JP4505672B2 - 圧力波発生装置及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、例えば、スピーカを対象とした音波や超音波や単パルス的な粗密波などの圧力波を発生する圧力波発生装置及びその製造方法に関するものである。
従来から、圧電効果による機械的振動を利用した超音波発生装置が広く知られている。機械的振動を利用した超音波発生装置では、例えば、チタン酸バリウムのような圧電材料の結晶の両面に電極が設けられており、両電極間に電気エネルギを与えて機械的振動を発生させ、空気などの媒体を振動させて超音波を発生させている。しかしながら、機械的振動を利用した超音波発生装置は、固有の共振周波数を有するため周波数帯域が狭く、かつ、外部の振動や外気圧の変動の影響を受けやすい。
一方、例えば、特許文献1又は特許文献2に記載されているように、機械的振動を伴わずに超音波を発生させることが可能な装置として、媒体に熱を与え、熱誘起により空気の粗密を形成する方法を利用した圧力波発生装置が提案されている。
熱誘起を利用した圧力波発生装置は、図14及び図15に示すように、単結晶のシリコン基板の半導体基板1と、半導体基板1の厚さ方向の一表面から半導体基板1の内側に向けて所定深さに形成された熱絶縁層2と、熱絶縁層2上に形成された金属薄膜(例えば、Al薄膜など)の発熱体3とを備えている。熱絶縁層2は、多孔質シリコン層で形成され、半導体基板1に比べて十分に小さい熱伝導率及び体積熱容量を有している。
交流電源Vsから発熱体3に交流電流を通電すると、発熱体3が発熱すると共に、発熱体3の温度(又は発熱量)が通電される交流電流の周波数に応じて変化する。一方、発熱体3の直下には熱絶縁層2が形成され、発熱体3が半導体基板1から熱的に絶縁されているので、発熱体3とその近傍の空気との間で効率的な熱交換が起こる。そして、発熱体3の温度変化(又は発熱量の変化)に応じて、空気が膨張と収縮を繰り返し、その結果として、超音波などの圧力波が発生する(図14中の上向きの矢印は圧力波の進行方向を示している)。
このような熱誘起を利用した圧力波発生装置は、発熱体3に印加する交流電圧(駆動電圧)の周波数を変化させることにより、発生される超音波の周波数を広範囲にわたって変化させることができる。そのため、例えば、超音波音源やスピーカの音源として用いることができる。
上記特許文献1によれば、熱絶縁層2の熱伝導度及び体積熱容量を半導体基板1の熱伝導度及び体積熱容量に比べて小さくすることが望ましく、また、熱絶縁層2の熱伝導度と体積熱容量との積を半導体基板1の熱伝導度と体積熱容量との積に比べて十分に小さくすることが好ましい。例えば、半導体基板1が単結晶のシリコン基板により形成され、熱絶縁層2が多孔質シリコン層により形成されている場合、熱絶縁層2の熱伝導度と体積熱容量との積が、半導体基板1の熱伝導度と体積熱容量との積の約1/400の値となる。
単結晶のシリコン基板の半導体基板1の一表面側に、多孔質シリコン層の熱絶縁層2を形成するには、例えば図16に示すように、半導体基板1の一表面上に、熱絶縁層2が形成される予定の領域に対応する部位が開孔されたマスク層を形成する。そして、半導体基板1の他の表面の全面に形成した通電用電極4を陽極として用い、電解液中で、半導体基板1の一表面に対向するように配置された陰極との間に通電し、陽極酸化処理を行う。
特開平11−300274号公報 特開2002−186097号公報
ところで、上記従来の熱誘起を利用した圧力波発生装置では、図15(a)に示すように、発熱体3の長手方向の両端部間に交流電流が印加されるが、印加される電圧のオン/オフに伴って発熱体3が膨張収縮を繰り返す。発熱体3が半導体基板1から熱的に絶縁されているので、発熱体3の急激な温度変化により発熱体3に生じる熱応力に起因して発熱体3が破損してしまう可能性がある。
熱誘起を利用した圧力波発生装置を設計するに当たり、圧力波発生装置のサイズを、従来から広く使用されている機械的振動を利用した超音波発生装置の一般的なサイズである15mm×15mm程度とし、機械的振動を利用した超音波発生装置と同等の音圧(例えば、周波数が40kHzで30cm離れた位置において20Pa程度)を発生させるようにして、発熱体3の温度について検討した。その結果、発熱体3の温度が瞬間的に1000度を超える非常に高い温度となることがわかった。
本発明の目的は、熱応力に起因する発熱体の破損が生じにくい熱誘起を利用した圧力波発生装置及びその製造方法を提供することにある。
請求項1の発明は、基板と、基板の厚さ方向の一表面に形成された多孔体の熱絶縁層と、熱絶縁層上に形成された薄膜の発熱体とを備え、発熱体への電気入力の波形に応じて発熱体の温度が変化し、発熱体と媒体との間の熱交換により圧力波を発生させる圧力波発生装置であって、基板の厚さ方向の一表面から基板の内側に向けて熱絶縁層の幅方向の中央部の基準厚さで規定した幅方向の範囲内において、発熱体の外周よりも内側部分の厚さ方向の平均熱伝導率をαin、平均体積熱容量をCinとし、発熱体の外周よりも外側部分の厚さ方向の平均熱伝導率をαout、平均体積熱容量をCoutとして、αin×Cin<αout×Coutの条件を満足し、かつ、前記内側部分と前記外側部分との境界付近ではαin×Cinの値が外側ほど大きくなっていることを特徴とする
