JP4494996B2 - 不動態膜除去方法 - Google Patents

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本発明は、金属材の表面に自発的に生成した酸化物からなる不動態膜を除去する不動態膜除去方法に関する。
ステンレス鋼等の鉄族系合金の表面には、空気中の酸素で酸化されることによって自発的に生成した酸化鉄からなる不動態膜が存在する。この不動態膜は、例えば、該ステンレス鋼を窒化処理する際に窒化の進行を妨げ、結果として窒化効率を低下させる傾向にある。
そこで、窒化処理を施す前に不動態膜を除去することが広汎に行われている。この除去処理として、シアン化合物の水溶液等にステンレス鋼を浸漬する湿式法が従来から採用されているが、シアン化合物が有毒物であるため、作業者に負担が生じるとともに、除害機構を設置する必要があるという不都合がある。また、使用後の廃液を適切な方法で処理しなければならない。
このような不具合を回避するべく、機械研磨によって不動態膜を除去することや、フッ素を含む反応ガス雰囲気中で加熱処理を行うこと等、いわゆる乾式法が特許文献1、特許文献2にそれぞれ提案されている。しかしながら、特許文献1記載の方法では、ワークを所望の形状にすることが困難である。一方、特許文献2記載の方法には、フッ素ガスが有毒物であるために除害機構を設置しなければならず、このために設備投資が高騰するという不具合がある。また、有毒物を使用するため、作業環境が安全であるとは言い難い側面がある。
そこで、特許文献3に提案されているように、乾式法の1種である水素スパッタリングを採用することが想起される。この場合、水素ガスと窒素ガスの混合ガスを処理炉内に導入し、処理炉を陽極、補助電極を陰極、ワークを中立としてグロー放電を生起させ、これにより生じる水素イオンとアンモニアイオンとで不動態膜が還元除去される。
特開平5−263278号公報 特開平7−54123号公報 特公平2−2945号公報
しかしながら、特許文献3記載の方法には、CrやNi等の含有量が高い鋼材等、ある種の鋼材においては水素イオンやアンモニアイオンのワークに対する浸透・拡散深さが小さく、このために不動態膜の除去が不十分となるという不具合がある。従って、その後に実施されるプラズマ窒化によって形成される化合物層の厚みが不均一となったり、場合によっては、化合物層が形成されない部位が発生することが懸念される。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、金属材の表面に存在する不動態膜を、該金属材の材質に関わらず容易且つ簡便に除去することが可能であり、しかも、安全な環境下で実施することができる不動態膜除去方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、金属材の表面に存在する不動態膜を除去する不動態膜除去方法であって、
前記金属材に対し、アミノ系樹脂が存在する場で加熱処理を施すことを特徴とする。
アミノ系樹脂の存在下に加熱処理を行うと、アミノ系樹脂が熱分解を起こしてC、N、Hが遊離する。この遊離C、N、HとOが関与して生成したHCNやNOが不動態膜を攻撃することにより、最終的に、不動態膜が消失する。すなわち、本発明によれば、アミノ系樹脂の存在下に金属材を加熱処理するという極めて簡便な作業により、該金属材の表面に存在する不動態膜の略すべてを容易に除去することができる。
しかも、製品安全データシートによれば、アミノ系樹脂には毒性がない。このため、安全な環境下で作業を行うことができる。なお、HCNの生成量は数千ppmと僅かであり、しかも、排ガス燃焼時に即座に窒素と炭酸ガスに分解するので、除害設備を設ける必要は特にない。
ここで、不動態膜の消失は、例えば、窒化処理や浸炭処理を行う温度まで昇温する間の昇温過程中においても進行する。すなわち、本発明によれば、窒化処理や浸炭処理等の各種表面処理を行う際の昇温過程で不動態膜を消失させることができる。従って、不動態膜を除去するための温度保持プロセスを行う必要がない。このため、不動態膜を除去することに伴って各種表面処理の効率が低下することも特にない。
