JP4490891B2 - 電動機の製造方法 - Google Patents
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Description
次に、本発明の第1の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は第1の実施形態に係る製造方法で製造される電動モータを備えた電動パワーステアリング装置を示す概略構成図であり、図2は図1の電動モータを示す概略断面図である。なお、以下においては、本発明に係る電動モータ(電動機)の製造方法について説明する前に、その製造方法の対象である電動モータの構造やこの電動モータが利用されている電動パワーステアリング装置の構造について説明する。
図2に示すように、電動モータ7は、一体的に連結された2つの第1,第2モータハウジング20a,20b内に、転がり軸受である一対の第1,第2軸受21,22によって両端側が回転自在に支持された回転軸13と、この回転軸13に対して一体的に固着される回転子(ロータ)23と、この回転子23の外周面と対向するようにして第2モータハウジング20bの内周面に固着される複数の固定子(ステータ)24と、回転子23の回転角度を検出するレゾルバ25とを主に備えている。そして、この電動モータ7は、前記した駆動制御装置8(図1参照)が、レゾルバ25から入力される回転子23の回転角度検出信号に基づいて、各固定子24の巻線(コイル)26に所定順序で電流を流して回転磁界を発生させることによって、この回転磁界により回転子23(回転軸13)が回転するようになっている。
図3(a)に示すように、電動モータ製造装置40は、回転軸13が第1軸受21を介して取り付けられている第1モータハウジング20aを固定するための基台41と、基台41に対して昇降自在に構成される昇降機構42と、固定子24が固定された第2モータハウジング20bを保持する保持装置43とを主に備えている。そして、基台41には、回転軸13の芯出しを行うための芯出し用冶具41aと、これを回転軸13側に付勢するコイルばね41bが設けられている。また、保持装置43は、真空チャック等のチャック機構によって第2モータハウジング20bをその開口を下向きにして包み込むように保持する略有底円筒状の装置であり、その底部には、図示せぬ装置天上壁等に支持される芯出し用冶具44を逃げるための逃げ孔43aが形成されている。
まず、図3(a)に示す電動モータ製造装置40に電動モータ7の構成部品をセットする前に、予め、第2モータハウジング20bに固定子24を組み付けるとともに(固定子組付工程)、回転子23の回転軸13の両端に第1,第2軸受21,22を組み付け(軸受組付工程)、さらに、第1軸受21を第1モータハウジング20aに組み付けておく。ここで、回転軸13、第1軸受21および第1モータハウジング20aの組付順序は適宜変更可能であるが、第1軸受21の内輪27と外輪28が傾かないように、後記する取付方法(例えば、本実施形態に係る加熱による取付方法や第2の実施形態に係る取付方法等)を適宜採用する必要がある。また、その他の部品(例えばレゾルバ25)等も適宜各モータハウジング20a,20bに組み付けておく。
第2モータハウジング20bの軸受取付部20eと第2軸受22との間に所定の隙間を介した状態で軸受取付部20eに第2軸受22を挿入させるので、軸受挿入時に第2軸受22の外輪31が軸受取付部20eと接触して傾くことを抑制することができる。また、仮に第2軸受22の外輪31が傾いてしまったとしても、径方向に収縮していく軸受取付部20eの内面にならうように外輪31の傾きが修正されていくので、軸受取付部20eと第2軸受22とを精度良く固定させることができる。そして、前記したように第2軸受22の外輪31の傾きが抑制されることによって、電動モータ7の生産性が向上するとともに、静粛性に優れ、かつ、ハンドル戻りがよく、トルク変動のない優れた操舵フィーリングを有する電動パワーステアリング装置1を提供することが可能となった。
