JP4510346B2 - 乾式トナーおよび画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法などを利用した記録方法に用いられる乾式トナー(以下トナーと称す)、その製造方法、および該トナーを用いた画像形成方法に関するものである。詳しくは、複写機、プリンター、ファクシミリ、プロッター等に利用し得る画像記録装置に用いられるトナー、及び、該トナーを用いた画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては米国特許第2297691号明細書、特公昭42−23910号公報および特公昭43−24748号公報等に記載されている如く多数の方法で知られているが、一般には光誘電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて直接的あるいは間接的手段を用い、紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、加圧、あるいは溶剤蒸気などにより定着し複写物等を得るものであり、そして感光体上に転写せずに残った未転写トナーは種々の方法でクリーニングされ、上述の工程が繰り返される。
【0003】
また、一般的なフルカラー画像を形成する方法の一例について説明すると、感光体ドラムの感光体(静電潜像担持体)を一次帯電器によって均一に帯電し、原稿のマゼンタ画像信号にて変調されたレーザー光により画像露光を行い、感光ドラム上に静電潜像を形成し、マゼンタトナーを保有するマゼンタ現像器により該静電潜像の現像を行い、マゼンタトナー画像を形成する。ついで搬送されてきた転写材に転写帯電器によって前記の感光ドラムに現像されたマゼンタトナー画像を直接的、あるいは間接的手段を用い転写する。
【0004】
一方、前記の静電潜像の現像を行った後の感光体ドラムは、除電用帯電器により除電し、クリーニング手段によってクリーニングを行った後、再び一次帯電器によって帯電し、同様にシアントナー画像の形成及び前記のマゼンタトナー画像を転写した転写材へのシアントナー画像の形成を行い、更にイエロー色、ブラック色と順次同様に行って、4色のトナー画像を転写材に転写する。該4色のトナー画像を有する転写材を定着ローラーにより熱及び圧力の作用で定着することによりフルカラー画像を形成する。
【0005】
近年このような装置は、単なるオリジナル原稿を複写するための事務処理用複写機というだけでなく、コンピューターの出力としてのレーザービームプリンター(LBP)、あるいは個人向けのパーソナルコピー(PC)という分野で使われ始めた。
【0006】
また、このようなLBPやPCに代表される分野以外にも、基本エンジンを応用した普通紙ファックスヘの展開も急激に発展を遂げつつある。
【0007】
そのため、より小型、より軽量そしてより高速、より高画質、より高信頼性が厳しく追及されてきており、機械は種々の点でよりシンプルな要素で構成されるようになってきている。その結果、トナーに要求される性能はより高度になり、トナーの性能向上が達成できなければ、よりすぐれた機械が成り立たなくなってきている。また、近年多様な複写のニーズに伴い、カラー複写に対する需要も急増しており、オリジナルカラー画像をより忠実に複写するため、更に一層の高画質、高解像度等が望まれている。さらに、両面のオリジナルカラー原稿の複写に対する要求も高まってきている。
【0008】
これらの観点より、該カラーの画像形成方法に使用されるトナーは、これに加熱した際の溶融性および混色性が良いことが必要であり、軟化点が低く、かつ溶融粘度の低いシャープメルト性の高いトナーを使用することが好ましい。すなわち、斯かるシャープメルトトナーを使用することにより、複写物の色再現範囲を広め、原稿像に忠実なカラーコピーを得ることができる。
【0009】
しかしながら、このようなシャープメルト性の高いカラートナーは、一般に定着ローラーとの親和性が高く、定着時に定着ローラーにオフセットしやすい傾向にある。
【0010】
特にカラー画像形成装置における定着装置の場合、転写材上にマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックと複数層のトナー層が形成されるため、トナー層厚の増大から特にオフセットが発生しやすい傾向にある。
【0011】
従来定着ローラー表面にトナーを付着させない目的で、例えばローラー表面をシリコーンゴムやフッ素系樹脂などのトナーに対して離型性に優れた材料で被覆し、さらにその表面にオフセット防止、および、ローラー表面の疲労を防止するためにシリコーンオイル、フッ素オイルのごとき離型性の高い液体の薄膜でローラー表面を被覆することが行われている。しかしながら、この方法はトナーのオフセットを防止する点では極めて有効であるが、オフセット防止用液体を供給するために装置が必要なため、定着装置が複雑になること等の問題を有していることはもちろんのこと、このオイル塗布が定着ローラーを構成している層間の剥離を起こし結果的に定着ローラーの短寿命化を促進するという弊害がつきまとう。
【0012】
そこで、シリコーンオイルの供給装置などを用いないで、かわりにトナー中から加熱時にオフセット防止液体を供給しようという考えから、トナー中に低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンなどの離型剤を添加する方法が提案されている。
【0013】
トナー中に離型剤としてワックスを含有させることは知られている。例えば特公昭52−3304号公報、特公昭52−3305号公報、特開昭57−52574号公報等に技術が開示されている。
【0014】
また、特開平3−50559号公報、特開平2−719860号公報、特開平1−109359号公報、特開昭62−14166号公報、特開昭61−273554号公報、特開昭61−94062号公報、特開昭61−138259号公報、特開昭60−252361号公報、特開昭60−252360号公報、特開昭60−217366号公報などにワックス類を含有させる技術が開示されている。
【0015】
ワックス類は、トナーの低温時や高温時の耐オフセット性の向上や、低温時の定着性の向上のために用いられているが、反面、耐ブロッキング性を悪化させたり、複写機等の機内昇温などによって熱にさらされたり、また長時間トナーを放置した際にワックスがトナー表面にマイグレーションして現像性が悪化したりする。
【0016】
こうした問題に対して、新規トナーの開発にかかる期待は大なるものであった。
【0017】
上記の課題に対して懸濁重合法トナーが提案されている(特公昭36−10231号公報)。この懸濁重合法においては重合性単量体および着色剤(さらに必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相(例えば水相)中に適当な撹拌機を用いて分散し同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。
【0018】
この懸濁重合法では、水のごとき極性の大なる分散媒中で単量体組成物の液滴を生成せしめるため、単量体組成物に含まれる極性基を有する成分は水相との界面である表層部に存在しやすく、非極性の成分は表層部に存在しないという、いわゆるコア/シェル構造を形成することができる。
【0019】
重合法によるトナーは、離型剤であるワックス成分の内包化により、低温定着性、耐ブロッキング性と耐高温オフセット性という相反する性能を両立することが可能となり、かつ定着ローラーにオイル等の離型剤を塗布することなく、高温オフセットを防止することが可能である。
【0020】
ところで、トナーは多数枚プリントアウトした際に、外添剤がトナー表面に埋没したり、トナーと画像形成装置部材との接触や摺擦によりトナーの変形・融着などの劣化が生じ、画像に悪影響がでることが一般に知られている。トナーの耐久性を向上させるための手段として、結着樹脂のガラス転移温度を上げたり、分子量を増大させるという方法がある。この方法を用いれば、結着樹脂の機械的強度を上げることができ、上記トナーの劣化は改善する方向へ向かう。しかし、この方法を採用してしまうとトナーを定着工程で溶融しにくくなったり、トナーの溶融粘度が高くなったりして、トナーの定着性が極端に悪化してしまう。従って、現実にはトナーの耐久性と低温定着性をバランスさせることが重要であり、単純に結着樹脂の機械的強度を上げたのではこの問題は解決できない。
【0021】
直鎖状高分子の場合、分子量を増大させるとその溶融粘度は上がってしまう。しかし、分岐状高分子の場合には、分子量を増大させても低い溶融粘度を維持できることが一般に知られている。例えば、特公昭41−19511号公報には、重合開始剤として1分子内に4つのペルオキシド基を持つ2,2−ビス(4,4−ビス−t−ブチルペルオキジシクロヘキシル)プロパンを使用する方法が開示されている。また、特開平8−59721号公報には、さらに多官能ビニル化合物を併用して得られる分岐構造を有するスチレン系重合体及びその製造方法が開示されている。しかし、これらの方法では、重合開始剤を起点とした分岐状の重合体の生成効率が低いため、分子量の増大と溶融粘度の低下という性能が十分でないという問題があり、トナー用結着樹脂として採用しようとした場合には、耐久性と低温定着性をバランスさせることが困難であった。さらに、特公表7−506199号公報には、1分子内に1つ以上のパーオキサイド基と、1つ以上の重合性不飽和基とを有する多官能性重合開始剤を用いて、トナー用の高分子量樹脂が製造可能であることが開示されている。しかし、該公報ではトナーについては何ら記載が無く、この樹脂を用いてトナーを製造した場合のトナー性能、特にどの様な耐久性や定着性が発現されるかについては全く不明である。また、特開平10−237128号公報には、1分子内に1つのパーオキサイド基と、2つの重合性不飽和基とを有する多官能重合開始剤であるジシンモナイルペルオキシドを用いた、高分子量重合体の製造方法が開示されており、また、日本油脂株式会社の重合開始剤カタログ「パーロイルCl」にはトナー樹脂重合例が記載されているが、この公報やカタログにも高分子量樹脂の合成例が記載されているのみであり、この樹脂を用いて製造されたトナーの性能に関しては全く不明である。さらに、トナーが特定の形状の場合に発現される効果についても、もちろん記載されていない。
【0022】
先にも述べたように、近年は両面のオリジナル原稿の複写あるいは片面のオリジナル原稿の両面化に対するユーザーの需要は大きく、そのためにもより高画質、高信頼性のある両面画像が求められている。
【0023】
従来のカラー両面に対する技術において様々な弊害がある中で、最重要課題の一つに、一面を定着した後に発生する紙カールがある。この紙カールが大きいと、定着画像の搬送性は著しく劣り、高画質、高信頼性のある画像が得られない。これに対して、トナーに要求される性能としては、例えば、転写材へのトナーの転写量が少ない状態において、いかに画像濃度、色再現性等を満足した高画質な画像を得られるかである。これには、トナー自身の着色力の向上が必要となる。また、両面において、二度定着器を通過する画像が生じることから、耐高温オフセット性のさらなる向上も必要とされている。
