JP4493593B2 - 自己着火式エンジン - Google Patents

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Description

本発明は、シリンダ内の混合気を自己着火燃焼させる自己着火式エンジンに関する。
従来知られた筒内直噴エンジンは、圧縮行程の後半にシリンダ内に燃料(ガソリン)を噴射供給することによって、点火プラグの近傍領域には理論空燃比若しくはそれよりもリッチな(濃い)混合気を形成しつつ、そのまわりを空気層として混合気全体としては空燃比が極めて希薄(リーン)となる成層燃焼を行うようにしている。この成層燃焼では、吸入空気を多く取り入れる必要からスロットル弁をほぼ全開にすることができるので、ポンピングロスによる熱効率の低下を抑制して燃費の向上を図ることができる。しかしその一方、シリンダ内に供給された燃料が空気に対して少なく、燃焼は不完全なものとなるため、有害物質であるHC(炭化水素)の発生量が多くなるという欠点もある。
ガソリンエンジンから排出されるガス(排気ガス)には上記HCのほか、NOx(窒素酸化物)やCO(一酸化炭素)などの有害物質が含まれるが、これら有害物質は排気系統の通路中に設けられる触媒コンバータによって浄化が可能である。触媒コンバータは白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属からなる三元触媒を内蔵したものであるが、この三元触媒の浄化率は空燃比の影響を受け、上記3つの有害物質を同時に浄化するためには、空燃比が理論空燃比の近傍に設定されるようにする必要がある。すなわち、理論空燃比での燃焼(ストイキ燃焼)では三元触媒が有効に働いて排気ガスの浄化がなされるが、シリンダ内の混合気が全体としては希薄となる成層燃焼においては、排出されるNOxなどの有害物質を十分に除去することはできない。
また、上記筒内直噴エンジンの一形態として、自己着火式エンジンが知られている(例えば、下記の特許文献参照)。この自己着火式エンジンは、吸気行程中に第1の燃料噴射を行ってシリンダ内に希薄空燃比の予混合気を形成しておき、予混合気が高圧高温となる圧縮行程の後半においてシリンダ内に第2の燃料噴射を行うことにより、シリンダ内の混合気の温度を高めて自己着火させるようにしたものである。このような自己着火式エンジンでは、シリンダ内の混合気全体としては希薄空燃比であることから燃費がよく、また点火プラグによる火花点火式のエンジンに比べて低い温度で混合気を燃焼させ得ることから、CO及びNOxの発生量を低く抑えることができるという利点がある。
特開2001−73860号公報 特開2005−240722号公報
ところで、上記自己着火式エンジンでは、点火プラグによる火花点火式のエンジンと同様に、エンジン負荷が増大したときにはシリンダ内への燃料供給量を増やして出力を上げる必要がある。しかし、希薄空燃比のもとで行う自己着火燃焼では燃料供給量の増加によって得られる出力には限界があり、そればかりか異常燃焼によるノッキングが発生する場合がある。また逆に、エンジン負荷が低下したときにはシリンダ内への燃料供給量を減らして出力を下げる必要があるが、もともと空燃比が希薄であるところへ更に燃料供給量を減少させると、第2の燃料噴射後に予混合気が発火せず(失火し)、燃焼開始のタイミングが取れなくなる場合がある。このため従来の自己着火式エンジンの適用範囲は負荷変動の幅が小さい運転領域での使用に限定され、比較的負荷変動の大きい運転領域で使用することは困難であった。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、負荷変動に対応した出力制御が可能であり、比較的負荷変動の大きい運転領域でも使用が可能な構成の自己着火式エンジンを提供することを目的としている。
本発明に係る自己着火式エンジンは、燃料噴射弁により、吸気行程中に第1の燃料噴射を行ってシリンダ内に予混合気を形成させた後、圧縮行程の後半にシリンダ内への第2の燃料噴射を行って予混合気を自己着火させる構成の自己着火式エンジンにおいて、エンジン負荷を検出する負荷検出手段(例えば、実施形態におけるアクセルポジションセンサ33、エンジン回転数センサ35及び電子制御ユニット30)と、負荷検出手段により検出されたエンジン負荷に応じたシリンダ内への燃料供給量の設定を行う燃料供給量設定手段(例えば、実施形態における電子制御ユニット30)と、燃料供給量設定手段により設定された燃料供給量に基づいて空燃比を算出する空燃比算出手段(例えば、実施形態における電子制御ユニット30)と、シリンダに形成された前記予混合気への火花点火を行う点火プラグと、燃料供給量設定手段により設定された燃料供給量を第1の燃料噴射と第2の燃料噴射とに分配して燃料噴射弁により噴射供給させるとともに、点火プラグの点火時期およびスロットル開度を制御可能に構成された燃料供給制御手段(例えば、実施形態における電子制御ユニット30)とを備え、燃料噴射弁は、吸気通路内に燃料噴射を行う第1の燃料噴射弁(例えば、実施形態における通路内燃料噴射弁25a)とシリンダ内に燃料噴射を行う第2の燃料噴射弁(例えば、実施形態における筒内燃料噴射弁25)とからなり、燃料供給制御手段は、空燃比算出手段により算出された空燃比が予め定めた所定値を下回ったことを検知したとき、第2の燃料噴射弁による第2の燃料噴射を停止させ、スロットル開度をアクセルの操作量に応じた開度に設定して、燃料供給量設定手段により設定された燃料供給量の全てを第1の燃料噴射弁による第1の燃料噴射によってシリンダ内に供給させ、圧縮行程において圧縮されたシリンダ内の混合気を点火プラグによる火花点火によって着火燃焼させる均質燃焼に燃焼形態を切換え、且つアクセルが閉止状態に戻された場合には、点火プラグの点火時期の進角を遅らせるようになっている。
