JP4497711B2 - 熱溶融性フッ素樹脂混合繊維及びその製造方法 - Google Patents

熱溶融性フッ素樹脂混合繊維及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維状の液晶ポリマーを熱溶融性フッ素樹脂マトリックス中に存在させて機械的強度を強化したフッ素樹脂混合繊維及びその製法に関する。さらに詳しくは、熱溶融性フッ素樹脂の一部に官能基を有するものを使用し、適切な条件で溶融紡糸することによって、フッ素樹脂マトリックス中に微細な液晶ポリマー繊維を均一に存在させ、フッ素樹脂の優れた耐熱性及び耐薬品性を保持しながら、熱収縮率や引張りモジュラスを改善した熱溶融性フッ素樹脂混合繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
非溶融型フッ素樹脂のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び熱溶融性フッ素樹脂のテトラフルオロエチレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)などは、優れた耐熱性、耐薬品性、非粘着性などを有している。しかしこれらフッ素樹脂の持つ特性を期待して成形される繊維の物性は必ずしも満足する水準にはない。とくにフッ素樹脂は線膨張係数が大きいため、フッ素樹脂繊維の高温での収縮率も大きくなるという問題がある。
【0003】
一方、液晶ポリマーを樹脂マトリックス中に繊維状に配向させ、マトリックスの強度を向上させる、イン シチュ コンポジット(in situ composite)による複合化が近年提案されている(例えば、最近の総説論文としては、Journal of macromolecular science, chemical physics, 1995(C35) p183、特開平2−32147号公報)。この方法は、従来のガラス繊維や炭素繊維による強化樹脂に比べ、液晶ポリマーによる溶融粘度の低下、全成形工程の簡略化などの利点がある。
【0004】
ところが溶融紡糸によって得られるイン シチュ コンポジット繊維の機械強度は、樹脂マトリックスとそのマトリックス中に存在する繊維状の液晶ポリマーとの界面接着力に大きく影響される。しかるにフッ素樹脂と液晶ポリマーの間では分子間相互作用が殆ど無いため、従来提案のイン シチュ コンポジット法で得られるフッ素樹脂混合繊維では、フッ素樹脂/液晶ポリマー間の界面接着力が非常に小さく、フッ素樹脂に液晶ポリマーを混合したフッ素樹脂混合繊維でも弾性率や力学強度は他の高分子繊維に比べて低かった。またフッ素樹脂マトリックス中に液晶ポリマー相が均一に分散されていないため、溶融紡糸過程で溶融粘度が変化し、フッ素樹脂混合繊維の外径が不均一になる原因となった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者らは、フッ素樹脂組成物における液晶相分散相を均一にし、さらにフッ素樹脂混合繊維の直径を均一にするために、特定の官能基を持つフッ素樹脂(以下、相溶化剤ということがある)の導入を先に提案した(特願平11−366797号)。これによってフッ素樹脂と液晶ポリマー間の界面張力が小さくでき、フッ素樹脂マトリックス中に分散されている液晶相の分散状態が均一になり、溶融紡糸過程においても混合物の溶融粘度が均一になるため、フッ素樹脂混合繊維の直径を均一にすることが可能となった。また単に混合繊維のみでなく、綿状物、不織布あるいは液晶ポリマーが繊維状で含有されている種々の形状のフッ素樹脂複合体においても、同様に優れた機械的特性を保有させることが可能となった。
【0006】
本発明の目的は、この先願発明において、とりわけ優れた機械的強度、低い収縮率あるいは線膨張係数、優れた耐熱性及び耐薬品性を有するフッ素樹脂混合繊維及びその製法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、熱溶融性フッ素樹脂と熱可塑性液晶ポリマーの混合物からなる混合繊維であって、熱溶融性フッ素樹脂はテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)から選ばれるモノマーの重合体又は共重合体であり、かつ、熱溶融性フッ素樹脂の一部は、上記モノマーと、更に下記式(1)で表される官能基Xを含有するパーフルオロビニルエーテル化合物とを共重合させた共重合体であって、ポリマー混合物の相溶化剤として配合され、熱可塑性液晶ポリマーが熱溶融性フッ素樹脂マトリックス中に繊維状で分散しており、200℃における収縮率が10%以下である熱溶融性フッ素樹脂混合繊維である。