請求項2の発明は、請求項1の圧力波発生装置において、αin×Cinの値が変化する領域の境界を、発熱体の外周と略一致させ、又は発熱体の外周よりも内側に位置させていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2の圧力波発生装置において、αin×Cinの値が変化する領域において、熱絶縁層を形成する材料自体の熱伝導率と熱容量との少なくとも一方を外側に向かって大きくなるように連続的に変化させたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3の圧力波発生装置において、αin×Cin=αout×Coutとなる熱絶縁層と基板の境界において、材料組成がほぼ一致することを特徴とする。
本発明は、下記の関係式から、熱絶縁層の熱伝導率と体積熱容量との積を大きくすることにより、単位時間当たりの放熱量を大きくすることができるという観点に基づき、発熱体の周部の温度上昇を抑制するように放熱量を増大させることで、発熱体の外周部の温度勾配を緩和するという技術思想に基づく。
Figure 0004505672
なお、上記式において、αは熱絶縁層の熱伝導率、Cは熱絶縁層の体積熱容量、ωは発熱体の両端間に入力される交流電圧の角周波数、q(ω)は発熱体へ入力される電気エネルギ、T(ω)は発熱体の温度である。
請求項1の発明によれば、発熱体の外周よりも内側部分の厚さ方向の平均熱伝導率をαin、平均体積熱容量をCinとし、発熱体の外周よりも外側部分の厚さ方向の平均熱伝導率をαout、平均体積熱容量をCoutとして、αin×Cin<αout×Coutの条件を満足し、かつ、前記内側部分と前記外側部分との境界付近ではαin×Cinの値が外側ほど大きくなっているので、発熱体の外周部では、基板の厚さ方向に沿って放熱される熱量が発熱体の中央部で放熱される熱量に比べて大きくなるので、従来の圧力波発生装置に比べて、発熱体にかかる熱応力を低減することができる。そのため、従来の圧力波発生装置に比べて、熱応力に起因した発熱体の破損が起こりにくくなり、圧力波発生装置の長寿命化を図ることができる。すなわち、圧力波発生装置を駆動する際、発熱体の温度上昇及び温度降下に伴う発熱体の膨張及び収縮により熱応力が発生しても、発熱体はほとんど破損することがなく、長期間にわたって、安定して超音波を発生させることができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の圧力波発生装置において、αin×Cinの値が変化する領域の境界を、発熱体の外周と略一致させることにより、発熱体の外主部から基板へ放熱される熱量の増大による圧力波の振幅の低下を抑制することができる。また、発熱体の外周よりも内側に位置させることにより、発熱体の外周部における温度勾配をより緩やかにすることができ、従来の圧力波発生装置に比べて発熱体にかかる熱応力をより低減することができる。
請求項3の発明によれば、請求項1又は2の圧力波発生装置において、αin×Cinの値が変化する領域において、熱絶縁層を形成する材料自体の熱伝導率と熱容量との少なくとも一方を外側に向かって大きくなるように変化させているので、熱膨張係数及び体積熱容量のいずれか一方を連続的に変化させることによって、材料組成又は厚さの不連続点をなくすことができ、機械的強度の不連続点をなくして、経時変化による破損を防止することができる。
請求項4の発明によれば、請求項3の圧力波発生装置において、αin×Cin=αout×Coutとなる熱絶縁層と基板の境界において、材料組成をほぼ一致させているので、αin×Cin=αout×Coutとなる部分での熱膨張係数の不連続箇所がなくなる。発熱体の温度上昇に伴い、熱絶縁層にも幾分かの熱の伝導による温度上昇が生じる。そのため、αin×Cin=αout×Coutとなる熱絶縁層と基板に温度差が生じ、熱絶縁層と基板の熱膨張係数の差によっては、境界における熱応力が大きくなることもあり得る。しかしながら、このように熱膨張係数の不連続箇所をなくすことにより、熱膨張係数差に起因した熱絶縁層と基板の境界での破損を防止することができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1(a)は第1実施形態に係る圧力波発生装置の平面図であり、(b)は図1(a)におけるA−A断面図である。
図1(b)に示すように、第1実施形態の圧力波発生装置は、単結晶のp形シリコン基板の半導体基板(基板)1と、半導体基板1の厚さ方向の一表面(第1面)1aから半導体基板1の内側に向けて形成された多孔質シリコン層(多孔体)の熱絶縁層2と、熱絶縁層2上に形成された薄膜(例えば、アルミニウム薄膜のような金属薄膜など)の発熱体3とを備えている。図1(a)に示すように、半導体基板1の平面形状は矩形状(例えば、長方形状)であり、熱絶縁層2及び発熱体3の平面形状も矩形状(例えば、長方形状)に形成されている。一例として、発熱体3は、長辺の長さ12mm、短辺の長さ10mmに設定されている。また、半導体基板1の厚さは525μm、熱絶縁層2の厚さは10μm、発熱体3の厚さは50nmに設定されている。なお、これらの寸法は特に限定されるものではない。