なお、シリンダ近傍の振動レベルを検出する振動レベル検出手段(例えば、実施形態におけるノックセンサ36) を更に備え、燃料供給制御手段は、振動レベル検出手段により検出されるシリンダ近傍の振動レベルが予め定めた所定値を上回ったことを検知したとき、第2の燃料噴射弁による第2の燃料噴射を停止させ、スロットル開度をアクセルの操作量に応じた開度に設定して、燃料供給量設定手段により設定された燃料供給量の全てを第1の燃料噴射弁による第1の燃料噴射によってシリンダ内に供給させ、圧縮行程において圧縮されたシリンダ内の混合気を点火プラグによる火花点火によって着火燃焼させる均質燃焼に燃焼形態を切換え、且つアクセルが閉止状態に戻された場合には、点火プラグの点火時期の進角を遅らせるように制御するように構成することが好ましい。
また、燃料供給制御手段は、空燃比算出手段により算出された空燃比が予め定めた所定値を上回ったことを検知したとき、第1の燃料噴射弁による第1の燃料噴射を停止させ、燃料供給量設定手段により設定された燃料供給量の全てを第2の燃料噴射弁による第2の燃料噴射によってシリンダ内に供給させ、圧縮行程において圧縮されたシリンダ内の混合気を点火プラグによる火花点火によって着火燃焼させる成層燃焼に燃焼形態を切換えるように構成することも好ましい。
さらに、以上の本発明において、第1の燃料噴射弁は、燃料を噴射する燃料インジェクタからなる燃料噴射弁であり、第2の燃料噴射弁は、燃料を噴射する燃料インジェクタと高圧エアを噴射するエアインジェクタとを備えたエアアシスト式の燃料噴射弁であることが好ましい。
本発明に係る自己着火式エンジンでは、自己着火燃焼を行っている状態からエンジン負荷が増大してシリンダ内への燃料供給量を増大させた場合であって、算出された空燃比が予め定めた所定値(例えば、予混合気が火炎伝播可能となる空燃比)を下回ったときには、第2の燃料噴射を停止させたうえで、スロットル開度をアクセルの操作量に応じた開度に設定して、シリンダ内へ供給すべき燃料の全てを第1の燃料噴射によってシリンダ内に供給させ、圧縮行程において圧縮されたシリンダ内の予混合気を火花点火によって着火燃焼させる均質燃焼に燃焼形態を切換えるようになっている。均質燃焼では希薄空燃比のもとで行う自己着火燃焼よりも格段に大きな出力が得られるので、高負荷状態においても要求に応じたエンジンの出力制御ができるようになり、負荷変動の大きい車両用エンジン等としても使用が可能となる。なお、このような均質燃焼を行うときには、シリンダ内の混合気が理論空燃比となる燃焼、すなわちストイキ燃焼とすることが好ましい。燃焼形態を切換えることにより有害物質であるCO、NOxの排出量自体は自己着火燃焼時よりも増大するが、ストイキ燃焼では三元触媒が有効に機能するので、従来知られた触媒コンバータを備えることにより、最終的に排気される排気ガス中に含まれる上記有害物質の量を十分に低減することが可能となる。また、アクセルが閉止状態に戻された場合に点火プラグの点火時期の進角を遅らせるように制御することにより、ノッキングを防止することができる。
なお、自己着火燃焼を行っている状態からエンジン負荷が増大してシリンダ内への燃料供給量を増大させた場合であって、予混合気が異常燃焼を起こしてシリンダ近傍の振動レベルが予め定めた所定値(例えば、ノッキングが発生するおそれのある振動レベル)を上回ったときには、第2の燃料噴射を停止させたうえで、スロットル開度をアクセルの操作量に応じた開度に設定して、シリンダ内へ供給すべき燃料の全てを第1の燃料噴射によってシリンダ内に供給させ、圧縮行程において圧縮されたシリンダ内の予混合気を火花点火によって着火燃焼させる均質燃焼に燃焼形態を切換え、且つアクセルが閉止状態に戻された場合には、点火プラグの点火時期の進角を遅らせるような構成によれば、均質燃焼に切換えることによって異常燃焼によるノッキングの発生等を抑えることができるので、高負荷状態においても安定したエンジンの出力制御ができるようになり、負荷変動の大きい車両用エンジン等としても使用が可能となる。そして、このような均質燃焼を行うときには、シリンダ内の混合気が理論空燃比となる燃焼、すなわちストイキ燃焼とすることが好ましいことは、上記場合と同様である。
また、自己着火燃焼を行っている状態からエンジン負荷が低下してシリンダ内への燃料供給量を減少させた場合であって、算出された空燃比が予め定めた所定値(例えば、予混合気が自己着火しない空燃比)を上回ったときには、第1の燃料噴射を停止させたうえで、シリンダ内へ供給すべき燃料の全てを第2の燃料噴射によってシリンダ内に供給させ、圧縮行程において圧縮されたシリンダ内の予混合気を火花点火によって着火燃焼させる成層燃焼に燃焼形態を切換えるような構成によれば、火花着火による燃焼であり、燃焼開始のタイミングを点火プラグの点火時期によって調節することができるので、低負荷状態においても要求に応じたエンジンの出力制御ができるようになり、負荷変動の大きい車両用エンジン等としても使用が可能となる。
