《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図8に基づいて説明する。
図1には、本発明の駆動方法が適用される、第1の実施形態の露光装置100の概略構成が示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(スキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))である。この露光装置100では、後述するように液浸露光が行われる。
この露光装置100は、光源1及び照明ユニット10を含み、照明光(露光光)ILによりレチクルRを照明する照明系、マスクとしてのレチクルRを保持するマスクステージとしてのレチクルステージRST、投影ユニットPU、物体としてのウエハWが載置されるウエハステージWST、前記レチクルステージRST及び前記投影ユニットPUなどが搭載されたボディBD、及びこれらの制御系等を備えている。
前記光源1としては、ここでは、一例として出力波長193nmのArFエキシマレーザ光源が用いられているものとする。この光源1は、ビームマッチングユニットと呼ばれる光軸調整用の光学系を一部に含む送光光学系(ビームライン)2を介して照明ユニット10を構成する照明系ハウジング10aの一端に接続されている。光源1は、実際には、照明ユニット10、投影ユニットPU及びボディBD等を含む露光装置本体が設置されるクリーンルームとは別のクリーン度の低いサービスルーム、あるいはクリーンルーム床下のユーティリティスペースなどに設置されている。
前記照明ユニット10は、内部を外部から隔離する照明系ハウジング10aと、その内部に収納された照明光学系とを備えている。照明光学系は、例えば特開2001−313250号公報及びこれに対応する米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、ビームスプリッタ、リレーレンズ、可変NDフィルタ、レチクルブラインド等(いずれも不図示)を含んで構成されている。この他、例えば特開平6−349701号公報及びこれに対応する米国特許第5,534,970号などに開示されるような照明光学系と同様に照明光学系を構成しても良い。
この照明光学系では、回路パターン等が描かれたレチクルR上のレチクルブラインドで規定されたスリット状の照明領域を照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、オプティカルインテグレータとしては、フライアイレンズ、ロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)あるいは回折光学素子などを用いることができる。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令が許す限りにおいて、上記各公開公報及びこれらに対応する米国特許又は米国特許出願公開明細書における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
前記レチクルステージRSTは、後述する第2コラム34の天板36の上方に設けられたレチクルベースRB上に、その底面に設けられた不図示のエアベアリングなどによって例えば数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されている。このレチクルステージRST上には、レチクルRが、例えば真空吸着(又は静電吸着)により固定されている。レチクルステージRSTは、ここでは、リニアモータ等を含むレチクルステージ駆動部12により、後述する投影光学系PLの光軸AXに垂直なXY平面内で2次元的に(X軸方向、Y軸方向及びXY平面に直交するZ軸回りの回転方向(θz方向)に)微少駆動可能であるとともに、レチクルベースRB上をY軸方向に指定された走査速度で駆動可能となっている。
ここで、実際には、レチクルステージRSTは、リニアモータによりレチクルベースRB上をY軸方向に所定ストローク範囲で駆動可能なレチクル粗動ステージと、該レチクル粗動ステージに対して少なくとも3つのボイスコイルモータなどのアクチュエータによりX軸方向、Y軸方向及びθz方向に微小駆動可能なレチクル微動ステージとを含んで構成されるが、図1では、レチクルステージRSTが単一のステージとして示されている。従って、以下の説明においても、レチクルステージRSTはレチクルステージ駆動部12により前述の如くX軸方向、Y軸方向及びθz方向に微少駆動可能であるとともに、Y軸方向に走査駆動が可能な単一のステージであるものとして説明する。
