を阻止する構成とすることにより、触媒が水叉は水溶性成分で覆われて失活するのを防ぐことができるとともに、気体の通気量を調整することで触媒燃焼の速度を調節でき、更には燃焼をより完全なものとして有害成分をも燃焼によって除去することが可能な耐熱・撥水性燃焼触媒容器を提供できる。
【0049】
また、本発明によれば、燃焼触媒を収納するための耐熱・撥水性燃焼触媒容器であり、平面形状がコ字型のふっ素樹脂製第1シートと、この第1シートの上下面側に夫々該第1シートと融着して積層され,第1シートとともに袋状体を構成する多孔質材料からなる第2シートとを具備し、前記袋状体の開口部は燃焼触媒を収納された後閉じられ、燃料ガス、空気及び燃焼ガスを透過、吸排気し、内部で触媒燃焼を行うとともに、外部からの水及び水溶性成分の侵入を阻止する構成とすることにより、上記と同様、触媒の失活を防ぐことができるとともに、触媒燃焼の速度を調節でき、更には有害成分をも燃焼によって除去することが可能な耐熱・撥水性燃焼触媒容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)〜(C)は本発明の実施形態に係る燃焼触媒容器を製作するための方法を工程順に示す説明図。
【図2】 図1の燃焼触媒容器を円筒形状燃焼容器に配置する場合の説明図。
【図3】 (A)(B)は他の実施形態の燃焼触媒容器を製作するための方法を工程順に示す説明図。
【図4】 (A)〜(C)は他の実施形態の燃焼触媒容器を製作するための方法を工程順に示す説明図。
【符号の説明】
1…ドーナツ型円状板、 2…筒状体、 3…円板、
4,14,18…燃焼触媒容器、 5…燃料容器、 5a…開口部、
7…長穴(空気吸入孔)、 11…多孔質成形体、
12、15…PFAフィルム、 13…ファブリック、
16a,16b…PTFE不織布、 17…筒状体。
Claims (6)
- 燃焼触媒を収納するための耐熱・撥水性燃焼触媒容器であり、ドーナツ型円状板を複数個積層してなる筒状体と、この筒状体の両端の開口部を閉じる多孔質材料からなる円板とを具備し、燃料ガス、空気及び燃焼ガスを透過、吸排気し、内部で触媒燃焼を行うとともに、外部からの水及び水溶性成分の侵入を阻止することを特徴とする耐熱・撥水性燃焼触媒容器。
- 燃焼触媒を収納するための耐熱・撥水性燃焼触媒容器であり、多孔質材料からなる袋状体を具備し、燃料ガス、空気及び燃焼ガスを透過、吸排気し、内部で触媒燃焼を行うとともに、外部からの水及び水溶性成分の侵入を阻止することを特徴とする耐熱・撥水性燃焼触媒容器。
- 前記ドーナツ型円状板は、ふっ素樹脂製の板であることを特徴とする請求項1記載の耐熱・撥水性燃焼触媒容器。
- 前記円板は、ふっ素樹脂を被覆した繊維叉は織物、ふっ素樹脂製織布、ふっ素樹脂製不織布、ふっ素樹脂製多孔質板のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の耐熱・撥水性燃焼触媒容器。
- 前記袋状体は、ふっ素樹脂を被覆した繊維叉は織物、ふっ素樹脂製織布、ふっ素樹脂製不織布、ふっ素樹脂製多孔質板のいずれかであることを特徴とする請求項2記載の耐熱・撥水性燃焼触媒容器。
- 前記ふっ素樹脂は、四ふっ化エチレン樹脂、三ふっ化塩化エチレン樹脂、二ふっ化ビニリデン、四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体樹脂、四ふっ化エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、四ふっ化エチレン−エチレン共重合樹脂、四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレンパーフロロアルキルビニールエーテル共重合体、三ふっ化塩化エチレン−エチレン共重合体のいずれかであることを特徴とする請求項3若しくは請求項4記載の耐熱・撥水性燃焼触媒容器。
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