JP4480100B2 - L−アスコルビン酸−2−リン酸の製造方法 - Google Patents

L−アスコルビン酸−2−リン酸の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、L-アスコルビン酸-2-リン酸を含む微生物培養上澄から、煩雑な工程を経ずに高純度のL-アスコルビン酸-2-リン酸又はその塩を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
L-アスコルビン酸-2-リン酸(以下、本明細書において「AsA2P」と略す場合がある。)のナトリウム塩は、アスコルビン酸の安定化誘導体として有用であり、医薬品、食品、化粧品その他各種の工業分野に使用されている。従来、AsA2P又はその塩の精製方法として、L-アスコルビン酸をリン酸化して得られるAsA2Pを含む強酸性の反応液をカラムに充填した活性炭で処理する方法(特開昭59-51293号公報);粗AsA2P又はその塩を含む水溶液を活性炭などで脱色処理し、得られる濾液に低級アルコール類などを加えて生成物を沈殿させる方法(特開昭59-106494号公報);強酸性陽イオン交換樹脂を用いる方法;5,6-イソプロピリデンアスコルビン酸とリン酸クロル化物とを反応させて得られる反応生成物を塩基性陰イオン交換樹脂を用いて精製する方法(特公昭45-4497号公報);AsA2Pを含む溶液を弱塩基性又は中塩基性陰イオン交換樹脂を用いて精製する方法(特開昭62-30791号公報);AsA2Pを含む溶液を弱酸型キレート樹脂を用いて精製する方法(特開昭62-103096号公報)などの方法が知られている。
【0003】
また、樹脂で処理したAsA2Pを含む液を水酸化ナトリウムでpH 8から10に調整し、この溶液を40〜80℃の温度で加熱・還流しながら、炭素数5以下の低級脂肪族アルコール、炭素数5以下の脂肪族飽和ケトン、及び環状エーテルから選ばれる有機溶剤を添加してAsA2Pのナトリウム塩を得る方法も知られている(特開昭59-106494号公報)。しかしながら、従来の方法は、いずれもアスコルビン酸を化学的にリン酸化することにより得られた反応液や粗AsA2Pを溶解した水溶液を精製の対象として用いており、化学反応を行った際の原料化合物や副生成物を十分に除去することができず、高純度なAsA2Pやそのナトリウム塩を取得するためには再結晶操作を繰り返す等の煩雑な操作が必要であった。
【0004】
一方、従来、微生物の培養物に含まれる酵素を用いて基質であるアスコルビン酸とピロリン酸からAsA2Pを製造する方法が知られているが(特開平1-199590号公報)、微生物培養物中に生成するAsA2Pを効率的に分離・回収して高純度のAsA2Pを製造する方法は知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】
本発明の課題は、高純度のL-アスコルビン酸-2-リン酸又はその塩、好ましくはそのナトリウム塩を、工業的規模で簡便かつ安価に製造する方法を提供することにある。本発明者らは、微生物培養物に含まれる酵素を用いてアスコルビン酸とリン酸基供与体からL-アスコルビン酸-2-リン酸を製造した後、その微生物培養物中に含まれるL-アスコルビン酸-2-リン酸を効率的に回収する方法を鋭意検討した。その結果、微生物培養上澄を弱塩基性陰イオン交換樹脂で直接処理することにより、極めて効率的に高純度のL-アスコルビン酸-2-リン酸を製造できることを見出した。また、上記の処理に続けて、溶出物に含まれるL-アスコルビン酸-2-リン酸を弱塩基性陰イオン交換樹脂に再度吸着させ、アルカリ水溶液で溶出させることにより、極めて高純度のL-アスコルビン酸-2-リン酸・アルカリ金属塩を得ることができることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
【0006】
すなわち、本発明は、L-アスコルビン酸-2-リン酸の製造方法であって、以下の工程;
微生物培養上澄に含まれるL-アスコルビン酸-2-リン酸を弱塩基性陰イオン交換樹脂に吸着させた後、塩類及び酸類からなる群から選ばれる1又は2以上の物質を含む溶離液で該L-アスコルビン酸-2-リン酸を溶出する工程
を含む方法を提供するものである。L-アスコルビン酸-2-リン酸を含む微生物培養上澄としては、スフィンゴモナス・トレペリVCP-1(ATCC12417)の培養濾液を用いることが好ましい。
【0007】
また、本発明により、L-アスコルビン酸-2-リン酸のアルカリ金属塩の製造方法であって、以下の工程:
(a)微生物培養上澄に含まれるL-アスコルビン酸-2-リン酸を弱塩基性陰イオン交換樹脂に吸着させた後、塩類及び酸類からなる群から選ばれる1又は2以上の物質を含む溶離液で該L-アスコルビン酸-2-リン酸を溶出する工程;及び