レチクルステージRSTは、レチクルRの全面が少なくとも投影光学系PLの光軸AXを横切ることができるだけのY軸方向の移動ストロークを有している。本実施形態の場合、前述のリニアモータの可動子はレチクルステージRSTのX軸方向の一側と他側(図1における紙面左側と右側)の面にそれぞれ取り付けられ、これらの可動子にそれぞれ対応する固定子は、ボディBDとは別に設けられた不図示の支持部材によってそれぞれ支持されている。このため、レチクルステージRSTの駆動の際にリニアモータの固定子に作用する反力は、それらの支持部材を介してクリーンルームの床面に伝達される(逃がされる)ようになっている。なお、レチクルステージ駆動部12は、前述の如く、リニアモータ、ボイスコイルモータなどのアクチュエータを含んで構成されるが、図1では図示の便宜上から単なるブロックとして示されている。
なお、本実施形態ではボディBDとは別に設けられた支持部材を介して反力を逃がすリアクションフレーム構造の反力キャンセル機構を採用するものとしたが、レチクルステージRSTの移動時にその反力を相殺するカウンターマスを有する、運動量保存則を利用したカウンターマス構造の反力キャンセル機構を採用しても構わない。
レチクルステージRSTのステージ移動面内の位置は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)16によって、移動鏡15を介して、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。この場合、投影ユニットPUを構成する鏡筒40の側面に固定された固定鏡14を基準として位置計測が行われる。ここで、実際には、レチクルステージRST上にはY軸方向に直交する反射面を有する移動鏡とX軸方向に直交する反射面を有する移動鏡とが設けられ、これらの移動鏡に対応してレチクルY干渉計とレチクルX干渉計とが設けられ、更に、これに対応して、X方向位置計測用の固定鏡と、Y方向位置計測用の固定鏡が設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡15、レチクル干渉計16、固定鏡14として示されている。なお、例えば、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡15の反射面に相当)を形成しても良い。また、レチクルステージRSTの走査方向(本実施形態ではY軸方向)の位置検出に用いられるX軸方向に伸びた反射面の代わりに、少なくとも1つのコーナーキューブ型ミラー(例えばレトロリフレクタ)を用いても良い。ここで、レチクルY干渉計とレチクルX干渉計の一方、例えばレチクルY干渉計は、測長軸を2軸有する2軸干渉計であり、このレチクルY干渉計の計測値に基づきレチクルステージRSTのY位置に加え、Z軸回りの回転方向であるθz方向の回転も計測できるようになっている。
レチクル干渉計16の計測値は、主制御装置20に送られ、主制御装置20では、このレチクル干渉計16の計測値に基づいてレチクルステージRSTのX、Y、θz方向の位置を算出し、レチクルステージRSTの位置に基づいてレチクルステージ駆動部12を介してレチクルステージRSTを駆動制御する。
レチクルRの上方には、不図示ではあるが、投影光学系PLを介してレチクルR上のレチクルマークとこれに対応するウエハステージWST上の基準マーク板上の基準マークとを同時に観察するための露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)アライメント系から成る一対のレチクルアライメント検出系がX軸方向に所定距離隔てて設けられている。これらのレチクルアライメント検出系としては、例えば特開平7−176468号公報及びこれに対応する米国特許第5,646,413号などに開示されるものと同様の構成のものが用いられている。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及び対応米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
前記投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方でボディBDを構成する第1コラム32に保持されている。ここで、ボディBDの構成について説明する。
ボディBDは、クリーンルームの床面上に水平に置かれたベースBS上に設置された第1コラム32と、この第1コラム32の上面に固定された第2コラム34とを備えている。第1コラム32は、複数本、例えば3本の脚部39(但し、図1における紙面奥側の脚部は図示省略)と、これらの脚部39の上端面がその下端面にそれぞれ接続されるとともに、第1コラム32の天井を構成する鏡筒定盤38とを備えている。この鏡筒定盤38は、複数本、ここでは3本の脚部39によってほぼ水平に支持されている。