なお、図1(b)に示すように、熱絶縁層2は、半導体基板1の厚さ方向に直交する幅方向(上記長方形の長辺方向及び短辺方向の両方を含む)において、発熱体3の外周部に対向する部分を除いて、所定深さに達するようにほぼ均一な厚さに形成されている。また、発熱体3の外周部に対向する部分では、熱絶縁層2の厚さが外側ほど徐々に小さくなるように傾斜部2aが形成されている。
圧力波発生装置では、発熱体3に対して電圧及び/又は電流が時間的に変化する電気入力(例えば、交流電流)を通電(電気エネルギの供給)することにより発熱体3を発熱させると共に、発熱体3の温度(又は発熱量)を時間的に変化させる。そして、発熱体3と媒体(例えば、空気)との熱交換により圧力波(例えば、超音波など)を発生させる。交流電源(図14のVs参照)から発熱体3の長手方向の両端部間に、例えば図3(a)に示すような正弦波状の交流電圧を印加した場合には、発熱体3の温度がジュール熱の発生によって図3(b)に示すように変化する。また、発熱体3の温度変化に伴って図3(c)に示すような波形の圧力波(音波)が発生される。
熱絶縁層2を構成する多孔質シリコン層は、後述の製造方法において説明するように、半導体基板1としてのp形シリコン基板の一部を電解液中で陽極酸化処理することにより形成される。また、陽極酸化処理の条件を適宜変化させることにより、熱絶縁層2の多孔度を変化させることができる。多孔質シリコン層は、多孔度が高くなるにつれて熱伝導率及び熱容量が小さくなる。従って、多孔度を適宜設定することにより、多孔質シリコン層の熱伝導率を単結晶シリコンに比べて十分に小さくすることができる。
発熱体3の直下の熱絶縁層2の熱伝導率をα、体積熱容量をC、発熱体3へ印加する正弦波状の交流電圧の角周波数をω、発熱体3の温度をT(ω)(温度Tをωの関数とする)として、半導体基板1の厚さ方向における熱絶縁層2の表面からの距離(深さ)に関して、熱絶縁層2の表面の温度の1/e倍(eは自然対数の底)になる距離を熱拡散長Lと定義すると、
Figure 0004505672

となる。熱絶縁層2の厚さは、熱拡散長Lの0.5〜3倍程度の厚さであることが望ましい。
第1実施形態の圧力波発生装置では、図1(b)に示すように、熱絶縁層2のうち、発熱体3の外周部近傍に対向する部分の厚さが外側ほど薄くなるように、傾斜部2aが形成されている。この圧力波発生装置において、発熱体3への通電を行った場合(電気エネルギを与えた場合)の発熱体3の外周近傍における熱絶縁層2の表面(熱絶縁層2と発熱体3との境界)と半導体基板1の第1面1aを含む平面の温度分布を、有限要素法によりシミュレーションを行った。その結果を図7の曲線Aに示す。また、図14に示す従来例について同様のシミュレーションを行った結果を図7の曲線Bに示す。
図7における曲線A及びBは、それぞれ図1(c)及び図15(c)に示すように、発熱体3の短辺方向の断面(A−A断面)における熱絶縁層2と発熱体3の外周との接点を原点Oとし、熱絶縁層2から離れる方向(図1(c)及び図15(c)の右方向)をX軸の正方向として、半導体基板1の第1面1aを含む平面の温度分布のシミュレーションを行った結果である。なお、シミュレーションを行う際の熱伝導率及び体積熱容量のデータとしては、上記特許文献1に開示されている数値データを用い、単結晶のシリコン基板からなる半導体基板1の熱伝導率を168W/(m・K)、熱容量を1.67×10J/(m3・K)とし、多孔度が60%の多孔質シリコン層からなる熱絶縁層2の熱伝導率を1W/(m・K)、熱容量を0.7×10J/(m・K)とした。
図7からわかるように、第1本実施形態の圧力波発生装置及び従来の圧力波発生装置のいずれにおいても、X軸方向に沿って温度勾配(−dT/dx)が存在するが、第1実施形態の圧力波発生装置の方が、従来の圧力波発生装置に比べて温度勾配が緩やかになっている。その理由は、第1実施形態の圧力波発生装置の発熱体3の外周部に対向する部分では、熱絶縁層2の厚さが外側ほど薄くなるように傾斜部2aが形成されているため、半導体基板1の厚さ方向に沿って放熱される熱量が、発熱体3の中央部に比べて大きくなるからである。
換言すれば、第1実施形態の圧力波発生装置では、図2に示すように、半導体基板1の厚さ方向Dの一表面(第1面)1aから半導体基板1の内側に向けて熱絶縁層2の幅方向の中央部の基準厚さtで規定した幅方向Wの範囲内において、発熱体3の外周3eよりも内側部分、すなわち、図1(b)における熱絶縁層2の厚さ方向の平均熱伝導率をαin、平均体積熱容量をCinとし、発熱体3の外周よりも外側部分、すなわち、半導体基板1の厚さ方向の平均熱伝導率をαout、平均体積熱容量をCoutとして、αin×Cin<αout×Coutの条件を満足し、かつ、内側部分と外側部分との境界付近ではαin×Cinの値が外側ほど大きくなっている。要するに、熱伝導率と体積熱容量との積が大きいほど放熱性が高くなり、単位時間当たりの放熱量を多くすることができるので、第1実施形態では、発熱体3の外周部近傍の直下における熱絶縁層2の放熱性を発熱体3の中央部の直下における熱絶縁層2の放熱性よりも大きくすることによって、発熱体3の外周部近傍における温度勾配を緩やかにしている。