また、上記3つの本発明において、燃料噴射弁がエアアシスト式の燃料噴射弁であれば、シリンダ内に多層の成層領域を形成することができるようになるので、エンジン負荷に応じた燃料噴射形態の切換えをスムーズに行うことができ、燃費エミッション性能を向上させることが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る自己着火式エンジン1であり、図示しない自動二輪車の原動機として備えられたものである。この自己着火式エンジン(以下、単にエンジンと称することがある)1は、シリンダブロック10に形成されたシリンダ11内にピストン12を有し、ピストン12にはピストンピン13を介してコネクティングロッド14の上端部が取付けられている。コネクティングロッド14の下端部はクランクピン(図示せず)を介して図示しないクランクシャフトに連結されている。
シリンダブロック10の上部にはシリンダ11の蓋をするようにシリンダヘッド10aが取付けられており、シリンダヘッド10aのシリンダ11と対向する空間は燃焼室15となっている。シリンダヘッド10aにはシリンダ11に繋がる吸気通路16及び排気通路17が設けられており、シリンダ11と吸気通路16との連通部分である吸気ポート16aには、この吸気ポート16aを開閉する吸気弁18が設けられており、シリンダ11と排気通路17との連通部分である排気ポート17aには、この排気ポート17aを開閉する排気弁19が設けられている。これら吸気弁18及び排気弁19はクランクシャフトによって駆動される図示しないカム機構によって所定のタイミングで開閉作動がなされる。
吸気通路16中にはスロットル弁20が設けられている。スロットル弁20は吸気通路16からシリンダ11内に流入する空気量を調整する機能を有し、電子制御ユニット(ECU)30から、スロットルモータM(及びそれに繋がる図示しないギヤ機構)を介して回転(揺動)作動される。ここで、電子制御ユニット30は、アクセルポジションセンサ33により検出される運転者が操作したアクセルグリップ(図示せず)の操作量(運転者が要求する要求負荷に相当)のほか、クランク角センサ34により検出されるクランクシャフトの回転角度(回転位置)やエンジン回転数センサ35により検出されるエンジン回転数(クランクシャフトの回転数)をはじめとする種々の情報に基づいてエンジン1の状態を判定して適切なスロットル開度が得られるようにスロットル弁20を作動させる。
また、吸気通路16中には吸入空気の量を検出するエアフローメータ31と吸入空気の温度を検出する吸気温センサ32とが設けられている。エアフローメータ31により検出された吸入空気の量の情報及び吸気温センサ32により検出された吸入空気の温度の情報は、ともに電子制御ユニット30に入力される。
吸気通路16と排気通路17とはEGR通路21によって繋がれており、その中間部にはEGR弁22が介装されている。このEGR弁22は通常EGR通路21を閉止した状態にあるが、電子制御ユニット30からの制御信号(通電)を受けたときに開弁する。そして、EGR弁22が開弁したときには排気通路17内の燃焼ガスの一部がEGR通路21から吸気通路16に戻され、吸気通路16を通ってシリンダ11内に流入する空気に混合される。また、排気通路17中には三元触媒を内蔵した触媒コンバータ23が設けられている。
シリンダヘッド10aには点火プラグ24が取付けられており、点火プラグ24の電極部は燃焼室15に内に露出している。点火プラグ24は電子制御ユニット30からの制御信号(通電)を受けて電極部に火花を散らし、シリンダ11内に形成された燃料と空気との混合気への点火を行うようになっている。ここで、電子制御ユニット30は、クランク角センサ34により検出されるクランクシャフトの回転位置、エンジン回転数センサ35により検出されるエンジン回転数、アクセルポジションセンサ33により検出されるアクセルグリップの操作量等の情報に基づいて、エンジン1の運転状態に合わせた適切な時期に点火プラグ24を点火させる。
シリンダヘッド10aにはまた、筒内燃料噴射弁25が取付けられており、筒内燃料噴射弁25の噴射口は燃焼室15内に露出している。この筒内燃料噴射弁25はエアアシスト式の燃料噴射弁であり、図2に示すように、高圧エアを噴射するエアインジェクタ110と、燃料(ガソリン)を噴射する燃料インジェクタ140とを備えたエアアシスト式の燃料噴射弁からなる。ここで、燃料インジェクタ140はエアインジェクタ110内に設けられた混合室134内に燃料を噴射し、その混合室134内において混合されて形成された混合気をエアインジェクタ110が噴射することにより、筒内燃料噴射弁25の噴射口(エアインジェクタ110の噴射口115)から噴射される構成となっている。