【0024】
従来、フルカラー複写機においては、4つの感光体とベルト状転写ベルトを用い、各感光体上に形成された静電潜像をシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックトナーを用いて現像後、感光体とベルト転写体間に転写材を搬送しストレートパス間で転写後、フルカラー画像を形成せしめる方法や、感光体に対向せしめた転写体表面に静電気力やグリッパー等の機械的作用により転写材を巻き付け、現像−転写工程を4回実施することで結果的にフルカラー画像を得る方法等が一般的に利用されている。
【0025】
また、近年フルカラー用複写材として通常の紙やオーバーヘッドプロジェクター用フィルム(OHP)以外に厚紙やカード、葉書等小サイズ紙等への多様なマテリアル展開の必要性が増してきている。上記の4つの感光体を用いる方法においては、転写材がストレートに搬送するため多様な転写材への適用範囲は広いが、複数のトナー像を正確に所定の転写材の位置に重ね合わせる必要があり、少しのレジストレーションの相違によっても高画質の画像を再現性よく得ることが困難で、転写材の搬送機構が複雑化し、信頼性の低下、部品点数の増加を招くという問題がある。また、転写材を転写体表面に吸着させ巻き付ける方法で坪量の大きな厚紙を用いる際においては、転写材のコシの強さで転写材の後端が密着不良を起こし、結果的に転写に基づく画像欠陥を起こし好ましくない。小サイズ紙に対しても同様に画像欠陥が発生する場合がある。
【0026】
ドラム形状の中間転写体を用いるフルカラー画像装置は、米国特許第5187526号明細書や特開平4−16426号公報等で既に知られている。米国特許第5187526号明細書においては、ポリウレタンを基材とする表層からなる中間転写ローラーの体積固有抵抗値が109Ω・cm未満であり、同様の表面層から構成された転写ローラーの体積固有抵抗値を1010Ω・cm以上とすることで、高画質を得ることができると記載されている。しかしながらこの様な系においては、転写材へのトナーの転写時に充分なトナーへの転写電荷量を与えるためには、高出力電界が必要となるため導電性付与材を分散せしめたポリウレタンから構成された表層が、局所的にブレイクダウンを起こし、トナー乗り量の少ないハーフトーン画像において顕著な画像乱れが発生し好ましくない。さらにこの様な高電圧の印加は、相対湿度が60%RHを上回る高湿度下の環境においては、転写材の低抵抗化に伴い転写電流が漏洩して転写不良を起こしやすく、一方、相対湿度が40%RH以下の低湿度環境下においても転写材の不均一抵抗ムラに基づく転写不良の原因となる場合がある。
【0027】
中間転写体を用いる構成とトナーとの関係を記載しているものとして、特開昭59−15739号公報および特開昭59−5046号公報がある。しかしながら、該公報においては、粘着性の中間転写体を用い10μm以下のトナーを効率よく転写せしめることしか述べられていない。通常中間転写体を用いる系においては、トナーの顕色像を感光体から中間転写体に一旦転写後、さらに中間転写体から転写材上に再度転写することが必要であり、従来の上記方法と比べトナーの転写効率を従来以上に高める必要がある。特に複数のトナー像を現像後転写せしめるフルカラー複写機を用いた場合においては、白黒複写機に用いられる一色の黒トナーの場合と比較し感光体上のトナー量が増加し、単に従来のトナーを用いただけでは転写効率を向上させることが困難である。さらに通常のトナーを用いた場合には、感光体や中間転写体とクリーニング部材との間、および/または、感光体と中間転写体間でのズリ力や摺擦力のために感光体表面や中間転写体表面にトナーの融着やフィルミング等が発生して転写効率の悪化や、フルカラーにおいては4色のトナー像が均一に転写されないことから色ムラやカラーバランスの面で問題が生じやすく、高画質のフルカラー画像を安定して出力することが困難であった。
【0028】
また、通常のフルカラー複写機に搭載されるトナーとしては、定着工程で各カラートナーが充分混色することが必要で、このことにより色再現性の向上やOHP画像の透明性が重要であり、黒トナーと比ベカラートナーは、一般的にシャープメルトで低分子量の樹脂を使用することが好ましい。また、通常の黒トナーには、定着時の耐高温オフセット性を向上させるためにポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスに代表される比較的結晶性の高い離型剤が用いられている。しかしながら、フルカラートナーにおいては、この離型剤の結晶性のためOHPのトナー画像は、出力した際著しく透明性が阻害される。このため通常カラートナー構成成分として離型剤を添加せずに加熱定着ローラーへシリコーンオイル等を均一塗布せしめることで結果的に耐高温オフセット性の向上を図っている。しかしながら、この様にして得られたトナー定着像を有する転写材は、その表面に余分のシリコーンオイル等が付着しているため、ユーザーが使用する際不快感を生じ好ましくない。このように当接部分の多い中間転写体を用いたフルカラー画像形成には、現状困難な問題が多い。特開昭59−15739号公報および特開昭59−5046号公報には、この点に関するトナーまたは中間転写体への工夫は提案されていない。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐久性と定着性の良好なトナー、該トナーの製造方法、および該トナーを用いた画像形成方法を提供するものである。
【0030】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックス成分よりなる乾式トナーであって、
フロー式粒子像測定装置で計測される該乾式トナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該乾式トナーの円相当個数平均径D1(μm)が3〜8μmであり、且つ、該乾式トナーの平均円形度が0.960〜0.995で、円形度標準偏差が0.035未満であり、
該結着樹脂が、
(a)1分子内に1つ以上のパーオキサイド基と、1つ以上の重合性不飽和基とを有する多官能性重合開始剤としてジシンナモイルペルオキシド
(b)ジアシルペルオキシド類、ペルオキシエステル類、ペルオキシケタール類、ジアルキルペルオキシド類、アゾ系重合開始剤及びジアゾ系重合開始剤から選択される他の重合開始剤、及び、
(c)架橋剤としてジビニルベンゼン
の存在下で、単量体を共重合させて得られたスチレン−アクリル系樹脂であり、
該結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶成分のGPCによる数平均分子量Mnが、4000〜40000の範囲内にあり、該結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶成分のGPCによる重量平均分子量Mwが、190万〜370万の範囲内にあり、
該乾式トナーが懸濁重合方法によって得られたものである
ことを特徴とする乾式トナーに関する。
【0031】
また、本発明は、少なくとも重合性単量体、着色剤、ワックス成分及び架橋剤としてジビニルベンゼンからなる単量体組成物を水系媒体中に懸濁させ、(a)1分子内に1つ以上のパーオキサイド基と、1つ以上の重合性不飽和基とを有する多官能性重合開始剤としてジシンナモイルペルオキシド及び(b)ジアシルペルオキシド類、ペルオキシエステル類、ペルオキシケタール類、ジアルキルペルオキシド類、アゾ系重合開始剤及びジアゾ系重合開始剤から選択される他の重合開始剤の存在下で懸濁重合する重合トナーの製造方法であって、
該重合トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックス成分よりなり、
該結着樹脂が、スチレン−アクリル系樹脂であり、
該結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶成分のGPCによる数平均分子量Mnが、4000〜40000の範囲内にあり、
該結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶成分のGPCによる重量平均分子量Mwが、190万〜370万の範囲内にあり、
フロー式粒子像測定装置で計測される該重合トナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該重合トナーの円相当個数平均径D1(μm)が3〜8μmであり、且つ、該重合トナーの平均円形度が0.960〜0.995で、円形度標準偏差が0.035未満である
ことを特徴とする重合トナーの製造方法に関する。
【0032】
さらに、本発明は、少なくとも、外部より帯電部材に電圧を印加し、静電潜像担持体に帯電を行う工程と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する工程と、静電荷像を乾式トナーにより現像して乾式トナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体上の乾式トナー像を転写材に転写する転写工程と、転写材上の乾式トナー像を加熱定着する定着工程とを有する画像形成方法であり、該乾式トナーとして、上記構成のトナーを用いることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0033】
また、本発明は、少なくとも、外部より帯電部材に電圧を印加し、静電潜像担持体に帯電を行う工程と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する工程と、静電荷像を乾式トナーにより現像して乾式トナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体上の乾式トナー像を中間転写体に転写する第1の転写工程と、該中間転写体上の乾式トナー像を転写材に転写する第2の転写工程と、転写材上の乾式トナー像を加熱定着する定着工程とを有する画像形成方法であり、該乾式トナーとして、上記構成のトナーを用いることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0034】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定のトナー形状で、かつ結着樹脂の分子構造を制御することにより、耐久性と定着性の良好なトナーが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
【0036】
本発明によるトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックス成分から構成されており、該結着樹脂は、1分子内に1つ以上のパーオキサイド基と、1つ以上の重合性不飽和基とを有する多官能性重合開始剤の存在下で、単量体を共重合させて得られたものであることが必須である。
