JP4500885B2 - デバイスウエハの研磨パッド、研磨体、研磨工具構成体及び研磨方法 - Google Patents

デバイスウエハの研磨パッド、研磨体、研磨工具構成体及び研磨方法 Download PDF

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Description

本発明は、デバイスウエハの導電体層を電気化学的機械的に研磨する研磨パッド、研磨体、研磨工具構成体及び研磨方法に関するものである。
半導体装置(半導体デバイス)は、高集積化、微細化に伴って、配線の積層化が行われている。配線の積層化の方法としては、半導体ウエハの表面に配線をパターン形成し、この上を酸化シリコン等の絶縁物で覆い、次の配線をパターン形成し、これを順次繰り返すプロセスが採用されている。
配線をパターン形成するプロセスは、反応性イオンエッチング等によってプラグ用ホールと配線溝とを酸化シリコン等の絶縁物(以下、層間絶縁膜)に形成し、この上に銅めっきによってプラグ用ホールと配線溝とを銅配線材で同時に埋め込んで導電体層を形成する。その後、導電体層表面の余分な銅を化学的機械的研磨(CMP)によって除去し平坦化して配線を形成するいわゆるダマシン方法が採用されている。
近年、デバイスの低消費電力化及び高速化の目的で、層間絶縁膜に低誘電率材料(いわゆるLow−k材料)の導入が検討されている。この低誘電率材料は、機械的強度や化学的安定性に乏しく、CMPにおける回転数や研磨圧力に依存する摩擦力によって、導電体層が層間絶縁膜から剥離することがあるため、研磨圧力を極端に低下させて研磨する超低圧研磨方法が検討されてきた。
ところが、この超低圧CMPは、研磨レートの低下と研磨レートのウエハ面内均一性の劣化の問題があるため、CMPに代わって、電解研磨方法や電気化学的機械的研磨方法及び研磨パッドが提案されている。
しかし、提案されている電解研磨方法や電気化学的機械的研磨方法(eCMP)及び研磨パッドでは、デバイスウエハ導電体層に直流電力を供給する目的で、直流電源の正極に接続された導電材料をデバイスウエハ導電体層に接触させて通電する必要がある。この場合、導電体層と導電材料との接触に起因して生じる導電体層表面のスクラッチ等のダメージの問題があった。
例えば、アノード電極と複数の電解液収容部の底部に設置されたカソードとを設け、研磨表面にデバイスウエハの導電体層を押圧して、デバイスウエハの導電体層をアノードとし、電解液収容部のカソード電極をカソードとした複数の電解セルにより研磨する研磨パッドが提案されている(例えば特許文献1)。
しかし、このパッドは、アノード電極である導電性材料が研磨パッドの研磨表面に渡って設置されているため、導電体層表面にスクラッチ等のダメージ与える問題を有している。
また、例えば、アノード電極とカソード電極とをそれぞれ絶縁材料を介して研磨パッド内に、研磨表面又は研磨表面近傍に設置した研磨パッドが提案されている(例えば特許文献2)。
しかし、この研磨パッドでも、デバイスウエハの導電体層に直流電力を供給する目的で、直流電源の正極に接続されたアノード電極(導電材料)をデバイスウエハ導電体層に接触させるため、同様のダメージ等の問題を有している。
前述した導電体層にスクラッチ等のダメージを与える問題を解決するために、電解槽(電解セル)の中で、アノード電極とカソード電極と導電体層とをそれぞれ離して設置して直流電力を供給し、導電体層を電解研磨する方法が提案されている(例えば特許文献3)。
この方法では、ひとつの電解槽内でデバイスウエハとアノード電極及びカソード電極とを対向させて、デバイスウエハの導電体層を電解研磨する実施形態が提示されている。この実施形態を特許文献1の電解セルパッドに応用することも可能ではあるが、この場合、アノード電極と導電体層との電気化学反応(導電体層へ直流電力を供給する反応)と、導電体層とカソード電極との電気化学反応(導電体層を電解研磨する反応)とが電解槽で共存する。このため、前者の反応生成物が後者の電解研磨に影響を及して、安定した研磨が行えない等の課題があった。
特開2005−139480号公報 Pub.No.US2004/0214510号公報 特開2003−311538号公報
本発明の課題は、デバイスウエハの配線形成のための導電体層等を、ダメージを与えずに安定して研磨することができる電気化学的機械的研磨のデバイスウエハの研磨パッド、研磨体、研磨工具構成体及び研磨方法を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施例に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
第1の発明は、デバイスウエハ(D)の導電体層(D1)に対して相対移動するテーブル(51)に設置され、合成樹脂により形成された研磨表層(61,261)と、絶縁材(64)により電気的に絶縁されたアノード電極(62,262)及びカソード電極(64,264)とを有し、前記導電体層を電気化学的機械的に研磨する研磨パッドであって、前記研磨表層を貫通して開口し、研磨面側とは反対側の底部又は底部近傍に前記アノード電極が配置され、前記研磨表層の研磨面近傍まで電解液(E)を収容し、その電解液と前記導電体層とを接触させることにより、前記導電体層と前記アノード電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで通電用電解セル(C1)を形成するための少なくとも1つの通電用電解液収容部(F1)と、前記研磨表層と前記絶縁材とを貫通して開口し、研磨面側とは反対側の底部又は底部近傍に前記カソード電極が配置され、前記研磨表層の研磨面近傍まで電解液を収容し、その電解液と前記導電体層とを接触させることにより、前記導電体層と前記カソード電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで研磨用電解セル(C2)を形成するための少なくとも1つの研磨用電解液収容部(F2)とを備えること、を特徴とするデバイスウエハの研磨パッドである。
第2の発明は、第1の発明の非接触パッドにおいて、前記少なくとも1つの通電用電解液収容部(F1)の開口面積の合計が前記少なくとも1つの研磨用電解液収容部(F2)の開口面積の合計よりも小さく、前記通電用電解液収容部の深さが前記研磨用電解液収容部の深さよりも浅いこと、を特徴とするデバイスウエハの研磨パッドである。
第3の発明は、デバイスウエハ(D)の導電体層(D1)に対して相対移動するテーブル(51)に設置され、合成樹脂により形成された研磨表層(61,261)と、絶縁材により電気的に絶縁されたアノード電極(62,262)及びカソード電極(64,264)とで構成され、前記導電体層を電気化学的機械的に研磨する研磨パッドを用いたデバイスウエハの研磨方法であって、前記研磨表層を貫通して開口し、研磨面側とは反対側の底部又は底部近傍に前記アノード電極が配置された少なくとも1つの通電用電解液収容部(F1,F21)に、前記研磨表層の研磨面近傍まで電解液(E)を収容し、その電解液と前記導電体層とを接触させることにより、前記導電体層と前記アノード電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで通電用電解セル(C1,C21)を形成し、前記研磨表層と前記絶縁材とを貫通して開口し、研磨面側とは反対側の底部又は底部近傍に前記カソード電極が配置された少なくとも1つの研磨用電解液収容部(F2,F22)に、前記研磨表層の研磨面近傍まで電解液を収容し、その電解液と前記導電体層とを接触させることにより、前記導電体層と前記カソード電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで研磨用電解セル(C2,C22)を形成し、前記アノード電極と前記カソード電極との間に直流電力を供給し、前記研磨パッドに電解液を供給しながら前記研磨パッドと前記導電体層とを相対移動すること、を特徴とするデバイスウエハの研磨方法である。
