JP4514024B2 - 伝火薬成形体及びこれを有するガス発生器 - Google Patents

伝火薬成形体及びこれを有するガス発生器 Download PDF

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Description

本発明は、ガス発生剤の着火性を改善することを目的とした伝火薬成形体、即ち、少量で良好な着火能を有する伝火薬成形体及びこれを有するガス発生器に関するものである。
エアバッグ装置は、自動車乗員の安全性向上のため、近年広く採用されている乗員保護装置である。その原理は、センサが衝突を検知することにより電気信号を発し、ガス発生器を作動させて、エアバックを展開し、衝突による乗員への衝撃をやわらげる働きをする。このガス発生器は温度、湿度、振動等の過酷な環境条件においても正常に作動することを要求された信頼性の高い自動車安全性部品でなければならない。
ガス発生器が作動する順序としては、衝突を感知したセンサからの信号により点火装置がまず発火し、次に伝火薬に伝火した後、伝火薬の火炎及びそれに含まれる金属の熱粒子により、ガス発生剤を着火させる。ここで、伝火薬の役目は、遅延なく、ガス発生剤を着火させ、ガス発生剤の燃焼を開始させることである。燃焼を開始したガス発生器は所定の時間で充分なガスを発生し,エアバッグを膨らませることで、乗員を保護するという本来の性能を発揮する。したがって、伝火薬に求められる特性は、点火装置の作動から遅延なく、ガス発生剤の燃焼を開始させることである。従来使用されている伝火薬には、約15〜30重量%(一般的には約25重量%)のホウ素と約70〜85重量%(一般的には約75%)の硝酸カリウムを主成分とする所謂『ボロン硝石』が一般的に使用されている。この伝火薬は、熱安定性に優れおり、瞬時に燃焼し、発熱量が大きく、また周囲の圧力変化による燃焼速度変化の割合が小さい等の利点から多用されている。また、ボロン硝石の使用形態としては顆粒状薬として使用されるのが一般的である。
近年、ボロン硝石に替わる伝火薬として、エアバッグ用ガス発生器に使用可能なものが開発されている。例えば、特許文献1には、5−アミノテトラゾール、ボロン微粉末、硝酸カリウム、三酸化モリブデン、バインダ−を含み、発熱量が4500J/g以上である自動発火性の伝火薬組成物が開示されている。また、特許文献2には、ホウ素粉末、硝酸カリウム、バインダ−を含む点火薬棒状体が開示されている。
しかし、特許文献1に記載の自動発火性エンハンサー剤(伝火薬)組成物及び特許文献2に記載の点火薬棒状体では、その燃焼速度が50〜350m/秒の範囲にあること及びその嵩密度が0.90〜1.20g/cmの範囲にあることについて触れられていない。また、特許文献2に記載の点火薬棒状体では、含窒素有機化合物を含むことについて触れられていない。
特開2001―80986号公報 特表2003―524565号公報
従来、伝火薬は、ガス発生剤の着火遅れがない様に、燃焼速度の速いものが要求されており、ガス発生剤の変化、特に着火性の悪いガス発生剤に対しては、使用薬量を増加させることで、確実な着火を確保してきた。その場合、伝火薬は発生熱量が多いため、ガス発生器内の冷却部材への負荷が大きくなり、使用冷却部材の増加、しいてはガス発生器の総重量増加となり、好ましくない。また、伝火薬は燃焼後、その大部分が固体残渣なり、使用量が多い場合には、最悪、ガス発生器からの流出残渣となってバッグ損傷となる可能性がある。
本発明は、反応性の悪い(着火性の悪い)ガス発生剤に対し、伝火薬の燃焼速度を調整することにより、少量で確実にガス発生剤の燃焼を開始させる伝火薬成形体及びこれを有するガス発生器を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、伝火薬の燃焼速度を調整することにより、反応性の悪い(着火性の悪い)ガス発生剤を使用した場合においても良好な着火性を示すことを見出した。
即ち、本発明は、次の(1)〜(8)に関する。
(1)次の(a)、(b)、(c)の各成分を含み、発熱量が4500J/g以上であり 、1〜10mmに分級され、更に嵩密度が0.90〜1.20g/cmである伝火 薬成形体。
(a)金属粉末
(b)含窒素有機化合物
(c)酸化剤
(2)燃焼速度が50〜350m/秒である(1)に記載の伝火薬成形体。
(3)成形物1個あたりの表面積が10〜150mm/個である(1)又は(2)に記 載の伝火薬成形体。
(4)金属粉末がボロン、アルミニウム、マグネシウム、マグナリウム、シリコン、チタ ン、水素化チタン及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1種以上である(1) 〜(3)のいずれか一項に記載の伝火薬成形体。
(5)前記含窒素有機化合物がテトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、ヒドラジン誘 導体及び金属錯体より選ばれた少なくとも1種以上である(1)〜(4)のいずれ か一項に記載の伝火薬成形体。
(6)前記酸化剤が硝酸カリウム、硝酸ナトリウム及び硝酸ストロンチウムからなる群か ら選ばれる少なくとも1種以上である(1)〜(5)のいずれか一項に記載の伝火 薬成形体。