【0037】
該多官能性重合開始剤を用いることにより、結着樹脂は分岐状重合体の生成効率が高く、かつ分子量を効果的に増大させることができるため、機械的強度が高く、かつ溶融粘度の低下を図って、耐久性と低温定着性の両立が可能となる。
【0038】
本発明で使用できる多官能性重合開始剤は、1分子内に1つ以上のパーオキサイド基と、1つ以上の重合性不飽和基とを有するものであれば特に制限されない。一例を挙げれば、ジシンナモイルペルオキシド、ジアリルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシマレイン酸、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート、t−ブチルペルオキシイソプロピルフマレート、n−ブチル−t−ブチルペルオキシフマレート、4−イソプロペニルクミル−t−ブチルペルオキシドなど様々なものがあげられるが、この中で特にトナーの耐久性と低温定着性のバランスが良好なものはジシンナモイルペルオキシド(桂皮酸のジアシルペルオキシド)である。本発明において、例えばジシンナモイルペルオキシドを用いることにより、末端にジシンナモイルペルオキシドから誘導されたビニル基を含有するビニル系重合体を最初に生成させ、さらに重合体末端のビニル基とビニル系単量体とが共重合されることにより分岐状重合体が効率的に製造される。
【0039】
本発明においては、多官能性重合開始剤に加えて他の重合開始剤も併用することができる。重合体末端のビニル基とビニル系単量体を共重合する際、その他の重合開始剤としてペルオキシド又はアゾ化合物を併用し、高分子量の分岐状重合体をより効率的に製造することができる。また、この際併用する他の重合開始剤の10時間半減期温度は、多官能性重合開始剤の10時間半減期温度よりも高いことがより好ましく、この様にすれば比較的重合初期において、多官能性重合開始剤のペルオキシド基の分解により主に重合を開始させ、末端にビニル結合を有する重合体を生成させ、次いで併用するその他の重合開始剤によって重合することにより、分岐状重合体を効率的に得ることができる。
【0040】
併用されるその他の重合開始剤としては、例えばベンゾイルペルオキシド、トルイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルペルオキシイソフタレート、ジ−t−ブチル−シクロヘキサン−1,4−ジぺルオキシカルボキシレート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルペルオキシアセテート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等のペルオキシエステル類;1,1−ビス−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−t−ブチルペルオキシシクロヘキサン、2,2−ビス−t−ブチルペルオキシブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ビス−t−ブチルペルオキジシクロヘキシル)プロパン等のペルオキシケタール類;ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジ−t−ブチルペルオキシ−2,5−ジメチルヘキサン、ジクミルペルオキシド等のジアルキルペルオキシド類;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系またはジアゾ系重合開始剤が用いられる。
【0041】
重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが一般的には重合性単量体に対し0.5〜20質量%が用いられる。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独または混合して使用される。また、重合度を制御するために公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等をさらに添加して用いても良い。
【0042】
架橋剤を添加して本発明のトナーを得る場合、架橋剤の好ましい添加量としては、単量体100質量部に対して0.001〜1質量部である。
【0043】
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0044】
本発明のトナーの形状は、フロー式粒子像測定装置で計測される個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該トナーの円相当個数平均径D1(μm)が3〜8μmであり、かつ、該トナーの平均円形度が0.960〜0.995で、円形度標準偏差が0.035未満であることが必須である。この様にトナーの粒子形状を精密に制御することにより、転写性と現像性をバランス良く改善することができる。
【0045】
トナーの個数基準の粒径頻度分布における円相当個数平均径を3〜8μmと小粒径化することにより画像の輪郭部分、特に文字画像やラインパターンの現像での再現性が良好なものとなる。しかし、一般にトナー粒子を小粒径化すると、必然的に微小粒径のトナーの存在率が高くなるため、トナーを均一に帯電させることが困難となり画像カブリを生じるばかりか、静電潜像担持体表面への付着力が高くなり、結果として転写残トナーの増加を招いていた。しかし、円形度頻度分布の円形度標準偏差を上記の様に制御することで現像性や転写性の環境変動に対する安定性、更には耐久性が良好なものとなる。その理由として本発明者らは、現像工程においてトナー担持体上にトナーの薄層を形成する際に、トナー層厚規制部材の規制力を通常よりも強くしても十分なトナーコート量を保つことができるため、トナー担持体に対するダメージを与えることなくトナー担持体上のトナーの帯電量を通常よりも高くすることが可能となるからだと考えている。
【0046】
また、円形度頻度分布における平均円形度を上記の様に制御することにより、従来では困難であった小粒径を呈するトナーの転写性が大幅に改善されると共に、低電位潜像に対する現像能力も格段に向上する。特にデジタル方式の微小スポット潜像を現像する場合に有効である。
【0047】
平均円形度は0.960以上であることが必須であり、さらに好ましくは0.970以上である。0.960未満である場合には、転写性の悪化や現像性が低下する場合がある。また、平均円形度が0.995を超えるとトナー表面の劣化が著しいものとなり耐久性等に問題を生じる様になる。
【0048】
本発明におけるトナーの円相当径、円形度及びそれらの頻度分布とは、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではフロー式粒子像測定装置FPlA−1000型(東亜医用電子社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出した。
【0049】
【数1】
Figure 0004510346
【0050】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
【0051】
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になるほど、円形度は小さな値となる。
【0052】
本発明において、トナーの個数基準の粒径頻度分布の平均値を意味する円相当個数平均径ど粒径標準偏差SDdは、粒度分布の分割点iでの粒径(中心値)をdi、頻度をfiとすると次式から算出される。
【0053】
【数2】
Figure 0004510346
【0054】
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度と円形度標準偏差SDcは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci,頻度をfciとすると、次式から算出される。
【0055】
【数3】
Figure 0004510346
【0056】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02gを加え、均一に分散させる、分散させる手段としては、超音波分散機UH−50型(エスエムテー社製)に振動子として5φのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を用い、測定用の分散液とする、その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
【0057】
トナー粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、トナーの円相当径や円形度頻度分布等を求める。
【0058】
本発明においては、多種の転写材に対応させるために、中間転写体をもうけることができる。その場合、転写工程が実質2回行われるため、転写効率の低下率は著しくトナーの利用効率の低下を招き問題となる。デジタルフルカラー複写機やプリンターにおいては、色画像原稿を予めB(ブルー)フィルター、G(グリーン)フィルター、R(レッド)フィルターを用い色分解した後、感光体上に20〜70μmのドット潜像を形成し、Y(イエロー)トナー、M(マゼンタ)トナー、C(シアン)トナー、B(ブラック)トナーの各色トナーを用いて原色混合作用を利用し原稿に忠実な多色カラー画像を再現する必要がある。この際、感光体上または中間転写体上には、Yトナー、Mトナー、Cトナー、Bトナーが原稿やCRTの色情報に対応して多量にトナーが乗るため本発明に使用される各カラートナーは、極めて高い転写性が要求され、それを実現させるためには前述した平均円形度が0.960〜0.995、好ましくは0.970〜0.995、更に好ましくは0.980〜0.995であり、円形度標準偏差が0.035未満、好ましくは0.030未満であるトナー粒子が好ましい。
【0059】
本発明において用いられる結着樹脂の分子量は特に制限されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)において測定したピーク分子量が2000〜40000、数平均分子量Mnが1000〜50000の範囲であるのが好ましく、さらに好ましくはピーク分子量が5000〜40000,Mnが4000〜40000の範囲である。ピーク分子量が2000よりも低いと帯電特性に悪影響がでる場合があり、40000よりも高いと溶融粘度が高くなりすぎ、定着性に問題を生じる場合がある。
【0060】
具体的なGPCの測定方法としては、結着樹脂またはトナーをテトラヒドロフラン(THF)に室温で24時間かけて溶解した溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過してサンプル溶液とし、以下の条件で測定する。尚、サンプル調製は、THFに可溶な成分の濃度が0.4〜0.6質量%になるようにTHFの量を調整する。
