JP4507201B2 - 多気筒内燃機関の制御装置 - Google Patents

多気筒内燃機関の制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4507201B2
JP4507201B2 JP2006120820A JP2006120820A JP4507201B2 JP 4507201 B2 JP4507201 B2 JP 4507201B2 JP 2006120820 A JP2006120820 A JP 2006120820A JP 2006120820 A JP2006120820 A JP 2006120820A JP 4507201 B2 JP4507201 B2 JP 4507201B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cylinder
crank angle
timing
cylinder pressure
internal combustion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006120820A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007291955A (ja
Inventor
宏通 安田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2006120820A priority Critical patent/JP4507201B2/ja
Publication of JP2007291955A publication Critical patent/JP2007291955A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4507201B2 publication Critical patent/JP4507201B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

本発明は多気筒内燃機関の制御装置に係り、特に、機関始動時においてクランク角の特定を速やかに行えるようにした多気筒内燃機関の制御装置に関する。
一般に、多気筒内燃機関のクランク角はクランク角センサによって検出される。即ち、クランクシャフトには、等角度間隔で複数の歯が形成されたタイミングロータが取り付けられ、このタイミングロータに対向して配置されたクランク角センサが、歯の通過毎にパルス信号を出力する。コントロールユニットは、クランク角センサからのパルス信号を入力して、歯の間隔に相当するクランク角の進行を検知する。一方、タイミングロータにおいて、特定気筒の上死点に相当する、360°のうちの1箇所が欠歯とされている。またカムシャフトについてもタイミングロータとカム角センサとが設けられ、コントロールユニットは、カム角センサから出力される信号とクランク角センサから出力される欠歯信号とにより基準気筒となる1気筒の上死点を検知する。さらにコントロールユニットは、基準気筒の上死点をクランク角0°としてそこからクランクパルス信号数をカウントすることにより、4ストロークエンジンの1サイクルである0〜720°までのクランク角を検出すると共に、どの気筒がどの行程(吸気、圧縮、膨張、排気)にあるかの気筒判別を行う。
このように、かかる構成においては、少なくともクランクシャフトのタイミングロータの欠歯が検出されるまではクランク角が特定できず、また気筒判別も行えない。従ってクランク角特定及び気筒判別までにクランクシャフトが約360°回転しなければならない場合がある。このことは機関の始動時間を短縮しようとする際に障害となる。特に近年では、筒内圧等の筒内情報に基づいて点火時期、燃料噴射量及び燃料噴射時期等を制御する内燃機関の制御装置も知られており、この制御装置では殆どがクランク角ベースの制御を採用するため、クランク角特定及び気筒判別の遅れはその性能に大きく影響する虞がある。
早期のクランク角特定及び気筒判別を行うため、クランクシャフトのタイミングロータの欠歯箇所を増やしたり、磁気抵抗素子を用いてクランク角を連続的に検知したりする方法もあるが、これらは現状のハード構成を変更するものであり、コスト増の要因となる。
一方、特許文献1には、ソフト的な手法を用いて機関始動時におけるクランク角を特定する方法が開示されている。この方法によれば、機関始動時において、クランキング開始直後に圧縮行程となっている気筒の筒内圧の上昇速度は、クランキングが開始されるときのクランク角が圧縮下死点に対し遅いタイミングであるほど、小さくなるとされている。そこでこの特性を利用して、そのような圧縮気筒の筒内圧の上昇速度に基づいてクランキング開始時のクランク角を特定するようにしている。
