JP4493833B2 - 感熱剤用分散バインダー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱剤用分散バインダーに関するものであり、さらには、感熱記録用材料の感熱剤塗工液調製時の分散バインダーとして使用すると、発色性物質、顕色剤等を高濃度で湿式粉砕する際にも優れた分散性を示すとともに、塗工液の放置安定性にも優れ、また、塗工、乾燥後も優れたバインダー性能を発揮する感熱剤用分散バインダーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録用材料とは、加熱によって発色するいわゆる感熱発色層を紙等の支持表面に形成せしめることにより、サーマルヘッドを内蔵したサーマルプリンター等で加熱すると、印字が行われるタイプの記録材料であって、ファクシミリ、コンピューター端末機、計測用プリンター、医療計測用プリンターなどの記録紙および記録シート、あるいはPOSラベルなどの用途に広く用いられている。
【0003】
この感熱記録用材料は、例えば、無色または淡色の発色性ラクトン化合物などのロイコ染料(発色性物質)とフェノール化合物などの酸性化合物等(顕色剤)とを水溶性分散バインダーとともに支持体上に塗布することにより製造される。
【0004】
通常、前記の発色性物質と顕色剤は、各々水および分散剤とともに別々にサンドミル等で湿式粉砕され、2μm以下の微粒子にまでされる。その際、分散剤として、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)系樹脂、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が使用されるが、中でもPVA系樹脂を使用すると、粉砕後の感熱剤塗工液の放置安定性に優れ、また、PVA系樹脂はバインダー性能に優れることから、粉砕後、感熱発色層形成の際に、新たにPVA、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、デンプン等の水溶性樹脂をバインダーとして添加する必要がないことから好適に使用されている。
【0005】
しかしながら、一般のPVAを感熱剤(発色性物質または顕色剤)を湿式粉砕する際の分散剤として使用すると、発色性物質および顕色剤の濃度が低い場合には問題がないが、高濃度で粉砕を行う場合、分散能力に劣るため、粒子径が小さくなりにくく、また、ある程度以上に小さくなった微粒子同士の相互作用により、発色性物質および顕色剤を含むスラリー液が増粘し、条件によってはスラリー液が固化し、粉砕できないようになる場合がある。特に、近年、感熱記録用材料の需要が高まり、生産性を向上させる上でスラリー液の高濃度化の需要が強くなっており、一般PVAではこのような要求に対応できないのが現状である。
【0006】
特開昭58−179691号公報には、分散バインダーとしてスルホン酸基を含有する酢酸ビニル系樹脂およびそのケン化物を使用した感熱記録用材料が提案されており、アリルスルホン酸ナトリウム/酢酸ビニル共重合体のケン化物が例示されている。前記ポリマーは感熱剤の分散剤として使用すると、発色性物質および顕色剤を含むスラリーの濃度が比較的高い場合でも、粒子の微細化が可能であり、現在、感熱剤の分散バインダーとして広く使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記ポリマーを分散剤として使用しても、スラリー濃度が40質量%を越える高濃度で粉砕を行った場合、粒子径を2μm以下にまで小さくするのに時間がかかるとともに、粉砕後の塗工液の放置安定性に劣るという問題がある。また、該ポリマーはバインダーとしての性能が劣るため、感熱記録層の表面強度が低いという問題がある。
【0008】
本発明の課題は、かかる現状に鑑み、より高いスラリー濃度で粉砕を行った場合にも、分散性に優れるとともに、塗工液の放置安定性に優れ、塗工、乾燥して得られる感熱記録層の表面強度が高い感熱剤用分散バインダーを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するものであって、ビニルアルコール構造単位を主体とし、共重合成分として下記の化2で表される構造単位を0.1〜20モル%含有するビニルアルコール系重合体からなることを特徴とする感熱剤用分散バインダーである。
【0010】
【化2】
【0011】
ここでMは水素、アルカリ金属、またはアンモニウムイオンである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0013】