CF 2 =CF[OCF CF(CF )] −O−(CF 2 ) n −X・・・(1)
[式中、mは0〜3、nは0〜4、Xは−COOH、−CH 2 COOH、−COOCH 3 、−CH 2 OH、−CN、−CH 2 O(CO)NH 2 、−CH 2 OCN、−CH 2 OP(O)(OH) 2 、−CH 2 OP(O)Cl 2 、または−SO 2 Fである。]
【0008】
本発明はまた、上記熱溶融性フッ素樹脂と熱可塑性液晶ポリマーの混合物を、延伸比50〜9000、引取速度100m/min以上で溶融紡糸することを特徴とする熱溶融性フッ素樹脂混合繊維の製造方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明においては、一般成形に用いられる熱溶融性フッ素樹脂のほか官能基を含有する熱溶融性フッ素樹脂の合わせて少なくとも二種の熱溶融性フッ素樹脂が使用される。前者の成形用熱溶融性フッ素樹脂はすでに広く知られているものであって、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)から選ばれるモノマーの重合体又は共重合体である。
【0010】
より具体的には、テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(EPE)、などを挙げることができる。
【0011】
本発明においては、これらの熱溶融性フッ素樹脂とともに、カルボン酸基又はその誘導基、水酸基、ニトリル基、シアナト基、カルバモイルオキシ基、ホスホノオキシ基、ハロホスホノオキシ基、スルホン酸基又はその誘導基及びスルホハライド基から選ばれる官能基を含有する熱溶融性フッ素樹脂が相溶化剤として使用される。これら相溶化剤は、熱溶融性フッ素樹脂の性質を大きく損なわない範囲で前記官能基含有しているものであって、前記例で示すような熱溶融性フッ素樹脂を合成しておき、後からこれら官能基を付加あるいは置換することにより導入するか、あるいは前記例示の熱溶融性フッ素樹脂の合成時にこれら官能基を持ったモノマーを共重合させることによって得ることができる。
【0012】
前記官能基の具体例として、ーCOOH、ーCH2COOH、−COOCH3
ーCONH2、−OH、ーCH2OH、−CN、ーCH2O(CO)NH2
ーCH2OCN、ーCH2OP(O)(OH)2、ーCH2OP(O)Cl2
ーSO2Fなどの基を例示することができる。これらの官能基は、これら官能基を有するフッ素含有モノマーをフッ素樹脂製造時に共重合することにより相溶化剤中に導入するのが好ましい。
【0013】
このような官能基を有する共重合に適したフッ素含有モノマーの例としては、例えば
式 CF2=CF[OCFCF(CF)]−O(CF2)n−X[式中、mは、0〜3、nは、0〜4、Xは、−COOH、−CH2COOH、−COOCH3 、−CH2OH、−CN、−CH2O(CO)NH2、−CH2OCN、−CH2OP(O)(OH)2、−CH2OP(O)Cl2、−SO2Fなど]で示されるパーフルオロビニルエーテル化合物である。このようなフッ素化ビニルエーテルの最も好ましいものは、
式 CF2=CF−O−CF2CF2−SO2F あるいは
式 CF2=CF[OCF2CF(CF3)]O(CF22−Y
(式中、Yは、−SO2F、−CN、−COOH、−COOCH3など)
あるいは
式 CF2=CF[OCF2CF(CF3)]O(CF22−CH2−Z
(式中、Zは、−COOH、−OH、−OCN、−OP(O)(OH)2
−OP(O)Cl2、O(CO)NH2など)などで表されるものである。
【0014】
これら官能基含有モノマーは、相溶化剤中、例えば0.5〜10重量%、とくに1〜5重量%のような量で共重合されていることが好ましい。相溶化剤における官能基含有モノマーの含有割合が少なすぎると相溶化剤としての効果が少なく、一方その含有割合が多くなりすぎると相溶化剤同士の強い相互作用で架橋反応に類似した反応が起こる可能性があり、紡糸原料組成物の溶融粘度が急に増加するため、溶融紡糸が困難になる場合がある。またその含有量が多くなると、相溶化剤の耐熱性が悪くなる。
