JP4510948B2 - シリコン単結晶ウェ―ハの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶欠陥の少ないチョクラルスキー法(以下、Cz法と称す)によるシリコン単結晶ウェーハの製造方法に関する。特に、COP(Crystal Originated Particle)の少ないシリコン単結晶ウェーハの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のCz法により引き上げられたシリコン単結晶には、単結晶引き上げ中に結晶内に結晶欠陥が形成される。単結晶引き上げ中に形成される結晶欠陥はGrown−in欠陥と呼ばれており、Grown−in欠陥は、その検出方法によって様々な名称が付けられている。例えば、選択エッチング液であるセコ液にシリコンウェーハを浸漬することにより、ウェーハ表面に現れる特殊なさざなみ模様(フローパターン)のピットとして検出されるものはフローパターン欠陥と呼ばれる。また、赤外線レーザーをシリコンウェーハに入射し、その散乱により検出されるものは、赤外散乱欠陥と呼ばれる。さらに、シリコンウェーハの製造工程においてパーティクル除去のために一般的に行われるアンモニア水と過酸化水素水の混合溶液中で洗浄した後のウェーハ表面に0.05〜0.20μm程度(約0.15μm)の大きさのくぼみ(ピット)としてパーティクル検査装置により検出されるものは、COPと呼ばれる。なお、COPは、パーティクル検査装置により初めて発見されたため、結晶起因の“パーティクル”との名称が付けられているが、その後の調査で欠陥がパーティクルではなく、ピットであることが明らかにされている。
【0003】
ところで、COPが存在するシリコンウェーハを半導体デバイスに使用し、COPの存在する位置上に、半導体デバイスの基本素子構造であるMOS構造のゲート酸化膜が形成されるとその信頼性を著しく低下させ、また、配線が形成されるとパターン切れ等を引き起こす。特に、最近主力のデバイス(64M−DRAM)の素子構造は0.3μmと非常に微細なため、約0.15μmのピットは重大な不良原因となり、デバイスの製造歩留を著しく低下させてしまう。したがって、シリコンウェーハのCOPは極力低減させることが望ましい。
【0004】
最近の研究により、フローパターン欠陥、赤外散乱欠陥、COP等のGrown−in欠陥のオリジンは同じものであり、その実体は八面体のボイド(空洞)であることが明らかになった。このボイドは、単結晶が凝固した直後に取り込まれる原子空孔(点欠陥の一種)が、単結晶が冷却されるにつれて過飽和な状態となり、やがて1100℃〜1050℃付近の温度域を通過する際に凝集することで形成されたものであることが明らかになってきた。
【0005】
以上の知見に基づいて、Grown−in欠陥を低減する方法として、凝固後の単結晶の冷却条件の改善について数多くの提案がなされてきた。例えば、特開平3−275598号公報では、COPを低減するために、結晶が固化してから900℃までの冷却速度を1.2℃/分より大きくする方法が示され、一方、特開平4−42893号公報では、COPを低減するために、1200℃から800℃までの冷却速度を0.4℃/分より小さくする方法が示され、特開平6−1687号公報では、ゲート酸化膜の信頼性を向上させるために、シリコン融液の固液界面直上から3cmまでの範囲の温度勾配を5℃/cm以上とする方法が示され、特開平6−279188号公報では、COPあるいはフローパターン欠陥あるいは赤外散乱欠陥を低減するために、1420℃〜1200℃の間の温度に1時間以上シリコン単結晶を保持する方法が示され、特開平8−12493号公報では、赤外散乱欠陥を低減させる、あるいはゲート酸化膜の信頼性を改善するために、シリコン融液から1300℃までの温度範囲における結晶軸方向の温度勾配をG(℃/mm)とし、単結晶の引上速度をfp(mm/分)としたとき、fp/Gを0.25mm2/℃・分以上にし、かつ1150℃から1000℃までの冷却速度を2.0℃/分以下とする方法が示されている。
【0006】
しかしながら、これらの方法はいずれも単結晶の冷却条件を変更することによってGrown−in欠陥を低減させる手法であり、単結晶全長にわたって同じ効果を均一に与えるためには引上炉の構造や引上炉内部の構造を変更する必要があり、コストアップにつながっていた。また、これらの方法では、Grown−in欠陥のオリジンであるボイド欠陥のサイズを見かけ上小さくしたり、密度を見かけ上低下させることは可能であるが、ボイド欠陥の構成要素(原料)である原子空孔の濃度そのものを下げることはできなかった。したがって、単結晶育成中に原子空孔の濃度そのものを低減する方法が求められていたが、従来はそのような方法がなかった。
【0007】