(b)工程(a)で得られた溶出液に含まれるL-アスコルビン酸-2-リン酸をさらに弱塩基性イオン交換樹脂に吸着させ、1又は2以上のアルカリ類を含む溶離液でL-アスコルビン酸-2-リン酸のアルカリ金属塩を溶出する工程を含む方法が提供される。L-アスコルビン酸-2-リン酸を含む微生物培養上澄としては、スフィンゴモナス・トレペリVCP-1(ATCC12417)の培養濾液を用いることが好ましく、アルカリ金属塩としてはナトリウム塩が好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
L-アスコルビン酸-2-リン酸を含む微生物培養上澄は、アスコルビン酸及びリン酸基供与体を基質としてL-アスコルビン酸-2-リン酸を生産できる酵素の生産能を有する微生物を栄養培地で培養して培養液中に上記酵素を生産させた後、アスコルビン酸及びリン酸基供与体を培養液中に加えて転換反応を行い、菌体を除去することによって得られる。上記酵素の生産能を有する微生物は特に限定されないが、例えば、特開平1−199590号公報に記載された微生物等が挙げられ、具体的には、クレブシエラ属、セルロモナス属、アルカリゲネス属、エアロモナス属、ブレビバクテリウム属、シュードモナス属、スフィンゴモナス属等に属するアスコルビン酸とリン酸基供与体からL−アスコルビン酸−2−リン酸を生産できる酵素の生産能を有する微生物があげられ、さらに具体的には、クレブシエラ・オキシトーカ(Klebsiella oxytoca)(ATCC8724)、セルロモナス・カルテ(Cellulomonas cartae)(ATCC21681)、アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)(ATCC17697)、エアロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)(ATCC11163)、ブレビバクテリウム・リチカム(Brevibacterium lyticum)(ATCC15921)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)(ATCC13826)、シュードモナス・リボフラビナ(Pseudomonas riboflavina)(ATCC9526)、シュードモナス・マルトフィリア(Pseudomonas maltophilia)(ATCC17806)、スフィンゴモナス・トレペリ(Sphingomonas trueperi)VCP-1(ATCC12417)等が挙げられるが、中でもスフィンゴモナス・トレペリ(Sphingomonas trueperi)VCP-1(ATCC12417)が好ましい。培養に用いる栄養培地としては、上記微生物の培養に通常用いられている培地、例えば、ポリペプトン、肉エキス、酵母エキスおよび塩化ナトリウムを組み合わせてpH 7.2に調整した培地等を使用することができる。
リン酸基供与体としては、パラニトロフェニルホスフェート、アセチルリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸またはポリリン酸等が挙げられ、中でも、ピロリン酸が好ましい。
【0009】
培養方法は、培養物中に上記酵素が生産されるものであれば特に限定されないが、例えば、液体培養、特に深部攪拌培養法が適している。培養温度は好ましくは25〜40℃、より好ましくは28〜38℃、pHは好ましくは4〜10、より好ましくは4〜8の中性付近で培養することが望ましい。また、前記の微生物は、特開平1−199590号公報記載の方法等により培養をしてもよい。上記の培養により、アスコルビン酸及びリン酸基供与体を基質としてL-アスコルビン酸-2-リン酸を生産できる酵素が培養液中に蓄積されるので、続いてアスコルビン酸及びリン酸基供与体を培養液中に加えて転換反応を行い、L-アスコルビン酸-2-リン酸を含む微生物培養液を得ることができる。上記転換反応は好ましくは30℃〜50℃、より好ましくは35℃〜45℃で、pHを好ましくは3〜8、より好ましくは4〜7として行うことができる。
【0010】
培養液中のL-アスコルビン酸-2-リン酸量が最大付近となったところで転換反応を停止し、本発明の方法に用いる微生物培養上澄を得ることができる。培養液中のL-アスコルビン酸-2-リン酸の濃度は25 g/L以上が好ましく、50 g/L以上が特に好ましい。また、培養液は、必要に応じて、濃縮、界面活性剤および/または有機溶剤の添加、溶菌酵素処理等の処理をされていてもよい。この場合の使用可能な界面活性剤、有機溶剤の種類および界面活性剤、有機溶剤の使用時の濃度は、特開平1−199590号公報記載の方法等に準じて設定することができる。微生物培養上澄は、培養液またはその処理物から濾過、遠心分離、膜分離等の手段、好ましくは濾過によって菌体を分離することにより得ることができる。菌体の分離前に、微生物培養液に塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等の酸、好ましくは塩酸を添加してpHを 3〜4に調整しておくことが好ましい。濾過または遠心分離等により菌体を分離する場合には、例えば、ヌッチェ、フィルタープレス、ラバル型遠心分離機等を用いることができる。