第4の発明は、底部又は底部近傍にカソード電極(464)が設置された電解液収容槽(470)に収容された電解液(E)に浸漬された状態で、デバイスウエハ(D)の導電体層(D1)に対して相対移動可能に設置され、合成樹脂により形成された研磨表層(461)とアノード電極(462)とを有し、前記導電体層を電気化学的機械的に研磨する研磨体であって、前記研磨表層を貫通して開口し、研磨面側とは反対側の底部又は底部近傍に前記アノード電極が配置され、前記研磨表層の研磨面近傍まで前記電解液を収容し、その電解液と前記導電体層とを接触させることにより、前記導電体層と前記アノード電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで通電用電解セル(C41)を形成するための少なくとも1つの通電用電解液収容部(F41)と、前記研磨表層を貫通して設けられ、前記研磨表層の研磨面近傍まで前記電解液を収容し、前記導電体層と前記電解液収容槽の前記カソード電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで研磨用電解セル(C42)を形成する少なくとも1つの研磨用電解液収容部(F42)を備えること、を特徴とするデバイスウエハの研磨体である。
第5の発明は、請求項4に記載の研磨体において、(461)とアノード電極(462)とを支持する合成樹脂により形成された支持体を有すること、を特徴とするデバイスウエハの研磨体である。
第6の発明は、底部又は底部近傍にカソード電極(464)が設置された電解液収容槽(470)に収容された電解液(E)に浸漬するように設置され、合成樹脂により形成された研磨表層(461)とアノード電極(462)とを有し、デバイスウエハ(D)の導電体層(D1)を電気化学的機械的に研磨する研磨体(460)を用いたデバイスウエハの研磨方法であって、前記研磨表層を貫通して開口し、研磨面側とは反対側の底部又は底部近傍に前記アノード電極が配置された少なくとも1つの通電用電解液収容部(F41)に、前記研磨表層の研磨面近傍まで前記電解液を収容し、その電解液と前記導電体層とを接触させることにより、前記導電体層と前記アノード電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで通電用電解セル(C41)を形成し、前記研磨表層を貫通して設けられた研磨用電解液収容部(F42)に、前記研磨表層の研磨面近傍まで前記電解液を収容し、前記導電体層と前記電解液収容槽の前記カソード電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで研磨用電解セル(C42)を形成し、前記アノード電極と前記カソード電極との間に直流電力を供給し、前記研磨パッドと前記導電体層とを相対移動すること、を特徴とするデバイスウエハの研磨方法である。
第7の発明は、デバイスウエハ(D)の導電体層(D1)に対して相対移動するテーブル(51)に設置され、合成樹脂により形成された研磨表層(361)とカソード電極(364)とを有し、前記導電体層を電気化学的機械的に研磨する研磨パッド(460)を用いたデバイスウエハの研磨方法であって、前記研磨パッドから離隔して配置され、底部又は底部近傍に前記アノード電極(362)が配置された少なくとも1つの通電用電解液収容部(F31)に通電用電解液(E31)を収容し、その通電用電解液と前記導電体層とを接触させることにより、前記導電体層と前記アノード電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで通電用電解セル(C31)を形成し、前記研磨表層を貫通して開口し、研磨面側とは反対側の底部又は底部近傍に前記カソード電極が配置された少なくとも1つの研磨用電解液収容部(F32)に、前記研磨表層の研磨面近傍まで研磨用電解液(E32)を収容し、その研磨用電解液と前記導電体層とを接触させることにより、前記導電体層と前記カソード電極とがその研磨用電解液を介して電気化学的に結合されることで研磨用電解セル(C32)を形成し、前記アノード電極と前記カソード電極との間に直流電力を供給し、前記研磨パッドに電解液を供給しながら前記研磨パッドと前記導電体層とを相対移動すること、を特徴とするデバイスウエハの研磨方法である。
第8の発明は、導電性を有する被研磨体(D)に対して相対移動するテーブル(51)に設置され、合成樹脂により形成された研磨表層(61,261)と、第1電極(62,262)及び前記第1電極との間を絶縁材により電気的に絶縁された第2電極(64,264)とを有し、前記導電体層を電気化学的機械的に研磨する研磨パッドであって、前記研磨表層を貫通して開口し、研磨面側とは反対側の底部又は底部近傍に前記第1電極が配置され、前記研磨表層の研磨面近傍まで電解液(E)を収容し、その電解液と前記被研磨体導電体層とを接触させることにより、前記被研磨体導電体層と前記第1電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで第1電解セル(C1)を形成するための少なくとも1つの第1開口穴(F1)と、前記研磨表層と前記絶縁材とを貫通して開口し、研磨面側とは反対側の底部又は底部近傍に前記第2電極が配置され、前記研磨表層の研磨面近傍まで電解液を収容し、その電解液と前記被研磨体導電体層とを接触させることにより、前記被研磨体導電体層と前記第2電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで第2電解セル(C2)を形成するための少なくとも1つの第2開口穴(F2)とを備えること、を特徴とするデバイスウエハ研磨用の研磨パッドである。
第9の発明は、導電性を有する被研磨体(D)に対して相対移動するテーブル(51)に設置され、前記被研磨体を電気化学的機械的に研磨する研磨工具構成体であって、被研磨体側に設けられ、複数の貫通孔である研磨表層第1貫通孔と、前記研磨表層第1貫通孔とは異なる複数の貫通孔である研磨表層第2貫通孔とを有し、合成樹脂により形成された研磨表層(61,261)と、前記研磨表層よりもテーブル側に設けられ、前記研磨表層第1貫通孔から形成される有底の第1開口穴(F1)のテーブル側の底部又は底部近傍に、被研磨体側の表面の一部が露出するように配置され、研磨するときに前記研磨表層の表面から突出しない状態を維持するように設けられた第1電極(62,262)と、前記研磨表層よりもテーブル側に設けられ、前記研磨表層第2貫通孔に連通しこの研磨工具構成体の被研磨体側の表面に開口した有底の第2開口穴(F2)のテーブル側の底部又は底部近傍に、被研磨体側の表面の一部が露出するように配置された第2電極(64,264)と、前記第1電極と前記第2電極との間を絶縁する絶縁部(64)とを備えること、を特徴とする研磨工具構成体である。
第10の発明は、導電性を有する被研磨体(D)に対して相対移動するテーブル(51)に設置され、前記被研磨体を電気化学的機械的に研磨する研磨工具構成体であって、被研磨体側に設けられ、複数の貫通孔である研磨表層第1貫通孔と、前記研磨表層第1貫通孔とは異なる複数の貫通孔である研磨表層第2貫通孔とを有し、合成樹脂により形成された研磨表層(761)と、前記研磨表層よりもテーブル側に設けられ、前記研磨表層第1貫通孔から形成される有底の第1開口穴(F71)のテーブル側の底部又は底部近傍に、被研磨体側の表面の一部が露出するように配置され、研磨するときに前記研磨表層の表面から突出しない状態を維持するように設けられた第1電極(762)と、前記研磨表層よりもテーブル側に設けられ、前記研磨表層第2貫通孔から形成される有底の第2開口穴(F2)のテーブル側の底部又は底部近傍に、被研磨体側の表面の一部が露出するように配置され、研磨するときに前記研磨表層の表面から突出しない状態を維持するように設けられた第2電極(764)と、前記第1電極と前記第2電極との間を絶縁する絶縁部(763)とを備えること、を特徴とする研磨工具構成体ある。
第11の発明は、導電性を有する被研磨体(D)に対して相対移動するテーブルに設置され、合成樹脂により形成された研磨表層(561)を載置することで前記被研磨体を電気化学的機械的に研磨する研磨工具構成体であって、被研磨体側に設けられ、被研磨体側の表面が露出するように配置され、前記研磨表層を載置して研磨するときに前記研磨表層の表面から突出しない状態を維持するように設けられた第1電極(562)と、前記第1電極よりもテーブル側に設けられた第2電極(564)と、前記第1電極と前記第2電極との間を絶縁する絶縁部(563)とを備え、前記第1電極は、前記研磨表層が載置されている状態で、前記研磨表層に設けられた複数の貫通孔である研磨表層第1貫通孔から形成される有底の第1開口穴のテーブル側の底部又は底部近傍に、被研磨体側の表面の一部が露出するように配置され、前記第2電極は、前記研磨表層が載置されている状態で、前記研磨表層に設けられた前記研磨表層第1貫通孔とは異なる複数の貫通孔である研磨表層第2貫通孔に連通しこの研磨工具構成体の被研磨体側の表面に開口した有底の第2開口穴のテーブル側の底部又は底部近傍に、被研磨体側の表面の一部が露出するように配置されること、を特徴とする研磨工具構成体である。