一般的なCz法では、石英ルツボの中に多結晶シリコンを入れ溶解し、その融液にシリコン単結晶をシーディングした後、引き上げる。融液は常に石英ルツボに接触しているため石英ルツボから溶け出した酸素原子を多量に含んでおり、その融液から引き上げられたシリコン単結晶にも過飽和な固溶酸素原子が多量に含まれている。
【0008】
一方、一般的なCz法によりシリコン単結晶を製造する方法以外に、融液に磁場を印加しながらCz法により単結晶を引き上げる方法(MCZ法、Magnetic field applied Cz法)がある。
【0009】
MCZ法には、磁場の印加の仕方により、カスプ磁場印加MCZ法や水平磁場印加MCZ法がある。MCZ法は磁場により融液の流れを制御することによって、酸素濃度を制御する手法として提案されてきた。
【0010】
カスプ磁場印加MCZ法による単結晶引上装置は、例えば特開昭58−217493号公報に示されており、引上装置の外壁の上下に同極対向磁石(例えば超電導マグネット)と、磁場印加装置の両極の間に設けられた炉体と、炉体の内部に設けられシリコン融液を保持する石英ルツボと、シリコン融液を加熱するヒーターと、シリコン単結晶棒を回転させながら引き上げる引上機構とを有して構成されている。同極対向磁石により融液内には等軸対称的かつ放射状のカスプ磁場が形成される。カスプ磁場を印加することによって石英ルツボ内のシリコン融液の熱対流は均一に抑制され、軸対称の温度分布が得られるため、均一な結晶性を有する単結晶を引き上げることができる。また、半径方向の融液の対流を抑制することができるため、石英ルツボからの酸素の混入を低減することができる。しかし、従来のカスプ磁場印加MCZ法は、酸素濃度の低減に用いられることはあっても、COP等のGrown−in欠陥の低減に応用されることはなかった。
【0011】
また、水平磁場印加MCZ法による単結晶引上装置は、例えば特開昭56−45889号公報に示されており、水平方向に磁場を発生する磁場印加装置と、磁場印加装置の両極の間に設けられた炉体と、炉体内部に設けられシリコン融液を保持する石英ルツボと、シリコン融液を加熱するヒーターと、シリコン単結晶棒を回転させながら引き上げる引上機構とを有して構成されている。水平磁場を印加することによって石英ルツボ内のシリコン融液の熱対流を抑制することにより、石英ルツボからの酸素の混入を大幅に低減するとともに、シリコンの固液界面をより静的な状態に保つことができる。しかし、従来の水平磁場印加MCZ法は、酸素濃度の低減に用いられることはあっても、COP等のGrown−in欠陥の低減に応用されることはなかった。
【0012】
また、冷却方法を改善すること等によってGrown−in欠陥を低減した従来のシリコン単結晶ウェーハのCOPの面内分布は、ウェーハと中心を同じくする円の内側に存在する円盤状の形態を持つ場合はあったが、同心円の線上のみに分布したり、らせん状や放射状、あるいはそれらの組み合わせの分布形態を持つことはなかった。このような線上にCOPが分布しているウェーハを半導体デバイスに使用した場合には、COPが円盤状に分布する従来のウェーハに比べてCOPの影響を受けるデバイスが少なく、デバイス歩留が向上する。したがって、このように線上にCOPが分布するウェーハが求められていたが、従来は存在しなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、結晶欠陥の少ない、特にCOP等のGrown−in欠陥の少ないシリコン単結晶ウェーハの製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記の手段により達成される。
【0028】
(1)チョクラルスキー法によるシリコン単結晶ウェーハの製造方法において、シリコン単結晶インゴットの育成中に、その全長にわたり、カスプ磁場の磁場強度あるいはゼロ磁場位置を連続的にあるいは周期的に変動させて印加することを特徴とするシリコン単結晶ウェーハの製造方法。
【0029】
(2)前記磁場印加が、融液を収納する石英ルツボの壁において100ガウス以上のカスプ磁場の印加である(1)記載のシリコン単結晶ウェーハの製造方法。
【0031】
【発明の実施の形態】
Cz法でシリコン単結晶を育成すると、固液界面から単結晶内に点欠陥(原子空孔と格子間原子)が取り込まれる。原子空孔と格子間原子は、単結晶が冷却されるにつれて対消滅して減少するが、単結晶に取り込まれる濃度は原子空孔の方が数桁高いために、対消滅後に単結晶内に残る点欠陥は原子空孔になる。この原子空孔は、単結晶が冷却されるに伴い過飽和な状態となり、単結晶が1100℃以下になると単体で存在するよりも凝集した方が安定となり、凝集体を形成する。COP等のGrown−in欠陥のオリジンであるボイド欠陥は、過飽和な原子空孔が1100℃以下で凝集したものである。