装置 :高速GPC HLC8120 GPC(東ソー社製)
カラム :Shodex KF−801,802,803,804,805,806,807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン
流速 :1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量 :0.10ml
【0061】
また、試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(東ソー社製TSK スタンダード ポリスチレンF−850,F−450,F−288,F−128,F−80,F−40,F−20,F−10,F−4,F−2,F−1,A−5000,A−2500,A−1000,A−500)により作成した分子量校正曲線を使用する。
【0062】
本発明において使用される結着樹脂としては、一般に用いられているスチレンーアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等様々な樹脂が挙げられるが、全結着樹脂のうちの70質量%以上はスチレン−アクリル系樹脂であることが好ましい。これらの樹脂はあらゆる公知の方法により製造すればよく、例えばスチレン−アクリル系樹脂は、それらを形成するための単量体を重合することにより得ることができる。具体的には、スチレン、o(m−,p−)−メチルスチレン、m(p−)−エチルスチレンの如きスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸べヘニル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミドの如きエン系単量体が好ましく用いられる。これらは単独、または一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−p139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40〜75℃を示すように単量体を適宜混合して用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすく、一方75℃を超える場合にはトナーの定着点の上昇をもたらす。特にフルカラー画像を形成するためのカラートナーの場合においては各色トナーの定着時の混色性が低下し色再現性に乏しく、さらにOHP画像の透明性が低下するため好ましくない。
【0063】
また、重合法により本発明のトナーを製造する場合には、単量体組成物中にポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を溶解または分散させて添加することもできる。
【0064】
本発明に用いられるワックス成分としては、例えばパラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。その他、高級脂肪酸およびその金属塩、高級脂肪族アルコール、高級脂肪族エステル、脂肪族アミドワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、鉱物系ワックス、ペトローラークタムなど様々なものが挙げられる。
【0065】
これらのワックス成分は、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時に40〜130℃の領域に最大吸熱ピークを有する。上記温度領域に最大吸熱ピークを有することにより、低温定着に大きく貢献しつつ、離型性をも効果的に発現する。該最大吸熱ピークが40℃未満であるとワックス成分の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が悪化するとともに、グロスが高くなりすぎる。一方、該最大吸熱ピークが130℃を超えると定着温度が高くなるとともに、定着画像表面を適度に平滑化せしめることが困難となるため、特にカラートナーに用いた場合には混色性低下の点から好ましくない。さらに、水系媒体中で造粒/重合を行い重合方法により直接トナーを得る場合、該最大吸熱ピーク温度が高いと、主に造粒中にワックス成分が析出する等の問題を生じ好ましくない。
【0066】
ワックス成分の最大吸熱ピーク温度の測定は、「ASTM D 3418−8」に準じて行う。測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行う。
【0067】
本発明においては、これらのワックス成分の添加量は特に限定されないが、一般にトナーに対して0.5〜30質量%が好ましい。
【0068】
本発明によるトナーの製造方法としては様々な方法が挙げられるが、例えば粉砕法により製造する場合には、少なくとも一部が多官能性重合開始剤を用いて製造された結着樹脂、ワックス成分、着色剤および/または磁性体、荷電制御剤またはその他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミルのごとき混合機により充分混合し、加圧ニーダーやエクストルーダーのごとき熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後に固形物を機械的又はジェット気流下でターゲットに衝突させ、所望のトナー粒径に微粉砕化する。その後、必要に応じてトナー粒子の平滑化および球形化処理を行う。次いで、分級工程を経て粒度分布をシャープにする。さらに、分級粉を微粒子シリカ等の流動化剤とヘンシェルミキサーのごとき混合機により充分混合することで本発明のトナーを得ることができる。また、重合法により本発明のトナーを製造する場合には、重合開始剤の少なくとも一部として多官能性重合開始剤を用い、特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報、特開昭59−61842号公報に述べられているような懸濁重合方法を用いて直接トナーを製造する方法、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを製造する分散重合方法または水溶性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを製造するソープフリー重合法に代表される乳化重合方法等により本発明のトナーを得ることができる。また、その他の方法として、特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用いて、溶融混合物を空気中に霧化し球形トナーを得る方法などが例示される。
【0069】
前記したトナーの製造方法のうち、溶融スプレー法は得られたトナーの粒度分布が広くなりやすい。他方、分散重合法は、得られるトナーは極めてシャープな粒度分布を示すが、使用する材料の選択が狭いことや有機溶剤の利用が廃溶剤の処理や溶剤の引火性に関する観点から製造装置が複雑で煩雑化しやすい。また、乳化重合方法は、トナーの粒度分布が比較的揃うという利点はあるが、一般に生成する粒子の粒度は非常に細かく、トナーとしてそのまま使用することは困難である。さらに、使用した水溶性重合開始剤の末端や乳化剤がトナー粒子表面に存在し、環境特性を悪化させることがある。一方、トナー粒子の平滑化および球形化処理による製造方法、および重合法による製造方法は、トナーの円形度や円形度標準偏差を希望する範囲に収めることが容易であり、好ましい製造方法といえる。また、重合法により本発明のトナーを製造する方法は、特にトナー粒子の形状制御が容易であり、また、溶融混練工程で分岐状高分子が切断されることもなく、特に好ましい製造方法である。
【0070】
本発明に用いられる着色剤は、以下に示すイエロー着色剤、マゼンタ着色剤およびシアン着色剤が挙げられ、黒色着色剤としてカーボンブラック、磁性体または以下に示すイエロー着色剤/マゼンタ着色剤/シアン着色剤を混合して黒色に調色されたものが利用される。
【0071】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物等が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12,13,14,15,17,62,74,83,93,94,95,109,110,111,128,129,147,168,180等が好適に用いられる。
【0072】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2,3,5,6,7,23,48:2,48:3,48:4,57:1,81:1,144,146,166,169,177,184,185,202,206,220,221,254が特に好ましい。
【0073】
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1,7,15,15:1,15:2,15:3,15:4,60,62,66等が特に好適に利用できる。
【0074】
これらの着色剤は、単独又は混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂成分100質量部に対し1〜20質量部使用することが好ましい。
【0075】
さらに本発明のトナーは黒色着色剤として磁性材料を使用し、磁性トナーとしても使用し得る。この際使用することのできる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドニウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及びその混合物があげられる。
【0076】
本発明に用いられる磁性体は、表面改質された磁性体であることがより好ましく、重合法トナーに用いる場合には、重合阻害のない物質である表面改質剤により、疎水化処理を施したものが好ましい。このような表面改質剤としては、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤等を例示することができる。
【0077】
これらの磁性体は平均粒径が2μm以下、好ましくは0.1〜0.5μm程度のものである。トナー粒子中に含有させる磁性体の量としては樹脂100質量部に対し20〜200質量部、特に好ましくは40〜150質量部である。また、795.8kA/m(10kエルステッド)印加での磁気特性が保磁力(Hc)1.6〜24kA/m(20〜300エルステッド)、飽和磁化(σs)50〜200Am2/kg、残留磁化(σr)2〜20Am2/kgの磁性体が好ましい。
【0078】