エアインジェクタ110は、図3に示すように、エンジン1のハウジング(図示せず)に固定されたハウジング112と、ハウジング112の内部に上下方向に延びて形成された管路114と、管路114内を上下方向に摺動移動自在なエア噴射バルブ116と、エア噴射バルブ116の上部に固定されたコア118と、コア118を常時図3の上方へ付勢するスプリング120と、コア118の外周部に樹脂122に囲まれて設けられたコイル124とを主な構成要素として構成されている。コイル124には信号線126を介して電子制御ユニット30より制御信号を送る(通電する)ことができ、制御信号を受けたコイル124は励磁されて電磁石となる。エア噴射バルブ116の下端部にはプラグ部材128が設けられており、コイル124が制御信号を受けておらず非励磁であるときには、コア118が(すなわちエア噴射バルブ116が)スプリング120により上方に付勢されてプラグ部材128は管路114の下端部に形成された混合気噴射口115を閉塞する(図3に示す状態)。ハウジング112の内部上方には上方に開口した燃料インジェクタ装着空間130が形成されており、この燃料インジェクタ装着空間130の底部には燃料インジェクタ140のノズル部144(後述)を上方から嵌入させてこれを保持するノズル保持部材132が設けられている。このノズル保持部材132の内部空間は燃料インジェクタ140から噴射された燃料と、エア圧縮機AP(図2参照)から供給された圧縮エアとが混合される混合室134となっており、この混合室134は下方に延びる混合気通路136を経て管路114に(エア噴射バルブ116の内部空間に)連通している。
燃料インジェクタ140は、図4に示すように、エアインジェクタ110のハウジング112に形成された上記燃料インジェクタ装着空間130内に装着されるハウジング142と、ハウジング142の下端部に設けられたノズル部144と、このノズル部144の上壁部144aを上下に貫通するように延びて設けられた燃料噴射バルブ146と、燃料噴射バルブ146を構成するプランジャ146aの外周部に固定して設けられたコア148と、プランジャ146aを常時下方に付勢するスプリング150と、コア148の外周部に樹脂152に囲まれて設けられたコイル154とを主な構成要素として構成されている。コイル154にはハウジング142の上部に設けられた端子156を介して電子制御ユニット30より制御信号を送る(通電する)ことができ、電子制御ユニット30より制御信号を受けたコイル154は励磁されて電磁石となる。プランジャ146aの下端部にはボール部材146bが取付けられており、コイル154が制御信号を受けておらず非励磁であるときには、コア148が(すなわちプランジャ146aが)スプリング150により下方に付勢されてボール部材146bはノズル部144の下壁部144bを上下に貫通して延びたノズル口160の弁座162に上方から当接してノズル口160を閉塞する(図4に示す状態)ようになっている。高圧燃料ポンプFPから燃料供給路内L1(図2参照)を通って供給された高圧の燃料はハウジング142の側部に設けられた燃料供給口164からハウジング142内に導入され、油路164a,164b,164cを経てノズル部144内の燃料室166内に送られる。
上記エア圧縮機APはエンジン1のクランクシャフトの回転により駆動されるようになっており、エア圧縮機APが圧縮したエアはエア供給路L2(図2参照)からエアインジェクタ110の混合室134内に供給される。このとき同時にクランクシャフトの回転により高圧燃料ポンプFPが駆動され、燃料タンクTから吸い上げられて加圧された高圧の燃料が燃料インジェクタ140の燃料室166内に供給される。燃料インジェクタ140は前述のように、コイル154が電子制御ユニット30から制御信号を受けておらず非励磁であるときには、コア148が(すなわちプランジャ146aが)スプリング150により下方に付勢されてボール部材146bがノズル口160を閉塞しているが、コイル154が制御信号を受けて励磁され、電磁石になっているときには、コア148がコイル154に吸引されてプランジャ146aが上動するので、ボール部材146bは弁座162から離間してノズル口160が開放される。これにより燃料室166内において加圧されていた高圧の燃料はノズル口160より噴射され、混合室134内において圧縮エアと混合されて高圧の混合気が生成される。
一方、エアインジェクタ110では、前述のように、コイル124が電子制御ユニット30から制御信号を受けておらず非励磁であるときには、コア118が(すなわちエア噴射バルブ116が)スプリング120により上方に付勢されてプラグ部材128は管路114の下端部の混合気噴射口115を閉塞しているが、コイル124が制御信号を受けて励磁され、電磁石になっているときには、コア118がコイル124に吸引されてエア噴射バルブ116が下動するので、プラグ部材128は混合気噴射口115から離間して混合気通路(エア噴射バルブ116の内部空間及び混合気通路136)が開放される。これにより混合室134内において加圧されていた高圧の混合気は混合気噴射口115より噴射される。
ここで、電子制御ユニット30は点火プラグ24のときと同様、クランク角センサ34により検出されるクランクシャフトの回転位置、エンジン回転数センサ35により検出されるエンジン回転数、アクセルポジションセンサ33により検出されるアクセルグリップの操作量等の情報に基づいて、エンジン1の運転状態に合わせた適切な時期に燃料インジェクタ140及びエアインジェクタ110それぞれに開弁動作を行わせる(後述の図5参照)。なお、この筒内燃料噴射弁25から噴射される燃料は、エアインジェクタ110内の管路114が長いことから棒状の噴射形状となるため、燃料噴射にこのような形態の燃料噴射弁(筒内燃料噴射弁25)を用いれば、広範囲かつ正確な位置に燃料を噴射供給することが可能である。
