JP4496908B2 - 耐焼戻し軟化性に優れるブレーキディスクおよびその製造方法 - Google Patents

耐焼戻し軟化性に優れるブレーキディスクおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4496908B2
JP4496908B2 JP2004287785A JP2004287785A JP4496908B2 JP 4496908 B2 JP4496908 B2 JP 4496908B2 JP 2004287785 A JP2004287785 A JP 2004287785A JP 2004287785 A JP2004287785 A JP 2004287785A JP 4496908 B2 JP4496908 B2 JP 4496908B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
composition
mass
brake disk
addition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2004287785A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005133204A (ja
Inventor
淳一郎 平澤
工 宇城
古君  修
明 梅津
信三 内牧
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2004287785A priority Critical patent/JP4496908B2/ja
Publication of JP2005133204A publication Critical patent/JP2005133204A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4496908B2 publication Critical patent/JP4496908B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Articles (AREA)
  • Braking Arrangements (AREA)

Description

本発明は、オートバイ、自動車、自転車等のディスクブレーキに用いられるディスク(回転体)に係り、とくにブレーキパッドとの摩擦部が適正焼入れ硬さを有し、かつ耐焼戻し軟化性に優れるブレーキディスクに関する。本発明でいう、「耐焼戻し軟化性に優れる」とは、制動時の摩擦熱により高温に保持されたのちの軟化が少なく、初期の適正硬さに近い硬さを維持できる特性を有することを意味する。
オートバイ、自動車、自転車等のディスクブレーキの機能は、ブレーキディスクとブレーキパッドとの摩擦により車輪の回転を抑え、車両を制動することにある。このため、ブレーキディスクには、適正硬さを有することが望まれている。硬さが軟らかいとブレーキの利きが弱くなると共にブレーキパッドとの摩擦により速く摩耗し、一方、硬すぎるとブレーキ鳴きが発生するという問題がある。ブレーキディスクの適正硬さとしては、HRC32〜38の硬さ範囲が推奨されている。ここで、HRCはJIS Z 2245に規定されるロックウェル硬さCスケールである。
ブレーキディスク用材料としては、従来から、硬さと耐食性の観点から、マルテンサイト系ステンレス鋼が使用されてきた。一時、SUS 420J2などの、炭素量が高いマルテンサイト系ステンレス鋼に、焼入れ焼戻し処理を施して使用されることもあったが、製造上の負荷が大きく、近年では、特許文献1や、特許文献2に示されるような、焼入れままで使用できる、低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼がブレーキディスク用材料として多く使用されるようになっている。
近年、地球環境保全の観点からオートバイや自動車等の燃費向上が要望されている。燃費向上には車体重量の軽量化が有効であり、車両の軽量化が指向されている。制動装置であるディスクブレーキも例外ではなく車両の更なる軽量化のために、ブレーキディスクの小型化、厚みの低減(薄肉化)などが図られている。
しかし、このブレーキディスクの小型化、薄肉化は、熱容量の低下を招き、制動時の摩擦熱によるブレーキディスクの温度上昇がより大きくなる。このため、このような小型化、薄肉化傾向に伴い、制動時のブレーキディスク温度が600℃以上になることが考えられ、従来の材料では、ブレーキディスクが焼戻されて軟化し耐久性が低下することが懸念され、耐焼戻し軟化性に優れたブレーキディスクが要望されている。
このような要望に対し、例えば、特許文献3には、Ti、Nb、V、Zrのうちの1種または2種以上を適正量含有し、ディスクブレーキ使用中の昇温に伴う軟化を効果的に抑制し硬度低下を抑制できる、低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼板が提案されている。
また、特許文献4には、NbあるいはNbに加えてさらにTi、V、Bを複合して適正量添加することにより焼戻し軟化を効果的に抑制できるとするディスクブレーキ用ステンレス鋼が提案されている。
また、特許文献5には、鋼中のC、N、Ni、Cu、Mn、Cr、Si、Mo、V、Ti及びAlの含有量の関係式であるGP値を50(%)以上に調整するとともに、Nb、Vを適正量含有することにより、使用時の昇温による材質劣化がほとんど生じない安価なディスクブレーキロータ用鋼が提案されている。
特開昭57-198249号公報 特開昭60-106951号公報 特開2002-146489号公報 特許第3315974号公報 特開2002−121656号公報
しかしながら、特許文献3、4,5に記載された技術では、コストの高い合金元素を比較的多量に添加する必要があり、ディスクブレーキの製造コストが高騰するうえ、600℃で長時間(1h程度)保持されると、硬さが急激に低下するという問題があった。
本発明は、こうした従来技術の問題を有利に解決し、適正焼入れ硬さを有し、かつ耐焼戻し軟化性に優れたブレーキディスクおよびその製造方法を提案することを目的とする。
本発明者らは、上記した課題を達成するために、マルテンサイト系ステンレス鋼板製ブレーキディスクの耐焼戻し軟化性に及ぼす各種要因について鋭意検討した。その結果、ブレーキディスク用材料を特定組成の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼とし、ブレーキディスクの焼入れ温度を、1000℃を超える高温とすることにより、適正焼入れ硬さを有し、かつ耐焼戻し軟化性が顕著に向上することを新たに見出した。図1に、mass%で、0.05%C−0.1%Si−12%Cr−1.5%Mn−0.01%N−残部Feからなる組成の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼について、耐焼戻し軟化性におよぼす焼入れ温度の影響を示す。焼入れは、焼入れ加熱温度で10min間保持したのち水冷(200℃までの平均で200℃/s)した。また、耐焼戻し軟化性は、焼入れした試片を、500〜700℃間の各保持温度で1h保持したのち空冷し、表面の酸化層を除去したのち、表面でHRC硬さを測定して評価した。図1から、1000℃を超える温度に加熱したのち、焼入れすることにより、とくに多量の合金元素を含有することなく、600℃で1h保持後で、HRC27以上という高硬度を維持できることがわかる。
