JP4481864B2 - 配管埋め込み型のロボットハンドおよびその成形方法 - Google Patents

配管埋め込み型のロボットハンドおよびその成形方法 Download PDF

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Description

本発明は繊維強化樹脂材料からなるロボットハンドに関し、特に対象物を真空吸着するための吸排気やケーブル類の内部への配線を可能とするロボットハンドに関する。
産業用ロボットのマニピュレータに代表されるロボットアームは先端にロボットハンド(以下、「ハンド」と略記する場合がある。)を有する。ロボットハンドは機械部品の組立、製品の取り出しや搬送、または対象物の把持など様々な用途に応じてその動作方式や構造を決定され、また用いられている。
ロボットの小型化と動作の高速化を達成するためにハンドに求められる性能としては、例えば剛性の高さ、軽量さ、振動減衰率の高さが挙げられる。剛性の高さは、ハンドの位置決め精度の向上とその時間の短縮、および共振の回避が図られる。軽量さは、駆動モータのトルクなどのアクチュエータ出力を小さくすることができ、ロボット全体の軽量化や省エネルギー化が図られるほか、ハンドの剛性の向上にも資する。振動減衰率の高さは、位置決め時の微小振動の早期減衰により、位置決め時間の短縮や作業精度の向上に寄与する。
一般にロボットハンドは耐久性、コスト、加工性などの観点からアルミニウム(アルミ)やステンレス(SUS)などの金属材料により作られることが多いが、これら金属材料と比較して上記の各性能に優れるという観点から、近年、繊維強化樹脂(FRP)をその材料とするハンドの発明が各種提案されている。
例えば先行文献1(特許文献1:登録実用新案公報第3073229号)には、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)材料の角チューブ集合構造からなるロボットハンドに関する考案が記載されている。かかる考案では、先端部に真空パッドを有し、基端と先端が角チューブで連通している真空吸着式の搬送装置用ロボットハンドが示されている。
先行文献2(特許文献2:特開平11−10687号公報)には、内部に吸気・排気用管や導電用ケーブルを収容する中空部を有するCFRP材料からなるロボットアームに関する発明が記載されている。かかる発明では、対向する薄肉凹状(椀状)の二部材をフランジ部で接着し、各種管類やケーブル類を収容する中空部をアーム内部に広く設けた構造としている。
先行文献3(特許文献3:特開2000−24983号公報)には、上記先行文献2記載のロボットアームを改良し、チャンネル状の断面形状とすることで曲げおよびねじり剛性を強化したロボットアームに関する発明が記載されている。
登録実用新案公報第3073229号 特開平11−10687号公報 特開2000−24983号公報
FRP材料からなるロボットハンドに真空吸着用の吸排気管および/または各種センサー類の信号線や導電用の電源ケーブル等を挿通する発明としては、これまで大別して3種類の方法が提案されてきた。第一の手法は先行文献1記載の考案のように、矩形断面などを有するFRPチューブでロボットハンドを構成し先端部に真空吸着口または配線口を穿設する方式である。第二の手法は先行文献2および3記載の発明のように、凹状のFRP部材を接合して薄肉のロボットハンドの内部に中空部を設け、管等を通す方式である。
第三の手法は、図8および図9に示すように、中実部材110に溝120を設けて、その上に金属またはFRPからなる蓋140で覆って配管とする方法である。図8はロボットハンドの平面図、図9はハンドの長手方向に直交する横断面図(B−B断面図)である。ロボットハンドの先端部には真空吸着口または配線口などに用いる通孔131を穿設し、必要に応じて真空パッド部130を設ける。溝120を真空ポンプ等により真空引きすることで、対象物を真空パッド部130に吸着し、把持することができる。
しかし、これらの従来技術にはそれぞれ以下の問題点があり、ロボットハンドの機械的な性能が十分には得られない。すなわち第一の手法の場合、FRP材料は金属材料よりも気密性が劣るため、FRPチューブを構成する積層プリプレグの層間またはボイドより周辺空気が浸入し、真空吸着性能を低下させる。この現象はロボットハンドの長期使用によるFRP材料へのマイクロクラックの発生または排湿歪みなどによってより顕著となり、ハンドの製品寿命を決定する要因となる。
第二の手法の場合、凹状のFRP部材が形成する内部の中空空間が大きく、ロボットアームの動作時にはフレキシブルな配管類がアーム内部で暴れることとなる。これにより配管類の外皮が損傷し、最悪の場合は吸排気管より空気漏れが生じることとなる。配管類がリジッドな場合も、先端と基端のみでアームと配管が当接する該構造では、アーム操作時に当接部にかかる荷重負荷が大きく、アームのFRP母材の早期損耗を招きやすい。また配管類の暴れはアームのFRP内壁を傷つけ、対象物の製造環境を悪化させるダストを生じる原因となるほか、配管類の位置がアーム内部で移動することはアームの重心位置にずれを生じるため問題となる。アームの重心位置がずれると、同一のアクチュエータトルクで駆動した場合に移動速度が変化するからである。また中空薄肉の当該ロボットアームは、同質量で比較した場合、中実のアームに比べて慣性モーメントが大きいため、駆動モータの初動トルクを多く要することとなる。更に薄肉ゆえ、アーム全体としての曲げ剛性や捻り剛性は高いものの、ロボット作業時、特に対象物の把持時にはアームの局所的な固有振動が生じやすく、その減衰を待つ必要があることからアームの位置決め時間を多く要するという問題がある。