【0015】
相溶化剤の粘度あるいは分子量にはとくに制限はないが、これら相溶化剤を配合する熱溶融性フッ素樹脂の粘度あるいは分子量を越えない範囲であって、好ましくは同じレベルのものがよい。
【0016】
本発明において使用される液晶ポリマーは、サーモトロピック液晶を形成する熱可塑性樹脂であり、溶融成形温度での耐熱性に問題がない限り液晶ポリマーの融点にはとくに制限はない。しかし成形性や熱安定性の点から、成形用熱溶融性フッ素樹脂の融点より20℃以上高いものを用いるのが好ましい。このような液晶ポリマーとしては、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリエステルイミド、ポリエステルウレタンなどを挙げることができ、とくにポリエステルが最も好ましい。液晶ポリエステルの代表的なものは、全芳香族ポリエステルであり、すでに非常に多くのものが知られている。例えば、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジヒドロキシ化合物及び又は芳香族ヒドロキシカルボン酸などから誘導されるものであって、その一部が脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂肪族ヒドロキシカルボン酸などから誘導される重合単位で置換されたものであってもよい。より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6ージヒドロキシナフタリン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルのような芳香族ジヒドロキシ化合物、パラヒドロキシ安息香酸のような芳香族ヒドロキシカルボン酸などから誘導される重合単位を有するものを例示することができる。
【0017】
本発明においては、前記成形用熱溶融性フッ素樹脂及び官能基含有フッ素樹脂と液晶ポリマーから繊維状の液晶ポリマーを含むフッ素樹脂混合繊維が形成されるが、この混合繊維形成に際し、後者の官能基を有するフッ素樹脂(相溶化剤)の配合割合は、官能基の種類や官能基含量によっても若干異なるが、前記樹脂原料の1〜20重量%、とくに1〜10重量%程度とするのが好ましい。すなわち相溶化剤の配合割合が多くなるほどフッ素樹脂/液晶ポリマー間の界面張力は低くなり、界面接着力は強くなるが、あまり多量に配合すると相溶化剤同士の強い相互作用で架橋反応に類似した反応が起こる可能性があり、紡糸原料組成物の粘度が急に増加するため、溶融紡糸が困難になる場合がある。またその配合割合が多くなりすぎると、混合繊維の耐熱性が悪くなる。
【0018】
前記樹脂原料中における液晶ポリマーの配合割合は、液晶ポリマーが0.5〜20重量%、とくに通常の単軸押出機を用いた溶融紡糸では、1〜15重量%となるように調節することが好ましい。すなわち液晶ポリマーの配合量が少なすぎると充分な補強効果が期待できなくなる。また逆にその配合割合が多くなりすぎると大量の連続した繊維状の液晶ポリマーがフッ素樹脂マトリックス中に存在し、フッ素樹脂混合繊維が脆くなる恐れがある。液晶ポリマーの配合割合が多くなりすぎた場合はまた、溶融紡糸過程で粘度が急に低くなって溶融紡糸ができなくなるかまたは糸切れの原因になる。
【0019】
本発明の熱溶融性フッ素樹脂及び官能基含有フッ素樹脂と熱可塑性液晶ポリマーの混合は通常の溶融混合法によって行うことができるが、押出機を用いて行うのが好ましく、その際、高剪断速度の方が液晶分散相の大きさがより小さくなるため、単軸押出機より二軸押出機を用いる方が好ましい。溶融混合過程で液晶分散相をフッ素樹脂マトリックス中に小さく分散させるためには、押出温度は使用する熱溶融性フッ素樹脂と熱可塑性液晶ポリマーのうち融点の高い樹脂の融点より10〜20℃程度高い温度とすることが好ましい。また溶融紡糸工程で、フッ素樹脂マトリックス中により均一な大きさの繊維状の液晶ポリマーにするためには、溶融紡糸前の溶融混合した状態で、液晶ポリマーの粒子径を10μm以下、好ましくは0.5〜5μm程度にすることが望ましい。
【0020】