【0011】
弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いた上記微生物培養上澄の処理は、得られた微生物培養上澄に含まれるL-アスコルビン酸-2-リン酸を弱塩基性陰イオン交換樹脂に吸着させ、塩類及び酸類からなる群から選ばれる1又は2以上の物質を含む溶離液で溶出させることにより行われる。処理手段は特に限定されないが、通常は、弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラムに上記微生物培養上澄を通塔して樹脂にL-アスコルビン酸-2-リン酸を吸着させ、必要に応じてカラムの洗浄を行った後、溶離液を通塔してL-アスコルビン酸-2-リン酸を含む分画を溶出させればよい。
【0012】
弱塩基性陰イオン交換樹脂としては、例えば、官能基として三級アミン等をもつものが好適であり、具体的には、ロームアンドハース社製IRA93/94, 47, 60, 68;ピュロライト・インターナショナル社製A-100, 103, 104, 105, 110, 830, 840;三菱化学株式会社製WA-30, 20, 21, 10, 11;ダウケミカル社製MWA-1, 66;バイエル社製MP-64, 62;住友化学株式会社製デュオライト A-7等を挙げることができる。これらのうち、三菱化学株式会社製WA-30, 20, 21, 10, 11が好ましく、さらにはWA-10がより好ましく使用される。弱塩基性陰イオン交換樹脂の使用量は特に限定されないが、通常は、交換容量を基準としてL-アスコルビン酸-2-リン酸の1倍当量以上を用いることが好ましく、1.5〜15倍がより好ましい。
【0013】
弱塩基性陰イオン交換樹脂に吸着されたL-アスコルビン酸-2-リン酸は、塩類及び酸類からなる群から選ばれる1又は2以上の物質を含む溶離液を用いて溶出することができる。溶離液に含まれる上記物質の濃度は特に限定されないが、好ましくは0.01〜0.1 N程度であり、より好ましくは0.03〜0.07 N程度である。塩類としては、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム等を挙げることができ、塩化ナトリウムが好ましい。酸類としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等を挙げることができ、塩酸が好ましい。溶出操作に先立ってL-アスコルビン酸-2-リン酸を吸着した弱塩基性陰イオン交換樹脂を洗浄しておくことが好ましいが、通常は水洗により培養物に含まれる無機塩類や培地成分を除去することが望ましい。上記のようにして得られたL-アスコルビン酸-2-リン酸を含む分画を常圧又は減圧で濃縮し、濃縮物から晶出させるなどの通常の手段でL-アスコルビン酸-2-リン酸を単離することができる。
【0014】
前記操作により得られたL-アスコルビン酸-2-リン酸を含む溶出液をそのまま、あるいは必要に応じて適宜濃縮した後に、弱塩基性陰イオン交換樹脂カラムに通塔し、該樹脂にL-アスコルビン酸-2-リン酸を吸着させる。このようにして該樹脂に吸着されたL-アスコルビン酸-2-リン酸を溶離液としてアルカリ水溶液を用いて溶出させることにより、L-アスコルビン酸-2-リン酸のアルカリ金属塩、例えばリチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、好ましくはナトリウム塩を得ることができる。弱塩基性陰イオン交換樹脂としてはすでに処理に用いた弱塩基性陰イオン交換樹脂と同一のものを用いてもよいが、それとは異なる種類のものを用いてもよい。例えば、ピュロライト・インターナショナル社製A-100, 103, 104, 105, 110, 830, 840又は住友化学社製デュオライト A-7が好ましく、さらにはピュロライト・インターナショナル社製A-100がより好ましく使用される。
【0015】
第二工程として行う弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いた処理では、L-アスコルビン酸-2-リン酸を吸着した弱塩基性陰イオン交換樹脂を希薄なアルカリ水溶液で洗浄し、その後に溶離液としてアルカリ水溶液を用いてL-アスコルビン酸-2-リン酸のアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩を溶出させることが好ましい。洗浄に用いる希薄なアルカリ水溶液の濃度は、好ましくは0.01〜0.1 N程度、より好ましくは0.03〜0.07 N程度であり、溶離液として用いるアルカリ水溶液の濃度は、好ましくは0.1〜5 N程度、より好ましくは1 N程度である。アルカリ類としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等を挙げることができるが、ナトリウムを含むアルカリを用いることが好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。弱塩基性陰イオン交換樹脂の使用量は、1回目の弱塩基性陰イオン交換樹脂による処理工程の場合と同様である。この第二工程を行うことによって、アスコルビン酸、リン酸、ピロリン酸等の弱陰イオン性物質を効果的に除去し、高純度のL-アスコルビン酸-2-リン酸のアルカリ金属塩を得ることができる。
