JP2009099216A - ディスク回転安定化板および光学的情報記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光学的情報記録再生装置が備えている光ディスク1の情報記録再生面1Aに対向して配置されスペーサ4を介して光ディスク1に対して一体的に装着されるディスク回転安定化板5であって、光ディスク1よりも直径の大きい透明基材からなる安定化板本体5Aと、この安定化板本体5Aの両面に設けられた保護層6A,6Bとを含む構成とする。各保護層6A,6Bは光ディスク1に対する記録再生用のレーザ光を透過可能な少なくとも一層以上の保護層とする。
【選択図】図1
Description
即ち、透明基材としてガラス基板を用いた場合には、ガラス基板を形成する組成物の一般的な特徴としてアルカリ金属の酸化物が含まれており、このアルカリ成分が大気中のH2 OやCO2 と反応して、ガラス基板表面にCaCO3 やNaHCO3 等の析出物を形成する。このような析出物がガラス表面に形成されるとガラス基板の透過率が低下し、薄型光ディスクへの正常な情報記録や既に記録してある情報を正確に再生することが困難になるという問題点があった。
本発明は、上記関連技術の有する不都合を改善し、特に、大気中のH2 OやCO2 によって基材表面が変化や劣化を起こすことなく、薄型光ディスク媒体の記録再生動作の安定化を長期間維持し得るディスク回転安定化板および光学的情報記録再生装置を提供することを、その目的とする。
図1は、本実施形態にかかる光学的情報記録再生装置の回転軸近傍の構成を示す概略断面図である。この図1に示すように、本実施形態における光学的情報記録再生装置は、薄形光ディスクとしての光ディスク1を回転させる回転駆動手段としてのスピンドルモータ2と、前記光ディスク1の情報記録再生面1A(図1では下面側)にレーザ光を集光する記録再生用の光学ヘッド3とを備えている。
このように、本実施形態によると、安定化板本体5Aを構成する透明基材の両面に少なくとも一層以上の保護層6A,6Bを設けたので、大気中のH2 OやCO2 によって基材表面が変化や劣化を起こすことなく、光ディスクが薄型であっても、その記録再生動作の安定化を長期間維持することができる。
ここで、本第1実施例では、透明基材である安定化板本体5A(以下、基材5Aという)としてソーダ石灰ガラス(Na2 O−CaO−SiO2 )を用い、又、保護層としては、SiO2 −HfO2 (25〔mol%〕)を用いた場合を示す。
記録再生特性評価に際しては、波長405〔nm〕で記録再生が可能なHD DVD−RW媒体を用いた。図2に、この試験前後での記録再生特性を比較評価した結果(図表化したもの)を示す。
この性能指数を示すPRSNRについては、下記文献に開示されているもの(光ディスク媒体の信号品質を示す性能指数)を使用した。
[1]特開2004−213862、[2]Japanese Journal of Applied Physics Vol.43, No.7B, 2004, pp.4859-4862 "Signal-to-Noise Ratio in a PRML Detection" S.OHKUBO et al
一方、基材5Aの上下両面に、保護層6A,6BとしてSiO2 −HfO2 (25〔mol%〕)を100〔nm〕積層したディスク回転安定化板5(試料2)を用いた場合は、環境試験後も特に問題なく、記録再生が実行できていることが明らかとなった。これは、基材5Aとして用いたガラス基板の表面にSiO2 −HfO2 膜を保護層6A,6Bとして積層したことで、ガラス基板表面にあるNaイオンやCaイオンと大気中のH2 OやCO2 との反応が抑制されたことは明らかである。
従って、基材5Aとして用いるガラス基板の表面には、データが記録再生される領域は全て保護層6A,6Bで被覆することが必要となる。又、使用する基材5Aはその上にスペーサ4を介して設置される光ディスク1の外径よりも大きく形成することが好ましく、同時に、上述した保護層6A,6Bを、前述した光ディスク1の記録再生領域よりも広い領域に形成されていることが望ましいことが明らかとなった。
