JP4488444B2 - 多孔質セラミックスの製造方法及び多孔質セラミックス - Google Patents

多孔質セラミックスの製造方法及び多孔質セラミックス Download PDF

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Description

本発明は、多孔質セラミックス、特にリチウムイオン二次電池正極材の製造に反応容器として好適に使用できる多孔質セラミックスと、その製造方法とに関する。
リチウムイオン二次電池正極材(例えばLiMnO、LiCoO、LiNiO)の製造における1000℃前後の熱処理においては、セラミック反応容器が使用されているが、熱衝撃が過酷なため、鉄鋼用耐火物として主に用いられる耐熱衝撃性に優れたムライト−コーディエライト系の多孔質反応容器が広く用いられている。
このようなムライト−コーディエライト系の多孔質反応容器はアルカリに弱い。具体的には、リチウム化合物と遷移金属(Mn、Co、Ni)化合物の生成反応において分解発生するガス体(HO、CO、ハロゲン、チッソ及び硫黄系酸化物など)及び加熱に伴う高蒸気圧のLiOガスに反応容器が曝されることになるため、アルカリ性の強いLiOガスと反応し、LiSiO等が生成して繰返しの使用の度に反応容器が劣化する。
特に当該反応容器は、原材料として粗粒のムライトやコーディエライトと微粒のアルミナ等、多様な粒度の原材料を粘土(主に石英とカオリナイト)と混合して製造するので、成形焼成後の製品も多様な粒度の原材料と粘土分解物とがまばらな状態で充填し均質ではない。残存石英(SiO)はアルカリガスと反応してLiSiO等の含Li結晶を生成し、生成したLiSiOは400〜700℃の温度範囲でCOガスを25重量%吸収し、700℃で放出する特異性があり、その結果、反応容器内の部分体積膨張に伴う内部応力の増大と歪みが発生する。この歪みが反応容器の割れにつながるため、繰り返しの反応(焼成)では10回程度しか使用できない。セラミック反応容器の歪みや割れにより容器及び容器反応物が生成物(リチウムイオン二次電池正極材)中に崩落混入し、電池性能を劣化させたりするおそれもあるからである。
そのため、従来型のムライト−コーディエライト系材質のセラミック反応容器の使用回数は10サイクル程度で割れ、使用後は産業廃棄物として大量に捨てられている。
また、反応容器の見掛比重は2.0前後と重いので、ハンドリング作業時には作業者に負担が掛かり、また焼成の際は燃料を多く消費する欠点もある。
大阪窯業耐火煉瓦株式会社 技術研究所 小田中真一朗・原亀吉・楠瀬洋・徳永和志「セメント製造用耐火物の変遷と現状」第1回セメント用耐火物研究会報告集105〜117(1960) 大阪窯業耐火煉瓦株式会社 技術研究所 原亀吉・楠瀬洋・劒持勲・徳永和志「スピネル質煉瓦の高性能化への一考察」第2回セメント用耐火物研究会報告集32〜42(1961) 耐火物技術協会編 耐火物手帳’99 IV工業炉と耐火物 3窯業用炉と耐火物 3・2セメント・石灰用キルン 391〜397(1999) セラミック工学ハンドブック 社団法人日本セラミックス協会 832 874 2006 2011 2012(1989)
そこで本発明は、上記従来の問題点を解決し、耐アルカリ性と耐熱衝撃性とを兼備し、反応容器として好適に使用できる多孔質セラミックスと、その製造方法とを提供することを目的とする。
まず発明者は、リチウムイオン二次電池正極材製造用原材料と反応容器の化学反応を根本的に抑えるには、下記の工業的事実に着目した。
(1)アルカリの侵食が厳しいとされるセメント製造用ロータリーキルンの仮焼帯に、内張り耐火煉瓦としてシリカ−アルミナ質煉瓦が使用されているが、シリカ−アルミナ質煉瓦は、アルカリの侵食により剥離損耗が起きており、シリカ−アルミナ質煉瓦に含まれるクリストバライト(SiO)がアルカリと反応してアルカリ鉱物やガラス相を生成し、これらの性質や生成量が煉瓦損傷に影響を与えると考えられる点。
(2)リチウムイオン二次電池正極材(例えばLiMnO、LiCoO、LiNiO)の製造における1000℃前後の熱処理においても、反応容器の材質は加熱に伴う高蒸気圧のアルカリガス(LiO)に曝され、木節粘土、蛙目粘土、未利用粘土等に含まれるカオリナイトの分解物のクリストバライトや粘土分中に含まれる石英(SiO)が、アルカリの強いLiOガスの侵食により、前記した如く反応容器セラミック材質中の遊離SiOと反応してCOを吸放出しやすいLiSiO等を生成して反応容器の劣化速度を早めていると考えられる点。
