JP4517521B2 - 自動変速機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力軸に連結された変速用複式遊星歯車装置の各要素に連結された制御クラッチ及び制御ブレーキを係脱して前記入力軸の回転を複数段に変速して出力軸に伝達する自動変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
入力軸に連結されたリングギヤ、制御ブレーキにより選択的に回転を規制されるサンギヤ、リングギヤとサンギヤに噛合するピニオンを支承するキャリヤを有する減速用遊星歯車装置を設け、第1遊星歯車機構のリングギヤと第2遊星歯車機構のキャリヤとを連結し、第1、第2遊星歯車機構のサンギヤを第3制御クラッチにより係脱可能に連結し、第2遊星歯車機構のキャリヤとサンギヤとを第2制御クラッチにより係脱可能に連結した変速用複式遊星歯車装置を設け、第1遊星歯車機構のリングギヤに入力軸を第1制御クラッチにより係脱可能に連結し、第2遊星歯車機構のリングギヤに減速用遊星歯車装置のキャリヤを連結し、第1遊星歯車機構のキャリヤを出力軸に連結し、第2遊星歯車機構のキャリヤの回転を第1制御ブレーキにより選択的に規制し、第1遊星歯車機構のサンギヤの回転を第2ブレーキにより選択的に規制して前進5段、後退1段のギヤ比を成立する自動変速機が特開平10−30688号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の自動変速機は、前進5段、後退1段の間でギヤ比を切り換えることが可能である。しかし、近年は燃費及び動力伝達性能向上を図るため、或いは運転者の嗜好にマッチしたギヤ比を得るために、適切に離間した前進6段のギヤ比を成立することができる自動変速機が求められている。
【0004】
本発明は係る要望に応えるためになされたもので、適切に離間した前進6段のギヤ比を得ることができる自動変速機を提供することである。
【0005】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、入力軸に連結され該入力軸の回転より回転数が小さい減速回転を減速回転出力部材に生成する歯車減速装置を設け、3個の基本要素で夫々構成される第1、第2遊星歯車機構の各1個の基本要素を連結して構成された第1連結要素と、各1個の他の基本要素を第3制御クラッチで係脱可能に連結して構成された第2連結要素と、残り2個の基本要素を速度線図においてギヤ比に対応した間隔で順次並べて並び順に第1、第2、第3及び第4要素とした変速用複式遊星歯車装置を設け、前記第1要素である前記第2遊星歯車機構の基本要素を前記歯車減速装置の減速回転出力部材に連結し、前記第2要素である前記第1連結要素を第1制御クラッチにより入力軸に係脱可能に連結し、前記第3要素を出力軸に連結し、前記第2遊星歯車機構の3個の基本要素の内2つの基本要素を第2制御クラッチにより係脱可能に連結し、前記第2要素の回転を第1制御ブレーキにより選択的に規制し、前記第4要素を構成する前記第1遊星歯車機構の基本要素の回転を第2制御ブレーキにより選択的に規制し、前記第1要素の回転を第1回転規制手段により選択的に規制し、前記第1要素の回転が規制されたとき前記歯車減速装置から前記第1要素に動力伝達が行われない開放状態を生成する開放状態生成手段を設け、前記第1連結要素を前記第1制御クラッチにより入力軸に連結し、前記第1回転規制手段によって前記第1要素の回転を規制すると共に、前記開放状態生成手段によって前記歯車減速装置から前記第1要素に動力伝達が行われない開放状態を生成して、出力軸を最高速度段のギヤ比で正転駆動することである。
【0006】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1に記載の自動変速機において、入力軸に連結されたリングギヤ、第2回転規制手段により回転を選択的に規制されるサンギヤ、前記リングギヤとサンギヤとに噛合するピニオンを支承するキャリヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記キャリヤを前記減速回転出力部材として前記変速用複式遊星歯車装置の第1要素に連結し、前記第2回転規制手段を前記サンギヤに連結された第4制御ブレーキと前記サンギヤにワンウエイクラッチを介して連結された第5制御ブレーキとの並列経路又は前記サンギヤに連結された第4制御ブレーキで構成し、前記第2回転規制手段により前記開放状態生成手段を構成したことである。
【0007】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1に記載の自動変速機において、前記歯車減速装置の前記減速回転出力部材を前記変速用複式遊星歯車装置の第1要素に第4制御クラッチにより係脱可能に連結し、該第4制御クラッチで前記開放状態生成手段を構成したことである。
【0008】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1に記載の自動変速機において、入力軸に連結されたリングギヤ、ミッションケースに直接又は制御ブレーキとワンウエイクラッチとの並列経路を介して連結されて回転を規制されるサンギヤ、前記リングギヤとサンギヤとに噛合するピニオンを支承するキャリヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記減速回転出力部材である前記キャリヤを前記変速用複式遊星歯車装置の第1要素に第4制御クラッチにより係脱可能に連結し、前記第4制御クラッチで前記開放状態生成手段を構成したことである。
【0009】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項1に記載の自動変速機において、入力軸に固定された大径及び小径歯車と、前記変速用複式遊星歯車装置と同心に回転可能に支承され前記大径及び小径歯車と噛合する第1及び第2歯車とからなる減速用歯車列で前記歯車減速装置を構成し、前記減速回転出力部材である前記第2歯車を前記変速用複式遊星歯車装置の第1要素に第4制御クラッチにより係脱可能に連結し、前記第4制御クラッチで前記開放状態生成手段を構成したことである。
【0010】
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項1に記載の自動変速機において、入力軸に第4制御クラッチにより係脱可能に連結されたリングギヤ、ミッションケースに直接又は制御ブレーキとワンウエイクラッチとの並列経路を介して連結されて回転を規制されるサンギヤ、前記リングギヤとサンギヤとに噛合するピニオンを支承するキャリヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記減速回転出力部材である前記キャリヤを前記変速用複式遊星歯車装置の第1要素に連結し、前記第4制御クラッチで前記開放状態生成手段を構成したことである。
【0011】
請求項7に係る発明の構成上の特徴は、請求項1に記載の自動変速機において、入力軸に連結されたリングギヤ、サンギヤ、前記リングギヤとサンギヤとに噛合するピニオンを支承するキャリヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記減速回転出力部材である前記キャリヤを前記変速用複式遊星歯車装置の第1要素に第4制御クラッチにより係脱可能に連結し、前記サンギヤの回転を選択的に規制する制御ブレーキを前記第1要素に第5制御クラッチにより係脱可能に連結して前記第1回転規制手段を構成し、前記第4制御クラッチで前記開放状態生成手段を構成したことである。
【0012】
請求項1に記載の自動変速機において、入力軸に第4制御クラッチにより係脱可能に連結されたリングギヤ、サンギヤ、前記リングギヤとサンギヤとに噛合するピニオンを支承するキャリヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記減速回転出力部材である前記キャリヤを前記変速用複式遊星歯車装置の第1要素に連結し、前記サンギヤの回転を選択的に規制する制御ブレーキを前記第1要素に第5制御クラッチにより係脱可能に連結して前記第1回転規制手段を構成し、前記第4制御クラッチで前記開放状態生成手段を構成したこと
【0013】
請求項9に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の自動変速機において、前記変速用複式変速装置の第1、第2遊星歯車機構をシングルピニオン型とし、前記第2遊星歯車機構のリングギヤを前記第1要素とし、第1遊星歯車機構のリングギヤと第2遊星歯車機構のキャリヤとを連結して前記第2要素とし、前記第1遊星歯車機構のキャリヤを前記第3要素とし、第1、第2遊星歯車機構のサンギヤを前記第3制御クラッチで係脱可能に連結して前記第4要素としたことである。
【0014】
請求項10に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の自動変速機において、前記変速用複式変速装置の第1、第2遊星歯車機構をシングルピニオン型とし、前記第2遊星歯車機構のサンギヤを前記第1要素とし、第1遊星歯車機構のリングギヤと第2遊星歯車機構のキャリヤとを連結して前記第2要素とし、前記第1遊星歯車機構のキャリヤと第2遊星歯車機構のリングギヤとを前記第3制御クラッチで係脱可能に連結して前記第3要素とし、前記第1遊星歯車機構のサンギヤを前記第4要素としたことである。
【0015】
【発明の作用・効果】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、入力軸に連結され該入力軸の回転より回転数が小さい減速回転を生成する歯車減速装置を設け、変速用複式遊星歯車装置の第1要素である第2遊星歯車機構の基本要素に歯車減速装置の減速回転を伝達し、第2要素である第1、第2遊星歯車機構の各1個の基本要素を連結して構成された第1連結要素に入力軸の回転を第1制御クラッチにより選択的に伝達し、第3要素を出力軸に連結し、第2遊星歯車機構の3個の基本要素の内2つの基本要素を第2制御クラッチにより選択的に連結し、第2要素の回転を第1制御ブレーキにより選択的に規制し、第4要素である第1遊星歯車機構の基本要素の回転を第2制御ブレーキにより選択的に規制し、第1要素の回転を第1回転規制手段により選択的に規制し、第1要素の回転が規制されたとき、歯車減速装置から第1要素に動力が伝達されないようにしたので、従来の自動変速機に最小限の変更を加えるだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進6段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる自動変速機を提供することができる。さらに、高速段側のギヤ比を更に密にすることができるので、車速の高速度域でエンジン性能を最適に引き出すことができ、且つギヤチェンジ時のギヤ比の変化延いては出力トルクの変化が小さくなり、良好なフィーリングを得ることができる。
