従来の技術として説明したように、伝送線路のうち制御線は共用部装置(ロビーインターホン)1並びに通話装置(管理室インターホン)3が相手先の住戸機2を選択するための制御信号を伝送するから、ロビーインターホン1および管理室インターホン3、住戸機2において制御線に接続される回路は常時動作させておくことが必要である。つまり、ロビーインターホン1並びに管理室インターホン3が住戸機2を選択するためのアドレスを含む制御信号は、すべての住戸機2に伝送されるから、すべての住戸機2において制御信号を受信するための受信回路や制御信号を解釈して必要な処理を行うCPUは常時作動する。これに対して、音声信号および映像信号に対する処理は住戸機2の選択後に行えばよいから、音声信号と映像信号とは一括して扱うことができ、しかも、音声信号と映像信号とは周波数帯域が異なるから(音声信号に対して映像信号は周波数が十分に高い)、周波数多重化の技術によって多重化することができる。
そこで、以下に説明する実施形態では、ロビーインターホン1から映像線Lbを介して伝送されるFM映像信号を管理室インターホン3から通話線Laを介して伝送される音声信号に多重化する多重化手段を幹線装置4に設け、幹線装置4から先においては伝送線路に用いる線数を従来構成よりも低減した例について説明する。なお、制御信号はロビーインターホン1並びに管理室インターホン3から住戸機2の呼出に用いるだけではなく、管理室インターホン3による一斉放送の開始を指示する目的にも用いられる。この種の制御信号にはベースバンド信号を用いることもあり、ベースバンド信号は周波数帯域が広く、音声信号や映像信号との分離が困難であるから、このことからも音声信号および映像信号と制御信号とを各別に伝送することが伝送品質の点から必要になる。
(実施形態1)
本実施形態のシステム構成図を図1に示す。本実施形態では、集合住宅の共用玄関に設置される共用部装置(ロビーインターホン)1と、管理室に設置される通話装置(管理室インターホン)3と、各住戸にそれぞれ配置される複数台の住戸機2とを備え、ロビーインターホン1並びに管理室インターホン3と住戸機2とが伝送線路を介して接続されている。伝送線路は、幹線装置4に接続される幹線L1と、幹線L1から分岐されて各住戸機2にそれぞれ接続される住戸別線L2とを含む。この伝送線路としては、2対以上のペア線をシース内に備える多対ツイストペアケーブルを用いており、図示例ではロビーインターホン1と住戸機2との間で、ロビーインターホン1が具備するカメラ(図示せず)で撮像された映像信号と音声信号とを多重伝送する信号線Ldと、ロビーインターホン1又は管理室インターホン3が有する選択手段(後述する)により選択された住戸機2を指定する制御信号を伝送する制御線(図示せず)とにそれぞれペア線を用いている。つまり、図示例の伝送線路では2対のペア線を用いている。ここで、信号線Ldを介して伝送される映像信号はロビーインターホン1において周波数変調され、周波数変調された映像信号(以下、「FM映像信号」と呼ぶ)と音声信号とが幹線装置4において多重化される。そして、信号線Ldを介して音声信号と多重化されて伝送されるFM映像信号が、後述するように各住戸機2に設けた多重分離回路201で分離された後にFM復調部25aで周波数復調されてモニタ22に表示される。
ロビーインターホン1は、音声を入出力するマイクロホン及びスピーカと、来訪者を撮像するカメラと、カメラから出力する映像信号を周波数変調するFM変調回路と、住戸番号を指定するための番号キーと呼出釦を有する選択手段とを備え、来訪者が番号キーを操作して訪問先の住戸番号を選択した後に呼出釦を操作すると住戸番号に対応する住戸機2を選択したことになる。ここで、ロビーインターホン1は通話線La及び制御線(図示せず)を介して管理室インターホン3と接続されており、ロビーインターホン1で選択された住戸番号が制御線(図示せず)を介して管理室インターホン3に伝送されると、管理室インターホン3が当該住戸番号に対応する住戸機2に対して制御線(図示せず)を介して制御信号(呼出コマンド)を送出する。またロビーインターホン1から管理室インターホン3を経由する通話線Laを介して伝送される音声信号と、ロビーインターホン1から映像線Lbを介して伝送されるFM映像信号とが幹線装置4において多重化され、信号線Ldを介して各住戸機2に伝送される。つまり、幹線装置4から住戸機2側においては信号線Ldが通話線La並びに映像線Lbを兼ねていることになる。
一方、住戸機2は、音声を入出力するマイクロホン21a及びスピーカ21bを備え、マイクロホン21aとスピーカ21bとはそれぞれ増幅器24a,24bを介して音声回路24cに接続されている。ここで、上述のように音声信号と映像信号との両方で信号線Ldを用いるために、住戸機2に多重分離回路201を設けている。多重分離回路201は、音声回路24cと信号線Ldとの間に挿入される低周波通過部201aと、結合トランス25cと信号線Ldとの間に挿入される高周波通過部201bとからなる。低周波通過部201aは音声信号に対して低インピーダンスであって映像信号に対して高インピーダンスのものを用い、高周波通過部201bは音声信号に対して高インピーダンスであって映像信号に対して低インピーダンスのものを用いる。図示例では、低周波通過部201aとしてインダクタを用い、高周波通過部201bとしてコンデンサを用いている。音声回路24cは、2線の信号線Ldと2個の増幅器24a,24bの入力線及び出力線とを2線4線変換する回路を含み、マイクロホン21aから入力される音声信号を多重分離回路201を介して信号線Ldに送出し、多重分離回路201で分離された信号線Ldからの音声信号をスピーカ21b側に出力する機能を備えている。したがって、ロビーインターホン1並びに管理室インターホン3と住戸機2との間で信号線Ldを通して音声信号を授受することができ、来訪者がロビーインターホン1を用いるとともに居住者が住戸機2を用いることによって来訪者と居住者との間で音声通話が可能となり、また、管理人が管理室インターホン3を用いるとともに居住者が住戸機2を用いることによって管理人と居住者との間で音声通話が可能となる。