このように、第1実施形態の圧力波発生装置では、発熱体3の外周部において半導体基板1の厚さ方向に沿って放熱される熱量が、発熱体3中央部において放熱される熱量に比べて大きくなるので、従来の圧力波発生装置に比べて発熱体3にかかる熱応力を低減することができ、熱応力に起因した発熱体3の破損が起こりにくくなり、圧力波発生装置を長寿命化することができる。
また、上記基準厚さtで規定した幅方向Wの範囲内で、αin×Cinの値が変化する領域の境界(すなわち、傾斜部2aの外周端)を発熱体3の外周とほぼ一致させてあるので、熱絶縁層2の外周部の物性値と中央部の物性値とをほぼ同じにしたまま、すなわち、熱絶縁層2を形成する多孔質シリコン層の物性を均一にしたまま、発熱体3の外周部から半導体基板1へ放熱される熱量をあまり増大させることなく、圧力波の振幅の低下を抑制することができる。
次に、第1実施形態における圧力波発生装置の製造方法について、図4〜図6を参照しつつ説明する。図4(a)に示すように、p形シリコン基板の半導体基板1の厚さ方向の他表面(第2面)1bに、陽極酸化時に用いられる平面形状が矩形状の通電用電極4を形成する。図5に示すように、通電用電極4の中心は、半導体基板1の第1面1aに平行な面内において、矩形状の発熱体3が形成される予定の領域(発熱体形成領域)3aの中心とほぼ一致している。また、通電用電極4の各辺の長さは、発熱体形成領域3aの対応する各辺の長さよりも所定の縮小寸法分だけ短くなるように設定されている。
通電用電極4の形成工程においては、例えば導電性層を半導体基板1の第2面1b上にスパッタ法や蒸着法などによって成膜し、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を利用して、導電性層のうち通電用電極4に用いられる部分以外の不要部分を除去すればよい。なお、第1実施形態では、発熱体形成領域3aの長辺を12mm、短辺を10mmとし、上記縮小寸法を1mmに設定されている。すなわち、通電用電極4は発熱体形成領域3aよりも小さく、長辺を11mm、短辺を9mmに設定されている。なお、これらの数値は特に限定されない。
通電用電極4の形成後、通電用電極4に通電用のリード線(図示せず)の一端を取り付け、通電用電極4とリード線の一端部の取り付け部位を、陽極酸化処理に用いる電解液に触れないように耐フッ酸性を有するシール材により被覆する。その後、図6に示すような陽極酸化処理装置を用いて陽極酸化処理を行うことにより、図4(b)に示すような多孔質シリコン層からなる熱絶縁層2が半導体基板1上に形成される。その後、半導体基板1の第1面1aの発熱体形成領域3aに発熱体形成工程を行うことにより、図4(c)に示すような発熱体3を有する構造が得られる。
第1実施形態の圧力波発生装置の製造方法では、上記のように、陽極酸化処理によって熱絶縁層2が形成される。陽極酸化処理にあたっては、図6に示すように、半導体基板1を主構成とする被処理物24を処理槽22中の電解液23に浸漬する。次に、電解液23中において、白金電極21を半導体基板1の第1面1aに対向するように配置する。さらに、通電用電極4に取り付けられたリード線を電流源20のプラス側に、白金電極21を電流源20のマイナス側にそれぞれ接続する。そして、通電用電極4を陽極、白金電極21を陰極として、電流源20から通電用電極4と白金電極21との間に所定の電流密度(例えば、20mA/cm)の電流を所定の通電時間(例えば、8分)だけ流す。
このような陽極酸化処理により、半導体基板1の第1面1a側に、外周部を除いて厚さがほぼ一定(例えば、10μm)な熱絶縁層2が形成される。その後、処理槽22から被処理物24を取り出し、被処理物24の上記シール材を剥がし、通電用電極4に接続していたリード線を外す。
なお、陽極酸化処理時の条件は特に限定されず、電流密度は、例えば、1〜500mA/cm程度の範囲内で適宜設定すればよい。また、上記所定の通電時間も、熱絶縁層2の厚さに応じて適宜設定すればよい。
また、陽極酸化処理に用いる電解液としては、例えば、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを1:1で混合した混合液を用いる。また、シール材としては、例えば、テフロン(登録商標)のようなフッ素樹脂からなるシール材を用いることができる。
発熱体3の形成にあたっては、半導体基板1の第1面1a上に発熱体3用の金属薄膜(例えば、Al薄膜など)をスパッタ法などによって形成する。その後、金属薄膜上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術により発熱体3形成用にパターニングされたレジスト層(図示せず)を形成する。そして、レジスト層をマスクとして、金属薄膜の不要部分をドライエッチング工程により除去することにより、発熱体3が形成される。最後に、レジスト層を除去することにより、図4(c)に示す構造が得られる。
