JP4506689B2 - 予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法 - Google Patents
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Description
また、吸収体層にはTaやCrが検討されている。ガラス基板としては、EUV光照射下においても歪みが生じないよう低熱膨張係数を有する材料が必要とされ、低熱膨張係数を有するガラスまたは低熱膨張係数を有する結晶化ガラスの使用が検討されている。以下、本明細書において、低熱膨張係数を有するガラスおよび低熱膨張係数を有する結晶化ガラスを総称して、「低膨張ガラス」または「超低膨張ガラス」という。
EUVLのマスクとして用いられる低膨張ガラスまたは超低膨張ガラスとしては、SiO2を主成分とする石英ガラスであって、ガラスの熱膨張係数を下げるために、TiO2、SnO2またはZrO2がドーパントとして添加されたものが最も広く使用されている。
本発明は、上記した問題点を解決するため、予備研磨の際にガラス基板表面に生じたうねりを除去して、ガラス基板を平坦度に優れた表面に仕上げ加工する方法を提供することを目的とする。
前記ガラス基板は、ドーパントを含み、SiO2を主成分とする石英ガラス製であり、 前記予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法は、
ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する工程と、
予備研磨後のガラス基板の表面形状を測定する工程と、を有し
前記ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する工程および前記ガラス基板の表面形状を測定する工程から得られた結果に基づいて、前記ガラス基板表面の加工条件を前記ガラス基板の部位ごとに設定することを特徴とする予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法(以下、「本発明の仕上げ加工方法」という。)を提供する。
前記ガラス基板に含まれるドーパント濃度分布の測定結果と、前記ドーパント濃度とガ加工レートとの相関と、を用いて、前記ガラス基板表面の加工条件を前記ガラス基板の部位ごとに設定することが好ましい。
前記ガラス基板表面の平坦度に基づいて、前記ガラス基板表面の加工条件を前記ガラス基板の部位ごとに設定することが好ましい。
前記ガラス基板の表面形状の測定結果から前記ガラス基板表面に存在するうねりの幅を特定し、
ビーム径がFWHM(full width of half maximum)値で前記うねりの幅以下のビームを用いて加工を行うことが好ましい。
前記ビーム径のFWHM値は、前記うねりの幅の1/2以下であることがより好ましい。
前記ガスクラスタイオンビームエッチングのソースガスとして、下記群から選択されるいずれかの混合ガスを用いることが好ましい。
SF6およびO2の混合ガス、SF6、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびO2の混合ガス、NF3、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびN2の混合ガス、NF3、ArおよびN2の混合ガス
前記ソースガスとして、下記群から選択されるいずれかの混合ガスを用いることがより好ましい。
SF6およびO2の混合ガス、SF6、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびO2の混合ガス、NF3、ArおよびO2の混合ガス
本発明の仕上げ加工方法において、前記ドーパントはTiO2であることが好ましい。
本発明の仕上げ加工方法を用いることにより、ガラス基板を平坦度に優れた表面に加工することができる。これにより、線幅が45nm以下の次世代の半導体製造用露光装置の光学部品用基板等にも対応できる、平坦度に優れたガラス基板を得ることができる。
熱膨張係数を下げること以外の目的でドーパントが添加されたドープ石英ガラスとしては、例えば、ガラスの絶対屈折率を高めるために、La2O3、Al2O3、ZrO2またはNが添加されたドープ石英ガラス、ガラスのレーザ耐性を高めるために、Fが添加されたドープ石英ガラスが挙げられる。
ガラス基板の形状、大きさおよび厚さ等は、特に限定されないが、EUVL用反射型マスク用の基板の場合、その形状は平面形状が矩形または正方形の板状体である。
・ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する工程(測定工程1)
・予備研磨後のガラス基板の表面形状を測定する工程(測定工程2)