住戸機2において、モニタ22には液晶表示器あるいはCRTが用いられる。信号線Ldを通して住戸機2に入力されるFM映像信号は、多重分離回路201で分離された後に平衡−不平衡変換のための結合トランス25cを介して増幅器25bに入力され、増幅器25bで増幅された後にFM復調部25aにおいて周波数復調される。FM復調部25aから出力された映像信号は、モニタ22に入力されることによってモニタ22の画面に映像を表示する。つまり、ロビーインターホン1のカメラにおいて撮像された来訪者の映像が住戸機2のモニタ22に表示されるから、住戸内の居住者が来訪者を確認することができるのである。
住戸機2には内部回路を制御するCPU(図示せず)が設けられ、CPUには制御線(図示せず)とのインタフェースとなる制御信号送受信回路(図示せず)が接続される。制御信号送受信回路は、CPUから出力された制御信号を制御線(図示せず)に送出し、制御線(図示せず)から受信した制御信号をCPUに引き渡す機能を有する。
ここで、制御線(図示せず)については、幹線L1と住戸別線L2とが分岐器7内において直結されている。したがって、管理室インターホン3から送出された制御信号は制御線(図示せず)に接続されるすべての住戸機2に伝送される。ここに、住戸機2のCPUには個別にアドレス(たとえば、住戸番号)が設定されており、例えば、ロビーインターホン1においてアドレスを選択することによって、アドレスを指定する制御信号(呼出コマンド)が管理室インターホン3から制御線(図示せず)を介して全ての住戸機2に伝送することが可能になっている。住戸機2のCPUは、制御信号に含まれるアドレスが自己のアドレスであれば、住戸別線L2の信号線Ldにおける幹線L1と音声回路24cとの間に挿入された住戸機リレーのリレー接点29を閉成してロビーインターホン1との間に通信路を確立するとともに、FM復調部25aやモニタ22を起動してロビーインターホン1のカメラにおいて撮像された来訪者の映像を住戸機2のモニタ22に表示させ、さらに音声回路24cを通じてスピーカ21bから呼出音を鳴動させるように構成されている。
幹線装置4は、映像線Lbを介してロビーインターホン1から伝送されてくるFM映像信号を増幅する映像増幅器41と、映像増幅器41で増幅された後のFM映像信号と管理室インターホン3を経由し通話線Laを介してロビーインターホン1から伝送されてくる音声信号又は管理室インターホン3から通話線Laを介して伝送されてくる音声信号とを多重化する多重化回路40とを具備している。多重化回路40は、通話線Laと信号線Ldとの間に挿入される低周波通過部40aと、映像増幅器41と信号線Ldとの間に挿入される高周波通過部40bとからなる。図示例では、低周波通過部40aとしてインダクタを用い、高周波通過部40bとしてコンデンサを用いている。但し、低周波通過部40aと信号線Ldとの間には直流カット用のコンデンサが挿入されている。
管理室インターホン3は、音声を入出力するマイクロホン31a及びスピーカ31bを備え、マイクロホン31aとスピーカ31bとはそれぞれ増幅器34a,34bを介して音声回路34cに接続されている。音声回路34cは、2線の通話線Laと2個の増幅器34a,34bの入力線及び出力線とを2線4線変換する回路を含み、マイクロホン31aから入力される音声信号を通話線Laに送出し、通話線Laからの音声信号をスピーカ31b側に出力する機能を備えている。またマイクロホン31aに接続された増幅器34aと音声回路34cとの間には、増幅器34aの出力端を音声回路34cに接続する状態と放送用低インピーダンス駆動回路32の入力端に接続する状態とを択一的に切り替える第1の切替スイッチ33が設けられ、音声回路34cと通話線Laとの間には、通話線Laを音声回路34cに接続する状態と放送用低インピーダンス駆動回路32の出力端に接続する状態とを択一的に切り替える第2の切替スイッチ35が設けられている。すなわち、第1の切替スイッチ33と第2の切替スイッチ35が経路切替手段に相当し、増幅器34aから第1の切替スイッチ33、音声回路34c、第2の切替スイッチ35を介して通話線Laに至る経路が個別通話用経路となり、増幅器34aから第1の切替スイッチ33、放送用低インピーダンス駆動回路32、第2の切替スイッチ35を介して通話線Laに至る経路が一斉放送用経路となる。ここで、音声回路34cの出力インピーダンス(個別通話用経路の出力インピーダンス)は住戸機2の入力インピーダンスにほぼ等しい値に設定されているが、一斉放送用経路の出力インピーダンスは放送用低インピーダンス駆動回路32によって住戸機2の入力インピーダンスよりも低いインピーダンスにインピーダンス変換される。なお、図示は省略するが、ロビーインターホン1に接続された通話線Laを幹線装置4に接続された通話線Laに接続する状態と接続しない状態を切り替える切替スイッチが管理室インターホン3に設けられており、ロビーインターホン1と何れかの住戸機2との間で個別通話が行われるときにだけ、上記切替スイッチがオンしてロビーインターホン1に接続された通話線Laを幹線装置4に接続された通話線Laに接続するようになっている。
管理室インターホン3にも住戸機2と同様に内部回路を制御するCPU(図示せず)が設けられ、CPUには制御線(図示せず)とのインタフェースとなる制御信号送受信回路(図示せず)が接続される。制御信号送受信回路は、CPUから出力された制御信号を制御線(図示せず)に送出し、制御線(図示せず)から受信した制御信号をCPUに引き渡す機能を有する。
次に本実施形態の動作を説明する。まず、ロビーインターホン1と、ロビーインターホン1で選択された1台の住戸機2との間で個別通話する場合について説明する。ロビーインターホン1で選択された住戸機2に対して管理室インターホン3から制御線(図示せず)を介して制御信号(呼出コマンド)が伝送され、この制御信号に含まれるアドレスが一致した住戸機2では、そのCPUが呼出コマンドに応じて住戸機リレーのリレー接点29を閉成するとともに音声回路24cを通じてスピーカ21bから呼出音を送出させる。さらにロビーインターホン1に選択された住戸機1では、CPUがFM復調部25aやモニタ22を起動し、信号線Ldを介して伝送されるFM映像信号をFM復調部25aで周波数復調してロビーインターホン1のカメラにおいて撮像された来訪者の映像をモニタ22に表示させる。そして、ロビーインターホン1からの呼出に応答して居住者が住戸機2の応答釦(図示せず)を操作するとCPUが音声回路24cを起動する。
