JP4489202B2 - ブテンポリマーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、C4供給原料と三フッ化ホウ素の触媒とを用い、触媒に由来して残留するフッ素(以下「残留フッ素」という)を実質的に含まず、かつ末端ビニリデン構造の含有率の高いブテンポリマーを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
米国特許第4,152,499号公報には、水またはアルコールを錯化剤とする三フッ化ホウ素錯体触媒を用いてイソブテンを重合することにより得られる重合体は、ビニリデン構造の二重結合形式を高い割合で含有するブテンポリマーであって、無水マレイン酸等との間で高率のマレイン化反応が進行することが開示されている。
このようにして製造されるマレイン化ポリブテンは、燃料油または潤滑油添加剤などに使用されるので、ポリブテンはその使用時または廃棄時に燃焼等により大気中に放出される。
ここで、イソブテンを原料として重合する場合、純イソブチレンを原料とするよりもn−ブテン等も含むいわゆるC4留分を原料とする方が経済的である。しかるに、三フッ化ホウ素錯体を触媒としてC4留分を重合する場合には、得られた重合体に触媒に起因するフッ素が含まれる。
前記のように、得られたポリブテンは、結局燃焼されて大気中に放出されるので、その中に含まれるフッ素も同時に大気中に放出され、そのフッ素は場合により大気汚染の原因となる。
近年、環境保全に対する要望が高まり、たとえわずかな汚染物質であっても問題視されるため、残留フッ素の少ないものが望まれている。
このような事情に鑑み、本発明者らは、三フッ化ホウ素錯体を触媒とし、C4留分を重合して得られる重合体中の残留フッ素を減少させる後処理方法として、多くの重合体についてフッ素除去の方法を検討した。
【0003】
ここで、三フッ化ホウ素錯体を触媒としC4留分を重合して得られる重合体中のフッ素は、無機フッ素のみではなく、有機フッ素としてポリマー鎖に結合しているものもあることが確認された。無機フッ素は水洗、中和等により除去することができるが、これらの常法によって有機フッ素を完全に除去することはできない。このようなフッ素を除去するには従来公知の吸着等では不十分であり、いわばフッ化炭化水素からのフッ素原子の脱離反応によって除去する必要があると考えられる。そのため、各重合反応ごとに除去のための特定の後処理方法を探索する必要がある。
例えば、特開昭57―183726号公報では、フッ素を含むニッケル系触媒によりブテン留分をオリゴマー化し、得られたオレフィン3量体中に含まれるフッ素を、具体的にはシリカゲルで処理することにより除去することを提案している。しかしながら、後記の比較例が示すように、三フッ化ホウ素錯体を触媒としてC4留分を重合して得られる重合体の場合には、シリカゲルによる処理では十分にフッ素を除去することはできない。
さらに問題となるのは、処理の際に重合体中の二重結合が異性化し、その結果、重合で得られた高い末端ビニリデン結合の含有率が低下する現象が見られる場合がある。なお、重合体中の炭素―炭素二重結合の異性化(移動)も化学反応の一種であり、それぞれ特定の触媒により促進されることがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、三フッ化ホウ素を触媒としてC4供給原料を重合し、得られる末端ビニリデン結合の含有率が高い重合体を後処理工程に供することにより、末端ビニリデン構造の含有率が処理前の含有率の60%以上に維持され、かつポリマー中の残留フッ素が実用上問題の無い程度まで低減されたブテンポリマーを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一は、下記の工程(I)〜(III)からなることを特徴とする、フッ素含有率が低くかつ末端ビニリデン含有率の高いブテンポリマーの製造方法に関するものである。
(I)50重量%未満のブテン−1、50重量%未満のブテン−2、100重量%未満のイソブテン、50重量%未満のブタン類および10重量%未満のブタジエンからなるC4供給原料、上記原料中に含まれるイソブテン1モルに対し 0.1〜500ミリモルの三フッ化ホウ素、ならびに上記原料中に含まれるイソブテン1モルに対し0.03〜1,000ミリモルの錯化剤としてのアルコール類および/またはジアルキルエーテル類を、それぞれ重合帯域に添加し、重合温度−100℃〜+50℃および滞留時間5分〜4時間の範囲で連続的に液相重合し、