焼入れ後の金属組織を観察し、旧オーステナイト(以下、γともいう)粒の平均粒径を測定すると、焼入れ温度が1000℃の場合が10μm、1050℃の場合が15μm、1100℃の場合が20μmであった。すなわち、焼入れ後600℃で1h保持後した後の硬さが、HRC27以上という高硬度を維持するためには、旧γ粒の平均粒径が15μm以上の粗大な旧γ粒を有する金属組織とすることが重要であるという知見を得た。旧γ粒の平均粒径が15μm未満の微細な旧γ粒を有する金属組織では、焼戻し軟化抵抗が小さいという知見を得た。この現象の機構については、現在までには明確となってはいないが、本発明者らは、つぎのように考えている。
焼戻し過程では、Cr等合金元素が拡散し、粒界に達したものは析出しやすく、粒界に粗大な析出物を形成する。微細な旧γ粒を有する金属組織では、粒内のCr等合金元素から旧γ粒界までの距離が短く、焼戻しされると容易に旧γ粒界に達し粗大な析出物(Cr炭化物)を形成する。そのため、粒内には微細な析出物の形成は少なくなる。しかも粗大な析出物は析出強化への寄与が小さいため焼戻し軟化抵抗の増加には寄与しない。
一方、粗大な旧γ粒を有する金属組織では粒内のCr等合金元素から旧γ粒界までの距離が長いため、焼戻しされるとCr、Nb等合金元素が旧γ粒界まで達しにくく、微細な析出物(Cr炭化物、Nb炭窒化物等)が旧γ粒内にも析出する。この粒内の微細な析出物は転位運動の抵抗となり、焼戻し時の硬さ低下を抑制するため、粗大な旧γ粒を有する金属組織では、焼戻し軟化抵抗が大きくなるものと推察される。なお、耐焼戻し軟化性の観点からは旧γ粒の平均粒径は20μm以上とすることが好ましく、より好ましくは25μm以上である。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)mass%で、C:0.1%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:10.5〜15.0%、N:0.1%以下を、次(1)式および(2)式
5Cr+10Si+15Mo+30Nb−9Ni−5Mn−3Cu−225N−270C<42 ………(1)
0.03≦{C+N−(13/92)Nb}≦0.09 ………(2)
(ここに、Cr、Si、Mo、Nb、Ni、Mn、Cu、N、C:各元素の含有量(mass%))
を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、旧オーステナイト粒の平均粒径が20μm以上である金属組織とを有し、1100℃超えの温度からの焼入れ処理を施してなるブレーキディスク。
)(1)において、前記組成に加えてさらに、mass%でCu:0.01%以上1.0%未満を含有する組成とすることを特徴とするブレーキディスク。
)(1)または(2)において、600℃で1h保持する焼戻し処理後の硬さがHRCで27以上であることを特徴とするブレーキディスク。
)(1)ないし()のいずれかにおい、前記組成に加えてさらに、mass%で、Mo:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とするブレーキディスク。
)(1)ないし()のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、mass%で、Co:0.01〜1.0%を含有する組成とすることを特徴とするブレーキディスク。
)(1)ないし()のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、mass%で、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Ta:0.02〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とするブレーキディスク。
)(1)ないし()のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、mass%で、B:0.0005〜0.0050%、Ca:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とするブレーキディスク。
mass%で、C:0.1%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:10.5〜15.0%、N:0.1%以下を含み、さらに、Cu:1.0〜3.0%と、さらに次の各群;Mo:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種の群、Co:0.01〜1.0%の群、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Ta:0.02〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上の群、B:0.0005〜0.0050%、Ca:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種の群、のうちから選ばれた1群または2群以上を、次(1)式および(2)式
5Cr+10Si+15Mo+30Nb−9Ni−5Mn−3Cu−225N−270C<42 ………(1)
0.03≦{C+N−(13/92)Nb}≦0.09 ………(2)
(ここに、Cr、Si、Mo、Nb、Ni、Mn、Cu、N、C:各元素の含有量(mass%))
を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、旧オーステナイト粒の平均粒径が20μm以上である金属組織とを有し、1100℃超えの温度からの焼入れ処理を施してなるブレーキディスク。
mass%で、C:0.1%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:10.5〜15.0%、N:0.1%以下を含み、さらに、Nb:0.02〜0.6%と、さらに次の各群;Mo:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種の群、Co:0.01〜1.0%の群、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Ta:0.02〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上の群、B:0.0005〜0.0050%、Ca:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種の群、のうちから選ばれた1群または2群以上を、次(1)式および(2)式
5Cr+10Si+15Mo+30Nb−9Ni−5Mn−3Cu−225N−270C<42 ………(1)
0.03≦{C+N−(13/92)Nb}≦0.09 ………(2)
(ここに、Cr、Si、Mo、Nb、Ni、Mn、Cu、N、C:各元素の含有量(mass%))
