JP4517572B2 - 反射・遮光粘着テープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光散乱反射性と遮光性を有する粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
光散乱反射性と遮光性を付与するために粘着テープを使用する方法が提案されている。このような光散乱反射性と遮光性を有する粘着テープが要請される用途としては、液晶表示素子をバックライト枠体に固定する用途が挙げられる。液晶表示素子はワープロやパソコンを始めとする広範な分野で用いられており、特に電子手帳、携帯電話、PHS等においては益々小型化された電子器具のインターフェースとして用いられるようになってきた。このような液晶表示装置で、例えば、サイドライト型バックライト方式の液晶表示装置は、一般に、枠体の中に反射板、導光板、拡散板、必要に応じて2枚のプリズムシート(輝度を高める)と液晶パネルが順に積層されており、導光板の側方に冷陰極管等の光源とランプリフレクタが配置されている。
【0003】
拡散板の周辺部と液晶パネルの周辺部の間や、液晶パネルの周辺部とそれを上から押さえる板金又は樹脂成形物からなる押え枠との間には、上記各部材の固定やゴミの侵入の防止やクッション性を持たせて衝撃による上記各部材の割れを防ぐなどの目的で、図1のように粘着スペーサーシートや両面粘着テープ(通常額縁状に打ち抜かれ、その幅は通常約0.5〜約10mmである)が挟み込まれている。上述の様に、液晶表示装置の軽薄短小化及び情報量の増加に伴った大画面化が進むにつれて、光源と液晶表示素子との位置とが近くなり、光が粘着テープを通って漏れるため液晶表示面の見栄えも良くなかった。
【0004】
このため、遮光性粘着テープが使用され、液晶表示素子の見栄えを増す目的と同時に、駆動するドライバーへの光の進入を遮蔽し、誤作動を防止する役目も併せ持つことが要請されている。近年、さらに上記粘着テープに対して光を遮光するだけでなく、高い光反射性能を付与しバックライトからの光を有効に使用する提案が携帯機器対応及び省電力対応のため成されている。このように上記の粘着テープには、かつ光反射性と遮光性が強く求められている。
【0005】
この対策として、少なくとも2層以上の金属蒸着層を有する基材シートに粘着剤層を設けた反射層を有する遮光性粘着テープが開示されている。額縁状のテープで液晶表示素子とバックライト枠体に固定する。その際、枠体側に反射層を向けることにより、導光板の周囲の光を再利用でき輝度アップと省電力に効果がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、このテープは金属蒸着層を有する基材シートを用いているため、鏡状に全反射しLED付近の部分だけが線状に光って見え、見栄えが低下する問題があった。特に携帯機器では、軽薄短小化、大画面化が進んでいるため顕著である。
【0006】
また、透明高分子フィルム、凹凸層、金属反射層、接着層、成形体の順に形成された液晶用バックライトランプリフレクター用反射体が開示されている。これは、上記透明性高分子フィルムをランプ側に向けて設置し、金属反射層で反射する機能を有する。従って、透明性高分子フィルムは光を透過することが不可欠であり透明でなければならないので、透明性高分子フィルム側に遮光性を付与することができないし、反射シート用であり部品同士を接合する両面粘着テープとは機能が異なる(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−023663号公報
【特許文献2】
特開2002−071919号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、高い光散乱反射性及び遮光性を有する粘着テープを提供することにある。
液晶表示装置部材の固定用に用いた場合にディスプレイの画面の明るさが良好であり、且つLED部分の光りむら(LED近傍が線状に光る)が発生しない粘着テープを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究した結果、支持体の少なくとも片面に粘着剤層を有する粘着テープであって、支持体が凹凸面を有するプラスチックフィルムであり、その上に金属薄膜層、粘着剤層がこの順で積層されており、前記プラスチックフィルム面側が遮光性を有し、且つ粘着剤層側が光散乱反射性を有している粘着テープを使用することにより、上記課題を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも一方の面が凹凸を有するプラスチックフィルム(A)の一方の凹凸面上に、金属薄膜層(B)、粘着剤層(C)がこの順で積層されている粘着テープであって、該粘着テープのプラスチックフィルム(A)面側が遮光性を有し、且つ該粘着テープの粘着剤層(C)面側が光散乱反射性を有している粘着テープを提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の光散乱反射・遮光粘着テープを、その構成要素に基づいて、更に詳しく説明する。