そこで、製造中のリチウムイオン二次電池正極材製造用原材料とセラミック反応容器の化学反応を抑えるために、LiOガス及びLi溶融体に強いアルカリ土類系酸化物、少なくともスピネルで均質とするのがベストの材質設計と考えた。これはアルカリ土類系酸化物、特にスピネル系セラミック材質は耐アルカリ侵食性に優れている、との知見に基づくものであり、実際にセメント製造用ロータリーキルンに使用される内張り煉瓦は、化学的に過酷な条件部分であるロータリーキルンの焼成帯部分でスピネル質煉瓦が使用されており、良好な実績を示している。
さらに、耐熱衝撃性を向上させるために、反応容器作成時に生成した微細スピネル結晶の周囲にスピネルの高膨張率に基づく伸び分を逃がす微空間を配置して、急激な熱収縮、熱膨張を吸収させる必要がある。これには粘土、水酸化アルミナ、菱苦土石を使用して、焼成する際に菱苦土石(MgCO)のCO分、水酸化アルミナ(Al(OH))及び粘土の水分が分解して抜けて細孔となることを利用して行うことができる。
そこで、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、多孔質セラミックスの製造方法であって、石英を除去若しくは微粉砕した可塑性粘土と、アルミナ成分と、苦土成分とを夫々20重量%以上混合すると共に、当該3成分の混合の際、Na、K、Ca、Fe元素を含む原料鉱物成分中の酸化物の合計が全体の5重量%以下(但し0重量%を除く)となるように調整して所定形状に成形し、1200℃〜1350℃の温度で焼成することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、焼成体の収縮を好適に抑えるために、セラミックス粒子からなる骨材を10重量%〜60重量%の範囲内で混合して成形することを特徴とするものである。
一方、上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の多孔質セラミックスの製造方法で得られる多孔質セラミックスであって、晶出型スピネル及びコーディエライトを含み、見掛気孔率が40%以上、熱膨張係数が1000℃において6.66×10−6/℃以下であることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の多孔質セラミックスの製造方法で得られる多孔質セラミックスであって、晶出型スピネル及びコーディエライトを含み、見掛気孔率が40%以上、熱膨張係数が1000℃において6.66×10 −6 /℃以下、BET法で比表面積が0.3m/g以上であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4の構成において、石英成分を含まないことを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項3又は5の構成において、焼成体内にセラミックス粒子からなる骨材を有し、焼成収縮率が10%未満であることを特徴とするものである。
本発明によれば、耐アルカリ性、耐熱衝撃性に優れたアルカリ土類系酸化物、特に晶出型スピネル及びコーディエライトを含んで細孔が均質に分布したセラミックスを、MgO -AlO -SiOの平衡状態図の1370〜1453℃よりも低温で製造することができる。
また、耐アルカリ性に優れているため、リチウムイオン二次電池正極材(例えばLiMnO、LiCoO、LiNiO)製造において、セラミック反応容器として1000℃前後の高温下で使用できる。この際、LiOガスによるアルカリアタックに曝された場合でも、それとセラミック反応容器組成分との反応生成物であるガラス量は抑えられ、侵食は少ない。特に、セラミック反応容器には単成分の石英(SiO)を含まないために、アルカリの強いLiOガスとこれらの単成分の反応生成物は無い。
具体的には、石英とLiOガスが反応して、LiSiO等の含リチウム結晶を生成してCOガスの吸収放出に伴う体積膨張を起こすこともないので、セラミック反応容器の膨張破壊が生じ、生成物のリチウムイオン二次電池正極材に破片等の異物が混入することも防ぐことができる。更にセラミック反応容器の長寿命化を図ることができる。
一方、熱衝撃性も高まって割れ難くくなるため、使用後に捨てられる産業廃棄物の量を大幅に減らすことができる。また、見掛比重が小さいので、持ち運びなどの作業が楽であり、焼成の際は、燃料が少量で済む。さらに、ガス雰囲気焼成において、酸化、還元及び加湿反応において、多孔質セラミック反応容器内に均一にガスを供給できる。