特開2005−120905号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法によると、圧縮気筒の筒内圧の上昇速度に基づいてクランキング開始時のクランク角を特定するため、その筒内圧の上昇速度と、クランキング開始時のクランク角との関係が機関始動毎にバラつく可能性があることを考慮すると、必ずしも十分な精度でクランク角を特定できない可能性がある。
そこで、本発明は、機関始動時に迅速に且つ精度良くクランク角を特定することができる多気筒内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る多気筒内燃機関の制御装置は、気筒毎に設けられた筒内圧センサと、所定のクランク角間隔でパルス信号を出力するクランク角センサと、前記筒内圧センサにより検出された筒内圧に基づいて、始動開始後に最初に圧縮行程となる気筒を判別する判別手段と、該気筒の圧縮行程中、前記クランク角センサから前記パルス信号が出力される二つのタイミングにおいて、前記筒内圧センサにより検出された筒内圧を取得すると共に、これら筒内圧と、圧縮行程中に筒内圧及び筒内容積の間に成立する所定の関係と、前記二つのタイミングの間のクランク角間隔と、クランク角及び筒内容積の間に成立する所定の関係とに基づき、前記二つのタイミングのうちの先のタイミングのクランク角の値を特定するクランク角特定手段とを備えたことを特徴とする。
この本発明の一形態によれば、既存のハード構成を大幅に変更することなく、ソフト的な手法を用いて、機関始動時におけるクランク角の値を迅速に且つ精度良く特定することができる。そしてこのようにクランク角の値が特定されれば、所定の燃料噴射制御や点火制御が実行可能となり、従って最初の圧縮行程気筒から所定の始動制御を実行可能となり、機関始動時間を短縮化することができる。クランク角の特定に用いられる値や関係には機関始動毎にバラつくものが少なく、しかも特定されるクランク角は、クランク角センサからパルス信号が出力される予め定められた所定クランク角間隔毎のクランク角に限定される。このため、クランク角を高精度で、且つ安定して特定することが可能となる。
前記圧縮行程中に筒内圧及び筒内容積の間に成立する所定の関係は、筒内圧と、筒内容積を所定の指数で累乗した値との積が一定であるという関係であるのが好ましい。
即ち、圧縮行程における圧縮が理想的な断熱圧縮であるとすると、圧縮行程中における筒内圧Pと筒内容積Vとの間にはPVκ=(一定)(但しκは所定の指数)の関係が成立することが判明している。従ってこの関係を利用することにより高精度でクランク角を特定可能となる。
また、前記クランク角特定手段は、前記二つのタイミングにおける前記積の差を最もゼロに近づけさせるようなクランク角の値を前記先のタイミングのクランク角の値として特定するのが好ましい。
圧縮気筒について、前記二つのタイミングのうちの先のタイミングの筒内圧をP1、筒内容積をV1、前記二つのタイミングのうちの後のタイミングにおける筒内圧をP2、筒内容積をV2とすると、前記PVκ=(一定)の関係によりP1・V1κ=P2・V2κが成り立つ。従って、P1・V1κ−P2・V2κを最もゼロに近づけさせるようなクランク角の値が、先のタイミングのクランク角の値として特定可能である。
前記二つのタイミングの間のクランク角間隔は、前記クランク角センサから出力されるパルス信号の前記クランク角間隔の複数倍であるのが好ましい。
本発明によれば、機関始動時に迅速に且つ精度良くクランク角を特定することができる多気筒内燃機関の制御装置を提供することができるという、優れた効果が発揮される。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本実施形態における多気筒内燃機関の制御装置は、通常の制御装置と異なり、筒内情報検出手段により検出される筒内情報に基づいて機関の各種制御量(点火時期、燃料噴射量、燃料噴射時期等)を直接的に制御する。即ち、通常の制御装置では、エンジンの各運転状態について、最適と思われる制御量を予め実験等により求めてマップ化しておき、実際のエンジンの運転時に各マップ値を当てはめてエンジンの制御を行うマップ制御が一般的に行われる。これに対し、本実施形態の制御装置では、エンジン運転時における筒内の燃焼状態を直接検出し、この検出された燃焼状態を、予め定められた最適な燃焼状態に合わせ込むように各種制御量が制御される。この手法によれば、従来多大な時間と労力とが費やされていた各種マップの作成、即ち適合という作業を大幅に簡略化することができ、開発期間の大幅な短縮等を図れる利点がある。