第12の発明は、導電性を有する被研磨体に対して相対移動するテーブルに設置され、合成樹脂により形成された研磨表層を載置することで前記被研磨体を電気化学的機械的に研磨する研磨工具構成体であって、被研磨体側に設けられ、被研磨体側の表面が露出するように配置され、前記研磨表層を載置して研磨するときに前記研磨表層の表面から突出しない状態を維持するように設けられた第1電極及び前記第1電極とは異なる第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間を絶縁する絶縁部とを備え、前記第1電極は、前記研磨表層が載置されている状態で、前記研磨表層に設けられた複数の貫通孔である研磨表層第1貫通孔から形成される有底の第1開口穴のテーブル側の底部又は底部近傍に、被研磨体側の表面の一部が露出するように配置され、前記第2電極は、前記研磨表層が載置されている状態で、前記研磨表層に設けられた複数の貫通孔である研磨表層第2貫通孔から形成される有底の第2開口穴のテーブル側の底部又は底部近傍に、被研磨体側の表面の一部が露出するように配置されること、を特徴とする研磨工具構成体である。
第13の発明は、導電性を有する被研磨体に対して相対移動する導電性を有するテーブル(51)に設置され、合成樹脂により形成された研磨表層(661)を載置することで前記被研磨体を電気化学的機械的に研磨する研磨工具構成体であって、被研磨体側に設けられ、被研磨体側の表面が露出するように配置され、前記研磨表層を載置して研磨するときに前記研磨表層の表面から突出しない状態を維持するように設けられた第1電極(662)と、前記第1電極と設置された前記テーブルとの間を絶縁する絶縁部(663)とを備え、前記第1電極は、前記研磨表層が載置されている状態で、前記研磨表層に設けられた複数の貫通孔である研磨表層第1貫通孔から形成される有底の第1開口穴(F61)のテーブル側の底部又は底部近傍に、被研磨体側の表面の一部が露出するように配置され、前記テーブルは、前記研磨表層が載置されている状態で、前記研磨表層に設けられた前記研磨表層第1貫通孔とは異なる複数の貫通孔である研磨表層第2貫通孔に連通しこの研磨工具構成体の被研磨体側の表面に開口した有底の第2開口穴(F62)のテーブル側の底部又は底部近傍に、被研磨体側の表面の一部が露出するように配置されること、を特徴とする研磨工具構成体である。
第14の発明は、第11の発明から第13の発明の研磨工具構成体において、この研磨工具構成体(60,260,360,460,660,760)と前記研磨表層(61,261,361,461,661,761)とが一体で形成されていること、を特徴とする研磨工具構成体である。
第15の発明は、第9の発明から第13の発明のいずれかの研磨工具構成体において、この研磨工具構成体(60,260,360,660,760)と前記テーブル(51)とが一体で形成されていること、を特徴とする研磨工具構成体である。
第16の発明は、第10の発明から第15の発明のいずれかの研磨工具構成体(560)に載置され、前記第1開口穴を形成する研磨表層第1貫通孔と、前記第2開口穴を形成する研磨表層第2貫通孔を有すること、を特徴とする研磨表層(561)である。
第17の発明は、第16の発明の研磨表層において、テーブル側に積層され、この研磨表層本体よりも弾性または粘弾性の高い材料により形成されたクッション層を備えることを特徴とする研磨表層である。
第18の発明は、導電性を有する被研磨体(D)を電気化学的機械的に研磨する研磨工具構成体(60,260,360,460,560,660,760)を用いた研磨方法であって、前記研磨工具構成体の表層に配置され合成樹脂により形成された研磨表層(61,261,361,461,561,661,761)の表面に電解液(E)を供給することにより、前記研磨工具構成体の被研磨体側の表面に開口した開口穴である第1開口穴(F1,F21,F31,F41,F51,F61,F71)及び前記研前記第1開口穴とは異なる開口穴である第2開口穴(F2,F22,F32,F42,F52,F62,F71)に電解液を収容して、その電解液及び前記研磨表層と前記被研磨体とを接触させ、前記第1開口穴に配置され被研磨体側の表面の少なくとも一部が露出した第1電極(62,262,362,462,562,662,762)を前記被研磨体に接触させない状態で、前記第2開口穴に配置され被研磨体側の表面の少なくとも一部が露出した第2電極(64,264,364,464,564,664,764)を前記被研磨体に接触させない状態で、かつ前記研磨工具構成体の表層に配置され合成樹脂により形成された研磨表層と被研磨体とを接触させた状態で、前記研磨表層の表面に電解液を供給しながら前記研磨工具構成体と前記被研磨体とを相対移動し、前記第1電極と前記第2電極との間に直流電圧を印加して、前記第1電極と前記被研磨体とを電解液を介して電気化学的に結合しかつ前記被研磨体と前記第2電極とを電解液を介して電気化学的に結合することにより、前記被研磨体を電気化学的機械的に研磨すること、を特徴とするデバイスウエハの研磨方法である。
第19の発明は、第18の発明の被研磨体の研磨方法において、前記第2電極は、導電性を有し、前記研磨工具構成体を載置し、前記第2開口穴の底部を形成するテーブルであること、を特徴とする研磨方法である。
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、デバイスウエハ(被研磨体)の導電体層とアノード電極(第1電極)とが電解液を介して電気化学的に結合した通電用電解セルを、研磨用電解セルとは独立して形成し、導電体層とアノード電極との間を電気化学的に接続する。これにより、導電体層とアノード電極との物理的あるいは機械的な接触がないため、アノード電極との擦れに起因する導電体層の傷の発生が防止できる。
また、本発明は、複数の電解液収容部を形成し、絶縁体により形成される研磨表層とデバイスウエハ導電体層を機械的に接触させることにより、電気化学的な研磨と同時に機械的研磨を実施することができる。これにより、デバイスウエハの配線形成のための良好な電気化学的機械的研磨(eCMP)を実施することができる。
さらに、本発明は、通電用電解セルで生じる電気化学反応(導電体層へ直流電力を供給する反応)と研磨用電解セルで生じる電気化学反応(導電体層を電気化学的研磨(電解研磨)する反応)とが、独立して進行する。このため、導電体層を電気化学的研磨する反応が導電体層へ直流電力を供給する反応に影響されず、安定したeCMPを実施できる。
(2)本発明は、通電用電解液収容部の開口面積の合計が、研磨用電解液収容部の開口面積の合計よりも小さく、通電用電解液収容部の深さが、研磨用電解液収容部の深さより浅いので、eCMPに必要な研磨用電解液収容部の開口面積の合計を大きく低減させずに済み、かつ、eCMPに必要な直流電源の電圧の極端な増加を抑えることができる。
(3)本発明は、電解液を収容する電解液収容槽にカソード電極と研磨パッドとを浸漬することにより、研磨用電解セルに十分な量の電解液を供給することができるため、研磨を安定して行うことができると同時に、デバイスウエハの配線形成のための導電体層を、ダメージを与えずに安定して研磨することができる。
(4)本発明は、研磨パッドよりも外側に通電用電解液を収容し通電用電解セルを形成するので、通電用電解液と研磨用電解液の種類を容易に使い分けることができ、通電用及び研磨用に適した研磨液を選択することができる。
(5)本発明は、第1電極が第1開口穴内に露出し、また導電性を有するテーブルの被研磨体側の表面が第2開口穴に露出するように設けられている。このため、第1電極と被研磨体とを電解液を介して電気化学的に結合しかつ被研磨体とテーブルとを電解液を介して電気化学的に結合することにより、被研磨体を電気化学的機械的研磨することができる。
また、本発明は、テーブルを電極(第2電極)として利用するので、構成を簡単にでき、さらに部品削減によるコストを削減することができる。