【0016】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、変速用複式遊星歯車装置の第1要素の回転が規制されないとき、入力軸に連結された減速用遊星歯車装置のサンギヤの回転を規制してキャリヤから第1要素に減速回転を伝達し、第1要素の回転が規制されたとき、サンギヤの回転を許容してキャリヤから第1要素に動力伝達が行われないようにしたので、請求項1に記載した発明の効果に加え、従来の自動変速機に変速用複式遊星歯車装置の第1要素の回転を選択的に規制する第1回転規制手段を追加するだけで、前進6段、後退1段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができるコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0017】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、歯車減速装置の減速回転出力部材を変速用複式遊星歯車装置の第1要素に第4制御クラッチにより係脱可能に連結し、変速用複式遊星歯車装置の第1要素の回転が規制されないとき、第4制御クラッチを接続して減速回転出力部材の減速回転を第1要素に伝達し、第1要素の回転が第1回転規制手段により規制されたとき、第4制御クラッチを切って減速回転出力部材から第1要素に動力伝達が行われないようにしたので、請求項1に記載した発明の効果に加え、従来の自動変速機に第1回転規制手段と第4制御クラッチを追加するだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進6段、後退1段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができるコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0018】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、減速用遊星歯車装置のキャリヤを変速用複式遊星歯車装置の第1要素に第4制御クラッチにより係脱可能に連結し、変速用複式遊星歯車装置の第1要素の回転が規制されないとき、第4制御クラッチを接続してキャリヤの減速回転を第1要素に伝達し、第1要素の回転が第1回転規制手段により規制されたとき、第4制御クラッチを切ってキャリヤから第1要素に動力伝達が行われないようにしたので、請求項1に記載した発明の効果に加え、従来の自動変速機に第1回転規制手段と第4制御クラッチを追加するだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進6段、後退1段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる構造が簡単でコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0019】
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、入力軸に固定された大径及び小径歯車と、該大径及び小径歯車と噛合する第1及び第2歯車とからなる 減速用歯車列の第2歯車を変速用複式遊星歯車装置の第1要素に第4制御クラッチにより係脱可能に連結し、変速用複式遊星歯車装置の第1要素の回転が規制されないとき、第4制御クラッチを接続して第2歯車の減速回転を第1要素に伝達し、第1要素の回転が第1回転規制手段により規制されたとき、第4制御クラッチを切って第2歯車から第1要素に動力伝達が行われないようにしたので、請求項1に記載した発明の効果に加え、従来の自動変速機の減速用遊星歯車装置を簡単な減速用歯車列に変換し、第1回転規制手段と第4制御クラッチを追加するだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進6段、後退1段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる構造が簡単でコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0020】
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、減速用遊星歯車装置のキャリヤを変速用複式遊星歯車装置の第1要素に連結し、変速用複式遊星歯車装置の第1要素の回転が規制されないとき、第4制御クラッチを接続して入力軸を減速用遊星歯車装置のリングギヤに連結してキャリヤを減速回転させ、このキャリヤの減速回転を第1要素に伝達し、第1要素の回転が第1回転規制手段により規制されたとき、第4制御クラッチを切ってキャリヤから第1要素に動力伝達が行われないようにしたので、請求項1に記載の発明の効果に加え、従来の自動変速機に第1回転規制手段と第4制御クラッチを追加するだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進6段、後退1段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができるコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0021】
上記のように構成した請求項7に係る発明においては、変速用複式遊星歯車装置の第1要素を、減速用遊星歯車装置のサンギヤの回転を選択的に規制する制御ブレーキに第5制御クラッチを介して連結するとともに、キャリヤに第4制御クラッチを介して連結し、変速用複式遊星歯車装置の第1要素の回転が規制されないとき、第4制御クラッチを接続してキャリヤの減速回転を第1要素に伝達し、第5制御クラッチが接続されて第1要素の回転が規制されたとき、第4制御クラッチを切ってキャリヤから第1要素に動力伝達が行われないようにしたので、従来の自動変速機に第4、第5制御クラッチを追加するだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進6段、後退1段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができるコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0022】
上記のように構成した請求項8に係る発明においては、変速用複式遊星歯車装置の第1要素を減速用遊星歯車装置のキャリヤに連結するとともに、サンギヤの回転を選択的に規制する制御ブレーキに第5制御クラッチを介して連結し、減速用遊星歯車装置のリングギヤを第4制御クラッチを介して入力軸に連結し、変速用複式遊星歯車装置の第1要素の回転が規制されないとき、第4制御クラッチを接続して入力軸を減速用遊星歯車装置のリングギヤに連結してキャリヤを減速回転させ、このキャリヤの減速回転を第1要素に伝達し、第5制御クラッチを接続して第1要素の回転が規制されたとき、第4制御クラッチを切ってキャリヤから第1要素に動力伝達が行われないようにしたので、請求項1に記載の発明の効果に加え、従来の自動変速機に第4、第5制御クラッチを追加するだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進6段、後退1段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができるコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0023】
上記のように構成した請求項9に係る発明においては、第2遊星歯車機構のリングギヤを第1要素とし、第1遊星歯車機構のリングギヤと第2遊星歯車機構のキャリヤとを連結して第2要素とし、第1遊星歯車機構のキャリヤを第3要素とし、第1、第2遊星歯車機構のサンギヤを第3制御クラッチで係脱可能に連結して第4要素として変速用遊星歯車装置を構成したので、従来の自動変速機に最小限の変更を加えるだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進6段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる構造簡単でコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0024】
上記のように構成した請求項10に係る発明においては、第2遊星歯車機構のサンギヤを第1要素とし、第1遊星歯車機構のリングギヤと第2遊星歯車機構のキャリヤとを連結して第2要素とし、第1遊星歯車機構のキャリヤを出力軸に連結するとともに、第2遊星歯車機構のリングギヤに第3制御クラッチで係脱可能に連結して第3要素とし、前記第1遊星歯車機構のサンギヤを前記第4要素として変速用複式遊星歯車装置を構成したので、従来の自動変速機の変速用複式遊星歯車装置を他の構成にし、最小限の変更を加えるだけで、入力軸の回転を適切に離間した前進6段のギヤ比で変速して出力軸に伝達することができる構造簡単でコンパクトな自動変速機を得ることができる。
【0025】
【実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明に係る自動変速機の第1の実施形態について説明する。図1において、10は本発明に係る自動変速機で、例えば自動車のエンジンにより回転駆動される流体トルクコンバータ11の出力回転を変速して駆動輪に伝達するために使用される。自動変速機10は、車体に取り付けられたトランスミッションケース12内に共通軸線13上に順次支承された入力軸15、減速用遊星歯車装置16、変速用複式遊星歯車装置17及び出力軸18で構成されている。減速用遊星歯車装置16は、共通軸線13上に回転可能に支承されたサンギヤS1、サンギヤS1と噛合するピニオン21、このピニオン21を回転可能に支承し共通軸線13上に回転可能に支承されたキャリヤC1、ピニオン21と噛合し共通軸線13上に回転可能に支承されたリングギヤR1から構成されている。入力軸15はリングギヤR1に連結されている。サンギヤS1は、ミッションケース12に設けられた第4制御ブレーキB−1に連結され、第4制御ブレーキB−1の作動により回転規制されてキャリヤC1を入力軸15の回転より小さい減速回転で回転させ、回転規制を解除されてキャリヤC1に動力を伝達しないようにしている。