(II)前記重合帯域から流出する反応液中の触媒を失活させた後、必要により蒸留を行い、残留フッ素が1ppm 以上、末端ビニリデン含有率が60%以上のブテンポリマーを得て、次に、
(III)該ブテンポリマーの残留フッ素濃度を低減し、かつ末端ビニリデン含有率を処理前の上記含有率の60%以上に保持するように、アルミナを含有する無機処理剤(以下「アルミナ含有無機物」という)により上記ブテンポリマーを処理する。
本発明の第二は、本発明の第一において、工程(III)終了後の残留フッ素含有量が40ppm 未満であるブテンポリマーの製造方法に関する。
本発明の第三は、本発明の第一において、工程(III)終了後の末端ビニリデン構造の含有率が工程(III)処理前の含有率の70%以上であるブテンポリマーの製造方法に関する。
本発明の第四は、本発明の第一の工程(III)において、アルミナ含有無機物と、残留フッ素を含有するポリマーとの接触温度が20℃以上220℃以下、好ましくは 50℃以上200℃以下であるブテンポリマーの製造方法に関する。
本発明の第五は、本発明の第一の工程(III)において、アルミナ含有無機物と、残留フッ素を含有するポリマーとの平均接触時間が1分以上5時間未満であるブテンポリマーの製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明においては、反応器を備えた重合帯域(反応帯域)において前記C4供給原料を連続的に重合する。連続反応器としては、攪拌型反応器、ループ型反応器など任意の形式のものを採用することができる。重合帯域からは未反応成分ならびに生成したブテンポリマーおよび触媒を含む反応液が流出する。
C4供給原料は、50重量%未満のブテン−1、50重量%未満のブテン−2、100重量%未満のイソブテン、50重量%未満のブタン類および10重量%未満のブタジエンからなるもの(合計で100重量%)である。この供給原料は、イソブテンのほかに、ブテン−1、ブテン−2およびブタジエンの一定量以上を含むC4炭化水素の混合物であり、例えば、ブテン−1、ブテン−2およびブタジエンを合計で5重量%以上含むものであることが好ましい。このようにイソブテンのほかにブテン−1、ブテン−2等の一定量を含有するC4炭化水素供給原料を三フッ化ホウ素錯体触媒により重合するときは、多くの場合、かなりの割合のフッ素原子が生成重合体へ混入することを避け得ない。
【0007】
上記C4炭化水素供給原料の代表例としては、いわゆるC4留分があり、例えばエチレンやプロピレンを製造するために、ナフサ、灯油、軽油、ブタン等を分解するクラッカーから流出するC4ラフィネートであって、ブタジエンを抽出等により除去したものが例示される。C4留分の代表的な組成は、不飽和成分として、約1〜40重量%、好ましくは約10〜40重量%のブテン−1、約1〜 40重量%のブテン−2および約10〜80重量%、好ましくは約40〜70重量%のイソブテン、飽和成分として約10〜30重量%のブタン類、ならびに約10重量%未満、好ましくは約0.5重量%以下のブタジエンからなる(合計で100重量%)。この組成範囲である限り特に限定されるものではなく、流動接触分解(FCC)装置からの分解生成物などに含有されるイソブテンを含むC4留分であってもよい。
そのほか、組成を適宜の手段により変更したものも使用することができる。具体的には、蒸留により組成を変更したり、イソブチレンを追加してイソブチレン濃度を増加させたり、軽度の重合によりイソブチレンをオリゴマー化しイソブチレン濃度を低減し、あるいは接触ヒドロ異性化等の反応によりブテン−1濃度を低減したもの、各種の物理的または化学的操作により組成変成したものなども、上記組成範囲である限り本発明において使用することができる。
C4留分は、イソブテンの含有率が大きいほど好ましい。しかしながら、例えばC4ラフィネートにおいても、イソブテンの含有量は最大70重量%程度である。FCCなどからのC4留分では通常さらに低い。またC4留分中のブタジエンは存在する場合でも約0.5重量%以下であり、通常は不純物程度の微量である。
また原料中の水分は通常10ppm 以下に調整することが好ましい。ただし数十ppm 程度の水分が含まれていても特に支障なく重合を行うことができる。
【0008】
重合反応に使用する触媒としては三フッ化ホウ素を用いる。触媒としての三フッ化ホウ素は、原料のC4炭化水素供給原料中に含まれるイソブテン1モルに対して0.1〜500ミリモルの割合で重合帯域中に供給する。本発明により得られるポリブテンの分子量の調整は、反応温度と触媒投入量を調節することにより行うことができる。触媒としての三フッ化ホウ素がこの範囲より少ないと反応が進行し難く、一方これより多いときは副反応等が多く生起するため、いずれも好ましくない。