したがって、上記測定工程1から得られた測定結果は、該二次元形状の各部位におけるドーパントの濃度を示すドーパント濃度分布マップ(以下、「ドーパント濃度分布マップ」という。)となる。
したがって、上記測定工程2から得られる測定結果は、ガラス基板表面の各部位における高低差を示す平坦度マップ(以下、「平坦度マップ」という。)となる。
本発明の仕上げ加工方法では、上記測定工程1から得られた結果と、上記測定結果2から得られた結果の両方に基づいて、ガラス基板の加工条件を設定する。但し、理解を容易にするため、上記測定工程1から得られた結果に基づく加工条件の設定と、上記測定工程2から得られた結果に基づく加工条件の設定と、を分けて以下に説明する。
一例を挙げると、TiO2をドーパントとして含むドープ石英ガラスの場合、加工条件一定の下でドープ石英ガラスを加工した際、ドーパント濃度X(wt%)と加工レートY(μm/min)との間に下記式(1)で表される相関が存在する。
Y=a・X+b (1)
式(1)中、aおよびbは変数を表す。
SiO2に対する質量%で、TiO2を0%、3.1%、5.1%、6.9%、8.7%含んだドープ石英ガラス製の試験サンプル(20×20×1mmt)を準備した。これらTiO2濃度が異なる試験サンプルを同一の条件で加工して加工レートを求め、TiO2濃度と、加工レートと、の関係をプロットしたのが図1である。なお、図1において、加工レートは、TiO2濃度が0質量%の際の加工レートを1とした、規格化加工レートとして示されている。
ガスクラスターイオンビームエッチング
ソースガス:SF61.25%,O224%,Ar74.75%
加速電圧:30kV
イオン化電流:50μA
ビーム径(FWHM値):10mm以下
ドーズ量:6.2×1015個イオン/cm2
機械研磨
研磨材:酸化セリウム(スピードファム社CO85(昭和電工H−3))
研磨パッド:セリウム含浸ポリウレタンパッド(ロデール・ニッタ社MHC14B)
研磨装置:両面研磨機
なお、図1に示す加工レートは、重量法を用いて加工前後における試験サンプルの重量変化から求めた。
Y=0.0522X+1.0449 (1−1)
Y=0.0306X+1.0188 (1−2)
ドーパントの濃度分布について用いた概念、厚みを持たない二次元形状のガラス基板において、ガラス基板の座標を(x,y)とした場合、測定工程1から得られるドーパント濃度分布マップはC(x,y)(質量%)と表される。ガラス基板の加工量はW(x,y)(μm)、加工時間はT(x,y)(min)と表される。なお、W(x,y)は、ガラス基板の座標(x,y)の部位の加工量(予定加工量)を示しており、定数である。例えば、ガラス基板の座標(x,y)の部位を5μm加工する場合、W(x,y)=5μmとなる。
W(x,y)と、T(x,y)と、の関係は下記式(2)で表される。
T(x,y)=W(x,y)/(a×C(x,y)+b) (2)
したがって、測定工程1から得られた結果に基づいてガラス基板の加工条件を設定する場合、式(2)にしたがって、ガラス基板の加工条件、具体的には加工時間を設定すればよい。
上記したように、測定工程2からは平坦度マップとして測定結果が得られる。[0039]と同様に、二次元形状のガラス基板の座標を(x,y)とした場合、平坦度マップはS(x,y)(μm)と表される。加工時間はT(x,y)(min)と表される。加工レートをY(μm/min)とした場合、これらの関係は下記式(3)で表される。
T(x,y)=S(x,y)/Y (3)
したがって、測定工程2から得られた結果に基づいて加工条件を設定する場合、式(3)にしたがって、加工条件、具体的には加工時間を設定する。
上記と同様に、二次元形状のガラス基板の座標を(x,y)とし、測定工程1から得られるドーパント濃度分布マップをC(x,y)(質量%)、測定工程2から得られる平坦度マップをS(x,y)(μm)とし、加工時間をT(x,y)(min)とした場合、これらの関係は下記式(4)で表される。
T(x,y)=S(x,y)/(a×C(x,y)+b) (4)
したがって、測定工程1および測定工程2から得られた結果に基づいて加工条件を設定する場合、式(4)にしたがって、加工条件、具体的には加工時間を設定する。
SF6:O2=0.1〜5%:95〜99.9%(SF6およびO2の混合ガス)
SF6:Ar:O2=0.1〜5%:9.9〜49.9%:50〜90%(SF6、ArおよびO2の混合ガス)
NF3:O2=0.1〜5%:95〜99.9%(NF3およびO2の混合ガス)
NF3:Ar:O2=0.1〜5%:9.9〜49.9%:50〜90%(NF3、ArおよびO2の混合ガス)
NF3:N2=0.1〜5%:95〜99.9%(NF3およびN2の混合ガス)
NF3:Ar:N2=0.1〜5%:9.9〜49.9%:50〜90%(NF3、ArおよびN2の混合ガス)
これらの混合ガスの中でも、SF6およびO2の混合ガス、SF6、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびO2の混合ガス、またはNF3、ArおよびO2の混合ガスが好ましい。
