JP4502434B2 - スチレン系共重合体組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゲル(フラッシュアイ)が少なく、かつ物性バランスに優れたシート及びフィルム用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビニル芳香族炭化水素含有量が比較的高い、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体は、優れた透明性、耐衝撃性等の特性を利用して射出成形用途、シート、フィルム等の押し出し成形用途等に使用されている。とりわけ該ブロック共重合体とビニル芳香族炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体共重合体とからなるシート、フィルム用組成物は、透明性、機械特性及び収縮性に優れることから、いくつかの更なる改良提案がなされている。例えば特開昭59−221348号公報には機械特性、光学特性、延伸特性及び耐クラック特性等に優れる組成物を得るため、脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体含有量が5〜80重量%で、ビカット軟化点が90℃を超えないビニル芳香族炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体共重合体とビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロックからなる共重合体との組成物が、特開昭61−25819号公報には低温収縮性、光学特性、耐クラック特性、寸法安定性等に優れる収縮フィルムを得るため、ビニル芳香族炭化水素含有量が95〜20重量%で、ビカット軟化点が90℃を超えないビニル芳香族炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体共重合体とビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロックからなる共重合体との組成物を延伸した低温収縮性フィルムが、特開平5−104630号公報にはフィルムの経時安定性と耐衝撃性に優れた透明性熱収縮性フィルムを得るため、ビカット軟化点が105℃を超えないビニル芳香族炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体共重合体とビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロックからなる共重合体との組成物からなり、特定の熱収縮力を有することを特徴とする熱収縮性硬質フィルムが、特開平6−220278号公報には透明性、剛性及び低温面衝撃性をバランスさせた組成物を得るため、特定構造と分子量分布を有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロックからなる共重合体とビニル芳香族炭化水素−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂との組成物が、特開平7−216187号公報には透明性と耐衝撃性に優れた樹脂組成物を得るため、特定構造のビニル芳香族炭化水素ブロックとビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体ブロックを有するブロック共重合体とビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体を含有する透明高強度樹脂組成物が夫々記載されている。しかしながら、これらのビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体とビニル芳香族炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体共重合体とからなる組成物は、比較的薄いシート及びフィルム成形品とした時の成形品中のゲルレベル(フィッシュアイ)と物性バランスが十分ではなく、これらの文献にはそれらを改良する方法に関して開示されておらず、依然として市場でその問題点が指摘されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、シート、フィルムにおいて、ゲル(フィッシュアイ)が少なく、かつ物性バランスに優れたスチレン系共重合体組成物を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、30℃の貯蔵弾性率とその50%となる温度、及び180〜240℃における粘度が所定範囲内である特定のスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体と、特定のポリマー構造を有するビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体との組成物、更にはそれに特定の安定剤を組み合わせることによって、優れた物性バランスを維持しながら、フィッシュアイ(以後FEと記す)を大幅に低減することが可能となった。
【0005】
即ち、