前記第1の実施形態では、第2モータハウジング20b全体を加熱・冷却させたが、本発明はこれに限定されず、第2モータハウジング20bのうち少なくとも軸受取付部20eを加熱・冷却させればよい。
前記第1の実施形態では、第2モータハウジング20bの冷却を自然冷却としたが、本発明はこれに限定されず、例えば送風による空冷、冷却水の循環による水冷等の強制冷却としてもよい。
以下に、本発明の第1の参考例に係る電動モータの製造方法について説明する。この実施形態は第1の実施形態の電動モータ製造装置および製造方法の一部を変更したものなので、第1の実施形態と同様の構成要素および工程については、その説明を省略する。参照する図面において、図4は、第1の参考例に係る電動モータの製造方法を示す概略断面図である。
第1の実施形態と同様に、固定子組付工程、軸受組付工程および加熱工程を行った後、第1モータハウジング20aと第2モータハウジング20bをそれぞれ基台41と保持装置43にセットする。そして、第1モータハウジング20aを基台41にセットした後、芯出し用冶具44を回転軸13の上端にセットする際には、その芯出し用冶具44の鍔部44aと回転軸13の上端の第2軸受22との間にばね部材45を介在させた状態で、芯出し用冶具44をセットする。これにより、配置工程および冷却工程において、第2軸受22の外輪31がばね部材45によって保持されるようになっている。
第2軸受22の外輪31をばね部材45によって保持するので、外輪31の傾きを確実に抑制することができる。
また、ばね部材45によって第2軸受22の外輪31の端面と内輪30の端面とを略平行に維持するので、外輪31と転動体32との軸方向における隙間と、内輪30と転動体32との軸方向における隙間が常に一定に保たれる。すなわち、外輪31または内輪30と転動体32との軸方向における密着の程度が大きすぎたり、小さすぎたりすることがないので、フリクショントルクを一定にできるといった効果も得ることができる。
以下に、本発明の第2の実施形態に係る電動モータの製造方法について説明する。この実施形態は第1の実施形態に係る電動モータの製造装置や製造方法を変更したものなので、第1の実施形態に係る電動モータと同様の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。参照する図面において、図5は、第2の実施形態に係る電動モータの製造方法を示す図であり、電動モータ製造装置に第1モータハウジングと第2モータハウジングをセットする工程を示す概略断面図(a)と、第2軸受に回転軸を圧入させる工程を示す概略断面図(b)である。
図5(a)に示す電動モータ製造装置50に電動モータ7の構成部品をセットする前に、予め、第2モータハウジング20bに固定子24を組み付けるとともに(固定子組付工程)、回転子23の回転軸13の一端(図では上端)に第1軸受21を組み付け(回転軸側軸受組付工程)、さらに、第1軸受21を第1モータハウジング20aに組み付けておく。また、第2モータハウジング20bの軸受取付部20eには、第2軸受22を予め組み付けておく(ハウジング側軸受組付工程)。
第2軸受22の内輪30をカラー部材54によって傾動不能に保持するので、軸受挿入時に第2軸受22の内輪30が回転軸13の端部と接触して傾くことを抑制することができる。そして、このように第2軸受22の内輪30の傾きが抑制されることによって、電動モータ7の生産性が向上するとともに、静粛性に優れ、かつ、ハンドル戻りがよく、トルク変動のない優れた操舵フィーリングを有する電動パワーステアリング装置1を提供することが可能となった。
以下に、本発明の第3の実施形態に係る電動モータの製造方法について説明する。この実施形態は第1の実施形態に係る電動モータの製造方法を変更したものなので、第1の実施形態に係る電動モータと同様の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。参照する図面において、図6は、第3の実施形態に係る電動モータの製造方法を示す図であり、第2軸受よりも大きな径で形成された軸受取付部を第2軸受の周囲に配置させる工程を示す概略断面図(a)と、軸受取付部をかしめる工程を示す概略断面図(b)である。