(6)本発明は、研磨表層が載置可能に設けられているので、研磨標層の摩耗等により研磨性能が低下しても、研磨標層のみを交換すればよく、生産コストを低コストに抑えることができる。
実施例1の研磨装置の斜視図である。 実施例1の研磨装置を模式的に示す縦断面図である。 実施例1の研磨装置の一部の拡大図である。 実施例1の通電方法の原理を説明する図である。 実施例1の通電用電解セル、研磨用電解セルの構成を説明する図である。 実施例1のデバイスウエハの研磨工程を説明する縦断面図である。 実施例2の研磨装置を模式的に示す縦断面図である。 実施例3の研磨装置を模式的に示す縦断面図である。 実施例4の研磨装置を模式的に示す縦断面図である。 実施例5の研磨装置を模式的に示す縦断面図である。 実施例6の研磨装置を模式的に示す縦断面図である。 実施例7の研磨装置を模式的に示す平面図、縦断面図である。
符号の説明
50,250,350,450,550,650,750 研磨装置
53 電源
60,260,360,460,760 研磨パッド
61,261,361,461 研磨部材
62,262,362,462 アノード電極
64,264,364,464 カソード電極
65 導電性粘着材
466 貫通孔
470 電解液収容槽
C1,C21,C31,C41,C51 通電用電解セル
C2,C22,C32,C42,C51 研磨用電解セル
D デバイスウエハ
D1 導電体層
E 電解液
F1,F21,F31,F41,F61,F71 通電用電解液収容部
F2,F22,F32,F32,F62,F72 研磨用電解液収容部
発明を実施するための形態
本発明は、デバイスウエハの配線形成のための導電体層等を、ダメージを与えずに研磨することができる電気化学的機械的研磨の研磨パッド、研磨体、研磨工具構成体及び研磨方法を提供するという目的を、導電体層とアノード電極とが電解液を介して電気化学的に結合した通電用電解セルと、導電体層とカソード電極とが電解液を介して電気化学的に結合した研磨用電解セルとを独立して形成することにより実現した。
次に、図面等を参照しながら、本発明の実施例を説明する。
最初に、本実施例の研磨装置50の概略について説明する。
図1は、本実施例の研磨装置50の斜視図である。研磨装置50は、プラテン・ロータリ型の一組のプラテン/ヘッドであり、通常は、化学的機械的研磨(CMP)用の研磨パッドが取付けられ、CMPの研磨に用いられる装置である。
図1に示すように、研磨装置50は、プラテン51と、研磨ヘッド52と、電源53(電力供給部)と、プラス電極54と、マイナス電極56と、ノズル57と、着脱可能に装着される研磨パッド60とを備えている。
プラテン51は、研磨パッド60を載置して、鉛直方向の軸Z1回り(矢印θ1方向)に回転する円盤状の部材である。プラテン51は、導電性を有する金属等より形成される。
研磨ヘッド52は、図中下側の面に、デバイスウエハDを装着し、鉛直方向の軸Z2回り(矢印θ2方向)に回転する円盤状の部材である。このデバイスウエハDには、その表面に導電性を有する導電体層D1(配線材層)が積層されている。研磨ヘッド52は、配線材層D1が図中下側になるようにバイスウエハDを装着する。
電源53は、電気化学的研磨(ECP)を行う電解セル(electrolytic−cell)を形成するための電力を供給する装置である。電源53は、後述する通電用電解セルC1及び研磨用電解セルC2(図5参照)に電力を供給する。供給する電力は、一般的には直流電力であるが、電力波形は、パルス状であってもよい。また、供給する電力は、直流成分があればプラスとマイナスに変動する交流電力であってもよい。
プラス電極54は、スリップリング55を介して電源53のプラス端子に接続されており、電源53の電力をアノード電極62(図2参照)に供給する。
マイナス電極56は、電源53のマイナス端子に接続されており、プラテン51の外周に摺接するように設けられている。マイナス電極56は、電源53の電力をプラテンを介してカソード電極64(図2参照)に供給する。
ノズル57は、研磨パッド60よりも上方に配置されている。ノズル57は、研磨時に研磨パッド60の研磨面へと電解液Eを放出して、研磨パッド60の通電用電解液収容部F1、研磨用電解液収容部F2(図2参照)に電解液Eを供給する。
電解液Eには、クエン酸等の有機電解液または、リン酸等の無機酸、硫酸銅等の塩を主成分とした電解質水溶液が使用でき、保護膜形成剤や研磨砥粒、酸化剤等を含ませることができる。
上述のような構成によって、研磨装置50は、電解液Eを供給しながら、デバイスウエハDと研磨パッド60とを接触させ、プラテン51及び研磨ヘッド52からなる相対移動部を回転して、デバイスウエハDと研磨パッド60とを相対移動させる。これにより、デバイスウエハDの導電体層D1の表層は、電解液Eに添加された保護膜形成剤によって電気化学的な保護膜が形成されると同時に、保護膜が研磨部材61との接触によって機械的に除去され、電気化学的に溶解除去される(溶解除去については、後述する)。すなわち、通常CMPに用いられる研磨装置50は、研磨パッド60を取り付けることにより、導電体層D1の電気化学的機械的研磨(eCMP)を行ない、デバイスウエハDの配線形成を行うことができる。
図2は、実施例1の研磨装置50を模式的に示す縦断面図である。
図3は、実施例1の研磨装置50の一部(図2の2点鎖線内)の拡大図である。
なお、各図は、研磨パッド60の各層の構成を分かりやすくするために、厚みを強調して示す。
研磨パッド60(研磨工具構成体)は、研磨部材61(研磨表層)と、アノード電極62(第1電極)と、絶縁材63(絶縁層)と、カソード電極64(第2電極)と、導電性粘着材65とからなる各層が接着剤や圧力感応接着シートで積層、固着して形成されている。また、研磨パッド60は、通電用電解液収容部F1(第1開口穴)と、研磨用電解液収容部F2(第2開口穴)が設けられている。
また、以下の説明において、研磨面側である上側をデバイスウエハD側(被研磨体側)、下側をプラテン51側(テーブル側)として説明する。
研磨部材61は、最上層に積層された研磨層であり、合成樹脂で形成され、特に機械的研磨能力の高い発泡ウレタン材等で形成される。また、研磨部材61は、電気絶縁性が高く、アノード電極62と導電体層D1との間を電気的に絶縁している。研磨部材61は、単一材料からなる単層構造である必要はなく、合成樹脂性の支持体や発泡樹脂等によるクッション材との積層構造体であってもよい。
アノード電極62は、研磨部材61の下層に積層されたシート状導電部材であり、通電用電解セルC1(図5参照)のアノードを形成する。アノード電極62は、研磨パッド60の中央部でプラス電極54に摺接することにより、プラス電極54に対して電気的に接続されている。アノード電極62は、研磨用電解液収容部F2の開口壁面部から露出しないように設置され(図5参照)、カソード電極64と研磨用電解液収容部F2内の電解液とアノード電極62との間で生じる電気化学反応が防止される。
アノード電極62を形成するシート状導電部材は、金属等の低抵抗材料(金、銅、白金、チタン合金、ステンレス鋼、カーボン等)、又は炭素素材(カーボンを主成分としたアモルファスカーボン、炭素繊維、黒鉛繊維、黒鉛、合成樹脂との複合炭素材等)等から形成される。
なお、アノード電極62は、表面がフラットであり、その上に研磨部材61が積層されているので、研磨するときに研磨部材61の表面から突出しない状態を維持し、導電体層D1に接触することがない。これにより、研磨パッド60は、導電体層D1への物理的接触又は機械的接触が、合成樹脂製の研磨部材61のみであるので、擦れに起因する導電体層D1への傷の発生を防止することができる。
絶縁材63は、アノード電極62の下層に積層され、アノード電極62とカソード電極64との間を電気的に絶縁する絶縁部である。絶縁材63は、研磨部材61よりも剛性の高い合成樹脂等から形成され、研磨部材61を支持する。また、絶縁材63は、アノード電極62が研磨用電解液収容部F2に露出しないように、アノード電極62と研磨用電解液収容部F2内の電解液Eとの間に丸リブ63aが設けられており(図5参照)、アノード電極62と研磨用電解液収容部F2内の電解液Eとの間を電気的、電気化学的に絶縁する。