を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、旧オーステナイト粒の平均粒径が20μm以上である金属組織とを有し、1100℃超えの温度からの焼入れ処理を施してなるブレーキディスク。
10)()において、析出物として析出したNb量である析出Nbと、含有するNbの全量である全Nbとの比、(析出Nb/全Nb)が次(3)式
(析出Nb/全Nb)≦0.5 ………(3)
(ここで、析出Nb、全Nb:mass%)
を満足することを特徴とするブレーキディスク。
11)()又は(10)において、前記組成に加えてさらに、mass%でCu:0.01〜0.5%を含有する組成とすることを特徴とするブレーキディスク。
12)()ないし(11)のいずれかにおいて、600℃で1h保持する焼戻し処理後の硬さがHRCで30以上であることを特徴とするブレーキディスク。
13)素材材料を加工して円盤形状のブレーキディスク用素材としたのち、該ブレーキディスク用素材に焼入れ処理を施し製品とするブレーキディスクの製造方法において、前記素材材料を、mass%で、C:0.1%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:10.5〜15.0%、N:0.1%以下を含み、次(1)式および(2)式
5Cr+10Si+15Mo+30Nb−9Ni−5Mn−3Cu−225N−270C<42 ………(1)
0.03≦{C+N−(13/92)Nb}≦0.09 ………(2)
(ここに、Cr、Si、Mo、Nb、Ni、Mn、Cu、N、C:各元素の含有量(mass%))
を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼板とし、前記焼入れ処理を、1100℃超えの温度に加熱したのち、1℃/s以上の冷却速度で冷却する処理とし、金属組織を旧オーステナイト粒の平均粒径が20μm以上である組織とすることを特徴とする耐焼戻し軟化性に優れたブレーキディスクの製造方法。
14)(13)において、前記組成に加えてさらに、mass%で、Cu:0.01〜1.0%未満を含有する組成とすることを特徴とするブレーキディスクの製造方法。
15)(13)または(14)において、前記組成に加えてさらに、mass%で、Mo:0.012.0%、Ni:0.01〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とするブレーキディスクの製造方法。
16)(13)ないし(15)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、mass%で、Co:0.01〜1.0%を含有する組成とすることを特徴とするブレーキディスクの製造方法。(17)(13)ないし(16)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、mass%で、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Ta:0.02〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とするブレーキディスクの製造方法。(18)(13)ないし(17)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、mass%で、B:0.00050.0050%、Ca:0.00050.0050%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とするブレーキディスクの製造方法。
19)(13)において、前記素材材料を、mass%で、C:0.1%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:10.5〜15.0%、N:0.1%以下を含み、さらに、Cu:1.0〜3.0%と、さらに次の各群;Mo:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種の群、Co:0.01〜1.0%の群、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Ta:0.02〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上の群、B:0.0005〜0.0050%、Ca:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種の群、のうちから選ばれた1群または2群以上を、前記(1)式および(2)式を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼板とすることを特徴とするブレーキディスクの製造方法。
20)(13)において、前記素材材料を、mass%で、C:0.1%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:10.5〜15.0%、N:0.1%以下を含み、さらに、Nb:0.02〜0.6%と、さらに次の各群;Mo:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種の群、Co:0.01〜1.0%の群、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Ta:0.02〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上の群、B:0.0005〜0.0050%、Ca:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種の群、のうちから選ばれた1群または2群以上を、前記(1)式および(2)式を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼板とすることを特徴とするブレーキディスクの製造方法。
21)(20)において、前記組成に加えてさらに、mass%で、Cu:0.010.5%を含有する組成とすることを特徴とするブレーキディスクの製造方法。
本発明によれば、HRC32〜38という適正焼入れ硬さを有しかつ、耐焼戻し軟化性に優れたブレーキディスクを容易にしかも安価に製造でき、産業上格段の効果を奏する。
ブレーキディスクの製造手順は通常、つぎのとおりである。
まず、素材材料であるマルテンサイト系ステンレス鋼板から所定寸法の円盤を打抜き加工し、ブレーキディスク用素材とする。ついで、このブレーキディスク用素材に、制動時に発生する摩擦熱を逃がす穴をあける、などの加工を施したのち、ブレーキディスク用素材の所定領域、すなわちブレーキパッドが当たる部分である摩擦部に、高周波誘導加熱等により所定の焼入れ温度に加熱したのち冷却する、焼入れ処理を施し、所定領域(摩擦部)を所望の硬さに調整する。ついで、必要に応じ、摩擦部以外や打抜き剪断面に塗装を施したのち、焼入れ処理で形成された酸化層を研削等により除去し、製品(ブレーキディスク)とする。
