JP4518151B2 - 信号処理装置、信号処理方法、プログラム - Google Patents

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Description

本発明は、仮想音像定位効果を与えるための音響再生を行う場合において、オーディオ信号に対して音像定位効果のサービスエリア拡張のための信号処理を施す信号処理装置、及びその方法、及びそのような信号処理を実現するためのプログラムに関する。
特開平5−260597号公報
上記特許文献1にあるように、例えばフロントの左右2チャンネルのスピーカで音響再生を行って後方左や後方右に音像を定位させるなど、実際に音響再生を行うスピーカ位置とは異なる位置に仮想的に音像を定位させる仮想音像定位処理が一般的に行われている。
仮想的に音源を定位させるにあたっては、予め、配置される複数のスピーカ(例えばL,Rの2チャンネル)に対する聴取者の理想聴取位置を定めておき、該理想位置における聴取者の左右両耳までの音響伝達関数として、実際に音響再生を行う上記複数のスピーカから上記両耳までの伝達関数(G)と、仮想音像位置から上記両耳までの伝達関数(H)とを測定により求めておく。そして、実際の処理では、上記仮想音像位置から出力されるべき信号に対して、上記伝達関数(G)と(H)とに基づく伝達関数の畳み込みを行い、その結果得られる信号を上記複数のスピーカに供給して出力する。
これにより、例えばフロントの左右2チャンネルのスピーカのみで、聴取者の後方左や後方右などの任意の位置に仮想的に音像を定位させることができる。
ここで、上記により説明した手法に代表される一般的な仮想音像定位処理が行われた場合、音像定位のサービスエリアは非常に狭いものとなることが知られている。仮想音像定位処理では、聴取者が理想的な位置で聴取する場合を前提とした伝達関数の畳み込みを行うようにされているので、聴取者が理想的な位置から移動してしまった場合には、音像定位効果が薄れていく。特に、理想位置から左右方向への移動に対しては、音像定位効果が急激に減衰していく。
以上のような問題点に鑑み、本発明では、仮想音像定位処理の施されたオーディオ信号の再生を行う場合における音像定位効果のサービスエリアの拡張を図ることを目的とする。
このために、本発明では信号処理装置として以下のように構成することとした。
つまり、各スピーカから出力された出力音聴取者の耳位置で合成することで得られた合成音周波数特性においクシ歯状の特性の乱れが現れ始める周波数に基づき決定されたカットオフ周波数が設定され、該カットオフ周波数に基づいて入力オーディオ信号の帯域制限処理を行うローパスフィルタ処理部と、上記カットオフ周波数が設定され、該カットオフ周波数に基づき上記入力オーディオ信号の帯域制限処理を行うハイパスフィルタ処理部とを備える。
また、上記ハイパスフィルタ処理部により帯域制限されたオーディオ信号に対して遅延処理を施す遅延処理部を備える。
さらに、上記ローパスフィルタ処理部による帯域制限信号と上記遅延処理部による遅延処理の施された上記ハイパスフィルタ処理部による帯域制限信号とを合成する合成処理部を備えるものである。
ここで、後述もするように、仮想音像の定位感が聴取者の理想位置からのずれによって薄れていくのは、該位置ずれにより、聴取者の各耳位置における、各スピーカからの出力音の合成音についての周波数特性に差が生じるためである。このとき、位置ずれによって各耳位置における周波数特性に差が生じてしまうのは、主としてそれぞれの耳位置での周波数特性にて、位置ずれ量に応じた周波数以上の帯域でクシ歯状の特性の乱れが大きく生じるためである。
そこで、本発明は上記構成によって、このような特性の乱れが現れ始める周波数に基づいて決定したカットオフ周波数により、上記入力オーディオ信号を低域側の信号と高域側の信号とに分割し、低域側の信号は先行出力させ、高域側の信号は遅延させて後続出力するものとしている。
このようにすることで、いわゆる先行音効果により、音像の定位感は、先行出力された特性乱れの少ない低域側の信号成分によって支配的に与えることができるようになる。つまりこの結果、聴取者の理想位置からの左右ずれが生じた場合にも、音像の定位感が維持されるようにすることができる。
本発明によれば、例えば左右2チャンネルのスピーカなど、複数のスピーカを用いた音響再生によって所要の位置に仮想的な音像を定位させる音響再生(バーチャルサラウンド再生)を行う場合において、聴取者の左右方向への移動に対しても音像の定位感が損なわることを緩和することができる。つまりこれにより、音像定位効果についてのサービスエリアの拡張を図ることができる。
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明していく。

<第1の実施の形態>
[再生装置]

図1は、本発明の第1の実施の形態としての信号処理装置を備えてバーチャルサラウンド再生を行う再生装置1の内部構成を示したブロック図である。
この再生装置1は、入力信号として図示するように左チャンネルオーディオ信号L、右チャンネルオーディオ信号R、左チャンネルサラウンド信号SL、右チャンネルサラウンド信号SRの4チャンネルのオーディオ信号を入力する。そして、これら4チャンネルのオーディオ信号から左右2チャンネルのバーチャルサラウンド信号を生成し、これを聴取者の前方左右に配置されるスピーカSP-L、SP-Rから出力することで、バーチャルサラウンド再生を行う。
ここで、上記説明からも理解されるように、左チャンネルオーディオ信号L、右チャンネルオーディオ信号Rは聴取者の前方から出力される信号となる。この点から、左チャンネルオーディオ信号LについてはFL(Front Left)、右チャンネルオーディオ信号RについてはFR(Front Right)とも表記する。
また、左チャンネルサラウンド信号SLは聴取者の後方左、右チャンネルサラウンド信号SRは聴取者の後方右から出力されるべき信号となる。すなわち、実際にスピーカの配置されない、仮想的な音像位置から出力されるべき信号となる。
再生装置1では、上記フロント側の左右2チャンネルのスピーカSP-L、SP-Rを用いて、これら左右のサラウンド信号SL、SRがそれぞれ後方左、後方右位置から発せられたものとして聴取者に知覚されるように、バーチャルサラウンド再生を行う。
図1において、再生装置1には、2chバーチャルサラウンド信号生成部2、D/Aコンバータ3-L,3-R、アンプ4-L,4-R、スピーカSP-L,SP-R、及びメモリ5が設けられる。
2chバーチャルサラウンド信号生成部2は、DSP(Digital Signal Processor)で構成され、メモリ5内に格納されるプログラムに基づくデジタル信号処理により、入力オーディオ信号(L,R,SL,SR)に対する信号処理を行う。
本実施の形態の場合、メモリ5内には、DSPとしての2chバーチャルサラウンド信号生成部2に後述する実施の形態としての信号処理を実行させるための信号処理プログラム5aが格納される。
2chバーチャルサラウンド信号生成部2は、上記信号処理プログラム5aに基づくデジタル信号処理を実行することで、上記入力オーディオ信号L,R,SL,SRから、左右2チャンネルのバーチャルサラウンド信号Lvs、Rvsを生成する。これらバーチャルサラウンド信号Lvs、Rvsは、これらの信号が前方のスピーカSP-L,SP-Rから出力されたときに、左チャンネルサラウンド信号SL、右チャンネルサラウンド信号SRがそれぞれ後方左、後方右から出力されたかのように知覚させることができるように生成された信号となる。
上記2chバーチャルサラウンド信号生成部2により生成された左チャンネルのバーチャルサラウンド信号Lvsは、D/Aコンバータ3-Lでアナログ信号に変換され、アンプ4-Lで増幅された後、聴取者の前方左に配置されたスピーカSP-Lにより音声出力される。また、上記2chバーチャルサラウンド信号生成部2により生成された右チャンネルのバーチャルサラウンド信号Rvsは、D/Aコンバータ3-Rでアナログ信号に変換されアンプ4-Rで増幅された後、聴取者の前方右に配置されたスピーカSP-Rにより音声出力される。
[2chバーチャルサラウンド信号生成部]