筒内燃焼状態を表す筒内情報としては筒内圧が代表的であり、本実施形態の制御装置においても筒内圧を検出するための筒内圧センサが気筒毎に設けられる。また制御される制御量としては、燃焼開始時期(ガソリンエンジンでは点火時期、ディーゼルエンジンでは着火時期)、燃料噴射量、燃料噴射時期等が代表的である。
図1に、本実施形態に係る多気筒内燃機関の制御装置を示す。内燃機関1は、シリンダブロック2に形成された燃焼室3の内部で燃料および空気の混合気を燃焼させ、燃焼室3内でピストン4を往復移動させることにより動力を発生するものである。図には1気筒しか示されていないが、内燃機関1は多気筒エンジンとして構成され、本実施形態の場合4気筒エンジンとして構成されている。また本実施形態の内燃機関1は火花点火式内燃機関、より具体的にはガソリンエンジンである。
各燃焼室3の吸気ポートは、気筒毎の吸気枝管5に接続され、各燃焼室3の排気ポートは、気筒毎の排気枝管6に接続されている。また、内燃機関1のシリンダヘッドには、吸気ポートを開閉する吸気弁Viと、排気ポートを開閉する排気弁Veとが気筒ごと即ち燃焼室3ごとに配設されている。更に、内燃機関1は、気筒毎に点火プラグ7を有し、点火プラグ7は、対応する燃焼室3内に臨むようにシリンダヘッドに配設されている。
各吸気枝管5の上流側には、集合通路としてのサージタンク8が接続されている。サージタンク8の上流側には、吸気管L1が接続されており、吸気管L1は、エアクリーナ9を介して図示されない空気取入口に接続されている。そして、吸気管L1の中途(サージタンク8とエアクリーナ9との間)には、スロットルバルブ(本実施形態では、電子制御式スロットルバルブ)10が配設されている。一方、排気枝管6の下流側には、三元触媒を含む前段触媒装置11aおよびNOx吸蔵還元触媒を含む後段触媒装置11bが接続されている。
更に、内燃機関1は、気筒毎にインジェクタ12を有し、インジェクタ12は吸気枝管5に配設されて吸気ポート内に向けて燃料噴射するようになっている。なお内燃機関1はこのような吸気通路(特に吸気ポート)噴射式に限らず、直噴式などであっても構わない。
上述の各点火プラグ7、スロットルバルブ10及び各インジェクタ12は、制御手段としての電子制御ユニット(以下ECUと称す)20に電気的に接続されている。ECU20は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含むものである。ECU20には、クランク角センサ14を始めとした各種センサが図示されないA/D変換器等を介して電気的に接続されている。ECU20は、各種センサの検出値等に基づいて、所望の出力が得られるように、点火プラグ7、スロットルバルブ10、インジェクタ12等を制御する。
また、内燃機関1は、半導体素子、圧電素子あるいは光ファイバ検出素子等を含む筒内圧センサ15を気筒毎に有している。各筒内圧センサ15は、対応する燃焼室3内に受圧面が臨むようにシリンダヘッドに配設されており、図示されないA/D変換器等を介してECU20に電気的に接続されている。各筒内圧センサ15は、対応する燃焼室3における筒内圧に相当する信号をECU20に出力する。なお筒内圧センサ15によって検出される筒内圧は大気圧に対する相対圧である。更に、内燃機関1は、サージタンク8内の吸入空気の圧力(吸気圧)を絶対圧として検出する吸気圧センサ16を有している。吸気圧センサ16は、図示されないA/D変換器等を介してECU20に電気的に接続されており、サージタンク8内の吸入空気の絶対圧を示す信号をECU20に与える。クランク角センサ14、各筒内圧センサ15および吸気圧センサ16の検出値は、微小時間おきにECU20の所定の記憶領域(バッファ)に所定量ずつ更新記憶される。
ここで、クランク角センサ14によるクランク角の検出に関して説明すると、内燃機関1のクランクシャフトには図2(A)に示されるようなロータ(タイミングロータ)26が固定されており、このロータ26には例えば2歯だけ欠歯した70個の歯26aが所定角度Δθ(本実施形態ではΔθ=5°)間隔で且つ等角度間隔で形成されている。これら歯26aに対向して、例えば電磁ピックアップからなるクランク角センサ14が配置される。このクランク角センサ14はロータ26の歯26aがクランク角センサ14を通過する毎にパルス信号を出力する。
即ち、ロータ26の歯26aがクランク角センサ14に近づくとき及びクランク角センサ14から離れるときに、クランク角センサ14は図4(B)にXで示されるように電位が互いに逆向きの出力電圧(センサ出力)Vを発生する。このセンサ出力Vが、一定電圧を基準としてAD変換器により波形整形され、その結果図4(B)にYで示されるようなロータ26の歯26bに対応した矩形波であるパルス信号(クランクパルス)が発生され、ECU20に入力される。こうしてECU20は、入力されたパルス信号から角度Δθ(=5°)毎にクランク角を認識可能である。