カソード電極64は、アノード電極62と同様なシート状導電部材であり、研磨用電解セルC2(図5参照)のカソードを形成する。カソード電極64は、絶縁材63の下層に積層される。カソード電極64は、カソード電極64の下面に設置された両面粘着シート65を介してプラテン51に電気的に接続され、マイナス電極55とプラテン51とが電気的に接続されることで、マイナス電極56に接続されている。なお、プラテン51がセラミック等の絶縁体で形成される場合、カソード電極64は、マイナス電極56に直接接続してもよい。
両面粘着シート65は、研磨パッド60のプラテン51への着脱を容易に行うための両面粘着シートであり導電性を有する。
なお、両面粘着シート65は、カソード電極64とプラテン51との間で導電性をとりながら接続するためのひとつの手段であり、両面粘着シート65の代わりに、例えば、導電性接着剤、機械的接続(例えばネジ結合等)を使用してもよい。
また、プラテン51がセラミック等の絶縁体で形成される場合には、導電性を有さない一般的な両面粘着シートを使用してカソード電極64をプラテン51に取り付け、カソード電極64とマイナス電極56とをプラテン51を介さずに直接接続してもよい。
通電用電解液収容部F1は、研磨部材61を貫通して設けられた貫通孔(研磨表層第1貫通孔)から構成され、その底部がアノード電極62の表面で構成される上側が開口した凹部である。
研磨用電解液収容部F2は、研磨部材61を貫通して設けられた貫通孔(研磨表層第2貫通孔)と、その貫通孔に連通して絶縁材63を貫通して設けられた貫通孔とを、カソード電極64の表面が塞ぐようにして構成される上側が開口した凹部である。なお、通電用電解液収容部F1、研磨用電解液収容部F2には、それぞれ異なる種類の電解液を使用して電解セルを形成してもよい。
研磨パッド60は、以上のような層構成により、上側から見たときに、アノード電極62の表面が通電用電解液収容部F1内部に視認可能に露出し、またカソード電極64の表面が電解用電解液収容部F2の開口内部に視認可能に露出する。
研磨パッド60は、通電用電解液収容部F1の総開口面積(開口面積の合計)が、研磨用電解液収容部F2の総開口面積よりも小さくなるように構成されている。これにより、eCMPに必要な研磨用電解セルC2を構成する研磨用電解液収容部F2の開口面積を大きくすることができる。また、研磨パッド60は、通電用電解液収容部F1の深さが、研磨用電解液収容部F2の深さよりも浅くなるように形成されている。これにより、eCMPに必要な直流電源の電圧の極端な増加を抑えることができる。これらの効果の詳細については、後述する。
次に、研磨パッド60が電解セルを形成して、デバイスウエハDの導電体層D1を研磨する原理について説明する。
図4は、実施例1の通電方法の原理を説明する図である。
図4は、アノード電極162、電解液E11、Cu(銅)板101とからなる第一の電解セルC11と、Cu板102、電解液E12、カソード電極164とからなる第二の電解セルC12とを示す図である。第一の電解セルC11と第二の電解セルC12とは、Cu板101とCu板102とをCu板103を介して接続することにより、電気的に接続されている。
電解液E11,E12に電解質水溶液を使用した場合、直流電源153をアノード電極162とカソード電極164とに接続すると、一定の直流電流が流れ、第一の電解セルC11内では、アノード電極162から酸素ガスが発生し、Cu板101から水素ガスが発生する。一方、第二の電解セルC12内では、カソード電極164から水素ガスが発生し、Cu板102から銅が溶解(銅イオン溶出)する。
これらは、2つの電解セルの直列接続の例であり、直流電源の電圧は、第一の電解セルC11の電気化学反応に必要な電圧と、第二の電解セルC12の電気化学反応に必要な電圧の和となる。
図5は、実施例1の通電用電解セルC1、研磨用電解セルC2の構成を説明する図である。
図5に示すように、研磨時には、通電用電解液収容部F1、研磨用電解液収容部F2が電解液Eによって満たされ、デバイスウエハDが研磨パッド60の研磨面に押圧される。この場合、通電用電解液収容部F1、研磨用電解液収容部F2は、デバイスウエハDの導電体層D1の研磨面近傍まで電解液Eを収容し、その上部開口部が、デバイスウエハDの導電体層D1によって蓋をされた状態になる。電源53(図1参照)のプラス電極、マイナス電極に、アノード電極62、カソード電極64が接続されると、導電体層D1の表面、アノード電極62の表面及びカソード電極64の表面と、電解液Eの界面との間で電子の授受が行われる。また、電解液E内部では、イオン伝導により電気化学反応が継続する。つまり、図4に示すCu板101、Cu板102、Cu板103に相当する一体の銅板が導電体層D1によって形成される。これにより、アノード電極62、電解液E、導電体層D1からなる通電用電解セルC1(図4に示す第一の電解セルに相当)と、導電体層D1、電解液E、カソード電極64からなる研磨用電解セルC2(図4に示す第二の電解セルに相当)とが独立して形成される。研磨用電解セルC2は、通電用電解セルC1によってアノードとされた導電体層D1と、カソードであるカソード電極64とからなる電解セルである。
このとき、電解液Eに電解質水溶液を使用した場合、通電用電解セルC1では、電解液Eに接触する導電体層D1から水素ガスが発生し、アノード電極62の表面から酸素ガスが発生する。
研磨用電解セルC2では、電解液Eに接触する導電体層D1において、溶解反応「Cu→Cu2++2e」により導電体層D1が溶解、除去される。また、カソード電極64の表面からは、水素ガスが発生する。
発生した酸素ガス、水素ガスは、プラテン51の回転により定期的に導電体層D1による蓋が解除されたときに、各電解セルC1,C2から大気中に放出されるため、各電解セルC1,C2内に滞留することはない。
なお、研磨パッド60は、導電体層D1の機械的研磨の効率を向上させたり、研磨液の供給及び排出を円滑にさせるために、その表面に溝が設けられる場合がある。この場合、通電用電解液収容部F1と研磨用電解液収容部F2とは、溝で連結されることになる。しかし、溝によって形成された電解液Eのチャンネルの液抵抗が、通電用電解セルC1内の液抵抗及び研磨用電解セルC2内の液抵抗と比較して一桁以上大きければ、通電用電解セルC1及び研磨用電解セルC2で生じる電気化学的反応は、溝によって形成された電解液Eのチャンネルによって殆ど影響を受けない。この意味では、通電用電解セルC1と研磨用電解セルC2とが独立して形成されるといえる。
図6は、実施例1のデバイスウエハDの研磨工程を説明する縦断面図である。図6(a)は、研磨前の状態、図6(b)〜図6(e)は、研磨中の状態、図6(f)は、研磨後の状態をそれぞれ示す図である。なお、以下の説明において、研磨面(図中下側の面)を下面、その反対側の面を上面(図中上側の面)として説明する。
最初に、デバイスウエハDの構成について説明する。
図6(a)に示すように、研磨前には、デバイスウエハDは、下層側から、導電体層D1、バリアメタルD2、層間絶縁膜D3が積層されている(図中、トランジスタ部分は、省略して示す。)。
導電体層D1は、デバイスウエハDの配線を構成するための層であり、銅をめっき等の手法を用いて積層して形成する。導電体層D1は、層間絶縁膜D3の下面を窪ませて設けられた配線溝D3aに積層された部分が、残存するように研磨されることにより(図6(f)参照)、デバイスウエハD内を配線する。導電体層D1は、層間絶縁膜D3の配線溝D3aの範囲に積層された部分に、窪み(凹部D1a)が形成される場合がある。ただし、導電体層D1に凹部D1aが形成されていても、本実施例の研磨パッド60は、後述するように、均一に導電体層D1を研磨することができる。
バリアメタルD2は、導電体層D1の金属原子が層間絶縁膜D3に移動(migration)することを防ぐために設けられている。このバリアメタルD2は、融点が高く、導電性がある材料、例えば、タンタル、窒化タンタルや窒化ニッケル等の金属及び金属窒化物を使用することができる。
層間絶縁膜D3は、デバイスウエハDの各層の間を絶縁するための絶縁層(膜)である。
次に、デバイスウエハDの研磨工程を説明する。
図6(a)に示す状態において、デバイスウエハDの導電体層D1と研磨用電解液収容部F2の電解液Eとが当接すると、研磨用電解セルC2(図5参照)が形成され、導電体層D1の下面の表層は、溶解、除去される。導電体層D1の溶解、除去が進行すると、図6(b)に示すように、電解液Eの保護膜形成剤(防食剤や界面活性剤)の作用により、導電体層D1の下面表面に電気化学的な保護膜G(銅の錯体層)が形成され、これが不働態皮膜(passive film)となり、導電体層D1の溶解が停止する。