電子制御ユニット30は、アクセルポジションセンサ33により検出される運転者が操作したアクセルグリップ(図示せず)の操作量や、エンジン回転数センサ35により検出されるエンジン回転数などの情報に基づいてエンジン負荷を求め(電子制御ユニット30の負荷検出手段としての機能)、その求めたエンジン負荷に応じた出力を発揮させるのに必要となるシリンダ11内への燃料供給量の設定を行う(電子制御ユニット30の燃料供給量設定手段としての機能)。シリンダ11内への燃料供給量を設定したら、エアフローメータ31により検出された吸入空気の量と、吸気温センサ32により検出された吸入空気の温度から求められる吸入空気の密度とから吸入空気の質量を演算によって求め、この求めた吸入空気の質量と、設定したシリンダ11内への燃料供給量とから、空燃比A/F(=空気質量/燃料質量)を算出する(電子制御ユニット30の空燃比算出手段としての機能)。そして更に、設定したシリンダ11内への燃料供給量を、吸気行程においてシリンダ11内に燃料と空気との混合気(予混合気)を形成させる第1の燃料噴射における噴射量と、圧縮行程の後半に予混合気の温度を高めて発火させる第2の燃料噴射における噴射量とに分配したうえで、それぞれの噴射量をもって筒内燃料噴射弁25より燃料を噴射供給させる(電子制御ユニット30の燃料供給制御手段としての機能)。ここで、第2の燃料噴射における噴射量は予混合気を発火温度に至らしめるに必要な極少量でよいので、シリンダ11内に供給する燃料のほとんどは第1の燃料噴射において噴射されることになる。
また、シリンダブロック10の外面の所定位置にはシリンダブロック10の(シリンダ11近傍の)振動レベルを検出する振動レベル検出手段としてのノックセンサ36が取付けられており、このノックセンサ36からの検出情報は電子制御ユニット30に入力されるようになっている。
次に、この自己着火式エンジン1の動作について説明する。このエンジン1は、図5に示すように、吸気行程、圧縮行程、燃焼・膨張行程及び排気行程を順に行う4サイクルエンジンである。
吸気行程ではピストン12の下降動作中に排気弁19を閉じるとともに吸気弁18を開いて吸気ポート16aからシリンダ11内に空気を吸入させる。この吸気行程において(或いは吸気行程から圧縮行程の前半にかけて)、電子制御ユニット30は、筒内燃料噴射弁25から燃料(混合気)を噴射させる(第1の燃料噴射)。この筒内燃料噴射弁25による燃料噴射は、先ず燃料インジェクタ140から燃料を噴射させた後、エアインジェクタ110から高圧エアを噴射させることによって行う。これによりシリンダ11内には混合気内の燃料と吸気通路と通って吸入された空気とが均質に混ざり合った予混合気が形成される。希薄空燃比での燃焼である自己着火燃焼(及び後述する成層燃焼)では、ポンピングロスによる熱効率の低下を抑制して燃費を向上させるため、スロットル弁20はほぼ全開の状態にされ、エンジン出力の調節は筒内燃料噴射弁25の燃料噴射量の増減のみによって行われることになる。
圧縮行程ではピストン12の上昇動作中に吸気弁18及び排気弁19を閉じてシリンダ11内の予混合気を圧縮する。この圧縮行程により、予混合気は自然発火する寸前の高温にまで温度が上昇する。そして、この圧縮行程の後半において、電子制御ユニット30は再度筒内燃料噴射弁25から燃料(混合気)を噴射させる(第2の燃料噴射)。この第2の燃料噴射は、第1の燃料噴射の場合と同様、燃料インジェクタ140から燃料を噴射させた後、エアインジェクタ110から高圧エアを噴射させることによって行う。第2の燃料噴射を行うタイミングは圧縮行程の後半であるため、シリンダ11内の予混合気は上記のように自然発火寸前の高圧高温の状態になっているので、このような高圧高温の予混合気内に噴射された燃料は瞬時に燃焼して予混合気の温度を更に高めることになる。これにより予混合気は自己着火し、シリンダ11内の混合気全体が燃焼する。
膨張行程ではピストン12はシリンダ11内において膨張する燃焼ガスに押されて下降し、コネクティングロッド14を介してクランクシャフトが回転する。そして、膨張行程の後に行われる排気行程ではピストン12の上昇動作中に排気弁19を開き、排気ポート17aからシリンダ11内の燃焼ガスを排出させる。
自己着火式エンジン1が行う上記自己着火燃焼は、希薄空燃比での燃焼であるため燃費がよく、また、点火プラグ24の火花点火による燃焼に比べて混合気の燃焼温度が低くなるので、CO及びNOxの発生量を低く抑えることができる。なお、この自己着火燃焼運転時には、電子制御ユニット30はEGR弁22を閉弁しておき、排気通路17内の燃焼ガスの一部がEGR通路21から吸気通路16に戻されないようにする。これにより吸気通路16には十分な新気が導入されるようになり、希薄空燃比のもとで行う自己着火燃焼運転において、十分な出力を得ることが可能となる。
ところで、このエンジン1の自己着火燃焼が安定的に行われてエンジン1の出力制御が可能となるのは、エンジン負荷が比較的小さい場合(例えば市街地走行などの中低速域での走行時)である。これは、自己着火燃焼が希薄空燃比のもとでのみ行う燃焼形態であるからであり、従ってエンジン負荷が高負荷になったり、非常に低負荷になったりした場合には、以下に説明するように、自己着火燃焼とは異なる燃焼形態に切換えて安定的な出力制御ができるようにする。