溶融紡糸した熱溶融性フッ素樹脂混合繊維のフッ素樹脂マトリックス中に存在する液晶ポリマーの直径は、溶融紡糸前の溶融混合物中に分散されている液晶相の大きさと溶融紡糸工程の延伸比(紡糸口金断面積/繊維断面積)で制御することができる。液晶分散相の大きさが小さいほどあるいは引取速度が速いほど繊維状の液晶ポリマーの直径と長さが小さくなる。したがって収縮率を改善するという目的のためには、延伸比50〜9000かつ引取速度100m/min以上とするのが好ましい
【0021】
熱溶融性フッ素樹脂混合繊維を製造する他の方法は、複数の成分がそれぞれ樹脂の長さ方向に連続した構造で短繊維内で相互接着している一般の複合繊維の製法であり、例えば本発明の熱溶融性フッ素樹脂混合繊維(A)を芯成分とし、熱溶融性フッ素樹脂(B)あるいは官能基を含有する熱溶融性フッ素樹脂(C)を鞘成分となるような芯鞘法または並列法を採用することができる。
【0022】
芯鞘法による例として、通常の複合紡糸装置を用いて、複合繊維の中心から各成分がA/B、A/C、A/C/B、A/B/Cとなる多層断面形状を有する熱溶融性フッ素樹脂複合繊維にすることができる。とくにこのような芯鞘法で得られる複合繊維は、熱溶融性フッ素樹脂混合繊維表面がフッ素樹脂で覆われているため、半導体関連装置でも液晶ポリマーによる装置汚染の問題が無くなるという利点がある。また繊維表面に出る官能基を含有する熱溶融性フッ素樹脂の官能基の種類や量を変えることで熱溶融性フッ素樹脂複合繊維の濡れ特性や疎水性を制御することも可能になる。
【0023】
本発明の熱溶融性樹脂混合繊維には、必要に応じ任意の添加剤が配合されていてもよい。このような添加剤の例として、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、着色剤、カーボンブラック等の無機物質などを挙げることができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
【0025】
[実施例1〜3]
フッ素樹脂PFA(三井・デュポンフロロケミカル社製PF004、融点304℃、メルトフローレート(372℃、5000g荷重)35g/10分)と液晶ポリマー(デュポン社製Zenite 7000、融点353℃)を充分に乾燥した後、テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)及びCF2=CF[OCF2CF(CF3)]OCF2CF2CH2OH[9,9−ジヒドロー9−ヒドロキシーパーフルオロ(3,6−ジオキサー5−メチルー1−ノネン)]の3元共重合体である相溶化剤A(PPVE含量3.7重量%、上記水酸基含有モノマー含量1.1重量%、メルトフローレート15g/10分)と共に2軸押出機で溶融ブレンドして(樹脂温度365℃)フッ素樹脂混合物を作った。尚、液晶ポリマーは5重量%、相溶化剤Aは2.5重量%となる割合で配合した。
【0026】
ペレットにした上記フッ素樹脂混合物を、30mm単軸押出機(L/D:25)を用いて、孔径2.8mm、孔数6の紡糸口金より紡糸温度365℃で紡出し、引取ローラで100、200、300m/minの速度で引取った。
得られた熱溶融性フッ素樹脂混合繊維の電子顕微鏡(SEM)観察から、殆どの液晶ポリマーは直径3μm以下の繊維状構造を形成していた(図1)。また熱溶融性フッ素樹脂混合繊維の直径測定結果を表1に示す。
【0027】
また得られた熱溶融性フッ素樹脂混合繊維を試料長さ250mm、引張速度300mm/minの条件で引張り、引張弾性率、引張強度及び伸び率を測定した結果を表1に併記した。
【0028】
さらに熱溶融性フッ素樹脂混合繊維の収縮率を測定した結果を表1に併記する。尚、収縮率は、長さ300mmの試料を150℃、200℃、250℃で30分間熱処理した後、25℃に冷却し、その長さの変化から次式により求めた。
収縮率=((加熱前の長さー加熱後の長さ)/加熱前の長さ)×100
【0029】
[参考例1]
液晶ポリマーと相溶化剤を使用しない例である。PFAペレットをそのまま溶融紡糸して繊維を作り、延伸比率2倍で延伸ローラで延伸した後、実施例1〜3と同じ手順で繊維の直径、引張特性及び収縮率の測定を行った。結果を表1に併記する。
【0030】
【表1】
Figure 0004497711
【0031】