まず、第1の実施形態と同様に、固定子組付工程および軸受組付工程を予め行っておくとともに、回転軸13に組み付けた第1軸受21を第1モータハウジング20aに組み付けておく。そして、図6(a)に示すように、第1モータハウジング20aと第2モータハウジング20b’を、第1の実施形態の電動モータ製造装置40(図3参照)のような装置によって組み付ける。このとき、第2モータハウジング20b’の軸受取付部20e’が第2軸受22の外面よりも大きく形成されていることで、これらは径方向において所定の隙間を介して配置されるようになっている(配置工程)。その後は、図6(b)に示すように、軸受取付部20e’を径方向にかしめる、すなわち塑性変形させることによって、軸受取付部20e’に第2軸受22を固定させる(塑性変形工程)。
第2モータハウジング20bの軸受取付部20e’と第2軸受22との間に所定の隙間を介した状態で軸受取付部20e’に第2軸受22を挿入させるので、軸受挿入時に第2軸受22の外輪31が軸受取付部20e’と接触して傾くことを抑制することができる。そして、このように第2軸受22の外輪31の傾きが抑制されることによって、電動モータ7’の生産性が向上するとともに、静粛性に優れ、かつ、ハンドル戻りがよく、トルク変動のない優れた操舵フィーリングを有する電動パワーステアリング装置1を提供することが可能となった。
さらに、第3の実施形態においては、軸受取付部20e’の底部に、第1の実施形態のような芯出し用冶具44との干渉を防止するための逃げ孔20fを形成していないので、逃げ孔20fを塞ぐ蓋を別個に用意する必要がなくなり、より安価に電動パワーステアリング装置1を製造することができる。
以下に、本発明の第2の参考例に係る電動モータの製造方法について説明する。この実施形態は第3の実施形態に係る電動モータの製造方法を変更したものなので、第3の実施形態に係る電動モータと同様の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。参照する図面において、図7は、第2の参考例に係る電動モータの製造方法を示す概略断面図である。
次に、第2の参考例に係る電動モータ7’の製造方法について説明する。
第3の実施形態と同様に、固定子組付工程および軸受組付工程を予め行っておくとともに、回転軸13に組み付けた第1軸受21を第1モータハウジング20aに組み付けておく。そして、第2軸受22の外輪31の外周面に接着剤Gを塗布した後(塗布工程)、各モータハウジング20a,20bを組み合わせる(配置工程)ことで、第2軸受22の外輪31と第2モータハウジング20b’の軸受取付部20e’とを接着剤Gの固化によって結合させる。なお、配置工程において仮に接着剤Gの影響で第2軸受22の外輪31が傾いた場合であっても、接着剤Gが固化する前であれば簡単に回転軸13を調芯することができるので、外輪31の傾きは抑制されるようになっている。
接着剤Gを塗布した第2軸受22に対して第2モータハウジング20b’の軸受取付部20e’を配置し、適宜調芯作業を行うだけで、第2軸受22の外輪31の傾きを簡単に抑制することができる。そして、このように第2軸受22の外輪31の傾きが抑制されることによって、電動モータ7’の生産性が向上するとともに、静粛性に優れ、かつ、ハンドル戻りがよく、トルク変動のない優れた操舵フィーリングを有する電動パワーステアリング装置1を提供することが可能となった。
前記各実施形態における各工程の順序は特に限定されるものではなく、例えば、第1の実施形態等における固定子組付工程と軸受組付工程はいずれが先であってもよい。
前記各実施形態では、軸受を2つだけ設けているが、本発明はこれに限定されず、3つ以上設けてもよい。