図9に示す第三の手法の場合、第一の手法と同様に積層材の層間またはボイドより周辺空気が出入りしやすい(160)という問題のほか、蓋140と中実部材110との間からも特に経時変形/劣化した場合に空気漏れ(150)が発生しやすい。また、蓋140をSUSやアルミなどの金属材料とした場合、FRP材料110とは一般に線膨張係数(CTE)が一桁程度以上相違するため、ロボットの作業環境によっては温度変化によりハンドに反りが生じ、作業精度を低下させる要因となる。また溝120をケーブル配線用にのみ用いる場合は、ハンド内部の気密性は不要であるため蓋140をせずに開断面のままにしておくという選択も可能であるが、この場合は溝120を削成したことによりロボットハンド全体の曲げおよび捻り剛性が低下するという新たな問題が生じる。
以上を踏まえ本発明においては、対象物に対する高い真空吸着力を有し、また内部に引き回したケーブル類を安定して保持することが可能であり、更に比剛性が高く位置決め精度や時間を改善し、慣性モーメントの小さいロボットハンドを提供することを目的とする。
そこで上記課題を解決するため本発明者は鋭意検討の末、比剛性の高いFRP材料からなるロボットハンドの母材に対して、気密性の高い配管を一体に埋め込み成形することにより、母材には気密性を要せず、かつ配管の暴れによる母材の損耗を防止することが可能になるとの知見に基づき、本発明の完成に到った。
すなわち以下の発明によれば、上記課題を解決することが可能である。
(1)繊維強化樹脂材料を母材とするロボットハンドであって、
その基端部から先端部にかけて、母材よりも気密性の高い材料よりなる配管が母材と一体に埋め込み成形され、かつ先端部に、母材の外表面から配管に至る1個または複数個の通孔が穿設されていることを特徴とするロボットハンド。
また本発明は、その具体的な実施の態様として以下の各関連発明を含むものである。
(2)前記繊維強化樹脂材料が、積層したプリプレグシートを加熱および加圧成形してなる炭素繊維強化プラスチックであり、かつ、
前記気密性の高い材料が、金属材料または硬質プラスチック材料である(1)記載のロボットハンド。
(3)繊維強化樹脂材料を母材とするロボットハンドであって、
基端部から先端部にかけて、母材よりも気密性の高い材料よりなる配管を間に挟み込んで積層したプリプレグシートを、一体に加熱および加圧成形し、かつ先端部に、母材の外表面から配管に至る1個または複数個の通孔を穿設してなることを特徴とするロボットハンド。
(4)繊維強化樹脂材料を母材とし、
基端部から先端部にかけて延びる、母材よりも気密性の高い材料よりなる配管と、
これを長手方向に沿って左右からその側面によって挟み込む一対の中間部材と、
前記配管および中間部材を長手方向に沿って上下から挟み込む一対の表面板と、
中間部材の上/下面と表面板の内面とを互いに接合する接着層と、
を一体に加圧および加圧成形(コキュア)してなるロボットハンドであって、更に、
先端部に、一の表面板の外表面から配管に至る1個または複数個の通孔が穿設され、かつ、
前記中間部材および表面板は、前記繊維強化樹脂材料をあらかじめ加熱および加圧成形(プレキュア)してなることを特徴とするロボットハンド。
(5)前記接着層が前記繊維強化樹脂材料のクロスプリプレグシートである(4)に記載のロボットハンド。
(6)前記繊維強化樹脂材料が炭素繊維強化プラスチックであり、前記気密性の高い材料が、金属材料または硬質プラスチック材料である(3)から(5)のいずれか1項に記載のロボットハンド。
(7)基端部から先端部にかけて延びる、金属製またはプラスチック製の配管を間に挟み込んで繊維強化樹脂材料のプリプレグシートを積層する第一工程と、
これらを一体に加熱および加圧成形する第二工程と、
先端部に、外表面から配管に至る1個または複数個の通孔を穿設する第三工程と、
からなるロボットハンドの成形方法。
(8)積層した繊維強化樹脂プリプレグシートを加熱および加圧成形(プレキュア)して一対の中間部材および一対の表面板を得る第一工程と、
基端部から先端部にかけて延びる、金属製またはプラスチック製の配管を、その長手方向に沿って前記一対の中間部材の側面同士で挟み込む第二工程と、
配管および中間部材を、前記長手方向に沿って上下から、接着層を介して、前記一対の表面板で挟み込む第三工程と、
これらを一体に加熱および加圧成形(コキュア)する第四工程と、
先端部に、一の表面板の外表面から配管に至る1個または複数個の通孔を穿設する第五工程と、
からなるロボットハンドの成形方法。