【0009】
さらにまたアルコール類、ジアルキルエーテル類またはそれらの混合物を、錯化剤として、C4炭化水素供給原料中に含まれるイソブテン1モルに対し合計で0.03〜1,000ミリモルの割合で重合帯域に添加する。錯化剤がこの範囲より少ないと反応が進行し難く、一方これより多いときは副反応等が多く生起し、いずれも好ましくない。
ここで、上記アルコール類、ジアルキルエーテル類等はいずれも反応系内において三フッ化ホウ素と錯体を生じ得るものである。したがって本発明においては、アルコール類、ジアルキルエーテル類またはそれらの混合物と三フッ化ホウ素との錯体を反応系外において別途に予備調製し、これを反応系に供給する方法も態様の一つとして採用することができる。このように別途に調製した錯体触媒を反応系に供給する場合においても、C4炭化水素供給原料に対する錯体の供給割合は、錯体成分としての三フッ化ホウ素、アルコール類およびジアルキルエーテル類に換算し、それぞれ前記の範囲とすることができる。
【0010】
上記錯化剤は、系内に多量に存在するとむしろ重合禁止剤として作用することが多く、そのため緊急停止時の安全性等の観点からは、前記錯化剤としてのアルコール類、ジアルキルエーテル類またはそれらの混合物を三フッ化ホウ素とは別個に反応系に供給する方法が好ましい。
一方、錯体を予備調製しておく場合には、重合においてガスとしての三フッ化ホウ素を用いないので取り扱いが容易であり、また触媒供給ラインが1系統ですむ等の利点がある。それぞれの事情に応じて予備調製の錯体を利用したり、または錯化剤を別個に供給する方法を採用することができる。場合によっては両方法を同時に採用することもできる。
【0011】
より具体的な錯化剤としてのアルコール類およびジアルキルエーテル類は以下の通りである。
アルコール類としては、芳香族またはC1〜C20の脂肪族アルコールが例示され、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノールあるいはベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。上記C1〜C20のアルコール類の炭素骨格は、分岐度に制限がなく、直鎖アルキル基、sec-、tert- 等の分岐アルキル基または脂環式アルキル基、あるいは環を含むアルキル基でも差し支えない。これらのアルコールは、単独または適宜の割合で混合して使用することができる。
【0012】
ジアルキルエーテル類としては、芳香族またはC1〜C20の脂肪族の同一または異なる炭化水素基を有するジアルキルエーテルが例示され、具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルブチルエーテル、エチルブチルエーテル、プロピルブチルエーテル、ジペンチルエーテル、あるいは、フェニルメチルエーテル、フェニルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル等が挙げられる。上記C1〜C20の炭化水素基の骨格は、分岐度に制限がなく、直鎖アルキル基、sec-、tert- 等の分岐アルキル基または脂環式アルキル基、あるいは環を含むアルキル基でも差し支えない。これらジアルキルエーテルは、単独または適宜の割合で混合して使用することができる。
なお、上記アルコール類およびジアルキルエーテル類は、前記の通り適宜の割合で混合して使用することもできる。
【0013】
工程(I)における重合は液相重合であり、その温度は−100℃〜+50℃、好ましくは−40℃〜+10℃の範囲である。この範囲より低温ではイソブテンを含有する液状炭化水素のオレフィン成分の転化率が抑制される。一方、これより高温になると転化率が抑制されるとともに異性化や転位反応等の副反応が起こり、本発明の目的生成物を得ることが困難になる。
工業的生産の点からは連続式による方法が経済的かつ効率的であるので、本発明においては連続的に重合を行う。連続式では供給原料の触媒との接触時間が重要であり、本発明による重合反応では接触時間として5分〜4時間の範囲であることが望ましい。接触時間が5分未満では十分なイソブテン成分の転化率が得られず、逆に4時間を超えると経済的な損失も多く、また触媒と長時間接触させる場合には、生成したブテンポリマーの異性化や転位反応等の副反応が促進されるため、いずれも好ましくない。
ブテンポリマーの製造における商業的な採算性を良好にするには、C4留分、例えばC4ラフィネート中のイソブテン成分の転化率がより高いことが望ましいが、本発明の重合条件を採用すればイソブテンの転化率として80〜100%を達成することが可能である。