そして、骨材を使用すれば焼成体の収縮を効果的に抑制可能となる。
本発明で使用する可塑性粘土は、木節粘土、蛙目粘土、カオリナイト質粘土、ボーキサイト質粘土、陶石質粘土、雲母質粘土及び各種人工粘土から1種以上が選択される。選択された粘土は水簸又は工業的遠心分離機を用いて、石英を出来る限り除去する。重要なことは、セラミックスの製造時における焼成が完了した時点で、石英が無くなりアルカリ土類化合物になっていることなので、焼成後に石英が無くなる程度であれば、完全に除去できていなくても問題はないし、石英を微粉砕することで焼成反応を促し焼成後に残存しないようにしても良い。
次に本発明ではアルミナ成分を使用する。アルミナ成分は、多孔質AlO、水酸化物、炭酸基・アンモニウム基・水酸基からなる塩及び複塩類から選ばれる1種以上であればよい。
但し、耐火度向上策としてNaイオン等のアルカリ成分の少ない原料を使用するのが望ましい。例えば、アルミナ成分としてはサッシ工場からの産業廃棄物Al(OH)スラッジ等が活用できるが、このAl(OH)にはNaイオン類等のアルカリ成分が多く含まれるため、pHが8になるくらいまで水洗いを行ったものを使用する。
こうして得られた可塑性粘土と、アルミナ成分と、苦土成分(これらの水酸化物、炭酸塩、複塩類であってもよい)を夫々少なくとも20重量%ずつ調合して、アルカリ土類化合物、特にスピネルを含む結晶体になるようにする。この時、組成物中に石英が単独で残らないように調合することが大切である。
またこの際、製造されたセラミックスを均質とするために、粒度の粗い原料を使用しないようにする。粒度の粗い原料を使用すると分解反応した生成物が残り、サブミクロン以下で均質とならなくなるからである。もし粒度配合上の都合で粒度の粗いものが必要な場合は、セラミックスと同じ材質で調合、焼成したものを粉砕して使用することが有効である。
そして、調合したセラミックス用素地を任意の形状に各種の方法で成形し、乾燥させた後、1100℃〜1350℃の範囲で焼成温度を選択して焼成する。焼成温度に関しては、焼成温度を高くするほど焼成収縮率も高くなる。また焼成温度を高くするほど反応が促進されるので、スピネルの結晶も確実に成長する。
まず、耐熱性、耐アルカリ性、耐熱衝撃性を満足させるには、単一材質では不可能である(表1参照、耐火物手帳’99、京セラ(株)特性表、セラミック工学ハンドブック、セラミックス技術集成、アルミナ系耐火物を参照した。熱膨張係数は1000℃での値を示す。)。耐アルカリ性に関しては、耐Liガス及びその溶融体に対応するデータは耐火物関連のデータ集にはほとんどないが、Naガスのデータから類推すると、表1のようになると考えられる。
Figure 0004488444
ジルコニア、石英はLiOガスと反応し、LiZrO、LiSiO等が生成して繰り返し使用によりCOの吸放出に伴う体積膨張をするので、反応容器を劣化させる。特に既述した様に、LiSiOは400〜700℃の温度範囲でCOガスを25重量%吸収し、700℃で放出する特異性があり、その結果、反応容器内の部分体積膨張に伴う内部応力の増大と歪みが発生する。
発明者らは工業的な使用状況から判断して、平均の熱膨張係数を5〜6×10−6/℃以下にすべきであると考えた。すると、必然的に選択材質はスピネル、若しくはスピネル−コーディエライトの共晶に帰着する。例えば両者を1:1と仮定すれば、熱膨張係数は4.3〜4.5×10−6/℃になり、5.0×10−6/℃以下になる。しかし両結晶が共存できる温度は1370〜1453℃である(鉱物工学 吉木文平 626 (1959))。これらをより低温焼成下でも晶出する方法を探索した結果、アルカリ系焼結助剤となるNa、K、Ca、Feを主成分に有する雲母系鉱物群(絹雲母、海緑石等)の風化物からなる粘土を活用すれば有効であることを見い出した。
しかし、1100℃以上の高温焼成では晶出型スピネルは成長し、絶対の熱膨張分は大きいので、これを避けるためにスピネルの近辺に逃げの細孔を配置する必要がある。そこで、スピネルの特性を生かし、熱衝撃に耐えるためには、空孔の導入法しかないと判断した。
まず、均一反応により、スピネルと細孔が同時にできる反応を考えた。更にセラミックスの成形にも都合のよい方法を考慮し、アルミニウムサッシ産業廃棄物のAl(OH)スラッジ、蛙目粘土、菱苦土石の原料分析値を示し(表2−1)、三成分を素地調合した(表2−2)。
Figure 0004488444
Figure 0004488444