このような目的で実施される仕上げ加工処理には、ガスクラスターイオンビームエッチングを用いることが好ましい。したがって、本発明の仕上げ加工方法で、ガスクラスターイオンビームエッチングを用いる場合、さらなる仕上げ加工処理は、ソースガス、イオン化電流および加速電圧といった照射条件が異なる第2のガスクラスターイオンビームエッチングとして実施する。具体的には、第2のクラスターイオンビームエッチングは、予備研磨の際に生じたうねりの除去を目的とするガスクラスターイオンビームエッチングよりも低いイオン化電流、あるいは低い加速電圧を用いて、より緩やかな条件で行なうのが好ましい。具体的には、例えば、加速電圧は、3kV以上30kV未満であることが好ましく、3〜20kVであることがより好ましい。また、ソースガスとしては、ガラス基板の表面に衝突した時に化学反応を起こしにくいことから、O2、Ar、CO、CO2などのガスを単独または混合して使用することができる。これらの中でもO2およびArが好ましい。
(参考例)
被加工物として、公知の方法で製造されたTiO2ドープ石英ガラス(TiO27質量%ドープ)のインゴットを準備し、内周刃スライサーを用いて縦153.0mm×横153.0mm×厚さ6.75mmの板状に切断し、TiO2ドープ石英ガラス製の板材試料を作成した。次いで、これらを市販のNC面取り機で#120のダイアモンド砥石を用い、外径寸法が152mmで面取り幅が0.2〜0.4mmになるよう面取り加工を実施して、ガラス基板サンプルを得た。
図2に示すTiO2濃度分布を有するガラス基板サンプルを、予備研磨として機械研磨した場合の予想加工量分布を式(1−2)を用いて計算した。なお、計算の際、TiO2濃度7質量%の加工量を5μm(基準加工量)とした。
Y=0.0306X+1.0188 (1−2)
X:ドーパント濃度(wt%)、Y:研磨レート(μm/min)
図3は、上記手順で得られた予想加工量分布を示したグラフである。図4は、予備研磨後のガラス基板サンプルの対角方向の予想断面プロファイルを示したグラフであり、基準加工量5μmから図3に示す予想加工量を減じた結果である。図3および図4において、グラフの横軸は基板中心からの距離を示している。
研磨材、研磨パッドおよび研磨装置は、図1を作成する際に使用したものと同じであり、加工レートおよび加工時間は、TiO2濃度が7質量%のドープ石英ガラスの加工量が5μmとなる条件とした。
予備研磨後、ガラス基板サンプルの表面を干渉平坦度計(G310Sフィゾー型レーザ干渉式平坦度測定機(Fujinon社製))を用いて測定した。測定結果から作成したガラス基板サンプルの表面形状を図5に示した。機械研磨後のガラス基板の表面形状において、長周期の形状や外周のダレに関しては、使用した研磨パッドの特性や、機械研磨の加工条件などに依存する。このため、3次収差関数を近似し、チルト、パワー、非点収差、コマ収差、球面収差を除去した後の、ガラス基板サンプルの対角方向の断面プロファイルを図6に示した。図6において、グラフの横軸は基板中心からの距離を示している。
図4および図6の比較から明らかなように、予備研磨後の予想断面プロファイルと、実際に機械研磨した後の断面プロファイルと、で凹凸(うねり)の存在する位置およびその高さが非常によく一致していた。
具体的には、図2に示すTiO2濃度分布を有するガラス基板サンプルをガスクラスターイオンビームエッチング法により仕上げ加工した場合の予想加工量分布を式(1−1)を用いて計算した。なお、計算の際、TiO2濃度7質量%の加工量を0.8μm(基準加工量)とした。
Y=0.0522X+1.0449 (1−1)
X:ドーパント濃度(wt%)、Y:加工レート(μm/min)
続いて、図4に示す予想断面プロファイルから上記手順で求めた予想加工量を減じることにより、仕上げ加工後のガラス基板の予想断面プロファイルを作成した。図7は、仕上げ加工後のガラス基板の予想断面プロファイル(対角方向)を示したグラフである。図7において、グラフの横軸は基板中心からの距離を示している。
仕上げ加工後のガラス基板サンプル表面を干渉平坦度計を用いて測定した。得られた測定結果を3次収差関数を近似し、チルト、パワー、非点収差、コマ収差、球面収差を除去した後の、ガラス基板サンプルの対角方向の断面プロファイルを図8に示した。図8において、グラフの横軸は基板中心からの距離を示している。
図7および図8の比較から明らかなように、仕上げ加工後の予想断面プロファイルと、実際に仕上げ加工した後の断面プロファイルと、で凹凸の存在する位置およびその高さが非常によく一致していた。
本発明の仕上げ加工方法では、上記測定工程1および測定工程2から得られる結果に基づいてガラス基板の加工条件を設定するため、予備研磨の際に発生したうねりを完全に除去し、ガラス基板の表面を平坦度に優れた表面に仕上げ加工することができると考えられる。