本実施形態では図4(B)に示すパルス信号が立ち上がった時がそのパルス信号の基準時とされる。つまりECU20は、そのパルス信号が立ち上がった瞬間毎に、Δθのクランク角度の進行を検出することになる。なお、パルス信号が立ち下がった時をパルス信号の基準時としてもよい。
ロータ26の欠歯部分26bがクランク角センサ14を通過すると図4(B)にZで示されるようにパルス同士の間隔が大きくなる。この欠歯部分26bに相当する信号と、カムシャフトのタイミングロータに対向して設けられたカム角センサ(いずれも図示せず)の信号とから、ECU20は、予め定められた基準気筒の上死点を検出し、さらに気筒判別を行う。さらにECU20はこの基準気筒の上死点からクランクパルス数をカウントして内燃機関1のクランク角を検出する。ECU20はさらに、所定時間の間に発生されるクランクパルス数をカウントして機関回転速度NEを算出する。
ところで、この構成のみだと、少なくともクランクシャフトのタイミングロータの欠歯部分26bが検出されるまではクランク角の値を特定できず、また気筒判別も行えない。従って、機関の始動開始直後、最長の場合でクランクシャフトが約360°回転するまで、クランク角の特定及び気筒判別が行えず、クランク角に基づいた燃料噴射制御及び点火制御を実行することができない。このことは、機関の始動時間を短縮する上で問題となる。
そこで、本実施形態の多気筒内燃機関の制御装置は、この問題を解決するために、機関始動時において次のような処理を実行し、早期のクランク角特定及び気筒判別を可能としている。
以下、本実施形態における機関始動時の処理を説明する。ここで、本実施形態の内燃機関は4気筒であり、クランク軸方向の一端側から順に第1気筒(#1)、第2気筒(#2)、第3気筒(#3)、第4気筒(#4)を有するものとする。図3を参照して、点火順序ないし燃焼順序は図に上から示すような順序、即ち第1気筒、第3気筒、第4気筒、第2気筒の順である。また図3には、クランク角の進行に伴った各気筒の各行程(吸気、圧縮、膨張、排気)を示す。各行程は180°のクランク角期間を有し、全気筒が全行程を終える内燃機関の1サイクルは720°のクランク角期間である。
図4に、本実施形態において実行される機関始動時の処理を示す。また図5には、機関始動開始後に最初に圧縮行程となっている気筒(以下、圧縮気筒という)の筒内圧Pの変化の様子と、クランクパルスYの発生状態とを示すので適宜参照されたい。まず、運転手によりイグニッションスイッチがオンされる(S101)。このときはまだ内燃機関のクランキング即ち始動は開始されておらず、ECU20及びセンサ類への通電のみが実行される。従って、サージタンク8内は大気圧Paとなっており、この大気圧Paが絶対圧として吸気圧センサ16により検出され、ECU20に取得される。この大気圧の検出値Paは後に筒内圧の検出値を絶対圧に補正するときに使用される。こうして大気圧Paの取得を終えた後、内燃機関のクランキング即ち始動が開始される(S102)。このクランキングが開始された時点におけるクランク角をθsとする。
内燃機関の始動が開始されると、各気筒の筒内圧センサ15によって検出される各気筒の筒内圧Pが、クランクパルスが出力されるタイミングで、ECU20によって取得され、絶対圧に換算された後、ECU20のバッファに記憶される。ECU20はまず、機関始動開始後、最初にクランクパルスが出力されたタイミング(以下、「第1のタイミング」という)θ1で、各気筒の筒内圧の検出値を取得し、これら筒内圧の検出値をS101で取得した大気圧Paを用いて絶対圧に換算した後、各気筒の筒内圧P1(i)(iは気筒番号を意味し、i=1,2,3,4)としてバッファに記憶する(S103)。次に、ECU20は、第1のタイミングθ1から、クランク角間隔Δθの所定数倍に等しいクランク角間隔α(本実施形態ではα=4Δθ=20°CA)だけ遅れたクランクパルス出力タイミング(以下、「第2のタイミング」という)θ5で、各気筒の筒内圧の検出値を取得し、これら筒内圧の検出値をS101で取得した大気圧Paを用いて絶対圧に換算した後、各気筒の筒内圧P5(i)としてバッファに記憶する(S104)。
次にECU20は、これら各気筒の筒内圧P1(i)、P5(i)を用いて、機関始動開始後に最初に圧縮行程となっている気筒(圧縮気筒)を判別する(S105)。即ち、図6に示すように、クランキングが開始される前(θsより前)はすべての気筒の筒内圧P(i)がほぼ大気圧Paに維持されている。次いで、クランキングが開始されると(θsの後)、圧縮行程の途中にあった気筒(図示例では第1気筒)の筒内圧P(1)が次第に上昇する。これに対し、残りの気筒(図示例では第2気筒、第3気筒、第4気筒)の筒内圧P(2),P(3),P(4)はほとんど変化しない。