一般的に、上記のように通電用電極4の大きさを形成すべき熱絶縁層2の大きさよりも若干小さくし、かつ、白金電極21の大きさを熱絶縁層2の大きさよりも大きくすると、形成されるべき熱絶縁層2の外周部で電界の向きが斜めになり、かつ、外側ほど電界強度が弱くなる。そのため、このような条件で陽極酸化処理を行えば、半導体基板1の第1面1a側に形成される酸化膜、すなわち熱絶縁層2の外周部に流れる電流が少なくなり、膜厚が外側ほど薄く形成される。従って、半導体基板1の第1面1a側に形成された熱絶縁層2の外周部には、図1(b)などに示すように、外側ほど厚さが徐々に小さくなるように傾斜部2aが形成される。ここで、発熱体を傾斜部2aに合わせて形成すれば、従来の圧力波発生装置に比べて、発熱体3にかかる熱応力を低減することができ、熱応力に起因した発熱体3の破損が生じにくくなる。
なお、熱絶縁層2の断面形状を走査型電子顕微鏡により観察した結果、図2を参照して、熱絶縁層2の外周部では、半導体基板1の第1面1aを含む第1基準平面からの深さが深くなるにつれて、発熱体3の端面(外周)3eを含む第2基準平面からの幅方向の距離dが長くなるように、熱絶縁層2と半導体基板1の境界が傾斜していることがわかった。具体的には、第1基準平面からの深さが10μmの位置では、発熱体3の第2基準平面からの距離が略0.5mmとなっていることが確認された。
また、上記のように、通電用電極4を発熱体形成領域3aよりも小さくすることにより、熱絶縁層2の傾斜部2aの外周を発熱体3の外周とほぼ一致させ、又は発熱体3の外周よりも内側に位置させることができる。具体的には、上記のように通電用電極4の各辺の長さを発熱体形成領域3aの各辺よりも1mmだけ短くした場合(上記縮小寸法を1mmとした場合)には、熱絶縁層2の傾斜部2aの外周が発熱体3の外周とほぼ一致する。一方、通電用電極4の各辺の長さを発熱体形成領域3aの各辺よりも2mmだけ短くした場合(上記縮小寸法を2mmとした場合)には、熱絶縁層2は発熱体3の外周よりも内側に形成される。
後者の場合、発熱体3への熱絶縁層2の投影領域が発熱体3の外周よりも内側に収まるので、発熱体3の外周部が半導体基板1の第1面1aに直接的に接する。このように熱絶縁層2の外周が発熱体3の外周よりも内側に形成される場合、図8に示すように、熱絶縁層2の外周部の厚さを中央部の厚さ(上記基準厚さ)とほぼ同じになるように形成してもよい。
その場合も、半導体基板1の材料である単結晶シリコンの熱伝導率及び体積熱容量がそれぞれ上述のαout、Coutとなり、熱絶縁層2の材料である多孔質シリコンの熱伝導率及び体積熱容量がそれぞれ上述のαin、Cinとなるので、熱伝導率と熱容量との積の大小関係は、αin×Cin<αout×Coutの条件を満たすこととなる。また、上記基準厚さの範囲内でαin×Cinの値が変化する領域の境界を発熱体3の外周よりも内側に位置させているので、発熱体3の外周部における温度勾配をより緩やかにすることができ、従来の圧力波発生装置に比べて発熱体3にかかる熱応力をより低減することができる。
また、図16に示すように、半導体基板1の第2面1bの全面に通電用電極4を形成しても、上記と同様に熱絶縁層2を形成することができる。その場合、陽極酸化処理により熱絶縁層2を形成する際に、半導体基板1の第1面1a上にマスク層5を設けて熱絶縁層2が形成される領域を規定すればよい。
また、第1実施形態では、半導体基板1として単結晶のp形シリコン基板を採用しているが、半導体基板1は単結晶のp形シリコン基板に限らず、多結晶あるいはアモルファスのp形シリコン基板でもよい。また、半導体基板1は、p形基板に限られず、n形基板やノンドープ基板であってもよい。そして、半導体基板1の種類に応じて、陽極酸化処理の条件を適宜変更すればよい。従って、熱絶縁層2を構成する多孔体も、多孔質シリコン層に限られず、例えば、多結晶シリコンを陽極酸化することにより形成した多孔質多結晶シリコン層や、シリコン以外の半導体材料からなる多孔質半導体層であってもよい。また、発熱体3の材料もAlに限定されるものではなく、Alに比べて耐熱性の高い金属材料(例えば、W,Mo,Pt,Irなど)を用いてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の圧力波発生装置の基本構成は、上記第1実施形態と同じであり、半導体基板1として単結晶のn形シリコン基板を採用している点のみが相違する。従って、圧力波発生装置の構造についての図示及び説明を省略し、製造方法についてのみ図9を参照しつつ説明する。
図9(a)に示すように、n形シリコン基板からなる半導体基板1の厚さ方向の第2面1bの全面に、陽極酸化時に用いられる通電用電極4を形成する。なお、通電用電極4として、導電性層を半導体基板1の第2面1b上に例えばスパッタ法や蒸着法などによって成膜すればよい。