本発明に用いられる荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法を用いて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。該荷電制御剤は樹脂100質量部に対し0.5〜10質量部使用することが好ましい。しかしながら、本発明において荷電制御剤の添加は必須ではなく、二成分現像方法を用いた場合においては、キャリアとの摩擦帯電を利用し、非磁性一成分ブレードコーティング現像方法を用いた場合においては、ブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー粒子中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0079】
トナーの製造方法として重合法を利用する場合、トナー粒子の粒度分布制御や粒径の制御は、難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類や添加量を変える方法や機械的装置条件(例えばローターの周速、パス回数、撹拌羽根形状等の撹拌条件や容器形状)または、水溶液中での固形分濃度等を制御することにより所定のトナー粒子を得ることができる。
【0080】
トナーの製造法として分散安定剤を用いた懸濁重合法を利用する場合、用いる分散安定剤としては、無機化合物としてリン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。有機化合物としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、ポリアクリル酸およびその塩、デンプン等が挙げられる。これらの分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜20質量部を使用することが好ましい。
【0081】
分散安定剤として、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい粒子を得るために、分散媒体中にて該無機化合物の微粒子を生成しても良い。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合すると良い。
【0082】
これら分散安定剤の微細な分散のために、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。これは上記分散安定剤の作用を促進するためのものであり、例えば、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
【0083】
本発明で使用するトナーの製造方法として直接重合法を用いる場合においては、以下の如き製造方法が可能である。
【0084】
重合性単量体中に、ワックス成分、着色剤、荷電制御剤、重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー、超音波分散機等によって均一に溶解または分散した単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー、ホモジナイザー等により分散させる。好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度、撹拌時間を調整し造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、かつ、粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えばよい。重合温度は40℃以上、一般的には50〜120℃の温度に設定して重合を行うのがよい。重合反応後半に昇温をしてもよく、さらに、本発明における画像形成方法では耐久性の向上の目的で、未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するための反応後半、または、反応終了後に一部水系媒体を反応系から留去してもよい。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄、濾過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常、単量体組成物100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒体として使用するのが好ましい。
【0085】
本発明のトナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のため、無機微粉体を添加剤としてトナー粒子と混合して用いることが好ましい。
【0086】
本発明に用いられる無機微粉体としては、シリカ微粉体、酸化チタン、アルミナ微粉体等が挙げられる。この中でもBET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上(特に50〜400m2/g)の範囲内のものが良好な結果を与える。トナー粒子100質量部に対して無機微粉体0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜5質量部使用するのが良い。
【0087】
本発明に用いられる無機微粉体は、必要に応じ、疎水化、帯電性コントロールの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物の如き処理剤で処理されていることも好ましい。
【0088】
他の添加剤としては、ポリフッ化エチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンの如き滑剤(中でもポリフッ化ビニリデンが好ましい);酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウムの如き研磨剤(中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい);ケーキング防止剤;カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズの如き導電性付与剤;トナー粒子と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子の如き現像性向上剤が挙げられる。
【0089】
次に本発明のトナーが適用される画像形成方法を添付図面を参照しながら以下に説明する。
【0090】
本発明のトナーは種々の現像方式に適用できる。一例として、図1に、静電潜像担持体上に形成された静電像を一成分現像により現像する装置の一例を示すが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0091】
図1において、25は静電潜像担持体(感光ドラム)であり、潜像形成は電子写真プロセス手段または静電記録手段によりなされる。24はトナー担持体(現像スリーブ)であり、アルミニウムあるいはステンレス等からなる非磁性スリーブからなる。
【0092】
現像スリーブ24の略右半周面はトナー容器21内のトナー溜まりに常時接触していて、その現像スリーブ面近傍のトナーが現像スリーブ面にスリーブ内の磁気発生手段の磁力で及び/または静電気力により付着保持される。
【0093】
本発明では、トナー担持体の表面粗度Ra(μm)を1.5以下となるように設定する。好ましくは1.0以下である。さらに好ましくは0.5以下である。
【0094】
該表面粗度Raを1.5以下にすることでトナー担持体の有するトナー粒子の搬送能力を抑制し、該トナー担持体上のトナー層を薄層化すると共に、該トナー担持体とトナーの接触回数が多くなるため、該トナーの帯電性も改善されるので相乗的に画質が向上する。
【0095】
該トナー担持体の表面粗度Raが1.5を超えると、該トナー担持体上のトナー層の薄層化が困難となるばかりか、トナーの帯電性が改善されないので画質の向上は望めない。
【0096】
本発明において、トナー担持体の表面粗度Raは、JIS表面粗さ「JIS B 0601」に基づき、表面粗さ測定器(サーフコーダSE−30H、株式会社小坂研究所社製)を用いて測定される中心線平均粗さに相当する。具体的には、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さaとして2.5mmの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、次式によって求められる値をミクロメートル(μm)で表したものを言う。
【0097】
【数4】
Figure 0004510346
【0098】
本発明に用いられるトナー担持体としては、例えばステンレス、アルミニウム等からなる円筒状、あるいはベルト状部材が好ましく用いられる。また必要に応じ表面を金属、樹脂等のコートをしてもよく、樹脂や金属類、カーボンブラック、帯電制御剤等の微粒子を分散した樹脂をコートしても良い。
【0099】
本発明では、トナー担持体の表面移動速度を静電潜像担持体の表面移動速度に対し1.05〜3.0倍となるように設定することで、該トナー担持体上のトナー層は適度な撹拌効果を受けるため、静電潜像の忠実再現が一層良好なものとなる。
【0100】
該トナー担持体の表面移動速度が、静電潜像担持体の表面移動速度に対し1.05倍未満であると、該トナー層の受ける撹拌効果が不十分となり、良好な画像形成は望めない。また、ベタ黒画像等、広い面積にわたって多くのトナー量を必要とする画像を現像する場合、静電潜像へのトナー供給量が不足し画像濃度が薄くなる。逆に3.0倍を超える場合には、上記の如きトナーの過剰な帯電によって引き起こされる種々の問題の他に、機械的ストレスによるトナーの劣化やトナー担持体へのトナー固着が発生、促進され、好ましくない。
【0101】
トナーTはホッパー21に貯蔵されており、供給部材22によって現像スリーブ上へ供給される。供給部材として、多孔質弾性体、例えば軟質ポリウレタンフォーム等の発泡材よりなる供給ローラーが好ましく用いられる。該供給ローラーを現像スリーブに対して、順または逆方向に0でない相対速度を持って回転させ、現像スリーブ上へのトナー供給と共に、スリーブ上の現像後のトナー(未現像トナー)のはぎ取りも行う。この際、供給量ローラーの現像スリーブヘの当接幅は、トナーの供給及びはぎ取りのバランスを考慮すると、2.0〜10.0mmが好ましく、4.0〜6.0mmがより好ましい。その一方で、トナーに対する過大なストレスを余儀なくされ、トナーの劣化による凝集の増大、あるいは現像スリーブ、供給ローラー等へのトナーの融着・固着が生じやすくなるが、本発明の現像法に用いられるトナーは、流動性、離型性に優れ、耐久安定性を有しているので、該供給部材を有する現像法においても好ましく用いられる。また、供給部材としては、ナイロン、レーヨン等の樹脂繊維よりなるブラシ部材を用いても良い。尚、これらの供給部材は磁気拘束力を利用できない非磁性一成分トナーを使用する一成分現像方法において極めて有効であるが、磁性一成分トナーを使用する一成分現像方法に使用しても良い。
【0102】