図2は、図1に示した2chバーチャルサラウンド信号生成部2のデジタル信号処理によって実現される各機能動作をブロック化して示した図である。
なお、以下では便宜上、各機能ブロックをハードウエアとして扱うようにして説明を行うが、各機能ブロックとしての機能動作は、DSPとしての2chバーチャルサラウンド信号生成部2がメモリ5内の信号処理プログラム5aに基づくデジタル信号処理を行うことで実現されるものである。
先ず、2chバーチャルサラウンド信号生成部2内には、バーチャライズ処理部2Aと、サービスエリア拡張処理部2Bとが設けられる。
バーチャライズ処理部2Aは、入力オーディオ信号L,R,SL,SRから左右2チャンネルのバーチャルサラウンド信号Lvs、Rvsを生成するための信号処理を行う。また、サービスエリア拡張処理部2Bは、上記バーチャルサラウンド信号Lvs、Rvsが音響再生されて実現される、仮想音像定位効果の得られるサービスエリアの拡張を図るための信号処理を行う。なお、サービスエリア拡張処理部2Bにより行われる、実施の形態としてのサービスエリア拡張処理については後述する。
バーチャライズ処理部2Aには、左チャンネルオーディオ信号FL、右チャンネルオーディオ信号FR、左チャンネルサラウンド信号SL、右チャンネルサラウンド信号SRが入力される。バーチャライズ処理部2A内において、上記左チャンネルオーディオ信号FLは加算処理部10Lに入力され、右チャンネルオーディオ信号FRは加算処理部10Rに入力される。
また、バーチャライズ処理部2Aには、フィルタ処理部11L,11R,12L,12R,14L,14R,15L,15R、及び加算処理部13L,13R,16L,16Rが設けられる。
バーチャライズ処理部2Aに入力された左チャンネルサラウンド信号SLは、フィルタ処理部11Lに供給されると共に、分岐してフィルタ処理部12Lに対しても供給される。また、バーチャライズ処理部2Aに入力された右チャンネルサラウンド信号SRはフィルタ処理部11Rに供給されると共に、分岐してフィルタ処理部12Rにも供給される。
加算処理部13Lは、上記フィルタ処理部11Lによって処理された左チャンネルサラウンド信号SLと、上記フィルタ処理部12Rにより処理された右チャンネルサラウンド信号SRとを入力し、これらを加算する。
また、加算処理部13Rは、上記フィルタ処理部11Rによって処理された右チャンネルサラウンド信号SRと、上記フィルタ処理部12Lにより処理された左チャンネルサラウンド信号SLとを入力し、これらを加算する。
上記加算処理部13Lによる加算結果は、フィルタ処理部14Lで処理された後、加算処理部16Lに入力される。また、この加算処理部13Lによる加算結果は、分岐してフィルタ処理部15Lにも供給され、該フィルタ処理部15Lで処理された後加算処理部16Rに入力される。
また、上記加算処理部13Rによる加算結果はフィルタ処理部14Rで処理された後、加算処理部16Rに入力される。また、加算処理部13Rによる加算結果は、分岐してフィルタ処理部15Rにも供給され、該フィルタ処理部15Rで処理された後加算処理部16Lに入力される。
加算処理部16Lは、上記フィルタ処理部14Lで処理された信号と上記フィルタ処理部15Rにて処理された信号とを加算する。この加算処理部16Lによる加算結果は、上述した加算処理部10Lに対して入力される。
また、加算処理部16Rは、上記フィルタ処理部14Rで処理された信号と上記フィルタ処理部15Lにて処理された信号とを加算する。加算処理部16Rによる加算結果は、加算処理部10Rに対して入力される。
加算処理部10Lは、上述のようにして入力される左チャンネルオーディオ信号FLと上記加算処理部16Lによる加算結果とを加算する。この加算処理部10Lによる加算結果が、左チャンネルバーチャルサラウンド信号Lvsとなる。
また、加算処理部10Rは、上述したようにして入力される右チャンネルオーディオ信号FRと上記加算処理部16Rによる加算結果とを加算する。この加算処理部10Rによる加算結果が、右チャンネルバーチャルサラウンド信号Rvsとなる。
加算処理部10Lにて生成された左チャンネルバーチャルサラウンド信号Lvsは一方のサービスエリア拡張処理部2Bに供給され、加算処理部10Rにて生成された右チャンネルバーチャルサラウンド信号Rvsは他方のサービスエリア拡張処理部2Bに供給される。
ここで、左右のサラウンド信号SL、SRがそれぞれ後方左、後方右から出力されるように知覚させるにあたり、上記バーチャライズ処理部2A内の各フィルタ処理部に与えられるべきフィルタ特性について、次の図3を参照して説明しておく。
図3は、スピーカSP-L、スピーカSP-Rから聴取者Pの各耳への音響伝達関数、及び仮想音源位置として破線により示す後方左仮想スピーカVSP-L、後方右仮想スピーカVSP-Rから聴取者Pの各耳への音響伝達関数を模式的に示している。
この図3に示されるように、後方左仮想スピーカVSP-Lから聴取者P左耳までの音響伝達関数をH1L、同仮想スピーカVSP-Lから聴取者P右耳までの音響伝達関数をH1Rとおく。また、後方右仮想スピーカVSP-Rから聴取者P左耳までの音響伝達関数をH2L、同仮想スピーカVSP-Rから聴取者P右耳までの音響伝達関数をH2Rとおく。
さらに、前方左のスピーカSP-Lから聴取者P左耳までの音響伝達関数をG1L、同スピーカSP-Lから聴取者P右耳までの音響伝達関数をG1Rとおき、また、前方右のスピーカSP-Rから聴取者P左耳までの音響伝達関数をG2L、同スピーカSP-Rから聴取者P右耳までの音響伝達関数をG2Rとおく。
これら各音響伝達関数に基づくフィルタ特性を、図2に示したフィルタ処理部にそれぞれ設定する。具体的に、フィルタ処理部11Lには、伝達関数H1Lを与えるためのフィルタ特性(フィルタ係数)を設定し、フィルタ処理部11Rには伝達関数H2Rを与えるためのフィルタ特性を設定する。また、フィルタ処理部12Lには伝達関数H1Rを与えるためのフィルタ特性を、フィルタ処理部12Rには伝達関数H2Lを与えるためのフィルタ特性を設定する。
また、フィルタ処理部14Lには、−G2R/Aで表される伝達関数を与えるためのフィルタ特性を設定する。但し、「A」は下記の式により与えられるものである。

A=G2L*G1R−G2R*G1L

また、フィルタ処理部14Rには、−G1L/Aで表される伝達関数を与えるためのフィルタ特性を設定する。さらに、フィルタ処理部15LにはG1R/Aで表される伝達関数を与えるためのフィルタ特性を、またフィルタ処理部15RにはG2L/Aで表される伝達関数を与えるためのフィルタ特性を設定する。
これら各フィルタ処理部は、例えばFIR(Finite Impulse Response)フィルタで構成され、入力信号に対して設定されたフィルタ特性に基づくフィルタ処理を施す。
ここで、例えば仮に、ヘッドホン装置におけるバーチャライズ処理のように、実際に音声出力が行われる音源位置から聴取者耳までの音響伝達関数について特に考慮する必要性がない場合には、聴取者Pの左耳によって聴取されるべき左チャンネル側の出力信号に対しては伝達関数H1Lと伝達関数H2Lとを畳み込み、また聴取者Pの右耳によって聴取されるべき右チャンネル側の出力信号に対して伝達関数H1Rと伝達関数H2Rとを畳み込めばよい。すなわち、図2の構成と照らせば、フィルタ処理部14L,14R,15L,15R、及び加算処理部16L,16Rは不要とできる。
しかしながら、本例では聴取者Pから或る程度離間して配置されるスピーカSP-L、SP-Rによって音声出力を行うので、これらスピーカSP-L、SP-Rから聴取者Pの各耳までの伝達関数も考慮したバーチャライズ処理を行う必要がある。このために、図2に示す構成によって、聴取者Pの左耳によって聴取されるべき左チャンネル側の出力信号には上記−G2R/Aとしての「−G2R/G2L*G1R−G2R*G1L」、上記G2L/Aとしての「G2L/G2L*G1R−G2R*G1L」による伝達関数を与え、また聴取者Pの右耳によって聴取されるべき右チャンネル側の出力信号には上記−G1L/Aとしての「−G1L/G2L*G1R−G2R*G1L」、上記G1R/Aとしての「G1R/G2L*G1R−G2R*G1L」による伝達関数を与えるものとし、各スピーカSPから聴取者Pの各耳までの伝達関数による影響をキャンセルさせる作用が得られるようにしている。すなわちこのことで、前方左右の各スピーカSPからの音声出力により、左チャンネルサラウンド信号SLが後方左仮想スピーカSP-Lから出力され、右チャンネルサラウンド信号SRが後方右仮想スピーカSP-Rから出力されるかのように知覚させることができる。
なお、ここではバーチャライズ処理の一例として、バイノーラル化処理に基づく手法を採る場合を例示したが、バーチャライズ処理としては他の手法を採ることもできる。何れにしても、後述するサービスエリア拡張処理の観点から見れば、バーチャライズ処理としては如何なる手法が採られてもよいものであり、ここで特に限定されるべきものではない。
[サービスエリア拡張処理]
−音像定位効果の減衰要因の考察−