そこで、ECU20は、第1のタイミングθ1における各気筒の筒内圧P1(i)と、第2のタイミングθ5における各気筒の筒内圧P5(i)との差ないし変化量ΔP(i)(=P5(i)−P1(i))を算出し、この筒内圧変化量ΔP(i)が正値又は最大である気筒を圧縮気筒であると判別する。なお、この圧縮気筒の特定により、図3に示したような各気筒の行程状態が同時に特定されることとなる。
圧縮気筒の判別方法については他の方法も考えられる。例えば、単に第2のタイミングθ5の各気筒の筒内圧P5(i)を大気圧Pa又は所定のしきい値と比較し、大気圧Pa又は所定のしきい値より高くなっている気筒を圧縮気筒と特定してもよい。
次に、ECU20は、特定された圧縮気筒(便宜上第1気筒とする)に関して、S103,104で取得した筒内圧P1(1)、P5(1)(以下単にP1,P5とする)を用い、以下に述べるような所定の演算処理を実行して、第1及び第2のタイミングにおけるクランク角θ1,θ5の値(即ち、クランク角θ1,θ5が何度であるか)を特定する(S106)。
即ち、圧縮行程における圧縮が理想的な断熱圧縮であるとすると、圧縮行程中における筒内圧P(絶対圧)と筒内容積Vとの間にはPVκ=(一定)の関係が成立することが判明している。ここでκは所定の指数であり、例えばκ=1.32である。言い換えれば、圧縮行程中では、筒内圧Pと、筒内容積Vを所定の指数κで累乗した値Vκとの積PVκは一定に保たれる。よって、S105で特定された圧縮気筒については、第1のタイミングθ1における筒内容積をV1、第2のタイミングθ5における筒内容積をV5とすると、次の関係が成立する。
P1・V1κ=P5・V5κ ・・・(1)
ここで次のような関数G(θ)を考える。
G(θ)=P1・V1κ−P5・V5κ ・・・(2)
この場合、G(θ)をゼロとするような筒内容積V1、V5の値、ひいてはそれら筒内容積V1、V5に対応するクランク角の値を求めれば、その求められたクランク角の値が第1及び第2のタイミングにおけるクランク角の値ということになる。
ところで、クランク角θと筒内容積Vとの間には幾何学的に決定される一定の関係があり、本実施形態ではこの関係がECU20に図7に示すようなマップの形式(関数の形式でもよい)で記憶されている。
また、筒内容積V1に対応するクランク角θ1と、筒内容積V5に対応するクランク角θ5との間にはα(=4Δθ=20°)のクランク角間隔があり、両者の間にはθ5=θ1+αの関係がある。
図8は、図7のマップ中のクランク角θと筒内容積Vとの関係をグラフ化して示したものである。図示するように、圧縮行程では、クランク角θの増加につれ筒内容積Vが減少する傾向がある。図8を参照して、ECU20は、図7のマップから、G(θ)を最もゼロに近づけさせるような、或いはほぼゼロにするような、αのクランク角間隔を有する二つの筒内容積V1、V5、ひいてはこれら筒内容積V1、V5に対応する二つのクランク角θ1、θ5を、算出ないし検索する。ここで、算出されるクランク角θ1、θ5は、クランク角センサ14からパルス信号が出力される予め定められた所定クランク角間隔Δθ毎のクランク角に限定されることとなる。
この後ECU20は、算出された二つのクランク角θ1、θ5のうち先のタイミングの方のクランク角θ1を、第1のタイミングにおけるクランク角の値として特定ないし確定し(S107)、処理を終える。
なお、図9には、第1のタイミングのクランク角θと関数G(θ)の値との一般的な関係が示されており、図示するように、第1のタイミングのクランク角θが圧縮上死点(0°)に近づくにつれ、関数G(θ)の値は減少する傾向にある。G(θ)=0とするようなクランク角が、特定されるべき第1のタイミングのクランク角である。
このように本実施形態によれば、既存のハード構成を大幅に変更することなく、ソフト的な手法を用いて、機関始動時におけるクランク角の値を迅速に且つ精度良く特定することができる。特に本実施形態によれば、機関始動開始後25°CA未満という非常に早期の段階でクランク角が特定される。このようにクランク角が特定されれば、クランク角に基づく所定の燃料噴射制御や点火制御が実行可能となり、従って最初の圧縮行程気筒から所定の始動制御を実行可能となり、機関始動時間を短縮化することができる。
また、本実施形態によるクランク角の特定に用いられる値や関係式には機関始動毎にバラつくものが非常に少なく、しかも特定されるクランク角は、クランク角センサからパルス信号が出力される予め定められた所定クランク角間隔Δθ毎のクランク角に限定される。このため、真の値であるクランク角を高精度で、且つ安定して特定することができる。