【0011】
(光散乱反射・遮光粘着テープの構成)
本発明の粘着テープは、支持体が凹凸面を有するプラスチックフィルム(A)であって、その上に金属薄膜層(B)、粘着剤層(C)がこの順で積層されており、前記プラスチックフィルム(A)面側が遮光性を有し、且つ前記粘着剤層(C)面側が光散乱反射性を有していることを特徴とする粘着テープである。本発明の粘着テープは、片面粘着テープ(図2)、両面粘着テープ(図3)、或いは前記プラスチックフィルムを両面粘着テープで挟み込んだもの(図4)をその態様として挙げることができる。
本発明の粘着テープの凹凸面を有するプラスチックフィルム(A)に遮光性を付与するために、片面粘着テープの場合は、前記プラスチックフィルム(A)が着色されていることが好ましい。
一方、両面粘着テープの場合は、前記プラスチックフィルム(A)と、前記プラスチックフィルム(A)の金属薄膜層と反対面に設けられた遮光面側の粘着剤層の両方、又は少なくとも一方が着色されていることが好ましい。両方が着色されいる方がより好ましい。
【0012】
1.凹凸面を有するプラスチックフィルム(A)
本発明の粘着テープを構成する、凹凸面を有するプラスチックフィルム(A)の例としては、セロハン、アセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニル、ポリイミド、ポリカーボネートおよびポリスチレン等が挙げられる。その中でも、耐熱性・耐光性に優れるポリエステルが好ましい。
前記プラスチックフィルム(A)の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは4〜100μm、より好ましくは12〜75μmである。4μm未満では粘着テープの加工性が著しく低下し、100μmを越えると、粘着テープの厚みが厚くなりすぎ、液晶表示装置の薄型化に適さない。
【0013】
(凹凸面の形成方法)
本発明の粘着テープを構成する、凹凸面を有するプラスチックフィルム(A)の凹凸は、エンボス加工やサンドブラスト加工、ケミカルマット加工、及び微粒子の塗布から選ばれる少なくとも一つの方法により形成される。
【0014】
(凹凸面の表面粗さ)
この凹凸面の算術平均粗さRa値は0.2〜2.0μmであることが好ましい。0.2μm未満の場合は光散乱反射性が不十分であり、2.0μmを超える場合は、光散乱反射性が強くなりすぎる。より好ましくは、0.3〜1.0μmである。
また、凹凸面のピークカウントPc値は、50〜500であることが好ましい。Pc値が50未満である場合は、光散乱反射性が不十分であり、500を超える場合は、光散乱反射性が強くなりすぎる。より好ましくは、100〜400である。
また、凹凸面の最大山高さRp値は1.0〜20.0μmが好ましい。Rp値が1μm未満であると光散乱反射特性が低下し、20.0μmを越えると粘着剤との密着性が低下する。より好ましくは,2.0〜10.0μmである。
Ra値は算術平均粗さ、Pc値はピークカウント、Rp値は最大山高さを意味し、(株)東洋精密社製表面粗さ形状測定機「サーフコム570A」を用い、測定した。測定条件は、カットオフ=0.8mm、測定長さ=5mm、縦倍率=1000、横倍率=20、駆動速度=0.3mm/sで測定する。尚Pc値は、P-LEVEL=0.0μm、V-LEVEL=0.0μmの条件で計算する。
【0015】
(凹凸面を有するプラスチックフィルムAの着色及び構成)
本発明の粘着テープを構成する、凹凸面を有するプラスチックフィルム(A)は、着色され、遮光性があることが好ましい。例えば、▲1▼フィルム中に染料又は顔料を含有させたり、▲2▼フィルム上にインキ層を設けたりすることで着色することができる。フィルム及びインキ層を着色するには、公知慣用の顔料や染料を含有させれば良い。着色する色としては遮光性に優れる黒色が好ましい。黒色に着色する場合は、カーボンブラックが特に好ましい。フィルム上のインキ層は公知慣用の方式で印刷により設けることができる。例えば、凸版印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、オフセット印刷およびスクリーン印刷等が採用できる。その中でも、グラビア印刷が重ねてインキ層をコートするのに適している。インキ層をコートする前記プラスチックフィルム面は、公知慣用の易接着処理を施すのが好ましい。その中でもコロナ処理・プラズマ処理・プライマー処理から選ばれる易接着処理が好ましい