(1)(I)スチレン含有量が83〜89重量%、アクリル酸n−ブチル含有量が11〜17重量%からなるスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体であって、30℃における貯蔵弾性率が1.5×10 9 〜2.5×10 9 Paの範囲で、30℃における貯蔵弾性率の50%となる温度が75〜85℃の範囲である該スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、(II)少なくとも2つのビニル芳香族炭化水素重合体ブロックと少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックと少なくとも1つの共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロックを有するブロック共重合体、または少なくとも2つのビニル芳香族炭化水素重合体ブロックと少なくとも1つの共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロックを有するブロック共重合体で、該ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量が65重量%〜85重量%、共役ジエン含有量が35重量%〜15重量%で、該ブロック共重合体を構成するビニル芳香族炭化水素全量に対するビニル芳香族炭化水素単位数が1〜3の範囲の短連鎖ビニル芳香族炭化水素重合部分の含有量が1〜25重量%、該ブロック共重合体の少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの含有量が25〜40重量%、該ブロック共重合体の少なくとも2つのビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの重量比が1.2〜4.5であるブロック共重合体からなり、(I)と(II)の重量比が10/90〜90/10であるスチレン系共重合体組成物、
【0006】
(2) 安定剤として2−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−t−アミルフェニルアクリレートを、(I)と(II)の合計100重量部に対して0.05〜3重量部添加してなる(1)記載のスチレン系共重合体組成物に関する。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用するスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(I)の製造方法は、スチレン系樹脂製造の公知の方法、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等を用いることができる。
本発明に使用するスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(I)中のスチレン含有量は80〜89重量%、好ましくは83〜89重量%である。スチレン含有量が80重量%未満では耐熱性が低下しシート、フィルムとした際、低温で融着するため好ましくない。一方89重量%を超えると、組成物の透明性が低下するため好ましくない。
【0008】
スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(I)の30℃における貯蔵弾性率は1.5×109 〜2.5×109 Pa、好ましくは1.7×109 〜2.3×109 Paの範囲である。1.5×109 Pa未満では剛性が低下し、逆に2.5×109 Paを超えると成型品の伸びが低下するため好ましくない。また貯蔵弾性率が30℃における貯蔵弾性率の50%となる温度は、75〜100℃、好ましくは75〜85℃の範囲である。75℃未満ではシート、フィルムとした際、低温で融着しやすくなるため好ましくない。100℃を超えると、熱収縮性フィルムとして使用する際に低温収縮性が劣るため好ましくない。
【0009】
なおスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(I)の貯蔵弾性率は、DMA983(DUPONT社製)で、共鳴周波数、昇温速度2℃/minで測定した値である。
本発明に使用するスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(I)の180〜240℃における粘度は、式(1)の値以下、式(2)の値以上の範囲内である。粘度が式(1)の値を超える場合には、シート、フィルム中の比較的小さなFEが多くなり好ましくない。また粘度が式(2)の値未満の場合には比較的大きなFEが発生するため好ましくない。
【0010】
なおスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(I)の粘度は、キャピログラフ(東洋精機(株)社製)を用い、シェアレート(SR)が61sec-1で測定した値である。キャピログラフの測定条件は、キャピラリー長さ(L)が10.0mm、キャピラリー径(D)が1.00mm、バレル径(B)が9.50mmで、180〜240℃の温度範囲で測定するものである。
本発明に使用するスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(I)の30℃の貯蔵弾性率、その50%となる温度及び180〜240℃の粘度は、スチレンとアクリル酸n−ブチルの含有量、スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体の分子量調整剤量、重合器中での滞留時間及び重合温度等を調整することでコントロールすることができる。
【0011】
また、スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(I)の好ましいメルトフローレート(以後MFRと記す)[JISK−6870に準拠し、G条件(温度200℃、荷重5Kg)で測定]は、成形加工の点から0.1〜20g/10min、好ましくは1〜10g/10minである。
本発明に使用するブロック共重合体(II)は、有機溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤としてビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンを重合することにより得るものである。
【0012】
ブロック共重合体(II)に用いられるビニル芳香族炭化水素としてはスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレンなどがあるが、特に一般的なものとしてはスチレンが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。共役ジエンとしては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
【0013】
