JP4488589B2 - 精密印刷用メッシュ,パターン一体化スクリーンマスクの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクリーン印刷用メッシュとマスクパターンを電鑄技術により一体化製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクリーン印刷は、従来、枠に張ったシルク,ナイロン,ポリエステル等のメッシュの上を印刷しようとするパターンに応じてレジストで覆い、インキが押し出されないメッシュのマスク部分と押し出されるメッシュのパターンに相応した部分に分けて印刷を行う。
近頃、電子回路,電子部品,マイクロマシン等の製造プロセスに印刷技術が導入されるに伴い、精密な微細パターンの印刷の要望が高まり、解像性,位置,寸法の精度,耐久性等の向上に迫られている。したがって、シルクや合成樹脂等のメッシュやエマルジョンによるレジストパターンでは伸縮,膨潤,摩耗性等で高精度化する今後の、ニーズに応えることが難しく、ステンレス等の金属ワイヤによるメッシュが用いられ、また、パターンにはエマルジョンによるレジストからニッケルメッキ層に移行したものが実用化され、機能的にも相応の向上を遂げている。しかしながら、織網によるメッシュ特有の凹凸,平滑性の不足からメッシュとニッケルメッキ層によるパターンとの整合性に問題が残り、微細部の再現は容易でない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のスクリーン印刷におけるメッシュとパターンの組み合わせを図2(a),(b)を用いて説明する。
図2(a)はシルク,合成樹脂等で平織されたメッシュ14の上に印刷しようとするパターンに応じて、インキの遮蔽部をレジスト15で覆ったスクリーン印刷用マスクである。図2(b)は伸縮,膨潤性を防ぎ、寸法精度,耐久性を改善するために、ステンレスメッシュ16を用い、パターン開口部に一旦レジストを残して、ステンレスメッシュ露出部にニッケルメッキ層17を生成した後、レジストを溶解除去して印刷用マスクを構成したものである。したがって、図2(b)は図2(a)に比べ、印刷寸法精度,安定性,耐久性等において優れている。しかしながら、いずれも繊維を織ったメッシュ特有の縦横交叉部の凸部を含む波形の面がメッシュのフラット性を損なう。そのため、メッシュとパターンの境界付近の整合性に問題を残し、微細なパターンの再現性において満足すべき結果が得難い。
【0004】
本発明は上記諸問題を解決するもので、その目的は、メッシュに織網ではなくニッケル電鋳の生成によるメッシュを用い、このニッケルメッシュとパターンが一体化されたフラットな印刷用メッシュスクリーンマスクを得ることができる製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明による精密印刷用メッシュ,パターン一体化スクリーンマスクの製造方法は、ステンレス基板上にエマルジョンレジストまたはドライフィルムを施し、この上にメッシュパターンの露光を行う1次レジスト処理露光工程と、前記エマルジョンレジストまたはドライフィルムのメッシュの繊維に相当する部分を溝状に溶解除去してステンレス基板上に露出部を形成し、この露出部分にニッケルメッキを行うニッケルメッキ工程と、前記ニッケルメッキ層が所定の厚みに達した後、残りのレジストを溶解除去してニッケルメッシュパターンを生成するニッケルメッシュパターン生成工程と、前記ニッケルメッシュパターンと同じ面に銅メッキを行ってメッシュを固定するニッケルメッシュパターン固定工程と、前記ニッケルメッシュパターンを固定した後、ステンレス基板を剥離し、剥離面の露出したメッシュの表面に直接レジスト処理を行う2次レジスト処理工程と、印刷目的に対応したパターンを重ねて露光し、パターン部以外のレジストを溶解除去するパターン露光レジスト除去工程と、前記パターン露光レジスト除去工程でレジスト除去した露出部にニッケルメッキを施して遮蔽マスク部とした後、パターン部のレジストおよび銅メッキ部を溶解除去する工程とから構成されている。
【0006】
【作用】
この製造方法によれば、織網の欠点である網目の変形や伸び,凹凸等のない、平滑性の高い、強度と寸法安定性に優れたニッケルメッシュの製造に連続した一貫工程によりパターンが一体化されるため、メッシュとパターンの整合性は大幅に改善され微細パターン,薄膜印刷にも充分適応でき、精度,耐久性も著しく向上する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明をさらに詳しく説明する。
図1Aおよび図1Bは、本発明による一体化印刷用メッシュスクリーンマスクの製造方法の実施の形態を示す図である。(a)〜(e)はニッケルメッシュパターンを生成する工程を、(f)は工程(e)におけるメッシュパターンの平面図をそれぞれ示している。
【0008】
図1A(a)に示すステンレス基板1の表面に1次ニッケルメッキ層によるメッシュを生成するため、図1A(b)のように1次レジスト処理(ドライフィルム)2を施し、メッシュパターンの露光を行う。
露光後、レジストを溶解除去することにより、メッシュ繊維部に相当する溝状のステンレス基板露出部3を形成する(図1A(c))。露出部3に図1A(d)に示すように1次ニッケルメッキを施し、1次ニッケルメッキ層4によるメッシュ部を生成する。
【0009】
次に残りのレジストを除去して、図1A(e)に示すようにメッシュパターン開口部5を形成する。図1A(f)は(e)を矢印方向から見た平面図で、ステンレス基板1の上に生成されたニッケルメッキ層のメッシュパターン6の完成状態を示している。