本発明では、素材材料として、特定条件を満足する組成の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼板を使用する。使用する低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼板としては、mass%で、C:0.1%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:10.5〜15.0%、N:0.1%以下を含み、かつ次(1)式および(2)式
5Cr+10Si+15Mo+30Nb−9Ni−5Mn−3Cu−225N−270C<42 ………(1)0.03≦{C+N−(13/92)Nb}≦0.09 ………(2)
(ここに、Cr、Si、Mo、Nb、Ni、Mn、Cu、N、C:各合金元素の含有量(mass%))
を満足するように各合金元素を含有する組成を有する鋼板とすることが好ましい。なお、本発明でいう「鋼板」は鋼帯をも含むものとする。また、鋼板は熱延鋼板、冷延鋼板のいずれでもよい。
まず、本発明で使用する素材材料の組成限定理由について、説明する。なお、以下、組成におけるmass%は、単に%と記す。
C:0.1%以下、
Cは、Nとともに焼入れ後のブレーキディスクの硬さを決める元素であり、本発明では、0.01%以上、好ましくは0.03%以上含有することが望ましいが、0.1%を超えて含有すると、粗大なCr炭化物を形成し、発錆の起点となり、耐食性を低下させるとともに、靭性を低下させる。靭性、耐食性の観点から、Cは0.1%以下に限定した。なお、耐食性の観点から好ましくは0.05%未満である。
N:0.1%以下
Nは、Cと同様に、焼入れ後のブレーキディスクの硬さを決める元素である。また、Nは500〜700℃の温度範囲で微細なCr窒化物(CrN)を形成し、その析出硬化作用により耐焼戻し軟化性を向上させる。このような効果を得るためには、Nは0.03%を超えて含有することが望ましい。一方、0.1%を超える含有は、靭性の低下を招くため、本発明ではNは0.1%以下に限定した。
Cr:10.5〜15.0%
Crは、ステンレス鋼の特徴である耐食性を向上させる有用な元素であり十分な耐食性を確保するためには、10.5%以上の含有を必要とする。一方、15.0%を超える含有は、加工性、靭性を低下させる。このため、Crは10.5〜15.0%に限定した。なお、耐食性の観点からは11.5%超、また靭性の観点からは13.5%以下とすることが好ましい。
Si:1.0%以下、
Siは、脱酸剤として有力な元素であり、0.05%以上含有することが望ましい。また、Siはフェライト相を安定化する元素であり、1.0%を超える過剰な含有は焼入れ性を低下させて焼入れ硬さを低下させ、さらに靭性を低下させる。このため、Siは1.0%以下に限定した。なお、靭性の観点から、好ましくは0.5%以下である。
Mn:2.0%以下、
Mnは、高温でのδ−フェライト相の生成を抑制し、焼入れ性を向上させ、安定した焼入れ硬さを得るために有用な元素であり、0.3%以上含有することが望ましい。一方、2.0%を超える過剰な含有は、耐食性を低下させる。このため、Mnは2.0%以下に限定する。なお、焼入れ性向上の観点からは好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは1.5%以上である。
本発明では、上記した基本成分を上記した範囲の内で、かつ次(1)および(2)式
5Cr+10Si+15Mo+30Nb−9Ni−5Mn−3Cu−225N−270C<42 ………(1)
0.03≦{C+N−(13/92)Nb}≦0.09 ………(2)
(ここに、Cr、Si、Mo、Nb、Ni、Mn、Cu、N、C:各合金元素の含有量(mass%))
を満足するように、含有する。なお、(1)式の左辺、(2)式の中間項の値の計算においては、0.01%未満のCu、0.02%未満のNb、0.01%未満のMo、0.01%未満のNiは含有しないものとして零として計算するものとする。
(1)式は、優れた焼入れ安定性を確保するための条件である。ここでいう「焼入れ安定性に優れた」とは、焼入れ加熱時にオーステナイト(γ)相が80体積%以上生成し、空冷以上の速い冷却による焼入れに際し、オーステナイト相がマルテンサイト相に変態し安定して所定の焼入れ硬さが確保でき、オーステナイト領域が広く、焼入れ加熱度範囲が広くとれることを意味する。(1)式の左辺が42以上では、焼入れ加熱時にオーステナイト相が80体積%以上生成しないか、あるいは生成する温度範囲が極端に狭くなり、安定した焼入れ硬さを確保できなくなる。このため、(1)式の右辺値を42未満に限定した。
(2)式は、焼入れ硬さを所定の適正範囲内の硬さとするための条件である。焼入れ硬さはC、N量と強い相関がある。一方、C、NがNbと結合しNb炭化物、Nb窒化物を形成すると、硬さには寄与しなくなる。そのため、焼入れ後の硬さは、鋼中のC、N量から析出物となり消費されたC、N量を差し引いた値で考える必要がある。(2)式の中間項が0.03未満では、ブレーキディスクの硬さが所定の適正範囲の下限値(HRC32)未満となり、一方、0.09を超えて大きくなると、上限値(HRC38)を超えて高くなる。このため、(2)式の中間項の値を0.03〜0.09の範囲に限定した。
本発明で使用する素材材料では、上記した基本成分範囲としたうえで、さらに、P:0.04%以下、S:0.010%以下、Al:0.2%以下に調整することが好ましい。
P:0.04%以下
Pは、熱間加工性を低下させる元素であり、できるだけ低減することが望ましいが、過剰な低減は製造コストの高騰を招くため、0.04%を上限とすることが好ましい。なお、製造性の観点からはPは0.03 %以下とすることがより好ましい。
S:0.010%以下
Sは、Pと同様に、熱間加工性を低下させる元素であり、できるだけ低減することが望ましいが、過剰な低減は製造コストの高騰を招くため0.010%を上限とすることが好ましい。なお、より好ましくは、製造性の観点からは0.005%以下である。
Al:0.2%以下
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、製鋼上脱酸剤として添加するが、不可避的不純物として鋼中に過剰に残留させると、耐食性、靭性を低下させる。このため、Alは0.2%以下に限定することが好ましい。なお、耐食性の観点からより好ましくは0.05%以下である。
上記した基本成分に加えてさらに、耐食性の観点等からCu:0.01〜1.0%未満を前記(1)および(2)式を満足するように含有することができる。
Cu:0.01〜1.0%未満
Cuは、耐食性改善効果を有する元素であり、必要に応じその効果が得られる0.01%以上1.0%未満含有することが好ましい。なお、靭性の観点からは0.5%未満とすることがより好ましい。また、CuをNbと複合含有する場合には、0.5%超えて含有すると靭性が劣化するため、Cuは0.01〜0.5%の範囲に限定することが好ましい。
素材材料を上記した基本成分、あるいはさらに選択成分の範囲内の組成とし、ブレーキパッドとの摩擦部に後述する焼入れ処理を施し、旧γ粒の平均粒径が20μm以上である金属組織とすることにより、600℃で1h保持する焼戻し処理後の硬さがHRC27以上となる耐焼戻し軟化性を有するブレーキディスクとなる。
旧γ粒の平均粒径:20μm以上