電子制御ユニット30は、自己着火燃焼を行っている状態からエンジン負荷が増大したことを検知したときには、エンジン1の出力を大きくするために筒内燃料噴射弁25の燃料噴射量を増加させるが、希薄空燃比のもとで行う自己着火燃焼運転においては燃料噴射量の増加によって得られる出力には限界があり、場合によっては異常燃焼によるノッキングが発生してしまうことがある。このため電子制御ユニット30は、算出した空燃比が予め定めた所定値(例えば、予混合気が火炎伝播可能となる空燃比)μ1(図6参照)を下回ったと判断したときや、ノックセンサ36により検出されるシリンダブロック10の振動レベルが予め定めた所定値(ノッキングが発生するおそれのある振動レベル)を上回ったことを検知したとき(すなわちノッキングが発生しそうな状態を検知したとき)には、燃焼形態をそれまでの自己着火燃焼から均質燃焼に切換える。すなわち、それまで行っていた圧縮行程における第2の燃料噴射を停止したうえで、シリンダ11内へ供給すべき燃料の全てを吸入行程における第1の燃料噴射によってシリンダ11内に供給させ、圧縮行程において圧縮されたシリンダ11内の混合気を点火プラグ24による火花点火によって着火燃焼させるようにする。均質燃焼に切換えることによって異常燃焼によるノッキングの発生を抑えることができるので、高負荷状態においても安定したエンジン1の出力制御ができるようになる。
なお、この均質燃焼運転では、自己着火燃焼運転(及び成層燃焼運転)のときとは異なり、スロットル弁20はほぼ全開の状態ではなく、アクセルポジションセンサ33により検出される運転者が操作するアクセルグリップの操作量に応じた開度に調整される。従って均質燃焼運転時における空燃比は、スロットル弁20の開度に応じた吸入空気量と、エンジン負荷によって決定されるシリンダ1内への燃料供給量とから算出されることになる。逆に、この均質燃焼運転を一定の空燃比(例えば理論空燃比)の下で行おうとする場合には、スロットル弁20の開度に応じた吸入空気量に対し、空燃比がその一定の値になるように、燃料噴射量が決定される。
また、電子制御ユニット30は、自己着火燃焼を行っている状態からアクセルグリップが閉止状態に戻されたときには、運転者がエンジンブレーキをかける意志があるものと判断して、スロットル弁20を閉止させる。これにより吸入空気量は減少して予混合気は濃くなる(リッチ化する)ので、電子制御ユニット30は、それまで行っていた自己着火燃焼運転から均質燃焼運転に切換える。なお、この場合にはノッキングを防止するため、電子制御ユニット30は進角を遅らせるように点火プラグ24の点火時期を制御することが好ましい。
また、この均質燃焼運転時には、電子制御ユニット30はEGR弁22を開弁して排気通路17内の燃焼ガスの一部がEGR通路21から吸気通路16に戻されるようにすることが好ましい。これにより燃焼速度を下げて燃焼室15の最高温度を下げることができ、均質燃焼運転時におけるNOxの発生量を低減することが可能となる。
上記均質燃焼運転では、希薄空燃比のもとで行う自己着火燃焼よりも格段に大きな出力が得られるので、高負荷状態においても要求に応じたエンジン1の出力制御ができるようになる。なお、このような均質燃焼を行うときには、シリンダ11内の混合気が理論空燃比となる燃焼、すなわちストイキ燃焼とすることが好ましい。自己着火燃焼からストイキ燃焼に燃焼形態を切換えると、図6に示すようにCO、NOxの排出量自体は自己着火燃焼時よりも増大するが(図7(A)も参照)、燃焼形態切換え後のストイキ燃焼では触媒コンバータ23の三元触媒が有効に機能するので、最終的に排気される排気ガス中に含まれる上記有害物質の量は十分に低減することが可能である。また、常時均質燃焼(ストイキ燃焼)を行うエンジンを基準に考えれば、自己着火燃焼を行う所定の空燃比領域においては、NOxの排出量そのものを減少させることができるといえる。また、図7(B)に示すように、自己着火燃焼から均質燃焼に燃焼形態を切換えると燃費(燃料消費率)は低下してしまうが、常時均質燃焼(ストイキ燃焼)を行うエンジンを基準に考えれば、自己着火燃焼を行う所定の空燃比領域において、燃費を向上させることができるということができる。また、図7(C)には、自己着火燃焼から均質燃焼に燃焼形態を切換えることにより、ノッキングを十分に回避し得るようになっていることが明瞭に示されている。
なお、電子制御ユニット30は、燃焼形態を均質燃焼に切換えた後であっても、エンジン負荷が低下して筒内燃料噴射弁25からの燃料噴射量を減少させたことにより、算出した空燃比が上記予め定めた所定値μ1を上回ったと判断し、かつノックセンサ36により検出されるシリンダブロック10の振動レベルが予め定めた所定値(ノッキングが発生するおそれのある振動レベル)を大きく下回っていることを検知したときには、燃焼形態を均質燃焼から自己着火燃焼に切換える。また、均質燃焼をストイキ燃焼とした場合にあっては、エンジン負荷が低下して燃料噴射量が減少し、スロットル弁20をほぼ全開にしたとしても自己着火燃焼を実行し得ると判断した場合に、燃焼形態をストイキ燃焼から自己着火燃焼に切換えるようにする。
一方、電子制御ユニット30は、自己着火燃焼を行っている状態からエンジン負荷が低下したことを検知したときには、エンジン1の出力を小さくするために筒内燃料噴射弁25の燃料噴射量を減少させるが、もともと空燃比が希薄であるところへ更に燃料噴射量を減少させると、第2の燃料噴射後に予混合気が発火せず(失火し)、燃焼開始のタイミングが取れなくなって出力制御が不能となってしまう場合がでてくる。このため電子制御ユニット30は、算出した空燃比が予め定めた所定値(例えば予混合気が自己着火し得ない空燃比)μ2(図6参照)を上回ったと判断したときには、燃焼形態をそれまでの自己着火燃焼から成層燃焼に切換える。すなわち、それまで行っていた吸気行程における第1の燃料噴射を停止したうえで、シリンダ11内へ供給すべき燃料の全てを圧縮行程における第2の噴射によってシリンダ11内に供給させ、圧縮行程において圧縮されたシリンダ11内の混合気を点火プラグ24による火花点火によって着火燃焼させるようにする。なお、この成層燃焼運転では、自己着火燃焼運転の場合と同様、スロットル弁20はほぼ全開の状態にされ、エンジン出力の調節は筒内燃料噴射弁25の燃料噴射量の増減のみによって行われる。