なお、アミノ系樹脂が存在する場で加熱処理が施された種々の金属材に対して窒化処理や浸炭処理等の表面処理を行うと、アミノ系樹脂が存在しない条件下で表面処理が施された金属材に比して硬度が向上する。しかも、硬度が向上する領域が一層内部まで及ぶ。このことは、アミノ系樹脂によって種々の金属材から不動態膜が有効に除去され、窒化や浸炭が十分且つ略均一に進行したことを意味する。すなわち、本発明によれば、金属材の種類に関わらず不動態膜の略すべてを除去することもできる。
ここで、アミノ系樹脂は、熱分解を起こして気相となり、金属材の周囲に雰囲気ガスとして存在するようになる。
アミノ系樹脂は、例えば、金属材の表面に塗布すればよい。その後、窒化処理や浸炭処理等の表面処理を施せば、アミノ系樹脂が存在しない場で表面処理が施された金属材に比して高い硬度及び厚みの大きな硬化層を有する種々の金属材を迅速に得ることができる。すなわち、不動態膜を容易且つ簡便に、しかも、迅速に除去することが可能である。
この場合、アミノ系樹脂を、溶媒を介して金属材の表面に塗布することが好ましい。これにより塗布ムラが生じ難くなるので、不動態膜を略均等に除去することができるからである。
塗布することに代替して、アミノ系樹脂を、金属材とともに熱処理炉内に収容して熱処理を施すようにしてもよい。この場合においても、不動態膜を容易且つ簡便に、しかも、安全な作業環境下で除去することができる。
ここで、アミノ系樹脂とは、アミノ基とホルムアルデヒドとを重縮合させることによって得られる樹脂を指称する。その代表的な例としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂又はホルマリン樹脂を挙げることができる。
一方、表面処理を施す金属材の好適な例としては、Fe合金、Ni合金、Al合金、Cu合金又はZn合金を挙げることができる。
表面処理方法としては、例えば、窒化処理を挙げることができる。この場合、熱処理の際にアンモニアガスやRXガス等を流通させればよい。
又は、熱処理の際に浸炭性ガスを流通させるようにしてもよい。この場合、金属材に対して浸炭処理を施すことができる。
本発明によれば、アミノ系樹脂が存在する場で金属材に対して加熱処理を施すようにしている。このような簡便な作業を行うことにより、安全な作業環境下で種々の金属材の表面に存在する不動態膜を容易に除去することができる。このため、その後、例えば、窒化処理を行えば、略均一な厚みの化合物層を金属材の略全表面に形成することができる。
以下、本発明に係る不動態膜除去方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に係る不動態膜除去方法は、金属材の表面にアミノ系樹脂を塗布する第1工程と、アミノ系樹脂が塗布された金属材を加熱処理する第2工程とを有する。なお、本実施の形態では、該金属材に対し、アンモニアガスとRXガスの混合ガスによるガス軟窒化処理を行う場合を例示して説明する。
先ず、金属材としては、その表面に酸化物からなる不動態膜が存在する部材が選定される。ここで、不動態膜は、通常、該金属材が空気中の酸素で酸化されることによって自発的に生成する。
この種の金属材としては、Fe合金又はNi合金からなる部材が例示される。Fe合金からなる部材は、特に限定されるものではないが、Crを含有する鋳鉄製部材や鋼材製部材、より具体的には、自動車の内燃機関を構成するクランクシャフトが好適な例として挙げられる。また、Ni合金からなる部材も特に限定されるものではないが、30Ni15Cr材等と表記されるいわゆるスーパーアロイからなるエンジンバルブを例示することができる。勿論、75Ni15Cr材等であってもよい。
一方のアミノ系樹脂とは、アミノ基(−NH2)とホルムアルデヒドとを重縮合させることによって得られる樹脂を指称し、その代表的なものとしては、下記の構造式(1)に示されるメラミン樹脂、構造式(2)に示される尿素樹脂、構造式(3)に示されるアニリン樹脂、ホルマリン樹脂等が挙げられる。なお、このようなアミノ系樹脂は、固形状又は粉末状で市販されている。
Figure 0004494996
Figure 0004494996
Figure 0004494996
代表的な例としては、組成式が(C639nで表されるメラミンホルマリン樹脂が挙げられる。