プラスチックフィルムは単層であっても積層されていても良い。プラスチックフィルムに顔料が練り込まれている場合は、プラスチックフィルムの金属薄膜層(B)が積層されている反対側に透明プラスチック層が積層されていることが強度の点から好ましい。
また、プラスチックフィルムに顔料が練り込まれている場合は、プラスチックフィルム表面に微細な凹凸が発生する場合が多く、その上に積層する金属層のより効果的な光散乱効果が併せて得られる。
【0016】
2.金属薄膜層(B)
本発明の粘着テープを構成する、金属薄膜層(B)は、特に限定されないが、金属蒸着層または金属を含有するインキ層が好ましい。金属の種類としては、アルミ、銀等が挙げられる。凹凸面を有するプラスチックフィルム(A)上に、真空蒸着法等の公知慣用の方法で形成することができる。金属蒸着層の耐熱性、安定性を付与するために各種保護層を設けてもよい。
【0017】
3.粘着剤層C
本発明の粘着テープを構成する、粘着剤層(C)は、公知のアクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着剤を使用することができる。その中でも、単量体成分として炭素数2〜14のアルキル基を有するアクリル酸エステルを含有するアクリル系共重合体が、耐光性・耐熱性の点から好ましい。例えば、n-ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート及びエチルアクリレート等のアクリル系共重合体が挙げられる。
【0018】
さらに単量体成分として、側鎖に水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの極性基を有する、アクリル酸エステルやその他のビニル系単量体を、0.01〜15質量%の範囲で添加するのが好ましい。
アクリル系共重合体は、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、紫外線照射法、電子線照射法によって共重合させることにより得ることができる。
アクリル系共重合体の平均分子量は、40万〜140万が好ましく、更に好ましくは、60万〜120万である。
【0019】
さらに粘着剤の凝集力を上げるために、架橋剤を添加するのが好ましい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤等が挙げられる。架橋剤の添加量としては、ゲル分率が30〜60%に調整することが、接着性および加工性の点から好ましい。
【0020】
さらに粘着剤の粘着力を向上させるため、粘着付与樹脂を添加しても良い。
本発明の粘着テープの粘着剤層に添加する粘着付与樹脂は、ロジンやロジンのエステル化合物等のロジン系樹脂;ジテルペン重合体やα-ピネン-フェノール共重合体等のテルペン系樹脂;脂肪族系(C5系)や芳香族系(C9)等の石油樹脂;その他、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
反射光の黄変化を防ぐため、不飽和二重結合が少ない、水添ロジンや不均化ロジンのエステル化物や、脂肪族や芳香族系石油樹等の耐黄変性に優れる樹脂を使用することが好ましい。
接着性と耐黄変性を両立するには、高不均化ロジンエステルと重合ロジンエステルと石油樹脂を併用するのが好ましい。
粘着付与樹脂の添加量としては、アクリル系共重合体100質量部に対し、10〜60質量%添加するのが好ましい。接着性を重視する場合は、20〜50質量%が最も好ましい。
【0021】
本発明の粘着テープが両面接着テープである場合は、凹凸面を有するプラスチックフィルム(A)の金属薄膜層(B)と反対側の遮光面側の粘着剤層を着色にする場合は、▲3▼粘着剤中に染料又は顔料を含有させることが好ましい。着色させる色としては、遮光性に優れる黒色が好ましい。黒色に着色する場合は、カーボンブラックが特に好ましい。
【0022】
(粘着剤の透過性)
本発明の粘着テープに使用される粘着剤は、可視光透過率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上である。
可視光透過率は、ユニチカ社製ポリエステルフィルム「エンブレットS-25μm」に75μmの粘着剤層を設け、東洋精機製作所製直読ヘイズメーターで測定した。
【0023】
(粘着剤の耐黄変性)
本発明の粘着テープに使用される粘着剤は、100℃で14日放置後のLab表色系のb値が6以下であることが好ましく、より好ましくは4以下である。b値が6を超えると、テープに黄色味が増す。その結果、反射光に黄色味が増し、ディスプレイの色味に劣る。