この成層燃焼は火花着火による燃焼であり、燃焼開始のタイミングを点火プラグの点火時期によって調節することができるので、低負荷状態においても運転者の要求に応じたエンジン1の出力制御ができるようになる。なお、エンジン1のアイドル運転中は低負荷であり、シリンダ11内への燃料供給量は少なくなることから、エンジン1の始動時及び暖機運転中は、この成層燃焼に切換えることになる。また、電子制御ユニット30は、燃焼形態を成層燃焼に切換えた後であっても、エンジン負荷が増大して筒内燃料噴射弁25からの燃料噴射量を増加させたことにより、算出した空燃比が上記予め定めた所定値μ2を下回ったと判断したときには、燃焼形態を成層燃焼から自己着火燃焼に切換える。
また、上記のように自己着火燃焼運転から成層燃焼運転に切換えた後は、電子制御ユニット30は、EGR弁22を閉弁して、排気通路17内の燃焼ガスの一部がEGR通路21から吸気通路16に戻されないようにすることが好ましい。これにより吸気通路16には十分な新気が導入されるようになり、希薄空燃比のもとで行う成層燃焼運転において、十分な出力が得られるようにすることができる。
図8は上記エンジン1における電子制御ユニット30が行う燃焼形態の切換えを行う際のフローであり、上記説明をまとめたものである。すなわち、電子制御ユニット30は先ず、算出した空燃比の値がμ2(予混合気が自己着火し得ない空燃比)を上回っているか否かを判断し(ステップS1)、ここで算出した空燃比がμ2を上回っていたときには成層燃焼を実行する(ステップS2)。一方、ステップS1において、算出した空燃比がμ2を上回っていなかったときには、更に算出した空燃比がμ1(予混合気が火炎伝播可能となる空燃比)を下回っているか否かを判断する(ステップS3)。そして、算出した空燃比がμ1を下回っていなかったときには続いてノックセンサ36により検出されるシリンダブロック10の振動レベルが所定のレベル(ノッキングが発生するおそれのある振動レベル)を上回っているか否かを判断する(ステップS4)。そして、ステップS4において振動レベルが上記所定のレベルを上回っていなかったときには自己着火燃焼を実行する(ステップS5)。一方、ステップS3において、算出した空燃比がμ1を下回っていると判断した場合や、ステップS4において、振動レベルが上記所定のレベルを上回っていた場合には、均質燃焼を実行する(ステップS6)。電子制御ユニット30は、このステップS1からステップS2、ステップS5若しくはステップS6に至るルーチンを連続して実行しており、車両の走行状態、すなわちエンジン負荷が変わり、算出した空燃比が変化したときには、これに伴って燃焼形態が切換えられる。
以上述べたように、本発明に係る自己着火式エンジンによれば、負荷変動に対応した出力制御が可能であるので、負荷変動の大きい車両用エンジン等としても使用が可能である。
ところで、上述の実施形態では、シリンダ11内に燃料を噴射供給する燃料噴射弁としては、シリンダ11内に直接燃料を噴射する筒内燃料噴射弁25を備えており、吸気行程における第1の燃料噴射と吸気行程に続く圧縮行程における第2の燃料噴射との双方をこの筒内燃料噴射弁25により行わせる構成を採っていたが、もう一つの実施形態として、図9に示すように、吸気通路16中に筒内燃料噴射弁25とは異なる通路内燃料噴射弁25aを設けて(例えばコールドスタート用の燃料噴射弁を備えているのであれば、このコールドスタート用の燃料噴射弁を利用することができる)、第1の燃料噴射をこの通路内燃料噴射弁25aにより行わせるようにしてもよい。このような構成を採る場合、図10に示すように、吸気行程での第1の燃料噴射は通路内燃料噴射弁25aから行わせ、圧縮行程での第2の燃料噴射のみを筒内燃料噴射弁25から行わせるようにする。なお、図10に示す例では、通路内燃料噴射弁25aはエアアシスト式ではなく、燃料のみを噴射する燃料噴射弁であるとしている。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施形態では、筒内燃料噴射弁25はエアアシスト式の燃料噴射弁であるとしていたが、これは必ずしもエアアシスト式の燃料噴射弁でなければならないわけではない。しかし、筒内燃料噴射弁25がエアアシスト式であれば、シリンダ11内に多層の成層領域を形成することができるので、エンジン負荷に応じた燃料噴射形態の切換えをスムーズに行うことができ、燃費エミッション性能を向上させることが可能であるという利点がある。また、通路内燃料噴射弁25はエアアシスト式でない燃料噴射弁であるとしたが、これをエアアシスト式の燃料噴射弁としても構わない。また、上述の実施形態では、本発明が自動二輪車のエンジンに適用された例を示したが、本発明は自動二輪車以外の動力機械(例えば、自動車や小型船舶など)にも広く適用することが可能である。