本発明におけるビニルアルコール系重合体は、ビニルアルコール構造単位を主体とし、下記の化3で表される構造単位を0.1〜20モル%含有するものであって、このほかの構造単位として未ケン化のビニルエステル単位、ジアセトンアクリルアミド単位などを包含することができる。
【0014】
【化3】
【0015】
ここで、Mは水素、アルカリ金属、またはアンモニウムイオンである。
【0016】
本発明におけるビニルアルコール系重合体は、ビニルエステルとジアセトンアクリルアミドとの共重合体のケン化物の水溶液に、フェニルヒドラジンp−スルホン酸またはフェニルヒドラジンp−スルホン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩を添加し、常温または高温下で攪拌すると、前記共重合体のジアセトンアクリルアミド単位中のカルボニル基にヒドラジノ基が付加することにより、容易に製造することができる。
【0017】
前記共重合体の製造に使用するビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、中でも酢酸ビニルが工業的に最も好ましい。
【0018】
ビニルエステルとジアセトンアクリルアミドとの共重合方法としては、ビニルエステル系重合体の製造法において従来より公知のバルク重合、溶液重合、エマルジョン重合、懸濁重合等の各種の重合方法を用いることができ、中でもメタノールを溶剤として用いる溶液重合が工業的に好ましい。
【0019】
ビニルエステルとジアセトンアクリルアミドとの共重合体におけるジアセトンアクリルアミドの含有量は、0.1〜20モル%であり、好ましくは、1〜15モル%である。ジアセトンアクリルアミド単位が0.1モル%未満の場合には、付加されるフェニルヒドラジンp−スルホン酸が少ないため、感熱剤の分散バインンダーとして使用したとき、優れた分散性を示さず、一方、20モル%を越えて多くしても分散性が変わらず、製造コストが高くなるという点で不利である。
【0020】
また、共重合体の重合度は特に限定されないが、50〜3000のものが好ましく、より好ましくは100〜600である。共重合体の重合度が50未満の場合には、塗工、乾燥して形成される感熱記録層の表面強度が小さい傾向にあり、3000を超えると、分散性が低下する傾向にある。
【0021】
ビニルエステルとジアセトンアクリルアミドとの共重合体のケン化方法としては、従来より公知であるアルカリケン化および酸ケン化を適用することができ、中でも、メタノール中で水酸化アルカリを使用して加アルコール分解する方法が好ましい。
【0022】
ビニルエステルとジアセトンアクリルアミドとの共重合体のケン化物のケン化度としては、50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは85モル%以上である。ケン化度が50モル%未満の場合には、ジアセトンアクリルアミド中のカルボニル基とフェニルヒドラジンp−スルホン酸のヒドラジノ基との反応時間が長くなるため、生産速度が低下する傾向にある。
【0023】
また、前記ビニルエステルとジアセトンアクリルアミドとの共重合体は、ビニルエステルとジアセトンアクリルアミドとの少なくとも一方と共重合可能なモノマー、例えばクロトン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸およびそのエステル類、マレイン酸、イタコン酸、フマール酸等の不飽和ジカルボン酸およびその無水物、モノアルキルエステル、アルカリ金属塩、ジアセトンアクリルアミド以外のアミド基含有モノマー、アルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドン類、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、スルホプロピル2−エチルヘキシルマレート、スルホプロピルトリデシルマレート、スルホプロピルエイコシルマレート、N−スルホイソブチレンアクリルアミド、2−スルホエチルアクリレートなどのスルホン酸基含有モノマーまたはそれらの塩類等を本発明の効果を損なわない範囲で共重合したものであっても良い。
【0024】