一方、管理室インターホン3では、呼出コマンドの送出後、CPUが図示しない切替スイッチをオンしてロビーインターホン1に接続された通話線Laを幹線装置4に接続された通話線Laに接続する。その結果、ロビーインターホン1と選択された住戸機2との間に通信路が確立されて個別通話が可能になるとともに、選択された住戸機2でのみロビーインターホン1のカメラで撮像された来訪者をモニタ22に表示することが可能になる。
次に、管理室インターホン3と、管理室インターホン3で選択された1台の住戸機2との間で個別通話する場合について説明する。管理室インターホン3で選択された住戸機2に対して管理室インターホン3から制御線(図示せず)を介して制御信号(呼出コマンド)が伝送され、この制御信号に含まれるアドレスが一致した住戸機2では、そのCPUが呼出コマンドに応じて住戸機リレーのリレー接点29を閉成するとともに音声回路24cを通じてスピーカ21bから呼出音を送出させる。そして、管理室インターホン3からの呼出に応答して居住者が住戸機2の応答釦(図示せず)を操作するとCPUが音声回路24cを起動する。また管理室インターホン3では、CPUが図示しない切替スイッチをオフしてロビーインターホン1に接続された通話線Laを幹線装置4に接続された通話線Laから切り離し、さらに第1の切替スイッチ33及び第2の切替スイッチ35をそれぞれ音声回路34c側に切り替える。その結果、管理室インターホン3と選択された住戸機2との間に個別通話用経路を介した通信路が確立されて個別通話が可能になる。ここで、音声回路34cの出力インピーダンスは放送用低インピーダンス駆動回路32によって住戸機2の入力インピーダンスにほぼ等しい値に設定されているので、管理室インターホン3と1台の住戸機2との間では誘導ノイズに対する耐性の高い個別通話が行える。
最後に、集合住宅の管理室に設置された管理室インターホン3から複数の住戸機2に対して一斉放送を行う場合について説明する。
管理人が管理室インターホン3に設けられた一斉放送開始釦(図示せず)を操作すると、管理室インターホン3のCPUが一斉放送の対象となる複数の住戸機2に対して制御線(図示せず)を介して制御信号(一斉放送開始コマンド)を伝送し、この一斉放送開始コマンドに応じて一斉放送の対象となっている全ての住戸機2のCPUが住戸機リレーのリレー接点29を閉成するとともに音声回路24cを起動する。さらに、管理室インターホン3のCPUは、図示しない切替スイッチをオフしてロビーインターホン1に接続された通話線Laを幹線装置4に接続された通話線Laから切り離すとともに、第1の切替スイッチ33及び第2の切替スイッチ35をそれぞれ放送用低インピーダンス駆動回路32側に切り替える。その結果、管理室インターホン3と複数の住戸機2との間に一斉放送用経路を介した通信路が確立されて管理室インターホン3から複数の住戸機2への一斉放送が可能になる。ここで、放送用低インピーダンス駆動回路32からみた負荷インピーダンスは一斉放送の対象となる住戸機2の台数が増加するにつれて低下することになるが、放送用低インピーダンス駆動回路32によって一斉放送用経路の出力インピーダンスが住戸機2の入力インピーダンスよりも低いインピーダンスにインピーダンス変換されているため、図9に示した従来例のようにマッチングトランス122でインピーダンス整合を行う場合に比較して、一斉放送の対象となる住戸機2の台数が増加した場合でも音声信号の減衰を抑制することができる。
(実施形態2)
本実施形態は、個別通話用経路、一斉放送用経路、経路切替手段を幹線装置3に設けた点に特徴がある。従って、本実施形態の基本構成は実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
幹線装置4には、図2に示すように出力インピーダンスを住戸機2の入力インピーダンスよりも低いインピーダンスにインピーダンス変換するための放送用低インピーダンス駆動回路42と、通話線Laを放送用低インピーダンス駆動回路42の入力端に接続する状態と接続しない状態とを択一的に切り替える第1の切替スイッチ43と、放送用低インピーダンス駆動回路42の出力端を低周波通過部40aに接続する状態と接続しない状態とを択一的に切り替える第2の切替スイッチ44とが設けられている。すなわち、第1の切替スイッチ43と第2の切替スイッチ44が経路切替手段に相当し、第1の切替スイッチ43から放送用低インピーダンス駆動回路42を介さずに第2の切替スイッチ44を介して低周波通過部40aに至る経路が個別通話用経路となり、第1の切替スイッチ43から放送用低インピーダンス駆動回路42及び第2の切替スイッチ44を介して低周波通過部40aに至る経路が一斉放送用経路となる。なお、本実施形態においては、管理室インターホン3には個別通話用経路、一斉放送用経路、経路切替手段が設けられていない。
また、本実施形態では幹線装置4にも住戸機2と同様に内部回路を制御するCPU(図示せず)が設けられ、CPUには制御線(図示せず)とのインタフェースとなる制御信号送受信回路(図示せず)が接続される。制御信号送受信回路は、CPUから出力された制御信号を制御線(図示せず)に送出し、制御線(図示せず)から受信した制御信号をCPUに引き渡す機能を有する。
次に本実施形態の動作を説明する。まず、ロビーインターホン1と、ロビーインターホン1で選択された1台の住戸機2との間で個別通話する場合について説明する。ロビーインターホン1で選択された住戸機2に対して管理室インターホン3から制御線(図示せず)を介して制御信号(呼出コマンド)が伝送され、この制御信号に含まれるアドレスが一致した住戸機2では、そのCPUが呼出コマンドに応じて住戸機リレーのリレー接点29を閉成するとともに音声回路24cを通じてスピーカ21bから呼出音を送出させる。さらにロビーインターホン1に選択された住戸機1では、CPUがFM復調部25aやモニタ22を起動し、信号線Ldを介して伝送されるFM映像信号をFM復調部25aで周波数復調してロビーインターホン1のカメラにおいて撮像された来訪者の映像をモニタ22に表示させる。そして、ロビーインターホン1からの呼出に応答して居住者が住戸機2の応答釦(図示せず)を操作するとCPUが音声回路24cを起動する。