ブロック共重合体(II)のビニル芳香族炭化水素含有量は65〜85重量%、好ましくは70〜80重量%、共役ジエン含有量は35〜15重量%、好ましくは30〜20重量%である。ビニル芳香族炭化水素含有量が65重量%未満、共役ジエン含有量が35重量%を超えるとシート、フィルム中のFEが多くなり、逆にビニル芳香族炭化水素含有量が85重量%を超え、共役ジエン含有量が15重量%未満では、シートの伸びが低下するため好ましくない。
ブロック共重合体(II)を構成するビニル芳香族炭化水素全量に対するビニル芳香族炭化水素単位数が1〜3の範囲の短連鎖ビニル芳香族炭化水素重合部分の含有量は1〜25重量%である。短連鎖ビニル炭化水素重合部分の含有量が1重量%未満ではシートの伸びが低下するため好ましくない。一方25重量%を超えるとシート、フィルムの加熱時の変形が大きくなり、寸法安定性に劣るため好ましくない。
【0014】
短連鎖ビニル芳香族炭化水素の含有量は、ブロック共重合体をジクロロメタンに溶解し、オゾン(O3 )にて酸化分解した後、得られたオゾニドをジエチルエーテル中で水素化アルミニウムリチウムにて還元、純水にて加水分解を行うことにより得られたビニル芳香族炭化水素成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行い、得られたピークの面積比を算出することにより定量できる。
【0015】
短連鎖ビニル芳香族炭化水素部分の含有量は、ブロック共重合体の製造時におけるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンが共重合する過程でのビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの重量、重量比、重合反応性比等を変えることによりコントロールすることができる。具体的な方法としては、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの混合物を連続的に重合系に供給して重合する、及び/又は極性化合物あるいはランダム化剤を使用してビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを共重合する等の方法が採用できる。極性化合物やランダム化剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
【0016】
本発明のブロック共重合体(II)の少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの含有量は20〜50重量%、好ましくは25〜40重量%である。全てのビニル芳香族炭化水素重合体ブロックが20重量%未満の場合、フィルムとした際に低温で融着しやすくなるため好ましくない。20重量%未満のブロックと50重量%を超えるブロックしか存在しない場合は透明性が低下するため好ましくない。なお、上記「本発明のブロック共重合体(II)の少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの含有量は20〜50重量%」とは、該ブロック共重合体に対する、該ブロック共重合体を構成する1以上のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの夫々の重量比(%)の内、その少なくとも1つ以上が20〜50重量%であることを意味するものである。
【0017】
ブロック共重合体(II)の少なくとも2つのビニル芳香族炭化水素ブロックの重量比は1.2〜4.5、好ましくは1.5〜4.0である。重量比が1.2未満では耐衝撃性が低下するため好ましくない。一方4.5を超えるとシートの透明性が低下するため好ましくない。
ブロック共重合体(II)は少なくとも2つのビニル芳香族炭化水素重合体ブロックと少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックと共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロック又は少なくとも2つのビニル芳香族炭化水素重合体ブロックと少なくとも1つの共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロックを有するブロック共重合体で、例えば下記の一般式のものが挙げられる。
【0018】
(イ)A−(B−A)n (ロ)A−(B−A)n −B
(ハ)B−(A−B)n+1
で表される線状ブロック共重合体、或いは一般式
(ニ)[(A−B)k ]m+2 −X (ホ)[(A−B)k −A]m+2 −X
(ヘ)[(B−A)k ]m+2 −X (ト)[(B−A)k −B]m+2 −X
で表されるラジアルブロック共重合体(上式において、Aはビニル芳香族炭化水素重合体重合体ブロックを示す。Bは共役ジエン重合体ブロック、または共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロック、あるいは共役ジエン重合体と共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体が隣接するブロックを示す。Xはカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。n、k及びmは1以上の整数、一般的には1〜5である。)である。
【0019】
ブロック共重合体(II)の好ましいMFR(G条件で温度200℃、荷重5Kg)は成形加工の点から0.1〜50g/10min、好ましくは1〜20g/10minである。
本発明の組成物において、スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(I)とブロック共重合体(II)の配合比は、重量比率で10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20である。スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(I)が90重量%を超えると組成物の耐衝撃性が低下し、10重量%未満では剛性が低下するため好ましくない。