第1工程において、上記したようなアミノ系樹脂の粉末を前記金属材の表面に直接塗布するようにしてもよいが、水等の溶媒に粉末を分散させて懸濁液を調製し、この懸濁液を塗布することが好ましい。これにより、塗布ムラが生じることを回避することができ、結局、形成される化合物層の厚み等を略均等にすることができるからである。
塗布は、刷毛を使用する刷毛塗り法によって行えばよい。勿論、刷毛塗り法以外の公知の塗布技術を採用するようにしてもよい。
次に、アミノ系樹脂が直接、好ましくは懸濁液を介して塗布された金属材を、第2工程において、熱処理炉で加熱処理する。具体的には、金属材を熱処理炉に収容した後、該熱処理炉を昇温すればよい。
熱処理炉を昇温する過程中で、アミノ系樹脂が分解し始める。これによりアミノ系樹脂に含まれるC、N、Hが遊離し、この遊離したC、N、HによってHCNが形成される。Oが関与した場合には、NOもさらに生成する。不動態膜は、これらHCN又はNOから攻撃されることによって除去され、最終的に消失する。なお、HCNの生成量は数千ppm程度であり、しかも、金属材の加熱処理に伴って燃焼する。このため、除害設備を設ける必要は特にない。
このように、本実施の形態によれば、アミノ系樹脂を金属材に塗布し、その後に該金属材を加熱処理するという極めて簡便な作業により、該金属材の表面に存在する不動態膜の略すべてを容易に除去することができる。その上、熱処理炉等の既存の設備を活用することができるため、特段の設備投資が必要となることもない。
しかも、アミノ系樹脂には毒性がないので、安全な環境下で作業を行うことができる。
なお、この過程中、分解したアミノ系樹脂は最終的に気相となり、雰囲気ガスとして熱処理炉内に存在するようになる。
ここで、本実施の形態においては、不動態膜の除去処理に引き続いて金属材の窒化処理を行う。すなわち、昇温を続行して所定の温度に到達させ、アンモニアガスとRXガスの混合ガスを流通させながら、該温度を一定時間保持する。温度及び保持時間は、金属材の種類にもよるが、例えば、600℃で2.5時間保持するようにすればよい。この熱処理において、アミノ系樹脂から遊離したNや、アンモニアガスのNにより、露呈した金属材の表面が窒化される。この際、不動態膜が既に消失しているので、Nが不動態膜を通過する必要がない。このため、窒化処理に要する時間を短縮することができるとともに、熱エネルギを低減することができる。
しかも、窒化処理を行う昇温過程中で不動態膜を除去することができるので、不動態膜を除去するために一定温度で保持する等の特別の熱処理プロセスを行う必要もない。従って、不動態膜をアミノ系樹脂で除去することに伴って窒化処理の効率が低下することもない。
Nは、金属材の表面から内部へと浸透・拡散し、これにより化合物層が形成される。この化合物層の厚み、換言すれば、金属材中における窒素の拡散距離は、アミノ系樹脂が存在しないことを除いては同一条件下でガス軟窒化処理を行った場合に比して著しく大きくなる。すなわち、アミノ系樹脂の存在下に不動態膜を除去し、その後に窒化処理を施した場合、化合物層の厚みを大きくすることができ、その結果、金属材を内部まで硬化することができる。
具体的には、S48Cベース鋼からなるクランクシャフトでは、通常のガス軟窒化処理によって形成される化合物層の厚みが約15μmであるのに対し、メラミンホルマリン樹脂を使用した本実施の形態によれば、化合物層の厚みを約25μmとすることができる。すなわち、通常のガス軟窒化処理が施されたクランクシャフトに比して内部まで硬度が高いクランクシャフトが得られる。
ここで、通常のガス軟窒化処理が施された鋼材と、メラミンホルマリン樹脂が塗布された後にガス軟窒化処理が施された鋼材とにおいて、表面から内部に指向して測定されたビッカース硬度を図1に示す。なお、測定時の圧子の押圧荷重は300gである。この図1から、メラミン樹脂を塗布することによって、鋼材、ひいては金属材の硬度を表面から内部にわたって向上させることができることが明らかである。
なお、金属材がFe合金である場合、本実施の形態において、電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)で熱処理後のFe合金の観察を行うと、緻密なマルテンサイトが生成していることが認められる。