なお、このようにして第1のタイミングのクランク角θ1を特定した後は、以降のクランク角もクランクパルスをカウントすることによって特定可能であり、従って、クランクシャフトやカムシャフトのタイミングロータから上死点検出箇所(欠歯部分等)を省略できる可能性もある。しかしながら、そのような上死点検出箇所は上死点に対応するクランク角を直接的且つ正確に検出できるものであるため、必要に応じて、その上死点検出箇所によって特定されるクランク角を用いて、前記処理から得られるクランク角を補正してもよい。
第1のタイミングθ1と第2のタイミングθ5とのクランク角間隔αは、精度の良いクランク角特定のために十分な筒内圧差を得られ且つセンサノイズ等の影響を無視できる値であって、且つ、クランク角特定を速やかに行えるような値であるのが好ましい。この観点から本実施形態では、第1のタイミングθ1と第2のタイミングθ5との間のクランク角間隔αを、クランクパルス間隔Δθの複数倍、特に4倍とした。しかしながら、上記のような目的が達成できるならば、第1のタイミングθ1と第2のタイミングθ5との間のクランク角間隔αをクランクパルス間隔Δθに等しくする(つまりクランクパルス間隔Δθの1倍にする)ことも可能である。この場合、第2のタイミングは図5に示すθ2となり、さらに迅速にクランク角を特定可能となる。また、第1及び第2タイミング間のクランク角間隔αはクランクパルス間隔Δθの4倍に限らず、例えば3倍、5倍等、他の複数倍にすることも可能である。
二つのタイミングである第1及び第2のタイミング(先及び後のタイミング)は、両者が圧縮行程中のタイミングであれば任意のタイミングであってよい。第1のタイミングについて、前記実施形態では機関始動開始後、最初にクランクパルスが出力されるタイミングであったが、これに限らず、機関始動開始後、複数番目のクランクパルスが出力されるタイミングであってもよい。
本実施形態によれば、第2のタイミングθ5において筒内圧P5(i)を取得するのと同時に気筒判別を行うので、気筒判別を行った後に圧縮気筒の2点の筒内圧値を取得する場合に比べて、機関始動開始時からクランク角特定までの時間を短くすることができる。しかしながら、気筒判別を行った後に、圧縮気筒の2点の筒内圧値を取得する実施形態も可能である。また図5を参照して、気筒判別における後の筒内圧検出をθ5よりも前のタイミング(θ2、θ3又はθ4)で行ってもよい。
本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。例えば通常のマップ制御を行う内燃機関の制御装置とすることも可能である。気筒数は4に限らず任意の気筒数とすることができる。前記実施形態では、筒内圧センサとして大気圧との相対圧を検出するものを用いたが、これに限らず、筒内圧を絶対圧として検出するものを用いてもよい。この場合、検出された筒内圧を絶対圧に換算する必要はなくなり、従って大気圧を検出する手段(前記実施形態における吸気圧センサ)も省略可能である。また、前記実施形態では吸気圧センサを大気圧検出用センサとして兼用させたが、別途大気圧検出用センサを設ける構成も可能である。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
本発明の実施形態に係る内燃機関の制御装置を示す概略構成図である。 クランク角センサによるクランク角の検出に関する図であり、(A)はクランク角センサとロータとの概略図、(B)はクランク角センサから出力される信号と、これを波形整形して得られるパルス信号とを示す。 各気筒の各行程状態を示す表である。 本実施形態における機関始動時の処理を示すフローチャートである。 圧縮気筒における筒内圧の変化とクランクパルスの発生状態とを示すグラフである。 機関始動開始直後の各気筒の筒内圧の変化を示すグラフである。 クランク角と筒内容積との関係が入力されたマップを示す。 クランク角の進行に伴う筒内容積の変化を示すグラフである。 第1のタイミングのクランク角θと関数G(θ)の値との一般的関係を示すグラフである。
符号の説明
1 内燃機関
14 クランク角センサ
15 筒内圧センサ
16 吸気圧センサ
20 電子制御ユニット(ECU)
26 ロータ
26a 歯
26b 欠歯部分
θ1 第1のタイミング(先のタイミング)
θ5 第2のタイミング(後のタイミング)
P 筒内圧
P1 第1のタイミングにおける筒内圧
P5 第2のタイミングにおける筒内圧
V1 第1のタイミングにおける筒内容積
V5 第2のタイミングにおける筒内容積