【0032】
本発明者等は、シリコン単結晶ウェーハにおけるこのボイド欠陥を抜本的に低減するには、ボイド欠陥の構成要素である原子空孔の濃度を低減することが必要であると考え、鋭意検討した。その結果、ウェーハ内の原子空孔の濃度を低減させるためには、特定形態の欠陥分布を持たせることが重要であることを見出した。即ち、Cz法により育成されたシリコン単結晶から得られたウェーハであって、該ウェーハに見られるCOP、酸素濃度及び/又は不純物濃度の面内分布が、同心円状、らせん状及び放射状の1種又は2種以上の形態であるシリコン単結晶ウェーハを用いて、半導体デバイスを作製した場合、COP等のGrown−in欠陥の存在する領域が線状(帯状)になるため、COP等の欠陥の影響を受けるデバイスが少なくなり、デバイス歩留が良好になる。
【0033】
そして、COP、酸素濃度及び/又は不純物濃度の面内分布の形態において、その間隔が1mm以上である場合には、Grown−in欠陥の存在しない領域をウェーハ内で広く確保でき、欠陥の影響を受けるデバイスを更に少なくできることから、デバイス歩留がより向上する。
【0034】
また、このようなCOPの面積密度が、ウェーハ全体の平均で1.6個/cm2以下である場合、そのウェーハを用いて製造した半導体デバイスの歩留は更に良好になる。
【0035】
また、COPの存在していない無欠陥領域の面積が、ウェーハ全体の面積の20%以上である場合には、デバイス歩留はさらに良好になる。ここで、COPの存在領域とは、COP位置を中心に半径4mm以内の領域である。したがって、COPが存在していない領域とは、ウェーハ全面からCOPの存在領域を差し引いた領域を指す。
【0036】
なお、COPは、その大きさや個数をレーザーの散乱を利用する異物検査装置で測定できるし、原子間力顕微鏡(AFM、Atomic Force Microscopy)によって直接測定することもできる。
【0037】
このような品質を有するシリコン単結晶ウェーハであればその製造方法は特に限定しないが、効率良く製造するためには、単結晶育成中に単結晶内に点欠陥の吸収層を形成することが有効で、これにより点欠陥の吸収層の周囲に無欠陥層が幅広く形成されることを見出した。ここで、点欠陥の吸収層とは、点欠陥濃度の濃淡分布において濃度の高い領域のことを示している。即ち、周囲の点欠陥をゲッタリングしたため濃度が高くなった領域や、反応によって点欠陥が減少した領域に隣接する領域や、あるいは単結晶が凝固した時点で形成された点欠陥濃度の高い領域等も、点欠陥の吸収層に含まれる。
【0038】
さらに、本発明者等は、シリコン単結晶を育成中の固液界面におけるミクロな単結晶の成長速度の変動や、固液界面における融液温度変動による酸素濃度・不純物濃度の変動が5%未満となるような引上炉内部の組立構造(ホットゾーン構造)でシリコン単結晶を育成する場合には、点欠陥の吸収層を極めて制御良く形成できることを見出した。
【0039】
そして、点欠陥の吸収層をより積極的に形成するためには、シリコン単結晶を育成中の固液界面におけるミクロな単結晶の成長速度を変動させたり、あるいは固液界面における融液温度の変動により酸素濃度・不純物濃度を変動させたりすることにより、結晶軸方向のある間隔で、結晶軸に垂直に点欠陥の吸収層を形成することができることを見出した。ここで、不純物とは、ドーパントであるホウ素や燐を含め、炭素やアルミニウム、あるいは銅や錫等の金属元素を示している。
【0040】
この変動を連続的あるいは周期的に与えることによって、単結晶の長手方向に一定間隔で点欠陥の吸収層が形成できるため、単結晶全長にわたってGrown−in欠陥を低減するためには有効であることが判った。ここで、周期的とは、ある値から別の値に変動させる際にステップ的あるいはパルス的(即ちデジタル的)に変動させることである。また、連続的とは、緩やかに(アナログ的に)変動させることである。さらに、その変動が大きい程、効果は大きいことが判ったが、変動幅が5%を超えると、大きな結晶変形を起こし易くなるため、単結晶製造が難しくなる。
【0041】
また、連続的あるいは周期的な変動を与える間隔が、単結晶の引上方向に0.5mm未満の場合には、引き上げた単結晶をスライスし、厚さ0.5mm以上のシリコン単結晶ウェーハを製造する際に、点欠陥の吸収層と無欠陥層の分離が難しくなるため、変動を与える間隔は0.5mm以上が望ましい。
【0042】
また、単結晶育成中に、単結晶又はルツボの回転速度に変動を加えることにより、比較的容易に固液界面におけるミクロな単結晶の成長速度を変動させたり、あるいは固液界面における融液温度の変動により酸素濃度・不純物濃度を変動させたりすることができるため、有効である。この方法で形成される吸収層は、同心円状、らせん状又は放射状の形態やこれら形態を組み合わせた形態となる。