研磨パッド60の研磨部材層61(図5参照)は、研磨装置50(図1参照)によって、デバイスウエハDに対して相対移動しているので、保護膜Gは、機械的に除去される。このとき、凹部D1aに形成された保護膜Gは、研磨パッド60に接しない(又は、接触による機械的摩擦力が凸部と比較して少ない)ので、導電体層D1の凸部D1c,D1dに形成された保護膜Gのみが除去される。
そして、図6(c)に示すように、導電体層D1の凸部D1c,D1dの銅が露出したならば、この露出した部分のみが、研磨用電解セルC2によって、溶解、除去され、再び形成された保護膜Gが機械的に除去される。
以上のような工程が瞬時に繰り返され、研磨パッド60は、導電体層D1を電気化学的機械的に研磨し、凸部D1c,D1dの除去速度を、凹部D1aよりも速くすることができる。そして、研磨パッド60は、導電体層D1の表面を、図6(d)に示すように、平面にすることができる。
図6(d)の状態では、導電体層D1は、下面が平面であるので、バリアメタルD2下面までの部分(図6(d)に示す範囲H1の部分)は、同一の研磨レートで電気化学的機械的に除去され、図6(e)の状態となる。
図6(e)の状態では、デバイスウエハDは、導電体層D1とバリアメタルD2とが、下面に露出した状態となる。多層積層配線化をする場合には、層間絶縁膜D3を露出させ(図6(f)の状態)、この上にさらに層間絶縁膜を堆積する。このため、導電体層D1と、導電体層D1と材質の異なるバリアメタルD2の下面の表層(図6(e)に示す範囲H2の部分)を同時に層間絶縁膜D3の表面まで除去する必要がある。これらの除去は、前述したマルチプラテンマルチヘッド型の研磨装置を用いて、第2ステップとして、従来の化学的機械的研磨(CMP)により行われる。さらにデッシング(導電体層D1が余分に研磨除去された状態)の修正が必要な場合、第3ステップとして、層間絶縁膜D3を化学的機械的に研磨する。
以上のように、電気化学的機械的研磨は、デバイスウエハDの導電体層D1を、図6(a)から図6(e)の状態に研磨するものであり、電気的な保護膜の形成と保護膜の機械的除去及び銅の溶解除去(電気化学的除去)をバランスよく行い、研磨レートの高い面内均一性を維持したまま、平坦化することができる。
次に、通電用電解液収容部F1の総開口面積を研磨用電解液収容部F2の総開口面積よりも小さくした場合の効果、通電用電解液収容部F1の深さを、研磨用電解液収容部F2の深さよりも浅くした場合の効果について説明する。
<通電用電解液収容部F1の総開口面積を小さくした場合の作用>
通電用電解セルC1は、研磨用電解セルC2内で電気化学反応を発生させるために、導電体層D1に直流電力を供給するためのものである。従って、通電用電解セルの総開口面積を小さくして研磨用電解セルの設置の自由度を向上させることが、研磨パッドの設計上好ましい。また、通電用電解セルは、導電体層の面内均一性を向上するために、研磨用電解セルが研磨パッド内で均一に配置できるように設置する必要がある。
さらに、研磨用電解セルの総開口面積が小さい場合、電解電流密度が相応して増加するため、研磨用電解セル内での銅の溶解反応の他に酸素ガス発生反応等の別の反応が生じ、電解電流効率の低下等の悪影響が生じる。従って、研磨用電解セル内の電気化学的反応の観点からも、通電用電解セルの総開口面積を小さくして、研磨用電解セルの総開口面積を大きくする必要がある。
ところが、通電用電解セルと研磨用電解セルとは、電気的に直列接続されているため、同じ値の電流が流れる。また、電解セルは、電解液収容部の総開口面積が小さくなると液抵抗が増加する。このため、通電用電解液収容部の総開口面積が小さくなると、液抵抗が増加し、液抵抗によるIRドロップが増加するので、印加する直流電圧が過大となり、通電用電解セル内で発生するジュール熱の発熱量が増加し、電気化学的研磨への影響が無視できなくなる。
<通電用電解液収容部F1の深さを浅くした場合の作用>
電解液収容部内の液抵抗は、電解液収容部の深さに比例し、収容部の開口面積に反比例する。従って、通電用電解セルC1は、前述した理由により通電用電解液収容部F1の開口面積を小さくしたことで液抵抗が増加した分、通電用電解液収容F1を浅く形成することで、液抵抗の増加を抑えることができる。ただし、通電用電解液収容F1の開口部の深さを浅くし過ぎると、反応ガスの滞留の影響や、研磨表層の圧縮変形等の原因によって、導電体層D1とアノード電極とが機械的に接触する原因になる。このため、通電用電解液収容F1の深さは、0.2mm程度が限度である。
本実施例の研磨パッド60は、研磨用電解液収容部F2の深さが、2mm〜3mm程度であり、概ね、通電用電解セルC1内及び研磨用電解セルC2内に生じる液抵抗によるジュール熱を同等にすることがよい。このためには、通電用電解液収容部F1と研磨用電解液収容部F2との総開口面積の比を1:10程度、通電用電解液収容部F1と研磨用電解液収容部F2との深さの比を10:1程度にすることがよい。
このように、本実施例の研磨パッド60は、通電用電解液収容部F1の総開口面積を研磨用電解液収容部F2の総開口面積よりも小さくし、かつ、通電用電解液収容部F1の深さを研磨用電解液収容部F2の深さよりも浅くしている。このため、研磨パッド60は、通電用電解セルC1、研磨用電解セルC2の液抵抗の差を小さくすることができる。これにより、研磨パッド60は、通電用電解セルC1による直流電圧の増加を防止して、低電力でのeCMPを実現することができる。
また、研磨パッド60は、通電用電解セルC1の直流電圧の極端な増加を防止することにより、電解液E中のジュール熱の発生を抑えて、電解液Eの局部的な温度上昇を防止することができる。これにより、電解液Eを均一な温度にして、研磨レートの面内均一性を向上することができる。
以上説明したように、本実施例の研磨装置50は、通電用電解セルC1により導電体層D1とアノード電極63とが電気化学的に接続されるので、導電体層D1とアノード電極62との物理的、機械的な接触がない状態で研磨用電解セルC2に直流電力を供給できるため、デバイスウエハの導電体層D1の擦れに起因する傷の発生を防止して、良好な研磨を実施することができる。
次に、本発明を適用した研磨装置の実施例2について説明する。
図7は、実施例2の研磨装置250を模式的に示す縦断面図である。
なお、以下の説明及び図面において、前述した実施例1と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図7に示すように、研磨装置250は、1つの通電用電解セルC21を、研磨パッド260の中央部に設置するものである。デバイスウエハDの導電体層D1の外周部は、通電用電解液収容部F21の電解液Eを介して、導電体層D1に対峙するように設置されたアノード電極262に対して電気的に接続される。これにより、研磨用電解セルF22部では、導電体層D1をアノードとする研磨用電解セルC22が形成され、電気化学的な研磨が行われる。
この場合、通電用電解液収容部F21の電解液Eは、デバイスウエハD1に蓋をされることがなく常に大気に接するため、通電用電解セルC21内で発生した水素ガス、酸素ガスは、大気へと放出される。これにより、研磨装置250は、ガスの影響を受けずに安定した研磨をすることができる。
また、研磨装置250は、研磨用電解液収容部F22を、通電用電解液終了部F21の影響を受けずに設置できるため、研磨用電解セルF22の開口部を研磨パッド260内で良好な設置分布で設置できる。
次に、本発明を適用した研磨装置の実施例3について説明する。
図8は、実施例3の研磨装置350を模式的に示す縦断面図である。
図8に示すように、研磨装置350は、通電用電解セルC31を形成するための通電用電解液収容部F31の容器370を、研磨パッド360よりも径方向外側に離隔した位置に、固定して設置したものである。通電用電解液収容部F31の電解液E31は、デバイスウエハDの導電体層D1の被研磨面の研磨パッド360外周側で接触する。これにより、研磨用電解セルF32部では、導電体層D1をアノードとする研磨用電解セルC32が形成され、電気化学的な研磨が行われる。