本発明にかかるロボットハンドによれば、従来一般的に用いられているアルミやSUSなどの金属材料に比べて比剛性や比強度が高く、振動減衰率の高い繊維強化樹脂材料を母材として用いることにより、剛性向上による位置決め精度の向上と共振の回避、強度向上による耐荷重の向上、軽量化によるアクチュエータ出力の低減によるロボット全体のダウンサイジング、振動減衰性能向上による位置決め時間の短縮などの各効果が得られる。
また本発明にかかるロボットハンドは、その基端部から先端部にかけて延びる、母材よりも気密性の高い材料よりなる配管を母材に埋め込み成形し、かつ、先端部に母材外表面から配管に至る1個または複数個の通孔を穿設させることを特徴とする。基端部側から真空ポンプなどで配管内の真空引きをすれば、ハンドにより把持しようとする対象物体(以下「対象物」という。)を先端の通孔に真空吸着し、これを把持することができる。また、各種センサー類の信号線や電源ケーブルなどを、通孔よりハンド内部に埋め込まれた配管を通じて基端部に向けて挿通することも可能となる。これらのケーブル類がハンド外部に飛び出していると、ロボット操作時にハンドやアーム、または対象物と接触する危険があるため、ハンド内部を通じてロボット後方に引き回すことが好適であるところ、これを可能とするものである。
また本発明にかかるロボットハンドにおいては、母材よりも気密性の高い材料を配管に用いる。本発明において「気密性」が高いとは、同一厚さおよび同一形状に切り出した試験片について透気度が高い(透気性が低い)ことを意味する。透気度の大小は、JISP 8117基準に準じて、300mlの空気が直径10mmの円形の試験片を透過するのに要する時間(秒数)によって比較できる。これにより気密性を配管自体で確保することができ、従来技術の課題であったFRP積層材の層間またはボイドからの空気の浸入による真空吸着性能の低下を防ぐことができる。
さらに本発明にかかるロボットハンドにおいては、配管がハンドの母材に対して一体に埋め込み成形されていることを特徴とする。本発明において、「一体に」とは、ハンドを破壊せずに配管を母材に抜き差しすることができない状態を意味し、実質的にハンド内部の配管の全長が母材と当接している状態を意味するが、配管が暴れて母材と衝突することのない限りにおいて配管の一部が母材と接触していない状態も含むものとする。また「ハンドが母材に埋め込まれている」とは、ハンドの基端から先端にかけて配管が母材に埋没している状態を意味するが、ハンド全体の剛性を低下させない限りにおいて配管の一部が母材から露出している状態も含むものとする。尚、ハンドの先端より先、または基端よりもロボット側に配管が突出している状態は当然の態様でありこの状態も含まれる。
かかる一体の埋め込み成形をすることで、母材と配管が、直接またはフィラーを介して、ハンドの両端部のみならず全体またはほぼ全体にわたって接触するため、配管がフレキシブルであるかリジッドであるかを問わず、ロボット操作時に配管が暴れてハンドの母材と衝突することがなくなる。このため母材内壁の損耗によるダストの発生を防ぐことができる。また配管を母材と一体に埋め込み、必要な場合は配管内部にケーブル類を挿通させる方式としたため、ハンド内のケーブル類のあそびが最小限に抑えられることとなる。これにより、ロボット操作時にケーブルがハンドの内壁面に不規則に衝突して発生する内部擾乱やケーブルの移動によるヒステリシスを減少させることができる。さらに前記あそびの中でケーブル類がハンドと相対的に変位してこれと衝突したとしても、ケーブル類が接触するのは配管の内壁であって母材ではないため、FRP材料が摩耗してダストを発生させることがないという利点がある。
また所定の剛性を持つ配管を母材に一体に埋め込み成形することにより、母材には配管の剛性も相加的に与えられ、全体にコンパクトかつ密なロボットハンドが得られる。これにより従来の中空のロボットハンドで生じやすかった局所的な固有振動を排除し、またハンドの慣性モーメントを小さくすることでアクチュエータの初動トルクを小さくすることができるため、先行技術の課題の一つが解決される。なお、中空のロボットハンドに限らず、例えば配管をハンドの母材外表面に接合する方式と比較した場合も、一体埋め込み型の本発明はハンドの厚さを抑え、ロボットの省スペースによる操作を可能とする点で優れている。
本発明の実施の形態について説明する。本発明においては、ロボットハンドの母材に用いる繊維強化樹脂材料が、積層したプリプレグシートを加熱および加圧成形してなる炭素繊維強化プラスチックであり、かつ、配管の材質が、金属材料または硬質プラスチック材料であることが好適である。炭素繊維強化プラスチックのプリプレグシートを加熱および加圧成形する方式を採ることにより、強化繊維の所定の配向設計に基づき、例えばハンドの長手方向など、任意の方向の剛性を特に強化したロボットハンドを容易に得ることができる。
また、配管の肉厚は、加熱および加圧成形時の耐環境性の要求から一般にサブミリメートル(0.1mm)またはミリメートル(1mm)のオーダーであるところ、この厚さを有する金属材料や硬質プラスチック材料の透気度(JISP 8117基準)は無限大に近似できるほど大きい。一方、強化繊維(ファイバー)と樹脂(マトリクス)の複合材料であるFRPは、ファイバーとマトリクスの境界において主として生じるボイドによって気密性に劣り、かかる値は比較的低いものとなる。さらにハンドの母材をプリプレグシートの積層成形によって得る場合、層間の気密性は、材料内部のファイバー:マトリクス境界よりも更に1オーダー以上劣るものとなる。