これまでの説明から理解されるように、本実施の形態の再生装置1では、実際に音声出力を行うスピーカSP以外の位置に音像を仮想的に定位させるバーチャルサラウンド再生を行うものとされるが、先にも述べたように、このようなバーチャルサラウンド再生による仮想音像定位効果は、一般的にそのサービスエリアが狭く、特に聴取者Pの左右方向への位置ずれに対しては急激に音像定位効果が薄れてしまうという問題がある。
ここで、次の図4〜図6を参照して、このように聴取者Pの位置ずれに伴い音像定位効果が薄れていく要因について説明しておく。
先ず、図4は、聴取者Pが理想的な聴取位置にある場合での、聴取者Pの各耳におけるスピーカSP-L、SP-Rからの出力音の到達時間差について説明するための図である。図4(a)では聴取者Pの各耳に対し各スピーカSP-L、SP-Rからの出力音が到達する様子を模式的に示し、図4(b)では、図4(a)に示す状態での、聴取者Pの各耳で聴取されるスピーカSP-L、SP-Rからの出力音の振幅及び到達時間を示している。
先ず前提として、本例では、図4(a)に示されるように、聴取者Pの理想的な聴取位置(理想位置とも称する)は左右のスピーカSP-L、SP-Rの中心軸上にあるものとしている。換言すれば、聴取者Pから見て各スピーカSP-L、SP-Rは左右対称の位置関係で配置される。従ってこの場合、聴取者Pが理想位置にあるときには、スピーカSP-Lから聴取者Pまでの距離と、スピーカSP-Rから聴取者Pまでの距離は等しくなる。
この図4(a)に示される聴取者Pが理想位置にある場合では、聴取者Pの左耳で聴取されるスピーカSP-Lからの出力音(図中(1))、スピーカSP-Rからの出力音(図中(3))の振幅及び到達時間は、図4(b)の上段に示すようになる。つまり、聴取者Pの左耳に対してはスピーカSP-Lの方がより近いため、スピーカSP-Lからの出力音の方が振幅が大きく、また到達時間も短いものとなる。
このとき、聴取者Pの左耳で聴取されるスピーカSP-Lからの出力音とスピーカSP-Rからの出力音の到達時間差は、図中の矢印DL0で表される。
一方、聴取者Pの右耳で聴取される、スピーカSP-Lからの出力音(図中(2))、スピーカSP-Rからの出力音(図中(4))の振幅及び到達時間は、図4(b)の下段に示されるものとなる。聴取者Pの右耳に対してはスピーカSP-Rの方がより近くなるため、この場合はスピーカSP-Rからの出力音の方が振幅が大きく到達時間も短くなる。
聴取者Pの右耳で聴取されるスピーカSP-Lからの出力音とスピーカSP-Rからの出力音の到達時間差は、図中の矢印DR0で表される。
この図4(b)に示されるタイミング及びレベルにより、聴取者Pの各耳でスピーカSP-Lの出力音とスピーカSP-Rの出力音とが聴取されることで、理想的な音像定位効果が得られるようになっているものである。
図5は、聴取者Pが理想的な聴取位置から左右方向にずれた場合の例として、例えば左側にずれた場合での、聴取者Pの各耳におけるスピーカSP-L、SP-Rからの出力音の到達時間差について説明するための図である。
この図5においても、(a)図では聴取者Pの各耳に対し各スピーカSP-L、SP-Rからの出力音が到達する様子を模式的に示し、(b)図では、(a)図に示す状態での聴取者Pの各耳で聴取されるスピーカSP-L、SP-Rからの出力音の振幅及び到達時間を示している。
聴取者Pが理想位置から左側にずれた場合、聴取者Pに対してはスピーカSP-Lの方が相対的に近くなる。このため、聴取者Pの左耳で聴取されるスピーカSP-Lからの出力音(図中(1))、スピーカSP-Rからの出力音(図中(3))についての振幅及び到達時間は、図5(b)の上段に示す如く、スピーカSP-Lからの出力音は図4の場合よりも振幅は大きく到達時間も短くなり、逆にスピーカSP-Rからの出力音は先の図4の場合よりも振幅が小さく到達時間が遅れることになる。この結果、左耳における各スピーカSPからの出力音の到達時間差は、先の図4の場合の到達時間差DL0よりも大きくなる(図中、到達時間差DL)
一方、聴取者Pの右耳で聴取されるスピーカSP-Lからの出力音(図中(2))、スピーカSP-Rからの出力音(図中(4))についての振幅、及び到達時間は、図5(b)の下段に示す如く、スピーカSP-Lからの出力音としては図4の場合よりも振幅が大きく到達時間も短くなる一方で、スピーカSP-Rからの出力音は先の図4の場合よりも振幅が小さく到達時間が遅れることになる。
この結果、右耳においては、各スピーカSPからの出力音の到達時間差は先の図4の場合の到達時間差DR0よりも小さくなる(図中、到達時間差DR)。
このようにして、聴取者Pが理想的な聴取位置から左右方向に位置ずれを起こすと、各スピーカSPから聴取者の各耳に到達する信号は本来理想的な聴取位置で受けるべきものとは振幅や到達時間などが異なるものとなってしまう。このうち、特に音像定位効果への影響が大きいのは、到達時間のずれによるものである。
図6は、聴取者Pの各耳位置における、各スピーカSP-L、SP-Rからの出力音の合成音についての周波数特性(周波数−振幅特性)の測定結果を例示している。なお、この図では特徴を明らかにするため、両スピーカSPから同一信号を同時に発した場合の測定結果を示している。
図6において、図6(a)は聴取者Pが理想位置にある状態での測定結果を示し、図6(b)では左方向に約20cmずれた状態での測定結果、図6(c)では左方向に30cmずれた状態での測定結果を示している。
なお、この図6において、聴取者Pの左耳における周波数特性は実線で示し、右耳における周波数特性は破線により示している。
この図6に示す測定結果からも明らかなように、聴取者Pの理想位置からの左右位置ずれが生じた場合は、ずれ方向と一致する方向の耳位置における周波数特性の方で特に、より大きな乱れが発生することになる。この場合、乱れとしてはクシ歯状の乱れが生じ、このクシ歯状の乱れは、或る周波数を起点として高域側に現れるものとなっている。以下、このようにクシ歯状の乱れが現れ始める周波数を、起点周波数と称する。
また、図6(b)(c)の比較より、聴取者Pの位置が理想位置からずれた場合は、そのずれ量が大きくなるほどクシ歯状の乱れについての起点周波数はより低域側にシフトすることがわかる。
また、図6(a)〜(c)を比較してわかるように、起点周波数としては、聴取者Pの位置ずれ方向と一致する耳側の方が、より低い周波数となることがわかる。これは、先の図5において説明したように、位置ずれ方向と一致する耳側の方が各スピーカSPからの音の到達時間差の値が大きくなるということからも理解できる。
なお、図示は省略したが、このような聴取者Pの位置ずれに伴う影響は位相特性にも現れることになる。
ここで、この図6に示す測定結果は、両スピーカから同一信号を同時に発した場合のものであり、実際に再生装置1にて再生するバーチャルサラウンド信号Lvs、Rvsと厳密に一致するものではないが、一般的に、バーチャルサラウンドシステムにおいて出力するバーチャルサラウンド信号としても両スピーカから振幅レベルが近いものが出力されることがしばしばあることから、影響の現れ方はこれに近いものとなる。
図6の測定結果からも理解されるように、左右方向へのずれが大きくなるほど、各耳における周波数特性に乱れが生じ、これによって両耳間における特性の差が大きくなっていく。音像定位効果の減衰は、このような両耳間での周波数特性の差に起因して生じるものである。
−第1の実施の形態としてのサービスエリア拡張処理−
ここで、上記説明によれば、聴取者Pの位置ずれに伴う両耳間での周波数特性の差が解消できれば、音像の定位感が損なわれてしまうことを防止できるということになる。
このとき、先の図6を参照して分かるようにクシ歯状の乱れが出現する起点周波数は、聴取者Pのずれ方向側となる耳の方でより低い周波数となる傾向になる。従って、該ずれ方向側の耳での起点周波数よりも低域側となる信号のみが出力されるようにすれば、他方の耳側も含めてクシ歯状の乱れが生じる帯域を除外でき、結果として聴取者Pの各耳における周波数特性の差を小さくすることができる。すなわち、定位感が損なわれないようにすることができる。
但し、当然のことながら音響再生としては、上記起点周波数以上の帯域の信号についても出力しなければならい。このため本実施の形態では、上記起点周波数よりも低域側の信号を先行して出力し、残りの帯域の信号については後続音として遅延出力するという手法を採る。
このような手法を採ることで、聴取者Pの知覚する音像の定位感は、先に到来する低域側の信号によって支配的に与えることができるものとなり、後続音としての高域側の信号による影響を知覚的に緩和することができる。この効果は、いわゆる先行音効果として知られている。
この先行音効果により、聴取者Pが理想位置から左右方向にずれた場合にも、音像の定位感が損なわれるのを緩和することができる。
ところで、本発明の目的は、バーチャルサラウンド再生を行う場合において、音像定位効果についてのサービスエリアの拡張を図ることにある。このようなサービスエリア拡張にあたり、第1の実施の形態では、予め音像定位効果の保証される範囲を定めるという手法を採るものとしている。すなわち、聴取者Pの理想位置からのずれ量として許容する最大値を予め定めておき、該最大値としてのずれ量までの範囲内では、音像定位効果が保証されるようにするものである。
このことに応じ、先行音として出力すべき信号帯域は、聴取者Pの位置ずれ量が上記最大値であるときの起点周波数を基準として定めればよい。
最大値としての位置ずれ量のときの起点周波数を求めるための具体的な手法としては、種々考えることができる。
最も単純な例としては、実際にダミーヘッドなどを用いて図6に示したような周波数特性を測定した結果に基づき求めることができる。具体的にこの場合は、ダミーヘッドを理想位置から上記最大値としてのずれ量となる位置に配置し、理想位置からのずれ方向と一致する側となる耳における各スピーカSPからの出力音の合成音についての周波数特性を測定する。そして、この測定結果から、クシ歯状の乱れが現れ始める起点周波数を特定する。
或いは、起点周波数は、このように周波数特性を実測せずとも、各スピーカSPからの到達時間差の値を用いて求めることができる。
先にも述べたように、起点周波数は、聴取者Pの位置ずれ方向と一致する方向側の耳における到達時間差が大きくなるほど、より低域側にシフトすることになる。つまりこのことからも理解されるように、起点周波数は、位置ずれ方向側の耳における到達時間差の値と相関した値をとる。
具体的に、起点周波数は、聴取者Pの理想位置からのずれ方向と一致する方向側の耳における、各スピーカSPからの出力音の到達時間差をDdとしたとき、この到達時間差Ddの逆数の1/2の値を目安として求めることができる。
例えば、到達時間差が1msec(1/1000sec)であれば、クシ歯状の乱れの生じ始める周波数は、1000×1/2=500Hzで概略求まる。
ここで、このようにクシ歯状の乱れが生じ始める周波数が到達時間差Ddの逆数の1/2で求まる点について、次の図7を用いて検証してみる。
図7は、サンプリング周波数FSによるオーディオ信号として同一の全域フラットな信号を或る時間差を与えて出力したときの、同一聴取位置で測定される周波数特性を表している。すなわち、例えば上記同一聴取位置が聴取者の耳元であるとすれば、上記時間差は、各スピーカSPからの出力音の到達時間差に相当するものとなる。
この場合の周波数特性としては、DC(直流=0Hz)からサンプリング周波数であるFSHzまでの範囲内において、与えた時間差に応じた個数のクシ歯が発生する。例えばこの図の例では、与えた時間差が10サンプル分の時間差であった場合を例示しているが、その場合には、周波数=FSHzまでの範囲内に10個分のクシ歯が含まれるものとなる。
このことから、クシ歯1つ分の帯域幅は、時間差が10サンプルである場合は、図のようにFS/10(FS/サンプル数)Hzで表すことができる。
ここで、先の図6(b)(c)にて説明したクシ歯状の乱れが生じない帯域は、この図7においては、最も低域側の半波状のクシ歯の帯域となる。この半波状のクシ歯の帯域幅は、FS/サンプル数×1/2Hzである。すなわち、この図で例示している時間差が10サンプル分である場合、クシ歯状の乱れが現れ始める周波数はFS/10×1/2Hzにより求まることになる。
サンプル数を時間長に置き換えた場合にも、同様の考えによりクシ歯状の乱れが現れ始める周波数を特定することができる。
例えば、聴取者Pの耳元における各スピーカSPからの出力音の到達時間差が、先に例示した1msecである場合を例に説明すると、先ず、サンプリング周波数FSが例えば48kHzであれば、1msecは、1/1000÷1/48000より48サンプル分の時間長となる。これを、上述した「FS/サンプル数×1/2」にあてはめれば、48000/48×1/2=1000×1/2=500Hzとなる。
以上の説明から理解されるように、クシ歯状の乱れが現れ始める起点周波数は、聴取者Pのずれ方向と一致する側の耳における到達時間差(Dd)の値の逆数の1/2の値で概略求まる。
ここで、上述もしたように第1の実施の形態では、音像定位効果が保証される許容範囲を固定的に設定するものであり、起点周波数としては、上記許容範囲における最大の位置ずれ量のときの起点周波数を求めることになる。
このために、実際に起点周波数の導出を行うとしたときは、先ず、聴取者Pが上記最大の位置ずれ量となる位置にあるときの、ずれ方向と一致する側の耳における各スピーカSPからの出力音の到達時間差の値を求める。すなわち、聴取者Pが上記最大の位置ずれ量にあるときの到達時間差Ddの値を求める。
そして、このように求まった到達時間差Ddの値の逆数に1/2を乗じた値を、上記最大の位置ずれ量のときの起点周波数の値として求めればよい。
このとき、到達時間差Ddの値は、実際にダミーヘッドを上記最大のずれ量となる位置に配置させて各スピーカからの出力音の到達時間差を測定して求めることができる。
或いは、ダミーヘッドを用いずとも、各スピーカから上記最大の位置ずれ量となる位置までの距離の値から求めることもできる。
ここで、バーチャルサラウンド再生を行うシステムでは、バーチャライズ処理で用いる伝達関数の導出にあたり、各スピーカSPと聴取者Pとの理想的な配置関係が設定されるものとなる。つまり、本例の場合であれば、先の図4(a)にて説明したように聴取者Pの理想位置は各スピーカSPの中心軸上の所定位置に設定される。
この図4(a)に示す理想位置では、聴取者Pから各スピーカSPまでの距離は等しくなる。また、通常、聴取者Pの各耳は左右対称に形成されることから、聴取者Pの各耳における各スピーカSPからの出力音の到達時間差としても、図4(b)で説明したように等しくなる(DL0=DR0)。
先にも述べたように、先行音として出力すべき信号の帯域は、聴取者Pのずれ方向に一致する耳側での起点周波数に応じて設定されるべきものである。よって、起点周波数を求めるにあたって計算されるべき到達時間差Ddの値としても、該ずれ方向に一致する耳側における到達時間差を求めればよい。
このような聴取者Pのずれ方向に一致する耳側での到達時間差Ddは、聴取者Pから左側のスピーカSP-Lまでの距離DspLと、聴取者Pから右側のスピーカSP-Rまでの距離DspRと、さらに上記理想位置にあるときの各スピーカSPからの出力音の到達時間差(DL0又はDR0)とを用いて、以下の[式1]により概ね求めることができる。ここで、この場合はDL0=DR0であることより、DL0=DR0=Dpとおく。