Claims (12)
- 予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法であって、
前記ガラス基板は、ドーパントを含み、SiO2を主成分とする石英ガラス製であり、 前記予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法は、
ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する工程と、
予備研磨後のガラス基板の表面形状を測定する工程と、を有し
前記ガラス基板に含まれるドーパントの濃度分布を測定する工程および前記ガラス基板の表面形状を測定する工程から得られた結果に基づいて、前記ガラス基板表面の加工条件を前記ガラス基板の部位ごとに設定することを特徴とする予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。 - ガラス基板に含まれるドーパント濃度とガラス基板表面の加工レートとの相関を予め求めておき、
前記ガラス基板に含まれるドーパント濃度分布の測定結果と、前記ドーパント濃度と加工レートとの相関と、を用いて、前記ガラス基板表面の加工条件を前記ガラス基板の部位ごとに設定することを特徴とする請求項1に記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。 - 前記ガラス基板の表面形状の測定結果から前記ガラス基板表面の平坦度を求め、
前記ガラス基板表面の平坦度に基づいて、前記ガラス基板表面の加工条件を前記ガラス基板の部位ごとに設定することを特徴とする請求項1または2に記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。 - 前記ガラス基板表面の加工は、イオンビームエッチング、ガスクラスタイオンビームエッチング、プラズマエッチング、ナノアブレージョンおよびMRF(magnetorheological finishing)からなる群から選択される加工方法を用いて実施される請求項1ないし3のいずれかに記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
- 前記加工方法は、イオンビームエッチング、ガスクラスタイオンビームエッチングまたはプラズマエッチングであり、
前記ガラス基板の表面形状の測定結果から前記ガラス基板表面に存在するうねりの幅を特定し、
ビーム径がFWHM(full width of half maximum)値で前記うねりの幅以下のビームを用いて加工を行うことを特徴とする請求項4に記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。 - 前記ビーム径のFWHM値は、前記うねりの幅の1/2以下である請求項5に記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
- 前記加工方法は、ガスクラスタイオンビームエッチングである請求項4または5に記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
- 前記ガスクラスタイオンビームエッチングのソースガスとして、下記群から選択されるいずれかの混合ガスを用いる請求項5ないし7のいずれかに記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
SF6およびO2の混合ガス、SF6、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびO2の混合ガス、NF3、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびN2の混合ガス、NF3、ArおよびN2の混合ガス - 前記ソースガスとして、下記群から選択されるいずれかの混合ガスを用いる請求項8に記載のガラス基板の研磨方法。
SF6およびO2の混合ガス、SF6、ArおよびO2の混合ガス、NF3およびO2の混合ガス、NF3、ArおよびO2の混合ガス - 前記ガラス基板は、20℃における熱膨張係数が0±30ppb/℃の低膨張ガラス製である請求項1ないし9のいずれかに記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
- 前記ドーパントは、TiO2である請求項1ないし10のいずれかに記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
- 前記ガラス基板は、予備研磨後の表面粗さ(Rms)が5nm以下である請求項1ないし11のいずれかに記載の予備研磨されたガラス基板表面を仕上げ加工する方法。
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