以上より、配管の材質を、例えばSUSやアルミなどの金属材料や、ポリプロピレンやポリカーボネートなどの硬質プラスチックとすることにより、母材からの空気漏れによる真空吸着性能の低下という従来技術の課題のひとつが解決される。なお、本発明において「硬質プラスチック」とは、曲げ弾性率が定常状態で700[MPa]以上であるプラスチックを意味する。配管の材質が金属材料または硬質プラスチック材料のように所定の剛性を有することで、加圧成形時にも配管の断面形状を維持することができる。また成形後も、内部に挿通したケーブル類との接触により配管が変形することを防止できる。
本発明にかかるロボットハンドは繊維強化樹脂(FRP)材料を母材とし、基端部から先端部にかけて、母材よりも気密性の高い材料よりなる配管を間に挟み込んで積層したプリプレグシートを、一体に加熱および加圧成形し、かつ先端部に、母材の外表面から配管に至る1個または複数個の通孔を穿設してなることが好適である。
基端部から先端部まで母材内部に気密性の高い配管を埋め込み、先端部に通孔を穿設することで、対象物の真空吸着やケーブル類の引き回しが可能となる。また母材を得るためにFRP材料のプリプレグシートを複数枚積層していく方式を採ることで、その間に配管を挟み込み、これらを一体に加熱および加圧(コキュア)するだけで容易に配管の埋め込みができ、本発明の目的を達成することができる。
なお、通孔を穿設するタイミングとしては、あらかじめプリプレグや配管に通孔を設けてから成形することも可能ではあるが、むしろ成形後に母材表面から配管に達する通孔を穿設する方が、成形時に材料に生じる熱変形の影響を排除でき、位置精度を高くすることができるため好適といえる。
本発明にかかるロボットハンドは、繊維強化樹脂(FRP)材料を母材としてこれを加熱および加圧成形(プレキュア)してなる中間部材および表面板を用いて構成することが好適である。この場合、母材よりも気密性の高い材料よりなる配管を、長手方向に沿って左右からまず一対の中間部材の側面同士で挟み込む。さらにこれらを一対の表面板で挟み込み、中間部材の上/下面と、2枚の表面板それぞれの内面とを、互いに接合する接着層を介して一体に加熱および加圧成形(コキュア)することで、基端部から先端部にかけて配管を母材に容易に埋め込むことができる。更に、先端部に、一の表面板の外表面から配管に至る1個または複数個の通孔を穿設することによって、対象物の真空吸着やケーブル類の引き回しをすることのできるロボットハンドが得られる。ただし通孔を設けるタイミングについては、上述のようにプレキュアまたはコキュアの前または後に限られるものではないが、コキュア後に行うことがもっとも容易に位置精度の高い通孔を設けることができるという観点から好適である。
この方式を採ることにより、表面板と中間部材とを異なるFRP材料、または同一材料であっても異なる繊維配向のものとすることができ、例えば中間部材はハンドの面外圧縮方向の剛性を高くし、表面板は面内、特に長手方向の圧縮・引張方向の剛性を高くするなど自由な設計が可能となるため、ロボットハンドの様々な仕様を満足させることができる。
これはすなわち、上記のように表面板と中間部材のFRP材料を異なるものとした場合、または同一材料であっても繊維配向を極端に変えた場合、両者の線膨張係数(CTE)が大きく相違することに起因する。CTEの大きく異なる複数種類のプリプレグシートを単に積層し、配管を埋め込んでコキュアすると、加圧後の冷却工程において大きな熱歪と熱応力が発生し、層間剥離や材料破壊を生じる原因となる。したがって所定の材料によりあらかじめ表面板と中間部材を成形(プレキュア)しておき、これらを接着層で一体に接合(コキュア)することにより、接着層の剪断変形による前記熱応力の吸収が期待できる。また表面板や中間部材のプレキュアはそれぞれ単体で行われるため十分に高い温度で行うところ、一般にコキュア温度はそれよりも低くできるため、そもそも表面板と中間部材の間に発生する熱応力自体も低減させることができる。
また本発明に用いる接着層としては、無機系または有機系などの通常の接着剤を用いるほか、FRP材料のクロスプリプレグシートを用いることも好適である。クロスプリプレグシートは強化繊維を0°方向と90°方向に編み合わせているため、表面板と中間部材の間に薄く積層してコキュアすることで、対向する表面板の内面と中間部材の表面とが、異なる材料または異なる繊維配向であったとしても、発生する熱応力を好適に吸収する緩衝層として機能することが期待できるからである。
上記したように、配管埋め込み型のロボットハンドを得る方法としては、プリプレグシートの積層の間に配管を挟み込みんでコキュアする方式や、プレキュアした表面板や中間部材で配管を囲み接着層を介して一体にコキュアする方式など様々であるが、これらの場合においては、母材に用いる繊維強化樹脂材料として炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、配管に用いる気密性の高い材料として金属材料または硬質プラスチック材料とすることが好適である。母材にCFRPを用いることで高い比剛性、比強度、振動減衰性が得られ、配管に金属材料や硬質プラスチック材料を用いることで高い気密性と剛性が得られるためである。