Dp+(|DspL−DspR|)/音速 ・・・[式1]
上記[式1]において、理想位置における聴取者Pの左耳、右耳における各スピーカSPからの出力音の到達時間差DL0=DR0=Dpの値は、予めダミーヘッドなどを用いて測定して求めておく値となる。
但し、各距離DspL、DspRの値は、聴取者Pの位置ずれ量として許容する値(位置ずれ量の最大値)が定まることで、計算により求めることができる。
つまり、この場合は各スピーカSPに対する聴取者Pの理想的な位置関係が定められているので、理想状態における聴取者Pから各スピーカSPまでの距離、及び理想位置からの左右方向の軸と「聴取者P←→スピーカSP-L」方向の軸とがなす角度、及び上記左右方向の軸と「聴取者P←→スピーカSP-R」方向の軸とがなす角度の値は既知の値とできる。
これらの値が既知であることより、あとは許容範囲を定めるための上記位置ずれ量の最大値が定まることで、三角法を用いた距離DspL、DspRの導出を行うことができる。つまり、距離DspLとしては、「理想位置」「ずれ量が最大値となる位置」「スピーカSP-Lの位置」の3点からなる三角形における、「ずれ量が最大値となる位置−スピーカSP-Lの位置」の辺の長さが求まればよい。このとき、上記位置ずれ量の最大値が定まることで、この三角形における「スピーカSP-L−理想位置」の辺と「理想位置−ずれ量が最大値となる位置」の2辺の長さと、該2辺の挟角の値とが定まった状態となり、これによって「ずれ量が最大値となる位置−スピーカSP-Lの位置」の辺の長さとしての、距離DspLを求めることができる。
同様に、距離DspRについては、「理想位置」「ずれ量が最大値となる位置」「スピーカSP-Rの位置」の3点からなる三角形における「ずれ量が最大値となる位置−スピーカSP-Rの位置」の辺の長さが求まればよく、上記位置ずれ量の最大値が定まり該三角形の「スピーカSP-L−理想位置」の辺と「理想位置−ずれ量が最大値となる位置」の2辺の長さと該2辺の挟角の値とが定まることによって、「ずれ量が最大値となる位置−スピーカSP-Rの位置」の辺の長さとしての距離DspRを求めることができる。
このようにして左スピーカSP-Lまでの距離DspLと右スピーカSP-Rまでの距離DspRは計算により求めることができ、距離の実測の手間は省略することができる。
[サービスエリア拡張処理部の構成]