本発明のブレーキディスクでは、600℃以上で1h保持する焼戻し処理後の硬さをHRC27以上に維持するために旧γ粒の平均粒径を20μm以上とする。旧γ粒の平均粒径が20μm未満では前記したように、旧γ粒内に微細な析出物の析出が少なく、焼戻し軟化抵抗の増加が少ない。
なお、旧γ粒の平均粒径は、さらに好ましくは25μm以上である。
また、上記した基本成分に加えてさらに、Cu:1.0〜3.0%、またはNb:0.02〜0.6%を前記(1)および(2)式を満足するように含有する組成とし、後述する焼入れ処理を施すことにより、焼戻し処理後の硬さがHRC30以上となるブレーキディスクとすることができる。
Cu:1.0〜3.0%
Cuは、1.0%以上含有すると、焼戻しでε−Cuとして微細に析出し、耐焼戻し軟化性を向上させる元素であり、必要に応じ含有できる。しかし、3.0%を超えて含有すると、靭性が劣化する。このため、耐焼戻し軟化性向上の目的で含有する場合には、Cuは1.0〜3.0%の範囲に限定することが好ましい。
Nb:0.02〜0.6%
Nbは、焼入れ後600℃程度の温度に保持された際に、炭窒化物を形成し析出強化により、高温保持による硬さ低下を抑制する作用、すなわち耐焼戻し軟化性を向上させる元素であり、必要に応じ含有できる。このような効果を得るためには、Nbを0.02%以上含有することが望ましいが、Nbを0.6%超えて含有すると、靭性が低下する。このため、Nb:0.02〜0.6%の範囲に限定することが好ましい。なお、耐焼戻し軟化性の観点からは0.08%超、靭性の観点からは0.3%未満とすることが好ましい。
なお、本発明では、析出物として析出したNb量である析出Nbと、含有する全Nb量である全Nbとの比が、次(3)式
(析出Nb/全Nb)≦0.5 ………(3)
(ここで、析出Nb、全Nb:mass%)
を満足するように調整することが望ましい。焼入れ前(焼鈍時)の鋼板では(析出Nb)/(全Nb)が0.9以上であり、焼入れ処理により、析出Nbの一部が固溶する。固溶したNbは、焼戻し時に微細に析出し、析出強化をもたらす。(3)式が満足されない場合、すなわち、(析出Nb/全Nb)が0.5超えでは、固溶Nb量が少なくなり、焼戻し時に微細に析出するNb量が少なく耐焼戻し軟化性が劣化する。なお、耐焼戻し軟化性の観点からは(析出Nb/全Nb)は0.42以下とすることが好ましく、より好ましくは0.3以下である。(析出Nb/全Nb)を0.5以下とするには1000℃超え、好ましくは1050℃超、より好ましくは1100℃超の高温焼入れ処理を行い、析出したNbをできるだけ固溶させることが望ましい。なお、析出Nb量は、ブレーキディスクから採取した試料について、後述する電解処理により抽出された電解抽出残渣の化学分析により測定するものとする。なお、全Nb量は通常の化学分析により求めるものとする。
また、本発明では、上記した基本成分、あるいはさらに選択成分の範囲内で、さらに必要に応じ、Mo:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%のうちの1種または2種を前記(1)および(2)式を満足するように含有できる。
Mo:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種
Mo、Niは、いずれも耐食性を向上させる元素であり、必要に応じ選択して含有できる。また、Niは、600℃を超える高温でのCr炭化物の析出を遅らせて、マルテンサイト組織の硬さ低下を抑制し、耐焼戻し軟化性の向上にも寄与する。MoもNiと同様に、炭窒化物の析出を抑制し、耐焼戻し軟化性を向上させる効果を有する。このような効果は、Moが0.01%以上、Niが0.01%以上の含有で認められる。耐焼戻し軟化性の観点からはMo:0.02%以上、Ni:0.1%以上含有することが好ましい。一方、Moが2.0%、Niが2.0%を超えて含有しても、耐焼戻し軟化性向上効果が飽和し含有量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利となる。このため、Moは0.01〜2.0%、Niは0.01〜2.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、Moの耐焼戻し軟化性向上効果は0.05%未満の含有でも十分にあらわれる。またNiを0.5%以上含有すると、耐焼戻し軟化性がさらに向上する。
本発明では、上記した基本成分、選択成分に加えてさらに、Co 、あるいはTi、V、Zr、Taのうちから選ばれた1種または2種以上、B、Caのうちから選ばれた1種または2種を、必要に応じ含有できる。
Co:0.01〜1.0%
Coは、耐食性向上に有効な元素であり、必要に応じて0.01%以上含有することが望ましい。一方、1.0%を超える含有は、靭性を低下させる。このため、Coは0.01〜1.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、靭性の観点からより好ましくは0.3%以下である。
Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Ta:0.02〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上
Ti、V、Zr、Taはいずれも、炭窒化物を形成し析出硬化により耐焼戻し軟化性を向上させる作用を有する元素であり、必要に応じ選択して1種または2種以上含有できる。このような効果は、Ti:0.02%以上、V:0.02%以上、Zr:0.02%以上、Ta:0.02%以上のそれぞれの含有で顕著となる。とくに、Vの耐焼戻し軟化性向上効果は大きく、Vは0.05%以上含有することが好ましい。一方、Ti:0.3%、V:0.3%、Zr:0.3%、Ta:0.3%をそれぞれ超える含有は、靭性の低下が著しくなる。このため、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Ta:0.02〜0.3%の範囲に限定することが好ましい。
B:0.0005〜0.0050%、Ca:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種
B、Caは、微量の含有で鋼の焼入れ性を向上させる作用を有する元素であり、必要に応じ選択して含有できる。このような効果を得るためには、それぞれB:0.0005%以上、Ca:0.0005%以上の含有で認められるが、B:0.0050%、Ca:0.0050%をそれぞれ超える含有は耐食性を低下させる。このため、B:0.0005〜0.0050%、Ca:0.0005〜0.0050%の範囲に限定することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、Na等のアルカリ金属、Mg、Ba等のアルカリ土類金属、Y、La等の希土類元素、Hf等の遷移元素が、それぞれ0.05%以下程度含有されていても、本発明の効果を何ら妨げるものではない。
上記した組成を有する素材材料の製造方法は、とくに限定されるものではなく、公知の製造方法がいずれも適用できる。たとえば、上記した組成の溶鋼を、転炉、電気炉等で溶製し、さらに溶鋼にVOD(Vacuum Oxygen Decarburization)、AOD(Argon Oxygen Decarburization)等の二次精錬を施したのち、公知の鋳造方法で鋼素材とされる。鋳造方法としては連続鋳造法とすることが、生産性および品質の観点から好ましい。