一方、幹線装置4では、呼出コマンドが伝送されたことを検出したCPUが、第1及び第2の切替スイッチ43,44を切り替えて第1の切替スイッチ43から放送用低インピーダンス駆動回路42を介さずに第2の切替スイッチ44を介して低周波通過部40aに至る個別通話用経路を形成する。その結果、ロビーインターホン1と選択された住戸機2との間に個別通話用経路を介して通信路が確立されて個別通話が可能になるとともに、選択された住戸機2でのみロビーインターホン1のカメラで撮像された来訪者をモニタ22に表示することが可能になる。なお、管理室インターホン3と、管理室インターホン3で選択された1台の住戸機2との間で個別通話する場合については、ロビーインターホン1と住戸機2との個別通話の場合とほとんど共通であるから説明を省略する。
次に、管理室インターホン3から複数の住戸機2に対して一斉放送を行う場合について説明する。
管理人が管理室インターホン3に設けられた一斉放送開始釦(図示せず)を操作すると、管理室インターホン3のCPUが一斉放送の対象となる複数の住戸機2並びに幹線装置4に対して制御線(図示せず)を介して制御信号(一斉放送開始コマンド)を伝送し、この一斉放送開始コマンドに応じて一斉放送の対象となっている全ての住戸機2のCPUが住戸機リレーのリレー接点29を閉成するとともに音声回路24cを起動する。さらに、管理室インターホン3のCPUは、図示しない切替スイッチをオフしてロビーインターホン1に接続された通話線Laを幹線装置4に接続された通話線Laから切り離す。
一方、幹線装置4では、一斉放送開始コマンドに応じて、CPUが第1及び第2の切替スイッチ43,44を切り替えて第1の切替スイッチ43から放送用低インピーダンス駆動回路42並びに第2の切替スイッチ44を介して低周波通過部40aに至る一斉放送用経路を形成する。その結果、管理室インターホン3と複数の住戸機2との間に一斉放送用経路を介した通信路が確立されて管理室インターホン3から複数の住戸機2への一斉放送が可能になる。ここで、放送用低インピーダンス駆動回路42からみた負荷インピーダンスは一斉放送の対象となる住戸機2の台数が増加するにつれて低下することになるが、一斉放送用経路の出力インピーダンスが放送用低インピーダンス駆動回路42によって住戸機2の入力インピーダンスよりも低いインピーダンスにインピーダンス変換されるため、図9に示した従来例のようにマッチングトランス122でインピーダンス整合を行う場合に比較して、一斉放送の対象となる住戸機2の台数が増加した場合でも音声信号の減衰を抑制することができる。
上述のように本実施形態では、個別通話用経路、一斉放送用経路、経路切替手段を幹線装置3に設けているので、個別通話用経路、一斉放送用経路、経路切替手段を具備しない安価な管理室インターホン3を用いることができる。
なお、本実施形態では幹線装置4にCPUや制御信号送受信部を設け、管理室インターホン3から制御線(図示せず)を介して伝送される制御信号に応じて第1及び第2の切替スイッチ43,44を切り替える構成としたが、例えば、個別通話時に選択された住戸機2から信号線Ldに直流電圧を重畳し、幹線装置4において信号線Ldに重畳された直流電圧を検出することで第1及び第2の切替スイッチ43,44を切り替える構成としても構わない。
(実施形態3)
本実施形態は、幹線装置4が複数系統の幹線をロビーインターホン1並びに管理室インターホン3に選択的に接続する機能と、各幹線毎に設けられる個別通話用経路と、1つの幹線を除く他の全ての幹線毎に設けられる一斉放送用経路と、各幹線毎に個別通話用経路と一斉放送用経路を切り替える経路切替手段とを具備する点に特徴がある。但し、本実施形態の基本構成は実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
幹線装置4においては、図3に示すように複数系統(図示例では3系統)の幹線L1a,L1b,L1cと接続され、ロビーインターホン1から映像線Lbを介して伝送されるFM映像信号の伝送経路を3つの経路に分配し、分配された各経路毎に映像増幅器41a,41b,41c並びに高周波通過部40bが設けられ、これら3つの映像増幅器41a,41b,41c及び高周波通過部40bに各系統の幹線L1a,L1b,L1cに含まれる信号線Ldが各別に接続されている。また、管理室インターホン3から通話線Laを介して伝送される音声信号の伝送経路を3つの経路に分岐し、分岐された各経路が第3の切替スイッチ45a,45b,45c並びに低周波通過部40aを介して各系統の信号線Ldと各別に接続されている。さらに幹線装置4は、出力インピーダンスを住戸機2の入力インピーダンスよりも低いインピーダンスにインピーダンス変換し音声信号の伝送経路から分岐された2つの経路にそれぞれ設けられた放送用低インピーダンス駆動回路42a,42b並びに低周波通過部40a,40aと、3系統の幹線L1a,L1b,L1cのうちの1系統(例えば、L1c)を除く他の全ての系統(例えば、L1a,L1b)の信号線Ldに対して放送用低インピーダンス駆動回路42a,42bと低周波通過部40a,40aを接続する状態と接続しない状態とを択一的に切り替える第4の切替スイッチ46a,46bとを具備している。すなわち、本実施形態においては、第3の切替スイッチ45a,45b,45cと第4の切替スイッチ46a,46bと第1及び第2の切替スイッチ33,35が経路切替手段に相当し、第3の切替スイッチ45a又は45b又は45cと低周波通過部40aを通る経路が個別通話用経路となり、放送用低インピーダンス駆動回路42a又は42bと低周波通過部40aと第4の切替スイッチ46a又は46bを通る経路が一斉放送用経路となる。
本実施形態における住戸機2は実施形態1と同一構成であって、何れかの系統の幹線L1a,L1b,L1cから分岐器7で分岐された住戸別線L2に接続されている。また、管理室インターホン3も実施形態1と同一構成であって、個別通話用経路、一斉放送用経路、経路切替手段を具備している。