【0043】
特に、シリコン単結晶の直径をD(in)としたとき、単結晶の回転速度を2000/D2〜600/D2(rpm)から300/D2〜0(rpm)へ遷移時間2分〜1秒で減少させ、引き続き単結晶の回転速度を300/D2〜0(rpm)で1秒〜1分間単結晶を育成した後に、単結晶の回転速度を2000/D2〜600/D2(rpm)へ遷移時間2分〜1秒で増加させる変動を与えた場合、単結晶内に制御性良く点欠陥の吸収層を形成できるため好ましい。
【0044】
さらに、シリコン単結晶の引上速度を連続的あるいは周期的に変動させることも、簡便に固液界面におけるミクロな単結晶の成長速度を変動させたり、あるいは固液界面における融液温度の変動により酸素濃度・不純物濃度を変動させたりすることができるため、他の変動と共に点欠陥の吸収層を効果的に形成できるので好ましい。
【0045】
さらに本発明者等は、単結晶内の点欠陥の吸収層の形成をより正確に制御するためには、変動を加えていないときの結晶欠陥の生成を制御することが重要であるとの考えに至った。そこで、シリコン単結晶の育成中に、融液に対して磁場を印加した状態で、上述した操作を行ったところ、変動を加えていないときの融液の状態がより安定化して、極めて制御性良く点欠陥の吸収層を形成できることを見出した。
【0046】
そして、この磁場印加が、融液を収納するルツボの壁において100ガウス以上のカスプ磁場の印加である場合には、融液の熱対流が均一に抑制され、軸対称の温度分布が得られるため、融液の安定化に顕著な作用効果がある。なお、印加する磁場強度が100ガウス未満ではカスプ磁場を印加した効果が見られないため、100ガウス以上の磁場強度を印加することが望ましい。
【0047】
カスプ磁場の場合、同極対向磁石を用いるため、カスプ磁界の中心軸上には磁場強度が零になる位置が存在する(ゼロ磁場位置)。ゼロ磁場位置の高さは、同極対向磁石の全体を機械的に上下させたり、対向磁石のそれぞれの発生磁場強度を電気的に変更することによって、容易に変えることができる。カスプ磁場を印加した状態で、連続的あるいは周期的に磁場強度あるいはゼロ磁場位置を変更することにより、界面での融液の状態を安定させたまま制御することができるため、固液界面におけるミクロな単結晶の成長速度を変動させたり、あるいは固液界面における融液温度の変動により酸素濃度・不純物濃度を変動させたりすることが精度良く行うことができる。そのため、点欠陥の吸収層の形成の制御性に優れている。また、カスプ磁場を印加した状態で、引上速度を連続的あるいは周期的に変更することにより、界面での融液の状態を安定させたまま制御することができるため、固液界面におけるミクロな単結晶の成長速度を変動させたり、あるいは固液界面における融液温度の変動により酸素濃度・不純物濃度を変動させたりすることが精度良く行うことができる。そのため、点欠陥の吸収層の形成の制御性に優れている。
【0048】
また、磁場印加が、融液を収納する石英ルツボの壁において500ガウス以上の水平磁場の印加である場合には、ルツボ内の融液の熱対流を抑制することにより、固液界面をより静的な状態に保つため、融液の安定化に顕著な作用効果がある。なお、印加する磁場強度が500ガウス未満では水平磁場を印加した効果が見られないため、500ガウス以上の磁場強度を印加することが望ましい。
【0049】
水平磁場を印加した状態で、連続的あるいは周期的に磁場強度を変更することにより、界面での融液の状態を安定させたまま制御することができるため、点欠陥の吸収層の形成の制御性に優れている。
【0050】
本発明に用いた無転位シリコン単結晶製造装置は、通常のCz法による無転位シリコン単結晶製造に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、図1に示すような製造装置を用いた。
【0051】
このCz法シリコン単結晶製造装置は、シリコン融液Mを収容する石英ルツボ6aとこれを保護する黒鉛製ルツボ6bとから構成されたルツボ6と育成された無転位シリコン単結晶インゴットSを収容する結晶引上炉1である。ルツボ6の側面部は加熱ヒーター4と加熱ヒーター4からの熱が結晶引上炉外部に逃げるのを防止するため断熱材3が取り囲むように配置されており、このルツボ6は図示されていない駆動装置と回転治具5によって接続され、この駆動装置によって所定の速度で回転されると共に、ルツボ6内のシリコン融液の減少に伴う液面低下を補うためにルツボ6を昇降させるようになっている。引上炉1内には、垂下された引上ワイヤ7が設置され、このワイヤの下端には種結晶8を保持するチャック9が設けられている。この引上ワイヤ7の上端側は、ワイヤ巻上機2に巻き取られて、無転位シリコン単結晶インゴットを引き上げるようになった引上装置が設けられている。そして、引上炉1内には、引上炉1に形成されたガス導入口10からArガスが導入され、引上炉1内を流通してガス流出口11から排出される。このようにArガスを流通させるのは、シリコンの溶融に伴って引上炉1内に発生するSiOをシリコン融液内に混入させないようにするためである。