また、本発明はどのような電動機に採用してもよいが、特に、8極9スロットブラシレスモータに採用すると、その効果を有効に利用することができる。すなわち、モータ駆動時に回転軸に対して径方向の偏荷重が発生しやすい8極9スロットブラシレスモータであっても、本発明を適用することにより、回転軸の支持精度を向上させ、振動発生の抑制を図ることができるとともに、フリクショントルクの変動(コギングトルク)やフリクショントルクの増加を抑制することができる。したがって、ハンドル上のトルク変動がなくなって操舵フィーリングが向上するとともに、静粛性に優れた電動パワーステアリング装置を安価に提供することが可能となる。
7,7’ 電動モータ
13 回転軸
20a 第1モータハウジング
20b,20b’ 第2モータハウジング
20d 軸受取付部
20e,20e’ 軸受取付部
21 第1軸受(転がり軸受)
22 第2軸受(転がり軸受)
23 回転子
24 固定子
27 内輪
28 外輪
29 転動体
30 内輪
31 外輪
32 転動体
40,40’,50 電動モータ製造装置
44a 鍔部
45 ばね部材(保持手段)
54 カラー部材(保持手段)
G 接着剤
Claims (5)
- 回転軸を有する回転子と、前記回転軸の両端部を支持する第1軸受及び第2軸受と、前記回転軸が第1軸受を介して取り付けられている第1ハウジングと、固定子が固定された第2ハウジングと、該第2ハウジングに第2軸受を取り付けるための軸受取付部と、を有する電動機の製造方法であって、
前記第2ハウジングに前記固定子を組み付ける固定子組付工程と、
前記第1軸受及び第2軸受を前記回転軸に組み付ける軸受組付工程と、
前記第1軸受を前記第1ハウジングに圧入により組み付ける工程と、を行い、その後に、
前記第2ハウジングのうちの少なくとも前記軸受取付部を加熱して径方向に膨張させる加熱工程を行い、その後に膨張した前記軸受取付部と、保持手段を用いて保持された前記第2軸受とを径方向に所定の隙間を介して配置する配置工程を行い、その後に、少なくとも前記軸受取付部を冷却することで収縮させて、前記軸受取付部に前記第2軸受を固定させる冷却工程を行うことを特徴とする電動機の製造方法。 - 前記加熱工程は、第2ハウジング全体を加熱することを特徴とする請求項1に記載の電動機の製造方法。
- 前記第2ハウジングは、一つの部材からなることを特徴とする請求項1に記載の電動機の製造方法。
- 回転軸を有する回転子と、前記回転軸の両端部を支持する第1軸受及び第2軸受と、前記回転軸が第1軸受を介して取り付けられている第1ハウジングと、固定子が固定された第2ハウジングと、該第2ハウジングに第2軸受を取り付けるための軸受取付部と、を有する電動機の製造方法であって、
前記第2ハウジングに前記固定子を組み付ける固定子組付工程と、
前記第1軸受を回転軸の一端に組み付ける回転軸側軸受組付工程と、
前記第2軸受を第2ハウジングに組み付ける第2ハウジング側軸受組付工程と、
前記第2軸受が組み付けられた前記第2ハウジングの外周部を第1保持手段によって保持するとともに、前記第2ハウジングに組み付けられた前記第2軸受の内輪を第2保持手段によって保持し、両者を保持した状態のまま前記第2軸受の内輪に対して前記回転軸の他端を圧入する圧入工程とを有することを特徴とする電動機の製造方法。 - 回転軸を有する回転子と、前記回転軸の両端部を支持する第1軸受及び第2軸受と、前記回転軸が第1軸受を介して取り付けられている第1ハウジングと、固定子が固定された第2ハウジングと、該第2ハウジングに第2軸受を取り付けるための軸受取付部と、を有する電動機の製造方法であって、
前記第2ハウジングに前記固定子を組み付ける固定子組付工程と、
前記第1軸受及び第2軸受を前記回転軸に組み付ける軸受組付工程と、
前記軸受取付部と前記第2軸受とを径方向に所定の隙間を介して配置する配置工程と、
前記軸受取付部を前記第2軸受の外輪の外周すべてと接触するように径方向に塑性変形させることで、前記軸受取付部に前記第2軸受のみを固定させる塑性変形工程とを有することを特徴とする電動機の製造方法。
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