図3は、基材5A全面に保護層6A,6Bを被覆した場合であり、図4は、保護層6A,6Bを前述した光ディスク1の記録再生領域41よりも内側の半径から前記透明な基材5Aの外周端と一致する半径の領域にまで形成した場合を示す。
まず、図5に、保護層としての誘電体層を、Siを主成分として、更にHf,Cr,Zr,Y,Ta,Al,Tiの中から選択された少なくとも一つ以上の元素を含むこれらの複合酸化物、複合窒化物又は複合酸窒化物により形成した場合、その各誘電体層の膜組成と屈折率との関係について示す。
この図6及び図5より、SiO2 が主成分の誘電体膜を用いた場合には、屈折率が1.65〜1.85と比較的低いため、これらの誘電体膜を保護層6A,6Bとして用いたディスク回転安定化板5の透過率は98〔%〕以上となり(図6参照)、従って、レーザ光はこのディスク回転安定化板5を有効に透過し、記録再生動作が安定して実行されることとなる。
このような屈折率を有する誘電体膜を保護層6A,6Bとして基材5A上に設けたディスク回転安定化板5の透過率は98〔%〕を下回る(図6参照)。このため、透過率の低下に伴い、ディスク回転安定化板5を透過して記録再生動作を安定に行うことが、徐々に困難となる。従って、保護層6A,6Bとして用いる誘電体層は、SiO2 が主成分を占める屈折率が比較的小さい組成の誘電体層を用いることが望ましい。
尚、上述したディスク回転安定化板5の基材5Aであるガラス基板の屈折率とその表面に設けた誘電体膜の屈折率の差とディスク回転安定化板5の透過率や反射率の関係は、基材5A及びその上に設けた保護層6A,6Bの各々の膜厚,屈折率及び消衰係数と、マックスウエル(Maxwell)の方程式から導かれる特性マトリクスを利用して計算により求めることができる。
ここで、本第2の実施例では、透明基材5Aとしてソーダ石灰ガラス(Na2 O−CaO−SiO2 )を用い、保護層として、厚さ0.1〔mm〕のポリカーボネイト製シート、及び厚さ100〔nm〕のSiO2 −HfO2 (25〔mol%〕)の誘電体層を各々保護層として用いた場合のディスク回転安定化板5の透過率とその経時変化について、保護層を設けない基材5Aとの比較を行った結果を開示する。
この図10における二層構造の保護層54A,54Bは、その上層と下層の各素材の積層位置を、前述した図9における二層構造の素材の積層位置とはを逆に設定した点に特徴を有する。この場合に形成されるディスク回転安定化板5を、基材T−4とする。
より具体的には、上述した図7乃至図10に示した各ディスク回転安定化板5について、80〔℃〕,90〔%〕,1000〔時間〕試験投入後に測定した透過率の値を、図11にまとめて示す。ここで、図11には、比較のため、保護層を設けていないソーダガラス自体(保護層なし)の結果も併せて示す。
尚、この第2実施例では、透明基材5Aにかかる透明基材(T−1乃至T−4,及びT−0)としては、上述したように、いずれもソーダ石灰ガラス(Na2 O−CaO−SiO2 )を使用した。
一方、保護層6A,6Bを設けない基材5Aは、試験後の透過率が著しく減少し、前述した図2にも示したように、環境試験後には情報の記録再生が明らかに不可能となっている。
この第3の実施例では、透明基材5Aとして、アルカリ成分を含まないシリカガラスを用い、保護層6A,6Bとしては、前述した第2実施例の場合と同一の素材およびその組合せをそのまま採用した。
ここで、この第3の実施例で形成される実験用の5種類のディスク回転安定化板5については、前述した第2実施例の基材T−1乃至T−4およびT−0に対応して、基材T−5乃至T−8およびT−9とする。
より具体的には、上述した基材T−5乃至T−8およびT−9にて特定した各ディスク回転安定化板5について、80〔℃〕,90〔%〕,1000〔時間〕試験投入後に測定した透過率の値を、図12にまとめて示す。ここで、図12には、比較のため、保護層を設けていないシリカガラス自体(保護層なし:T−9)の結果も併せて示す。
この場合、保護層を設けないシリカガラスの透過率が環境試験後に低下する要因は、シリカガラス作製時の研磨剤成分の残渣等が大気中のH2 Oと反応したことによるものと考察することができる。
2 スピンドルモータ
3 光学ヘッド
4 スペーサ
5 ディスク回転安定化板
5A 基材(透明基材)
6A,6B,51A,51B,52A,52B,53A,53B,54A,54B 保護層
41 記録再生領域
Claims (10)
- 光学的情報記録再生装置が備えている光ディスクの情報記録再生面に対向して配置されスペーサを介して前記光ディスクに対して一体的に装着されるディスク回転安定化板であって、
前記光ディスクよりも直径の大きい透明基材からなる安定化板本体と、この安定化板本体の両面に設けられた保護層とを含む構成とし、
前記各保護層を、前記光ディスクに対する記録再生用のレーザ光を透過可能な少なくとも一層以上の保護層としたことを特徴とするディスク回転安定化板。 - 前記請求項1に記載のディスク回転安定化板において、
前記安定化板本体を構成する透明基材は、SiO2 を主成分としたガラス組成物からなることを特徴とするディスク回転安定化板。 - 前記請求項1に記載のディスク回転安定化板において、
前記保護層を透明なシートにより構成したことを特徴とするディスク回転安定化板。 - 前記請求項1に記載のディスク回転安定化板において、
前記保護層は、前記安定化板本体上にあって、対応する前記光ディスクの記録領域又は再生領域を覆うと共に当該記録領域又は再生領域よりも広い範囲にわたって設定されていることを特徴とするディスク回転安定化板。 - 前記請求項1に記載のディスク回転安定化板において、
前記安定化板本体と前記保護層とを共通に透過するレーザ光の透過率が98〔%〕以上であることを特徴とするディスク回転安定化板。 - 前記請求項1,2,3,4又は5に記載のディスク回転安定化板において、
前記保護層を、Siを主成分とし、更にHf,Cr,Zr,Y,Ta,Al,Tiの中から選択された少なくとも一つ以上の元素を含む複合酸化物、複合窒化物、又は複合酸窒化物を素材とする誘電体層で形成したことを特徴とするディスク回転安定化板。 - 前記請求項1,2,3,4,又は5に記載のディスク回転安定化板において、
前記保護層を、Siを主成分とし、更にHf,Cr,Zr,Y,Ta,Al,Tiの中から選択された少なくとも一つ以上の元素を含むこれらの複合酸化物、複合窒化物又は複合酸窒化物からなる誘電体層で形成し、その上に、透明なシートを積層して形成したことを特徴とするディスク回転安定化板。 - 前記請求項1,2,3,4,又は5に記載のディスク回転安定化板において、
前記保護層を、透明なシートで形成すると共に、この透明シート上に、Siを主成分とし更にHf,Cr,Zr,Y,Ta,Al,Tiの中から選択された少なくとも一つ以上の元素を含むこれらの複合酸化物、複合窒化物又は複合酸窒化物からなる誘電体層が積層されて成ることを特徴としたディスク回転安定化板。 - 前記請求項1,2,3,4又は5に記載のディスク回転安定化板において、
前記保護層を、Siを主成分として、更にHf,Cr,Zr,Y,Ta,Al,Tiの中から選択された少なくとも一つ以上の元素を含むこれらの複合酸化物、複合窒化物又は複合酸窒化物からなる誘電体層で形成すると共に、この保護層の膜厚を30〔nm〕乃至195〔nm〕の範囲に設定したことを特徴とするのディスク回転安定化板。 - 光ディスクを回転させる回転駆動手段と前記光ディスクの情報記録再生面にレーザ光を集光する記録再生用光学ヘッドとを備えた光学的情報記録再生装置において、
前記光ディスクの情報記録再生面に対向し且つスペーサを介して前記光ディスクに一体的にディスク回転安定化板を配設し、
このディスク回転安定化板を、前記光ディスクよりも直径の大きい透明部材からなる安定化板本体と、この安定化板本体の両面に設けられた保護層とを含む構成とし、
前記各保護層をレーザ光を透過可能な少なくとも一層以上の保護層としたことを特徴とする光学的情報記録再生装置。
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