【0016】
第二工程で得られた溶出液に塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等の酸、好ましくは塩酸を添加し、好ましくはpH 8〜10、より好ましくはpH 9〜9.5、さらに好ましくはpH 9.5に調整した後、必要に応じて濃縮を行うことにより、L-アスコルビン酸-2-リン酸のアルカリ金属塩を単離することができる。濃縮は常圧又は減圧で行うことができるが、濃縮を減圧で行う場合には、好ましくは700〜760 mmHg、より好ましくは720〜760 mmHgの範囲の減圧度として、好ましくは30〜80℃、より好ましくは40〜50℃で濃縮を行うことができる。濃縮はL-アスコルビン酸-2-リン酸のアルカリ金属塩の塩濃度として、好ましくは300 g/L以下、より好ましくは80〜300 g/L、さらに好ましくは100〜150 g/L程度まで行い、その後、濃縮された精製液に有機溶媒を添加してアルカリ金属塩の結晶を析出させることができる。添加する有機溶媒は水と混ざり合い、上記の塩の溶解度を低減できる有機溶媒であれば特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、アセトン等を用いることができ、メタノールがより好ましい。析出したアルカリ金属塩は遠心分離、濾取、乾燥等の通常の方法により単離することができる。また、得られたアルカリ金属塩をさらに再結晶等の通常の精製方法に付して、さらに高純度の目的物を製造することができる。
また、前記の2回の弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いた工程の条件を逆にすることにより、L-アスコルビン酸-2-リン酸の精製物を得ることも可能である。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。以下の実施例中、L-アスコルビン酸-2-リン酸を「AsA2P」、そのナトリウム塩を「AsA2PNa塩」と略す。
【0018】
実施例1
参考例で得られた培養濾液を弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラム(12.5 L容、三菱化学社製WA-10)に流速SV 1.0[合成吸着剤(g)当たりの1時間の溶出重量(g)]で通塔させた後、37.5 Lの水で洗浄した。次いで、0.03 Mの塩化ナトリウムを含む0.05 Nの塩酸で溶出を行った。得られたAsA2Pの溶出液112.5 Lを連続して弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラム(12.5 L容、ピュロライト・インターナショナル社製A-100)に流速SV1.0で通塔させた。62.5 Lの0.05 Nの水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、1 Nの水酸化ナトリウム水溶液で溶出し25 Lの溶出液を得た。得られたカラム溶出液に濃塩酸を加え、pH 9.5とした後に5.4 Lまで濃縮した。濃縮液を60℃に保ち、2倍量のメタノールを徐々に添加した。20℃で2時間放置後、遠心分離により410 gのAsA2PNa塩の結晶(純度96%)を得た。このAsA2PNa塩の結晶はさらに通常の再結晶により容易に純度を向上させることができ、381 gのAsA2PNa塩の結晶(純度99%)を得た。
【0019】
実施例2
参考例で得られた培養濾液を弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラム(12.5 L容、ピュロライト・インターナショナル社製A-100)に流速SV 1.0で通塔させた後、37.5 Lの水で洗浄した。次いで、0.03 Mの塩化ナトリウムを含む0.05 Nの塩酸で溶出を行った。得られたAsA2Pの溶出液125 Lを連続して弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラム(12.5 L容、住友化学社製デュオライト A-7)に流速SV 1.0で通塔させた。62.5 Lの0.05 Nの水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、1 Nの水酸化ナトリウム水溶液で溶出し25 Lの溶出液を得た。得られたカラム溶出液に濃塩酸を加え、pH 9.5とした後に5.4 Lまで濃縮した。濃縮液を60℃に保ち、2倍量のメタノールを徐々に添加した。20℃で2時間放置後、遠心分離により410 gのAsA2PNa塩の結晶(純度95%)を得た。このAsA2PNa塩の結晶はさらに通常の再結晶により容易に純度を向上させることができ、381 gのAsA2PNa塩の結晶(純度99%)を得た。