【0026】
変速用複式遊星歯車装置17は、共通軸線13上に回転可能に支承されたサンギヤ、リングギヤ、サンギヤとリングギヤとに噛合するピニオンを支承するキャリヤの3個の基本要素で構成されるシングルピニオン型の第1遊星歯車機構22のリングギヤR2とシングルピニオン型の第2遊星歯車機構23のキャリヤC3とを連結して第1連結要素R2,C3を構成し、第1、第2遊星歯車機構22,23のサンギヤS2,S3を第3制御クラッチC−3により係脱可能に連結して第2連結要素S2,S3を構成し、第2遊星歯車機構23のキャリヤC3とサンギヤS3とを第2制御クラッチC−2により係脱可能に連結して構成されている。サンギヤS2,S3の間にはワンウエイクラッチF−2が介在され、サンギヤS3がサンギヤS2に対して逆転することを規制している。
【0027】
第1連結要素R2,C3は、入力軸15に第1制御クラッチC−1により係脱可能に連結されるとともに、ミッションケース12に設けられた第1制御ブレーキB−3に連結されている。第1遊星歯車機構22のキャリヤC2は出力軸18に連結され、サンギヤS2は第2制御ブレーキB−4に連結されている。第2遊星歯車機構23のリングギヤR3は減速用遊星歯車装置16のキャリヤC1に連結されるとともに、第3制御ブレーキB−2に連結されている。
【0028】
減速用遊星歯車装置16及び第4制御ブレーキB−1は、入力軸15に連結され入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転を減速回転出力部材としてのキャリヤC1に生成する歯車減速装置19を構成する。第3制御ブレーキB−2は、第1要素である第2遊星歯車機構23のリングギヤR3の回転を選択的に規制する第1回転規制手段25を構成する。第2回転規制手段20を構成する第4制御ブレーキB−1は、減速用遊星歯車装置16のサンギヤS1に連結されて歯車減速装置19を構成するとともに、第1要素であるリングギヤR3の回転が第3制御ブレーキB−2により規制されたとき、サンギヤS1の回転規制を解除して減速用遊星歯車装置16からリングギヤR3に動力伝達が行われない開放状態を生成する開放状態生成手段26を構成する。
【0029】
なお、流体トルクコンバータ11のポンプインペラ30は図略のエンジンによって回転駆動されてオイルを送り出し、ステータ31がオイルの反力を受け止めてトルクをタービン32に発生するようになっている。入力軸15はタービン32に連結されている。33はポンプインペラ30とタービン32とを直結するロックアップクラッチである。
【0030】
以上のように構成された自動変速機10は、第1、第2、第3制御クラッチC−1,C−2,C−3を選択的に係脱し、第1、第2、第3、第4制御ブレーキB−3,B−4,B−2,B−1を選択的に作動して減速用、変速用遊星歯車装置16,17の要素の回転を規制することにより、前進6段、後退1段のギヤ比を成立することができる。図2において、各速度段に対応する各制御クラッチ、制御ブレーキの欄に黒丸が付されている場合、制御クラッチであれば接続状態、制御ブレーキであれば回転規制状態にあることを示す。また、図2には、減速用遊星歯車装置16のギヤ比λ1が0.619、変速用複式遊星歯車装置17の第1遊星歯車機構22のギヤ比λ2が0.488、第2遊星歯車機構23のギヤ比λ3が0.634である場合における各変速段におけるギヤ比(入力軸15の回転数/出力軸18の回転数)及び変速段が1段アップしたときのギヤ比の増加割合(当速度段のギヤ比/前速度段のギヤ比)が示されている。
【0031】
シングルピニオン型の遊星歯車機構においては、サンギヤの回転数Ns、キャリヤの回転数Nc、リングギヤの回転数Nrと遊星歯車機構のギヤ比λとの関係は、Nr=(1+λ)Nc−λNs で示され、各変速段におけるギヤ比は、この式に基づいて算出される。 サンギヤS1,S2、S3,の歯数をZs1,Zs2,Zs3、リングギヤR1,R2、R3の歯数をZr1,Zr2,Zr3とすると、減速用遊星歯車装置16及び変速用複式遊星歯車装置17の第1、第2遊星歯車機構22,23のギヤ比はλ1=Zs1/Zr1,λ2=Zs2/Zr2,λ3=Zs3/Zr3である。
【0032】
第1、第2、第3制御クラッチC−1,C−2,C−3を選択的に接続するとともに、第1、第2、第3、第4制御ブレーキB−3,B−4,B−2,B−1を選択的に作動したとき、減速用遊星歯車装置16及び変速用複式遊星歯車装置17の各要素の速度比は、図3に示す速度線図のようになる。速度線図は、遊星歯車装置のサンギヤ、キャリヤ、リングギヤからなる各要素を横軸方向にギヤ比に対応させた間隔で配置し、縦軸方向に各要素に対応してその速度比をとったものである。図3には、減速用遊星歯車装置16及び変速用複式遊星歯車装置17の速度線図が左右に並べて記載されている。減速用遊星歯車装置16では、S1、C1、R1がそれぞれ付された各1本の縦線上に、サンギヤS1、キャリヤC1、リングギヤR1の速度比を表す。シングルピニオン型の減速用遊星歯車装置16については、キャリヤC1の縦線とサンギヤS1の縦線との間隔aを1とみなし、リングギヤR1の縦線をキャリヤC1の縦線からサンギヤS1の縦線の反対側に間隔a×λ1だけ離して配置する。
【0033】
変速用複式遊星歯車装置17を構成する第1、第2遊星歯車機構22,23では、第1遊星歯車機構22のリングギヤR2と第2遊星歯車機構23のキャリヤC3とが連結され、第1、第2遊星歯車機構22,23のサンギヤS2,S3が第3制御クラッチC−3で連結されるので、R2,C3及びS2,S3がそれぞれ付された各1本の縦線上に第1連結要素R2,C3、第2連結要素S2,S3の速度比を表し、R3、C2が付された各1本の縦線上に第2遊星歯車機構23のリングギヤR3、第1遊星歯車機構22のキャリヤC2の速度比を表す。シングルピニオン型の第1遊星歯車機構22については、リングギヤR2の縦線とサンギヤS2の縦線との間隔bを1+λ2とみなし、キャリヤC2の縦線をサンギヤS2の縦線からリングギヤR2の縦線と同じ側に間隔b/(1+λ2)だけ離して配置する。シングルピニオン型の第2遊星歯車機構23については、キャリヤC3の縦線とサンギヤS3の縦線との間隔bを1とみなし、リングギヤR3の縦線をキャリヤC3の縦線からサンギヤS3の縦線の反対側に間隔b×λ3だけ離して配置する。速度線図には、第1制御クラッチC−1、第1、第2、第3、第4制御ブレーキB−3,B−4,B−2,B−1が選択的に作動された点にC−1、B−1〜B−4が記入されている。
【0034】
このように作成された変速用複式遊星歯車装置17の速度線図において、4本の各縦線に対応する要素を縦線の並び順に第1、第2、第3、第4要素とする。第1実施形態の場合、第1要素である第2遊星歯車機構23のリングギヤR3は、減速用遊星歯車装置16のキャリヤC1に連結されるとともに第3制御ブレーキB−2に連結され、第2要素である第1連結要素R2,C3は、第1制御クラッチC−1により入力軸15に係脱可能に連結されるとともに、第1制御ブレーキB−3に連結され、第3要素である第1遊星歯車機構22のキャリヤC2は出力軸18に連結され、第4要素である第2連結要素S2,S3を構成する第1遊星歯車機構のサンギヤS2は第2制御ブレーキB−4に連結されている。
【0035】
以下、各変速段の作動について説明する。前進第1変速段の場合、第4制御ブレーキB−1が作動されるので、サンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16は、入力軸15の回転より回転数の小さい減速回転をキャリヤC1に生成する。この減速回転は第1要素であるリングギヤR3に伝達され、第2制御ブレーキB−4及びワンウェイクラッチF−2により回転を規制されたサンギヤS2,S3に反力を支持されて第1連結要素R2,C3を介して第3要素であるキャリヤC2に伝達され、出力軸18を第1変速段のギヤ比3.936で正転駆動する。
【0036】
前進第2変速段の場合、第4制御ブレーキB−1が作動されるので、サンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16は、入力軸15の回転より回転数の小さい減速回転をキャリヤC1に生成する。この減速回転は第1要素であるリングギヤR3に伝達され、第2制御クラッチC−2の接続により第2遊星歯車機構23は一体回転されるので、第1連結要素R2,C3も減速回転で回転され、第2制御ブレーキB−4により回転規制された第2連結要素のサンギヤS2に反力を支持されてキャリヤC2と出力軸18を第2変速段のギヤ比2.409で正転駆動する。このとき、第3制御クラッチC−3は切断されて第2連結要素S2,S3は分離され、ワンウエイクラッチF−2はサンギヤS3の正転を許容するので、サンギヤS3はリングギヤR3と一体的に減速回転することができる。
【0037】
前進第3変速段の場合、第1制御クラッチC−1が接続されるので、入力軸15と第1連結要素R2,C3が接続され、第1遊星歯車機構22のリングギヤR2が入力軸15と同一回転数で回転される。第2連結要素S2,S3のサンギヤS2が回転規制されるので、入力軸15に入力された回転は、第1遊星歯車機構22により減速され、キャリヤC2と出力軸18を第3変速段のギヤ比1.488で正転駆動する。このとき、第3制御クラッチC−3は切断されて第2連結要素S2,S3は分離され、ワンウエイクラッチF−2はサンギヤS3の正転を許容し、第4制御ブレーキB−1は不作動でリングギヤR3が接続されたキャリヤC1は回転を拘束されないので、第2制御クラッチC−2の接続により一体化された第2遊星歯車機構23も入力軸15と同一回転数で回転することができる。
【0038】