100℃で14日放置後のb値は、ユニチカ社製ポリエステルフィルム「エンブレットS-25μm」を75μmの粘着剤層で貼り合わせたサンプルを100℃で14日間放置した後、村上色彩技術研究所製「変角分光光度計GSP-1」でb値を測定する。
【0024】
本発明の粘着テープを構成する、粘着剤層(C)の光拡散性を向上するために、ガラスビーズや、アクリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等のプラスチック製ビーズ等の光散乱性粒子を添加することが好ましい。
粘着剤には、上記以外に公知慣用の添加剤を添加することができる。例えば、可塑剤、軟化剤、充填剤、顔料、難燃剤、老化防止剤等が添加できる。発明の粘着テープが両面粘着テープである場合は、反射面と遮光面の粘着剤が異なっても良い。液晶表示素子の基板ガラスとバックライト光源の筐体を固定する場合には再剥離型両面テープが好ましい。その場合、反射面の粘着力が遮光面の粘着剤より強いことが好ましい。
【0025】
粘着剤層は、粘着シートの塗布に一般的に使用されている方法で基材フィルム上に形成することができる。粘着剤組成物を基材フィルムに直接塗布し、乾燥するか、或いは、一旦セパレータ上に塗布し、乾燥後、基材フィルムに貼り合わせる。
【0026】
粘着剤層の厚みは、5〜50μmが好ましく、さらに好ましくは、10〜30μmである。5μm未満では、充分な接着性が得られない。又50μmを超えると、粘着テープの厚みが厚くなるため、一層の軽薄短小化が進む電子機器への使用には向かない。
【0027】
(透明性樹脂層)
本発明の粘着テープを構成する、粘着剤層(C)と金属薄膜層(B)との間に、粘着剤層(C)と金属薄膜層(B)との密着性及び光散乱反射性を向上するため、透明性樹脂層を設けることが好ましい。散乱反射性を向上させるためには、粘着剤と透明性樹脂の屈折率が0.01以上異なることが好ましい。また、透明性樹脂の屈折率が粘着剤の屈折率より大きいことが好ましい。透明性樹脂層は、単層でも良いが、屈折率の異なる樹脂を複層設けるのがさらに好ましい。
透明性樹脂の種類としては特に限定されないが、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩酢ビ系樹脂およびウレタン/セルロース系等が挙げられる。ポリエステル系樹脂が特に好ましい。
液晶表示素子部材の固定に当該透明樹脂層を設けた本発明粘着テープを使用した場合、粘着テープに入射した光が、散乱反射され、一部前記層により導光されるためか、液晶の表示部分が明るくなるため好ましく使用される。
【0028】
(遮光性)
本発明の粘着テープは、前述のように▲1▼フィルム中に染料又は顔料を含有させたり、▲2▼フィルム上にインキ層を設けたり、▲3▼粘着剤中に染料又は顔料を含有させたりして、遮光性を付与させることができる。それらを複数組み合わせることが遮光性の点から好ましい。着色させる色としては、遮光性に優れる黒色が好ましい。
本発明の粘着テープの400〜700nmにおける光透過率が1%未満であり、粘着剤層(C)面側が散乱反射する。光透過率が1%を超えると光漏れが起こり液晶表示素子部材の固定に使用した場合、液晶表示素子の見栄えがよくない。液晶パネルを駆動するドライバーへの光の進入を遮蔽し、誤作動を防止する役目も併せ持たせるためには、200〜1100nmにわたり0.1%以下であることが好ましい。
【0029】
【実施例】
以下に実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、以下に表示する部は、質量部である。
(アクリル系共重合体の調製)
冷却管、攪拌機、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器にn-ブチルアクリレート92.8部、酢酸ビニル5部、アクリル酸2部、β-ヒドロキシーエチルアクリレート0.2部と、重合開始剤として2,2'-アゾビスイソブチルニトリル0.2部とを酢酸エチル100部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合して重量平均分子量80万のアクリル系共重合体を得た。
【0030】
(アクリル系粘着剤組成物の調製)
上記アクリル系共重合体に荒川化学社製「スーパーエステルA100」を20部、三井石油化学工業社製「FTR6100」を20部、トルエンで希釈し、固形分40%のアクリル系粘着剤組成物Pを得た。
【0031】
(フィルムの作成)
帝人デュポンフィルム社製U4−50μm(練り込みマットポリエステル)の凹凸面に、10-2Pa雰囲気下において厚み45±5nmのアルミ蒸着層を形成させた後、大日本インキ化学工業社製スミインキ「ユニバーサル21」を乾燥重量が2g/m2となるようPET面にグラビアコートし、フィルムAを得た。
【0032】