鏡筒定盤38は、そのほぼ中央部に、不図示の円形開口が形成され、この開口内に投影ユニットPUが、上方から挿入されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、該鏡筒40に保持された複数の光学素子から成る投影光学系PLとを含んで構成される。投影ユニットPUの鏡筒40には、その高さ方向の中央よりやや下方の外周部にフランジFLGが設けられ、該フランジFLGを介して投影ユニットPUが鏡筒定盤38によって支持されている。鏡筒定盤38の上面には、投影ユニットPUを取り囲む位置に、複数本、例えば3本の脚41(但し、図1における紙面奥側の脚は図示省略)の下端が固定されており、これらの脚41の上端面に前述の天板36が固定され、これらの脚41によって水平に支持されている。すなわち、天板36とこれを支持する3本の脚41とを含んで第2コラム34が構成されている。
第2コラム34の天板36には、その中央部に照明光ILの通路となる開口が形成され、この開口の外側部分の天板36上面側に、複数の防振ユニット37を介して前述したレチクルベースRBが設けられている。防振ユニット37としては、エアダンパと電磁式アクチュエータとを有し、エアダンパによって高周波の振動を絶縁し、レチクルベースRBに取り付けられた振動センサの出力に基づいて、アクチュエータを駆動することで低周波振動を制振するアクティブ・防振装置が用いられている。これらの防振ユニット37により、レチクルステージRSTの動作によってレチクルベースに生じる振動が、ボディBDに伝達するのが防止されている。
前記投影ユニットPUを構成する投影光学系PLとしては、例えばZ軸方向の共通の光軸AXを有する複数のレンズ(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられている。この投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率(例えば1/4倍又は1/5倍、又は1/8)を有する。このため、照明系からの照明光ILによってレチクルRの照明領域が照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影ユニットPU(投影光学系PL)を介してその照明領域内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上に形成される。ここで、ウエハWは、例えば半導体(シリコンなど)又はSOI(Silicon Insulator)などの円板状の基板であり、その上にレジストが塗布されている。
なお、本実施形態の露光装置100では、後述するように液浸法を適用した露光が行われるため、開口数NAが実質的に増大することに伴いレチクル側の開口が大きくなる。このため、レンズのみで構成する屈折光学系においては、ペッツヴァルの条件を満足することが困難となり、投影光学系が大型化する傾向にある。かかる投影光学系の大型化を避けるために、ミラーとレンズとを含んで構成される反射屈折系(カタディ・オプトリック系)を用いても良い。また、屈折素子(レンズ)を含まない反射系を用いても良い。
また、本実施形態の露光装置100では、液浸法を適用した露光を行うため、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子としてのレンズ(以下、「先端レンズ」という)91の近傍には、液浸装置としての液体給排ユニット132を構成する液体供給ノズル51Aと、液体回収ノズル51Bが設けられている。
前記液体供給ノズル51Aには、その一端が不図示の液体供給装置に接続された不図示の供給管の他端が接続されており、前記液体回収ノズル51Bには、その一端が不図示の液体回収装置に接続された不図示の回収管の他端が接続されている。
前記液体供給装置は、液体のタンク、加圧ポンプ、温度制御装置、並びに供給管に対する液体の供給・停止を制御するためのバルブ等を含んで構成されている。バルブとしては、例えば液体の供給・停止のみならず、流量の調整も可能となるように、流量制御弁を用いることが望ましい。前記温度制御装置は、液体タンク内の液体の温度を、露光装置本体が収納されているチャンバ(不図示)内の温度と同程度の温度に調整する。なお、液体を供給するためのタンク、加圧ポンプ、温度制御装置、バルブなどは、その全てを露光装置100で備えている必要はなく、少なくとも一部を露光装置100が設置される工場などの設備で代替することもできる。
液体回収装置は、液体のタンク及び吸引ポンプ、並びに回収管を介した液体の回収・停止を制御するためのバルブ等を含んで構成されている。バルブとしては、前述した液体供給装置側のバルブに対応して流量制御弁を用いることが望ましい。なお、液体を回収するためのタンク、吸引ポンプ、バルブなどは、その全てを露光装置100で備えている必要はなく、少なくとも一部を露光装置100が設置される工場などの設備で代替することもできる。