【0052】
また、本発明に用いたカスプ磁場印加シリコン単結晶製造装置は、図2に示すように、同極対向磁石20を結晶軸に上下に配置する一般的な製造装置を用いた。
【0053】
また、本発明に用いた水平磁場印加シリコン単結晶製造装置は、図3に示すように、水平方向に磁場を発生することができる電磁石一対30を左右に配置する一般的な製造装置を用いた。
【0054】
本発明のシリコン単結晶ウェーハを用いて製造した半導体デバイスの歩留は、デバイスの基本構造であるMOS構造の中のゲート酸化膜の信頼性試験の合格率で知ることができる。ゲート酸化膜の信頼性はCOPに極めて敏感であるため、ゲート酸化膜の信頼性試験の合格率から、COPが原因となった半導体デバイス不良の発生率を知ることができる。本発明のシリコン単結晶ウェーハのゲート酸化膜の信頼性試験の具体的な方法は以下の通りである。鏡面加工を施したシリコンウェーハ試料上にMOSダイオードを形成し、1000℃の乾燥酸素雰囲気中で形成された25.0nmの二酸化珪素膜であるゲート酸化膜(絶縁酸化膜)の電気特性を調べることによって行った。MOSダイオードは、ゲート酸化膜上にリンを1×1021atoms/cm3以上ドープした多結晶シリコンとアルミニウムの2層構造からなり、面積20mm2の電極を有し、裏面にオーミック電極用に金電極が形成されている。上記構造を持つMOSダイオードを試料ウェーハの全面に作製した。基板シリコンから多数キャリアが注入される極性の直流電圧を各MOSダイオードに印加して電圧ラッピング法により試料ウェーハのゲート酸化膜の耐電圧特性を評価した。ゲート酸化膜を通して流れる電流密度が1mA/cm2のときのゲート酸化膜に印加される平均電界(絶縁破壊電界)を測定した。このとき、絶縁破壊電界が8.0MV/cm未満である場合は、COP等の結晶欠陥が原因となってゲート酸化膜の耐電圧特性を低下させていることが様々な研究によって明らかにされている。即ち、絶縁破壊電界が8.0MV/cm以上のMOSダイオードがゲート酸化膜試験に合格したダイオードである。
【0055】
従来の方法により製造されたシリコン単結晶から加工された一般的なウェーハの場合、絶縁破壊電界が8.0MV/cm以上のMOSダイオードの個数が総数に占める割合(即ち、ゲート酸化膜試験の合格率)は、たかだか30%未満である。したがって、ゲート酸化膜試験の合格率が60%以上である場合には、ゲート酸化膜の信頼性に優れている。即ち、半導体デバイス用ウェーハとして優れている。
【0056】
【実施例】
以下に、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明がこれらの実施例の記載によって制限されるものではないことは言うまでもない。
【0057】
なお、ここで示す「安定したホットゾーン」の使用とは、シリコン単結晶を育成中の固液界面におけるミクロな単結晶の成長速度の変動や、固液界面における融液温度変動による酸素濃度・不純物濃度の変動が5%未満となるような引上炉内部の組立構造(ホットゾーン構造)を用いてシリコン単結晶を育成する場合を意味する。また、「変動間隔」とは、図4に例示するように、シリコン単結晶の育成に伴って、連続的あるいは周期的に変動を加える間隔を意味し、この間隔は時間単位でも結晶の成長長さ単位でも良い。そして、この変動の結果として生じるウェーハ内の変動分布は、図5に例示するように、ホットゾーンに起因するマクロなベース変動とミクロなベース変動と共に人為的に与える連続的あるいは周期的な変動によるミクロな人為変動とが重畳した分布となる。
【0058】
また、「COP面積密度」とは、ウェーハの面積全体における直径換算で0.10μm以上のCOPの平均密度である。「COP無存在領域率」とは、ウェーハ全面の面積からCOPの存在領域を差し引いた領域のウェーハ全面に占める割合を意味する。なお、COPの存在領域とは、COP位置を中心に半径4mm以内の領域である。
【0059】
(実施例1)
図1の装置を用いて、以下の条件で、直径8inのP型(ボロンドープ)シリコン単結晶インゴットを育成した。
【0060】
点欠陥の吸収層:あり
安定したホットゾーン:なし
単結晶の回転速度:18rpmから1rpmへ2秒間で低下させ、1rpmで5秒間保持した後、1rpmから18rpmへ2秒間で上昇させる操作を周期的に実施
坩堝の回転速度:8rpm一定
平均引上げ速度:1.0mm/分
固液界面での成長速度の人為的変動:あり