また、本発明におけるビニルアルコール系重合体の製造には、フェニルヒドラジンp−スルホン酸またはフェニルヒドラジンp−スルホン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩が使用されるが、塩の種類としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられ、中でも、フェニルヒドラジンp−スルホン酸アンモニウム塩を使用した感熱記録用材料は、印字時にサーマルヘッドを痛めることがなく好ましい。また、フェニルヒドラジンp−スルホン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩は、フェニルヒドラジンp−スルホン酸の水溶液または水分散液に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属水溶液およびアンモニアを添加することにより得られ、すべてのスルホン酸基がアルカリ金属塩またはアンモニウム塩の形になっていても、一部がスルホン酸基の形で残っているものでもかまわない。
【0025】
本発明におけるビニルアルコール系重合体の製造の際に使用するフェニルヒドラジンp−スルホン酸またはフェニルヒドラジンp−スルホン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩の添加量は、種々の量とすることができるが、反応に使用する前記ビニルエステルとジアセトンアクリルアミドとの共重合体のケン化物のジアセトンアクリルアミド単位と等モル量かそれ以下が好ましい。
【0026】
ビニルエステルとジアセトンアクリルアミドとの重合体のケン化物とフェニルヒドラジンp−スルホン酸またはフェニルヒドラジンp−スルホン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩とを反応させる方法は、通常、水中で行い、前記共重合体のケン化物の水溶液にフェニルヒドラジンp−スルホン酸またはフェニルヒドラジンp−スルホン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩を添加し、常温または加熱下で、攪拌しながら反応させたり、前記共重合体のケン化物に水、フェニルヒドラジンp−スルホン酸を添加した後、加熱、攪拌しながら溶解時に反応させる方法などが用いられる。
【0027】
本発明におけるビニルアルコール系重合体を感熱剤の分散バインダーとして使用した感熱記録用材料の製造方法としては、公知の感熱記録用材料の製造方法を採用することができ、一般的には水を分散媒体として、発色性物質と分散バインダー、顕色剤と分散バインダーからなるスラリーをそれぞれ別々にサンドミル等で湿式粉砕し、粉砕後に両者を混合し、必要に応じてバインダーとして水溶性樹脂を添加し、調製した感熱塗工液を、支持基体の一方の面に前記の感熱塗工液を塗工、乾燥して得られる感熱記録層を形成せしめることにより製造することができる。
【0028】
ここで使用される発色性物質としては、発色性ラクトン化合物等のロイコ染料が代表的なものとして挙げられ、加熱時に酸性化合物と反応して発色しうるものであればよく、トリフェニルメタン系、トリフェニルメタンフタリド系、フルオラン系、ロイコオーラミン系、スピロピラン系等の各種のロイコ化合物、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−7−N−メチルアニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−p−(p−クロロアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3′−(6′−ジメチルアミノ)フタリド等が利用されるが、勿論、これらに限定されるものではなく、また二種以上を併用することもできる。
【0029】
上記の発色性物質の使用量は、使用する顕色剤により異なるため限定できないが、感熱記録用層に対して5〜35質量%程度である。
【0030】
また、顕色剤としては、一般に70℃以上で液化または気化して前記ロイコ化合物と反応して発色させる性質を持った酸性化合物であれば良く、例えば、4,4′−イソプロピリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン等のフェノール性化合物、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸−p−クミルフェニルエステル、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸−p−ベンジルオキシフェニルエステル、N−(o−トルオイル)−p−トルエンスルホアミド、4,4′−ビス(N−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等の分子内にSO3NH−結合を有するもの、p−クロロ安息香酸亜鉛、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−(p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸亜鉛等の芳香族カルボン酸の亜鉛塩等が挙げられる。