通電用電極4の形成後、通電用電極4に通電用のリード線(図示せず)の一端を取り付け、通電用電極4とリード線の一端部の取り付け部位を、陽極酸化処理に用いる電解液に触れないように耐フッ酸性を有するシール材により被覆する。その後、図10(a)に示すような陽極酸化処理装置を用いて陽極酸化処理を行うことにより、図9(b)に示すような多孔質シリコン層からなる熱絶縁層2が半導体基板1上に形成される。その後、半導体基板1の第1面1aの発熱体形成領域3aに発熱体形成工程を行うことにより、図9(c)に示すような発熱体3を有する構造が得られる。
第2実施形態の圧力波発生装置の製造方法でも、上記のように、陽極酸化処理によって熱絶縁層2が形成される。陽極酸化処理にあたっては、図10(a)に示すように、半導体基板1を主構成とする被処理物24を処理槽22中の電解液23に浸漬する。次に、電解液23中において、電解液23に耐性を有する材料で形成された光遮蔽板30を半導体基板1の第1面1aに対向するように配置し、さらに、光遮蔽板30及び半導体基板1の第1面1aに対向するように、白金電極21を配置する。さらに、通電用電極4に取り付けられたリード線を電流源20のプラス側に、白金電極21を電流源20のマイナス側にそれぞれ接続する。そして、半導体基板1の第1面1aに対して、図示しない光源(例えば、タングステンランプなど)により光照射を行いながら、通電用電極4を陽極、白金電極21を陰極として、電流源20から通電用電極4と白金電極21との間に所定の電流密度(例えば、20mA/cm)の電流を所定の通電時間(例えば、8分)だけ流す。
このような陽極酸化処理により、半導体基板1の第1面1a側に、外周部を除いて厚さがほぼ一定(例えば、10μm)な熱絶縁層2が形成される。その後、処理槽22から被処理物24を取り出し、被処理物24の上記シール材を剥がし、通電用電極4に接続していたリード線を外す。
なお、陽極酸化処理時の条件は特に限定されず、電流密度は、例えば、1〜500mA/cm程度の範囲内で適宜設定すればよい。また、上記所定の通電時間も、熱絶縁層2の厚さに応じて適宜設定すればよい。
また、陽極酸化処理に用いる電解液としては、例えば、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを1:1で混合した混合液を用いる。また、シール材としては、例えば、テフロン(登録商標)のようなフッ素樹脂からなるシール材を用いることができる。
光遮蔽板30は、電解液23に対して耐性を有する材料(例えば、シリコンなど)により図10(b)に示すような平面形状に形成されている。具体的には、光遮蔽板30の半導体基板1における熱絶縁層2が形成される予定の領域(熱絶縁層形成領域)の中央部に対応する部位32の開口率を100%、熱絶縁層2の外側に対応する部位31の開口率を0%とし、熱絶縁層2の外周部に対向する部位33の開口率を内側から外側に向かって小さくなるように変化させている。
発熱体3を形成する工程は、上記第1実施形態の場合と同様であり、半導体基板1の第1面1a上に発熱体3用の金属薄膜(例えば、Al薄膜など)をスパッタ法などによって形成する。その後、金属薄膜上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術により発熱体3形成用にパターニングされたレジスト層(図示せず)を形成する。そして、レジスト層をマスクとして、金属薄膜の不要部分をドライエッチング工程により除去することにより、発熱体3が形成される。最後に、レジスト層を除去することにより、図9(c)に示す構造が得られる。
第2実施形態の圧力波発生装置の製造方法によれば、熱絶縁層2の形成工程において、光遮蔽板30を用いて、半導体基板1の第1面1a上の熱絶縁層形成領域の外周部に照射される光の強度を、中央部に照射される光の強度よりも小さく、かつ外側ほど弱くなるように光を照射しながら陽極酸化処理を行う。そのため、半導体基板1の第1面1a上の熱絶縁層形成領域の外周部における多孔質化の速度が中央部における多孔質化の速度に比べて遅くなるので、図1(b)などに示すように、半導体基板1の第1面1a側に形成された熱絶縁層2の外周部には、外側ほど厚さが徐々に小さくなるように傾斜部2aが形成される。その結果、従来の圧力波発生装置に比べて、発熱体3にかかる熱応力を低減することができ、熱応力に起因した発熱体3の破損が生じにくくなる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態の圧力波発生装置の基本構成は上記第1実施形態とほぼ同じであるが、図11に示すように、熱絶縁層2の外周部の厚さを中央部の厚さ(上記基準厚さ)と同じに設定し、熱絶縁層2を構成する多孔質シリコン層の多孔度が中央部から周部に向かって徐々に高くなるように構成されている点が相違する。なお、第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