表3に下記調合名006の粘土分を、焼成助剤、兼成形性向上のために30重量%の内10重量%を、水簸した雲母系粘土に代えた素地調合を示す。ここでは、焼成助剤となるNaO、KO、CaO、FeOの合計が、全体の5重量%以下となるように調整している。この調整により、低温焼結により好適な調合が可能となる。
表4には600℃〜1300℃までは100℃ごと、1300℃〜1400℃までは50℃ごとに電気炉中で表示温度1時間焼成し、各温度の焼結体のX線回折結果を表した。また表5には各焼成温度での焼成収縮率、抗折強度、熱膨張係数、耐熱衝撃性を表した。
Figure 0004488444
Figure 0004488444
表4より、焼成中の反応を推定すれば、500℃で残っていた菱苦土石(MgCO)が、600℃では脱炭酸後の非結晶のMgOから結晶性のMgO(ペリクレース)に変わり始める。ペリクレースは結晶成長し続けるが、1100℃あたりからスピネルが晶出し始めると共に減少していく。1200℃からコーディエライトが出始め、1200℃〜1300℃ではムライト、コランダム、フォレストライト、ペリクレース等と共存している。1300℃あたりでペリクレースは無くなり、1350℃以上でスピネルとコーディエライトだけになる。図1に、1350℃の焼成体の粉末X線回析図を示す。また、図2において600℃〜1400℃での比表面積の変化を、図3において見掛気孔率の変化を夫々示す。なお、比表面積の測定は、Nガス吸着を用いたBET法で行っている。
これによれば、1350℃までは見掛気孔率が40%を上回り、且つ比表面積が0.3m/gを上回っていることがわかる。
三成分系MgO−AlO−SiOの平衡状態図によると、スピネルとコーディエライトは1370℃〜1453℃で共存するが、本実施例によれば、これよりも低温である1200℃〜1350℃で共存した。但し、上述のようにスピネルは1100℃から晶出しているため、焼成温度として1100℃〜1350℃の範囲を選択すれば、晶出型スピネルを含む多孔質セラミックスが得られる。
Figure 0004488444
表5より、焼成収縮率は焼成温度の上昇に従って高くなった。特に1350〜1400℃にかけては大幅な収縮がみられた。熱膨張係数は、1100℃以上では何れも8.66×10−6/℃を下回っている。
また、抗折強度は600℃〜1200℃にかけて、焼成温度の上昇に従って高くなった。しかし、1300℃で抗折強度は低下し、また焼成温度の上昇に従って高くなった。耐熱衝撃性は、熱膨張係数値よりも、微細なスピネル、コーディエライトと細孔からなる微細組織の焼成体が、耐熱性、耐アルカリ性、耐熱衝撃性の対応には効果的であることが判明した。
調合範囲を確認するための三成分のAl(OH)、蛙目粘土(実施例1と同様に遠心分離機で精製したもの)、菱苦土石を、表6に示す001〜006の6パターンの割合で素地を調合し、泥漿鋳込み成形法で実施例1と同様の棒状試験体に成形した。これを風乾燥後、電気炉内に設置して、1400℃の温度で焼成した各焼成体のX線回折同定結晶と、1350℃の温度で焼成した各焼成体の熱膨張係数、見掛気孔率の測定結果を表6に示す。
Figure 0004488444
表6より、X線回折の同定結果を見ると、調合名006が晶出型スピネルを主成分として他にコーディエライトを含む材質となり、熱膨張係数が最も低かった。
表7に、001〜006の調合各焼成体における500℃、1100℃、1350℃の焼成収縮率及び見掛気孔率と、1100℃、1400℃の各温度で焼成した焼成体の耐熱衝撃試験ΔT=1000℃の結果を示す。
Figure 0004488444
表7より、001〜006の各焼成体における焼成収縮率は、何れも500℃、1100℃、1350℃と焼成温度が上がるにつれて焼成収縮率も高くなった。見掛気孔率は何れも500℃より1100℃の方が高くなり、1100℃より1350℃の方が低くなった。耐熱衝撃試験ΔT=1000℃では003の1100℃焼成品と001、002、006の1400℃焼成品の結果が良かった。
以上の結果より、調合名002、006の結果が良好であった。
[反応容器としての耐用試験]
Al(OH)、蛙目粘土、菱苦土石を、表6に示す001〜006の6パターンの割合で素地を調合し、泥漿鋳込み成形法で反応容器φ85×45H、肉厚8mmに成形し、これを風乾燥後、電気炉内に設置して、1350℃の温度で焼成した。その後、各焼成体の容器内にて下記式1の反応(酸素雰囲気800℃〜1000℃)を行い、リチウムガスによる劣化状況を耐用回数で比較した。反応焼成条件は昇温150℃/h、キープ時間は1000℃で1hとした。耐用回数は反応容器の劣化状況を目視で判断し、割れが発生した時点をもって耐用回数とした。表8に成形の難易度、焼成後の状況、耐用回数、耐リチウム性を示す。