(7)前記テトラゾール誘導体を3〜20重量%、前記ボロンを5〜30重量%、前記硝 酸カリウムを50〜85重量%、成形用バインダーを2〜15重量%用いる(1) 〜(6)のいずれか一項に記載の伝火薬成形体。
(8)(1)〜(7)のいずれか一項に記載の伝火薬成形体を有する自動車乗員保護装 置用ガス発生器。
従来の伝火薬は、ガス発生剤の着火性確保のために顆粒状で燃焼速度が速いことを特徴としていたが、本発明では、伝火薬を成形体とし、燃焼速度を従来の伝火薬よりも遅くすることで、燃焼時間を長くし、使用薬量を増加させることなく、着火性の悪いガス発生剤の燃焼を確実に開始させることができる。また、本発明の伝火薬成形体を使用した場合には、自動車乗員保護装置用ガス発生器に要求される低温環境下でのガス発生剤への着火性において、良好な着火性を示した。
本発明は、(a)金属粉末、(b)含窒素有機化合物、(c)酸化剤の各成分を含み、発熱量が4500J/g以上であり、1〜10mmに分級され、更に嵩密度が0.90〜1.20g/cmである伝火薬成形体に関する。
本発明の伝火薬成形体では、少なくとも1種以上の金属粉末が使用される。本発明において使用可能な金属粉末は、熱粒子となりうるものであれば特に限定されるものではなく、金属単体の粉末のみならず合金の粉末なども採用することができる。
金属粉末の具体例としては、例えばボロン、アルミニウム、マグネシウム、マグナリウム、シリコン、チタン、水素化チタン、ジルコニウムが挙げられ、取り扱い危険性の低さや価格の安さから、特にボロンが好ましい。金属粉末の伝火薬成形体への含有量(割合)は多くなるほど発熱量は増加し、金属熱粒子も多くなる。その含有量は、5〜30重量%が好ましく、より好ましくは、16〜25重量%である。含有量が5重量%以下である場合には、発熱量の低下、金属熱粒子の減少を招き、また、30重量%以上である場合には、伝火薬成形体中で使用される酸化剤量が減少し、着火能力が低下する。
本発明の伝火薬成形体では、ガス発生剤の燃料成分として使用される含窒素有機化合物が使用される。本発明では、伝火薬に含窒素有機化合物を添加することで、燃焼により火炎を発生させ、金属成分由来の金属粒子との両方で着火性能を向上させることができるものである。この含窒素有機化合物としては、例えば一般的にエアバッグ用ガス発生剤に燃料成分として使用可能なテトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、ヒドラジン誘導体又は金属錯体などを用いることができ、含窒素有機化合物の伝火薬成形体への含有量(割合)は、金属粉末、酸化剤、添加剤の種類、酸素バランス等により異なるが、好ましくは30〜70重量%、更に好ましく35〜60重量%である。
テトラゾール誘導体としては、テトラゾール、5−アミノテトラゾール、ビテトラゾール又はビテトラゾールジアンモニウム塩等を用いるのが好ましい。中でも、5−アミノテトラゾールは、含窒素有機化合物成分の中で、安定性、安全性を含めて極めて取り扱いが容易であり、価格も安価であって、含窒素有機化合物の中でより好ましい物質である。
グアニジン誘導体としては、ニトログアニジン、硝酸グアニジン、硝酸アミノグアニジン及びそれらの混合物より成る群から選ばれる1種以上を用いるのが好ましい。特に硝酸グアニジンは比較的低コストであり、200℃より高い融点を有し、極めて熱的に安定性であること、更には耐環境性の観点などから好適なものである。
ヒドラジン誘導体としては、カルボジヒドラジド等を用いるのが好ましい。
金属錯体としては、遷移金属のヒドラジン錯体、アンミン錯体等を用いるのが好ましく、アンミン錯体には、硝酸ヘキサアンミンコバルトが挙げられる。
含窒素有機化合物の伝火薬成形体中への含有量(割合)は、3〜25重量%が好ましく、より好ましくは、5〜15重量%の範囲である。含窒素有機化合物の含有量が、25重量%以上含有する場合は、ガス発生剤の発熱量低下、及び金属熱粒子の減少、すなわち、着火力不足を招き、また、3重量%以下である場合には、ガス流不足により着火力低下となる。
含窒素有機化合物の50%粒径は、大きすぎると伝火薬成形体とした場合の強度が低下し、また、小さすぎると粉砕に多大なコストを必要とするため、5〜80μmが好ましく、さらに好ましくは、10〜50μmである。なお、本明細書において50%粒径とは個数基準50%平均粒径を示すものである。
本発明の伝火薬成形体では、酸化剤が使用される。この酸化剤としては、例えば硝酸塩、過塩素酸塩、塩素酸塩、金属酸化物、金属過酸化物等が挙げられる。中でも安全性、安定性、価格の観点より、硝酸塩が好ましく、具体的には硝酸カリウム、硝酸ナトリウム及び硝酸ストロンチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上からなるものがよい。特に、硝酸カリウムは、吸湿性がないことや取り扱いが容易であることより好ましい。酸化剤の伝火薬成形体中への含有量(割合)は、50〜85重量%が好ましく、より好ましくは60〜80重量%である。その含有量が、50重量%以下の場合、酸素供給量が不足して不完全燃焼になり、有害な一酸化炭素を生成する。85重量%以上では、有害な窒素酸化物を発生する。