【0020】
本発明の組成物には安定剤として2−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−t−アミルフェニルアクリレートを(I)と(II)の合計100重量部に対して0.05〜3重量部、更に好ましくは0.1〜2重量部添加することによって、より一層のFE抑制効果を得ることができる。安定剤が0.05重量部未満ではFEを抑制する効果がなく、3重量部を超えて添加しても本発明以上のFE抑制効果に寄与しない。本発明のスチレン系樹脂組成物にはn−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン等のフェノール系安定剤の少なくとも1種を(I)と(II)の合計100重量部に対して0.05〜3重量部、トリス−(ノニルフェニル)フォスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2−〔〔2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル〕オキシ〕−N,N−ビス〔2−〔〔2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル〕オキシ〕−エチル〕−エタンアミン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等の有機ホスフェート系、有機ホスファイト系安定剤の少なくとも1種を(I)と(II)の合計100重量部に対して0.05〜3重量部添加することができる。
【0021】
本発明の組成物は、従来公知のあらゆる配合方法によって製造することができる。例えば、オープンロール、インテンシブミキサー、インターナルミキサー、コニーダー、二軸ローター付の連続混練機、押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶剤に溶解又は分散混合後溶剤を加熱除去する方法等が用いられる。
【0022】
本発明の組成物にはFEを悪化させず、透明性、剛性、耐衝撃性等の物性バランスを損なわない範囲で必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。これらの添加剤には、ビニル芳香族炭化水素含有量が50重量%以下のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体エラストマーやゴム変性スチレン系重合体、非ゴム変性スチレン系重合体、ポリエチレンテレフタレート等の他に、プラスチックの配合に一般的に用いられる添加剤、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ、炭カル、タルク等の無機補強剤、有機繊維、クマロンインデン樹脂等の有機補強剤、有機パーオキサイド、無機パーオキサイド等の架橋剤、チタン白、カーボンブラック、酸化鉄等の顔料、染料、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、その他の増量剤あるいはこれらの混合物があげられる。
【0023】
本発明の組成物はそのままであるいは着色して通常の熱可塑性樹脂と同様の加工手段によって成形し、あらゆる用途に使用できる。例えば、射出成形、吹込成形方法等によるOA機器部品、日用品、食品、雑貨、弱電部品等の容器に使用することができる。特にFEが少ない特徴を生かし、ラミネート用フィルム等の薄いフィルムに好適である。
【0024】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。表1に実施例、比較例に使用したスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体を示した。A−1〜A−4の共重合体は、撹拌器付き10Lオートクレーブに、スチレンとアクリル酸n−ブチルを表1に示す比率で5kg添加し、同時にエチルベンゼン0.3kgと、MFRを調整するため1,1ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンを所定量仕込み、110〜150℃で2〜10時間重合後、ベント押出機で未反応スチレン、アクリル酸n−ブチル、エチルベンゼンを回収して得た。1,1ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン量、重合温度、重合滞留時間及び攪拌数は表1の30℃の貯蔵弾性率、その50%となる温度及び180〜240℃の粘度となるように調整した。得られた共重合体のMFRは、JISK−6870に基づき、G条件で温度200℃、荷重5Kgで測定した。
【0025】
表1に示した共重合体の貯蔵弾性率は、DMA983(DUPONT社製)を用い、周波数は共鳴周波数、昇温速度は2℃/minで、厚さ約3mm、幅約12mmの圧縮成型品をスパン約15mmのアームに取り付け、振幅0.2mmで測定した。また粘度(Poise)の測定条件は、キャピログラフ(東洋精機(株)社製)を用い、シェアー(SR)が61sec-1の値である。キャピログラフの測定条件は、キャピラリー長さ(L)が10.0mm、キャピラリー径(D)が1.00mm、バレル径(B)が9.50mmで、180〜240℃の範囲で10℃毎に測定した。
【0026】
表2に実施例、比較例に使用したブロック共重合体を示した。ブロック共重合体はシクロヘキサン溶媒中でn−ブチルリチウムを開始剤に用い、表2のポリマー構造欄に記載されている順序、量のモノマーを添加して重合した。重合終了後、メタノールを添加して重合反応を停止した後、表3に示した安定剤量を添加し、溶剤を留去してブロック共重合体を回収した。得られたブロック共重合体のMFRは全て5〜10の範囲であった。
【0027】