[式1]
(O
3/2LiCO+CoO → 3LiCoO+3/2CO
Figure 0004488444
本試験結果によれば、従来品より調合名002、004、005、006の焼成体材質の方が良好であった。実施例2の結果も踏まえると、可塑性粘土と、アルミナ成分と、苦土成分とは夫々少なくとも20重量%調合すれば、耐アルカリ性と耐熱衝撃性を備え、特に反応容器に好適な多孔質セラミックスを工業的に作ることができることが明らかとなった。
表3に示した調合素地において、成形性が良く歪みの少ない焼成体を得るために、耐アルカリ性のあるスピネル骨材(平均粒子径3mm、1mm、18μmの3種類)を、10重量%〜80重量%の範囲で割合を変えて混合した。これらの素地を金型(150×150×50H)でプレス成形を行い、乾燥後、電気炉で2時間、1350℃で焼成した。各粒子径ごとの焼成収縮率を表9〜11に示す。なお、スピネル及び調合の数字は何れも重量%である。また、「成形」は成形性(良が○、不良が×)、「焼成」は割れの有無(割れ無しが○、割れ有りが×)を夫々示す。
Figure 0004488444
Figure 0004488444
Figure 0004488444
この実施例によれば、3種類の粒子径の何れの場合も、骨材を10重量%〜60重量%の範囲で混合すれば、表3の素地の焼成収縮率の11.2%に対して、骨材の何れの添加割合の素地の焼成収縮率は10%を下回り、好適な収縮抑制効果が確認できた。特に粒子径が1mm及び18μmの場合は、65重量%まで混合可能である。また、同じ骨材割合では粒子径が大きくなる程焼成収縮率が小さくなる傾向となっている。当然のことながら、焼成中に骨材同士が接触した段階でその収縮は止まり、骨材粒子径に相当する大きな空間が形成されるため、焼成体の見掛け強度は低下する。大きな空間(孔)を避けるには骨材の粒子径を微細化するのがよい。好ましくは、骨材粒子同士が焼成体中にて接触していない状態が望ましい。
なお、用途に応じて、素地へ添加する骨材の粒子径や混合割合は上記実施例に限る必要はない。また、骨材の材質もスピネルに限らず、むしろ素地と同材の焼成品の粉体を用いるのが好ましく、耐アルカリ性の材質の骨材も使用可能である。
調合006素地の焼成体(1350℃)の粉末X線回折図である。 調合006の粘土分30%の内10%を雲母系粘土に置き換えた素地の焼成体(600〜1400℃)の比表面積変化を示す表及びグラフである。 調合006の粘土分30%の内10%を雲母系粘土に置き換えた素地の焼成体(600〜1400℃)の見掛気孔率の変化を示す表及びグラフである。

Claims (6)

  1. 石英を除去若しくは微粉砕した可塑性粘土と、アルミナ成分と、苦土成分とを夫々20重量%以上混合すると共に、当該3成分の混合の際、Na、K、Ca、Fe元素を含む原料鉱物成分中の酸化物の合計が全体の5重量%以下(但し0重量%を除く)となるように調整して所定形状に成形し、1200℃〜1350℃の温度で焼成することを特徴とする多孔質セラミックスの製造方法。
  2. セラミックス粒子からなる骨材を10重量%〜60重量%の範囲内で混合して成形することを特徴とする請求項1に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の多孔質セラミックスの製造方法で得られる多孔質セラミックスであって、晶出型スピネル及びコーディエライトを含み、見掛気孔率が40%以上、熱膨張係数が1000℃において6.66×10−6/℃以下であることを特徴とする多孔質セラミックス。
  4. 請求項1に記載の多孔質セラミックスの製造方法で得られる多孔質セラミックスであって、晶出型スピネル及びコーディエライトを含み、見掛気孔率が40%以上、熱膨張係数が1000℃において6.66×10 −6 /℃以下、BET法で比表面積が0.3m/g以上であることを特徴とする多孔質セラミックス。
  5. 石英成分を含まないことを特徴とする請求項3又は4に記載の多孔質セラミックス。
  6. 焼成体内にセラミックス粒子からなる骨材を有し、焼成収縮率が10%未満であることを特徴とする請求項3又は5に記載の多孔質セラミックス。
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