【0031】
発色性物質(ロイコ染料)と顕色剤との使用比率は、用いる発色性物質や顕色剤の種類に応じて選択され、制限されるものではないが、一般に発色性物質1質量部に対して1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部程度の顕色剤が使用される。
【0032】
更に、感熱塗工液中には必要に応じて各種の助剤を添加することができ、例えばカオリン、軽質(重質)炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、無定形シリカ、尿素・ホルマリン樹脂フィラー等の顔料、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、グリオキザール、ホウ酸、ジアルデヒドデンプン、メチロール尿素、エポキシ系化合物、ヒドラジン系化合物等の耐水化剤、消泡剤、着色染料および蛍光染料等が挙げられる。
【0033】
前記、発色性物質、顕色剤を水およびビニルアルコール系重合体とともに、湿式粉砕する際のスラリーの固形分濃度には特に制限はないが、通常は作業性、生産性等を考慮し、10〜70質量%の範囲で使用され、特に本発明におけるビニルアルコール系重合体は40質量%を超える高固形分濃度のスラリーを粉砕する際の分散性に優れる。
【0034】
また、本発明におけるビニルアルコール系重合体を湿式粉砕時の分散バインダーとして使用する際の使用量についても特に制限はないが、通常は発色性物質または顕色剤に対して0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは1〜20質量%の範囲である。
【0035】
前記の湿式粉砕方法としては特に制限はないが、ボールミル、アトライター、サンドミルなどの攪拌・粉砕機を使用して、発色性物質および顕色剤の平均粒子径が2μm以下となるように粉砕される。
【0036】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例中、特にことわりのない限り、「%」、「部」は質量基準を表す。
なお、実施例中の諸物性の測定方法は、以下に示す。
【0037】
(1).分散性評価
得られた反応混合液50質量部にビスフェノールA(顕色剤)50質量部を混合し、固形分55%(顕色剤50%、分散バインダー5%)のスラリーを作製し、ボールミルで16時間予備粉砕した後、サンドミル(シンマルエンタープライゼス製ダイノミルKDL型)を使用して、以下の運転条件
運転条件:
0.3Lステンレス製シリンダー、セラミックス製ディスク、
ジルコニア製(0.65mmΦ)ビーズ、充填率:80%、周速:14m/sec
でバッチ運転し、1.0時間および2.0時間の本粉砕後のスラリー液の平均粒子径を、遠心沈降式粒度分布測定器(堀場製作所製CAPA−300)で測定した。粒子径がより小さくなっているほど、分散性に優れることを示す。
【0038】
(2).放置安定性評価
サンドミルで2.0時間粉砕したスラリー液300gを300ml容トールビーカーに入れ、30℃で10日間放置した。放置液の上部(液面から下に1cmの部分)および下部(底から上に1cmの部分)のスラリー液を駒込ピペットで採取し、それぞれ固形分濃度を測定した。上部と下部のスラリー液の固形分濃度の差が小さいほど、放置安定性に優れることを示す。
【0039】
(3).表面強度(バインダー力)評価
サンドミルで2.0時間粉砕したスラリー液を上質紙に塗工量が固形濃度5g/m2になるようにバーコーターで塗工し、40℃で96時間、乾燥、養生して作製した塗工紙に、ニチバン製セロハン粘着テープ(幅18mm、長さ30mmに切断したもの)を貼り付け、5kg/cm2の荷重をかけた後、セロハン粘着テープを剥がし、テープへの付着物の量を目視で観察し、表面強度(バインダー力)を以下の基準で評価した。
○:ほとんど付着物がない。
×:塗工層が剥離し、テープに付着している
【0040】
(4).総合評価
分散性、放置安定性、表面強度について総合判断し、以下の基準で評価した。
○:すべて実用レベルに達している
×:いずれかひとつでも実用レベルに達していない
【0041】
ジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体ケン化物の製造
合成例1