次に本実施形態の動作を説明する。まず、ロビーインターホン1と、ロビーインターホン1で選択された1台の住戸機2との間で個別通話する場合について説明する。ロビーインターホン1で選択された住戸機2に対して管理室インターホン3から制御線(図示せず)を介して制御信号(呼出コマンド)が伝送され、この制御信号に含まれるアドレスが一致した住戸機2では、そのCPUが呼出コマンドに応じて住戸機リレーのリレー接点29を閉成するとともに音声回路24cを通じてスピーカ21bから呼出音を送出させる。さらにロビーインターホン1に選択された住戸機2では、CPUがFM復調部25aやモニタ22を起動し、信号線Ldを介して伝送されるFM映像信号をFM復調部25aで周波数復調してロビーインターホン1のカメラにおいて撮像された来訪者の映像をモニタ22に表示させる。そして、ロビーインターホン1からの呼出に応答して居住者が住戸機2の応答釦を操作するとCPUが音声回路24cを起動する。
一方、管理室インターホン3では、呼出コマンドの送出後、CPUが図示しない切替スイッチをオンしてロビーインターホン1に接続された通話線Laを幹線装置4に接続された通話線Laに接続する。
また幹線装置4においては、呼出コマンドが伝送されたことを検出したCPUが、第3の切替スイッチ45a,45b,45cの何れか1つを閉成することで選択された住戸機2が接続されている幹線L1a又はL1b又はL1cのみに通話線Laを接続するとともに、第4の切替スイッチ46a,46bを全て開成する。その結果、ロビーインターホン1と選択された住戸機2との間に幹線装置4における個別通話用経路(第3の切替スイッチ45a又は45b又は45cと低周波通過部40aを通る経路)を介した通信路が確立されて個別通話が可能になるとともに、選択された住戸機2でのみロビーインターホン1のカメラで撮像された来訪者をモニタ22に表示することが可能になる。
次に、管理室インターホン3と、管理室インターホン3で選択された1台の住戸機2との間で個別通話する場合について説明する。管理室インターホン3で選択された住戸機2に対して管理室インターホン3から制御線(図示せず)を介して制御信号(呼出コマンド)が伝送され、この制御信号に含まれるアドレスが一致した住戸機2では、そのCPUが呼出コマンドに応じて住戸機リレーのリレー接点29を閉成するとともに音声回路24cを通じてスピーカ21bから呼出音を送出させる。そして、管理室インターホン3からの呼出に応答して居住者が住戸機2の応答釦を操作するとCPUが音声回路24cを起動する。また管理室インターホン3では、CPUが図示しない切替スイッチをオフしてロビーインターホン1に接続された通話線Laを幹線装置4に接続された通話線Laから切り離し、さらに第1の切替スイッチ33及び第2の切替スイッチ35をそれぞれ音声回路34c側に切り替えて放送用低インピーダンス駆動回路32を通らない経路を形成する。
また幹線装置4においては、呼出コマンドが伝送されたことを検出したCPUが、第3の切替スイッチ45a,45b,45cの何れか1つを閉成することで選択された住戸機2が接続されている幹線L1a又はL1b又はL1cのみに通話線Laを接続するとともに、第4の切替スイッチ46a,46bを全て開成する。その結果、管理室インターホン3と選択された住戸機2との間に幹線装置4における個別通話用経路(第3の切替スイッチ45a又は45b又は45cと低周波通過部40aを通る経路)を介した通信路が確立されて個別通話が可能になる。なお、ロビーインターホン1又は管理室インターホン3と1台の住戸機2との間では、音声回路34cの出力インピーダンスが住戸機2の入力インピーダンスにほぼ等しい値に設定されているために誘導ノイズに対する耐性の高い個別通話が行える。
最後に、管理室インターホン3から複数の住戸機2に対して一斉放送を行う場合について説明する。
管理人が管理室インターホン3に設けられた一斉放送開始釦を操作すると、管理室インターホン3のCPUが一斉放送の対象となる複数の住戸機2並びに幹線装置4に対して制御線(図示せず)を介して制御信号(一斉放送開始コマンド)を伝送し、この一斉放送開始コマンドに応じて一斉放送の対象となっている全ての住戸機2のCPUが住戸機リレーのリレー接点29を閉成するとともに音声回路24cを起動する。さらに、管理室インターホン3のCPUは、図示しない切替スイッチをオフしてロビーインターホン1に接続された通話線Laを幹線装置4に接続された通話線Laから切り離すとともに、幹線L1cに接続されている住戸機2が一斉放送の対象に含まれている場合にだけ第1の切替スイッチ33及び第2の切替スイッチ35をそれぞれ放送用低インピーダンス駆動回路32側に切り替える。
一方、幹線装置4では、一斉放送開始コマンドに応じて、CPUが第3の切替スイッチ45a,45b,45cを全て開成するとともに幹線L1aに接続されている住戸機2が一斉放送の対象に含まれていれば第4の切替スイッチ46aを閉成し、且つ幹線L1bに接続されている住戸機2が一斉放送の対象に含まれていれば第4の切替スイッチ46bを閉成する。その結果、管理室インターホン3と複数の住戸機2との間に幹線装置4における一斉放送用経路(第4の切替スイッチ46a,46bと低周波通過部40aを通る経路)を介した通信路が確立されて管理室インターホン3から複数の住戸機2への一斉放送が可能になる。
而して、3系統の幹線L1a,L1b,L1cのうちの1系統の幹線L1cについては、管理室インターホン3に設けられた放送用低インピーダンス駆動回路32で一斉放送の対象に含まれる住戸機2の負荷インピーダンスが駆動され、他の2系統の幹線L1a,L1bについては、幹線装置4に設けられた放送用低インピーダンス駆動回路42a,42bで一斉放送の対象に含まれる住戸機2の負荷インピーダンスが駆動されて各住戸機2で一斉放送が聴取可能となる。
上述のように本実施形態によれば、複数系統の幹線L1a,L1b,L1cのうちの1系統の幹線L1cについては管理室インターホン3が有する一斉放送用経路を利用することにより、幹線装置4に設ける一斉放送用経路並びに第4の切替スイッチを減らすことができるという利点がある。
(実施形態4)
本実施形態は、図4に示すように幹線装置4の構成に特徴があり、その他の構成については実施形態3と共通であるから、共通の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態における幹線装置4が実施形態3のものと異なる点は、1つの映像増幅器41の出力端を複数系統(図示例では3系統)の幹線L1a,L1b,L1cに択一的に切り替えて接続する映像信号切替スイッチ47を備え、映像信号切替スイッチ47に入力するFM映像信号に低周波通過部40aを介して個別通話用の音声信号を多重化するようにした点にある。すなわち、実施形態3においてはロビーインターホン1から映像線Lbを介して伝送されてくるFM映像信号が常に全ての幹線L1a,L1b,L1cに分配されて伝送されているが、本実施形態においてはロビーインターホン1から選択された住戸機2が接続されている何れか1系統の幹線L1a又はL1b又はL1cのみにFM映像信号が伝送されることになる。