α 第1及び第2のタイミングの間のクランク角間隔
Δθ クランクパルス間のクランク角間隔
κ 所定の指数
G(θ) 関数

Claims (4)

  1. 気筒毎に設けられた筒内圧センサと、
    所定のクランク角間隔でパルス信号を出力するクランク角センサと、
    前記クランク角センサから前記パルス信号が出力される二つのタイミングである第1のタイミングと第2のタイミングでの筒内圧を前記筒内圧センサから取得する手段と、
    前記第1のタイミングでの筒内圧と前記第2のタイミングでの筒内圧とに基づいて、機関始動開始後に最初に圧縮行程となる気筒を判別する判別手段と、
    該気筒の圧縮行程中、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングでの筒内圧と、圧縮行程中に筒内圧及び筒内容積の間に成立する所定の関係と、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングの間のクランク角間隔と、クランク角及び筒内容積の間に成立する所定の関係とに基づき、前記第1のタイミングのクランク角の値を特定するクランク角特定手段と
    を備え、
    前記第1のタイミングと前記第2のタイミングの間のクランク角間隔が、前記パルス信号のクランク角間隔の複数倍である
    ことを特徴とする多気筒内燃機関の制御装置。
  2. 前記圧縮行程中に筒内圧及び筒内容積の間に成立する所定の関係が、筒内圧と、筒内容積を所定の指数で累乗した値との積が一定であるという関係であることを特徴とする請求項1記載の多気筒内燃機関の制御装置。
  3. 前記クランク角特定手段が、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングにおける前記積の差を最もゼロに近づけさせるようなクランク角の値を前記第1のタイミングのクランク角の値として特定することを特徴とする請求項2記載の多気筒内燃機関の制御装置。
  4. 前記第1のタイミングが、機関始動開始後、最初にパルス信号が出力されるタイミングであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の多気筒内燃機関の制御装置。
JP2006120820A 2006-04-25 2006-04-25 多気筒内燃機関の制御装置 Expired - Fee Related JP4507201B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006120820A JP4507201B2 (ja) 2006-04-25 2006-04-25 多気筒内燃機関の制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006120820A JP4507201B2 (ja) 2006-04-25 2006-04-25 多気筒内燃機関の制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007291955A JP2007291955A (ja) 2007-11-08
JP4507201B2 true JP4507201B2 (ja) 2010-07-21

Family

ID=38762812

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006120820A Expired - Fee Related JP4507201B2 (ja) 2006-04-25 2006-04-25 多気筒内燃機関の制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4507201B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010127229A (ja) * 2008-11-28 2010-06-10 Mitsubishi Electric Corp 内燃機関の制御装置
WO2011036743A1 (ja) 2009-09-24 2011-03-31 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置
JP5246144B2 (ja) * 2009-11-25 2013-07-24 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の吸入空気量算出装置、内燃機関の制御装置
JP2014111903A (ja) * 2012-12-05 2014-06-19 Toyota Motor Corp 内燃機関の制御装置