第3実施形態の圧力波発生装置では、熱絶縁層2の外周と発熱体3の外周とがほぼ一致し(すなわち、上記基準厚さ範囲内でαin×Cinの値が変化する領域の境界が発熱体3の外周と一致し)、かつ、熱絶縁層2の厚さを中央部と外周部とでほぼ同じに設定しながら、熱絶縁層2の外周部における平均熱伝導率と平均熱容量との積を中央部における平均熱伝導率と平均体積熱容量との積よりも大きくしている。すなわち、熱絶縁層2の物性値を不均一にして、熱絶縁層2の外周部における単位体積あたりの多孔度が中央部における単位体積あたりの多孔度よりも小さくなるようにしている。
第3実施形態の圧力波発生装置においても、発熱体3の外周部から半導体基板1の厚さ方向に沿って放熱される熱量を増加させることができ、発熱体3にかかる熱応力を低減することができる。その一方で、発熱体3の外周部から半導体基板1へ放熱される熱量の増大させることなく、圧力波の振幅の低下を抑制することができる。
次に、第3実施形態の圧力波発生装置の製造方法について図12及び図13を参照しつつ説明する。まず、p形シリコン基板の半導体基板1の第1面1a上の熱絶縁層2を形成する予定の領域(熱絶縁層形成領域)に、図12(a)に示すような所定厚さ(例えば、2μm)の不純物ドーピング領域11を、イオン注入法や熱拡散法などを利用したドーピング処理により形成する。不純物ドーピング領域11は、その外周部の比抵抗が中央部の比抵抗に比べて小さくなる(第3実施形態では、中央部から外周部に向かって比抵抗が小さくなる)不純物濃度分布を有するように形成されている。
発熱体3の平面サイズにおける長辺は12mm、短辺は10mmに設定され、不純物ドーピング領域11の中心部の比抵抗は略30Ω・cm、外周部の比抵抗はほぼ2Ω・cmに設定されている。また、中心部と外周部との間で、比抵抗が徐々に変化するようにドーピングされている。なお、これらの数値は一例であって特に限定されるものではない。
次に、半導体基板1の第1面1aの全面に、陽極酸化時のマスク形成用のシリコン窒化膜をプラズマCVD法などにより成膜し、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を利用してシリコン窒化膜のうち熱絶縁層形成領域に重なる部分を開孔する。その結果、図12(b)に示すように、半導体基板1の第1面1a上に、残りのシリコン窒化膜からなるマスク層5が形成される。
次に、図12(c)に示すように、p形シリコン基板の半導体基板1の第2面1bの全面に、陽極酸化時に用いる通電用電極4を形成する。なお、通電用電極4として、導電性層を半導体基板1の第2面1b上に、例えばスパッタ法や蒸着法などによって成膜すればよい。
通電用電極4の形成後、通電用電極4に通電用のリード線(図示せず)の一端を取り付け、通電用電極4とリード線の一端部の取り付け部位を、陽極酸化処理に用いる電解液に触れないように耐フッ酸性を有するシール材により被覆する。その後、図6に示すような陽極酸化処理装置を用いて陽極酸化処理を行うことにより、中央部と外周部の多孔度が異なる多孔質シリコン層の熱絶縁層2が形成される。続いて、マスク層5を除去することにより、図12(d)に示す構造が得られる。その後、半導体基板1の第1面1aの発熱体形成領域3aに発熱体形成工程を行うことにより、図12(e)に示すような発熱体3を有する構造が得られる。
なお、図6に示すような陽極酸化処理装置を用いた陽極酸化処理は、基本的に第1実施形態の場合と同様である。通電用電極4を陽極、白金電極21を陰極として、電流源20から通電用電極4と白金電極21の間に所定の電流密度(例えば、20mA/cm)の電流を所定時間(例えば、2分)だけ流すことにより、半導体基板1の第1面1a側に、所定厚さ(例えば、2.5μm)の熱絶縁層2が形成される。熱絶縁層2の中心部の多孔度は略60%で、外周部の多孔度は略0%となる。
なお、陽極酸化処理時の条件は特に限定されず、電流密度は、例えば、1〜500mA/cm程度の範囲内で適宜設定すればよい。また、上記所定の通電時間も、熱絶縁層2の厚さに応じて適宜設定すればよい。
また、陽極酸化処理に用いる電解液としては、例えば、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを1:1で混合した混合液を用いる。また、シール材としては、例えば、テフロン(登録商標)のようなフッ素樹脂からなるシール材を用いることができる。
発熱体3を形成する工程は、上記第1実施形態の場合と同様であり、半導体基板1の第1面1a上に発熱体3用の金属薄膜(例えば、Al薄膜など)をスパッタ法などによって形成する。その後、金属薄膜上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術により発熱体3形成用にパターニングされたレジスト層(図示せず)を形成する。そして、レジスト層をマスクとして、金属薄膜の不要部分をドライエッチング工程により除去することにより、発熱体3が形成される。最後に、レジスト層を除去することにより、図12(e)に示す構造が得られる。