この場合、通電用電解液収容部F31が研磨パッド360の外側に配置されているので、通電用電解セルC31、研磨用電解セルC32に使用する電解液E31,E32として異なるものを容易に使用することができる。例えば、研磨装置350は、通電用電解セルC31に導電性の高い電解質水溶液を使用し、研磨用電解セルC32に有機電解液を使用することができる。従って、通電用電解セルC31の液抵抗を増加させずに、デバイスウエハDの導電体層D1の外周部と通電用電解液収容部F31の電解液E31との接触面積を小さくできるため、ウエハ面内の均一性を改善できる。
次に、本発明を適用した研磨装置の実施例4について説明する。
図9(a)は、実施例4の研磨装置450を模式的に示す縦断面図である。
図9(b)は、図9(a)の一部(図9(a)の2点鎖線内)の拡大図である。
研磨装置450は、カソード電極464と研磨パッド460(研磨体)とを浸漬する電解液収容槽470を備えている。電解液収容槽470内では、デバイスウエハDの導電体層D1とカソード電極464とにより研磨用電解セルC42が形成される。
アノード電極462は、研磨パッド460(研磨体)を開孔して形成された複数の電解液収容部F1の研磨面側(被研磨体側)人は反対側の底部に設置される。
絶縁材463は、研磨パッド460の全体の剛性を向上するために、剛性の高い材料により形成され、研磨装置450の軸Z1回りに回転可能に研磨装置40の回転軸に装着される。
なお、絶縁材463は、研磨パッド460に設けられるものでなくてもよい。すなわち、研磨装置450に絶縁材463と同様な回転テーブルを設け、この回転テーブルに、研磨部材461とアノード電極462とから構成される研磨パッドを載置してもよい。
電解液収容槽470内には、研磨パッド460よりも下側に、カソード電極464が収容されている。
研磨パッド460には、鉛直方向に貫通した貫通孔466が設けられている。また、研磨パッド460は、研磨時には、電解液収容槽470に浸漬されることにより、研磨部材461の研磨面近傍まで電解液Eが収容される。
以上の構成により、電解液収容部F1の電解液Eと導電体層D1とが接触し、導電体層D1とアノード電極462とがその電解液Eを介して電気化学的に結合され、通電用電解セルC41が形成される。これにより、研磨装置450は、導電体層D1とアノード電極462とを機械的に接触させずに、研磨用電解セルC42のアノードを形成する導電体層D1に直流電力(直流電流)を供給することができる。
また、貫通孔466及び電解液収容槽470内の電解液Eにより、カソード電極464をカソードとする研磨用電解セルC42が構成され、導電体層D1と電解液収容槽470内に設けられたカソード電極464とが電解液Eを介して電気化学的に結合される。このとき、貫通孔466は、研磨用電解セルC42の一部を構成する。
以上説明したように、本実施例の研磨装置450は、電解液Eを収容する電解液収容槽470にカソード電極464と研磨パッド460とを浸漬することにより、研磨用電解セルC42に十分な量の電解液Eを供給できるので、安定した研磨をすることができる。また、導電体層D1とアノード電極462とを機械的に接触させる必要がないので、デバイスウエハDの配線形成のための導電体層D1を、ダメージを与えずに研磨して、デバイスウエハDを製造することができる。
次に、本発明を適用した研磨装置の実施例5について説明する。
本実施例の研磨装置550は、実施例1の研磨パッド60の研磨部材61をアノード電極62に対して着脱可能に載置したものである。
図10は、実施例5の研磨装置550を模式的に示す縦断面図である。なお、本図において、研磨ヘッド52は、研磨部材561から上側に離れている状態を図示するが、研磨時に図2と同様に、デバイスウエハDと研磨部材561とが当接する高さまで降下する。
図10に示すように、研磨部材561(研磨表層)は、研磨パッド560(研磨工具構成体)のアノード電極562に対して、例えば粘着テープ等により着脱可能である。
研磨パッド560は、研磨部材561が装着された場合に、実施例1の研磨パッド60が研磨装置50と同様な構成となり、実施例1の研磨パッド60と同様な効果を得ることができる。
また、研磨パッド560は、複数のデバイスウエハDを研磨後には、研磨部材561の摩耗等により研磨性能が低下する。このような場合にも、研磨パッド560は、研磨部材561のみを交換すればよい。従って、研磨パッド560は、研磨パッド560全体を交換する必要がなく、生産コストを低コストに抑えることができる。
なお、研磨部材561は、弾性または粘弾性を高めるために、研磨部材561本体よりも下層側に設けられ、研磨部材561本体よりも弾性又は粘弾性高いクッション層(例えば、発泡樹脂やエラストマー等)を備えた研磨部材積層体にしてもよい。この場合、ウエハの反りやうねりに対して、ウエハと研磨部材561とを均等に密着させることができ、均一な研磨ができる。
次に、本発明を適用した研磨装置の実施例6について説明する。
本実施例の研磨装置650は、実施例6の研磨パッド560からカソード電極564を取り除いた研磨パッド660(研磨工具構成体)が装着されたものである。
図11(a)は、実施例6の研磨装置650を模式的に示す縦断面図であり、図11(b)は、通電用電解セルC61、研磨用電解セルC62の構成を説明する図である。
図11に示すように、研磨パッド660は、絶縁材563(絶縁層)が、例えば粘着テープ666によりプラテン51に取付けられている。
研磨パッド660が載置されると、研磨パッド660を貫通する貫通孔が、プラテン51の表面で塞がれて、研磨用電解液収容部F62を形成する。プラテン51は、導電性を有するので、カソード電極がなくても、プラテン51の表面から研磨用電解液収容部F62に電力が供給され、研磨用電解セルC62が形成される。すなわち、この場合、プラテン51は、第2導電体層(第2電極)と同様に機能している。
通電用電解セルC61は、実施例1の通電用電解セルC1と同様である。
以上のような構成によっても、本実施例の研磨装置650は、研磨用電解液収容部F62を形成して、導電体層D1を電気化学的機械的に研磨することができる。
次に、本発明を適用した研磨装置の実施例7について説明する。
図12は、実施例7の研磨装置750を模式的に示す図であり、図12(a)は平面図(上面図)、図12(b)は、縦断面図(図12(a)のB−B部矢視断面図)である。
図12に示すように、本実施例の研磨パッド760は、アノード電極762(第1電極)とカソード電極764(第2電極)とが、同じ階層つまり研磨部材761と絶縁材763との間の層に設けられている。従って、アノード電極762と同様に、カソード電極764は、研磨時に研磨表層の表面から突出しない状態を維持し、導電体層D1に接触することがない。
アノード電極762は、平面形状が、円盤状の中心部732aに、扇形状の扇部分762b〜762dが120°間隔で接続された形状をしている。アノード電極762は、実施例1と同様に、プラス電極54がプラス電極54に摺接することにより、プラス電極54に対して電気的に接続される。
通電用電解液収容部F71(第1開口穴)は、上側から見たときに、扇部分762b〜762dに重複するように設けられている(図12(a)参照)。これにより、通電用電解液収容部F71には、アノード電極762が露出する。
一方、カソード電極764は、平面形状が、外周部分の外縁部764aに、扇形状の扇部分764b〜764dが120°間隔で接続された形状をしている。カソード電極764は、その外周面がマイナス電極56に摺接することにより、マイナス電極56に対して電気的に接続される。
電解用電解液収容部F72(第2開口穴)は、上側から見たときに、扇部分764b〜764dに重複するように設けられている(図12(a)参照)。これにより、電解用電解液収容部F72には、カソード電極764が露出する。
以上の構成により、本実施例の研磨装置750は、導電体層D1が通電用電解液収容部F71の電解液Eに接している部分には、プラスの電圧が印加され通電用電解セルを形成する。一方、導電体層D1が通電用電解液収容部F72の電解液Eに接している部分には、マイナスの電圧が印加され電解用電解セルを形成する。これにより、導電体層D1を電気化学的機械的に研磨することができる。
なお、本発明において、研磨工具構成体とは、デバイスウエハDを研磨するための部材のことをいい、研磨パッド単体は勿論、その構成部品や、研磨パッドとプラテンとからなる装置等をも含む概念である。
(変形例)