【0014】
重合後、重合帯域からは、前記の通り未反応成分ならびに生成したブテンポリマーおよび触媒を含む反応液が流出する。工程(II)においては、上記反応液について、常法に従い、適宜の失活剤、例えば水、アルカリ水、アルコール等により触媒を失活させる。触媒の失活後、必要に応じ中和、水洗を行って触媒残さを除去し、適宜に蒸留を行うことによりブテンポリマーが得られる。
【0015】
上記のように、重合触媒として三フッ化ホウ素を、錯化剤としてアルコール、ジアルキルエーテル等を用い、イソブテンを含有するC4炭化水素供給原料を液相重合することによって、末端ビニリデン含有率を60%以上の高い割合で含むブテンポリマーを得ることができる。しかしながら、このポリマー中には触媒に由来する残留フッ素が1ppm 以上、通常は5ppm 以上、例えば数十ppm の濃度で含まれている。この残留フッ素は、常法により失活およびそれに続く水洗を行っても除去することが困難な有機フッ素である。
【0016】
次に本発明では、工程(III)において、得られたブテンポリマーについてアルミナ含有無機物により脱フッ素処理を行う。この工程においては、残留フッ素を除去する際に、高い末端ビニリデン結合の含有率を少なくともそのまま維持することが肝要である。具体的には、末端ビニリデン含有率が本工程による脱フッ素処理前の含有率の60%以上、好ましくは70%以上を保持するように残留フッ素濃度を低減する。
本工程でアルミナ含有無機物と接触させるブテンポリマーは、触媒失活後のものであればよく、失活、水洗後における蒸留の有無に制限はない。粘度が高い場合は、アルミナ含有無機物との接触効率を高めるため、不活性な溶媒で希釈することが好ましい。このような不活性な溶剤としては、ノルマルヘキサン、イソヘキサン等の脂肪族炭化水素溶剤が好ましい。
【0017】
脱フッ素温度は、液粘度やアルミナ含有無機物の種類によって異なるが、好ましくは20℃〜220℃、さらに好ましくは50℃〜200℃である。この範囲より処理温度が高いと残留フッ素は低減されるが、末端ビニリデンの異性化が進行して末端ビニリデン構造が損なわれ、一方、温度が低いと異性化は生じないが、ポリマー中の残留フッ素が低減されないかまたは十分な低減効果が得られないため、いずれも目的を達することができない。
接触時間は、粘度および温度により影響を受けるが、約1分〜5時間の範囲である。この範囲より短いと接触が不十分であり、長いと設備費が増大し好ましくない。
【0018】
また、使用するアルミナ含有無機物は、アルミナを主として含む限り特に限定されない。シリカ・アルミナを用いることもできる。また、これらを適宜にアルカリおよびアルカリ土類金属により含浸処理することができる。しかしながら、通常は、ナトリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の含有量が0.5重量%以下のアルミナ等を用いれば十分である。
また処理のし易さという工業的見地から考えれば、アルミナ含有無機物は粉末状よりも球状、円柱状、リング状などの形状の成形品の方が好ましい。
【0019】
脱フッ素処理の方法は、固定床、流動床などの常法を採用することができる。好ましくは固定床流通式により接触させる。
脱フッ素処理後、溶媒を使用した場合などには、適宜に蒸留することによりブテンポリマーを得ることができる。
本工程の処理によりブテンポリマーを回収することにより、残留フッ素濃度が好ましくは40ppm 未満まで低減され、かつ末端ビニリデン含有率が当該処理前の末端ビニリデン含有率の値に対して60%以上、好ましくは70%以上の高い値に保持されたブテンポリマーが得られる。このブテンポリマーは、末端ビニリデン結合の含有割合が高いので無水マレイン酸等との間で高率のマレイン化反応が進行するため有用である。また実質的に残留フッ素が存在しないので、得られたブテンポリマーまたはその変性物を燃料とともに燃焼するような場合においても、大気中へのフッ素の放出が少なく、したがって環境保全の面からも有用である。
【0020】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【実施例】
<実施例1>
(製造工程)
4リットルの循環式反応槽に、C4留分(23.8重量%のブテン−1、 12.4重量%のブテン−2および51.6重量%のイソブテン、飽和成分として12.2重量%のブタン類ならびにトレースのブタジエン(合計で100重量%)を含む)を毎時4リットルの流量で供給し、イソブチレンに対して0.15重量%の三フッ化ホウ素および0.14重量%のエタノールをそれぞれ別に反応槽に供給した。反応温度を−10℃、LHSVを約1hr−1として連続的に重合を行った。