次に本実施形態の動作を説明する。まず、ロビーインターホン1と、ロビーインターホン1で選択された1台の住戸機2との間で個別通話する場合について説明する。ロビーインターホン1で選択された住戸機2に対して管理室インターホン3から制御線(図示せず)を介して制御信号(呼出コマンド)が伝送され、この制御信号に含まれるアドレスが一致した住戸機2では、そのCPUが呼出コマンドに応じて住戸機リレーのリレー接点29を閉成するとともに音声回路24cを通じてスピーカ21bから呼出音を送出させる。呼出コマンドを検出した幹線装置4のCPUは、映像信号切替スイッチ47を制御して選択された住戸機2が接続されている幹線L1a又はL1b又はL1cに切り替える。その結果、ロビーインターホン1に選択された住戸機2では、CPUがFM復調部25aやモニタ22を起動し、信号線Ldを介して伝送されるFM映像信号をFM復調部25aで周波数復調してロビーインターホン1のカメラにおいて撮像された来訪者の映像をモニタ22に表示させることができる。そして、ロビーインターホン1からの呼出に応答して居住者が住戸機2の応答釦を操作するとCPUが音声回路24cを起動する。
一方、管理室インターホン3では、呼出コマンドの送出後、CPUが図示しない切替スイッチをオンしてロビーインターホン1に接続された通話線Laを幹線装置4に接続された通話線Laに接続する。
また幹線装置4のCPUは、上述のように映像信号切替スイッチ47を制御して選択された住戸機2が接続されている幹線L1a又はL1b又はL1cに切り替えるとともに、第4の切替スイッチ46a,46bを全て開成する。その結果、ロビーインターホン1と選択された住戸機2との間に幹線装置4における個別通話用経路(低周波通過部40aと映像信号切替スイッチ47を通る経路)を介した通信路が確立されて個別通話が可能になるとともに、選択された住戸機2でのみロビーインターホン1のカメラで撮像された来訪者をモニタ22に表示することが可能になる。なお、管理室インターホン3と、管理室インターホン3で選択された1台の住戸機2との間で個別通話する場合については、ロビーインターホン1と住戸機2との個別通話の場合とほとんど共通であるから説明を省略する。
次に、管理室インターホン3から複数の住戸機2に対して一斉放送を行う場合について説明する。
管理人が管理室インターホン3に設けられた一斉放送開始釦を操作すると、管理室インターホン3のCPUが一斉放送の対象となる複数の住戸機2並びに幹線装置4に対して制御線(図示せず)を介して制御信号(一斉放送開始コマンド)を伝送し、この一斉放送開始コマンドに応じて一斉放送の対象となっている全ての住戸機2のCPUが住戸機リレーのリレー接点29を閉成するとともに音声回路24cを起動する。さらに、管理室インターホン3のCPUは、図示しない切替スイッチをオフしてロビーインターホン1に接続された通話線Laを幹線装置4に接続された通話線Laから切り離すとともに、幹線L1cに接続されている住戸機2が一斉放送の対象に含まれている場合にだけ第1の切替スイッチ33及び第2の切替スイッチ35をそれぞれ放送用低インピーダンス駆動回路32側に切り替える。
一方、幹線装置4では、一斉放送開始コマンドに応じて、CPUが幹線L1aに接続されている住戸機2が一斉放送の対象に含まれていれば第4の切替スイッチ46aを閉成し、且つ幹線L1bに接続されている住戸機2が一斉放送の対象に含まれていれば第4の切替スイッチ46bを閉成する。その結果、管理室インターホン3と複数の住戸機2との間に幹線装置4における一斉放送用経路(第4の切替スイッチ46a,46bと低周波通過部40aを通る経路)を介した通信路が確立されて管理室インターホン3から複数の住戸機2への一斉放送が可能になる。
而して、実施形態3と同様に3系統の幹線L1a,L1b,L1cのうちの1系統の幹線L1cについては、管理室インターホン3に設けられた放送用低インピーダンス駆動回路32で一斉放送の対象に含まれる住戸機2の負荷インピーダンスが駆動され、他の2系統の幹線L1a,L1bについては、幹線装置4に設けられた放送用低インピーダンス駆動回路42a,42bで一斉放送の対象に含まれる住戸機2の負荷インピーダンスが駆動されて各住戸機2で一斉放送が聴取可能となる。
しかも本実施形態においては、3系統の幹線L1a,L1b,L1cにFM映像信号を分配するに当たって1つの映像増幅器41を全ての幹線L1a,L1b,L1cで共用しているため、実施形態3に比較して回路構成が簡素できるという利点がある。
(実施形態5)
本実施形態は、実施形態3に対して個別通話用経路、一斉放送用経路、経路切替手段を幹線装置3のみに設けた点に特徴がある。従って、本実施形態の基本構成は実施形態3と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態における幹線装置4では、図5に示すように全ての幹線L1a,L1b,L1cについて放送用低インピーダンス駆動回路42a,42b,42cと低周波通過部40a,40a,40aと第4の切替スイッチ46a,46b,46cとが設けられるとともに、通話線Laを第3の切替スイッチ45a,45b,45cに接続する状態、すなわち、個別通話用経路を形成する状態と、通話線Laを放送用低インピーダンス駆動回路42a,42b,42cに接続する状態、すなわち、一斉放送用経路を形成する状態とに択一的に切り替える第5の切替スイッチ48が設けられている。すなわち、本実施形態においては、第4の切替スイッチ46a,46b,46cと第5の切替スイッチ48が経路切替手段に相当する。
本実施形態における住戸機2は実施形態1〜4と同一構成であって、何れかの系統の幹線L1a,L1b,L1cから分岐器7で分岐された住戸別線L2に接続されている。また、管理室インターホン3は実施形態2と同一構成であって、個別通話用経路、一斉放送用経路、経路切替手段を具備していない。