現像スリーブ上に供給されたトナーは規制部材によって薄層かつ均一に塗布される。トナー薄層化規制部材は、現像スリーブと一定の間隔において配置される金属ブレード、磁性ブレード等のドクターブレードである。あるいは、ドクターブレードの代わりに、金属、樹脂、セラミックスなどを用いた剛体ローラーやスリーブを用いてもよく、それらの内部に磁気発生手段を用いても良い。また、トナー薄層化の規制部材としてトナーを圧接塗布するための弾性ブレードや弾性ローラーの如き弾性体を用いても良い。例えば、図1において、弾性ブレード23はその上辺部側である基部を現像剤容器21側に固定保持され、下辺部側をブレードの弾性に抗して現像スリーブ24の順方向あるいは逆方向にたわめ状態にしてブレード内面側(逆方向の場合には外面側)をスリーブ24表面に適度の弾性抑圧をもって当接させる。この様な装置によると、環境の変動に対しても安定で、緻密なトナー層が得られる。その理由は必ずしも明確ではないが、該弾性体によって現像スリーブ表面と強制的に摩擦されるため、トナーの環境変化による挙動の変化に関係なく常に同じ状態で帯電が行われるためと推測される。
【0103】
その一方で、帯電が過剰になりやすく、現像スリーブや弾性ブレード上にトナーが融着しやすいが、本発明に用いられるトナーは離型性に優れ、摩擦帯電性が安定しているので好ましく用いられる。
【0104】
該弾性体には所望の極性にトナーを帯電させるのに適した摩擦帯電系列の材質を選択することが好ましく、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRの如きゴム弾性体、ポリエチレンテレフタレートの如き合成樹脂弾性体、ステンレス、鋼、リン青銅の如き金属弾性体が使用できる。また、それらの複合体であっても良い。
【0105】
また、弾性体とトナー担持体に耐久性が要求される場合には、金属弾性体に樹脂やゴムをスリーブ当接部に当たるように貼り合わせたり、コーティング塗布したものが好ましい。
【0106】
更に、弾性体中に有機物や無機物を添加してもよく、溶融混合させても良いし、分散させても良い。例えば、金属酸化物、金属粉、セラミックス、炭素同素体、ウィスカー、無機繊維、染料、顔料、界面活性剤などを添加することにより、トナーの帯電性をコントロールできる。特に、弾性体がゴムや樹脂等の成型体の場合には、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化錫、酸化ジルコニア、酸化亜鉛等の金属酸化物微粉末、カーボンブラック、一般にトナーに用いられる荷電制御剤等を含有させることも好ましい。
【0107】
またさらに、規制部材である現像ブレード、供給部材である供給ローラー、ブラシ部材に直流電場及び/または交流電場を印加することによっても、トナーへのほぐし作用のため現像スリーブ上の規制部材においては、均一薄層塗布性、均一帯電性がより向上し、供給部材においては、トナーの供給/はぎ取りがよりスムーズになされ、充分な画像濃度の達成及び良質の画像を得ることができる。
【0108】
該弾性体とトナー担持体との当接圧力は、トナー担持体の母線方向の線圧として、0.98N/m(0.1kg/m)以上、好ましくは2.94〜245N/m(0.3〜25kg/m)、さらに好ましくは4.9〜117.6N/m(0.5〜12kg/m)が有効である。これによりトナーの凝集を効果的にほぐすことが可能となり、トナーの帯電量を瞬時に立ち上げることが可能である。当接圧力が0.98N/mより小さい場合、トナーの均一塗布が困難となり、トナーの帯電量分布がブロードになりカブリや飛散の原因となる。また、当接圧力が245N/mを超えると、トナーに大きな圧力がかかり、トナーが劣化したり、トナーの凝集物が発生するなど好ましくない。またトナー担持体を駆動させるために大きなトルクを要するため好ましくない。
【0109】
静電潜像担持体とトナー担持体との間隙αは、50〜500μmに設定され、ドクターブレードとトナー担持体との間隙は、50〜400μmに設定されることが好ましい。
【0110】
トナー担持体上のトナー層の層厚は、静電潜像担持体とトナー担持体との間隙αよりも薄いことが最も好ましいが、場合によりトナー層を構成する多数のトナーの穂のうち、一部は静電潜像担持体に接する程度にトナー層の層厚を規制しても良い。
【0111】
一方、トナー担持体には、バイアス電源26により静電潜像担持体との間に交番電界を印加することによりトナー担持体から静電潜像担持体へのトナーの移動を容易にし、さらに良質の画像を得ることができる。交番電界のVppは100V以上、好ましくは200〜3000V、さらに好ましくは300〜2000Vで用いるのがよい。また、fは500〜5000Hz、好ましくは1000〜3000Hz、さらに好ましくは1500〜3000Hzで用いられるこの場合の波形は、矩形波、サイン波、のこぎり波、三角波等の波形が適用できる。また、正、逆の電圧、時間の異なる非対称交流バイアスも利用できる。また直流バイアスを重畳するのも好ましい。
【0112】
静電潜像担持体25はa−Se,Cds,ZnO2,OPC,a−Siの様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトである。静電潜像担持体25は、図示しない駆動装置によって矢印方向に回転される。
【0113】
静電潜像担持体25としては、アモルファスシリコン感光層、または有機系感光層を有する感光体が好ましく用いられる。
【0114】
有機系感光層としては、感光層が電荷発生物質および電荷輸送機能を有する物質を同一層に含有する単一層型でもよく、または、電荷輸送層と電荷発生層を成分とする機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
【0115】
有機系感光層の結着樹脂はポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が特に、転写性やクリーニング性がよく、クリーニング不良、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくい。
【0116】
帯電工程では、コロナ帯電器を用いる静電潜像担持体25とは非接触である方式と、ローラー等を用いる接触型の方式があり何れのものも用いられる。効率的な均一帯電、シンプル化、低オゾン発生化のために接触方式のものが好ましく用いられる。
【0117】
【実施例】
以下、具体的実施例によって本発明を説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
【0118】
実施例1
高速撹拌装置TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を備えた2L用4つ口セパラブルフラスコ中に、イオン交換水325質量部と0.1mol/L−Na3PO4水溶液250質量部を投入し、回転数を12000rpmに調整し、70℃に加温した。ここに1.0mol/L−CaCl2水溶液35質量部を徐々に添加し、微少な難水溶性分散安定剤Ca3(PO4)を含む水系連続相を調製した。
【0119】
一方、分散質として、
・ジシンナモイルペルオキシド 3.0質量部
・スチレン 78質量部
・n−ブチルアクリレート 22質量部
・ジビニルベンゼン(純度55%) 0.2質量部
・カーボンブラック(BET比表面積=106m2/g) 7質量部
・負電荷性荷電制御剤(アゾ系鉄錯体) 1質量部
・最大吸熱ピーク70℃のパラフィンワックス 10質量部
・1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル) 4質量部
上記混合物をアトライター(三井三池化工製)を用い5時間分散したものを70℃に加熱し、重合性単量体組成物を調製した。
【0120】
次に前記水系分散媒中に該重合性単量体組成物を投入し、窒素雰囲気下液温70℃で高速撹拌機の回転数を12000rpmに維持しつつ15分間撹拌し、該重合性単量体組成物を造粒した。その後、撹拌機をプロペラ型撹拌翼にかえて50rpmで撹拌しながら90℃まで昇温し、10時間保持して懸濁液を得た。
【0121】
その後懸濁液を冷却し、次いで希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。さらに水洗浄を数回繰り返した後乾燥し、粒子(1)を得た。
【0122】
上記粒子(1)100質量部と疎水性シリカ微粉体(BET:180m2/g)3質量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、本発明のトナー(1)とした。
【0123】
実施例2
ジシンナモイルペルオキシドの添加量を1質量部とする以外は実施例1と同様にして粒子(2)、トナー(2)を調製した。
【0124】
実施例3
1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)の添加量を2質量部とする以外は実施例1と同様にして粒子(3)、トナー(3)を調製した。
【0125】
参考例1
1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を添加せず、ジシンナモイルペルオキシドの添加量を5質量部とする以外は実施例1と同様にして粒子(4)、トナー(4)を調製した。
【0126】
参考例2
ジビニルベンゼンを添加しない以外は実施例1と同様にして粒子(5)、トナー(5)を調製した。
【0127】
参考例3
ジシンナモイルペルオキシドの代わりに4−イソプロペニルクミル−t−ブチルペルオキシドを使用した以外は実施例1と同様にして粒子(6)、トナー(6)を調製した。
【0128】
比較例1
実施例1で得られた粒子(1)を、160℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練して、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕した後、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕した。
【0129】
さらに得られた粒子を分級して比較用粒子(1)とした。
【0130】
該比較用粒子(1)100質量部と疎水性シリカ微粉体(BET:180m2/g)3質量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、比較用トナー(1)とした。
【0131】
比較例2
ジシンナモイルペルオキシドの代わりに2,2−ビス(4,4−ビス−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパンを用いた以外は実施例1と同様にして比較用トナー(2)を製造した。該トナー粒子についてGPCにより分子量を測定したところ、メインピークの分子量が2.1万、Mwが46万、Mnが2.0万であった。
【0132】
以上の実施例および比較例で得られた粒子(1)〜(6)および比較用粒子(1)〜(2)について、円相当個数平均径、平均円形度、円形度標準偏差の測定値、およびGPCにより求めたMw,Mn、メインピーク分子量を表1に記載する。
【0133】
【表1】
Figure 0004510346