前進第3変速段は、第2、第3制御クラッチC−2,C−3を接続し、第4制御ブレーキB-1を作動して生成することもできる。第4制御ブレーキB−1が作動されるので、サンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16は、入力軸15の回転より回転数の小さい減速回転をキャリヤC1に生成し、リングギヤR3に伝達する。第2、第3制御クラッチC−2,C−3が接続されるので、第1及び第2連結要素R2,C3及びS2,S3が連結されて変速用複式遊星歯車装置17が一体化され、キャリヤC2と出力軸18が第3変速段のギヤ比1.619で正転駆動される。
【0039】
前進第4変速段の場合、第1制御クラッチC−1が接続されて第1連結要素R2,C3が入力軸15と同一回転数で回転される。第2、第3制御クラッチC−2,C−3が接続されるので、第1及び第2連結要素R2,C3及びS2,S3が連結されて変速用複式遊星歯車装置17が一体化され、キャリヤC2と出力軸18を第4変速段のギヤ比1.000で正転駆動する。
【0040】
前進第5変速段の場合、第4制御ブレーキB−1が作動されるので、サンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16は、入力軸15の回転より回転数の小さい減速回転をキャリヤC1に生成し、第1要素であるリングギヤR3に伝達する。第1制御クラッチC−1が接続されて第1連結要素R2,C3が入力軸15と同一回転数で回転される。第3制御クラッチC−3が接続されてサンギヤS2,S3は連結されるので、第3要素のキャリヤC2は、入力軸15の回転と第2連結要素S2,S3の増速回転とに基づいて第5変速段のギヤ比0.835で正転駆動される。
【0041】
前進第6変速段の場合、第1制御クラッチC−1が接続されて第1連結要素R2,C3が入力軸15と同一回転数で回転され、第3制御クラッチC−3が接続されてサンギヤS2,S3が連結される。第3制御ブレーキB−2が作動されて第1要素のリングギヤR3の回転が規制されるので、第1連結要素R2,C3に伝達された入力軸15の回転は、リングギヤR3により反力を支持され、第2連結要素S2,S3を介してキャリヤC2に増速して伝達され、出力軸18を第6変速段のギヤ比0.659で正転駆動する。この場合、第1要素であるリングギヤR3の回転は第1回転規制手段25としての第3制御ブレーキB−2により規制されている。このとき、開放状態生成手段26としての第4制御ブレーキB−1は不作動で、サンギヤS1の回転を規制しないので、歯車減速装置19を構成する減速用遊星歯車装置16から第1要素であるリングギヤR3に動力伝達が行われない開放状態になる。
【0042】
後退変速段の場合、第4制御ブレーキB−1が作動されるので、サンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16は、入力軸15の回転より回転数の小さい減速回転をキャリヤC1に生成する。この減速回転は第1要素であるリングギヤR3に伝達され、第1制御ブレーキB−3により回転を規制された第1連結要素R2,C3に反力を支持されてサンギヤS3を逆転し、ワンウエイクラッチF−2によりサンギヤS2を逆転してキャリヤC2と出力軸18を後退変速段のギヤ比3.130で逆転駆動する。
【0043】
入力軸15に連結された減速用遊星歯車装置16のリングギヤR1の回転数を1とした場合の各変速段におけるサンギヤS1〜S3、キャリヤC1〜C3、及びリングギヤR1〜R3の回転比を示す図3の速度線図から明らかなように、各変速段における第3要素であるキャリヤC2の回転比すなわちギヤ比は、適当な間隔をもって配列し、本発明に係る自動変速機によれば適切に離間した前進6段、後退1段のギヤ比を得ることができる。さらに、変速段が1段アップしたときのギヤ比の増加割合は、図2に示すように、第1、第2変速段の間は1.634、第2、第3変速段の間は1.619、第3、第4変速段の間は1.488、第4、第5変速段の間は1.198、第5、第6変速段の間は1.267となり、高速段ほど概ね増加割合が小さくなり、車速の高速度域でエンジン性能を最適に引き出すことができ、且つギヤチェンジ時のギヤ比の変化割合延いては出力トルクの変化割合が小さくなり、良好なフィーリングを得ることができる。また、最低速度段のギヤ比を最高速度段のギヤ比で割ったスプレッドは、3.936/0.659=5.973と十分大きいので、低速度段において加速性能を高くし、高速度段において燃費をよくすることができる。
【0044】
第1実施形態においては、サンギヤS1に連結された第4ブレーキB−1により第2回転規制手段20を構成し、この第2回転規制手段20が、減速用遊星歯車装置16のサンギヤS1に連結されて歯車減速装置19を構成するとともに、第1要素であるリングギヤR3の回転が第3制御ブレーキB−2により規制されたとき、サンギヤS1の拘束を解除して減速用遊星歯車装置16からリングギヤR3に動力伝達が行われない開放状態を生成する開放状態生成手段26を構成するようにしているが、第2実施形態では、図4に示すように、サンギヤS1に連結された第4制御ブレーキB−1とサンギヤS1にワンウエイクラッチF−1を介して連結された第5制御ブレーキB−5との並列経路で第2回転規制手段20を構成し、この第2回転規制手段20が、減速用遊星歯車装置16とともに歯車減速装置19を構成し、且つ、第1要素の回転が規制されたとき、歯車減速装置19から第1要素に動力伝達が行われない開放状態を生成する開放状態生成手段26を構成している。第2実施形態における各速度段における各制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態を図5に示す。サンギヤS1にワンウエイクラッチF−1を介して第5制御ブレーキB−5を連結したことにより、第2、第3変速段の間、第4、第5変速段の間及び第5、第6変速段の間でギヤチェンジする場合、第4制御ブレーキB−1を作動状態、不作動状態の間で切り替える必要がなく、第1制御クラッチC−1、第2制御クラッチC−2又は第3制御ブレーキB−2の1個のみの状態を切り替えればよく、制御クラッチ、制御ブレーキの状態切替えのタイミングにズレが生じるようなことがないので、変速段の切替えを円滑に行うことができる。なお、速度線図は、第1実施形態の場合と実質的に同じである。
【0045】
第1実施形態においては、サンギヤS1に連結された第4ブレーキB−1により第2回転規制手段20を構成し、この第2回転規制手段20が、減速用遊星歯車装置16のサンギヤS1に連結されて歯車減速装置19を構成するとともに、第1要素の回転が規制されたとき、歯車減速装置19から第1要素に動力伝達が行われない開放状態を生成する開放状態生成手段26を構成するようにしているが、第3実施形態においては、図6に示すように、減速用遊星歯車装置16のサンギヤS1とミッションケース12との間に第2回転規制手段20を構成する第4制御ブレーキB−1とワンウエイクラッチF−1との並列経路を連結して歯車減速装置19を構成し、減速用遊星歯車装置16のキャリヤC1と第1要素であるリングギヤR3との間に連結された第4制御クラッチC−4により、第1要素の回転が規制されたとき、歯車減速装置19から第1要素に動力伝達が行われない開放状態を生成する開放状態生成手段26を構成している。
【0046】
各速度段における各制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態を図7に示す。各変速段におけるギヤ比、及び増加割合は第1実施形態の場合と同一である。速度線図は、図8に示すように、第1実施形態の場合と実質的に同じである。以下、各変速段の作動について説明する。前進第1変速段の場合、ワンウエイクラッチF−1によりサンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16は、入力軸15の回転より回転数の小さい減速回転をキャリヤC1に生成する。この減速回転は、第4制御クラッチC−4を介して第1要素であるリングギヤR3に伝達され、第2制御ブレーキB−4及びワンウェイクラッチF−2により回転を規制されたサンギヤS2,S3に反力を支持されて第1連結要素R2,C3を介して第3要素であるキャリヤC2に伝達され、出力軸18を第1変速段のギヤ比3.936で正転駆動する。
【0047】
前進第2変速段の場合、ワンウエイクラッチF−1によりサンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16は、減速回転をキャリヤC1に生成する。この減速回転はリングギヤR3に第4制御クラッチC−4を介して伝達され、第2制御クラッチC−2の接続により第2遊星歯車機構23は一体回転されるので、第1連結要素R2,C3も減速回転で回転され、第2制御ブレーキB−4により回転規制された第2連結要素のサンギヤS2に反力を支持されてキャリヤC2と出力軸18を第2変速段のギヤ比2.409で正転駆動する。このとき、第3制御クラッチC−3は切断されて第2連結要素S2,S3は分離され、ワンウエイクラッチF−2はサンギヤS3の正転を許容するので、サンギヤS3はリングギヤR3と一体的に減速回転することができる。
【0048】
前進第3変速段の場合、第1制御クラッチC−1が接続されるので、入力軸15と第1連結要素R2,C3が接続され、第1遊星歯車機構22のリングギヤR2が入力軸15と同一回転数で回転される。第2連結要素S2,S3のサンギヤS2が第2制御ブレーキB−4により回転規制されるので、入力軸15に入力された回転は、第1遊星歯車機構22により減速され、キャリヤC2と出力軸18を第3変速段のギヤ比1.488で正転駆動する。このとき、第3制御クラッチC−3は切断されて第2連結要素S2,S3は分離され、ワンウエイクラッチF−2はサンギヤS3の正転を許容し、第4制御ブレーキB−1は不作動でリングギヤR3が接続されたキャリヤC1は回転を拘束されないので、第2制御クラッチC−2の接続により一体化された第2遊星歯車機構23も入力軸15と同一回転数で回転することができる。前進第2段と第3段との間のギヤチェンジにおいて、サンギヤS1を回転状態と回転規制状態との間で切り替える必要があるが、サンギヤS1をワンウエイクラッチF−1を介してミッションケース12に連結したので、第1制御クラッチC−1を断続するだけで前進第2段と第3段との間のギヤチェンジを円滑に行うことができる。
【0049】