次に本実施形態の動作を説明する。まず、ロビーインターホン1と、ロビーインターホン1で選択された1台の住戸機2との間で個別通話する場合について説明する。ロビーインターホン1で選択された住戸機2に対して管理室インターホン3から制御線(図示せず)を介して制御信号(呼出コマンド)が伝送され、この制御信号に含まれるアドレスが一致した住戸機2では、そのCPUが呼出コマンドに応じて住戸機リレーのリレー接点29を閉成するとともに音声回路24cを通じてスピーカ21bから呼出音を送出させる。さらにロビーインターホン1に選択された住戸機2では、CPUがFM復調部25aやモニタ22を起動し、信号線Ldを介して伝送されるFM映像信号をFM復調部25aで周波数復調してロビーインターホン1のカメラにおいて撮像された来訪者の映像をモニタ22に表示させる。そして、ロビーインターホン1からの呼出に応答して居住者が住戸機2の応答釦を操作するとCPUが音声回路24cを起動する。
一方、管理室インターホン3では、呼出コマンドの送出後、CPUが図示しない切替スイッチをオンしてロビーインターホン1に接続された通話線Laを幹線装置4に接続された通話線Laに接続する。
また幹線装置4においては、呼出コマンドが伝送されたことを検出したCPUが、第5の切替スイッチ48を第3の切替スイッチ45a,45b,45cの側に切り替えるとともに、第3の切替スイッチ45a,45b,45cの何れか1つを閉成することで選択された住戸機2が接続されている幹線L1a又はL1b又はL1cのみに通話線Laを接続する。その結果、ロビーインターホン1と選択された住戸機2との間に幹線装置4における個別通話用経路(第5の切替スイッチ48と第3の切替スイッチ45a又は45b又は45cと低周波通過部40aを通る経路)を介した通信路が確立されて個別通話が可能になるとともに、選択された住戸機2でのみロビーインターホン1のカメラで撮像された来訪者をモニタ22に表示することが可能になる。なお、管理室インターホン3と、管理室インターホン3で選択された1台の住戸機2との間で個別通話する場合については、ロビーインターホン1と住戸機2との個別通話の場合とほとんど共通であるから説明を省略する。
次に、管理室インターホン3から複数の住戸機2に対して一斉放送を行う場合について説明する。
管理人が管理室インターホン3に設けられた一斉放送開始釦を操作すると、管理室インターホン3のCPUが一斉放送の対象となる複数の住戸機2並びに幹線装置4に対して制御線(図示せず)を介して制御信号(一斉放送開始コマンド)を伝送し、この一斉放送開始コマンドに応じて一斉放送の対象となっている全ての住戸機2のCPUが住戸機リレーのリレー接点29を閉成するとともに、図示しない切替スイッチをオフしてロビーインターホン1に接続された通話線Laを幹線装置4に接続された通話線Laから切り離し、さらに音声回路24cを起動する。
一方、幹線装置4では、一斉放送開始コマンドに応じて、CPUが第5の切替スイッチ48を一斉放送用低インピーダンス駆動回路42a,42b,42cの側に切り替えるとともに、一斉放送の対象に含まれている住戸機2が接続されている幹線L1a,L1b,L1cに対応した第4の切替スイッチ46a,46b,46cのみを閉成する。その結果、管理室インターホン3と複数の住戸機2との間に幹線装置4における一斉放送用経路(第5の切替スイッチ48と第4の切替スイッチ46a,46b,46cと低周波通過部40aを通る経路)を介した通信路が確立されて管理室インターホン3から複数の住戸機2への一斉放送が可能になる。
なお、本実施形態においても、図6に示すように実施形態4と同様に映像信号切替スイッチ47を設けて1つの映像増幅器41を全ての幹線L1a,L1b,L1cで共用する構成としても構わない。
さらに、図7に示すように映像信号切替スイッチ47に開放端子(何れの幹線L1a,L1b,L1cとも接続されない端子)を設け、一斉放送が行われている間は映像信号切替スイッチ47を開放端子47aに切り替えて一斉放送時に映像増幅器41の出力端を何れの幹線L1a,L1b,L1cからも切り離すようにすれば、映像増幅器41の音声信号帯域に対する出力のインピーダンスの影響で一斉放送の音声信号が減衰することを防止できるという利点がある。
(実施形態6)
本実施形態は、1系統の幹線を複数系統の幹線に分配する機能と、各幹線毎に設けられる個別通話用経路並びに一斉放送用経路と、各幹線毎に個別通話用経路と一斉放送用経路を切り替える経路切替手段とを具備した幹線分配装置5を備えた点に特徴がある。但し、本実施形態の基本構成は実施形態5と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図8に示すように幹線装置4で分配された幹線に幹線分配装置5を接続することでさらに複数系統の幹線に分配することができる。この幹線分配装置5は、入力側及び出力側に低周波信号を阻止するためのコンデンサが設けられ、1系統の幹線(図示例ではL1b)から入力されるFM映像信号を増幅する映像増幅器51と、映像増幅器41の出力端を複数系統(図示例では3系統)の幹線L1ba,L1bb,L1bc又は開放端子52aに択一的に切り替えて接続する切替スイッチ52と、映像増幅器41の入力端に一端が接続された低周波通過部53と、映像増幅器41の出力端に一端が接続された低周波通過部54と、出力インピーダンスを住戸機2の入力インピーダンスよりも低いインピーダンスにインピーダンス変換する複数(図示例では3つ)の放送用低インピーダンス駆動回路55a,55b,55cと、各放送用低インピーダンス駆動回路55a,55b,55cの出力端に接続された複数(図示例では3つ)の低周波通過部56と、3つの放送用低インピーダンス駆動回路55a,55b,55cの出力端を各々低周波通過部56を介して各系統の幹線L1a,L1b,L1cの信号線Ldに選択的に接続する接続スイッチ57a,57b,57cと、低周波通過部53の他端を低周波通過部54の他端と一斉放送用低インピーダンス駆動回路55a,55b,55cの入力端とに択一的に切り替える経路切替スイッチ58とを備えている。すなわち、幹線分配装置5においては、幹線L1bから入力されたFM映像信号と音声信号を分離し、さらに分離した音声信号の伝送経路として低周波通過部54のみを通る経路(個別通話用経路)と、一斉放送用低インピーダンス駆動回路55a又は55b又は55cと低周波通過部56と接続スイッチ57a又は57b又は57cを通る経路(一斉放送用経路)とが択一的に選択可能となっている。