本発明の伝火薬成形体は、自動車乗員保護拘束装置に用いられるガス発生器に好適に使用され、伝火薬成形体の酸素バランスを調整することにより、良好なガスの着火性を有するものである。
本発明の伝火薬成形体の発熱量は、該組成物中の金属粉末の含有量に比例して増大するが、伝火薬成形体を組み込んだガス発生器が問題なく作動するためには、通常、4500J/g以上、好ましくは、6000J/g以上であることが必要である。伝火薬成形体の発熱量は、ガス発生剤への着火性能に、直接的に影響するため、発熱量は多い方がよいが、ガス発生器内に組み込まれた冷却部品等への影響を考慮し、7500J/g以下にするのがより好ましい。
本発明の伝火薬成形体は、粉状、顆粒状でなく、任意の成形法により成形された成形品である。成形品は、目開き1mmと目開き10mmの篩を用いて1mm〜10mmに分級され、且つ嵩密度が0.90〜1.20g/cmであり、好ましくは目開き1mmと目開き8mmの篩を用いて1〜8mmに分級され、且つ嵩密度が1.00〜1.15g/cmである。成形品が1mmよりも小さい場合には、嵩密度が小さく、ガス発生器で必要な量が充填できず、充分な着火性能が得られない。更に燃焼速度が速いために、本発明の好適な燃焼速度範囲から外れ、良好な着火性能が得られない。また成形品が10mmよりも大きい場合においても、同様に嵩密度が小さく、ガス発生器で必要な量が充填できず、充分な着火性能が得られない。更に燃焼速度が遅いために、本発明の好適な燃焼速度範囲から外れ、良好な着火性能が得られない。
本発明の伝火薬成形体の燃焼速度は、通常、50〜350m/秒、好ましくは100〜250m/秒である。この範囲から外れるものであれば、速い遅いに関係なく、着火遅れが発生する。燃焼速度はインチ鋼管に伝火薬成形体を充填し、光ファイバー法により測定される。後記する実施例にて詳細に説明をする。
本発明の伝火薬成形体は、その成形物1個あたり10〜150mm/個、より好ましくは15〜100mm/個の表面積を有する成形体であり、これら範囲を外れるものであれば、着火遅れを発生し、良好な着火性能を得られない。
本発明の伝火薬成形体の一般的な成形方法として、例えば転動造粒法、押出成形法、圧縮成形法、破砕造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法、噴霧乾燥造粒法、溶融凝固造粒法等が挙げられ、特にこれら成形法に限定されるものではないが、本発明では、押出成形法、圧縮成形法、溶融凝固造粒法を用いるのが好ましい。
本発明の伝火薬成形体の形状は、通常、粉状、顆粒状のように表面積の小さいものでなければよく、具体的には、丸薬、錠剤、ペレット、クリンカ、ブリケット、単孔円筒状、多孔円筒状等が挙げられる。形状がペレットの場合、本発明の伝火薬成形体の直径は、1〜10mmが好ましく、1〜8mmがより好ましく、また、その長さは、1〜10mmが好ましく、1〜8mmがより好ましい。
本発明の伝火薬成形体に使用される各成分の粒径について説明する。各成分の好ましい粒径は、含窒素有機化合物では50%粒径が1〜30μm、酸化剤では50%粒径が20〜100μm、金属粉末では50%粒径が0.5〜20μmであり、より好ましくは、含窒素有機化合物では50%粒径が10〜20μm、酸化剤では50%粒径が40〜70μm、金属粉末では50%粒径が1〜15μmである。
本発明の伝火薬成形体は、少なくとも1種の成形用バインダ−を含有することができる。成形用バインダ−は、伝火薬成形体の燃焼性に大幅な悪影響を与えないものであれば何れでも使用可能である。
本発明の伝火薬組成物は、少なくとも1種の成形用バインダ−を含有することができる。成形用バインダ−は、伝火薬の燃焼性に大幅な悪影響を与えないものであれば何れでも使用可能であり、成形用バインダ−としては、例えばカルボキシメチルセルロースの金属塩、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、微結晶性セルロース、グアガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、澱粉等の高分子バインダ−、ステアリン酸塩等の有機バインダ−、二硫化モリブデン、合成ヒドロキシタルサイト、酸性白土、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、カオリン、シリカ、アルミナ等の無機バインダ−等を挙げることができる。中でも、耐熱性、成形性の観点よりヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、酸性白土、カオリン、合成ヒドロキシタルサイトを用いることが好ましく、これらを2種以上組み合わせることにより、更に効果的である。ニトロセルロースは、例えば亜硝酸イソアミルに溶解して用いることができる。
無機バインダーは、燃焼ガスに影響することなく、その添加量により燃焼速度の調整が可能であり、本発明で使用されうる成形用バインダーとして有効である。また、有機バインダーとの併用により、燃焼ガス成分に影響を及ぼす有機バインダーの使用量を少なくすることが可能である。