本発明にかかるロボットハンドを得る方法は一つに限られるものではないが、配管を間に挟み込んでFRP材料のプリプレグシートを積層する第一工程と、これらを一体にコキュアする第二工程と、先端部に、外表面から配管に至る1個または複数個の通孔を穿設する第三工程とからなる成形方法によって本発明の目的を達成する配管埋め込み型のロボットハンドを好適に得ることができる。
また別の方法としては、積層したFRPプリプレグシートをプレキュアして一対の中間部材および一対の表面板を得る第一工程と、配管をその長手方向に沿って前記一対の中間部材の側面同士で挟み込む第二工程と、配管および中間部材を、前記長手方向に沿って上下から、接着層を介して、前記一対の表面板で挟み込む第三工程と、これらを一体にコキュアする第四工程と、先端部に、一の表面板の外表面から配管に至る1個または複数個の通孔を穿設する第五工程とからなる成形方法によっても本発明の目的を達成する配管埋め込み型のロボットハンドを好適に得ることができる。
これらの成形方法を採ることにより、本発明にかかるロボットハンドを得ることができる。また通孔の位置決めが容易に行えることも含めて、ハンドの成形が好適に行われる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて更に具体的に説明する。ただし特にロボットハンドの平面形状や断面形状、これに埋め込まれる配管の形状や本数、通孔の位置や個数、真空パッド部の有無などにつき、本発明は以下の実施の形態に限られるものではない。
本発明にかかるロボットハンドの全体形状について、側面図を図1(a)に、裏面の平面図を同図(b)に示す。また長手方向に垂直な断面(横断面)の形状を図2に示す。図2は図1のA−A断面に相当する。
10はFRP材料からなる母材、20は母材に一体に埋め込まれた配管、30は真空パッド部、31は真空吸着口または配線口として用いられる先端部側の通孔、40は基端部側の導出孔を表わす。
図1は二又板状のロボットハンドであって、真空パッド部30を4箇所備えており、導出孔41より配管20内の空気を抜くことにより、図示しない対象物を真空吸着により把持することができる。対象物は特に限定されないが、樹脂製品、液晶製品、半導体製品、またはこれらの半製品や材料などを好適なものとして例示できる。ただし真空パッド部30は、対象物やハンドの使用目的に応じて設ければよく、必須の構成要件ではない。また導出孔41は配管20の基端側の端部であり、ロボット本体等と接続するため、必要に応じて螺旋や絞りなどのインタフェース加工を施してもよい。
母材10は、強化繊維(ファイバー)にマトリクス(レジン、樹脂)を含浸させた繊維強化樹脂(FRP)材料からなる。これにより、マトリクスや強化繊維の種別、および繊維配向の好適な設定によりSUSやアルミ等の金属を超える比強度、比剛性、耐熱変形性、耐食性、耐薬品性、高振動減衰性などの利点を享受したロボットハンドを得ることができる。
FRP材料のマトリクスには、例えばエポキシ樹脂(EP)、フェノール樹脂(PF)、不飽和ポリエステル樹脂(FRP)、アルキド樹脂、ビスマレイミド樹脂(BMI)、シアネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂(PI)、またはポリウレタン樹脂(PUR)などの熱硬化性樹脂、またはポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリサルフォン(PSF)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアリレート(PAR)、ポリアリレンケトン、ポリアリレンサルファイド、またはポリエステル(PET)などの熱可塑性樹脂の中から一つを選択して、または二種類以上を混合して用いることができる。このうち、エポキシ樹脂またはシアネート樹脂が強度、成形性、入手性の観点から好適に用いられる。
まFRP材料に用いる強化繊維(ファイバー)には、例えば炭素繊維、アラミド繊維、ケブラー繊維、天然繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、炭化珪素繊維、またはアルミナ繊維などの金属繊維が用いられる。
これらの強化繊維は、いずれか一種類、または複数種類を混合したものでもよく、繊維長も短繊維、長繊維を問わないが、ロボットハンドの比強度や比剛性を高くする観点から、炭素繊維、アラミド繊維、または炭化珪素繊維を長繊維として用いるのが好適である。
強化繊維とマトリクス樹脂を複合して母材10を得る方法は特に限定されない。例えば、内部に配管20を挿通した状態で強化繊維を三次元的にロボットハンドの形状に編み上げ、これにマトリクス樹脂を含浸することもできる。また、強化繊維を一方向に揃え、マトリクス樹脂を含浸して半硬化状態にしたシート状の複数枚のプリプレグを、所定の繊維の配向設計に基づいて適宜積層していく成形方法が、任意の方向(例えばハンドの長手方向)を特に強化したロボットハンドを容易に得ることができるという観点から好適である。また、マトリクスと強化繊維の組み合わせを変えた複数種類のプリプレグを組み合わせて用いてもよい。