本発明の一実施形態に係る自己着火式エンジンの構成図である。 上記自己着火式エンジンにおける筒内燃料噴射弁の作動系統を示す図である。 筒内燃料噴射弁を構成するエアインジェクタの断面図である。 筒内燃料噴射弁を構成する燃料インジェクタの断面図である。 自己着火式エンジンにおける、燃料噴射とエア噴射のタイミングの一例を示す図である。 空燃比に対する有害物質HC、CO、NOxの発生量を示した図である。 (A)はBMEP(正味平均有効圧)に対するBSNOx(正味NOx)の発生量を自己着火燃焼と均質燃焼(ストイキ燃焼)との双方について示した図であり、(B)はBMEPに対するBSFC(正味燃料消費率)を自己着火燃焼と均質燃焼(ストイキ燃焼)との双方について示した図であり、(C)はIMEP(図示平均有効圧)に対するdp/dθ(クランク角θに対するシリンダ内圧pの変化率)を自己着火燃焼と均質燃焼(ストイキ燃焼)との双方について示した図である。 電子制御ユニットが行う燃焼形態の切換えのフローである。 もう一つの実施形態に係る自己着火式エンジンの構成図である。 もう一つの実施形態に係る自己着火式エンジンにおける、燃料噴射とエア噴射のタイミングの一例を示す図である。
符号の説明
1 自己着火式エンジン
11 シリンダ
15 燃焼室
24 点火プラグ
25 筒内燃料噴射弁(燃料噴射弁)
30 電子制御ユニット(負荷検出手段、燃料供給量設定手段、空燃比算出手段、燃料供給制御手段)
33 アクセルポジションセンサ(負荷検出手段)
35 エンジン回転数センサ(負荷検出手段)
36 ノックセンサ(振動レベル検出手段)

Claims (4)

  1. 燃料噴射弁により、吸気行程中に第1の燃料噴射を行ってシリンダ内に予混合気を形成させた後、圧縮行程の後半に前記シリンダ内への第2の燃料噴射を行って前記予混合気を自己着火させる構成の自己着火式エンジンにおいて、
    エンジン負荷を検出する負荷検出手段と、
    前記負荷検出手段により検出されたエンジン負荷に応じた前記シリンダ内への燃料供給量の設定を行う燃料供給量設定手段と、
    前記燃料供給量設定手段により設定された前記燃料供給量に基づいて空燃比を算出する空燃比算出手段と、
    前記シリンダに形成された前記予混合気への火花点火を行う点火プラグと、
    前記燃料供給量設定手段により設定された前記燃料供給量を前記第1の燃料噴射と前記第2の燃料噴射とに分配して前記燃料噴射弁により噴射供給させるとともに、前記点火プラグの点火時期およびスロットル開度を制御可能に構成された燃料供給制御手段とを備え、
    前記燃料噴射弁は、吸気通路内に燃料噴射を行う第1の燃料噴射弁と前記シリンダ内に燃料噴射を行う第2の燃料噴射弁とからなり、
    前記燃料供給制御手段は、前記空燃比算出手段により算出された前記空燃比が予め定めた所定値を下回ったことを検知したとき、前記第2の燃料噴射弁による前記第2の燃料噴射を停止させ、スロットル開度をアクセルの操作量に応じた開度に設定して、前記燃料供給量設定手段により設定された前記燃料供給量の全てを前記第1の燃料噴射弁による前記第1の燃料噴射によって前記シリンダ内に供給させ、圧縮行程において圧縮された前記シリンダ内の混合気を前記点火プラグによる火花点火によって着火燃焼させる均質燃焼に燃焼形態を切換え、且つアクセルが閉止状態に戻された場合には、前記点火プラグの点火時期の進角を遅らせるように制御することを特徴とする自己着火式エンジン。
  2. 前記シリンダ近傍の振動レベルを検出する振動レベル検出手段を更に備え、
    前記燃料供給制御手段は、前記振動レベル検出手段により検出される前記シリンダ近傍の振動レベルが予め定めた所定値を上回ったことを検知したとき、前記第2の燃料噴射弁による前記第2の燃料噴射を停止させ、スロットル開度をアクセルの操作量に応じた開度に設定して、前記燃料供給量設定手段により設定された前記燃料供給量の全てを前記第1の燃料噴射弁による前記第1の燃料噴射によって前記シリンダ内に供給させ、圧縮行程において圧縮された前記シリンダ内の混合気を前記点火プラグによる火花点火によって着火燃焼させる均質燃焼に燃焼形態を切換え、且つアクセルが閉止状態に戻された場合には、前記点火プラグの点火時期の進角を遅らせるように制御することを特徴とする請求項1に記載の自己着火式エンジン。
  3. 前記燃料供給制御手段は、前記空燃比算出手段により算出された前記空燃比が予め定めた所定値を上回ったことを検知したとき、前記第1の燃料噴射弁による前記第1の燃料噴射を停止させ、前記燃料供給量設定手段により設定された前記燃料供給量の全てを前記第2の燃料噴射弁による前記第2の燃料噴射によって前記シリンダ内に供給させ、圧縮行程において圧縮された前記シリンダ内の混合気を前記点火プラグによる火花点火によって着火燃焼させる成層燃焼に燃焼形態を切換えることを特徴とする請求項1または2に記載の自己着火式エンジン。
  4. 前記第1の燃料噴射弁は、燃料を噴射する燃料インジェクタからなる燃料噴射弁であり、
    前記第2の燃料噴射弁は、燃料を噴射する燃料インジェクタと高圧エアを噴射するエアインジェクタとを備えたエアアシスト式の燃料噴射弁であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自己着火式エンジン。
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