また、成形用バインダ−は、成形方法に応じて選択される。本発明で使用されうる成形用バインダ−の伝火薬成形体中への含有量は、好ましくは2〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%である。成形用バインダ−の含有量が2重量%未満である場合には、成形体の強度低下につながり、燃焼速度が増大し、本発明の目的を達成できない。成形用バインダ−の含有量が15重量%を超える場合には、燃焼速度が極めて遅くなるために着火遅れを発生する。また、多量の一酸化炭素等の有害ガスを発生する。
本発明の伝火薬成形体は、必要により、成形用助剤を含有することができる。成形用助剤は、圧縮成形の場合には、例えば圧縮物の一部が圧縮杵へ付着することを防止するため、また、押出成形の場合には、例えば押出圧力を低減するため等の、成形体の製造を容易にするために添加される。この成形用助剤としては、例えば、上記のバインダ−において使用される有機化合物が挙げられる。バインダ−との違いは、その添加量で、バインダ−の場合は、その性能を発揮させるためには、少なくとも2重量%の添加が必要であるが、成形用助剤として使用する場合、その性能を発揮させるためには、2重量%未満、好ましくは、0.2〜1.5重量%程度である。
本発明の伝火薬成形体は、必要により、自動発火発現触媒を含むことができる。自動発火発現触媒には、例えば三酸化モリブデン等が挙げられる。自動発火発現触媒の伝火薬成形体中への含有量(割合)は、0.2〜10重量%の範囲が好ましい。
次に、本発明の伝火薬成形体における各成分の好ましい組合せについて説明する。金属粉末としてはボロン、含窒素有機化合物としては5−アミノテトラゾールを用いるのがもっとも好ましく、酸化剤としては硝酸カリウムを用いるのがもっとも好ましい。成形用バインダーとしては、A)ヒドロキシプロピルセルロース、B)ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、C)酸性白土、カオリン、合成ヒドロキシタルサイトが好ましく、成形用バインダー中で、A)成分が30〜70重量%、B)成分が0〜35重量%、C)成分が0〜40重量%であることが好ましい。そして、各成分の好ましい組成比は、5−アミノテトラゾールが3〜20重量%、ボロンが5〜30重量%、硝酸カリウムが50〜85重量%、成形用バインダ−が2〜15重量%であり、より好ましくは、5−アミノテトラゾールが5〜15重量%、ボロンが10〜20重量%、硝酸カリウムが65〜80重量%、成形用バインダ−が2〜10重量%である。そして、この組成比の範囲において、その発熱量が少なくとも4500J/g以上が好ましく、さらに好ましくは6000J/g以上に調整される。
次に、本発明の伝火薬成形体の製造法について説明する。本発明の伝火薬成形体は、圧縮成形、押出成形等の何れの方法にても実施可能である。なお、成形後に80〜110℃で熱処理を行うことで、伝火薬成形体を充分に乾燥させ、水分に起因する着火遅れの防止や耐環境性の向上の果たすことができる。
まず、圧縮成形の場合、金属粉末、含窒素有機化合物及び酸化剤、必要により、成形用バインダー、成形用助剤を所定量計り取り、V型混合機で均一に混合した後、直接、粉末状組成物を圧縮成形機に投入するか、或いは混合粉末に溶媒を加え、造粒を行い、熱処理を行って、顆粒状伝火薬を得、これを圧縮成形機に投入して伝火薬成形体が得られる。得られた伝火薬成形体は何れの方法の場合においても、熱処理を行い、分級し、伝火薬成形体として用いられる。
押出成形を行う場合、同様に各成分をスパイラルミキサーに計り取り、外割りで8〜25重量%の水或いは有機溶媒(好ましくは、アセトン、トルエン、シクロペンタノン、酢酸エチル、酢酸イソアミル等)、若しくはアルコール(好ましくはエタノ−ル)−水(好ましくはイオン交換水)混合溶媒を加え、十分に混練し、粘性を有する湿薬にする。その後、真空混練押出成形機を用いて、所望の形状に押出成形し、適宜切断した後、熱処理を行 い、分級し、得られた押出成形体を伝火薬成形体として用いる。
次に、本発明のガス発生器について、図1等を用いて説明する。図1は、ガス発生器の断面図である。本発明のガス発生器1は、上蓋6と、下蓋10と、点火器2と伝火薬3が配置された中央の点火手段7と、その周囲のガス発生剤4が充填された燃焼室8と、さらに冷却フィルタ−部材9とから構成されている。ガス発生器1は、主に、例えば運転席用等の自動車乗員保護装置用のものとして好適に使用される。
ガス発生器1の構造を具体的に説明する。上蓋6及び下蓋10は、鉄、ステンレス、アルミニウム、鋼材等の金属でできている。上蓋6と下蓋10は、圧接、溶接によって接合されている。上蓋6には、複数のガス放出孔11が形成されている。ガス放出孔11を燃焼室8側から帯状のアルミニウムテ−プ等のラプチャ−部材12が貼り付けられ、燃焼室8内を密封している。
中央に設けられている点火手段7は、周囲に複数の伝火孔15を有する有底の内筒体13と、この内筒体13内に装填された伝火薬3と、この伝火薬3に接するように設けられた点火器2とで構成されている。伝火薬3は、本発明のものが用いられる。内筒体13は、点火手段保持部に対しカシメ固定等の方法により固定されている。
上蓋6及び下蓋10内には、フィルタ部材9が設けられている。冷却フィルタ部材9は、例えばメリヤス編み金網、平織金網、クリンプ織り金属線材或いは巻き金属線材の集合体を円環状に成形することによって安価に製造される。