プリプレグシートの積層にあたっては、後述するように配管20を挟み込んでFRP材料のプリプレグシートを積層し、これらを加熱および加圧して一体に成形する方法のほか、あらかじめ複数枚のプリプレグシートを成形(プレキュア)して得た表面板および中間部材を、配管20を軸まわりに囲むように組み合わせ、接着層を介して一体化する(コキュア)方法も選択できる。ただし、複数の表面板および中間部材を用いる場合、対になる表面板同士や中間部材同士、または表面板と中間部材とで、それぞれ異なるFRP材料をプレキュアして用いることが可能である。
ロボットハンドの形状、すなわち母材10の形状は特に限定されない。図1、図2では矩形断面を持つ二又板状のハンドを例示しているがこれに限らず、平面視形状が直線状、テーパー状、弧状、三日月状、円盤状、多角形状(二又状、三又状などを含む)、これらの一部、またはこれらの組み合わせであってもよい。また断面形状についても図2に示す矩形に限らず、円形、半円形、これらの一部、またはこれらの組み合わせであってもよく、部位によって形状や大きさが変化してもよい。
配管20は、母材10よりも気密性の高い材料からなる。具体の材料は特に限定されないが、金属材料または硬質プラスチック材料とすることが気密性(透気度)や剛性の観点から好適である。金属材料は特に限定されないが、例えばSUS、アルミ、鉄、銅、チタン、マグネシウム、またはこれらの合金などが入手性や加工性、耐久性の観点から好適に用いられる。硬質プラスチック材料も特に限定されるものではなく、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、またはポリイミド樹脂などが入手性、加工性、耐熱性、剛性等の観点から好適に用いられる。気密性の尺度たる透気度はJISP 8117に準じて測定・比較されるが、上述のようにFRP材料のプリプレグシートを積層してなる母材10と比較して、同じ肉厚の金属材料または硬質プラスチック材料は、一般に1オーダー以上透気度に優れるため、かかる材料による配管20を母材に埋め込むことにより、空気漏れが少なく真空吸着性能の高いロボットハンドが得られる。
配管20の断面形状および平面視形状は、ロボットハンドの使用目的や要求仕様にあわせて自由に設計することができる。断面形状は、図2に示す矩形に限らず、円形、半円形、多角形、これらの一部、またはこれらの組み合わせであってもよく、部位によって形状や大きさが変化してもよい。配管20は母材10に埋め込まれているため、原則としてその断面は母材10の断面に囲まれるが、一部が母材10から露出していてもよい。
配管20の平面視形状は図1に示すY字状をはじめ、ロボットハンドの平面形状に応じて適宜選択しうる。また配管20の側面視形状は、図1(a)では直線状としているがこれに限られず、例えばハンドの先端部で曲げまたは絞りにより突出部を設け、通孔31に挿通させることも好適である。
配管20の外表面の処理は特に要求されるものではないが、例えば金属材料による場合、一般的なワイヤブラシやサンダーなどの機械的研磨処理のほか、脱脂処理、硫化や酸化などの化成処理、防錆などのメッキ処理、陽極酸化処理、表面効果処理、膜処理などを成形前に行い、母材10との接触性を高めてもよい。
通孔31は、対象物の真空吸着、またはケーブル類をハンドに挿通もしくはハンドから導出するための空孔である。対象物を真空吸着するには、配管20内の空気をハンド基端部側の導出孔40より抜き、配管20内を負圧にする。かかる空気抜きには真空ポンプなどが用いられるがその手段は特に限定されない。対象物を上方から吊り下げるように吸着把持する場合は通孔31をハンドの下面に穿設し、逆に対象物をハンドに載置して把持する場合はハンドの上面に通孔31を穿設するとよい。ただし、例えばハンドの側面に通孔31を設け、対象物をハンドに吸引させることも可能であるなど、通孔31の位置および個数は限定されず、ロボットハンドの使用目的や要求仕様にあわせて自由に設計することができる。
通孔31および導出孔40を設けるに際しては、吸引空気が母材10より漏れ出すことのないよう、配管20の先端部および/または基端部には、金属材料または樹脂材料からなるブロックを母材10に埋設することが更に好適である。この場合、先端部に埋設したブロックの一端には配管20を接続し、他端または側面を座ぐり加工して真空パッド部30を設けることで、真空パッドから配管に至る気道にて気密性の低い母材10と吸引空気が接触することがなくなる。また基端部にも同様のブロックを埋設し、その一端に配管20を接続し、他端または側面にロボット接続用のインタフェース加工を施すことにより、導出孔40の近傍においても気密性の低い母材10と吸引空気が接触して空気漏れを生じることが回避される。
通孔31の先端には、対象物との接触面積を大きくし、また対象物の表面を傷つけないための真空パッド部30を設けることが好適である。図1では真空パッド自体は省略し、その取付部のみを図示している。真空パッドには対象物の材質、質量、表面形状などに応じて、ゴム、不織布、スポンジ、樹脂などを用いることができるが、特に限定されない。