鋼素材はついで、好ましくは1100〜1200℃に加熱され、熱間圧延により所定板厚の熱延鋼板とされることが好ましい。ブレーキディスク用の素材材料としては板厚3〜8mm程度とすることが好ましい。熱延鋼板は、さらに熱延板焼鈍を施され、さらに必要に応じショットブラスト、酸洗等により脱スケールされて、ブレーキディスク用の素材材料とされる。なお、熱延板焼鈍はバッチ式箱型炉で、650〜850℃程度の温度で、10h程度保持することが好ましい。
素材材料から、打抜き等の加工により円盤状のブレーキディスク用素材を得る。得られたブレーキディスク用素材の所定の領域(ブレーキパッドとの摩擦部)に焼入れ処理を施し、ブレーキディスクとする。本発明における焼入れ処理は、γ領域内の1100℃超えの焼入れ加熱温度に加熱したのち、冷却速度:1℃/s以上の冷却速度で冷却する処理とする。
焼入れ加熱温度は、γ領域内の温度でとくに1100℃を超える温度とする。ここで、γ領域とはオーステナイト相が80体積%以上生成する領域をいうものとする。焼入れ加熱温度が1100℃を超える温度とすることにより、適正な焼入れ硬さを確保できるとともに、平均粒径:20μm以上の旧γ粒を有する金属組織とすることができ、前記したように高温保持後の硬さ低下が抑制され、耐焼戻し軟化性が顕著に向上する。焼入れ加熱温度が1100℃以下では、高温保持後の硬さ低下が顕著となる
また、焼入れ加熱温度が1200℃を超えると、δ−フェライトの生成量が多くなり、80体積%以上のオーステナイト相を得ることができなくなる場合が多くなるため、1200℃以下とすることが好ましい。焼入れ安定性の観点からは焼入れ加熱温度は1150℃以下とすることが好ましい。
なお、焼入れ加熱の保持時間は、フェライトからオーステナイトへの変態を十分に進行させるという観点から30s以上とすることが望ましい。
1100℃を超える温度に加熱し冷却する焼入れ処理を施すことにより耐焼戻し軟化性が向上する現象は、図2に示すように、合金元素含有量が異なる低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼A、Bのいずれにも認められるものである。合金元素量が多いB鋼(mass%で、0.04%C−0.1%Si−1.5%Mn−12.2%Cr−0.04%N−0.13%Nb)では、合金元素量の少ないA鋼(mass%で、0.05%C−0.1%Si−1.3%Mn−12.2Cr−0.01%N)に比べ、高温保持後の硬さは全体として高い値を示すが、A鋼、B鋼いずれも1100℃を超える温度に加熱し焼入れた場合に、高温保持後の硬さが顕著に高くなる。とくに、Nbを含有するB鋼では、1100℃超えの温度に加熱し冷却する焼入れ処理を施すことにより、図2中に付記するように焼入れ後の析出Nb/全Nbが0.5以下となり、600℃×1h保持後の硬さがHRC30以上を示し、耐焼戻し軟化性が顕著に向上する。
加熱後、1℃/s以上の冷却速度でMs点以下、望ましくは200℃以下まで冷却する。冷却速度が1℃/s未満では、焼入れ加熱温度で生成したオーステナイト相の一部が、フェライト相に変態し、マルテンサイト相の生成量が低下し焼入れ硬さを適正範囲内の硬さとすることができなくなる。なお、好ましくは5〜500℃/sである。安定した焼入れ硬さを確保するためには、100℃/s以上の冷却速度で冷却することが好ましい。
このようにして得られたブレーキディスクは、上記した低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼組成を有し、ブレーキパッドとの摩擦部を、γ領域内の1100℃超えの温度に加熱、焼入れしてなるブレーキディスクであり、耐焼戻し軟化性に優れることを特徴とする。なお、焼入れ加熱方法は、とくに限定されないが、生産性の観点から高周波誘導加熱とすることが好ましい。
以下、実施例に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。
表1に示す組成の溶鋼を高周波溶解炉で溶製し、鋳造して鋼素材とした。ついで、これら鋼素材を通常の熱間圧延により、熱延鋼板(板厚:5mm)とした。さらにこれら熱延鋼板に800℃×8hの熱延板焼鈍(還元性ガス雰囲気、加熱後徐冷)を施した。ついでこれら熱延鋼板に酸洗処理を施し、表面のスケールを除去して、ブレーキディスク用素材材料とした。
これら素材材料から、試験材(大きさ:t×30×30mm)を採取し、表2に示す焼入れ加熱温度に加熱(保持:10min)したのち、表2に示す冷却速度で焼入れした。焼入れ後、試験片を採取して、組織観察、析出Nb量の測定、焼入れ安定性試験、耐焼戻し軟化性試験を実施した。組織観察方法、析出Nb量の測定方法、焼入れ安定性試験、耐焼戻し軟化性試験の試験方法はつぎのとおりとした。
(1)組織観察
焼入れ処理後、組織観察用試験片を採取し、該試験片の圧延方向と平行な板厚方向断面を研磨し、村上試液(赤血塩のアルカリ溶液(赤血塩:10g、カセイカリ:10g、水:100cc))で腐食し、旧γ粒界を現出させ、光学顕微鏡(400倍)で5視野以上(1視野0.2×0.2mm)観察し、画像解析装置を用いて視野内に含まれる各粒の面積を測定して円相当直径を算出し、該各粒の円相当直径の平均値を各試験片の旧γ粒の平均粒径とした。
(2)析出Nb量の測定
焼入れ処理後、電解抽出用試験片を採取し、該試験片について電解液:10v/v%アセチルアセトン−1w/v%塩化テトラメチルアンモニウム−メタノール(AA系)を用いた電解処理を実施し、ろ過により残渣を抽出した。抽出された残渣について、高周波誘導結合プラズマ(Inductively Couped Plasma)発光分光分析法によりNb量を測定し、析出物となっている析出Nb量とした。
(3)焼入れ安定性試験
焼入れ後の試験片に、酸洗処理を施して表面のスケールを除去したのち、JIS Z 2245の規定に準拠してロックウェル硬度計で表面硬さHRCを5点測定し、その平均値を焼入れ硬さとした。
(4)耐焼戻し軟化性試験
焼入れ後の試験片に、さらに表2に示す条件の焼戻し処理(加熱保持後空冷)を実施した。焼戻し処理を施された試験片に、酸洗処理を施して表面のスケールを除去したのち、JIS Z 2245の規定に準拠してロックウェル硬度計で表面硬さHRCを5点測定し、その平均値を求め、耐焼戻し軟化性を評価した。
得られた結果を表2に示す。
なお、表2に中に示すγ領域の最高温度とは、オーステナイト(γ)相が80体積%以上生成する温度の最高温度をいう。
Figure 0004496908
Figure 0004496908
Figure 0004496908
本発明例はいずれも、焼入れ硬さがHRC32〜38の範囲内にあり、焼入れ安定性に優れ、さらに優れた耐焼戻し軟化性を有している。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、焼入れ硬さがHRC32〜38の範囲を外れるか、あるいは耐焼戻し軟化性が低下している。焼入れ処理が本発明の範囲を外れる比較例では、焼戻し後の硬さが低く所望の硬さを満足できない。
耐焼戻し軟化性におよぼす焼入れ温度の影響を示すグラフである。 600℃×1h焼戻し後の硬さにおよぼす焼入れ加熱温度の影響を示すグラフである。