冷却フィルタ部材9の外周部のガス放出孔11の周辺部には、フィルタ押え部材5が設けられている。フィルタ押え部材5は、いわゆるパンチングメタルと称される複数の孔が形成された板状部材がリング状に形成されているものである。このように、ガス放出孔11の周辺部の冷却フィルタ部材9の外周部にフィルタ押え部材5を設けることで、ガスが放出する際の圧力によって冷却フィルタ部材9が変形することが抑制される。
冷却フィルタ部材9の内周部内にはガス発生剤4が装填されて、燃焼室8となっている。そして、これらガス発生剤4が、点火手段7からの火炎及び熱粒子によって燃焼する。
ガス発生剤4について説明する。ガス発生剤4は、通常、燃料成分、酸化剤、添加剤から構成される。
燃料成分としては、含窒素有機化合物が挙げられ、含窒素有機化合物には、トリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体から選ばれる1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
トリアゾール誘導体としては、例えば、5−オキソ−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。
テトラゾール誘導体としては、例えば、テトラゾール、5−アミノテトラゾール、硝酸アミノテトラゾール、ニトロアミノテトラゾール、5,5'−ビ−1H−テトラゾール、5,5'−ビ−1H−テトラゾールジアンモニウム塩、5,5'−アゾテトラゾールジグアニジウム塩等が挙げられる。
グアニジン誘導体としては、例えば、グアニジン、ニトログアニジン、シアノグアニジン、トリアミノグアニジン硝酸塩、硝酸グアニジン、硝酸アミノグアニジン、炭酸グアニジン等が挙げられる。
アゾジカルボンアミド誘導体としては、例えばビウレット、アゾジカルボンアミド等が挙げられる。
ヒドラジン誘導体としては、例えばカルボヒドラジド、カルボヒドラジド硝酸塩錯体、蓚酸ジヒドラジド、ヒドラジン硝酸塩錯体、アンミン錯体等を挙げることができる。
本発明では、反応性の悪い(着火性の悪い)グアニジン誘導体、具体的には硝酸グアニジン、硝酸アミノグアニジン、炭酸グアニジン、トリアミノグアニジン硝酸塩、ニトログアニジンを燃料成分に用いたガス発生剤を用いることができ、これらの場合において、特に効果的である。なかでも硝酸グアニジンは安価であり、分子中に、酸素原子を含有し、完全燃焼に必要な酸化剤が少なくて済むことから高い発生モル数が期待できる。また、高い負の標準生成エンタルピーΔHfを有し、その結果、ガス発生剤の燃焼中に放出されるエネルギー量は小さく、ガス混合物の燃焼温度を低く抑えることが出来、ガス発生剤用燃料としては好適である。
含窒素有機化合物のガス発生剤中への配合割合は、分子式中の炭素原子、水素原子及びその他の酸化される原子の数によって異なるが、通常20〜70重量%の範囲が好ましく、30〜60重量%の範囲が特に好ましい。ガス発生剤中の酸化剤の種類により、含窒素有機化合物の配合割合の絶対数値は異なるが、完全酸化理論量より多いと発生ガス中の微量一酸化炭素濃度が増大し、完全酸化理論量及びそれ以下になると発生ガス中の微量窒素酸化物濃度が増大する。従って両者の最適バランスが保たれる範囲が最も好ましい。
酸化剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニウムから選ばれたカチオンを含む硝酸塩、亜硝酸塩、過塩素酸塩の少なくとも1種から選ばれた酸化剤が好ましい。硝酸塩以外の酸化剤、即ち亜硝酸塩、過塩素酸塩等のエアバッグ用ガス発生器分野で多用されている酸化剤も用いることができるが、硝酸塩に比べて亜硝酸塩分子中の酸素数が減少すること又はバッグ外へ放出されやすい微粉状ミストの生成を減少させる等の観点から硝酸塩が、より好ましい。
硝酸塩としては、例えば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ストロンチウム、相安定化硝酸アンモニウム、塩基性硝酸銅等を挙げることができ、硝酸ストロンチウム、相安定化硝酸アンモニウム、塩基性硝酸銅が特に好ましい。
ガス発生剤中への酸化剤の配合割合は、用いられる含窒素有機化合物の種類と量により絶対数値は異なるが、30〜80重量%の範囲が好ましく、特に上記の一酸化炭素及び窒素酸化物濃度に関連して40〜75重量%の範囲が好ましい。
添加剤としては、例えばバインダ−、成形用助剤、スラグ形成剤、燃焼調整剤等が挙げられる。
バインダーは、ガス発生剤の燃焼挙動に大幅な悪影響を与えないものであれば何れでも使用可能である。バインダーとしては、例えばカルボキシメチルセルロースの金属塩、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、微結晶性セルロース、グアガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、澱粉等の高分子化合物、ステアリン酸塩等の有機バインダー、二硫化モリブデン、合成ヒドロキシタルサイト、酸性白土、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、カオリン、シリカ、アルミナ等の無機バインダー等を挙げることができる。