固液界面での融液温度の人為的変動:あり
変動の間隔:0.3mm
この条件で育成したインゴットからウェーハを切り出し、酸素濃度、不純物(ボロン)濃度及びCOPの分布状態の測定とゲート酸化膜の信頼性試験を行なった結果を表1〜3に示す。
【0061】
(実施例2)
図1の装置を用いて、以下の条件で、直径8inのP型(ボロンドープ)シリコン単結晶インゴットを育成した。
【0062】
点欠陥の吸収層:あり
安定したホットゾーン:あり
単結晶の回転速度:20rpm一定
坩堝の回転速度:8rpm一定
引上げ速度:1.0mm/分から0.2mm/分へ3秒間で低下させ、0.2mm/分で10秒間保持した後に、0.2mm/分から1.0mm/分へ2秒間で上昇させる操作を周期的に実施
固液界面での成長速度の人為的変動:あり
固液界面での融液温度の人為的変動:あり
変動の間隔:0.4mm
この条件で育成したインゴットからウェーハを切り出し、酸素濃度、不純物(ボロン)濃度及びCOPの分布状態の測定とゲート酸化膜の信頼性試験を行なった結果を表1〜3に示す。
【0063】
(実施例3)
図1の装置を用いて、以下の条件で、直径8inのP型(ボロンドープ)シリコン単結晶インゴットを育成した。
【0064】
点欠陥の吸収層:あり
安定したホットゾーン:なし
単結晶の回転速度:19rpm一定
坩堝の回転速度:10rpmから1rpmへ3秒間で低下させ、1rpmで10秒間保持した後、1rpmから10rpmへ3秒間で上昇させる操作を連続的に実施
平均引上げ速度:0.6mm/分
固液界面での成長速度の人為的変動:あり
固液界面での融液温度の人為的変動:あり
変動の間隔:0.5mm
この条件で育成したインゴットからウェーハを切り出し、酸素濃度、不純物(ボロン)濃度及びCOPの分布状態の測定とゲート酸化膜の信頼性試験を行なった結果を表1〜3に示す。
【0065】
(実施例4)
図1の装置を用いて、以下の条件で、直径8inのP型(ボロンドープ)シリコン単結晶インゴットを育成した。
【0066】
点欠陥の吸収層:あり
安定したホットゾーン:あり
単結晶の回転速度:18rpmから1rpmへ130秒間で低下させ、1rpmで20秒間保持した後、1rpmから18rpmへ130秒間で上昇させる操作を周期的に実施
坩堝の回転速度:8rpm一定
平均引上げ速度:0.2mm/分
固液界面での成長速度の人為的変動:あり
固液界面での融液温度の人為的変動:あり
変動の間隔:1.5mm
この条件で育成したインゴットからウェーハを切り出し、酸素濃度、不純物(ボロン)濃度及びCOPの分布状態の測定とゲート酸化膜の信頼性試験を行なった結果を表1〜3に示す。
【0067】
(実施例5)
図1の装置を用いて、以下の条件で、直径8inのP型(ボロンドープ)シリコン単結晶インゴットを育成した。
【0068】
点欠陥の吸収層:あり
安定したホットゾーン:あり
単結晶の回転速度:18rpm一定
坩堝の回転速度:8rpmから1rpmへ2秒間で低下させ、1rpmで20秒間保持した後、1rpmから10rpmへ2秒間で上昇させる操作を連続的に実施
平均引上げ速度:1.0mm/分
固液界面での成長速度の人為的変動:あり
固液界面での融液温度の人為的変動:あり
変動の間隔:2.0mm
この条件で育成したインゴットからウェーハを切り出し、酸素濃度、不純物(ボロン)濃度及びCOPの分布状態の測定とゲート酸化膜の信頼性試験を行なった結果を表1〜3に示す。
【0069】
(実施例6)
図1の装置を用いて、以下の条件で、直径8inのP型(ボロンドープ)シリコン単結晶インゴットを育成した。
【0070】
点欠陥の吸収層:あり
安定したホットゾーン:なし
単結晶の回転速度:18rpmから1rpmへ3秒間で低下させ、1rpmで20秒間保持した後、1rpmから18rpmへ3秒間で上昇させる操作を周期的に実施
坩堝の回転速度:9rpm一定
平均引上げ速度:1.2mm/分
固液界面での成長速度の人為的変動:あり
固液界面での融液温度の人為的変動:あり
変動の間隔:3.5mm
この条件で育成したインゴットからウェーハを切り出し、酸素濃度、不純物(ボロン)濃度及びCOPの分布状態の測定とゲート酸化膜の信頼性試験を行なった結果を表1〜3に示す。
【0071】
(実施例7)
図1の装置を用いて、以下の条件で、直径8inのP型(ボロンドープ)シリコン単結晶インゴットを育成した。
【0072】
点欠陥の吸収層:あり
安定したホットゾーン:あり
単結晶の回転速度:18rpm一定
坩堝の回転速度:12rpm一定
引上げ速度:1.0mm/分から0.0mm/分へ5秒間で低下させ、0.0mm/分で30秒間保持した後に、0.0mm/分から1.0mm/分へ5秒間で上昇させる操作を周期的に実施
固液界面での成長速度の人為的変動:あり
固液界面での融液温度の人為的変動:あり