また、30Ni15Cr材からなるエンジンバルブの表面に窒化処理を施すには、プラズマ窒化処理以外の手法では困難である。例えば、ガス軟窒化処理を施すと、図2に示すように、化合物層は点在して形成されるのみであり、その厚みは最大でも3.75μm程度である。しかしながら、メラミンホルマリン樹脂を使用した本実施の形態によれば、アンモニアガスとRXガスの混合ガスを流通させながら、600℃で2.5時間にわたって熱処理するという容易且つ簡便な方法によって、図3に示すように、化合物層をエンジンバルブの表面全体にわたって設けることができる。しかも、その厚みは、約37.5μmと未塗布の場合の約10倍にも及ぶ。さらに、窒化処理が困難な金属材、例えば、75Ni15Cr材であっても、同一条件の熱処理で厚み約5μmの化合物層を得ることができる。
このように、本実施の形態によれば、アミノ系樹脂を直接、又は溶媒を介して金属材の表面に塗布した後に加熱処理を行うことにより、該金属材の不動態膜の略すべてを容易且つ簡便に除去することができる。このため、該金属材に対して窒化処理を施すと、窒化の度合いが略均等となる。すなわち、化合物層の厚みが不均一となることや、化合物層が形成されない部位が発生することが回避されるとともに、化合物層の厚みが大きく、このために内部まで硬度が高い金属材を得ることができる。
その上、本実施の形態においては、フッ酸等で酸化物膜を除去する等の予備処理を行う必要がない。このため、安全な環境下で作業を行うことができるという利点がある。
なお、第2工程でアンモニアガスに代替して浸炭性ガスを流通させ、浸炭処理を行うようにしてもよい。浸炭性ガスとしては、ガス浸炭で一般的に使用されるガス、例えば、プロパンガス、ブタンガス、RXガス、又はいわゆるエンリッチガスを使用すればよい。
浸炭処理を行う場合、熱処理条件は、例えば、920〜950℃で1.5時間保持するように設定することができる。その後、850℃で1時間保持して焼入れ処理を行うようにすればよい。
浸炭は、金属材中を炭素が拡散することによって進行する。特に、金属材がFe合金である場合、浸炭が迅速に進行する。
このようにして浸炭処理が施された金属材では、アミノ系樹脂が塗布されることなく浸炭処理された金属材に比して炭素の拡散距離、換言すれば、有効硬化層の厚みが大きくなる。具体的には、アミノ系樹脂が塗布されることなく浸炭処理された金属材における有効硬化層の厚みが0.5mm程度であるのに対し、メラミンホルマリン樹脂が塗布されて不動態膜が除去され、次いで浸炭が行われることによって得られた金属材における有効硬化層の厚みは、1.6mm程度と著しく大きくなる。
アミノ系樹脂が塗布されることなく浸炭処理が施された鋼材と、メラミンホルマリン樹脂が塗布された後に浸炭処理が施された鋼材とにおいて、表面から内部に指向して測定されたビッカース硬度を図4に示す。圧子の測定時の押圧荷重は、上記と同様に300gとした。この図4から、メラミン樹脂を塗布した浸炭処理においても、鋼材の硬度を表面から内部にわたって著しく向上させることができることが諒解される。
浸炭処理された鋼材のEPMA観察を行うと、有効硬化層全域にわたってNが存在すること、すなわち、炭窒化物が生成しているとともに、緻密なマルテンサイトが生成していることが認められる。
また、アミノ系樹脂を金属材の表面に塗布することに代替して、アミノ系樹脂を容器に収容した後、該容器を金属材とともに熱処理炉内に挿入するようにしてもよい。すなわち、本発明においては、加熱処理時にアミノ系樹脂が熱処理炉内に存在すればよく、金属材の表面に塗布する必要は特にない。
アミノ系樹脂を熱処理炉内に収容する場合には、アミノ系樹脂の量を金属材1kg当たり1〜10%程度とすればよい。例えば、金属材が10kgであれば、1〜10%/kgのアミノ系樹脂を容器に収容して熱処理炉内に配置すればよい。
具体的には、金属材が75Ni15Cr材からなるエンジンバルブである場合、該エンジンバルブの質量の5%のメラミン樹脂を熱処理炉内に挿入し、昇温した後に540℃で2時間保持してプラズマ窒化処理を施すことにより、厚み約5μmの化合物層を設けることができる。
また、アミノ系樹脂の存在下に行われる表面処理は、窒化処理又は浸炭処理に限定されるものではなく、その他の表面処理を行うこともできる。例えば、アミノ系樹脂を鋼材の表面に塗布した後、該鋼材に対して高周波焼入れ処理を施すようにしてもよい。アミノ系樹脂が塗布されない状態で高周波焼入れが施された鋼材における有効硬化層の厚みが9mm程度であるのに対し、メラミンホルマリン樹脂を鋼材の表面に塗布した場合、有効硬化層の厚みは11mm程度と、塗布しない場合に比して大きくなる。その他、浸硫処理を行うようにしてもよい。