また、本実施形態では幹線分配装置5にも幹線装置4と同様に内部回路を制御するCPU(図示せず)が設けられ、CPUには制御線(図示せず)とのインタフェースとなる制御信号送受信回路(図示せず)が接続される。制御信号送受信回路は、CPUから出力された制御信号を制御線(図示せず)に送出し、制御線(図示せず)から受信した制御信号をCPUに引き渡す機能を有する。
次に本実施形態の動作を説明する。但し、幹線分配装置5以外のロビーインターホン1、住戸機2、管理室インターホン3、幹線装置4の動作は実施形態5とほぼ共通であるから説明は適宜省略し、幹線分配装置5の動作を中心に説明する。
まず、ロビーインターホン1と、ロビーインターホン1で選択された1台の住戸機2との間で個別通話する場合について説明する。ロビーインターホン1で選択された住戸機2に対して管理室インターホン3から制御線(図示せず)を介して制御信号(呼出コマンド)が伝送され、この制御信号に含まれるアドレスが一致した住戸機2では、そのCPUが呼出コマンドに応じて住戸機リレーのリレー接点29を閉成するとともに音声回路24cを通じてスピーカ21bから呼出音を送出させる。さらにロビーインターホン1に選択された住戸機2では、CPUがFM復調部25aやモニタ22を起動し、信号線Ldを介して伝送されるFM映像信号をFM復調部25aで周波数復調してロビーインターホン1のカメラにおいて撮像された来訪者の映像をモニタ22に表示させる。そして、ロビーインターホン1からの呼出に応答して居住者が住戸機2の応答釦を操作するとCPUが音声回路24cを起動する。
一方、管理室インターホン3では、呼出コマンドの送出後、CPUが図示しない切替スイッチをオンしてロビーインターホン1に接続された通話線Laを幹線装置4に接続された通話線Laに接続する。
また幹線装置4においては、呼出コマンドが伝送されたことを検出したCPUが、経路切替スイッチ48を映像信号切替スイッチ47の側に切り替えるとともに、映像信号切替スイッチ47を選択された住戸機2が接続されている幹線(例えば、L1b)に切り替える。さらに幹線分配装置5において、呼出コマンドが伝送されたことを検出したCPUが、経路切替スイッチ58を低周波通過部54の側に切り替えるとともに、切替スイッチ52を選択された住戸機2が接続されている幹線(例えば、L1ba)に切り替える。その結果、ロビーインターホン1と選択された住戸機2との間に幹線装置4における個別通話用経路(第5の切替スイッチ48と第3の切替スイッチ45a又は45b又は45cと低周波通過部40aを通る経路)、並びに幹線分配装置5における個別通話用経路(低周波通過部53と経路切替スイッチ58と低周波通過部54を通る経路)を介した通信路が確立されて個別通話が可能になるとともに、選択された住戸機2でのみロビーインターホン1のカメラで撮像された来訪者をモニタ22に表示することが可能になる。なお、管理室インターホン3と、管理室インターホン3で選択された1台の住戸機2との間で個別通話する場合については、ロビーインターホン1と住戸機2との個別通話の場合とほとんど共通であるから説明を省略する。
次に、管理室インターホン3から複数の住戸機2に対して一斉放送を行う場合について説明する。
管理人が管理室インターホン3に設けられた一斉放送開始釦を操作すると、管理室インターホン3のCPUが一斉放送の対象となる複数の住戸機2並びに幹線装置4に対して制御線(図示せず)を介して制御信号(一斉放送開始コマンド)を伝送し、この一斉放送開始コマンドに応じて一斉放送の対象となっている全ての住戸機2のCPUが住戸機リレーのリレー接点29を閉成するとともに、図示しない切替スイッチをオフしてロビーインターホン1に接続された通話線Laを幹線装置4に接続された通話線Laから切り離し、さらに音声回路24cを起動する。
一方、幹線装置4では、一斉放送開始コマンドに応じて、CPUが第5の切替スイッチ48を一斉放送用低インピーダンス駆動回路42a,42b,42cの側に切り替えるとともに、一斉放送の対象に含まれている住戸機2が接続されている幹線L1a,L1b,L1cに対応した第4の切替スイッチ46a,46b,46cのみを閉成する。また、幹線分配装置5では、一斉放送開始コマンドに応じて、CPUが経路切替スイッチ58を一斉放送用低インピーダンス駆動回路55a,55b,55cの側に切り替えるとともに、一斉放送の対象に含まれている住戸機2が接続されている幹線L1ba,L1bb,L1bcに対応した接続スイッチ57a,57b,57cのみを閉成する。その結果、管理室インターホン3と複数の住戸機2との間に幹線装置4における一斉放送用経路(第5の切替スイッチ48と第4の切替スイッチ46a,46b,46cと低周波通過部40aを通る経路)、並びに幹線分配装置5における一斉放送用経路(低周波通過部53と経路切替スイッチ58と一斉放送用低インピーダンス駆動回路55a,55b,55cと低周波通過部56と接続スイッチ57a,57b,57cを通る経路)を介した通信路が確立されて管理室インターホン3から複数の住戸機2への一斉放送が可能になる。ここで、放送用低インピーダンス駆動回路55a,55b,55cからみた負荷インピーダンスは一斉放送の対象となる住戸機2の台数が増加するにつれて低下することになるが、放送用低インピーダンス駆動回路55a,55b,55cによって一斉放送用経路の出力インピーダンスが住戸機2の入力インピーダンスよりも低いインピーダンスにインピーダンス変換されるため、幹線分配装置5で幹線を多系統に分配する場合においても音声信号の減衰を抑制することができる。
なお、本実施形態では幹線分配装置5にCPUや制御信号送受信部を設け、管理室インターホン3から制御線(図示せず)を介して伝送される制御信号に応じて切替スイッチ52、接続スイッチ57a,57b,57c、経路切替スイッチ58を切り替える構成としたが、例えば、個別通話時に選択された住戸機2から信号線Ldに直流電圧を重畳し、幹線分配装置5において信号線Ldに重畳された直流電圧を検出することで上記各スイッチを切り替える構成としても構わない。