上述の制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態において、第4制御クラッチC−4を切って、第4ブレーキB−1を作動しても前進第3変速段として形成される動力経路は同じである。この場合、第4制御クラッチC−4が切られてリングギヤR3とキャリヤC1との連結が遮断され、第2制御クラッチC−2の接続により一体化された第2遊星歯車機構23が入力軸15と同一回転数で回転することができる。
【0050】
前進第3変速段は、第2、第3、第4制御クラッチC−2,C−3,C−4を接続し、第4制御ブレーキB-1を作動して生成することもできる。第4制御ブレーキB−1が作動されサンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16は、キャリヤC1に減速回転を生成し、この減速回転は第4制御クラッチC−4を介して第1要素のリングギヤR3に伝達される。第2、第3制御クラッチC−2,C−3が接続されるので、第1及び第2連結要素R2,C3及びS2,S3が連結されて変速用複式遊星歯車装置17が一体化され、キャリヤC2と出力軸18が第3変速段のギヤ比1.619で正転駆動される。
【0051】
前進第4変速段の場合、第1制御クラッチC−1が接続されて第1連結要素R2,C3が入力軸15と同一回転数で回転される。第2、第3制御クラッチC−2,C−3が接続されるので、第1及び第2連結要素R2,C3及びS2,S3が連結されて変速用複式遊星歯車装置17が一体化され、キャリヤC2と出力軸18を第4変速段のギヤ比1.000で正転駆動する。この場合、第4制御クラッチC−4を接続してキャリヤC1をリングギヤR3に接続し、減速用遊星歯車装置16を入力軸15と同一回転数で回転する。又は、第4制御ブレーキB−1を作動し、第4制御クラッチC−4を切ってキャリヤC1をリングギヤR3との連結を遮断した状態で減速回転させておいてもよい。
【0052】
前進第5変速段の場合、第4制御ブレーキB−1が作動されるので、サンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16はキャリヤC1を減速回転する。この減速回転は第4制御クラッチC−4を介して第1要素であるリングギヤR3に伝達される。第1制御クラッチC−1が接続されて第1連結要素R2,C3が入力軸15と同一回転数で回転される。第3制御クラッチC−3が接続されてサンギヤS2,S3は連結されるので、第3要素のキャリヤC2は、入力軸15の回転と第2連結要素S2,S3の増速回転とに基づいて第5変速段のギヤ比0.835で正転駆動される。
【0053】
前進第6変速段の場合、第1制御クラッチC−1が接続されて第1連結要素R2,C3が入力軸15と同一回転数で回転され、第3制御クラッチC−3が接続されてサンギヤS2,S3が連結される。第3制御ブレーキB−2が作動されて第1要素であるリングギヤR3の回転が規制されるので、第1連結要素R2,C3に伝達された入力軸15の回転は、リングギヤR3により反力を支持され、第2連結要素S2,S3を介してキャリヤC2に増速して伝達され、出力軸18を第6変速段のギヤ比0.659で正転駆動する。このとき、第1要素であるリングギヤR3の回転は第1回転規制手段25としての第3制御ブレーキB−2により規制されている。そして、開放状態生成手段26としての第4制御クラッチC−4は切られているので、キャリヤC1からリングギヤR3に回転は伝達されず、歯車減速装置19を構成する減速用遊星歯車装置16から第1要素であるリングギヤR3に動力伝達が行われない開放状態となる。
【0054】
後退変速段の場合、ワンウエイクラッチF−1によりサンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16はキャリヤC1を減速回転する。この減速回転は第4制御クラッチC−4を介してリングギヤR3に伝達され、第1制御ブレーキB−3により回転を規制された第1連結要素R2,C3に反力を支持されてサンギヤS3を逆転し、ワンウエイクラッチF−2を介してサンギヤS2を逆転してキャリヤC2と出力軸18を後退変速段のギヤ比3.130で逆転駆動する。
【0055】
第3実施形態では、減速用遊星歯車装置16のサンギヤS1とミッションケース12との間に第2回転規制手段20を構成する第4制御ブレーキB−1とワンウエイクラッチF−1との並列経路を連結して歯車減速装置19を構成しているが、第4実施形態においては、減速用遊星歯車装置16のサンギヤS1をミッションケース12に直接連結して歯車減速装置19を構成している。第4実施形態の各速度段における各制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態を図10に示す。これは第3実施形態の各制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態を示す図7において、前進第3、第4変速段の中の第4制御ブレーキB−1とワンウエイクラッチF−1のいずれもが作動していないもの、換言すればサンギヤS1が回転規制されていないものを取り除いたものと同じであるので、詳細な説明を省略する。従って、速度線図も図8に示す第3実施形態からS1が回転規制されていないものを取り除いたのものと同じである。
【0056】
第4実施形態では、歯車減速装置19を減速用遊星歯車装置16で構成しているが、第5実施形態においては、減速用歯車列で歯車減速装置19を構成している。第4実施形態は、歯車減速装置19以外については、第4実施形態と同じであるので、図11に同一符号を付けて説明を省略し、第4実施形態と異なる減速用歯車列35及び減速用歯車列35と変速用複式遊星歯車装置17との接続関係について説明する。自動変速機10のトランスミッションケース12に回転可能に軸承された入力軸36に流体トルクコンバータ11のタービン32が連結され、この入力軸36に大径、及び小径歯車37,38が固定されている。大径歯車37と噛合する同径の第1歯車39が変速用複式遊星歯車装置17の軸線13上に回転可能に支承され、小径歯車38と噛合する第2歯車40が軸線13上に回転可能に支承されている。これにより第1歯車39は入力軸36の回転と同一回転数の入力回転で回転し、第2歯車40は入力回転より回転数が小さい減速回転で回転する。第1歯車39は第1制御クラッチC−1を介して第1連結要素R2,C3に連結され、第2歯車40は第4制御クラッチC−4を介して第1要素であるリングギヤR3に連結されている。第5実施形態における各制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態及び速度線図は、第4実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0057】
第3実施形態では、減速用遊星歯車装置16のキャリヤC1と第1要素であるリングギヤR3との間に連結された第4制御クラッチC−4により、第1要素の回転が規制されたとき、歯車減速装置19から第1要素に動力伝達が行われない開放状態を生成する開放状態生成手段26を構成しているが、第6実施形態においては、減速用遊星歯車装置16のリングギヤR1と入力軸15との間に連結された第4制御クラッチC−4により、第1要素の回転が規制されたとき、歯車減速装置19から第1要素に動力伝達が行われない開放状態を生成する開放状態生成手段26を構成している。この開放状態生成手段26以外の構成は、第3実施形態と同一であるので、図12に同一部品に同一参照番号を付して詳細な説明を省略する。第6実施形態における各制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態及び速度線図は、第3実施形態と同じである。
【0058】
開放状態生成手段26が作動する前進第6変速段において、第1制御クラッチC−1が接続されて第1連結要素R2,C3が入力軸15と同一回転数で回転され、第3制御クラッチC−3が接続されてサンギヤS2,S3が連結される。第3制御ブレーキB−2が作動されて第1要素であるリングギヤR3の回転が規制されるので、第1連結要素R2,C3に伝達された入力軸15の回転は、リングギヤR3により反力を支持され、第2連結要素S2,S3を介してキャリヤC2に減速して伝達され、出力軸18を第6変速段のギヤ比0.659で正転駆動する。このとき、第1要素であるリングギヤR3の回転は第1回転規制手段25としての第3制御ブレーキB−2により規制されている。そして、開放状態生成手段26としての第4制御クラッチC−4が切られ、リングギヤR1に入力軸15から回転が伝達されず、歯車減速装置19を構成する減速用遊星歯車装置16から第1要素であるリングギヤR3に動力伝達が行われない開放状態になる。
【0059】
第6実施形態では、減速用遊星歯車装置16のサンギヤS1とミッションケース12との間に第2回転規制手段20を構成する第4制御ブレーキB−1とワンウエイクラッチF−1との並列経路を連結して歯車減速装置19を構成しているが、第7実施形態においては、減速用遊星歯車装置16のサンギヤS1をミッションケース12に直接連結して歯車減速装置19を構成している。第7実施形態の各速度段における各制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態は図10に示す第4実施形態の場合と同じである。
【0060】
次に、第3実施形態の変速用複式遊星歯車装置17を他の構成にした第8実施形態について説明する。図14において、変速用複式遊星歯車装置41は、共通軸線13上に回転可能に支承されたサンギヤ、リングギヤ、サンギヤとリングギヤとに噛合するピニオンを支承するキャリヤの3個の基本要素で構成されるシングルピニオン型の第1遊星歯車機構42のリングギヤR2とシングルピニオン型の第2遊星歯車機構43のキャリヤC3とを連結して第1連結要素R2,C3を構成し、第1、第2遊星歯車機構42,43のキャリヤC2とリングギヤR3を第3制御クラッチC−3により係脱可能に連結して第2連結要素C2,R3を構成し、第2遊星歯車機構43のサンギヤS3と第1連結要素R2,C3とを第2制御クラッチC−2により係脱可能に連結して構成されている。キャリヤC2とリングギヤR3との間にはワンウエイクラッチF−2が介在され、リングギヤR3がキャリヤC2に対して逆転することを規制している。
【0061】
第1連結要素R2,C3は、入力軸15に第1制御クラッチC−1により係脱可能に連結されるとともに、ミッションケース12に設けられた第1制御ブレーキB−3に連結されている。第1遊星歯車機構42のキャリヤC2は出力軸18に連結され、サンギヤS2は第2制御ブレーキB−4に連結されている。第2遊星歯車機構43のサンギヤS3は減速用遊星歯車装置16のキャリヤC1に第4制御クラッチC−4を介して連結されるとともに、第3制御ブレーキB−2に連結されている。