【0021】
(失活、水洗工程)
得られた反応液を2%NaOH水溶液で処理して、触媒の失活および中和を行い、さらに脱イオン水で2回洗浄を行った。洗浄後、乾燥して蒸留することにより、数平均分子量1,300、末端ビニリデン含有率91%、残留フッ素濃度78ppm のブテンポリマーが得られた。
【0022】
(残留フッ素除去工程)
容量100ccの固定床容器に、150℃で2時間減圧乾燥した活性アルミナ(PROCATALYSE社製、商品名:PSG−D25)を粒径0.5mmから1.4mmに粉砕して充填した。
この充填容器に、先のブテンポリマーをイソパラフィン溶剤で粘度30ポイズになるように希釈したものを、温度とWHSVを変えて通過させ、充填容積に対する通油倍数24における時点のサンプルを採取し、ブテンポリマーの末端ビニリデン含有率と残留フッ素濃度とを測定した。
なお、数平均分子量をGPC((株)島津製作所製)により、末端ビニリデン含有率をNMR(日本電子(株)製)により、また残留フッ素濃度を Wickbold−比色法によりそれぞれ測定した。
処理後の残留フッ素濃度、および末端ビニリデン含有率の測定結果を第1表に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
<比較例1>
分子量1,800、残留フッ素濃度130ppm、末端ビニリデ含有率88%のブテンポリマーを、シリカゲルとの接触効率を高める目的でノルマルヘキサンを用いて50%に希釈した。このとき液の粘度は5センチポイズであった。この希釈ポリマー100mlに、燥窒素気流下において150℃で予め加熱したシリカゲル(商品名:シルビード(Silbead)N、水沢化学工業(株)製)27gを投入し、室温で1時間攪拌した。
処理後のブテンポリマーの末端ビニリデン含有率は88%であり、フッ素含有量は66ppm であった。
したがって、三フッ化ホウ素錯体を触媒としてC4留分を重合して得られるブテンポリマーの場合には、シリカゲルによる処理を行ってもフッ素を十分に除去することはできない。
【0025】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、得られるブテンポリマーの末端ビニリデン結合の含有割合が高いので、無水マレイン酸等との間で高率のマレイン化反応が進行するため好ましい。また実質的に残留フッ素が存在しないので、ブテンポリマーまたはその変性物を燃料とともに燃焼するような場合においても大気中へのフッ素の放出が少なく、環境保全の面において有用である。
Claims (4)
- 下記の工程(I)〜(III)からなることを特徴とする、フッ素含有率が低くかつ末端ビニリデン含有率の高いブテンポリマーの製造方法、
(I)1〜40重量%のブテン−1、1〜40重量%のブテン−2、10〜80重量%のイソブテン、10〜50重量%未満のブタン類および0〜10重量%未満のブタジエンからなる(合計で100重量%)C4供給原料、該原料中に含まれるイソブテン1モルに対し 0.1〜500ミリモルの三フッ化ホウ素、ならびに該原料中に含まれるイソブテン1モルに対し0.03〜1,000ミリモルの錯化剤としてのアルコール類および/またはジアルキルエーテル類を、それぞれ重合帯域に添加し、重合温度 −100℃〜+50℃および滞留時間5分〜4時間の範囲で連続的に液相重合し、
(II)前記重合帯域から流出する反応液中の触媒を失活させた後、必要により蒸留を行い、残留するフッ素(以下「残留フッ素」という)が1ppm 以上、末端ビニリデン含有率が60%以上のブテンポリマーを得て、次に、
(III)該ブテンポリマーを50℃以上200℃以下の温度範囲でアルミナを含有する無機処理剤(以下「アルミナ含有無機物」という)により、該ブテンポリマーの残留フッ素濃度を低減し、かつ末端ビニリデン含有率を処理前の該含有率の60%以上に保持するように処理する。 - 前記工程(III)により得られる重合体中の残留フッ素含有量が40ppm未満である請求項1記載のブテンポリマーの製造方法。
- 前記工程(III)により得られる重合体中の末端ビニリデン構造の含有率が、工程(III)による処理前の該含有率の70%以上である請求項1記載のブテンポリマーの製造方法。
- 前記工程(III)において、アルミナ含有無機物と、残留フッ素を含有するブテンポリマーとの平均接触時間が1分以上5時間未満である請求項1記載のブテンポリマーの製造方法。
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