このように、本実施の形態によれば、様々な種類の金属材の表面から容易且つ簡便に不動態膜を除去することができる。しかも、いずれの場合にもアミノ系樹脂の存在下に加熱処理を施せばよく、使用するガスの種類やその比率、反応温度、反応時間等を厳密に制御する必要は特にない。
また、各種のアミノ系樹脂には、製品安全データシートから諒解される通り毒性がない。従って、安全な環境下で作業を実施することができるという利点がある。
なお、上記した実施の形態においては、不動態膜を除去した後に各種の表面処理を施すようにしているが、不動態膜を除去しながら表面処理を行うようにしてもよい。
クランクシャフト及びエンジンバルブを図5に示す金属材から作製し、メラミン樹脂を熱処理炉内に配置した状態で、該クランクシャフト及びエンジンバルブに対し、600℃、2時間の条件下でガス軟窒化処理を施した。また、比較のため、メラミン樹脂を熱処理炉内に配置しなかったことを除いては同一条件下でガス軟窒化処理を行った。メラミン樹脂の存在下でガス軟窒化処理を施したクランクシャフト及びエンジンバルブにおける化合物層又は窒化物層の厚さ、表面硬度、クランクシャフトにおいては拡散層深さを、メラミン樹脂が存在しない条件下でガス軟窒化処理を施したクランクシャフト及びエンジンバルブの倍数として図5に併せて示す。この図5から、メラミン樹脂の存在下で窒化処理を行うことにより化合物又は窒化物の厚さや表面硬度を大きくすることができることが明らかである。このことは、メラミン樹脂の存在下に熱処理を行うと不動態膜が容易に消失することを意味する。
本実施の形態に係る不動態膜除去方法によって不動態膜が除去され、さらに窒化処理が施された鋼材と、通常の窒化処理が施された鋼材において、表面からの距離とビッカース硬度との関係を示すグラフである。 アミノ系樹脂が未塗布の状態でガス軟窒化処理が施された30Ni15Cr材の表層部における化合物層を示す断面の光学顕微鏡写真(倍率400倍)である。 本実施の形態に係る不動態膜除去方法によって不動態膜が除去された後、ガス軟窒化処理によって30Ni15Cr材に形成された化合物層を示す光学顕微鏡写真(倍率400倍)である。 本実施の形態に係る不動態膜除去方法によって不動態膜が除去され、さらに浸炭処理が施された鋼材と、通常の浸炭処理が施された鋼材において、表面からの距離とビッカース硬度との関係を示すグラフである。 クランクシャフト及びエンジンバルブの材質、メラミン樹脂の存在下でガス軟窒化処理を施した後の化合物層又は窒化物層の厚さ、表面硬度、拡散層深さを、メラミン樹脂が存在しない条件下でガス軟窒化処理を施した場合と対比して示す図表である。

Claims (5)

  1. 温度保持を伴う表面処理を実施する前に金属材の表面に存在する不動態膜を除去する不動態膜除去方法であって、
    不動態膜除去処理が施されていない前記金属材、アミノ系樹脂が存在する場で表面処理を実施する温度まで昇温し、その最中に、前記アミノ系樹脂から遊離したC、N、Hによって不動態膜を除去することを特徴とする不動態膜除去方法。
  2. 請求項1記載の不動態膜除去方法において、アミノ系樹脂を前記金属材の表面に塗布して昇温処理を施すことを特徴とする不動態膜除去方法。
  3. 請求項2記載の不動態膜除去方法において、アミノ系樹脂を、溶媒を介して前記金属材の表面に塗布することを特徴とする不動態膜除去方法。
  4. 請求項1記載の不動態膜除去方法において、アミノ系樹脂を、前記金属材とともに熱処理炉内に収容して昇温処理を施すことを特徴とする不動態膜除去方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の不動態膜除去方法において、前記アミノ系樹脂として、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂又はホルマリン樹脂を使用することを特徴とする不動態膜除去方法。
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