ガス発生剤4中へのバインダーの配合割合は、圧縮成形の場合、2〜10重量%の範囲が好ましく、押出成形においては2〜15重量%の範囲であることが好ましい。量的には多い側でより成形体の破壊強度が強くなるが、ガス発生剤4中への炭素原子及び水素原子の数が増大し、炭素原子の不完全燃焼生成物である微量一酸化炭素ガスの濃度が増大し、発生ガスの品質を低下させ、また燃焼を阻害することから、最低量での使用が好ましい。特に15重量%を超える量では酸化剤の相対的存在割合の増大を必要とし、ガス発生剤4の相対的割合が低下し、実用できるガス発生器システムの成立が困難となる。
成形用助剤は、圧縮成形の場合には、例えば圧縮物の一部が圧縮杵へ付着することを防止するため、また、押出成形の場合には、例えば押出圧力を低減するため等の、成形体の製造を容易にするために添加される。この成形用助剤としては、例えば、上記のバインダ−において使用される有機化合物が挙げられる。バインダ−との違いは、その添加量で、バインダ−の場合は、その性能を発揮させるためには、少なくとも2重量%の添加が必要であるが、成形用助剤として使用する場合、その性能を発揮させるためには、2重量%未満、好ましくは、0.2〜1.5重量%程度である。
スラグ形成剤は、ガス発生剤4中の特に酸化剤成分から発生する金属酸化物との相互作用により、ガス発生器1内のフィルターでの濾過を容易にするために添加される。
スラグ形成剤としては、例えば窒化珪素、炭化珪素、酸性白土、シリカ、ベントナイト系、カオリン系等のアルミノケイ酸塩を主成分とする天然に産する粘土、合成マイカ、合成カオリナイト、合成スメクタイト等の人工的粘土、含水マグネシウムケイ酸塩鉱物の一種であるタルク等から選ばれるものを挙げることができ、これらの中でも酸性白土又はシリカが好ましく、特に酸性白土が好ましい。
スラグ形成剤の配合割合は0〜20重量%の範囲が好ましく、2〜10重量%の範囲が特に好ましい。多すぎると線燃焼速度の低下及びガス発生効率の低下をもたらし、少なすぎるとスラグ形成能を十分発揮することができない。
燃焼調整剤としては、例えば金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト、或いはヘキソ−ゲン、オクト−ゲン、3−ニトロ−1,2,4−トリアゾ−ル等の化合火薬が使用可能である。金属酸化物としては、好ましくは、酸化銅、酸化鉄、酸化コバルト、二酸化マンガン、酸化亜鉛等である。
燃焼調整剤の配合割合は0〜20重量%の範囲が好ましく、2〜10重量%の範囲が特に好ましい。多すぎるとガス発生効率の低下をもたらし、また、少なすぎると十分な燃焼速度を得ることができない。
ガス発生剤4の形状としては、例えば丸薬、錠剤、ペレット、ブリケット、単孔円筒状、多孔円筒状、ディスク状等が挙げられる。
ガス発生器1は、1筒式のガス発生器として、主に、運転席側のインストルメントパネル内に装着されることになるエアバッグモジュールに組み込まれる。エアバッグモジュールに取り付けられる際には、フランジ14をモジュールに固定することによって取り付けることができる。
そして、エアバッグモジュールに組み込まれた後、ガス発生器1の点火手段7は、図示省略する車両側コネクタに接続される。
以上のようにして、自動車に搭載されたガス発生器1は、例えば、衝突センサが自動車の衝突を検出することで、点火手段7に接続されているスクイブ点火回路によって点火手段7が作動して、燃焼室8内のガス発生剤4を燃焼させて高温ガスを発生させる。このとき、燃焼室8内は圧力が上昇する。そして、燃焼室8内で発生した高温ガスは、冷却フィルタ部材9を通過して、ラプチャー部材12を破ってガス放出孔11から放出される。高温ガスが冷却フィルタ部材9を通過する際に、ガスの冷却及び残渣の捕集がなされる。また、冷却フィルタ部材9が、燃焼室8の略全域にわたり設けられているため、冷却フィルタ部材9を有効に利用することができる。このため、十分に冷却されるとともに、残渣が十分に捕集されたガスを放出することが可能となる。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
実施例1
ボロン微粉末:12.0重量部をスパイラルミキサーに計り採り、エタノール:3.0重量部/イオン交換水:15.0重量部のエタノール水を加えて混合してスラリー状とした。別途、5−アミノテトラゾール(50%粒径、15μm):11.0重量部、硝酸カリウム(50%粒径、60μm):70.5重量部、酸性白土(50%粒径、17μm):1.5重量部、ヒドロキシプロピルセルロース{商品名;メトロ−ズ 90SH−100000(信越化学工業株式会社製)}:3.0重量部、ポリビニルピロリドン{商品名;ルビスコ−ル K90(BASF製)}:2.0重量部をV型混合機により乾式混合した。次に、この混合物をスパイラルミキサーにて混練し、湿状混練薬とした。この混練薬を真空混練押出機に投入し、直径1.8mmのダイスを通して押出成形し、長さ2.5mm(成形体表面積:19.2mm/個)で切断を行った。これを55℃で8時間、続いて110℃で8時間乾燥させ、目開き1mmの篩及び2.8mmの篩を用いて分級し、粉状、異形品を除去し、目開き1mmの篩上に、本発明の伝火薬成形体を得た。