ブロック共重合体中の短連鎖スチレン重合部分の含有量は、ブロック共重合体のジクロロメタン溶液にオゾン(O3 )濃度1.5%の酸素を150ml/分で通過させて酸化分解し、得られたオゾニドを、水素化アルミニウムリチウムを混合したジエチルエーテル中に滴下して還元した後、純水を滴下して加水分解し、炭酸カリウムを添加し塩析、濾過を行うことにより得られたビニル芳香族炭化水素成分のGPC測定を行い、得られたピークの面積比を算出することにより得た。なおオゾン発生機は日本オゾン(株)製OT−31R−2型を用い、GPC測定は、クロロホルムを溶媒とし、カラムは流れ方向に島津製作所製shimpackHSG−40H、shimpackGPC−802、shimpackGPC−801を用いて測定した。
【0028】
(実施例1〜6及び比較例1〜5)
表3の配合組成に従って、40mmシート押出機を用いて押出温度200℃で厚さ0.25mmのシートを成形し、引張弾性率、破断伸び、Haze、80℃収縮率(低温収縮性の目安)、自然収縮率、及び温水融着性(低温融着性の目安)を下記の方法で測定した。また同条件で厚さ0.6mmのシートを成形し、面衝撃強度を下記の方法で測定した。さらにFEを下記の方法で測定した。得られたシートの性能を表3に示した。
【0029】
(1)引張弾性率及び破断伸び:引張速度5mm/minでシート押出方向およびその直角方向について測定した。試験片は幅を12.7mm、標線間を50mmとした。
(2)面衝撃強度:重錘形状を半径1/2インチとした以外はASTMD−1709に準拠して23℃で測定し、50%破壊値を求めた。
(3)Haze:シート表面に流動パラフィンを塗布し、ASTM D1003に準拠して測定した。
(4)80℃収縮率:厚さ0.25mmのシートをテンター延伸機で押出方向の直角方向に5倍に一軸延伸して得た厚さ約60μmの延伸フィルムを、80℃の温水中に5分間浸漬し、次式により算出した。熱収縮率(%)=(L−L1)/L×100、L:収縮前の長さ、L1:収縮後の長さ。
【0030】
(5)自然収縮率:80℃収縮率が40%の延伸フィルムを35℃で5日間放置し、次式により算出した。自然収縮率(%)=(L2−L3)/L2×100、L2:放置前の長さ、L3:放置後の長さ。
(6)温水融着性:延伸フィルムを直径約8cmのガラス瓶に巻き付け、85℃温水中に3本俵積みで5分間放置し、フィルムの融着状態を目視判定した。判定基準は◎は全く融着していない、○はわずかに融着しているがすぐ離れる、×は融着してすぐには離れない。
(7)FE:40mmシート押出機を用いて押出温度235℃の条件で厚さ0.3mmのシートを6時間連続成形し、運転開始5分後と6時間後のシート面積300cm2 あたりの0.5mm以上のFE個数の差をカウントして評価した(○:差が50個未満、△:差が50〜100個、×:差が100個を超える)。
【0031】
(比較例7)
30℃における貯蔵弾性率が2.3×109 Pa、30℃における貯蔵弾性率が50%となる温度が104℃のスチレン含有量が96重量%のスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体を50重量%と表2のB−1を50重量%の配合組成である以外は実施例1と同様の方法で成形し、配合特性を調べた。その結果、80℃収縮率が15%と極めて低い値であった。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】
本発明のスチレン系共重合体組成物を用いたシート、フィルムは、FEが少なく、透明性、引張弾性率及び破断伸びに優れ、さらに熱収縮性フィルムとしてもFEが少ない上に、低温収縮性が良好である。このようにFEが少ない特長を生かして、薄いシート、フィルム等の押出成型品をラッピングフィルムに、又は発泡容器等へのラミネートフィルム用途及び熱収縮性フィルム用途等に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体の180〜240℃の範囲における粘度の式(1)と式(2)の値を図示した。
Claims (2)
- (I)スチレン含有量が83〜89重量%、アクリル酸n−ブチル含有量が11〜17重量%からなるスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体であって、30℃における貯蔵弾性率が1.5×10 9 〜2.5×10 9 Paの範囲で、30℃における貯蔵弾性率の50%となる温度が75〜85℃の範囲である該スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、(II)少なくとも2つのビニル芳香族炭化水素重合体ブロックと少なくとも1つの共役ジエン重合体ブロックと少なくとも1つの共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロックを有するブロック共重合体、または少なくとも2つのビニル芳香族炭化水素重合体ブロックと少なくとも1つの共役ジエンとビニル芳香族炭化水素共重合体ブロックを有するブロック共重合体で、該ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量が65重量%〜85重量%、共役ジエン含有量が35重量%〜15重量%で、該ブロック共重合体を構成するビニル芳香族炭化水素全量に対するビニル芳香族炭化水素単位数が1〜3の範囲の短連鎖ビニル芳香族炭化水素重合部分の含有量が1〜25重量%、該ブロック共重合体の少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの含有量が25〜40重量%、該ブロック共重合体の少なくとも2つのビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの重量比が1.2〜4.5であるブロック共重合体からなり、(I)と(II)の重量比が10/90〜90/10であるスチレン系共重合体組成物。
- 安定剤として2−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−t−アミルフェニルアクリレートを、(I)と(II)の合計100重量部に対して0.05〜3重量部添加してなる請求項1記載のスチレン系共重合体組成物。
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