【0062】
減速用遊星歯車装置16及び第4制御ブレーキB−1は、入力軸15に連結され入力軸15の回転より回転数が小さい減速回転を減速回転出力部材としてのキャリヤC1に生成する歯車減速装置19を構成する。第3制御ブレーキB−2は、第1要素である第2遊星歯車機構43のサンギヤS3の回転を選択的に規制する第1回転規制手段25を構成する。減速用遊星歯車装置16のサンギヤS1とミッションケース12との間に第2回転規制手段20を構成する第4制御ブレーキB−1とワンウエイクラッチF−1との並列経路を連結して歯車減速装置19を構成し、減速用遊星歯車装置16のキャリヤC1と第1要素であるサンギヤS3との間に連結された第4制御クラッチC−4により、第1要素の回転が規制されたとき、歯車減速装置19から第1要素に動力伝達が行われない開放状態を生成する開放状態生成手段26を構成することは、第3実施形態の場合と同一である。
【0063】
各速度段における各制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態を図15に示す。図16に示す変速用複式遊星歯車装置41の速度線図において、第1要素である第2遊星歯車機構43のサンギヤS3は、減速用遊星歯車装置16のキャリヤC1に第4制御クラッチC−4を介して連結されるとともに第3制御ブレーキB−2に連結され、第2要素である第1連結要素R2,C3は、第1制御クラッチC−1により入力軸15に係脱可能に連結されるとともに、第1制御ブレーキB−3に連結され、第3要素である第1遊星歯車機構42のキャリヤC2は出力軸18に連結され、第4要素である第1遊星歯車機構42のサンギヤS2は第2ブレーキB−4に連結されている。
【0064】
以下、各変速段の作動について説明する。前進第1変速段の場合、ワンウエイクラッチF−1によりサンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16は、入力軸15の回転より回転数の小さい減速回転をキャリヤC1に生成する。この減速回転は、第4制御クラッチC−4を介して第1要素であるサンギヤS3に伝達され、第2制御ブレーキB−4により回転を規制されたサンギヤS2に反力を支持されて第1連結要素R2,C3を介してワンウェイクラッチF−2により連結された第2連結要素C2,R3に伝達されて出力軸18を第1変速段のギヤ比で正転駆動する。
【0065】
前進第2変速段の場合、ワンウエイクラッチF−1によりサンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16は、減速回転をキャリヤC1に生成する。この減速回転は第4制御クラッチC−4を介してサンギヤS3に伝達され、第2制御クラッチC−2の接続により第2遊星歯車機構43は一体回転されるので、第1連結要素R2,C3も減速回転で回転され、第2制御ブレーキB−4により回転規制された第4要素であるサンギヤS2に反力を支持されてキャリヤC2と出力軸18を第2変速段で正転駆動する。このとき、第3制御クラッチC−3は切断されて第2連結要素C2,R3は分離され、ワンウエイクラッチF−2はリングギヤR3に対するキャリヤC2の逆転を許容するので、キャリヤC2は減速回転することができる。
【0066】
前進第3変速段の場合、第1制御クラッチC−1が接続されるので、入力軸15と第1連結要素R2,C3が接続され、第1遊星歯車機構42のリングギヤR2が入力軸15と同一回転数で回転される。サンギヤS2が第2制御ブレーキB−4により回転規制されるので、入力軸15に入力された回転は、第1遊星歯車機構42により減速され、キャリヤC2と出力軸18を第3変速段で正転駆動する。このとき、第3制御クラッチC−3は切断されて第2連結要素C2,R3は分離され、ワンウエイクラッチF−2はリングギヤR3に対するキャリヤC2の逆転を許容するので、キャリヤC2は減速回転することができる。
【0067】
前進第3変速段は、第1、第4制御クラッチC−1,C−4を接続し、第2制御ブレーキB−4を作動して生成することもできる。入力軸15の回転は、第1制御クラッチC−1を介して第1連結要素R2,C3に伝達される。サンギヤS2が第2制御ブレーキB−4により回転規制されるので、第1連結要素R2,C3に伝達された入力軸15の回転は、第1遊星歯車機構42により減速され、キャリヤC2と出力軸18を第3変速段で正転駆動する。このとき、ワンウエイクラッチF−1によりサンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16は、減速回転をキャリヤC1に生成し、第4制御クラッチC−4を介してサンギヤS3に伝達するが、第3制御クラッチC−3は切断され、ワンウエイクラッチF−2はキャリヤC2に対するリングギヤR3の正転を許容するので、リングギヤR3はキャリヤC2に回転を伝達しない。
【0068】
第1、第2制御クラッチC−1,C−2を接続し、第2制御ブレーキB−4を作動しても前進第3変速段を得ることができる。入力軸15の回転は、第1制御クラッチC−1を介して第1連結要素R2,C3に伝達される。サンギヤS2が第2制御ブレーキB−4により回転規制されるので、第1連結要素R2,C3に伝達された入力軸15の回転は、第1遊星歯車機構42により減速され、キャリヤC2と出力軸18を第3変速段で正転駆動する。このとき、ワンウエイクラッチF−1によりサンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16は、減速回転をキャリヤC1に生成するが、第4制御クラッチC−4が切られているのでサンギヤS3に伝達されない。
【0069】
前進第3変速段は、第2、第3、第4制御クラッチC−2,C−3,C−4を接続して生成することもできる。ワンウエイクラッチF−1の作動によりサンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16は、キャリヤC1を減速回転で回転し、この減速回転は第4制御クラッチC−4を介して第1要素のサンギヤS3に伝達される。第2、第3制御クラッチC−2,C−3が接続されるので、第1及び第2連結要素R2,C3及びC2,R3が連結されて変速用複式遊星歯車装置41が一体化され、キャリヤC2と出力軸18が、上述の第3変速段と異なる第3変速段で正転駆動される。
【0070】
前進第4変速段の場合、第1制御クラッチC−1が接続されて第1連結要素R2,C3が入力軸15と同一回転数で回転される。第2、第3制御クラッチC−2,C−3が接続されるので、第1及び第2連結要素R2,C3及びC2,R3が連結されて変速用複式遊星歯車装置41が一体化され、キャリヤC2と出力軸18を第4変速段のギヤ比1.000で正転駆動する。この場合、第4制御クラッチC−4を接続してキャリヤC1をサンギヤS3に接続し、減速用遊星歯車装置16を入力軸15と同一回転数で回転する。又は、第4制御クラッチC−4を切って、キャリヤC1をリングギヤR3との連結を遮断した状態で減速回転させておいてもよい。
【0071】
前進第5変速段の場合、第4制御ブレーキB−1が作動されるので、サンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16はキャリヤC1を減速回転する。この減速回転は第4制御クラッチC−4を介して第1要素であるサンギヤS3に伝達される。第1制御クラッチC−1が接続されて第1連結要素R2,C3が入力軸15と同一回転数で回転される。第3制御クラッチC−3が接続されてキャリヤC2とリングギヤR3とが連結されるので、キャリヤC2は入力軸15の回転とサンギヤS3の減速回転とに基づいて第5変速段で正転駆動される。
【0072】
前進第6変速段の場合、第1制御クラッチC−1が接続されて第1連結要素R2,C3が入力軸15と同一回転数で回転され、第3制御クラッチC−3が接続されてキャリヤC2とリングギヤR3とが連結される。第3制御ブレーキB−2が作動されて第1要素であるサンギヤS3の回転が規制されるので、第1連結要素R2,C3に伝達された入力軸15の回転は、サンギヤS3により反力を支持され、第2連結要素C2,R3に増速して伝達され、出力軸18を第6変速段で正転駆動する。このとき、第1要素であるサンギヤS3の回転は第1回転規制手段25としての第3制御ブレーキB−2により規制されている。そして、開放状態生成手段26としての第4制御クラッチC−4は切られ、歯車減速装置19を構成する減速用遊星歯車装置16から第1要素であるリングギヤR3に動力伝達が行われない開放状態になる。
【0073】
後退変速段の場合、ワンウエイクラッチF−1によりサンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16はキャリヤC1を減速回転する。この減速回転は第4制御クラッチC−4を介してサンギヤS3に伝達され、第1制御ブレーキB−3により回転を規制された第1連結要素R2,C3に反力を支持されてリングギヤR3を逆転し、ワンウエイクラッチF−2を介してキャリヤC2を逆転して出力軸18を後退変速段で逆転駆動する。
【0074】
第3実施形態では、第1要素であるリングギヤR3に連結された第3制御ブレーキB−2により第1回転制御手段25を構成しているが、第9実施形態においては、減速用遊星歯車装置16のサンギヤS1とミッションケース12との間に第2回転規制手段20を構成する第4制御ブレーキB−1とワンウエイクラッチF−1との並列経路を連結して歯車減速装置19を構成し、第1要素であるリングギヤR3を第4制御ブレーキB−1に第5制御クラッチC−5を介して連結し、第4制御ブレーキB−1と第5制御クラッチC−5とで第1回転規制手段25を構成している。そして、減速用遊星歯車装置16のキャリヤC1とリングギヤR3との間に連結された第4制御クラッチC−4により、第1要素の回転が規制されたとき、歯車減速装置19から第1要素に動力伝達が行われない開放状態を生成する開放状態生成手段26を構成している。
【0075】