続いては、上記により説明した第1の実施の形態としてのサービスエリア拡張処理を実現するための構成について説明する。
図8は、先の図2にて説明したサービスエリア拡張処理部2Bとしての各機能動作をブロック化して示した図である。
なお、確認のために述べておくと、この図においても各機能ブロックをハードウエアとして扱うようにして説明を行うが、各機能動作はDSPとしての2chバーチャルサラウンド信号生成部2が信号処理プログラム5aに基づくデジタル信号処理を実行することによって実現されるものである。
また、先の図2からも理解されるように、サービスエリア拡張処理部2Bとしては、左チャンネルのバーチャルサラウンド信号Lvsを入力して処理するものと、右チャンネルのバーチャルサラウンド信号Rvsを入力して処理するものとで2つ設けられるものとなる。
これら2つのサービスエリア拡張処理部2Bとしては同一構成でよいことから、この図8では、これらをまとめた形で説明を行う。なお、説明の便宜上、左右のバーチャルサラウンド信号Lvs、Rvsは、総称してバーチャルサラウンド信号vsとする。
図8において、サービスエリア拡張処理部2Bには、LPF(Low Pass Filter)20、HPF(High Pass Filter)21、遅延処理部22、及び合成処理部23が設けられる。
図2に示したバーチャライズ処理部2Aからのバーチャルサラウンド信号vsは、LPF20と共に、分岐してHPF21にも供給される。
これらLPF20、HPF21には、そのカットオフ周波数として、先に説明したようにして予め求められた起点周波数に基づく周波数が設定される。具体的に、カットオフ周波数としては、少なくとも上記起点周波数よりも低い周波数が設定される。
このことで、上記LPF20によっては、バーチャルサラウンド信号vsのうち周波数特性の乱れが小さな低域側となる信号成分が抽出される。また、上記HPF21では、バーチャルサラウンド信号vsのうち少なくとも上記起点周波数を基準とした高域側となる信号成分が抽出されることになる。
LPF20によって抽出された信号成分は合成処理部23に供給される。
一方、HPF21によって抽出された信号成分は、遅延処理部22において所定時間長による遅延が与えられた後、上記合成処理部23に供給される。
合成処理部23は、上記LPF20からの信号成分と上記遅延処理部23からの信号成分とを合成して出力する。
上記合成処理部23の合成処理によって得られたバーチャルサラウンド信号vsは、サービスエリア拡張処理部2Bの出力信号として、先の図1に示したD/Aコンバータ3-L、3-Rに供給される。これによって、スピーカSP-L、スピーカSP-Rからは、サービスエリア拡張処理部2Bによるサービスエリア拡張処理の施されたバーチャルサラウンド信号vsに基づく音声が出力される。
この結果、先に説明したような先行音効果が得られ、予め設定された位置ずれ量の許容範囲内において、音像定位効果が保証されるようにすることができる。つまりこれにより、従来よりも音像定位効果のサービスエリアを拡張することができる。
ここで、先行音効果を適切に得るにあたっては、後続音として出力される信号成分に、中高域成分のみではなく若干の低域成分も含まれていることが望ましい。従って、この場合、中高域成分を分離するHPF21のカットオフ特性(スロープ)は急峻なものではなく、例えば-6dB/Oct.や-12dB/Oct.といった比較的緩い特性を設定する。
図9は、この点を踏まえた場合のHPF21のカットオフ特性を例示した図である。
この図9では比較として、破線によりLPF20におけるカットオフ特性も示しているが、LPF20のカットオフ特性は比較的急峻であるのに対し、HPF21のカットオフ特性はより緩やかに設定されることが分かる。
また、先行音効果を得るにあたっては、後続音として出力する中高域成分の遅延量を1〜30msec程度の範囲内に設定すべきものとされている。このことから、上記遅延処理部23においても上記1〜30msecの範囲内の遅延時間長を設定する。
但し、厳密に言うと、この遅延時間長は、設定されるカットオフ周波数(起点周波数)を考慮して設定されるべきものとなる。
ここで、或る遅延時間長を設定した場合、当然のことながら聴取者Pの耳元では先行音(低域)と後続音(中高域)とに到達時間差が生じることになる。このような先行音と後続音との到達時間の差により、先のカットオフ周波数(起点周波数)の導出手法の説明にで挙げた原理と同様の原理で、聴取者の耳元での周波数特性には、到達時間差(つまりこの場合は設定した遅延時間長である)に応じた周波数以上の帯域でクシ歯状の乱れが生じるものとなる。つまり厳密には、このような先行音と後続音の合成の面でも周波数特性に乱れを生じさせる可能性がある。
ここで、この乱れを抑制するためには、クシ歯乱れが生じていない帯域の信号のみが先行出力される状態が得られるようにすればよいことになる。そのためには、設定したカットオフ周波数が、遅延時間長の設定値に応じて定まる上記クシ歯状の乱れが現れ始める周波数よりも低くなるという条件が満たされるようにすればよい。換言すれば、遅延時間長としては、その値の設定によって定まる、先行音と後続音との合成音についての周波数特性においてクシ歯状の乱れが現れ始める周波数が、設定したカットオフ周波数よりも高くなるようにして設定されればよい、ということになる。
ここで、具体例を挙げて説明しておくと、例えばサンプリング周波数が48kHzとされる場合において、遅延時間長を1msec(48サンプル分の時間長)に設定したとすると、周波数特性にクシ歯乱れが現れ始める周波数は、この場合も48000/48×1/2より500Hzとなる。従って、当該1msecによる遅延時間長の設定によれば、カットオフ周波数=500Hz未満であれば、先行音・後続音の合成の面で生じる周波数特性の乱れの防止を図ることができる。つまりこれにより、オーディオとしての音色をより適正なものとすることができる。
このとき、設定する遅延時間長が長ければ、その分、先行音と後続音の合成の面でのクシ歯乱れが生じる周波数は低下する。逆に、設定する遅延時間長が短ければその分クシ歯乱れが生じる周波数が上昇する。このことから、設定したカットオフ周波数が低い場合には、遅延時間長としてはその分長い値を設定することができ、逆に設定したカットオフ周波数が高い場合には遅延時間長はその分短い値を設定することになる。
本例の場合、カットオフ周波数は許容する最大の位置ずれ量に応じた値を設定している。従って、この場合の遅延時間長としては、その時間長の設定によって定まる、先行音と後続音との合成音についての周波数特性においてクシ歯状の乱れが現れ始める周波数が、最大の位置ずれ量に応じて設定したカットオフ周波数よりも高い値となるようにして設定されればよい。
ここで、先に説明した到達時間差Ddの値と起点周波数の値との関係からも理解されるように、周波数の値を2倍として、その逆数を求めれば、時間長の値が求まることになる。従って、設定したカットオフ周波数×2の逆数により、設定すべき遅延時間長についての閾値を求めることができる。つまり実際に設定される遅延時間長は、少なくともこのようにして求められる閾値よりも短い時間長とすればよい。
なお、図8に示したサービスエリア拡張処理部2Bにおいて、LPF20、HPF21は、それぞれ機能的に満足されていればどのようなフィルタ構成とされても良い。すなわち、IIR(Infinite Impulse Response)フィルタで構成しても良いし、FIRフィルタ(時間軸での直線畳み込み、もしくは周波数軸での循環畳み込み)でも良い。FIRフィルタとする場合、HPF21と遅延処理部22とがマージされた構成とすることもできる。さらには、LPF20・HPF21・遅延処理部22がマージされた構成とすることもできる。
また、サービスエリア拡張処理部2Bにおいて、合成処理部23における合成処理は、単純な加算処理とは限らない。例えば、合成処理後の周波数特性が大きく乱れないように位相調整などを併せて行う処理とされても良い。特に、LPF20、HPF21がゲイン的に重複する周波数帯域で位相特性が逆相関係になっている場合には、合成処理は減算処理とすべきである。
<第2の実施の形態>
[再生装置の構成]