変動の間隔:4.0mm
この条件で育成したインゴットからウェーハを切り出し、酸素濃度、不純物(ボロン)濃度及びCOPの分布状態の測定とゲート酸化膜の信頼性試験を行なった結果を表1〜3に示す。
【0073】
(実施例8)
図2の装置を用いて、以下の条件で、直径8inのP型(ボロンドープ)シリコン単結晶インゴットを育成した。
【0074】
点欠陥の吸収層:あり
安定したホットゾーン:あり
単結晶の回転速度:18rpmから1rpmへ2秒間で低下させ、1rpmで20秒間保持した後、1rpmから18rpmへ2秒間で上昇させる操作を周期的に実施
坩堝の回転速度:8rpm一定
平均引上げ速度:1.2mm/分
磁場印加:カスプ磁場
石英坩堝壁での磁場強度:1300ガウス一定
ゼロ磁場位置:融液表面位置より50mm下方
固液界面での成長速度の人為的変動:あり
固液界面での融液温度の人為的変動:あり
変動の間隔:5.2mm
この条件で育成したインゴットからウェーハを切り出し、酸素濃度、不純物(ボロン)濃度及びCOPの分布状態の測定とゲート酸化膜の信頼性試験を行なった結果を表1〜3に示す。
【0075】
(実施例9)
図2の装置を用いて、以下の条件で、直径8inのP型(ボロンドープ)シリコン単結晶インゴットを育成した。
【0076】
点欠陥の吸収層:あり
安定したホットゾーン:あり
単結晶の回転速度:18rpm一定
坩堝の回転速度:6rpm一定
平均引上げ速度:0.9mm/分
磁場印加:カスプ磁場
石英坩堝壁での磁場強度:400ガウスから300ガウスへ115秒間で低下させ、300ガウスで40秒間保持した後、300ガウスから400ガウスへ115秒で上昇させる操作を周期的に実施
ゼロ磁場位置:融液表面位置より40mm下方
固液界面での成長速度の変動:あり
固液界面での融液温度の変動:あり
変動の間隔:6.0mm
この条件で育成したインゴットからウェーハを切り出し、酸素濃度、不純物(ボロン)濃度及びCOPの分布状態の測定とゲート酸化膜の信頼性試験を行なった結果を表1〜3に示す。
【0077】
(実施例10)
図2の装置を用いて、以下の条件で、直径8inのP型(ボロンドープ)シリコン単結晶インゴットを育成した。
【0078】
点欠陥の吸収層:あり
安定したホットゾーン:あり
単結晶の回転速度:18rpm一定
坩堝の回転速度:7rpm一定
平均引上げ速度:1.0mm/分
磁場印加:カスプ磁場
石英坩堝壁での磁場強度:1000ガウス
ゼロ磁場位置:融液表面より40mm下方から50mm下方へ115秒で下降させ、該位置で40秒間保持した後、50mm下方から40mm下方へ115秒で上昇させる操作を周期的に実施
固液界面での成長速度の人為的変動:あり
固液界面での融液温度の人為的変動:あり
変動の間隔:7.0mm
この条件で育成したインゴットからウェーハを切り出し、酸素濃度、不純物(ボロン)濃度及びCOPの分布状態の測定とゲート酸化膜の信頼性試験を行なった結果を表1〜3に示す。
【0079】
(実施例11)
図3の装置を用いて、以下の条件で、直径8inのP型(ボロンドープ)シリコン単結晶インゴットを育成した。
【0080】
点欠陥の吸収層:あり
安定したホットゾーン:あり
単結晶の回転速度:18rpmから1rpmへ2秒間で低下させ、1rpmで20秒間保持した後、1rpmから18rpmへ2秒間で上昇させる操作を周期的に実施
坩堝の回転速度:4rpm一定
平均引上げ速度:1.0mm/分
磁場印加:水平磁場
石英坩堝壁での磁場強度:3000ガウス一定
固液界面での成長速度の人為的変動:あり
固液界面での融液温度の人為的変動:あり
変動の間隔:8.0mm
この条件で育成したインゴットからウェーハを切り出し、酸素濃度、不純物(ボロン)濃度及びCOPの分布状態の測定とゲート酸化膜の信頼性試験を行なった結果を表1〜3に示す。
【0081】
(実施例12)
図3の装置を用いて、以下の条件で、直径8inのP型(ボロンドープ)シリコン単結晶インゴットを育成した。
【0082】
点欠陥の吸収層:あり
安定したホットゾーン:あり
単結晶の回転速度:18rpm一定
坩堝の回転速度:1.5rpm一定
平均引上げ速度:1.0mm/分
磁場印加:カスプ磁場
石英坩堝壁での磁場強度:2000ガウスから1500ガウスへ115秒間で低下させ、1500ガウスで60秒間保持した後、1500ガウスから2000ガウスへ115秒で上昇させる操作を周期的に実施
固液界面での成長速度の人為的変動:あり
固液界面での融液温度の人為的変動:あり
変動の間隔:8.0mm
この条件で育成したインゴットからウェーハを切り出し、酸素濃度、不純物(ボロン)濃度及びCOPの分布状態の測定とゲート酸化膜の信頼性試験を行なった結果を表1〜3に示す。
【0083】
(比較例1)