【0020】
実施例3
参考例で得られた培養濾液を弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラム(12.5 L容、三菱化学社製WA-10)に流速SV 1.0で通塔させた後、37.5 Lの水で洗浄した。次いで、0.03 Mの塩化アンモニウムを含む0.05 Nの塩酸で溶出を行った。得られたAsA2Pの溶出液137.5 Lを連続して弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラム(12.5 L容、ピュロライト・インターナショナル社製A-100)に流速SV 1.0で通塔させた。62.5 Lの0.05 Nの水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、1 Nの水酸化ナトリウム水溶液で溶出し25 Lの溶出液を得た。得られたカラム溶出液に濃塩酸を加え、pH 9.5とした後に5.4Lまで濃縮した。濃縮液を60℃に保ち、2倍量のメタノールを徐々に添加した。20℃で2時間放置後、遠心分離により410 gのAsA2PNa塩の結晶(純度95%)を得た。このAsA2PNa塩の結晶はさらに通常の再結晶により容易に純度を向上させることができ、370 gのAsA2PNa塩の結晶(純度99%)を得た。
【0021】
実施例4
参考例で得られた培養濾液を弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラム(12.5 L容、三菱化学社製WA-30)に流速SV 1.0で通塔させた後、37.5 Lの水で洗浄した。次いで、0.03 Mの塩化ナトリウムを含む0.05 Nの塩酸で溶出を行った。得られたAsA2Pの溶出液125 Lを連続して弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラム(12.5 L容、ピュロライト・インターナショナル社製A-100)に流速SV 1.0で通塔させた。62.5 Lの0.05 Nの水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、1 Nの水酸化ナトリウム水溶液で溶出し25 Lの溶出液を得た。得られたカラム溶出液に濃塩酸を加え、pH 9.5とした後に5.4 Lまで濃縮した。濃縮液を60℃に保ち、2倍量のメタノールを徐々に添加した。20℃で2時間放置後、遠心分離により400 gのAsA2PNa塩の結晶(純度93%)を得た。このAsA2PNa塩の結晶はさらに通常の再結晶により容易に純度を向上させることができ、364 gのAsA2PNa塩の結晶(純度99%)を得た。
【0022】
実施例5
参考例で得られた培養濾液を弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラム(12.5 L容、三菱化学社製WA-10)に流速SV 1.0で通塔させた後、37.5 Lの水で洗浄した。次いで、0.03 Mの塩化ナトリウムを含む0.05 Nの硫酸で溶出を行った。得られたAsA2Pの溶出液150.0 Lを連続して弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラム(12.5 L容、ピュロライト・インターナショナル社製A-100)に流速SV 1.0で通塔させた。62.5 Lの0.05 Nの水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、1 Nの水酸化ナトリウム水溶液で溶出し25 Lの溶出液を得た。得られたカラム溶出液に濃塩酸を加え、pH 9.5とした後に5.4 Lまで濃縮した。濃縮液を60℃に保ち、2倍量のメタノールを徐々に添加した。20℃で2時間放置後、遠心分離により400 gのAsA2PNa塩の結晶(純度95%)を得た。このAsA2PNa塩の結晶はさらに通常の再結晶により容易に純度を向上させることができ、376 gのAsA2PNa塩の結晶(純度99%)を得た。
【0023】
実施例6
参考例で得られた培養濾液を弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラム(12.5 L容、三菱化学社製WA-10)に流速SV 1.0で通塔させた後、37.5 Lの水で洗浄した。次いで、0.03 Mの硫酸アンモニウムを含む0.05 Nの塩酸で溶出を行った。得られたAsA2Pの溶出液143.8 Lを連続して弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラム(12.5 L容、ピュロライト・インターナショナル社製A-100)に流速SV 1.0で通塔させた。62.5 Lの0.05 Nの水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、1 Nの水酸化ナトリウム水溶液で溶出し25 Lの溶出液を得た。得られたカラム溶出液に濃塩酸を加え、pH 9.5とした後に5.4 Lまで濃縮した。濃縮液を60℃に保ち、2倍量のメタノールを徐々に添加した。20℃で2時間放置後、遠心分離により405 gのAsA2PNa塩の結晶(純度95%)を得た。このAsA2PNa塩の結晶はさらに通常の再結晶により容易に純度を向上させることができ、380 gのAsA2PNa塩の結晶(純度99%)を得た。