真空吸着力は、真空パッド部の開口面積×(大気圧−配管内圧力)で決まるため、通孔31の先端に真空パッド部30を設けて対象物との接触面積を大きくすることは真空吸着力を大きくする観点からも好適といえる。真空吸着した対象物は、ロボットハンドの旋回や昇降などの動作により所定の場所に移動され、その位置において導出孔40より配管20内に吸気がなされると、配管内圧力が回復し、対象物は自重によりハンドから脱離する。
すなわち真空吸着式のロボットハンドにより対象物の移動操作を行う場合は、(1)ハンドを対象物に近接または当接(2)導出孔40より排気し対象物を吸着(3)把持した対象物を移動(4)導出孔40より吸気し対象物を脱離、という簡単な操作により行うことができる。ここで本発明にかかるロボットハンドによれば、配管20の気密性が高いため対象物の把持力が高く、対象物の移動中に配管内圧力が回復して対象物を誤って脱落させてしまうこともない。また気密性の高さは導出孔40からの吸排気に対する応答性が向上することを意味し、より高速のロボット操作に追随して対象物の把持および脱離操作が可能となる。
以下、本発明の実施例について図面を用いて具体的に説明する。図3は母材10に配管20を埋め込んだ状態を示す、第一の実施例にかかるロボットハンドの横断面図である。通孔31や真空パッド部30は省略してある。母材10は炭素繊維複合材料(CFRP)の一方向強化プリプレグシート(UD材)を積層してなるが、繊維配向はハンドの長手方向(0°方向)を1層に対し、+30°方向と−30°方向をそれぞれ1層の割合とした(0°,±30°)。プリプレグシートのマトリクスにはエポキシ系樹脂を用いた。母材10の側面および平面視形状は図1と同様の二又板状とし、厚さは約5mm、二本のハンド先端部の幅はそれぞれ約30mmとした。
配管20には外形寸法が幅10mm、厚さ3mm、肉厚0.5mmのSUS製の矩形管を二又に分岐させて用い、前記プリプレグシートの積層の間に挟み込んだ(第一工程)。ただし矩形管の先端は閉じ、基端側のみが開口している。配管20の外表面はエポキシ系のプライマー処理を行い、母材10との接着性を向上させた。配管20の挟み込まれる部分は、その形状にあわせてカットしたプリプレグシートを積層する方法と、カットせずに配管20を回り込むようにプリプレグシートを迂回させる方法とがあり、これを併用した。また配管20の周りにはフィラーとしてガラス粉混入エポキシ樹脂パテを充填し、プリプレグシートとの隙間を埋めた。配管20は母材10の厚さ方向、幅方向ともほぼ中央に挟み込んだ。配管20は図3の面外方向に向けて、ハンドの基端部から先端部のやや手前まで延びている。
配管20がプリプレグシートに覆われ、一体に埋め込まれた状態で、加熱および加圧成形を行った(第二工程)。本実施例では、図示しない押型を用い、30[MPa]の押圧を与えた。また図示しないヒータによりハンド全体を130[℃]に加熱した状態で180分の成形を行った。かかる成形後、80[℃]で120分間のエージングを行い、特に配管20と母材10の間に生じた熱応力を除去した。
成形後、図1(b)に示すように、ハンド先端部に裏面より、直径5mmの通孔31を、配管20の下面を貫通する深さで合計4箇所穿設した(第三工程)。更にハンド裏面の外表面に直径10mm、深さ0.5mmの真空パッド部30を設け、同形状のPVA発泡体からなるスポンジを嵌め込み、真空パッドとした。
かかる成形方法によって得たロボットハンドについて、配管20の基端部に市販の真空ポンプを接続して配管20内の空気を排気しつつ、対象物を真空吸着させたところ好適な吸着・把持および搬送作業が行われ、配管20からの空気漏れは認められなかった。なお、対象物としては射出成形されたプラスチック樹脂製品を用いた。
図4は第二の実施例にかかるロボットハンドの横断面図である。ロボットハンドの側面視形状および平面視形状は第一の実施例と同様である。
本実施例にかかるロボットハンドは以下のように成形した。すなわち、まずCFRPプリプレグシートを加熱および加圧成形(プレキュア)して表面板11,12および中間部材13を得た(第一工程)。表面板11と12はハンドの長手方向(0°方向:図4の面外方向)に強化繊維を配向させ、最内層および最外層にクロスプリプレグシート(0°および90°方向に配向)を積層してプレキュアを行った。厚さはいずれも1mmとした。成形環境は圧力30[MPa]、温度180[℃]、時間は180分間とした。
中間部材13には、ランダム配向させたガラス長繊維に不飽和ポリエステル樹脂を含浸し、プレキュアしたガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を厚さ5mmの矩形断面に切り出して用いた。かかる材料は振動減衰率が高く、また軽量かつ圧縮強度に優れるという利点がある。
配管20には外直径5mm、肉厚0.5mmのSUS製の円管を用い、第一の実施例と同様のフィラーで中間部材13との間を充填した。かかる配管20の長手方向に沿って、対向する一対の中間部材13の側面で挟み込み、配管20を固定した(第二工程)。
更に、CFRPのクロスプリプレグシートを接着層14として中間部材13の上/下面と表面板11,12の内面との間に挟み、表面板11,12により全体をサンドイッチした(第三工程)。