帝人デュポンフィルム社製U4-50μmの代わりに、帝人デュポンフィルム社製PS-50μm(サンドマットポリエステル)を使用した以外は、同様にしてフィルムBを得た。
【0033】
フィルムAのアルミ蒸着層上に、グラビアコーターを使用して、大日本インキ化学工業社製「No.517OPニス」(セルロースーウレタン系樹脂)を、乾燥後の塗布量が2g/m2になるように塗布して、フィルムCを得た。
【0034】
ユニチカ社製エンブレットPTMX-25(平滑ポリエステル)の両面に、10-2Pa雰囲気下において厚み45±5nmのアルミ蒸着層を形成させ、フィルムDを得た。
【0035】
(実施例1)
(粘着テープの作製)
アクリル系粘着剤組成物Pに日本ポリウレタン工業社製「コロネートL-45」(イソシアネート系架橋剤)を1.5部配合し、充分に撹拌した後、離型処理した厚さ75μmのポリエステルフィルム上に、乾燥後の厚さが15μmとなるよう塗工して、100℃で2分間乾燥して粘着剤層を得た。次に、フィルムAの両面に転写し、80℃の熱ロールで4kgf/cmの圧力でラミネートし、さらに、40℃で2日間養生して、両面粘着テープを得た。
【0036】
(実施例2)
フィルムAの代わりに、フィルムBを用いた以外は、実施例1と同様にして、両面粘着テープを得た。
【0037】
(実施例3)
フィルムAの代わりに、フィルムCを用いた以外は、実施例1と同様にして、両面粘着テープを得た。
【0038】
(比較例1)
フィルムAの代わりに、フィルムDを用いた以外は、実施例1と同様にして、両面接着テープを得た。
【0039】
実施例、比較例で作成した両面粘着テープについて、以下に示す方法により、接着力、テープ厚み、散乱反射性、光反射率、遮光性、画面の明るさ、LED部分の光ムラを評価した。評価結果は、表1に記載した。
【0040】
(接着力)
ステンレス板に、白色面を25μmのポリエステルフィルムで裏打ちした20mm幅の粘着テープを、23℃50%RHの下2kgローラーで1往復加圧貼付し1時間放置後、23℃50%RHで300mm/minの速度で引っ張って、180°ピール接着力を測定した。
【0041】
(散乱反射性)
日本電色工業社製グロスメーターVGS-SENSORを用い、入手角60°で、各反射角での蒸着面側の光沢度(%)をJIS Z8741に準じ、測定した。標準板は、黒色ガラスを使用した。
40°と50°と70°での光沢度の値から、散乱反射特性を評価した。
◎:40°と50°と70°の光沢度が10%以上、
○:40°と50°と70°の光沢度が5%以上、
×:40°と50°と70°の光沢度のいずれかが5%未満
【0042】
(光反射率)
ミノルタ社製分光側色系CM-3500dを用い、400〜700nmにおける粘着テープアルミ蒸着面側の反射率を測定した。
【0043】
(遮光性)
波長200〜1100nmの光線の粘着テープの透過率を、日本分光工業社製分光光度計「V520-SR」で測定した。
【0044】
(液晶の外観)
松下通信工業社製携帯電話P503isに標準装着される液晶ディスプレイモジュールを分解し、偏光フィルム貼りのガラス製液晶パネルとポリカーボネート製バックライト筐体を接合している両面粘着テープを剥がし、実施例、比較例の両面粘着テープを用いて、光散乱面がバックライト筐体側になるように貼り直し、携帯電話を組み直した。
(画面の明るさ)
大日本インキ化学工業社製遮光性両面粘着テープ「#8616DJクロ」で貼り直した場合と輝度を比較した。
◎:輝度向上が7%以上、
○:輝度向上が5%以上7%未満、
×:輝度向上が5%未満
(LED部分の光ムラ)
バックライトを点灯させ、液晶パネルの外側からLED部分を観察し、LED部分の光り具合を評価した。
◎:LED近傍に均一に光り偏り無し、
○:LED近傍に均一に光り偏りほとんど無し、
×:LED近傍が線状に光る
【0045】
(フィルムの特性)
東洋精密社製表面粗さ形状測定機「サーフコム570A」を用い、Ra値、Rp値及びPc値を測定した。測定条件は、カットオフ=0.8mm、測定長さ=5mm、縦倍率=1000、横倍率=20、駆動速度=0.3mm/s。尚Pc値は、P-LEVEL=0.0μm、V-LEVEL=0.0μmの条件で計算した。
【0046】
(ゲル分率)
養生後の粘着剤組成物をトルエン中に浸漬し、24時間放置後に残った不溶分の乾燥後の重量を測定し、元の重量に対する百分率で表した。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示した結果から明らかなように、実施例の光散乱反射・遮光両面粘着テープは、いずれも高い光散乱反射性、接着性、遮光性(100−光透過率)を示した。特に実施例1は、金属蒸着層と粘着剤層の間に透明樹脂層を設けているため、光散乱反射特性が極めて優れている。さらに実施例の反射・遮光粘着テープで固定した液晶ディスプレイの画面の明るさは良好であり、かつLED部分の光りむらも発生しなかった。