続いて、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、第1の実施の形態のように予め固定のサービスエリアを定めるというものではなく、実際の聴取者Pの位置に応じて、可変的にカットオフ周波数(つまりサービスエリア)が設定されるようにするものである。
図10は、第2の実施の形態としての再生装置30の内部構成を示したブロック図である。なお、第2の実施の形態の再生装置30は、第1の実施の形態の再生装置1の構成に対しユーザ位置取得部31が追加される点と、2chバーチャルサラウンド信号生成部2の機能動作に変更が加えられる点のみが異なる。図10において、既に先の図1において説明した部分については同一符号を付して説明を省略する。
この図10に示す再生装置30では、先の図1における2chバーチャルサラウンド信号生成部2と同様に、左チャンネルのオーディオ信号FL(L)、右チャンネルのオーディオ信号FR(R)、左チャンネルのサラウンド信号SL、右チャンネルのバーチャルサラウンド信号SRを入力してサービスエリア拡張のための左チャンネルのバーチャルサラウンド信号Lvs、右チャンネルのバーチャルサラウンド信号Rvsを得る信号処理を行う部位として、2chバーチャルサラウンド信号生成部32が設けられる。
この2chバーチャルサラウンド信号生成部32としてもDSPにより構成され、この場合のメモリ5には、後述する第2の実施の形態としての信号処理を該DSPにより実現させるためのプログラムとして、信号生成プログラム5bが格納されている。
また、再生装置30は、ユーザ位置取得部31を備える。
このユーザ位置取得部31は、聴取者P(ユーザ)の聴取位置を表す情報を取得するために設けられる。
この場合、ユーザ位置取得部31としては、ユーザが操作により自らの聴取位置を表す情報を入力できるようにして構成される。具体的に、ユーザ位置取得部31としては、例えば各種ボタンやキー操作子などを備えた操作入力部と、該操作入力部からの操作入力情報に基づき、ユーザの聴取位置を表す情報を取得する例えばCPU(Central Processing Unit)を備えたマイクロコンピュータなどの情報処理部によって構成される。
このユーザ位置取得部31において、上記情報処理部には、例えばプリセットなどにより定められた所定複数の聴取位置の情報が設定される。この場合、該聴取位置の情報としては、理想位置と、該理想位置から各ずれ量となるそれぞれの位置を特定するための情報とされる。具体的に、この場合の聴取位置情報は、理想位置からのずれ量によって各位置を表す情報となる。
上記情報処理部は、上記各聴取位置を表す情報を例えば所要の表示手段(図示は省略)上に表示してユーザに提示する。
ユーザは、このように提示された各聴取位置の情報から、実際の聴取位置と合致する聴取位置情報を上記操作入力部に対する操作を行って選択する。
情報処理部は、このようなユーザ操作に応じた上記操作入力部からの操作入力情報に基づき、選択された聴取位置の情報を取得する。
このようにしてユーザ位置取得部31は、ユーザ(聴取者P)の聴取位置の情報を取得する。
ユーザ位置取得部31は、該取得した聴取位置の情報を、図示するようにユーザ位置情報として2chバーチャルサラウンド信号生成部32に対して供給する。
図11は、図10に示される2chバーチャルサラウンド信号生成部32が、先に述べた信号処理プログラム5bに基づくデジタル信号処理を実行することで実現される機能動作をブロック化して示した図として、特にサービスエリア拡張処理32Bとしての機能動作のみを抽出して示した図である。
なお、図示は省略したが、第2の実施の形態の2chバーチャルサラウンド信号生成処理部32としても、先の第1の実施の形態の場合と同様に、オーディオ信号FL,FR、及びサラウンド信号SR,SLからバーチャルサラウンド信号Lvs,Rvsを生成するためのバーチャライズ処理部2Aとしての機能動作も行うものとなる。このバーチャライズ処理部2Aとしての機能動作については既に図2において説明したので、ここでの改めての説明は省略する。
また、第2の実施の形態において、サービスエリア拡張処理部32Bとしては、上記バーチャライズ処理部2Aによって生成された左チャンネルのバーチャルサラウンド信号Lvsを入力して処理するものと、右チャンネルのバーチャルサラウンド信号Rvsを入力して処理するものとで2つ設けられるものとなるが、何れも機能ブロックの構成は同様となることから、この図においても、先の図8の場合と同様に一方の構成のみでまとめた形で説明を行う。
先ず、図11と先の図8とを比較してわかるように、バーチャライズ処理部2Aによって生成されたバーチャルサラウンド信号Lvsまたはバーチャルサラウンド信号Rvs(バーチャルサラウンド信号vs)についてカットオフ周波数を基準とした低域側の信号成分を先行出力させるための構成については、図8の場合と同様となる(LPF20、HPF21、遅延処理部22、合成処理部23)。
このサービスエリア拡張処理部32Bにおいては、上記LPF20、HPF21のカットオフ周波数を、上記ユーザ位置情報に応じて可変的に設定するための到達時間差計算部35、及びカットオフ周波数計算部36がさらに設けられる点が異なる。
到達時間差計算部35は、図10に示したユーザ位置取得部31からのユーザ位置情報に基づき、到達時間差Ddの値を求める。つまり、聴取者Pの各耳における各スピーカSPからの出力音の到達時間差のうち、より大きい値となる方の到達時間差(つまりずれ方向と一致する方向側の耳における各スピーカSPからの出力音の到達時間差)の値を求める。
具体的に、この到達時間差計算部35では、上記ユーザ位置情報としての、理想位置からの左右方向へのずれ量を表す情報に基づき、その位置(つまり聴取者Pの位置)から各スピーカSP-L,SP-Rまでの距離DspL,DspRの値を求め、これら距離DspL、DspRの値を用いて先に説明した[式1]による計算を行うことで、上記到達時間差の値を求める。
このとき、上記ユーザ位置情報から距離DspL,DspRを求めるにあたっては、予め各聴取位置と距離DspL、DspRとが対応づけられた対応情報を用いる。具体的に、この対応情報は、ユーザ位置取得部31(情報処理部)から指示され得る各ユーザ位置の情報(各聴取位置の情報)に対し、それぞれのユーザ位置での各スピーカSP-L,SP-Rまでの距離DspL,DspRの値が対応づけられた情報となる。
図示は省略したが、このような対応情報は、例えば図10に示されるメモリ5内に格納しておく。到達時間差計算部35は、該対応情報と入力されたユーザ位置情報とに基づき、距離DspL,距離DspRの値を求める。
その上で、これら距離DspL,DspRの値を用いた[式1]による計算を行う。
このとき、[式1]による計算を行うにあたっては、理想位置における到達時間差Dp(=DL0=DR0)の値が必要となる。この到達時間差Dpの値は、例えば予めメモリ5に格納され、到達時間差計算部35は、該到達時間差Dpの値を読み出して上記距離DspL,DspRの値を用いた[式1]による計算を行う。これによって、聴取者Pの各耳における各スピーカSPからの出力音の到達時間差のうち、より大きい値となる方の到達時間差Ddの値が求まる。
なお、先の第1の実施の形態にて説明したように、理想位置からの左右方向へのずれ量の値が定まれば、三角法により各スピーカSPまでの距離DspL,DspRの値を求めることができる。従って、到達時間差計算部35としても、このような三角法に基づく計算によって上記距離DspL,DspRを求めるようにすることもできる。
その場合、距離DspL,DspRの計算には、先に述べたように「聴取者Pの位置(理想位置)←→スピーカSP-L」方向の軸と左右方向の軸とがなす角度、及び「聴取者Pの位置(理想位置)←→スピーカSP-R」方向の軸と左右方向の軸とがなす角度を用いるので、これらの角度情報が予め設定されるべきものとなる。これらの角度情報は、例えばメモリ5内に予め格納しておき、到達時間差計算部35は、計算にあたりこれら角度情報を読み出して用いるものとすればよい。
到達時間差計算部35により計算された上記到達時間差Ddの値は、カットオフ周波数計算部36に供給される。
カットオフ周波数計算部36は、上記到達時間差Ddの値について、その逆数に対し1/2を乗じて起点周波数の値を求める。そして、該起点周波数の値に基づきカットオフ周波数を決定し、該カットオフ周波数がLPF20、HPF21に設定されるように指示を行う。これによりLPF20、HPF21には、上記カットオフ周波数に応じたフィルタ特性が設定されることになる。具体的な特性としては、この場合も例えば先の図9に示したような特性を設定すればよい。
以上のようにして第2の実施の形態によれば、聴取者Pの位置に応じて、可変的にカットオフ周波数を設定することができる。つまりこれにより、聴取者Pの位置に応じて可変的に音像定位効果のサービスエリアを設定することができる。
このような第2の実施の形態によっても、聴取者Pが理想位置からずれたとしても音像定位効果が維持されるようにできるので、音像定位効果のサービスエリアの拡張が図られる。
また、先の第1の実施の形態の場合、カットオフ周波数は、想定される最も低い周波数に設定されるので、先行音として出力する信号の周波数帯域、すなわち先行音効果の有効帯域は狭めとなるが、上記第2の実施の形態によれば、聴取者Pの位置に応じて可変的にカットオフ周波数を設定できるので、先行音効果の有効帯域が不必要に制限されることなく、聴取者Pの位置に応じた適切な帯域幅を確保することができる。
なお、第2の実施の形態においても、遅延処理部22において設定する遅延時間長は、第1の実施の形態の場合と同様の時間長を設定すればよい。
つまり、第2の実施の形態の場合としても、上記遅延時間長としては、その時間長の設定によって定まる、先行音と後続音との合成音についての周波数特性においてクシ歯状の乱れが現れ始める周波数が、最大の位置ずれ量のときに設定されるべきカットオフ周波数よりも低い値となるようにして設定されればよい。
或いは、第2の実施の形態の場合、遅延時間長は、ユーザ位置に応じて設定されるカットオフ周波数に応じて可変的に設定することもできる。
先にも述べたように、先行音と後続音の合成の面での特性乱れを考慮する場合における遅延時間長の閾値は、設定したカットオフ周波数の値の2倍の逆数で求まる。従って遅延時間長を可変的に設定する場合には、設定したカットオフ周波数について上記計算を行って遅延時間長の閾値を求め、該閾値よりも小さな値による遅延時間長を設定するものとすればよい。
[変形例]