これらを図示しない押型およびヒータにより、圧力30[MPa]、温度130[℃]の成形環境の中で120分間コキュアを行った(第四工程)。その後、第一の実施例と同環境にてエージングを行った。
成形されたハンドには、第一の実施例と同様の箇所に通孔31および真空パッド部30を設けた(第五工程)。
かかる成形方法によって得たロボットハンドについても、第一の実施例と同様に高い真空吸着力が得られた。
プレキュアした表面板11,12および中間部材13を用いて配管20を挟み込み、これらを一体にコキュアするにあたっては、かかる表面板や中間部材の形状は特に限定されるものではない。図5および図6は配管20として円管を用いたものであるが、図5ではかかる円管の直径が中間部材13の肉厚よりも大きい例を、逆に図6では小さい例を示している。図5では表面板11,12に削り溝を設け、配管20の逃げ部を形成している。かかる逃げ部は配管20の形状にあわせて円筒面状としてもよい。かかる構造とすることにより、配管20のサイズによらず表面板の厚さを自在に増やして所定の方向の剛性を更に強化することができる。図6の場合は、表面板11,12に蓋状の突出部を設け、配管20が四方から表面板または中間部材と当接するようにしている。かかる鍵型の嵌め合い構造とすることにより、表面板と中間部材がより強固に一体成形される。
図7は中間部材13として、複合した角パイプを用いたものである。配管20もこれと同じ高さの角パイプとしているが、ただしこれに限られるものではない。かかる構造をとることにより、中間部材13の軽量化が図られる。また気密性に乏しい中間部材13の中空部はケーブル類の引き回しに用い、気密性の高い配管20を真空吸着に用いることもできる。
図5から7のいずれの実施例においても、表面板11,12と中間部材13をそれぞれ単独で高温高圧環境にて予備成形(プレキュア)しておくことで、熱応力の発生を低減することができる。配管20を埋め込んでこれらを一体成形(コキュア)する際は、これよりも緩い成形環境にて行うことができ、また、接着剤またはクロスプリプレグシートなどからなる接着層14の働きにより熱応力が更に吸収されるからである。
本発明にかかるロボットハンドは、様々な対象物を真空吸着により把持することができるほか、各種信号線や電源ケーブルをハンド内部に引き回すことができる。またロボットの種別もシーケンスロボット、プレイバックロボット、数値制御ロボット、知能ロボットなどの産業用ロボット、またはパーソナルロボットの別を問わず広く用いることができる。
本発明の実施の形態にかかるロボットハンドの側面図(a)および平面図(b) 本発明の実施の形態にかかるロボットハンドの横断面図 本発明の第一の実施例にかかるロボットハンドの横断面図 本発明の第二の実施例にかかるロボットハンドの横断面図 本発明のその他の実施例にかかるロボットハンドの横断面図 同上 同上 従来のロボットハンドの構造を示す平面図 従来のロボットハンドの構造を示す断面図
符号の説明
10,110 母材
11,12 表面板
13 中間部材
14 接着層
20 配管
30、130 真空パッド部
31、131 通孔
40 導出孔
120 溝
140 蓋
150、160 空気漏れ

Claims (4)

  1. 繊維強化樹脂材料を母材とし、
    基端部から先端部にかけて延びる、母材よりも気密性の高い材料よりなる配管と、
    これを長手方向に沿って左右からその側面によって挟み込む一対の中間部材と、
    前記配管および中間部材を長手方向に沿って上下から挟み込む一対の表面板と、
    中間部材の上/下面と表面板の内面とを互いに接合する接着層と、
    を一体に加熱および加圧成形(コキュア)してなるロボットハンドであって、更に、
    先端部に、一の表面板の外表面から配管に至る1個または複数個の通孔が穿設され、かつ、
    前記中間部材および表面板は、前記繊維強化樹脂材料をあらかじめ加熱および加圧成形(プレキュア)してなることを特徴とするロボットハンド。
  2. 前記接着層が前記繊維強化樹脂材料のクロスプリプレグシートである請求項1に記載のロボットハンド。
  3. 前記繊維強化樹脂材料が炭素繊維強化プラスチックであり、前記気密性の高い材料が、金属材料または硬質プラスチック材料である請求項1又は2のいずれか1項に記載のロボットハンド。
  4. 積層した繊維強化樹脂プリプレグシートを加熱および加圧成形(プレキュア)して一対の中間部材および一対の表面板を得る第一工程と、
    基端部から先端部にかけて延びる、金属製またはプラスチック製の配管を、その長手方向に沿って前記一対の中間部材の側面同士で挟み込む第二工程と、
    配管および中間部材を、前記長手方向に沿って上下から、接着層を介して、前記一対の表面板で挟み込む第三工程と、
    これらを一体に加熱および加圧成形(コキュア)する第四工程と、
    先端部に、一の表面板の外表面から配管に至る1個または複数個の通孔を穿設する第五工程と、
    からなるロボットハンドの成形方法。
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