第3実施形態の圧力波発生装置の製造方法によれば、半導体基板1に形成される熱絶縁層2の厚さをほぼ均一にしつつ、熱絶縁層2の幅方向の中央部の多孔度よりも外周部の多孔度を低くすることができる。すなわち、熱絶縁層2の外周部における平均熱伝導と平均体積熱容量との積は、中央部における平均熱伝導率と平均体積熱容量との積よりも大きくなるので、従来の圧力波発生装置に比べて、発熱体3にかかる熱応力を低減することができ、熱応力に起因した発熱体の破損が生じにくくなる。
また、幅方向において、熱絶縁層2の外周部と半導体基板1の熱絶縁層2よりも外側部分との境界で、互いの熱膨張係数が一致するように熱絶縁層2を形成すれば、熱膨張係数の不連続箇所がなくなる。要するに、αin×Cinの値が変化する領域において、熱絶縁層2を形成する材料自体の熱伝導率と熱容量との少なくとも一方を外側に向かって大きくなるように変化させ、αin×Cin=αout×Coutとなる部分で材料組成が一致するようにすれば、αin×Cin=αout×Coutとなる部分での熱膨張係数の不連続箇所がなくなる。その結果、熱絶縁層2の外周部と半導体基板1との熱膨張係数差に起因した応力により熱絶縁層2にクラックの発生が生じにくくなる。
なお、図13に示すように、通電用電極4の平面形状を半導体基板1の第1面1aにおける発熱体形成領域3aと整合する形状に形成しておけば、半導体基板1の第1面1a上にマスク層5を設けることなく、不純物ドーピング領域11のみを多孔質化して多孔質シリコン層からなる熱絶縁層2を形成することができる。
(a)は本発明の第1実施形態に係る圧力波発生装置の構成を示す平面図、(b)は(a)におけるA−A断面図、(c)は熱絶縁層の表面と半導体基板の第1面を含む平面の温度分布を有限要素法によりシミュレーションする際の基準点を示す説明図。 第1実施形態に係る圧力波発生装置の構成を概念的に示す図。 (a)は圧力波発生装置に印加される交流電圧の波形を示す波形図、(b)は発熱体の温度変化を示す波形図、(c)は圧力波発生装置により発生される圧力波(音波)の波形を示す波形図。 (a)〜(c)は第1実施形態に係る圧力波発生装置の製造方法を示す工程図。 第1実施形態に係る圧力波発生装置の製造方法の他の工程を示す工程図。 第1実施形態に係る圧力波発生装置の製造方法に用いられる陽極酸化処理装置を示す図。 第1実施形態に係る圧力波発生装置及び従来の圧力波発生装置の温度分布特性を示すグラフ。 第1実施形態に係る圧力波発生装置の別他の構成例を示す断面図。 (a)〜(c)は本発明の第2実施形態に係る圧力波発生装置の製造方法を示す工程図。 第2実施形態に係る圧力波発生装置の製造方法に用いられる陽極酸化処理装置を示す図。 本発明の第3実施形態に係る圧力波発生装置の構成を示す断面図。 (a)〜(e)は第3実施形態に係る圧力波発生装置の製造方法を示す工程図。 第3実施形態に係る圧力波発生装置の製造方法の他の工程を示す工程図。 従来の圧力波発生装置の構成及び動作を示す断面図。 (a)は従来の圧力波発生装置の構成を示す平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は熱絶縁層の表面と半導体基板の第1面を含む平面の温度分布を有限要素法によりシミュレーションする際の基準点を示す説明図。 (a)は従来の圧力波発生装置の製造方法の一工程を示す平面図、(b)は(a)のA−A断面図。
符号の説明
1 半導体基板
1a 半導体基板の第1面(一表面)
1b 半導体基板の第2面(他表面)
2 熱絶縁層
2a 傾斜部
3 発熱体
3a 発熱体形成領域
3e 発熱体の外周又は端面

Claims (4)

  1. 基板と、基板の厚さ方向の一表面に形成された多孔体の熱絶縁層と、熱絶縁層上に形成された薄膜の発熱体とを備え、発熱体への電気入力の波形に応じて発熱体の温度が変化し、発熱体と媒体との間の熱交換により圧力波を発生させる圧力波発生装置であって、
    基板の厚さ方向の一表面から基板の内側に向けて熱絶縁層の幅方向の中央部の基準厚さで規定した幅方向の範囲内において、発熱体の外周よりも内側部分の厚さ方向の平均熱伝導率をαin、平均体積熱容量をCinとし、発熱体の外周よりも外側部分の厚さ方向の平均熱伝導率をαout、平均体積熱容量をCoutとして、
    αin×Cin<αout×Cout
    の条件を満足し、かつ、前記内側部分と前記外側部分との境界付近ではαin×Cinの値が外側ほど大きくなっていることを特徴とする圧力波発生装置。
  2. αin×Cinの値が変化する領域の境界を、発熱体の外周と略一致させ、又は発熱体の外周よりも内側に位置させていることを特徴とする請求項1に記載の圧力波発生装置。
  3. αin×Cinの値が変化する領域において、熱絶縁層を形成する材料自体の熱伝導率と熱容量との少なくとも一方を外側に向かって大きくなるように連続的に変化させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧力波発生装置。
  4. αin×Cin=αout×Coutとなる熱絶縁層と基板の境界において、材料組成がほぼ一致することを特徴とする請求項3に記載の圧力波発生装置。
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