攪拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を付したフラスコ中に酢酸ビニル400質量部、メタノール350質量部を仕込み、系内の窒素置換を行った後、内温を60℃まで昇温した。この系に2,2′−アゾイソブチリロニトリル1質量部をメタノール50質量部に溶解した溶液を添加し、重合を開始した。重合開始後、ジアセトンアクリルアミド80質量部をメタノール50質量部に溶解した溶液を5時間かけて一定速度で滴下し、6時間で重合を停止した。重合停止時の重合収率は90%であった。得られた反応混合物にメタノール蒸気を加えながら残存する酢酸ビニルを留出し、ジアセトンアクリルアミド共重合成分を含有する酢酸ビニル系重合体の50質量%メタノール溶液を得た。このものの500質量部にメタノール50質量部と水酸化ナトリウムの濃度4質量%のメタノール溶液10質量部とを加えてよく混合し、40℃でケン化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕し、メタノールでよく洗浄した後、乾燥して、ジアセトンアクリルアミドと酢酸ビニルとの共重合体ケン化物を得た。この共重合体ケン化物の重合度は460、ケン化度は98.0モル%であり、元素分析測定により、ジアセトンアクリルアミド共重合成分の含有率は4.8モル%であることが判明した。
【0042】
合成例2〜3、比較合成例1〜3
前記の方法に準じて酢酸ビニルとジアセトンアクリルアミドとを共重合して得られた共重合体をケン化して、共重合体の構成単位、重合度およびケン化度の異なる3種類の共重合体ケン化物およびジアセトンアクリルアミドを使用しない未変性PVA1種類とジアセトンアクリルアミドに代えてアリルスルホン酸ナトリウムを使用したアリルスルホン酸ナトリウム共重合変性PVA系樹脂1種類を得た。これらの樹脂の変性度、ケン化度、重合度についてのデータを表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
実施例1
合成例1で得られたジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニルの共重合体のケン化物を水に溶解し、10質量%水溶液を作製した。次に、フェニルヒドラジンp−スルホン酸10質量部に1N−水酸化ナトリウム水溶液48質量部と水42質量部を添加して完全に溶解させた(フェニルヒドラジンp−スルホン酸のスルホン酸基はすべて中和されたフェニルヒドラジンp−スルホン酸ナトリウム(中和度100モル%)水溶液とした)。前記共重合体ケン化物の10質量%水溶液100質量部に、上記のフェニルヒドラジンp−スルホン酸ナトリウム水溶液18質量部を添加し、30℃で1時間攪拌しながら反応させ、4.5モル%のスルホン酸ナトリウムを含有するPVA系樹脂(残存ジアセトンアクリルアミド単位0.0モル%)の10%水溶液を得た。
【0045】
得られた反応混合液(分散バインダー)を用いて分散性、放置安定性および表面強度の評価方法に従って評価したところ、表2に示すように、分散性、放置安定性、表面強度ともに良好な結果が得られ、分散バインダーとして優れた性能を示した。
【0046】
実施例2
実施例1で使用した4.5モル%のスルホン酸ナトリウムを含有するPVA系樹脂(残存ジアセトンアクリルアミド単位0.0モル%)の10%水溶液に代えて、フェニルヒドラジンp−スルホン酸を中和する際に、50%アンモニア水を使用して得られるフェニルヒドラジンp−スルホン酸アンモニウム塩(中和度100モル%)水溶液を反応させて作製した4.5モル%のスルホン酸アンモニウム塩を含有するPVA系樹脂(残存ジアセトンアクリルアミド単位0.0モル%)の10%水溶液を使用した以外は実施例1と同様にして、反応混合液(分散バインダー)を得た。分散性、放置安定性、表面強度を評価したところ、表2に示すように、分散性、放置安定性、表面強度ともに良好な結果が得られ、分散バインダーとして優れた性能を示した。
【0047】
実施例3
実施例1において、ジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物とフェニルヒドラジンp−スルホン酸ナトリウムを反応させる際のフェニルヒドラジンp−スルホン酸ナトリウム水溶液の添加量を18質量部から8質量部に変更して得られる2.0モル%のスルホン酸ナトリウムを含有するPVA系樹脂(残存ジアセトンアクリルアミド単位2.5モル%)を使用した以外は実施例1と同様にして、反応混合液(分散バインダー)を得た。分散性、放置安定性、表面強度を評価したところ、表2に示すように、分散性、放置安定性、表面強度ともに良好な結果が得られ、分散バインダーとして優れた性能を示した。