【0010】
図1B(g)〜(l)は、図1A(f)のニッケルメッシュパターン6の上に2次ニッケルメッキ層よりなるパターンを一体化生成する工程を、(m)は、工程(l)におけるスクリーンマスクの平面図をそれぞれ示している。
ニッケルメッシュパターン6を固定するためにステンレス基板1の反対側の面に銅メッキ層7を施す(図1B(g))。これによって、図1B(h)以降の工程作業中にニッケルメッシュが変形や損傷を受けることがない。
【0011】
次に図1B(h)に示すように、ステンレス基板1をニッケルメッシュパターン6より剥離し、図1B(i)のようにニッケルメッシュパターン6の剥離面に直接2次レジスト8を施す。印刷しようとするパターンに対応する露光を行い、図1(j)に示すように、パターン部10以外のレジスト除去する。
【0012】
次いでレジスト除去部9に2次ニッケルメッキ層(マスク部)11を生成する(図1B(k))。したがって、2次ニッケルメッキ層11は直接メッシュに固定され、印刷時にインキを遮蔽するマスクとなる。
図1B(l)は銅メッキ層7と残ったレジスト(パターン部)10を溶解除去し、メッシュとパターンが一体化された印刷用メッシュスクリーンマスクである。図1B(n)は図1B(m)を用いて印刷されたパターンを示したものである。
【0013】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明は上記の工程によって構成されているので、以下のような効果を有する。
(1)電鑄法によって生成されたニッケルのフラットなスクリーンプレートであり、織網と異なり繊維交叉部の凸起や波形のうねりや伸縮がなく、平滑度が高く、寸法位置精度が安定で、従来より精密な印刷が可能である。
(2)織網繊維の線径に等しい幅のメッシュの生成に際して、厚みはそれよりも薄く作ることが容易であり、また、素材の特性から引張強度や変形に対する抗力が高く、印刷精度,耐久性において著しく有利である。
(3)細いメッシュの生成にあたって、銅メッキの介在によりパターンの一体化の最終工程に至るまで、変形の防止,寸法安定性が確保されるため、大きい開口率を保ちながら微細なパターンの高精度の再現が容易である。
(4)高精度を確保しながらメッシュとパターンの一体化生成が進められるため,特に微細部品製造工程への導入に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1A】本発明による精密印刷用メッシュ,パターン一体化スクリーンマスクの製造方法の実施の形態を示す図で、(a)〜(e)は工程図を,(f)は工程(e)におけるメッシュパターンの平面図をそれぞれ示している。
【図1B】本発明による精密印刷用メッシュ,パターン一体化スクリーンマスクの製造方法の実施の形態を示す図で、(g)〜(l)は工程図を,(m)は工程(l)におけるスクリーンマスクの平面図を、(n)は(m)を用いて印刷されたパターン図をそれぞれ示している。
【図2】従来のスクリーン印刷におけるメッシュとパターンの組み合わせを説明するための図である。
【符号の説明】
1…ステンレス基板
2…1次レジスト(ドライフィルム)
3…ステンレス基板露出部(メッシュパターン露光後のレジスト溶解除去部)
4…1次ニッケルメッキ層
5…メッシュ開口部(残りのレジスト除去部)
6…ニッケルメッシュパターン
7…銅メッキ層
8…2次レジスト(ドライフィルム)
9…レジスト除去部(4,7の露出部)
10…パターン部
11…2次ニッケルメッキ層
12…印刷されたパターン(メッシュ部)
13…マスク部
14…シルク,樹脂等のメッシュ
15…レジスト(マスク)
16…ステンレスメッシュ(ワイヤ)
17…ニッケルメッキ層(マスク)
Claims (1)
- ステンレス基板上にエマルジョンレジストまたはドライフィルムを施し、この上にメッシュパターンの露光を行う1次レジスト処理露光工程と、前記エマルジョンレジストまたはドライフィルムのメッシュの繊維に相当する部分を溝状に溶解除去してステンレス基板上に露出部を形成し、この露出部分にニッケルメッキを行うニッケルメッキ工程と、
前記ニッケルメッキ層が所定の厚みに達した後、残りのレジストを溶解除去してニッケルメッシュパターンを生成するニッケルメッシュパターン生成工程と、前記ニッケルメッシュパターンと同じ面に銅メッキを行ってメッシュを固定するニッケルメッシュパターン固定工程と、
前記ニッケルメッシュパターンを固定した後、ステンレス基板を剥離し、剥離面の露出したメッシュの表面に直接レジスト処理を行う2次レジスト処理工程と、印刷目的に対応したパターンを重ねて露光し、パターン部以外のレジストを溶解除去するパターン露光レジスト除去工程と、
前記パターン露光レジスト除去工程でレジスト除去した露出部にニッケルメッキを施して遮蔽マスク部とした後、パターン部のレジストおよび銅メッキ部を溶解除去する工程と、
からなることを特徴とする精密印刷用メッシュ,パターン一体化スクリーンマスクの製造方法。
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- 2000-05-29 JP JP2000157660A patent/JP4488589B2/ja not_active Expired - Lifetime
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