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005120905A (ja) * 2003-10-16 2005-05-12 Toyota Motor Corp 多気筒内燃機関の始動制御方法
JP2005351150A (ja) * 2004-06-09 2005-12-22 Toyota Motor Corp クランク角測定装置および測定方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005120905A (ja) * 2003-10-16 2005-05-12 Toyota Motor Corp 多気筒内燃機関の始動制御方法
JP2005351150A (ja) * 2004-06-09 2005-12-22 Toyota Motor Corp クランク角測定装置および測定方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007291955A (ja) 2007-11-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20060217872A1 (en) Control device for internal combustion engine and method for determining misfire in internal combustion engine
JP4803100B2 (ja) 内燃機関の制御装置
EP2910760A1 (en) In-cylinder pressure detection device for internal combustion engine
JP6252566B2 (ja) エンジン装置
WO2014061405A1 (ja) 内燃機関の筒内圧検出装置
JP4507201B2 (ja) 多気筒内燃機関の制御装置
JP5229394B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2005036755A (ja) 内燃機関の制御装置および内燃機関の吸入空気量算出方法
US7783411B2 (en) Method of controlling fuel injection and ignition of an internal combustion engine, using monitored intake pressure
JP2009174322A (ja) 内燃機関のセタン価検出装置
JP2007040208A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2010127102A (ja) 筒内圧センサの異常判定装置
JP2010174705A (ja) 内燃機関の制御装置
JP6280087B2 (ja) 内燃機関のエンジントルク推定装置
JP4277280B2 (ja) クランク角測定装置および測定方法
JP2008297922A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2011202567A (ja) 内燃機関の気筒判別装置
JP6002067B2 (ja) エンジンの燃焼変動検出装置、及び、エンジンの燃焼変動検出方法
JP4269931B2 (ja) 筒内圧測定装置および筒内圧測定方法
JP2006097588A (ja) 内燃機関の制御装置および空燃比算出方法
JP5737205B2 (ja) 筒内圧センサの異常診断装置
JP2013119803A (ja) 内燃機関の故障検出装置
JP4192825B2 (ja) 内燃機関用制御装置
JP2010138720A (ja) エンジンの点火制御装置
JP2005273532A (ja) エンジンの空燃比制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080624

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091211

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100209

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100409

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100422

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees