JP4505828B2 - シート角度調節装置 - Google Patents

Description

本発明は機械技術分野、特にシート角度調節装置に関する。

現在、多くのシートでは、シートクッションとシートバックとの角度の調節や、シートバックの迅速な折りたたみを実現し、かつその角度を調節した後に、シートクッションとシートバックとの角度を固定させるロック機能を実現することができる。

従来技術としては、例えば中国特許番号がＺＬ２００４２００１７６９９．４であり、名称が板バネ型シート角度調節及びシートバックフォルダのコア装置である実用新案の実施形態がある。図１に示すように、当該装置において、ロックカム１０１は、リターンスプリング１０４の作用によって、自身が有する二つのロック面１０２により二つのスライダ１０３を支持することで、二つのスライダ１０３上のスライダ歯１０５とラチェット歯（図示省略）との間の噛合を強化させ、シートクッションとシートバックとの角度が調節された後に、シート角度の固定をすることができた。

シート角度の調節を実現した前記の装置において、各スライダ１０３とロックカム１０１との間には、各スライダ１０３を支持するロックカム１０１のロック面１０２がそれぞれ１箇所のみ設けられている。一方、シートクッションとシートバックとの角度が調節されかつ固定された後に、ユーザがシートバックにもたれたときは、シートバックにはその力が作用される。各スライダ１０３は、それぞれ前記のように一点支持形態であるため、シートバックに大きな力が作用されると、スライダ歯１０５とラチェット歯との噛合が解除されてシートクッションとシートバックとの角度が変化するおそれがあるため、シートバックの不安定を招くことになる。
中国実用新案公報第ＺＬ２００４２００１７６９９．４号公報

本発明は、シート角度調節装置の改良を目的とし、さらに詳しくは前記不都合を解消するために、シートバックに大きな力が作用した場合でもスライダ歯とラチェット歯との噛合状態を保持することができるシート角度調節装置を提供することを目的とする。

前記目的を達成するため、本発明のシート角度調節装置は、シートクッションとシートバックとを備えるシートの角度を調節する装置であって、前記シートクッション又は前記シートバックの一方に取り付けられ円形の内歯であるラチェット歯２８を備えるラチェット２と、前記シートクッション又は前記シートバックの他方に取り付けられる案内板１０と、前記ラチェット２及び前記案内板１０を支持して軸線回りに回動可能とする中心軸１７と、前記中心軸１７を所定の回転方向に付勢するリターンスプリング２７と、前記案内板１０に前記中心軸１７を中心として対角線方向にスライド可能に取り付けられ前記ラチェット歯２８に噛合可能なスライダ歯６を有するスライダ２５と、前記中心軸１７の回動によって前記スライダ２５をスライドさせるカム部材４とを備えたシート角度調節装置において、一対の前記スライダ２５は、前記中心軸１７を中心として対称に配置され、それぞれ幅方向２箇所に平面状のロック面２９を有し、前記案内板１０に一対の前記スライダ２５の間にあって前記中心軸を中心として対称に配置され、前記カム部材４によりスライド自在であり、前記ロック面２９と面接触する平面状のロック面３０を有する一対のロック部材９が設けられ、前記中心軸１７を前記リターンスプリング２７の付勢力に抗して回動したときは、前記カム部材４が前記ロック部材９を前記スライダ２５のロック面２９の間から離脱させると共に、前記スライダ２５を前記中心軸１７の方向に移動させて前記スライダ歯６と前記ラチェット歯２８との噛合を解除し、前記中心軸が前記リターンスプリング２７により戻されたときは、前記カム部材４が前記スライダ２５を移動させて前記スライダ歯６と前記ラチェット歯２８とを噛合させると共に、前記ロック部材９を一対の前記スライダ２５のロック面２９の間に位置するように移動させて前記ロック面２９と前記ロック面３０とがロックし前記スライダ２５の前記中心軸の方向への移動を阻止することを特徴とする。

本発明のシート角度調節装置では、前記中心軸が前記リターンスプリング２７により戻されたときは、一対の前記スライダ２５のスライダ歯６と前記ラチェット歯２８とが噛合された状態となる。このとき、一対のスライダ２５の幅方向２箇所に設けられた一対のロック面２９の間に前記ロック部材９が位置しており、前記スライダ２５の前記中心軸方向への移動が阻止されている。このように本発明のシート角度調節装置では、一対の前記スライダ２５がそれぞれ２箇所のロック面２９でロック部材９によりロックされるので、シートバックに大きな力が作用した場合でも、確実にスライダ歯６と前記ラチェット歯２８との噛合状態を保持することができる。

また、本発明のシート角度調節装置においては、前記ラチェット２が、前記シートクッションと前記シートバックとが折り畳まれた際に前記スライダ歯６が当接するラチェット滑り面２６を備えていることが好ましい。当該構成によれば、前記シートバックの折り畳み時に前記スライダ歯６が前記ラチェット滑り面２６の表面を滑動するので、シートバックの迅速な折り畳みを実現することができる。

また、本発明のシート角度調節装置においては、前記ラチェット２に、前記シートクッションに設けられた連結板に連結されるボス４１が設けられていることが好ましい。当該構成によれば、前記シートクッションに前記ラチェット２を確実に取り付けることができる。

また、本発明のシート角度調節装置においては、前記案内板１０に、前記シートバックに設けられた連結板に連結されるボス４２が設けられていることが好ましい。当該構成によれば、前記シートバックに前記案内板１０を確実に取り付けることができる。

また、本発明のシート角度調節装置においては、前記ラチェット２の外周縁３と前記案内板１０の外周縁とを摺動自在に連結するジャケット１をさらに備えていることが好ましい。当該構成により、前記ラチェット２と前記案内板１０とが一体となるので、両者の不用意な分解や、内部への異物等の噛み込みを防止することができる。

即ち、本発明の装置は、シートの角度が調節された後、各ロック部材の対称となる二つのロック面は、スライダのロック面と対応し、二点ロックを形成する。ラチェット歯とスライダ歯とは対向しているとき、外力と渦巻き状のリターンスプリングの力によってカムを駆動して回転させることにより、スライダとラチェットとのロック又はアンロックを制御し、シートバック角度の調節を実現する。ラチェットには、均等に分布する二つのラチェット歯と均等に分布する二つのラチェット滑り面がある。ラチェット滑り面とスライダ歯とが対向するとき、シートバックの迅速な折りたたみを実現でき、前記部材をジャケットによって互いに固定連結することで互いに独立した装置が形成でき、着脱不可能かつ保守が不必要となる。本装置は、ユーザの要望に応じて異なる連結板を設計することで、異なる車種に適用することができ、高い汎用性を有する。また、本発明は、コンパクトで嵩張りが小さく、強度が高く、両側アンロック性能がよく、調節精度が高いという利点を有し、シートバックの角度調整及び迅速な折りたたみ機能を簡単に実現できる。

以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図２、図３と図４に示すように、当該実施例において、本発明のロック機構に関するコア技術をよりよく理解するために、まずカム４のロック部分について記述する。カム４において、対称に設けられた二つの溝１９及び対称に設けられた二つの溝５があり、二つのスライダ２５はその表面に設けられたボス８が溝５に連結され、二つのロック部材９は、その自身のボス１８を介して溝１９に連結されている。当該カム４のロック機構をシートの角度調節に用いることにより、新しいシート角度調節装置が形成される。

カム４が所定方向に回転した後、スライダ２５の対称となっている二つのロック面２９とロック部材９の対称となっている二つのロック面３０とで、二点支持によるロックを形成する。

以下、本発明の実施例の斜視図に基づいて、カム４のロック部分を有するシート角度調節装置を詳細に説明する。

図５と図６に示すように、対称に分布した二つのスライダ２５は、案内板（クリス／ｃｏｕｌｉｓｓｅ）１０の二つ溝１３に取り付けられ、スライダの側面７と案内板１０の溝側面１４とは隙間を有して摺動自在に係合し、スライダ２５の外端には一つのスライダ歯６があり、その表面の中部には、ボス８が一つ設けられている。

対称に分布した二つのロック部材９は、案内板１０の二つの溝１１に取り付けられ、ロック部材９の側面２２と溝１１とは隙間を有して摺動自在に係合し、ロック部材９の表面の中部にはボス１８が一つ設けられている。

カム４には、対称となる二つの駆動するスライダ２５用のカム溝５と、対称となる二つの駆動するロック部材９用のカム溝１９が設けられており、カム４の中心部にある一つの角穴２０は中心軸１７と結合している。ラチェット２には、内周面に二つのラチェット歯２８が対称に分布されて設けられているとともに、二つのラチェット滑り面２６が対称に分布されて設けられている。ラチェット２の中心部にある一つの丸穴２１は中心軸１７の円弧部３３と隙間を有して結合し、ラチェット２の外周縁３は案内板１０の内円側面１５と摺動自在に結合し、案内板１０の中心部にある一つの丸穴１２は中心軸１７の円弧部３１と結合している。リターンスプリング２７の中心内角穴２４と中心軸１７の外角部３２とは固定され、リターンスプリング２７は案内板１０内の円溝１６の中に位置し、リターンスプリング２７の外フック２３は図９に示す位置にある案内板１０の***４０内に固定されている。最後に、ラチェット２の外周縁３と案内板１０の外周縁とがジャケット１によって摺動自在に連結され、これらの部材をお互いに連結して一つにしている。

以下、当該装置の具体的な使用過程について詳細に説明する。ラチェット２における六つの半穿孔の状態で突出するボス４１を、シートバックの連結板に設けられた貫通孔又は凹部（図示省略）に連結した後、さらにラチェット２をボルト等を用いてシートバックに連結する。また、案内板１０における四つの半穿孔の状態で突出するボス４２をシートクッションの連結板に設けられた貫通孔又は凹部（図示省略）に連結した後、さらに案内板１０をボルト等を用いてシートバックに連結する。

図示しない操作レバーによって加えられたトルクが中心軸１７の中央角穴２０を介してカム４に伝えられたとき、カム４にあるカム溝１９が、二つのロック部材９のボス１８を中心軸１７から離れる方向に移動させると同時に、カム４にある二つのカム溝５が、スライダ２５にあるボス８を中心に向かって、スライダ歯６とラチェット歯２８とが完全に離脱するまで、平行に移動させる。このとき、ラチェット２の外周縁３と案内板１０の内円溝１５とは自由に回転するので、シートバックの角度調節を行うことができる。

シートバックの角度が所望の位置に調節されたとき、中心軸１７に加えられたトルクを除去すると、リターンスプリング２７による付勢力でカム４が回転し、カム４のカム溝１９はロック部材９を中心に向かって平行に移動させ、ロック部材９のロック面３０とスライダ２５のロック面２９とが接触して、スライダの歯６とラチェットの歯２８とが完全に噛合するまで、スライダ２５を案内板１０の溝１３に沿って外側へ平行に移動するように付勢する。

この際、ロック部材９の平面状のロック面３０とスライダ２５の平面状のロック面２９とは面接触して自動的にロックするため、シートバックの角度をこの角度にロックすることができる。また、ラチェット２には二つの対称となるラチェット歯２８と二つのラチェット滑り面２６があり、スライダ歯６とラチェット滑り面２６とが対向するとき、スライダ歯６はラチェット滑り面２６上を自由に摺動できる。このとき、当該装置はシートクッションとシートバックとの折り畳み機能を実現できる。

前記部材を組み立てた後の形状は、図７に示されている。図７は、当該実施例の正面図であり、ラチェット２には、シートバックの連結板に連結されさらにシートバックに連結される六つの半穿孔の状態で突出するボス４１が周方向に分布されている。図８は当該実施例の左側面図であり、図９は当該実施例の背面図であり、案内板１０には、シートクッションの連結板に連結され、さらにシートクッションに連結される四つの半穿孔状態で突出するボス４２が周方向に分布されている。

前記実施例においては、二つのスライダと二つのロック部材を有する実施形態のみ示しているが、これに限らず、三つのスライダと三つのロック部材、又は他の数の複数のスライダとロック部材で本発明の装置を実現してもよい。

本発明の装置は、シートの角度が調節された後、各ロック部材９の対称となる二つのロック面３０は、スライダ２５のロック面２９と対応し、二点ロックを形成する。ラチェット歯２８とスライダ歯６とが対向しているとき、外力と渦巻き状のリターンスプリング２７の力によってカム４を駆動して回転させることにより、スライダ２５とラチェット２とのロック又はアンロックを制御し、シートバック角度の調節を実現する。ラチェット２には、均等に分布する二つのラチェット歯２８と均等に分布する二つのラチェット滑り面２６がある。ラチェット滑り面２６とスライダ歯６とが対向するとき、シートバックの迅速な折りたたみを実現でき、前記部材をジャケット１によって互いに固定連結することで独立した装置が形成でき、前記部材を着脱不可能にすることにより、保守を不要としている。本装置は、ユーザの要望に応じて異なる連結形状に設計することで、異なる車種に適用することができ、高い汎用性を有する。また、本発明は、コンパクトで嵩張りが小さく、強度が高く、シートバックの折り畳み時と大きく倒した際のアンロックの性能、即ち両側アンロック性能がよく、調節精度が高いという利点を有し、シートバックの角度調整及び迅速な折りたたみ機能を簡単に実現できる。

本発明の装置について、本発明の主旨及び原則内においてなされるあらゆる修正、均等置き換え、改良等は本発明の保護範囲に含まれるべきである。

従来技術における一点式ロックの模式図である。 本発明の実施例におけるカムロック部分の正面図である 本発明の実施例におけるカムロック部分の背面図である 本発明の実施例においてロックを形成する模式図である。 本発明の実施例におけるシート角度調節装置の斜視図ａである 本発明の実施例におけるシート角度調節装置の斜視図ｂである 本発明の実施例におけるシート角度調節装置を組み立てた後の正面図である。 本発明の実施例におけるシート角度調節装置を組み立てた後の左側面図である。 本発明の実施例におけるシート角度調節装置を組み立てた後の背面図である。

符号の説明

２…ラチェット、４…カム部材。６…スライダ歯、９…ロック部材、１０…案内板、１７…中心軸、２４…リターンスプリング、２５…スライダ、２８…ラチェット歯、２９…ロック面。

Claims (5)

1. シートクッションとシートバックとを備えるシートの角度を調節する装置であって、
   前記シートクッション又は前記シートバックの一方に取り付けられ円形の内歯であるラチェット歯２８を備えるラチェット２と、前記シートクッション又は前記シートバックの他方に取り付けられる案内板１０と、前記ラチェット２及び前記案内板１０を支持して軸線回りに回動可能とする中心軸１７と、前記中心軸１７を所定の回転方向に付勢するリターンスプリング２７と、前記案内板１０に前記中心軸１７を中心として対角線方向にスライド可能に取り付けられ前記ラチェット歯２８に噛合可能なスライダ歯６を有するスライダ２５と、前記中心軸１７の回動によって前記スライダ２５をスライドさせるカム部材４とを備えたシート角度調節装置において、
   一対の前記スライダ２５は、前記中心軸１７を中心として対称に配置され、それぞれ幅方向２箇所に平面状のロック面２９を有し、
   前記案内板１０に一対の前記スライダ２５の間にあって前記中心軸を中心として対称に配置され、前記カム部材４によりスライド自在であり、前記ロック面２９と面接触する平面状のロック面３０を有する一対のロック部材９が設けられ、
   前記中心軸１７を前記リターンスプリング２７の付勢力に抗して回動したときは、前記カム部材４が前記ロック部材９を前記スライダ２５のロック面２９の間から離脱させると共に、前記スライダ２５を前記中心軸１７の方向に移動させて前記スライダ歯６と前記ラチェット歯２８との噛合を解除し、
   前記中心軸が前記リターンスプリング２７により戻されたときは、前記カム部材４が前記スライダ２５を移動させて前記スライダ歯６と前記ラチェット歯２８とを噛合させると共に、前記ロック部材９を一対の前記スライダ２５のロック面２９の間に位置するように移動させて前記ロック面２９と前記ロック面３０とがロックし前記スライダ２５の前記中心軸の方向への移動を阻止することを特徴とするシート角度調節装置。
2. 前記ラチェット２は、前記シートクッションと前記シートバックとが折り畳まれた際に前記スライダ歯６が当接するラチェット滑り面２６を備えていることを特徴とする請求項１に記載のシート角度調節装置。
3. 前記ラチェット２には前記シートクッションに設けられた連結板に連結されるボス４１が設けられていることを特徴とする請求項１又は２に記載のシート角度調節装置。
4. 前記案内板１０には前記シートバックに設けられた連結板に連結されるボス４２が設けられていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のシート角度調節装置。
5. 前記ラチェット２の外周縁３と前記案内板１０の外周縁とを摺動自在に連結するジャケット１をさらに備えていることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載のシート角度調節装置。

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