図1の装置を用いて、以下の条件で、直径8inのP型(ボロンドープ)シリコン単結晶インゴットを育成した。
【0084】
点欠陥の吸収層:なし
安定したホットゾーン:あり
単結晶の回転速度:30rpm一定
坩堝の回転速度:10rpm一定
平均引上げ速度:0.8mm/分
固液界面での成長速度の人為的変動:なし
固液界面での融液温度の人為的変動:なし
変動の間隔:なし
この条件で育成したインゴットからウェーハを切り出し、酸素濃度、不純物(ボロン)濃度及びCOPの分布状態の測定とゲート酸化膜の信頼性試験を行なった結果を表1〜3に示す。
【0085】
(比較例2)
図2の装置を用いて、以下の条件で、直径8inのP型(ボロンドープ)シリコン単結晶インゴットを育成した。
【0086】
点欠陥の吸収層:なし
安定したホットゾーン:なし
単結晶の回転速度:25rpm一定
坩堝の回転速度:6rpm一定
平均引上げ速度:0.8mm/分
磁場印加:カスプ磁場
石英坩堝壁での磁場強度:1000ガウス一定
ゼロ磁場位置:融液表面位置より40mm下方
固液界面での成長速度の人為的変動:なし
固液界面での融液温度の人為的変動:なし
変動の間隔:なし
この条件で育成したインゴットからウェーハを切り出し、酸素濃度、不純物(ボロン)濃度及びCOPの分布状態の測定とゲート酸化膜の信頼性試験を行なった結果を表1〜3に示す。
【0087】
(比較例3)
図3の装置を用いて、以下の条件で、直径8inのP型(ボロンドープ)シリコン単結晶インゴットを育成した。
【0088】
点欠陥の吸収層:なし
安定したホットゾーン:なし
単結晶の回転速度:18rpm一定
坩堝の回転速度:1rpm一定
平均引上げ速度:0.9mm/分
磁場印加:水平磁場
石英坩堝壁での磁場強度:3000ガウス一定
固液界面での成長速度の人為的変動:なし
固液界面での融液温度の人為的変動:なし
変動の間隔:なし
この条件で育成したインゴットからウェーハを切り出し、酸素濃度、不純物(ボロン)濃度及びCOPの分布状態の測定とゲート酸化膜の信頼性試験を行なった結果を表1〜3に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
これらの結果から明らかなように、本発明の実施例では、酸素濃度、不純物濃度、COPの何れの分布状態も特有の形態を示し、何れのウェーハも信頼性試験の合格率は60%以上となり、結晶欠陥の少ない、半導体デバイス製造に適したウェーハであることが判った。特に、酸素濃度、不純物濃度、COPの何れもが明確な分布形態を示す場合には、信頼性試験の合格率は70%以上となり、結晶欠陥の極めて少ない、半導体デバイス製造に適したウェーハであることが判った。
【0093】
一方、比較例では、人為的な変動を加えていないため、酸素濃度、不純物濃度、COPの何れもがウェーハ全面に均一に分布(円盤状)しており、信頼性試験の合格率も10%以下と極めて悪い結果となり、結晶欠陥の極めて多い、半導体デバイス製造に適さないウェーハであることが判った。
【0094】
【発明の効果】
本発明のシリコン単結晶ウェーハの製造方法は、従来のシリコン単結晶製造装置に改造を加えることなく適用できるため、製造コストを上昇させることなく、高品質のシリコン単結晶ウェーハを歩留良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1〜7及び比較例1で用いたCz法シリコン単結晶製造装置の模式図。
【図2】 実施例8〜10及び比較例2で用いたカスプ磁場印加Czシリコン単結晶製造装置の模式図。
【図3】 実施例11〜12及び比較例3で用いた水平磁場印加Czシリコン単結晶製造装置の模式図。
【図4】 実施例11における結晶回転の人為的変動の模式図。
【図5】 8inウェーハにおける不純物濃度の変動分布の一例。
【符号の説明】
1 … Cz無転位シリコン単結晶引上炉
2 … ワイヤ巻上機
3 … 断熱材
4 … 加熱ヒーター
5 … 回転治具
6 … ルツボ
6a … 石英ルツボ
6b … 黒鉛ルツボ
7 … ワイヤ
8 … 種結晶
9 … チャック
10 … ガス導入口
11 … ガス排出口
20 … カスプ磁場印加用同軸対向電磁石
30 … 水平磁場印加用電磁石
Claims (2)
- チョクラルスキー法によるシリコン単結晶ウェーハの製造方法において、
シリコン単結晶インゴットの育成中に、その全長にわたり、カスプ磁場の磁場強度あるいはゼロ磁場位置を連続的にあるいは周期的に変動させて印加することを特徴とするシリコン単結晶ウェーハの製造方法。 - 前記磁場印加が、融液を収納する石英ルツボの壁において100ガウス以上のカスプ磁場の印加である請求項1記載のシリコン単結晶ウェーハの製造方法。
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