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した具体例に限定されるべきものではない。
以下、変形例としての構成について説明する。
図12は、バーチャライズ処理部の変形例について説明するための図である。
この変形例は、聴取者Pから見てスピーカSP-L、スピーカSP-Rが左右対称に配置される状態が理想状態とされることを前提とした場合に、バーチャライズ処理に要するフィルタの個数の削減を図るようにしたものである。
この図12に示されるバーチャライズ処理部40は、第1及び第2の実施の形態で説明したバーチャライズ処理部2Aに代わるものであり、該図12としても、DSPとしてのバーチャルサラウンド信号生成部2又は32のデジタル信号処理によって実現される機能動作をブロック化して示している。
図12において、この場合も左チャンネルオーディオ信号FLは加算処理部10L、右チャンネルオーディオ信号FRは加算処理部10Rに入力される。
一方、左チャンネルサラウンド信号SLは加算処理部41Lに入力されると共に、分岐して減算処理部41Rに対しても入力される。また、右チャンネルサラウンド信号SRは、減算処理部41Rに入力されると共に、分岐して加算処理部41Lにも入力される。
上記加算処理部41Lは、上記のようにして入力された双方の信号を加算する。加算処理部41Lの加算結果は、FIRフィルタ42Lに供給される。
一方、上記減算処理部41Rは、左チャンネルサラウンド信号SLから右チャンネルサラウンド信号SRを減算する。減算処理部41Rによる減算結果は、FIRフィルタ42Rに供給される。
FIRフィルタ42L,FIRフィルタ42Rは、それぞれ入力信号に対して所定の信号特性を与える。これらFIRフィルタ42L、FIRフィルタ42Rに設定されるフィルタ特性は、先の図3に示した各音響伝達関数H1L,H1R,H2R,H2L,G1L,G1R,G2R,G2Lに基づき、左チャンネルサラウンド信号SLは左後方から、右チャンネルサラウンド信号SRは右後方からの音声として聴取者Pに知覚されるようにして適切に設定される。
上記FIRフィルタ42Lの出力は加算処理部43Lに入力されると共に、分岐して減算処理部43Rにも入力される。また、上記FIRフィルタ42Rの出力は減算処理部43Rに入力されると共に、分岐して加算処理部43Lにも入力される。
加算処理部43Lは上記入力された双方の信号を加算する。加算処理部43Lの加算結果は、上述した加算処理部10Lに入力され、ここで左チャンネルオーディオ信号FLと加算される。
また、減算処理部43Rは、FIRフィルタ42Lの出力からFIRフィルタ42Rの出力を減算する。加算処理部43Rによる減算結果は、上述した加算処理部10Rに入力され、右チャンネルオーディオ信号FRと加算される。
上記構成により、先に説明したバーチャライズ処理部2Aと同様のバーチャルサラウンド信号Lvs、Rvsを生成することができる。つまりこの場合、バーチャライズ処理に要するフィルタ処理部の数は、バーチャライズ処理部2Aの構成とする場合よりも削減することができ、これによってDSPの処理負担の軽減、ハードウエアリソースの削減が図られる。
なお、バーチャルサラウンド信号Lvs,Rvsの生成にあたっては、バイノーラル録音された、或いは予めバイノーラル処理された信号を左チャンネルサラウンド信号SL、右チャンネルサラウンド信号SRとして入力するようにもできる。その場合は、図2に示したフィルタ処理部11L,11R,12L,12R及び加算処理部13L,13Rを省略した構成、或いは図12における加算処理部41L,減算処理部41R,FIRフィルタ42L,42Rを省略した構成とすることができる。
また、このようにバイノーラル録音された、或いは予めバイノーラル処理された信号を左チャンネルサラウンド信号SL、右チャンネルサラウンド信号SRとして入力する場合は、さらに左チャンネルオーディオ信号FL,右チャンネルオーディオ信号RF、及び加算処理部10L,10Rを省略することもできる。
また、次の図13〜図15は、変形例1〜変形例3の構成について説明するための図である。
先ず、図13に示される変形例1は、サービスエリア拡張処理を施す位置についての変形例である。
これまでの説明では、サービスエリア拡張処理部2B又は32Bが、バーチャライズ処理部2A又は40によるバーチャライズ処理後の信号に対してサービスエリア拡張処理を行うものとしたが、この図13に示されるように、サービスエリア拡張処理は、バーチャライズ処理前の信号に対して行うこともできる。すなわち、バーチャライズ処理が帯域的にいわゆる線形処理のものであれば、サービスエリア拡張処理は、実施の形態で例示したようにバーチャライズ処理の後段に配置しても、図13のように前段に配置しても全体的な出力信号(Lvs,Rvs)は等価である。
この場合、サービスエリア拡張処理部2B又は32Bは、図示するようにバーチャライズ処理部2A又は40に入力される全チャンネルの信号に対して設ける。
また、図14に示す変形例2は、バーチャライズ処理が、入力1チャンネル、出力複数チャンネルとなる場合に対応した構成を例示したものである。
この場合のバーチャライズ処理部50としては、1チャンネルの入力オーディオ信号から2チャンネルのバーチャルサラウンド信号を生成する。そして、このように生成された各チャンネルのバーチャルサラウンド信号に対し、それぞれ実施の形態としてのサービスエリア拡張処理を施すサービスエリア拡張処理部2B又は32Bが設けられる。
なお、図示による説明は省略するが、この場合もバーチャライズ処理が帯域的にいわゆる線形処理のものであれば、サービスエリア拡張処理部2B又は32Bは、バーチャライズ処理の前段に対して設けることができる。つまりその場合は、図中のバーチャライズ処理部50に入力される1チャンネルのオーディオ信号に対してサービスエリア拡張処理部2B又は32Bを設けることになる。当然のことながら、このようにバーチャライズ処理部50の前段側にサービスエリア拡張処理部2B又は32Bを設けた方が、処理負担の軽減、ハードウエアリソースの削減が図られる。
また、図15に示す変形例3は、最終的な音声出力チャンネル数が2チャンネルよりも多くなる場合に対応した構成を例示したものである。
この図15の例では、例えばバーチャライズ処理の入力が4チャンネル、出力が6チャンネルとなる場合を例示している。具体的に、この図に示すバーチャライズ処理部51は、左チャンネルオーディオ信号FL,右チャンネルオーディオ信号FR、左チャンネルサラウンド信号SL、右チャンネルサラウンド信号SRを入力し、それらから6チャンネルの出力信号を生成する。
このようにしてバーチャライズ処理部51により生成される各チャンネルの信号ごとに、サービスエリア拡張処理部2B又は32Bが設けられる。
なお、この変形例3においても、サービスエリア拡張処理はバーチャライズ処理の前段に配置させてもよい。この場合としても、前段に配置した方がサービスエリア拡張処理部2B又は32Bの数を削減できる。
ここで、本発明としては、上記各変形例を含め、これまでに説明した構成例に限定されるものではなく、低域を含むバーチャルサラウンド再生を行うシステムに対して好適に適正することができるものである。
また、これまでの説明では、本発明のサービスエリア拡張処理が、DSPのデジタル信号処理によって実現される場合を例示したが、例えばこれまで図示により説明した各機能ブロックをハードウエアで構成するなどして、本発明の信号処理をハードウエア構成により実現することもできる。
また、先の第2の実施の形態では、ユーザ位置取得部31が操作入力部と情報処理部とを備え、操作入力に基づき聴取者Pの位置の情報を取得する構成を例示したが、他の構成を採ることもできる。
例えば、聴取者Pの位置情報は、撮像画像の解析を行った結果に基づき取得することもできる。
この場合、ユーザ位置取得部31としては、例えば各スピーカSP間の中心付近となる位置で聴取者P側を撮像した画像を得るカメラ部と、該カメラ部による撮像画像について画像解析を行う画像解析部とを備える。この画像解析部では、例えば顔認識技術を用いて撮像画像内における人の顔が映し出されている部分を特定し、この特定された部分の、画像内における位置の情報から、聴取者Pの理想位置からの左右方向へのずれ量の値を算出する。このずれ量の値をユーザ位置情報として得る。
このような画像解析によるユーザ位置情報の特定を行うことで、聴取者Pの左右方向のずれ量の値をリアルタイムに得ることができる。つまり、このようにリアルタイムに取得されるずれ量の情報に基づき先に説明したサービスエリア拡張処理部32Bによる動作が実行されることで、サービスエリアは、実際の聴取者Pの位置に応じてリアルタイムに可変設定できる。
また、ユーザ位置情報を取得する手法については、他にも多様に考えられる。
例えば、再生装置30に付属のリモートコントローラがある場合には、該リモートコントローラの位置から聴取者Pの位置を特定するなどの手法を採ることもできる。この手法は、例えば聴取者Pがリモートコントローラを手にした状態、或いは手元など近接した位置にリモートコントローラを配置した状態で聴取を行うことを前提とした手法となる。
この場合、ユーザ位置取得部31としては、上記リモートコントローラが逐次発信する信号を受信した結果に基づき、上記リモートコントローラの位置を特定する。このように特定した位置の情報を、ユーザ位置情報として利用する。
また、これまでの説明では、音像定位効果の薄れは理想位置からの左右方向の位置ずれが特に大きく影響するとの前提に立ち、聴取者Pの位置ずれに関しては、左右方向のずれ量のみを考慮する場合を例示したが、もちろん、前後方向のずれ量も考慮に入れてより確実にサービスエリア拡張が図られるようにすることもできる。
その場合には、聴取者Pの前後方向における距離の情報が必要となるが、該前後方向の距離の情報は以下のように求めることができる。例えば、ユーザ位置取得部31として、上述のようにカメラ部と画像解析部を設ける場合には、画像解析において、人の顔が映し出されている部分の画サイズから前後方向の距離を推定することができる。
或いは、カメラ部がフォーカス機能を備える場合には、合焦点の焦点距離の情報から前後方向の距離を推定することができる。
また、第2の実施の形態のようにユーザ位置情報を取得する構成を採る場合においては、聴取者Pが理想位置と一致する位置にあるとされた場合には、先行音・後続音の分割出力は行わずに全帯域を同時出力するように構成することもできる。
例えば、この場合の動作切り換え制御は、ユーザ位置取得部31が行うようにすればよい。つまり、この場合のユーザ位置取得部31としては、上記操作入力や画像解析から特定した位置情報が、理想位置と一致するものであるか否かを判別し、一致しない場合はサービスエリア拡張処理部32Bとしての機能動作が実行されるようにバーチャルサラウンド信号生成部32に対する指示を行い、一致する場合はサービスエリア拡張処理部32Bとしての機能動作が省略されるようにバーチャルサラウンド信号生成部32に対する指示を行うものとすればよい。
また、第2の実施の形態では、各スピーカSPからの出力音の到達時間差の値からカットオフ周波数を求める場合のみを例示したが、第2の実施の形態としても、実際に周波数特性を測定した結果に基づきカットオフ周波数を求めるように構成することもできる。
その場合、再生装置30としては、少なくともマイクロフォンからの収音信号の入力が可能となるように構成しておく。測定時には、聴取者Pが実際に聴取を行う位置において、耳元となる位置に上記マイクロフォンを設置する。その状態で、各スピーカSPから例えばTSP(Time Stretched Pulse)信号などのテスト信号を出力させ、上記マイクロフォンからの収音信号を取得し、この収音信号に基づき各スピーカSPからの出力音についての周波数特性を測定する。この周波数特性においてクシ歯状の乱れが現れ始める起点周波数を検出し、その周波数に基づきLPF20、HPF21に設定すべきカットオフ周波数を求める。
ここで、カットオフ周波数の設定にあたって求めるべき起点周波数は、各スピーカSPからの出力音の到達時間差の値が大きくなる方の耳側の起点周波数となる。換言すれば、双方の耳位置についての起点周波数のうち、より低い方の起点周波数を求める必要がある。従って、上記マイクロフォンを両耳位置に設置して双方の耳位置での周波数特性を測定するとした場合は、双方の耳について検出された起点周波数のうち、より周波数の低い方の起点周波数を選択すればよい。或いは、マイクロフォンを、予め理想位置からのずれ方向と一致する耳側のみに配置して測定を行うものとしておけば、求めるべき起点周波数のみを検出することができるので、上記のような選択は不要とできる。
なお、このように周波数特性を実測する手法を採る場合には、より正確なカットオフ周波数の設定を行うことができるが、マイクロフォンが別途必要であったり、また測定の手間をユーザに強いるものとなってしまう。これに対し、先に説明したように操作入力や画像解析の結果に基づき計算により起点周波数を求める手法を採る場合には、ユーザとしては聴取位置の選択操作を行う、或いは画像解析の場合には操作負担をも不要にできるなど、より簡易にサービスエリアの拡張を図ることができる。
本発明の第1の実施の形態としての信号処理装置を備えて構成される再生装置の内部構成を示したブロック図である。 第1の実施の形態の2chバーチャルサラウンド信号生成部(DSP)のデジタル信号処理によって実現される各機能動作をブロック化して示した図である。 バーチャライズ処理で用いる音響伝達関数について説明するための図である。 聴取者が理想的な聴取位置にある場合での、聴取者の各耳における各スピーカからの出力音の到達時間差について説明するための図である。 聴取者が理想的な聴取位置から左右方向にずれた場合での、聴取者の各耳における各スピーカからの出力音の到達時間差について説明するための図である。 聴取者の各耳位置での各スピーカからの出力音の合成音についての周波数特性(周波数−振幅特性)の測定結果を示した図である。 聴取者の耳位置における各スピーカからの出力音の到達時間差の値からカットオフ周波数が求まることについて説明するための図である。 第1の実施の形態のサービスエリア拡張処理部としての機能動作をブロック化して示した図である。 LPFとHPFのカットオフ特性を例示した図である。 第2の実施の形態としての再生装置の内部構成を示したブロック図である。 第2の実施の形態のサービスエリア拡張処理部としての機能動作をブロック化して示した図である。 バーチャライズ処理部の変形例について説明するための図である。 変形例1としての構成を示した図である。 変形例2としての構成を示した図である。 変形例3としての構成を示した図である。
符号の説明
1,30 再生装置、2,32 2chバーチャルサラウンド信号生成部、2A,40,51 バーチャライズ処理部、2B,32B サービスエリア拡張処理部、3−L,3−R D/Aコンバータ、4−L,4−R アンプ、5 メモリ、5a,5b 信号処理プログラム、SP-L,SP-R スピーカ、11L,11R,12L,12R,14L,14R,15L,15R フィルタ処理部、20 LPF、21 HPF、22 遅延処理部、23 合成処理部、31 ユーザ位置取得部、35 到達時間差計算部、36 カットオフ周波数計算部、42L,42R FIRフィルタ