実施例2
5−アミノテトラゾール(50%粒径、15μm):11.7重量部、ボロン微粉末(50%粒径、9μm):16.7重量部、三酸化モリブデン(50%粒径、17μm):1.5重量部をV型混合機により乾式混合した。ついで、ニトロセルロースの酢酸イソアミル溶液(濃度:2重量%)50重量部(ニトロセルロース換算で1重量部)を加え、乳鉢でさらにスラリー状になるまで混合した。これに、硝酸カリウム(50%粒径、60μm):70.1重量部を加え、さらに均一になるまで混合した。その後、酢酸イソアミルを蒸発させ、1mm目のメッシュを通し、これを110℃で5時間乾燥させ、顆粒状伝火薬を得た。この顆粒状伝火薬を、打錠機を用いて、直径6.0mm、長さ2.0mmに成形し(成形体表面積:94.2mm/個)、更に110℃で3時間乾燥させた後、目開き1mmの篩及び6.5mmの篩を用いて分級し、粉状、異形品を除去し、目開き1mmの篩上に、本発明の伝火薬成形体を得た。
実施例3
ボロン微粉末:12.0重量部をスパイラルミキサーに計り採り、エタノール:3.0重量部/イオン交換水:15.0重量部のエタノール水を加えて混合してスラリー状とした。別途、5−アミノテトラゾール(50%粒径、15μm):11.0重量部、硝酸カリウム(50%粒径、60μm):70.5重量部、合成ヒドロタルサイト(50%粒径、17μm):2.0重量部、ヒドロキシプロピルセルロース{商品名;メトロ−ズ 90SH−100000(信越化学工業株式会社製)}:3.5重量部、ポリビニルピロリドン{商品名;ルビスコ−ル K90(BASF製)}:1.0重量部をV型混合機により乾式混合した。次に、この混合物をスパイラルミキサーにて混練し、湿状混練薬とした。この混練薬を真空混練押出機に投入し、直径1.8mmのダイスを通して押出成形し、長さ2.5mm(成形体表面積:19.2mm/個)で切断を行った。これを55℃で8時間、続いて110℃で8時間乾燥させ、目開き1mmの篩及び2.8mmの篩を用いて分級し、粉状、異形品を除去し、目開き1mmの篩上に、本発明の伝火薬剤成形体を得た。
比較例1
一般的に伝火薬組成物として用いられているボロン硝石を以下の手順で調製した。ボロン微粉末:25.0重量部と硝酸カリウム:75.0重量部に、ニトロセルロースの酢酸イソアミル溶液(濃度:2重量%)50重量部(ニトロセルロース換算で1重量部)を加え、乳鉢でさらにスラリー状になるまで混合した。その後、酢酸イソアミルを蒸発させ、目開き1mmの篩を通し、顆粒状とした。これを110℃で5時間乾燥させ、顆粒状ボロン硝石伝火薬を得た。
比較例2
5−アミノテトラゾール(50%粒径、15μm):11.7重量部、ボロン微粉末(50%粒径、9μm):16.7重量部、三酸化モリブデン(50%粒径、17μm):1.5重量部をV型混合機により乾式混合した。ついで、ニトロセルロースの酢酸イソアミル溶液(濃度:2重量%)50重量部(ニトロセルロース換算で1重量部)を加え、乳鉢でさらにスラリー状になるまで混合した。これに、硝酸カリウム(50%粒径、60μm):70.1重量部を加え、さらに均一になるまで混合した。その後、酢酸イソアミルを蒸発させ、目開き1mmの篩を通し、これを110℃で5時間乾燥させ、顆粒状伝火薬を得た。
伝火薬成形体の発熱量の測定及び燃焼速度の測定
実施例1、2、及び3、比較例1、2で得られた各伝火薬を用いて、これらの発熱量、嵩密度及び燃焼速度を測定し、比較した。表1に、発熱量、嵩密度及び燃焼速度の結果をまとめた。
嵩密度測定
実施例1、2、及び3、比較例1、2で得られた伝火薬成形体に関して、嵩密度測定器(筒井理化学器械株式会社製、ABD粉体特性測定器)を用いて嵩密度を測定した。
発熱量測定
発熱量はボンブカロリーメーターにより測定を行った。SUS製の密閉容器中に、実施例1、2、及び3、比較例1、2で得られた各伝火薬を1.0g計量し、ニクロム線を接触させた状態で蓋を閉じた。これを断熱容器中に水が満たされている中に投入し、ニクロム線を通電させて着火させ、組成物を完全燃焼させた。上昇した水の温度と比熱から発熱量を計算した。
燃焼速度測定
比較例1、2で得られた顆粒状伝火薬及び本発明の伝火薬成形体(実施例1、2、及び3)を光ファイバー法にて燃焼速度を測定した。長さ300mmの1インチ鋼管に、各伝火薬を120〜150g(伝火薬の嵩密度により異なる)充填し、ガス発生器用の点火器を装備した蓋で封をした。インチ鋼管には50mm間隔で4箇所に光ファイバーを挿入し、その光ファイバーは光検知装置を介してケーブルで計測器に接続した。点火器を作動し、伝火薬が開始され、光ファイバー間を通過する時間を測定し、燃焼速度を算出した。
表1
形状 嵩密度[g/cm] 発熱量[J/g] 燃焼速度[m/秒]実施例1 ペレット状 1.12 6000 226
実施例2 ペレット状 0.98 6400 142
実施例3 ペレット状 1.03 5900 240
比較例1 顆粒状 0.74 6700 620
比較例2 顆粒状 0.70 6400 747