【0134】
実施例4および比較例3〜4
上記実施例1及び比較例1で製造したトナー(1)及び比較トナー(1)と(2)を用い以下の通り評価を行った。
【0135】
図1に示す画像形成装置の現像装置をトナー担持体面の移動速度が静電潜像担持体面の移動速度に対し、3.0倍となるように設定した。次に現像器内にトナー(1)と比較用トナー(1)と(2)の各々を充填し、高温高湿(35℃,90%RH)環境下に一晩放置した。その後、現像器を画像形成装置にセットし、単色での連続モード(すなわち、現像器を休止させることなくトナーの消費を促進させるモード)により、6枚/分(A4サイズ)のプリントアウト速度で300枚のベタ白画像のプリントアウトを行なった。その後、常温常湿(25℃,60%RH)環境下に画像形成装置ごと一日放置し、単色での連続モードにより、8枚/分(A4サイズ)のプリントアウト速度で1000枚のプリントアウト試験を行なった。そして、得られたプリントアウト画像を後述の項目について評価した。
【0136】
さらに、用いた画像形成装置と上記現像剤のマッチングについても、プリントアウト試験終了後に評価した。
【0137】
以上の評価結果を表2および3にまとめる。
【0138】
尚、ここで用いたトナー担持体の表面粗度Raは1.5であり、トナー規制ブレードとしてSUS製ブレードを用いた。また、画像形成装置の定着器は、オフセット防止液体の供給のないオイルレス定着器である。
【0139】
【表2】
Figure 0004510346
【0140】
【表3】
Figure 0004510346
【0141】
実施例5〜7、参考例4〜5、実施例8および比較例5〜6
中間転写ベルトを用いた画像形成装置の一例の概略図を図2に示す。
【0142】
図2は電子写真プロセスを利用したカラー画像形成装置(複写機あるいはレーザービームプリンター)である。
【0143】
1は第1の画像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下感光ドラムと記す)であり、矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
【0144】
感光ドラム1は回転過程で、一次帯電器2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで不図示の像露光手段3による露光3を受ける。このようにして目的のカラー画像の第1の色成分像(例えばイエロー色成分像)に対応した静電潜像が形成される。
【0145】
次いで、その静電潜像が第1の現像器(イエロー色現像器41)により第1色であるイエロー成分像に現像される。この時第2〜第4の現像器、即ちマゼンタ現像器42、シアン色現像器43、およびブラック色現像器44は作動しておらず、感光ドラム1には作用していないので、上記第1色のイエロー成分画像は上記第2〜第4の現像器による影響を受けない。
【0146】
中間転写ベルト40は矢印の方向に感光ドラム1と同じ周速度で回転駆動される。
【0147】
感光ドラム1上に形成された上記第1色のイエロー成分像が、感光ドラム1と中間転写ベルト40とのニップ部を通過する過程で、一次転写ローラー62を介してバイアス電源49から中間転写ベルト40に印加される一次転写バイアスによって形成される電界により、中間転写ベルト40の外周面に順次転写(一次転写)されていく。
【0148】
中間転写ベルト40に対応する第1色のイエロートナー画像の転写を終えた感光ドラム1の表面は、クリーニング装置53により清掃される。
【0149】
以下、同様に第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のブラックトナー画像が順次中間転写ベルト40上に重ね合わせて転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が形成される。
【0150】
63は二次転写ローラーで、二次転写対向ローラー64に対応し平行に軸受させて中間転写ベルト40の下面部に離間可能な状態に配設してある。
【0151】
トナー画像を感光ドラム1から中間転写ベルト40へ転写するための一次転写バイアスは、トナーとは逆極性でバイアス電源49から印加される。その印加電圧は例えば+100V〜+2kVの範囲である。
【0152】
感光ドラム1から中間転写ベルト40への第1〜第3色のトナー画像の一次転写工程において、二次転写ローラー63は中間転写ベルト40から離間することも可能である。
【0153】
中間転写ベルト40上に転写されたフルカラー画像は、二次転写ローラー63が中間転写ベルト40に当接され、給紙ローラー51から中間転写ベルト40と二次転写ローラー63との当接部分に所定のタイミングで第2の画像担持体である転写材Pが給送され、二次転写バイアスがバイアス電源48から二次転写ローラー63に印加されることにより転写材Pに二次転写される。トナー画像が転写された転写材Pは、定着器55へ導入され加熱定着される。
【0154】
転写材Pへの画像転写終了後、中間転写ベルト40には転写残トナークリーニング装置52が当接され、中間転写ベルト40の表面が清掃される。
【0155】
前記した画像形成装置を用いて、トナー担持体面の移動速度が静電潜像担持体面の移動速度に対し、3.0倍となるように設定し、次に現像器内にトナー(1)〜(6)と比較用トナー(1)〜(2)の各々を充填し、高温高湿(35℃,90%RH)環境下に一晩放置した。その後、現像器を画像形成装置にセットし、単色での連続モード(すなわち、現像器を休止させることなくトナーの消費を促進させるモード)により、8枚/分(A4サイズ)のプリントアウト速度で300枚のベタ白画像のプリントアウトを行なった。その後、常温常湿(25℃,60%RH)環境下に画像形成装置ごと一日放置し、単色での連続モードにより、8枚/分(A4サイズ)のプリントアウト速度で1000枚のプリントアウト試験を行なった。そして、得られたプリントアウト画像を後述の項目について評価した。
【0156】
さらに、用いた画像形成装置と上記現像剤のマッチングについても、プリントアウト試験終了後に評価した。
【0157】
以上の評価結果を表4および5にまとめる。
【0158】
尚、ここで用いたトナー担持体の表面粗度Raは1.4であり、トナー規制ブレードはSUS製ブレードを用いた。
【0159】
【表4】
Figure 0004510346
【0160】
【表5】
Figure 0004510346
【0161】
実施例9および比較例7〜8
市販のレーザービームプリンターLBP−EX(キヤノン社製)にリユース機構を取り付け改造し、再設定して用いた。即ち、図3において感光体ドラム70上の未転写トナーを該感光体ドラムに当接しているクリーナー71の弾性ブレード72によりかき落とした後、クリーナーローラー73によってクリーナー内部へ送り、さらにクリーナースクリューを経て、搬送スクリューを設けた供給用パイプ74によってホッパー75を介して現像器76に戻し、再度回収トナーを利用するシステムを取り付け、一次帯電ローラー77としてナイロン樹脂で被覆された導電性カーボンを分散したゴムローラー(直径12mm、当接圧49N/m)を使用し、感光体ドラム70にレーザー露光(600dpi)により暗部電位VD=−700V、明部電位VL=−200Vを形成した。
【0162】
トナー担持体78として、表面にカーボンブラックを分散した樹脂をコートした表面粗度Raが1.1を呈する現像スリーブを感光ドラム面の移動速度に対して1.1倍となるように設定し、次いで、該感光ドラムと該現像スリーブとの間隔(S−D間)を270μmとし、トナー規制部材としてウレタンゴム製ブレードを当接させて用いた。現像バイアスとして直流バイアス成分に交流バイアス成分を重畳して用いた。
【0163】
また、加熱定着装置Hには図5,6に示した定着装置を用い、加熱体31の検温素子31dの表面温度は160℃、加熱体31−シリコーンゴムの発泡体を下層に有するスポンジ加圧ローラー33間の総圧は88.2N(9Kg)、加圧ローラーとフィルムのニップは8mmとし、定着フィルム32には、転写材との接触面にPTEF(高分子量タイプ)に導電性物質を分散させた低抵抗の離型層を有する厚さ50μmの耐熱性ポリイミドフィルムを使用した。
【0164】
次に現像器内にトナー(1)と比較用トナー(1)と(2)の各々を充填し、常温常湿(25℃,60%RH)環境下に一日放置した。その後、現像器を画像形成装置にセットし、12枚/分(A4サイズ)のプリントアウト速度で間歇モード(すなわち、1枚プリントアウトする毎に10秒間現像器を休止させ、再起動時の現像装置の予備動作でトナーの劣化を促進させるモード)で3000枚のプリントアウト試験を行なった。そして、得られたプリントアウト画像を後述の項目について評価した。
【0165】
また、同時に用いた画像形成装置と上記現像剤のマッチングについても、プリントアウト試験終了後に評価した。
【0166】
以上の評価結果を表6および7にまとめる。
【0167】
【表6】
Figure 0004510346
【0168】
【表7】
Figure 0004510346
【0169】
実施例10
図3のトナーリユース機構を取り外した以外は、実施例と同様にし、前記トナー(1)を連続モード(即ち、現像器を休止させることなく、トナー消費を促進させるモード)で5000枚のプリントアウト試験を行った。
【0170】
得られたプリントアウト画像を後述の項目について評価すると共に、用いた画像形成装置とのマッチングについても評価した。
【0171】
その結果、何れの項目についても良好であった。
【0172】
本発明の実施例、並びに比較例中に記載の評価項目の説明とその評価基準について述べる。
【0173】
[アウトプット画像評価]
<1>画像濃度
複写機用厚紙(105g/m2)を用いてプリントアウトを行い、最終ぺージのプリントアウト画像について画像濃度により評価した。尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
A:1.40以上
B:1.35以上、1.40未満
C:1.00以上、1.35未満
D:1.00未満
【0174】
<2>カブリ
最終ぺージのプリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。尚、カブリ濃度は「リフレクトメーター」(東京電色社製)により測定した。
A:1.5%未満
B:1.5%以上、2.5%未満
C:2.5%以上、4.0%未満
D:4.0%以上
【0175】
<3>中抜け
プリントアウト画像において、図4aに示した「驚」文字パターンの文字の中抜け(図4bの状態)を目視で評価した。
A:ほとんど発生せず
B:軽微
C:多少発生
D:かなり発生
【0176】
[定着性]
4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけたレンズクリーニング紙により、ベタ黒画像の表面を30回摺擦し、摺擦前後での画像濃度の低下率を測定した。
A:5%未満