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施例に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施例に記載したものに限定されない。なお、上述した実施例及び後述する変形例は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
(1)各実施例において、各電解セルは、各電解液収容部の底部に電極を配置される例を示したが、これに限定されない。例えば、電解液収容部の底部近傍の内側面に電極を設けてもてもよい。この場合、沈殿物等の不純物が電極に付着することがないので、通電効率を向上することができる。
(2)各実施例において、プラテンと研磨パッド(研磨工具構成体)とが着脱できるようにした例を示したが、これに限定されない。プラテン及び研磨パッドの構成を一体で形成した研磨工具構成体としてもよい。
(3)各実施例において、研磨パッドは、第1電極であるアノード電極に直流電源のプラス電極に接続され、第2電極であるカソード電極に直流電源のマイナス電極が接続される例を示したが、これに限定されない。研磨パッドは、第1電極に直流電源のマイナス電極が接続され、第2電極に直流電源のプラス電極が接続されてもよい。この場合、研磨パッドは、実施例とは逆に、第1電極を有する第1開口穴が研磨用電解液収容部として機能し、第2電極を有する通電用電解液収容部して機能して、導電体層を研磨することができる。

Claims (6)

  1. デバイスウエハの導電体層に対して相対移動するテーブルに設置され、合成樹脂により形成された研磨表層と、絶縁材により電気的に絶縁されたアノード電極及びカソード電極とを有し、前記導電体層を電気化学的機械的に研磨する研磨パッドであって、
    前記研磨表層を貫通して開口し、研磨面側とは反対側の底部又は底部近傍に前記アノード電極が配置され、前記研磨表層の研磨面近傍まで電解液を収容し、その電解液と前記導電体層とを接触させることにより、前記導電体層と前記アノード電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで通電用電解セルを形成するための少なくとも1つの通電用電解液収容部と、
    前記研磨表層と前記絶縁材とを貫通して開口し、研磨面側とは反対側の底部又は底部近傍に前記カソード電極が配置され、前記研磨表層の研磨面近傍まで電解液を収容し、その電解液と前記導電体層とを接触させることにより、前記導電体層と前記カソード電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで研磨用電解セルを形成するための少なくとも1つの研磨用電解液収容部とを備え、
    前記少なくとも1つの通電用電解液収容部の開口面積の合計が前記少なくとも1つの研磨用電解液収容部の開口面積の合計よりも小さく、
    前記通電用電解液収容部の深さが前記研磨用電解液収容部の深さよりも浅いこと、
    を特徴とするデバイスウエハ研磨用の研磨パッド。
  2. 底部又は底部近傍にカソード電極が設置された電解液収容槽に収容された電解液に浸漬された状態で、デバイスウエハの導電体層に対して相対移動可能に設置され、合成樹脂により形成された研磨表層とアノード電極とを有し、デバイスウエハの導電体層を電気化学的機械的に研磨するデバイスウエハ研磨用の研磨体であって、
    前記研磨表層を貫通して開口し、研磨面側とは反対側の底部又は底部近傍に前記アノード電極が配置され、前記研磨表層の研磨面近傍まで前記電解液を収容し、その電解液と前記導電体層とを接触させることにより、前記導電体層と前記アノード電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで通電用電解セルを形成するための少なくとも1つの通電用電解液収容部と、
    前記研磨表層を貫通して設けられ、前記研磨表層の研磨面近傍まで前記電解液を収容し、前記導電体層と前記電解液収容槽の前記カソード電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで研磨用電解セルを形成する少なくとも1つの研磨用電解液収容部を備えること、
    を特徴とするデバイスウエハ研磨用の研磨体。
  3. 請求項2に記載の研磨体において、
    前記研磨表層と前記アノード電極とを支持する合成樹脂により形成された支持体を有すること、
    を特徴とするデバイスウエハ研磨用の研磨体。
  4. 底部又は底部近傍にカソード電極が設置された電解液収容槽に収容された電解液に浸漬するように設置され、合成樹脂により形成された研磨表層とアノード電極とを有し、デバイスウエハの導電体層を電気化学的機械的に研磨する研磨体を用いたデバイスウエハの研磨方法であって、
    前記研磨表層を貫通して開口し、研磨面側とは反対側の底部又は底部近傍に前記アノード電極が配置された少なくとも1つの通電用電解液収容部に、前記研磨表層の研磨面近傍まで前記電解液を収容し、その電解液と前記導電体層とを接触させることにより、前記導電体層と前記アノード電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで通電用電解セルを形成し、
    前記研磨表層を貫通して設けられた研磨用電解液収容部に、前記研磨表層の研磨面近傍まで前記電解液を収容し、前記導電体層と前記電解液収容槽の前記カソード電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで研磨用電解セルを形成し、
    前記アノード電極と前記カソード電極との間に直流電力を供給し、
    前記研磨体と前記導電体層とを相対移動すること、
    を特徴とするデバイスウエハの研磨方法。
  5. デバイスウエハの導電体層に対して相対移動するテーブルに設置され、合成樹脂により形成された研磨表層とカソード電極とを有し、前記導電体層を電気化学的機械的に研磨する研磨パッドを用いたデバイスウエハの研磨方法であって、
    前記研磨パッドから離隔して配置され、底部又は底部近傍にアノード電極が配置された少なくとも1つの通電用電解液収容部に通電用電解液を収容し、その通電用電解液と前記導電体層とを接触させることにより、前記導電体層と前記アノード電極とがその電解液を介して電気化学的に結合されることで通電用電解セルを形成し、
    前記研磨表層を貫通して開口し、研磨面側とは反対側の底部又は底部近傍に前記カソード電極が配置された少なくとも1つの研磨用電解液収容部に、前記研磨表層の研磨面近傍まで研磨用電解液を収容し、その研磨用電解液と前記導電体層とを接触させることにより、前記導電体層と前記カソード電極とがその研磨用電解液を介して電気化学的に結合されることで研磨用電解セルを形成し、
    前記アノード電極と前記カソード電極との間に直流電力を供給し、
    前記研磨パッドに電解液を供給しながら前記研磨パッドと前記導電体層とを相対移動すること、
    を特徴とするデバイスウエハの研磨方法。
  6. 導電性を有する被研磨体を電気化学的機械的に研磨する研磨工具構成体を用いた研磨方法であって、
    前記研磨工具構成体の表層に配置され合成樹脂により形成された研磨表層の表面に電解液を供給することにより、前記研磨工具構成体の被研磨体側の表面に開口した開口穴である第1開口穴及び前記第1開口穴とは異なる開口穴である第2開口穴に電解液を収容して、その電解液及び前記研磨表層と前記被研磨体とを接触させ、
    前記第1開口穴に配置され被研磨体側の表面の少なくとも一部が露出した第1電極を前記被研磨体に接触させない状態で、前記第2開口穴に配置され被研磨体側の表面の少なくとも一部が露出した第2電極を前記被研磨体に接触させない状態で、かつ前記研磨工具構成体の表層に配置され合成樹脂により形成された研磨表層と被研磨体とを接触させた状態で、前記研磨表層の表面に電解液を供給しながら前記研磨工具構成体と前記被研磨体とを相対移動し、
    前記第1電極と前記第2電極との間に直流電圧を印加して、前記第1電極と前記被研磨体とを電解液を介して電気化学的に結合しかつ前記被研磨体と前記第2電極とを電解液を介して電気化学的に結合することにより、前記被研磨体を電気化学的機械的に研磨し、
    前記第2電極は、導電性を有し、前記研磨工具構成体を載置し、前記第2開口穴の底部を形成するテーブルであること、
    を特徴とする研磨方法。
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