比較例1、2の顆粒状伝火薬に比べ、成形された実施例1、2、及び3の伝火薬成形体は燃焼速度が遅いことがわかる。この結果は伝火薬の燃焼時間を長くし、着火性を改善するという本発明の目的にあった伝火薬であると言える。また、何れの伝火薬においても、発熱量については同等である。これら伝火薬を用いて、以下の60Lタンク試験によりガス発生剤に対する着火性能を確認した。
伝火薬のガス発生剤に対する着火性の測定(60Lタンク試験より)
図1に示されるガス発生器1を用いて、60Lタンク試験を行い、伝火薬のガス発生剤に対する着火性を検討した。今回は低温環境下での着火性を確認する為に、このガス発生器1を−40℃で4時間放置した後に、内容積60リットルの密閉容器に取り付け、ガス発生器1を作動させ、圧力を測定した。ここで、図2に示すように、Pは容器内の最大到達圧力、tは点火装置への通電からガス発生器の作動に至るまでの時間、tはガス発生器の作動から圧力Pが得られるまでの時間を表す。伝火薬の着火性能は低温試験の場合、tの時間が10ms以内であることが求められ、この範囲を越える場合、ガス発生器は作動遅れを発生し、十分な性能を発揮しない。ここでは、点火器への通電からガス発生器の作動に至るまでの時間tを示した。
60Lタンク試験結果を表2にまとめた。尚、伝火薬の使用量は1.1gとした。
また、60Lタンク試験で用いたガス発生器1内のガス発生剤は、硝酸グアニジン(50%粒径、10μm):40.6重量部、硝酸ストロンチウム(50%粒径、13μm):25.0重量部、塩基性硝酸銅(50%粒径、5μm):25.0重量部、酸性白土(50%粒径、17μm):5.0重量部および燃焼触媒としてグラファイト(50%粒径、5μm):0.5重量部、ヒドロキシプロピルセルロース:2.3重量部、ポリビニルピロリドン:1.6重量部をV型混合機により乾式混合した。次に、混合粉末をスパイラルミキサーに移し、エタノール:3.0重量部/イオン交換水:13.0重量部のエタノール水を加えて混練し、湿状混練薬とした。この混練薬を真空混練押出機に投入し、直径2.0mmのダイスを通して押出成形し、薬厚6.5mmで切断を行った。これを55℃で8時間、続いて110℃で8時間乾燥させ、ガス発生剤錠剤を得た。このガス発生剤を図1で示されるガス発生器1に35g充填し、前記テストに用いた。

表2

伝火薬 t1 t2 P1

形状 直径 長さ [m] [m] [kPa]

実施例1 ペレット状 1.8mmx2.5mm 6.1 66.8 144

実施例2 ペレット状 6.0mmx2.0mm 6.7 69.6 154

実施例3 ペレット状 1.8mmx2.5mm 5.8 65.3 148

比較例1 顆粒状 14.2 101.5 127

比較例2 顆粒状 1.8 圧力上昇なし




上記60Lタンク試験による表2、図3の結果から、成形体とし、燃焼速度を遅くした本発明の伝火薬成形体に関しては、着火遅れもなく、良好な燃焼特性を示した(実施例1、2及び3)。また、燃焼速度の速い顆粒状伝火薬を用いた場合には着火遅れが発生した(比較例1)、また、比較例2の顆粒状伝火薬の場合には、試験数を重ねて行くうちに、ガス発生剤の燃焼が開始されないものが発生してきた。今回実施した60Lタンク試験より、ガス発生剤の燃料成分に着火性の悪い硝酸グアニジンを用い、更に−40℃という過酷な低温環境下においても、本発明の伝火薬成形体の良好な着火性を示すことが確認できた。顆粒状伝火薬においても、使用薬量を増量することで、着火性を改善することはできるが、伝火薬の燃焼により、発生する熱量、及び燃焼残渣の点から、ガス発生器にとっては好ましくない方向である。実施例1〜3から明白なように、本発明の伝火薬成形体を使用することにより、少ない薬量で確実な着火性能を持つガス発生器を提供することが可能となる。
60Lタンク試験で使用したガス発生器の構造を示す要部断面模式図である。 本発明の伝火薬成形体を用いたガス発生器を作動して得られた60Lタンクテストの燃焼状態を、時間と圧力の関係で示すグラフである。 本発明の伝火薬成形体を用いたガス発生器における60Lタンク試験の結果を示す図である。
符号の説明
1 ガス発生器
2 点火器
3 伝火薬
4 ガス発生剤
5 フィルタ押え部材
6 上蓋
7 点火手段
8 燃焼室
9 冷却フィルタ部材
10 下蓋
11 ガス放出孔
12 ラプチャ−部材
13 内筒体
14 フランジ
15 伝火孔
最大到達圧力
作動開始までの時間
作動からP に到るまでの時間

Claims (4)

  1. (a)ボロンを10〜20重量%、(b)5-アミノテトラゾールを5〜15重量%、(c)硝酸カリウムを65〜80重量%、(d)成形用バインダーを2〜10重量%の各成分を含み、発熱量が4500J/g以上であり、1〜10mmに分級され、更に嵩密度が0.90〜1.20g/cm3である伝火薬成形体。
  2. 燃焼速度が50〜350m/秒である請求項1に記載の伝火薬成形体。
  3. 成形物1個あたりの表面積が10〜150mm2/個である請求項1又は2に記載の伝火薬成形体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の伝火薬成形体を有する自動車乗員保護装置用ガス発生器。
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