【0049】
一方、比較例1の両面粘着テープは、光反射性、接着性、遮光性、画面の明るさには優れるものの、鏡面反射するためLED部分の光りむらが発生しており、液晶用反射・遮光粘着テープの外観を損なっていた。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明は薄型で高い光散乱反射性と遮光性を有する光散乱反射・遮光粘着テープを提供する。本発明の光散乱反射・遮光粘着テープは、液晶表示装置部材固定用テープとして有用である(図5)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の遮光粘着テープを液晶表示装置部材固定用テープとして用いた模式図
【図2】 光散乱反射・遮光粘着テープの構成(1)、片面粘着テープの態様図
【図3】 光散乱反射・遮光粘着テープの構成(2)、両面粘着テープの態様図
【図4】 光散乱反射・遮光粘着テープの構成(3)、プラスチックフィルムを両面粘着テープで挟み込んだものの態様図
【図5】 本発明の光散乱反射・遮光粘着テープを液晶表示装置部材固定用テープとして用いた模式図
【符号の説明】
1・・・ドライバー
2・・・遮光性粘着テープ
3・・・プリズムシート
4・・・拡散シート
5・・・LED
6・・・導光板
7・・・反射板
8・・・光散乱反射・遮光性粘着テープ (下側:光散乱反射面)
a1・・・プラスチックフィルム(A):黒顔料練り込み
a2・・・プラスチックフィルム(A):黒インキ層コート
a3・・・プラスチックフィルム(A):黒色
a4・・・プラスチックフィルム(A):透明
b ・・・プラスチックフィルムの凹凸面
c ・・・金属薄膜層(B)
d1・・・粘着剤層(C)
d2・・・粘着剤層(C):黒色粘着剤
e ・・・両面粘着テープ
Claims (11)
- 液晶表示装置の液晶パネルとバックライトモジュールの接合用であり、該液晶パネル面側に前記粘着テープの遮光性面側を向け、バックライトモジュール面側に前記粘着テープの光散乱反射性面側を貼付する両面テープであって、
少なくとも一方の面が凹凸を有するプラスチックフィルム(A)の一方の凹凸面上に、金属薄膜層(B)、粘着剤層(C)がこの順で積層されている粘着テープであって、該粘着テープのプラスチックフィルム(A)面側が遮光性を有し、且つ該粘着テープの粘着剤層(C)面側が光散乱反射性を有し、前記金属薄膜層(B)と粘着剤層(C)との間に、透明性樹脂層を有することを特徴とする粘着テープ。 - 前記プラスチックフィルム(A)の凹凸面の算術平均粗さRa値が0.2〜2.0μmであり、且つ、前記凹凸面のピークカウントPc値が50〜500である請求項1記載の粘着テープ。
- 前記プラスチックフィルム(A)の凹凸面の最大山高さRp値が1.0〜20.0μmである請求項1又は2記載の粘着テープ。
- 前記プラスチックフィルム(A)の凹凸がエンボス加工、サンドブラスト加工、ケミカルマット加工、及び微粒子の塗布から選ばれる少なくとも一つの方法により形成される請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着テープ。
- 前記金属薄膜層(B)が金属蒸着層または金属粉を含有するインキ層である請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着テープ。
- 前記プラスチックフィルム(A)が、染料又は顔料で黒色に着色されているか、又はプラスチックフィルム(A)上に黒インキ層が設けられている遮光プラスチックフィルムである請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着テープ。
- 前記プラスチックフィルム(A)が、染料又は顔料で黒色に着色されており、且つ該プラスチックフィルムの遮光面側に更にプラスチック層が積層されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着テープ。
- 前記透明性樹脂の屈折率と粘着剤の屈折率との差が0.01以上である請求項1〜7のいずれか一項に記載の粘着テープ。
- 前記粘着剤層(C)が光散乱性の粒子を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の粘着テープ。
- 前記粘着テープの400〜700nmにおける光透過率が1%以下である請求項1〜9のいずれか一項に記載の粘着テープ。
- 前記粘着フィルムの遮光面側に設けられた粘着剤層が遮光性を有している請求項10に記載の粘着テープ。
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