【0048】
実施例4
合成例2で得られたジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物を使用し、フェニルヒドラジンp−スルホン酸ナトリウムを反応させる際のフェニルヒドラジンp−スルホン酸ナトリウム水溶液の添加量を18質量部から35質量部に変更して得られる10.0モル%のスルホン酸ナトリウムを含有するPVA系樹脂(残存ジアセトンアクリルアミド単位4.2モル%)を使用した以外は実施例1と同様にして、反応混合液(分散バインダー)を得た。分散性、放置安定性、表面強度を評価したところ、表2に示すように、分散性、放置安定性、表面強度ともに良好な結果が得られ、分散バインダーとして優れた性能を示した。
【0049】
実施例5
合成例3で得られたジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物を使用し、フェニルヒドラジンp−スルホン酸ナトリウムを反応させる際のフェニルヒドラジンp−スルホン酸ナトリウム水溶液の添加量を18質量部から5質量部に変更して得られる1.2モル%のスルホン酸ナトリウムを含有するPVA系樹脂(残存ジアセトンアクリルアミド単位0.0モル%)を使用した以外は実施例1と同様にして、反応混合液(分散バインダー)を得た。分散性、放置安定性、表面強度を評価したところ、表2に示すように、分散性、放置安定性、表面強度ともに良好な結果が得られ、分散バインダーとして優れた性能を示した。
【0050】
比較例1
実施例1で使用した4.5モル%のスルホン酸ナトリウムを含有するPVA系樹脂(残存ジアセトンアクリルアミド単位0.0モル%)に代えて、比較合成例1で得られた未変性PVAを使用した以外は、実施例1と同様にして反応混合液(分散バインダー)を得た。分散性、放置安定性、表面強度の評価のために、粉砕試験を行ったが、サンドミルでの粉砕開始後30分でスラリー液が固化し、粉砕を継続することができなかった。そのため、分散性、放置安定性、表面強度を評価することができなかった。
【0051】
比較例2
比較合成例1で得られた未変性PVAの10質量%水溶液100質量部に実施例1で作製したフェニルヒドラジンp−スルホン酸ナトリウム水溶液18質量部を添加し、30℃で1時間攪拌した混合水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして反応混合液(分散バインダー)を得た。分散性、放置安定性、表面強度の評価のために、粉砕試験を行ったが、サンドミルでの粉砕開始後45分でスラリー液が固化し、粉砕を継続することができなかった。そのため、分散性、放置安定性、表面強度を評価することができなかった。
【0052】
比較例3
実施例1で使用した4.5モル%のスルホン酸ナトリウムを含有するPVA系樹脂(残存ジアセトンアクリルアミド単位0.0モル%)に代えて、比較合成例2で得られたアリルスルホン酸ナトリウム共重合変性PVA系樹脂を使用した以外は実施例1と同様にして反応混合液(分散バインダー)を得た。分散性、放置安定性、表面強度を評価したところ、表2に示すように、1時間、2時間粉砕したスラリーの粒子径は、実施例よりも大きく、分散性に劣っており、放置後の上部と下部との濃度差が大きいことから、放置安定性も実用レベルに達していなかった。また、このスラリーを塗工し、表面強度を測定したが、テープに付着物が見られ、バインダー性能も劣っていた。
【0053】
比較例4
合成例1で得られたジアセトンアクリルアミドに代えて、比較合成例3で得られたジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物を使用した以外は、実施例1と同様にして反応混合液(分散バインダー)を得た。分散性、放置安定性、表面強度を評価したところ、表2に示すように、放置安定性、表面強度については、実用レベルであったが、分散性が劣っていた。
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明におけるビニルアルコール系重合体を分散バインダーに使用すると、分散性に優れるため、感熱剤の高濃度スラリーを湿式粉砕する際にも、比較的短時間で粒子径が小さくなり、粉砕したスラリーを長時間放置する際にも放置安定性に優れ、さらにバインダー性能にも優れるため、塗工後の表面強度の高い感熱記録用材料を製造することができる。
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