Claims (21)

  1. mass%で、
    C:0.1%以下、 Si:1.0%以下、
    Mn:2.0%以下、 Cr:10.5〜15.0%、
    N:0.1%以下
    を、下記(1)式および(2)式を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、旧オーステナイト粒の平均粒径が20μm以上である金属組織とを有し、1100℃超えの温度からの焼入れ処理を施してなるブレーキディスク。

    5Cr+10Si+15Mo+30Nb−9Ni−5Mn−3Cu−225N−270C<42 ………(1)
    0.03≦{C+N−(13/92)Nb}≦0.09 ………(2)
    ここに、Cr、Si、Mo、Nb、Ni、Mn、Cu、N、C:各元素の含有量(mass%)
  2. 前記組成に加えてさらに、mass%でCu:0.01%以上1.0%未満を含有する組成とすることを特徴とする請求項に記載のブレーキディスク。
  3. 600℃で1h保持する焼戻し処理後の硬さがHRCで27以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキディスク。
  4. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Mo:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のブレーキディスク。
  5. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Co:0.01〜1.0%を含有する組成とすることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のブレーキディスク。
  6. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Ta:0.02〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のブレーキディスク。
  7. 前記組成に加えてさらに、mass%で、B:0.0005〜0.0050%、Ca:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のブレーキディスク。
  8. 前記組成を、mass%で、
    C:0.1%以下、 Si:1.0%以下、
    Mn:2.0%以下、 Cr:10.5〜15.0%、
    N:0.1%以下
    を含み、さらに、Cu:1.0〜3.0%と、さらに次の各群;Mo:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種の群、Co:0.01〜1.0%の群、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Ta:0.02〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上の群、B:0.0005〜0.0050%、Ca:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種の群、のうちから選ばれた1群または2群以上を、前記(1)式および(2)式を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成とすることを特徴とする請求項1に記載のブレーキディスク。
  9. 前記組成を、mass%で、
    C:0.1%以下、 Si:1.0%以下、
    Mn:2.0%以下、 Cr:10.5〜15.0%、
    N:0.1%以下
    を含み、さらに、Nb:0.02〜0.6%と、さらに次の各群;Mo:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種の群、Co:0.01〜1.0%の群、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Ta:0.02〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上の群、B:0.0005〜0.0050%、Ca:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種の群、のうちから選ばれた1群または2群以上を、前記(1)式および(2)式を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成とすることを特徴とする請求項1に記載のブレーキディスク。
  10. 析出物として析出したNb量である析出Nbと、含有するNbの全量である全Nbとの比、(析出Nb/全Nb)が下記(3)式を満足することを特徴とする請求項に記載のブレーキディスク。

    (析出Nb/全Nb)≦0.5 ………(3)
    ここで、析出Nb、全Nb:mass%
  11. 前記組成に加えてさらに、mass%でCu:0.01〜0.5%を含有する組成とすることを特徴とする請求項又は10に記載のブレーキディスク。
  12. 600℃で1h保持する焼戻し処理後の硬さがHRCで30以上であることを特徴とする請求項ないし10のいずれかに記載のブレーキディスク。
  13. 素材材料を加工して円盤形状のブレーキディスク用素材としたのち、該ブレーキディスク用素材に焼入れ処理を施し製品とするブレーキディスクの製造方法において、前記素材材料を、mass%で、
    C:0.1%以下、 Si:1.0%以下、
    Mn:2.0%以下、 Cr:10.5〜15.0%、
    N:0.1%以下
    を含み、下記(1)式および(2)式を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼板とし、前記焼入れ処理を、1100℃超えの温度に加熱したのち、1℃/s以上の冷却速度で冷却する処理とし、金属組織を旧オーステナイト粒の平均粒径が20μm以上である組織とすることを特徴とする耐焼戻し軟化性に優れたブレーキディスクの製造方法。

    5Cr+10Si+15Mo+30Nb−9Ni−5Mn−3Cu−225N−270C<42 ………(1)
    0.03≦{C+N−(13/92)Nb}≦0.09 ………(2)
    ここに、Cr、Si、Mo、Nb、Ni、Mn、Cu、N、C:各元素の含有量(mass%)
  14. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Cu:0.01〜1.0%未満を含有する組成とすることを特徴とする請求項13に記載のブレーキディスクの製造方法。
  15. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Mo:0.012.0%、Ni:0.01〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする請求項13または14に記載のブレーキディスクの製造方法。
  16. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Co:0.01〜1.0%を含有する組成とすることを特徴とする請求項13ないし15のいずれかに記載のブレーキディスクの製造方法。
  17. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Ta:0.02〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項13ないし16のいずれかに記載のブレーキディスクの製造方法。
  18. 前記組成に加えてさらに、mass%で、B:0.00050.0050%、Ca:0.00050.0050%のうちから選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする請求項13ないし17のいずれかに記載のブレーキディスクの製造方法。
  19. 前記素材材料を、mass%で、
    C:0.1%以下、 Si:1.0%以下、
    Mn:2.0%以下、 Cr:10.5〜15.0%、
    N:0.1%以下
    を含み、さらに、Cu:1.0〜3.0%と、さらに次の各群;Mo:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種の群、Co:0.01〜1.0%の群、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Ta:0.02〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上の群、B:0.0005〜0.0050%、Ca:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種の群、のうちから選ばれた1群または2群以上を、前記(1)式および(2)式を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼板とすることを特徴とする請求項13に記載のブレーキディスクの製造方法。
  20. 前記素材材料を、mass%で、
    C:0.1%以下、 Si:1.0%以下、
    Mn:2.0%以下、 Cr:10.5〜15.0%、
    N:0.1%以下
    を含み、さらに、Nb:0.02〜0.6%と、さらに次の各群;Mo:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種の群、Co:0.01〜1.0%の群、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%、Zr:0.02〜0.3%、Ta:0.02〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上の群、B:0.0005〜0.0050%、Ca:0.0005〜0.0050%のうちから選ばれた1種または2種の群、のうちから選ばれた1群または2群以上を、前記(1)式および(2)式を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼板とすることを特徴とする請求項13に記載のブレーキディスクの製造方法。
  21. 前記組成に加えてさらに、mass%で、Cu:0.010.5%を含有する組成とすることを特徴とする請求項20に記載のブレーキディスクの製造方法。
JP2004287785A 2003-10-08 2004-09-30 耐焼戻し軟化性に優れるブレーキディスクおよびその製造方法 Active JP4496908B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004287785A JP4496908B2 (ja) 2003-10-08 2004-09-30 耐焼戻し軟化性に優れるブレーキディスクおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003349938 2003-10-08
JP2004287785A JP4496908B2 (ja) 2003-10-08 2004-09-30 耐焼戻し軟化性に優れるブレーキディスクおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005133204A JP2005133204A (ja) 2005-05-26
JP4496908B2 true JP4496908B2 (ja) 2010-07-07