Claims (8)

  1. 各スピーカから出力された出力音聴取者の耳位置で合成することで得られた合成音周波数特性においクシ歯状の特性の乱れが現れ始める周波数に基づき決定されたカットオフ周波数が設定され、該カットオフ周波数に基づいて入力オーディオ信号の帯域制限処理を行うローパスフィルタ処理部と、
    上記カットオフ周波数が設定され、該カットオフ周波数に基づき上記入力オーディオ信号の帯域制限処理を行うハイパスフィルタ処理部と、
    上記ハイパスフィルタ処理部により帯域制限されたオーディオ信号に対して遅延処理を施す遅延処理部と、
    上記ローパスフィルタ処理部による帯域制限信号と上記遅延処理部による遅延処理の施された上記ハイパスフィルタ処理部による帯域制限信号とを合成する合成処理部と、
    を備えることを特徴とする信号処理装置。
  2. 上記聴取者の聴取位置に関する入力情報に基づき、上記聴取者の耳位置における、各スピーカからの出力音の到達時間差の値を求める到達時間差計算部と、
    上記到達時間差計算部により計算された上記到達時間差の値の逆数に対し1/2を乗じた値に基づき、上記カットオフ周波数を求めるカットオフ周波数計算部とをさらに備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
  3. 上記到達時間差計算部は、
    聴取者が予め設定された理想的な聴取位置にて各スピーカからの出力音を聴取するときの、上記各スピーカからの出力音の到達時間差Dpの値が予め設定されており、
    上記入力情報に基づき取得した一方の上記スピーカから聴取者までの距離DspLの値と、他方の上記スピーカから聴取者までの距離DspRの値と、上記到達時間差Dpの値とに基づき、

    Dp+(|DspL−DspR|)/音速

    による計算を行ってより到達時間差の大きい方の耳における各スピーカからの出力音の到達時間差の値を求めると共に、
    該計算した到達時間差の値に基づき上記カットオフ周波数の値を設定する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
  4. 上記ローパスフィルタ処理部及び上記ハイパスフィルタ処理部は、上記カットオフ周波数として予め定められた固定の周波数が設定される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
  5. 操作入力を受け付ける操作入力部をさらに備え、
    上記到達時間差計算部は、
    上記操作入力部からの操作入力情報に基づき聴取者の聴取位置に関する情報を取得する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
  6. 画像撮像を行うカメラ部と、
    上記カメラ部による撮像画像を解析して上記聴取者の位置を特定する画像解析部とをさらに備え、
    上記到達時間差計算部は、
    上記画像解析部によって特定された上記聴取者の位置の情報を聴取者の聴取位置に関する情報として取得する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
  7. 各スピーカから出力された出力音聴取者の耳位置で合成することで得られた合成音周波数特性においクシ歯状の特性の乱れが現れ始める周波数に基づき決定されたカットオフ周波数が設定され、該カットオフ周波数に基づいて入力オーディオ信号の帯域制限処理を行うローパスフィルタ処理手順と、
    上記カットオフ周波数が設定され、該カットオフ周波数に基づき上記入力オーディオ信号の帯域制限処理を行うハイパスフィルタ処理手順と、
    上記ハイパスフィルタ処理手順により帯域制限されたオーディオ信号に対して遅延処理を施す遅延処理手順と、
    上記ローパスフィルタ処理手順による帯域制限信号と上記遅延処理手順により遅延処理を施した上記ハイパスフィルタ処理手順による帯域制限信号とを合成する合成処理手順と、
    を備えることを特徴とする信号処理方法。
  8. 入力オーディオ信号について信号処理を行う信号処理装置において実行されるべきプログラムであって、
    各スピーカから出力された出力音聴取者の耳位置で合成することで得られた合成音周波数特性においクシ歯状の特性の乱れが現れ始める周波数に基づき決定されたカットオフ周波数が設定され、該カットオフ周波数に基づいて入力オーディオ信号の帯域制限処理を行うローパスフィルタ処理と、
    上記カットオフ周波数が設定され、該カットオフ周波数に基づき上記入力オーディオ信号の帯域制限処理を行うハイパスフィルタ処理と、
    上記ハイパスフィルタ処理により帯域制限されたオーディオ信号に対して遅延処理を施す遅延処理と、
    上記ローパスフィルタ処理による帯域制限信号と上記遅延処理により遅延処理を施した上記ハイパスフィルタ処理による帯域制限信号とを合成する合成処理と、
    を上記信号処理装置に実行させることを特徴とするプログラム。
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