各速度段における各制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態を図18に示し、速度線図を図19に示す。各変速段におけるギヤ比、及び増加割合は第3実施形態の場合と実質的に同じである。以下、各変速段の作動について説明する。前進第1変速段の場合、ワンウエイクラッチF−1によりサンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16は、入力軸15の回転より回転数の小さい減速回転をキャリヤC1に生成する。この減速回転は、第4制御クラッチC−4を介して第1要素であるリングギヤR3に伝達され、第2制御ブレーキB−4及びワンウェイクラッチF−2により回転を規制されたサンギヤS2,S3に反力を支持されて第1連結要素R2,C3を介して第3要素であるキャリヤC2に伝達され、出力軸18を第1変速段のギヤ比3.936で正転駆動する。
【0076】
前進第2変速段の場合、ワンウエイクラッチF−1によりサンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16は、減速回転をキャリヤC1に生成する。この減速回転はリングギヤR3に第4制御クラッチC−4を介して伝達され、第2制御クラッチC−2の接続により第2遊星歯車機構23は一体回転されるので、第1連結要素R2,C3も減速回転で回転され、第2制御ブレーキB−4により回転規制された第2連結要素のサンギヤS2に反力を支持されてキャリヤC2と出力軸18を第2変速段のギヤ比2.409で正転駆動する。このとき、第3制御クラッチC−3は切断されて第2連結要素S2,S3は分離され、ワンウエイクラッチF−2はサンギヤS3の正転を許容するので、サンギヤS3はリングギヤR3と一体的に減速回転することができる。
【0077】
第4、第5制御クラッチC−4,C−5を接続し、第2制御ブレーキB−4を作動しても前進第2変速段を得ることができる。第4、第5制御クラッチC−4,C−5が接続されると、リングギヤR1に入力軸15が連結された減速用遊星歯車装置16は一体回転され、キャリヤC1に第4制御クラッチC−4を介して連結された第2遊星歯車機構23のリングギヤR3が入力軸15と同一回転数で回転される。サンギヤS2,S2が第2制御ブレーキB−4及びワンウエイクラッチF−2により回転規制されるので、リングギヤR3に入力された回転は、サンギヤS2,S3に反力を支持されて第1連結要素R2,C3を介してキャリヤC2と出力軸18とを前進第2変速段で正転駆動する。
【0078】
前進第3変速段の場合、第1制御クラッチC−1が接続されるので、入力軸15と第1連結要素R2,C3が接続され、第1遊星歯車機構22のリングギヤR2が入力軸15と同一回転数で回転される。第2連結要素S2,S3のサンギヤS2が第2制御ブレーキB−4により回転規制されるので、入力軸15に入力された回転は、第1遊星歯車機構22により減速され、キャリヤC2と出力軸18を第3変速段のギヤ比1.488で正転駆動する。このとき、第4及び第5制御クラッチC−4,C−5が接続され、減速用遊星歯車装置16は一体化されて入力軸15と同一回転数で回転される。
【0079】
上述の制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態において、第4制御クラッチC−4を切って、第3制御クラッチC−3を接続しても前進第3変速段として形成される動力経路は同じである。この場合、第4制御クラッチC−4が切られてリングギヤR3とキャリヤC1が解離されるので、リングギヤR3は回転することができる。
【0080】
第1、第2、第4制御クラッチC−1,C−2,C−4を接続し、第2制御ブレーキB-4を作動しても前進第3変速段として形成される動力経路は同じである。この場合、ワンウエイックラッチF−2はサンギヤS3の正転を許容するので、第2制御クラッチC−2の接続により一体化された第2遊星歯車機構23は、入力軸15と同一回転数で回転される。
【0081】
第1、第3、第4制御クラッチC−1,C−3,C−4を接続し、第2制御ブレーキB−4を作動しても前進第3変速段として形成される動力経路は同じである。この場合、第5制御クラッチC−5が切られてリングギヤR3とサンギヤ1とが解離されるので、リングギヤR3は回転することができる。
【0082】
前進第3変速段は、第2、第3、第4制御クラッチC−2,C−3,C−4を接続し、第4制御ブレーキB-1を作動して生成することもできる。第4制御ブレーキB−1が作動されてサンギヤS1が回転を規制され、リングギヤR1に入力された入力軸15の回転は減速されてキャリヤC1は減速回転で回転される。この減速回転は第4制御クラッチC−4を介して第1要素のリングギヤR3に伝達される。第2、第3制御クラッチC−2,C−3が接続されるので、第1及び第2連結要素R2,C3及びS2,S3が連結されて変速用複式遊星歯車装置17が一体化され、キャリヤC2と出力軸18が第3変速段のギヤ比1.619で正転駆動される。
【0083】
前進第4変速段の場合、第1制御クラッチC−1が接続されて、第1連結要素R2,C3が入力軸15と同一回転数で回転される。リングギヤR1に入力された入力軸15の回転は、第4、第5クラッチC−4,C−5の接続により一体化された減速用遊星歯車装置16を介してリングギヤR3に伝達される。第3制御クラッチC−3が接続されるので、変速用複式遊星歯車装置17は一体回転され、キャリヤC2、出力軸18は第4変速段のギヤ比1.000で正転駆動される。
【0084】
第5制御クラッチC−5に換えて第2制御クラッチC−2を接続しても前進第4変速段を得ることができる。第1制御クラッチC−1が接続されて第1連結要素R2,C3が入力軸15と同一回転数で回転される。第2、第3制御クラッチC−2,C−3が接続されるので、第1及び第2連結要素R2,C3及びS2,S3が連結されて変速用複式遊星歯車装置17が一体化され、キャリヤC2と出力軸18がギヤ比1.000で正転駆動される。この場合、第4制御クラッチC−4を接続してキャリヤC1をリングギヤR3に接続し、減速用遊星歯車装置16を入力軸15と同一回転数で回転する。又は、第4制御ブレーキB−1を作動し、第4制御クラッチC−4を切った状態でキャリヤC1を減速回転させてもよい。
【0085】
前進第5変速段の場合、第4制御ブレーキB−1が作動されるので、サンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16はキャリヤC1を減速回転する。この減速回転は第4制御クラッチC−4を介して第1要素であるリングギヤR3に伝達される。第1制御クラッチC−1が接続されて第1連結要素R2,C3が入力軸15と同一回転数で回転される。第3制御クラッチC−3が接続されてサンギヤS2,S3は連結されるので、第3要素のキャリヤC2は、入力軸15の回転と第2連結要素S2,S3の増速回転とに基づいて第5変速段のギヤ比0.835で正転駆動される。
【0086】
前進第6変速段の場合、第1制御クラッチC−1が接続されて第1連結要素R2,C3が入力軸15と同一回転数で回転され、第3制御クラッチC−3が接続されてサンギヤS2,S3が連結される。第1要素であるリングギヤR3が第5制御クラッチC−5を介して第4制御ブレーキB−1の作動により回転を規制されるので、第1連結要素R2,C3に伝達された入力軸15の回転は、リングギヤR3により反力を支持され、第2連結要素S2,S3を介してキャリヤC2に増速して伝達され、出力軸18を第6変速段のギヤ比0.659で正転駆動する。このとき、第1要素であるリングギヤR3の回転は第1回転規制手段25としての第4制御ブレーキB−1及び第5制御クラッチC−5により規制されている。そして、開放状態生成手段26としての第4制御クラッチC−4は切られているので、キャリヤC1はリングギヤR3と切離され、歯車減速装置19を構成する減速用遊星歯車装置16から第1要素であるリングギヤR3に動力伝達が行われない開放状態になる。
【0087】
後退第1変速段の場合、ワンウエイクラッチF−1によりサンギヤS1が回転を規制されて減速用遊星歯車装置16はキャリヤC1を減速回転する。この減速回転は第4制御クラッチC−4を介してリングギヤR3に伝達され、第1制御ブレーキB−3により回転を規制された第1連結要素R2,C3に反力を支持されてサンギヤS3を逆転し、ワンウエイクラッチF−2を介してサンギヤS2を逆転してキャリヤC2と出力軸18を後退第1変速段のギヤ比3.130で逆転駆動する。
【0088】
後退第2変速段の場合、第4、第5制御クラッチC−4,C−5が接続されて減速用遊星歯車装置16は一体化され、リングギヤR1に入力された入力軸15の回転は、キャリヤC1に第4制御クラッチC−4により連結されたリングギヤR3に伝達され、第1制御ブレーキB−3により回転を規制された第1連結要素R2,C3に反力を支持されてサンギヤS3を逆転し、ワンウエイクラッチF−2を介してサンギヤS2を逆転してキャリヤC2と出力軸18を後退第2変速段のギヤ比1.933で逆転駆動する。
【0089】
第9実施形態では、減速用遊星歯車装置16のキャリヤC1と第1要素であるリングギヤR3との間に連結された第4制御クラッチC−4により、第1要素の回転が規制されたとき、歯車減速装置19から第1要素に動力伝達が行われない開放状態を生成する開放状態生成手段26を構成しているが、第10実施形態においては、減速用遊星歯車装置16のリングギヤR1と入力軸15との間に連結された第4制御クラッチC−4により、第1要素の回転が規制されたとき、歯車減速装置19から第1要素に動力伝達が行われない開放状態を生成する開放状態生成手段26を構成している。この開放状態生成手段26以外の構成は、第9実施形態と同一であるので、図20に同一部品に同一参照番号を付して詳細な説明を省略する。第10実施形態における各制御クラッチ、制御ブレーキの作動状態及び速度線図は、第9実施形態と同じである。
【0090】
開放状態生成手段26が作動する前進第6変速段において、第1制御クラッチC−1が接続されて第1連結要素R2,C3が入力軸15と同一回転数で回転され、第3制御クラッチC−3が接続されてサンギヤS2,S3が連結される。第1要素であるリングギヤR3が第5制御クラッチC−5を介して第4制御ブレーキB−1の作動により回転を規制されるので、第1連結要素R2,C3に伝達された入力軸15の回転は、リングギヤR3により反力を支持され、第2連結要素S2,S3を介してキャリヤC2に増速して伝達され、出力軸18を第6変速段のギヤ比0.659で正転駆動する。このとき、第1要素であるリングギヤR3の回転は第1回転規制手段25としての第4制御ブレーキB−1及び第5制御クラッチC−5により規制されている。そして、開放状態生成手段26としての第4制御クラッチC−4は切られているので、キャリヤC1はリングギヤR3と切離され、歯車減速装置19を構成する減速用遊星歯車装置16から第1要素であるリングギヤR3に動力伝達が行われない開放状態になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る自動変速装置の第1実施形態を示すスケルトン図である。