B:5%以上、10%未満
C:10%以上、20%未満
D:20%以上
【0177】
[ブレード融着]
A:全く発生せず
B:ほとんど発生せず
C:多少発生
D:かなり発生
【0178】
[画像形成装置マッチング評価]
<1>現像スリーブとのマッチング
プリントアウト試験終了後、現像スリーブ表面への残留トナーの固着の様子を目視で評価した。
A:未発生
B:ほとんど発生せず
C:多少固着がある
D:固着が多い
【0179】
<2>感光ドラムとのマッチング
プリントアウト試験終了後、感光体ドラム表面の傷や残留トナーの固着の発生状況を目視で評価した。
A:未発生
B:わずかに傷の発生が見られる
C:固着や傷がある
D:固着が多い
【0180】
<3>中間転写体とのマッチング
プリントアウト試験終了後、中間転写体表面の傷や残留トナーの固着状況を目視で評価した。
A:未発生
B:表面に残留トナーの存在が認められる
C:固着や傷がある
D:固着が多い
【0181】
<4>定着装置とのマッチング
プリントアウト試験終了後、定着フィルム表面の傷や残留トナーの固着状況を目視で評価した。
A:未発生
B:わずかに固着が見られる
C:固着や傷がある
D:固着が多い
【0182】
【発明の効果】
本発明によれば、種々の環境下でも、また画像形成プロセスの相違に左右されることなく、良好な耐久性と定着性を発揮し得るトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いた一成分現像用の現像装置の要部の拡大横断面図である。
【図2】中間転写ベルトを用いたカラー画像出力装置の該略図である。
【図3】本発明の実施例で用いた残トナーリユース機構のついた画像形成装置の概略的説明図である。
【図4】文字画像の中抜けの状態を示す模式図である。
【図5】 実施例で用いた定着装置の説明図である。
【図6】 実施例で用いた定着装置の説明図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム
2 一次帯電器
3 像露光手段
30 ステー
31 加熱体
31a ヒーター基板
31b 発熱体
31c 表面保護層
31d 検温素子
32 定着フィルム
33 加圧ローラー
34 コイルばね
35 フィルム端部規制フランジ
36 給電コネクター
37 断電部材
38 入口ガイド
39 出口ガイド(分離ガイド)
40 中間転写ベルト
41 イエロー色現像装置
42 マゼンタ色現像装置
43 シアン色現像装置
44 ブラック色現像装置
48 バイアス電源
49 バイアス電源
50 転写材ガイド
51 給紙ローラー
52 中間転写体のクリーニング装置
53 感光ドラムのクリーニング装置
55 定着器
62 一次転写ローラー
63 二次転写ローラー
64 二次転写対向ローラー
65 中間転写ベルト支持ローラー
66 中間転写ベルト支持ローラー

Claims (5)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックス成分よりなる乾式トナーであって、
    フロー式粒子像測定装置で計測される該乾式トナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該乾式トナーの円相当個数平均径D1(μm)が3〜8μmであり、且つ、該乾式トナーの平均円形度が0.960〜0.995で、円形度標準偏差が0.035未満であり、
    該結着樹脂が、
    (a)1分子内に1つ以上のパーオキサイド基と、1つ以上の重合性不飽和基とを有する多官能性重合開始剤としてジシンナモイルペルオキシド
    (b)ジアシルペルオキシド類、ペルオキシエステル類、ペルオキシケタール類、ジアルキルペルオキシド類、アゾ系重合開始剤及びジアゾ系重合開始剤から選択される他の重合開始剤、及び、
    (c)架橋剤としてジビニルベンゼン
    の存在下で、単量体を共重合させて得られたスチレン−アクリル系樹脂であり、
    該結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶成分のGPCによる数平均分子量Mnが、4000〜40000の範囲内にあり、該結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶成分のGPCによる重量平均分子量Mwが、190万〜370万の範囲内にあり、
    該乾式トナーが懸濁重合方法によって得られたものである
    ことを特徴とする乾式トナー。
  2. 前記結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶成分のGPCによるピーク分子量が5000〜40000であることを特徴とする請求項1に記載の乾式トナー。
  3. 少なくとも重合性単量体、着色剤、ワックス成分及び架橋剤としてジビニルベンゼンからなる単量体組成物を水系媒体中に懸濁させ、(a)1分子内に1つ以上のパーオキサイド基と、1つ以上の重合性不飽和基とを有する多官能性重合開始剤としてジシンナモイルペルオキシド及び(b)ジアシルペルオキシド類、ペルオキシエステル類、ペルオキシケタール類、ジアルキルペルオキシド類、アゾ系重合開始剤及びジアゾ系重合開始剤から選択される他の重合開始剤の存在下で懸濁重合する重合トナーの製造方法であって、
    該重合トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックス成分よりなり、
    該結着樹脂が、スチレン−アクリル系樹脂であり、
    該結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶成分のGPCによる数平均分子量Mnが、4000〜40000の範囲内にあり、
    該結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶成分のGPCによる重量平均分子量Mwが、190万〜370万の範囲内にあり、
    フロー式粒子像測定装置で計測される該重合トナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該重合トナーの円相当個数平均径D1(μm)が3〜8μmであり、且つ、該重合トナーの平均円形度が0.960〜0.995で、円形度標準偏差が0.035未満である
    ことを特徴とする重合トナーの製造方法。
  4. 少なくとも、外部より帯電部材に電圧を印加し、静電潜像担持体に帯電を行う工程と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する工程と、静電荷像を乾式トナーにより現像して乾式トナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体上の乾式トナー像を転写材に転写する転写工程と、転写材上の乾式トナー像を加熱定着する定着工程とを有する画像形成方法であり、
    該乾式トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックス成分よりなり、該結着樹脂が、スチレン−アクリル系樹脂であり、該結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶成分のGPCによる数平均分子量Mnが、4000〜40000の範囲内にあり、該結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶成分のGPCによる重量平均分子量Mwが、190万〜370万の範囲内にあり、フロー式粒子像測定装置で計測される該乾式トナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該乾式トナーの円相当個数平均径D1(μm)が3〜8μmであり、且つ、該乾式トナーの平均円形度が0.960〜0.995で、円形度標準偏差が0.035未満であり、
    該結着樹脂が、
    (a)1分子内に1つ以上のパーオキサイド基と、1つ以上の重合性不飽和基とを有する多官能性重合開始剤としてジシンナモイルペルオキシド
    (b)ジアシルペルオキシド類、ペルオキシエステル類、ペルオキシケタール類、ジアルキルペルオキシド類、アゾ系重合開始剤及びジアゾ系重合開始剤から選択される他の重合開始剤、及び、
    (c)架橋剤としてジビニルベンゼン
    の存在下で、単量体を共重合させて得られた樹脂であり、
    該乾式トナーが懸濁重合方法によって得られたものである
    ことを特徴とする画像形成方法。
  5. 少なくとも、外部より帯電部材に電圧を印加し、静電潜像担持体に帯電を行う工程と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形成する工程と、静電荷像を乾式トナーにより現像して乾式トナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体上の乾式トナー像を中間転写体に転写する第1の転写工程と、該中間転写体上の乾式トナー像を転写材に転写する第2の転写工程と、転写材上の乾式トナー像を加熱定着する定着工程とを有する画像形成方法であり、
    該乾式トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックス成分よりなり、該結着樹脂が、スチレン−アクリル系樹脂であり、該結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶成分のGPCによる数平均分子量Mnが、4000〜40000の範囲内にあり、該結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶成分のGPCによる重量平均分子量Mwが、190万〜370万の範囲内にあり、フロー式粒子像測定装置で計測される該乾式トナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該乾式トナーの円相当個数平均径D1(μm)が3〜8μmであり、且つ、該乾式トナーの平均円形度が0.960〜0.995で、円形度標準偏差が0.035未満であり、
    該結着樹脂が、
    (a)1分子内に1つ以上のパーオキサイド基と、1つ以上の重合性不飽和基とを有する多官能性重合開始剤としてジシンナモイルペルオキシド
    (b)ジアシルペルオキシド類、ペルオキシエステル類、ペルオキシケタール類、ジアルキルペルオキシド類、アゾ系重合開始剤及びジアゾ系重合開始剤から選択される他の重合開始剤、及び、
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    の存在下で、単量体を共重合させて得られた樹脂であり、
    該乾式トナーが懸濁重合方法によって得られたものである
    ことを特徴とする画像形成方法。
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