表1の熱溶融性フッ素樹脂混合繊維の直径測定結果からは、引取速度に比例して繊維の直径は細くなった。繊維の直径は場所に関係なくほぼ一定であった。また引張試験では、引取速度が速いと引張弾性率と引張強度は共に増加し、伸び率は減少した。これは引取速度の違いによって溶融紡糸過程で繊維状になる液晶ポリマーの径と長さが変わるためである。さらに熱溶融性フッ素樹脂混合繊維の方(実施例1〜3)が純粋なPFA(参考例1)より引張弾性率が高かった。これも熱溶融性フッ素樹脂混合繊維に液晶ポリマーが繊維状で存在していたためである。
【0032】
表1で分かるように、繊維状の液晶相がPFAマトリックス中に存在する方(実施例1〜3)が純粋なPFA繊維(参考例1)より収縮率がかなり小さくなっている。250℃でも繊維状の液晶相を含む繊維の収縮率は、純粋なPFA繊維の収縮率の約17%である。熱溶融性フッ素樹脂混合繊維の収縮率が引取速度の増加と共に一旦上がってから再び下がる理由は、引取速度が速くなると、繊維状の液晶相の直径は細くなり、その長さも短くなるためである。収縮率は液晶繊維の直径とその長さによって変化する。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、熱溶融性フッ素樹脂繊維のマトリックス中に液晶ポリマーを均一な繊維状に存在させることにより、収縮率が非常に小さく、強度及び弾性率が高い熱溶融性フッ素樹脂混合繊維を提供することができる。また、極性を持つ液晶ポリマー及び相溶化剤を含むことで、溶融紡糸中に静電気による繊維同士の絡み合いを防止できるという利点もある。
【0034】
さらに、通常の複合紡糸装置を用いて、本発明の熱溶融性フッ素樹脂混合繊維を芯成分とし、本発明の使用原料であるフッ素樹脂あるいは官能基を含有する熱溶融性フッ素樹脂を鞘成分となるような芯鞘法で得られる複合繊維は、熱溶融性フッ素樹脂混合繊維表面がフッ素樹脂に覆われているため、半導体関連装置でも液晶ポリマーによる装置汚染の問題が無くなる利点がある。また表面に出る官能基を含有する熱溶融性フッ素樹脂中の官能基の種類や量を変えることにより、熱溶融性フッ素樹脂混合繊維の濡れ特性や疎水性を制御することも可能になる。また耐薬品性も向上される。
【0035】
上記のような熱溶融性フッ素樹脂混合繊維あるいは複合繊維は、耐熱性、耐薬品性、高い強度、高温で小さい収縮率が要求されるゴミ焼却炉用のバックフィルターとしての用途にも有用である。とくに静電気を発生しにくいため、バックフィルターから粉塵を除去するのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3で得られた熱溶融性フッ素樹脂混合繊維の破断面の電子顕微鏡写真である。

Claims (4)

  1. 熱溶融性フッ素樹脂と熱可塑性液晶ポリマーの混合物からなる混合繊維であって、熱溶融性フッ素樹脂はテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)から選ばれるモノマーの重合体又は共重合体であり、かつ、熱溶融性フッ素樹脂の一部は、上記モノマーと、更に下記式(1)で表される官能基Xを含有するパーフルオロビニルエーテル化合物とを共重合させた共重合体であって、ポリマー混合物の相溶化剤として配合され、熱可塑性液晶ポリマーが熱溶融性フッ素樹脂マトリックス中に繊維状で分散しており、200℃における収縮率が10%以下である熱溶融性フッ素樹脂混合繊維。
    CF 2 =CF[OCF CF(CF )] −O−(CF 2 ) n −X・・・(1)
    [式中、mは0〜3、nは0〜4、Xは−COOH、−CH 2 COOH、−COOCH 3 、−CH 2 OH、−CN、−CH 2 O(CO)NH 2 、−CH 2 OCN、−CH 2 OP(O)(OH) 2 、−CH 2 OP(O)Cl 2 、または−SO 2 Fである。]
  2. 相溶化剤が、熱溶融性フッ素樹脂と熱可塑性液晶ポリマーの混合物の1〜20重量%の割合で配合されてなる請求項1記載の熱溶融性フッ素樹脂混合繊維。
  3. 請求項1〜2記載の熱溶融性フッ素樹脂混合繊維を芯成分とし、熱溶融性フッ素樹脂を鞘成分とする少なくとも2層構造を有する熱溶融性フッ素樹脂複合繊維。
  4. 請求項1〜2記載の熱溶融性フッ素樹脂と熱可塑性液晶ポリマーの混合物を、延伸比50〜9000、引取速度100m/min以上で溶融紡糸することを特徴とする熱溶融性フッ素樹脂混合繊維の製造方法。
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