Family

ID=34656020

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004287785A Active JP4496908B2 (ja) 2003-10-08 2004-09-30 耐焼戻し軟化性に優れるブレーキディスクおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4496908B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20070087166A (ko) 2005-03-17 2007-08-27 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 내열성과 내식성이 우수한 디스크 브레이크용 스테인리스강판
JP5200332B2 (ja) * 2005-04-21 2013-06-05 Jfeスチール株式会社 焼戻し軟化抵抗の大きいブレーキディスク
JP4788421B2 (ja) * 2006-03-17 2011-10-05 Jfeスチール株式会社 ブレーキディスク用高耐熱Cr含有鋼
RU2008141688A (ru) * 2006-04-21 2010-04-27 ДжФЕ СТИЛ КОРПОРЕЙШН (JP) Дисковые тормоза, обладающие высоким сопротивлением смягчающему отпуску
EP2042615A4 (en) * 2006-10-05 2011-08-03 Jfe Steel Corp BRAKE DISCS WITH EXCELLENT RESISTANCE TO ANNEALING AND EXCELLENT TENACITY
JP5466897B2 (ja) * 2009-07-22 2014-04-09 新日鐵住金ステンレス株式会社 低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼とその製造方法
WO2014123229A1 (ja) 2013-02-08 2014-08-14 新日鐵住金ステンレス株式会社 ステンレス鋼製ブレーキディスクとその製造方法
WO2016043050A1 (ja) * 2014-09-17 2016-03-24 新日鐵住金ステンレス株式会社 ブレーキディスク用マルテンサイト系ステンレス鋼とその製造方法
JP6417252B2 (ja) * 2014-09-17 2018-11-07 新日鐵住金ステンレス株式会社 ブレーキディスク用マルテンサイト系ステンレス鋼とその製造方法
JP2016117925A (ja) * 2014-12-19 2016-06-30 日新製鋼株式会社 ステンレス製4輪用ディスクブレーキロータおよびその製造方法
JP6615255B2 (ja) * 2018-03-28 2019-12-04 日鉄ステンレス株式会社 自動車用ディスクブレーキロータ
WO2023243323A1 (ja) * 2022-06-16 2023-12-21 日鉄ステンレス株式会社 ブレーキディスクローター用ステンレス鋼板及びその製造方法、並びにブレーキディスクローター及びその製造方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001003142A (ja) * 1999-06-22 2001-01-09 Nippon Steel Corp ディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼
JP2001192780A (ja) * 2000-01-07 2001-07-17 Nippon Steel Corp ディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼
JP2001192779A (ja) * 2000-01-07 2001-07-17 Nippon Steel Corp ディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼
WO2002018666A1 (fr) * 2000-08-31 2002-03-07 Kawasaki Steel Corporation Acier inoxydable martensitique a faible teneur en carbone et son procede de production
JP2003073743A (ja) * 2001-08-31 2003-03-12 Kawasaki Steel Corp 打ち抜き性に優れた低炭素マルテンサイト系ステンレス熱延鋼板の製造方法
JP2003147491A (ja) * 2001-11-07 2003-05-21 Nisshin Steel Co Ltd 耐反り性を改善したディスクブレーキ用鋼板およびディスク

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001003142A (ja) * 1999-06-22 2001-01-09 Nippon Steel Corp ディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼
JP2001192780A (ja) * 2000-01-07 2001-07-17 Nippon Steel Corp ディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼
JP2001192779A (ja) * 2000-01-07 2001-07-17 Nippon Steel Corp ディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼
WO2002018666A1 (fr) * 2000-08-31 2002-03-07 Kawasaki Steel Corporation Acier inoxydable martensitique a faible teneur en carbone et son procede de production
JP2003073743A (ja) * 2001-08-31 2003-03-12 Kawasaki Steel Corp 打ち抜き性に優れた低炭素マルテンサイト系ステンレス熱延鋼板の製造方法
JP2003147491A (ja) * 2001-11-07 2003-05-21 Nisshin Steel Co Ltd 耐反り性を改善したディスクブレーキ用鋼板およびディスク

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005133204A (ja) 2005-05-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4569360B2 (ja) 焼戻し軟化抵抗と靭性に優れるブレーキディスク
KR101126151B1 (ko) 템퍼링 연화 저항과 인성이 우수한 브레이크 디스크
JP5200332B2 (ja) 焼戻し軟化抵抗の大きいブレーキディスク
KR100698395B1 (ko) 디스크브레이크용 마르텐사이트계 스테인레스강
KR101248317B1 (ko) 브레이크 디스크용 강판 및 브레이크 디스크
TWI390051B (zh) Cr-containing low-carbon terrestrial steel
US20090162240A1 (en) Brake disk having high temper softening resistance
KR20070087166A (ko) 내열성과 내식성이 우수한 디스크 브레이크용 스테인리스강판
JP4496908B2 (ja) 耐焼戻し軟化性に優れるブレーキディスクおよびその製造方法
JP3315974B2 (ja) 焼戻し軟化抵抗の高いディスクブレーキ用ステンレス鋼
JP4843969B2 (ja) 耐熱性と耐食性に優れるディスクブレーキ用ステンレス鋼板
WO2022176707A1 (ja) ブレーキディスクローター用マルテンサイト系ステンレス鋼板、ブレーキディスクローターおよびブレーキディスクローター用マルテンサイト系ステンレス鋼板の製造方法
WO2007029626A1 (ja) 焼き入れ性に優れた耐熱ディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼板
JP5310793B2 (ja) 耐熱性と耐食性に優れるディスクブレーキ用ステンレス鋼板
JP4182865B2 (ja) 耐焼戻し軟化性に優れるディスクブレーキ用ステンレス鋼板
JP4308622B2 (ja) 耐焼戻し軟化性に優れたブレーキディスクおよびその製造方法
RU2417272C2 (ru) Дисковый тормоз, обладающий отличным сопротивлением смягчающему отпуску и ударной вязкостью
JP4517850B2 (ja) 耐熱応力割れ性に優れるディスクブレーキ用ステンレス鋼板
JP3900169B2 (ja) ディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼
JP2020164901A (ja) ディスクローター用フェライト系ステンレス鋼およびブレーキ用ディスクローター

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070920

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100323

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100405

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130423

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4496908

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130423

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140423

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250