【図2】 第1実施形態の各速度段における制御ブレーキ及び制御クラッチの作動状態を示す図である。
【図3】 第1実施形態の各速度段における遊星歯車装置の各要素の回転比を示す速度線図である。
【図4】 第2実施形態を示すスケルトン図である。
【図5】 第2実施形態の各速度段における制御ブレーキ及び制御クラッチの作動状態を示す図である。
【図6】 第3実施形態を示すスケルトン図である。
【図7】 第3実施形態の各速度段における制御ブレーキ及び制御クラッチの作動状態を示す図である。
【図8】 第3実施形態の各速度段における遊星歯車装置の各要素の回転比を示す速度線図である。
【図9】 第4実施形態を示すスケルトン図である。
【図10】 第4実施形態の各速度段における制御ブレーキ及び制御クラッチの作動状態を示す図である。
【図11】 第5実施形態を示すスケルトン図である。
【図12】 第6実施形態を示すスケルトン図である。
【図13】 第7実施形態を示すスケルトン図である。
【図14】 第8実施形態を示すスケルトン図である。
【図15】 第8実施形態の各速度段における制御ブレーキ及び制御クラッチの作動状態を示す図である。
【図16】 第8実施形態の各速度段における遊星歯車装置の各要素の回転比を示す速度線図である。
【図17】 第9実施形態を示すスケルトン図である。
【図18】 第9実施形態の各速度段における制御ブレーキ及び制御クラッチの作動状態を示す図である。
【図19】 第9実施形態の各速度段における遊星歯車装置の各要素の回転比を示す速度線図である。
【図20】 第10実施形態を示すスケルトン図である。
【符号の説明】
10・・・自動変速機、11・・・流体トルクコンバータ、12・・・トランスミッションケース、13・・・共通軸線、15,36・・・入力軸、16・・・減速用遊星歯車装置、17,41・・・変速用複式遊星歯車装置、18・・・出力軸、19・・・歯車減速装置、20・・・第2回転規制手段、22,42・・・第1遊星歯車機構、23,43・・・第2遊星歯車機構、25・・・第1回転規制手段、26・・・開放状態生成手段、35・・・減速用歯車列、S1,S2,S3・・・サンギヤ、C1,C2,C3・・・キャリヤ、R1,R2,R3・・・リングギヤ、R2,C3・・・第1連結要素、S2,S3(C2,R3)・・・第2連結要素、C−1,C−2,C−3,C−4,C−5・・・第1、第2、第3、第4、第5制御クラッチ、B−1,B−2,B−3,B−4,B−5・・・第1、第2、第3、第4、第5制御ブレーキ、F−1,F−2・・・ワンウエイクラッチ。
Claims (10)
- 入力軸に連結され該入力軸の回転より回転数が小さい減速回転を減速回転出力部材に生成する歯車減速装置を設け、3個の基本要素で夫々構成される第1、第2遊星歯車機構の各1個の基本要素を連結して構成された第1連結要素と、各1個の他の基本要素を第3制御クラッチで係脱可能に連結して構成された第2連結要素と、残り2個の基本要素を速度線図においてギヤ比に対応した間隔で順次並べて並び順に第1、第2、第3及び第4要素とした変速用複式遊星歯車装置を設け、前記第1要素である前記第2遊星歯車機構の基本要素を前記歯車減速装置の減速回転出力部材に連結し、前記第2要素である前記第1連結要素を第1制御クラッチにより入力軸に係脱可能に連結し、前記第3要素を出力軸に連結し、前記第2遊星歯車機構の3個の基本要素の内2つの基本要素を第2制御クラッチにより係脱可能に連結し、前記第2要素の回転を第1制御ブレーキにより選択的に規制し、前記第4要素を構成する前記第1遊星歯車機構の基本要素の回転を第2制御ブレーキにより選択的に規制し、前記第1要素の回転を第1回転規制手段により選択的に規制し、前記第1要素の回転が規制されたとき前記歯車減速装置から前記第1要素に動力伝達が行われない開放状態を生成する開放状態生成手段を設け、
前記第1連結要素を前記第1制御クラッチにより入力軸に連結し、前記第1回転規制手段によって前記第1要素の回転を規制すると共に、前記開放状態生成手段によって前記歯車減速装置から前記第1要素に動力伝達が行われない開放状態を生成して、出力軸を最高速度段のギヤ比で正転駆動することを特徴とする自動変速機。 - 請求項1に記載の自動変速機において、入力軸に連結されたリングギヤ、第2回転規制手段により回転を選択的に規制されるサンギヤ、前記リングギヤとサンギヤとに噛合するピニオンを支承するキャリヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記キャリヤを前記減速回転出力部材として前記変速用複式遊星歯車装置の第1要素に連結し、前記第2回転規制手段を前記サンギヤに連結された第4制御ブレーキと前記サンギヤにワンウエイクラッチを介して連結された第5制御ブレーキとの並列経路又は前記サンギヤに連結された第4制御ブレーキで構成し、前記第2回転規制手段により前記開放状態生成手段を構成したことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1に記載の自動変速機において、前記歯車減速装置の前記減速回転出力部材を前記変速用複式遊星歯車装置の第1要素に第4制御クラッチにより係脱可能に連結し、該第4制御クラッチで前記開放状態生成手段を構成したことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1に記載の自動変速機において、入力軸に連結されたリングギヤ、ミッションケースに直接又は制御ブレーキとワンウエイクラッチとの並列経路を介して連結されて回転を規制されるサンギヤ、前記リングギヤとサンギヤとに噛合するピニオンを支承するキャリヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記減速回転出力部材である前記キャリヤを前記変速用複式遊星歯車装置の第1要素に第4制御クラッチにより係脱可能に連結し、前記第4制御クラッチで前記開放状態生成手段を構成したことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1に記載の自動変速機において、入力軸に固定された大径及び小径歯車と、前記変速用複式遊星歯車装置と同心に回転可能に支承され前記大径及び小径歯車と噛合する第1及び第2歯車とからなる減速用歯車列で前記歯車減速装置を構成し、前記減速回転出力部材である前記第2歯車を前記変速用複式遊星歯車装置の第1要素に第4制御クラッチにより係脱可能に連結し、前記第4制御クラッチで前記開放状態生成手段を構成したことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1に記載の自動変速機において、入力軸に第4制御クラッチにより係脱可能に連結されたリングギヤ、ミッションケースに直接又は制御ブレーキとワンウエイクラッチとの並列経路を介して連結されて回転を規制されるサンギヤ、前記リングギヤとサンギヤとに噛合するピニオンを支承するキャリヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記減速回転出力部材である前記キャリヤを前記変速用複式遊星歯車装置の第1要素に連結し、前記第4制御クラッチで前記開放状態生成手段を構成したことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1に記載の自動変速機において、入力軸に連結されたリングギヤ、サンギヤ、前記リングギヤとサンギヤとに噛合するピニオンを支承するキャリヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記減速回転出力部材である前記キャリヤを前記変速用複式遊星歯車装置の第1要素に第4制御クラッチにより係脱可能に連結し、前記サンギヤの回転を選択的に規制する制御ブレーキを前記第1要素に第5制御クラッチにより係脱可能に連結して前記第1回転規制手段を構成し、前記第4制御クラッチで前記開放状態生成手段を構成したことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1に記載の自動変速機において、入力軸に第4制御クラッチにより係脱可能に連結されたリングギヤ、サンギヤ、前記リングギヤとサンギヤとに噛合するピニオンを支承するキャリヤからなる減速用遊星歯車装置で前記歯車減速装置を構成し、前記減速回転出力部材である前記キャリヤを前記変速用複式遊星歯車装置の第1要素に連結し、前記サンギヤの回転を選択的に規制する制御ブレーキを前記第1要素に第5制御クラッチにより係脱可能に連結して前記第1回転規制手段を構成し、前記第4制御クラッチで前記開放状態生成手段を構成したことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の自動変速機において、前記変速用複式変速装置の第1、第2遊星歯車機構をシングルピニオン型とし、前記第2遊星歯車機構のリングギヤを前記第1要素とし、第1遊星歯車機構のリングギヤと第2遊星歯車機構のキャリヤとを連結して前記第2要素とし、前記第1遊星歯車機構のキャリヤを前記第3要素とし、第1、第2遊星歯車機構のサンギヤを前記第3制御クラッチで係脱可能に連結して前記第4要素としたことを特徴とする自動変速機。
- 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の自動変速機において、前記変速用複式変速装置の第1、第2遊星歯車機構をシングルピニオン型とし、前記第2遊星歯車機構のサンギヤを前記第1要素とし、第1遊星歯車機構のリングギヤと第2遊星歯車機構のキャリヤとを連結して前記第2要素とし、前記第1遊星歯車機構のキャリヤと第2遊星歯車機構のリングギヤとを前記第3制御クラッチで係脱可能に連結して前記第3要素とし、前記第1遊星歯車機構のサンギヤを前記第4要素としたことを特徴とする自動変速機。
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