【0024】
実施例7
参考例で得られた培養濾液を弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラム(12.5 L容、三菱化学社製WA-10)に流速SV 1.0で通塔させた後、37.5 Lの水で洗浄した。次いで、0.03 Mの酢酸アンモニウムを含む0.05 Nの塩酸で溶出を行った。得られたAsA2Pの溶出液150 Lを連続して弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラム(12.5 L容、ピュロライト・インターナショナル社製A-100)に流速SV 1.0で通塔させた。62.5 Lの0.05 Nの水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、1 Nの水酸化ナトリウム水溶液で溶出し25 Lの溶出液を得た。得られたカラム溶出液に濃塩酸を加え、pH 9.5とした後に5.4 Lまで濃縮した。濃縮液を60℃に保ち、2倍量のメタノールを徐々に添加した。20℃で2時間放置後、遠心分離により400 gのAsA2PNa塩の結晶(純度95%)を得た。このAsA2PNa塩の結晶はさらに通常の再結晶により容易に純度を向上させることができ、376 gのAsA2PNa塩の結晶(純度99%)を得た。
【0025】
参考例
種菌としてスフィンゴモナス・トレペリ(Sphingomonas trueperi) VCP-1 (ATCC12417)を用いた。該菌株を2 L容エルレンマイヤーフラスコ中の種培地(グルコース10 g/L、ポリペプトン10 g/L、肉エキス7 g/L、酵母エキス5 g/L、塩化ナトリウム3 g/L、殺菌前にpH 7.2に調整)300 mLに植菌し、28℃で、24時間振とう(220 rpm)培養した。この種培養液4.5 mLを30 L容ステンレス製ジャーファーメンター中の種培地(グルコース10 g/L、ポリペプトン10 g/L、肉エキス7 g/L、酵母エキス5 g/L、塩化ナトリウム3 g/L、殺菌前にpH 7.2に調整)15 Lに植菌し、30℃で20時間通気攪拌培養(回転数500 rpm、通気量15 L/分)を行った。
【0026】
この種培養液1.3 Lを30 L容ステンレス製ジャーファーメンター中の培地(グルコース70 g/L、ポリペプトン10 g/L、肉エキス7 g/L、酵母エキス5 g/L、塩化ナトリウム3 g/L、殺菌前にpH 7.2に調整)16 Lに植菌し、30℃で25時間通気攪拌培養(回転数500 rpm、通気量16 L/分)を行った。得られた培養液15 Lにナイミーン34.5 gを加え、40℃で10分間無通気攪拌(200 rpm)を行った。その後、この培養液に基質としてアスコルビン酸2015 g、ピロリン酸2480 g、ポリリン酸156 mLを精製水2.5 Lに溶解して加え、培養液のpHを4.3に調整した後、40℃で転換反応を行った。該培養液10 Lを濃塩酸にてpH 3に調整後、ヌッチェで濾過して微生物菌体を取り除き、微生物培養上澄を培養濾液として得た。培養濾液10 Lには490 gのAsA2Pが含まれていた。
【0027】
【発明の効果】
本発明により、L-アスコルビン酸-2-リン酸又はそのアルカリ金属塩を簡便かつ安価に、しかも高い精製効率で製造することができる。本発明の方法は再結晶操作を繰り返す等の煩雑な操作を必要としないことから、工業的規模の製造に適している。

Claims (3)

  1. L−アスコルビン酸−2−リン酸のアルカリ金属塩の製造法であって、以下の工程:
    (a)微生物培養上澄に含まれるL−アスコルビン酸−2−リン酸を弱塩基性陰イオン交換樹脂に吸着させた後、塩類及び酸類からなる群から選ばれる1又は2以上の物質を含む溶離液で該L−アスコルビン酸−2−リン酸を溶出する工程;及び
    (b)工程(a)で得られた溶出液に含まれるL−アスコルビン酸−2−リン酸をさらに弱塩基性陰イオン交換樹脂に吸着させ、1又は2以上のアルカリ類を含む溶離液でL−アスコルビン酸−2−リン酸のアルカリ金属塩を溶出する工程
    を含む方法。
  2. アルカリ金属塩がナトリウム塩である請求項に記載の方法。
  3. 微生物培養上澄がスフィンゴモナス・トレペリVCP-1(ATCC12417)の培養濾液である請求項1または2に記載の方法。
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