上記の液体としては、ここでは、ArFエキシマレーザ光(波長193nmの光)が透過する超純水(以下、特に必要な場合を除いて、単に「水」と記述する)を用いるものとする。超純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できると共に、ウエハ上のフォトレジストや光学レンズ等に対する悪影響がない利点がある。また、超純水は環境に対する悪影響がないと共に、不純物の含有量が極めて低いため、ウエハの表面及び先端レンズ91の表面を洗浄する作用も期待できる。
ArFエキシマレーザ光に対する水の屈折率nは、ほぼ1.44である。この水の中では、照明光ILの波長は、193nm×1/n=約134nmに短波長化される。
前記液体供給装置及び液体回収装置は、それぞれコントローラを具備しており、それぞれのコントローラは、主制御装置20によって制御されるようになっている。液体供給装置のコントローラは、主制御装置20からの指示に応じ、供給管に接続されたバルブを所定開度で開き、液体供給ノズル51Aを介して先端レンズ91とウエハWとの間に水を供給する。また、このとき、液体回収装置のコントローラは、主制御装置20からの指示に応じ、回収管に接続されたバルブを所定開度で開き、液体回収ノズル51Bを介して先端レンズ91とウエハWとの間から液体回収装置の内部に水を回収する。このとき、主制御装置20は、先端レンズ91とウエハWとの間に液体供給ノズル51Aから供給される水の量と、液体回収ノズル51Bを介して回収される水の量とが常に等しくなるように、液体供給装置、液体回収装置に対して指令を与える。従って、先端レンズ91とウエハWとの間に、一定量の水Lq(図1参照)が保持される。この場合、先端レンズ91とウエハWとの間に保持された水Lqは、常に入れ替わっている。
上記の説明から明らかなように、本実施形態の液浸装置132は、上記液体供給装置、液体回収装置、供給管、回収管、液体供給ノズル51A及び液体回収ノズル51B等を含んで構成された、局所液浸装置であり、ウエハWを露光する場合には、ウエハW上の一部に液浸領域が形成される。
なお、上記の説明では、その説明を簡単にするため、液体供給ノズルと液体回収ノズルとがそれぞれ1つずつ設けられているものとしたが、これに限らず、例えば、国際公開第99/49504号パンフレットに開示されるように、ノズルを多数有する構成を採用することとしても良い。要は、投影光学系PLを構成する最下端の光学部材(先端レンズ)91とウエハWとの間に液体を供給することができるのであれば、その構成はいかなるものであっても良い。例えば、国際公開第2004/053955号パンフレットに開示されている液浸機構や、欧州特許公開第1420298号公報に開示されている液浸機構も本実施形態の露光装置に適用することができる。
なお、不図示ではあるが、水Lqが保持される液浸領域の外側、例えば液体供給ノズル51A、液体回収ノズル51Bの外側に、例えば光ファイバ式の漏水センサが設置されており、主制御装置20は、この漏水センサの出力に基づいて液浸領域からの漏水発生を瞬時に検知できる構成となっている。
前記ウエハステージWSTは、投影ユニットPUの下方に水平に配置されたステージベース71の上面に、その底面に設けられたエアベアリングなどを介して非接触で浮上支持されている。このウエハステージWST上に、ウエハホルダ70を介してウエハWが真空吸着(又は静電吸着)によって保持されている。
前記ステージベース71は、ベースBS上に、複数の防振ユニット43を介して設置されている。各防振ユニット43は、前述の防振ユニット37と同様に構成されている。これらの防振ユニット43により、ウエハステージWSTの動作によってステージベース71に生じる振動が、ベースBSを介して第1コラム32に伝達するのが防止されている。このように、本実施形態では、投影光学系PL等を保持するボディBD(第1コラム32)と、ステージベース71とが振動的に分離された構成となっている。
ウエハステージWSTは、ウエハステージ駆動部24によってX軸方向及びY軸方向に所定ストロークで駆動されるとともに、Z軸方向(投影光学系PLの光軸AX方向)、θx方向(X軸回りの回転方向)、θy方向(Y軸回りの回転方向)及びθz方向(Z軸回りの回転方向)に微小駆動されるようになっている。このウエハステージ駆動部24は、例えば、ウエハステージWSTをX軸方向に駆動するXリニアモータ、ウエハステージWSTをY軸方向に駆動するYリニアモータを含み、複数のリニアモータ及びボイスコイルモータなどを含んで構成されている。このウエハステージ駆動部24を構成する各モータは、主制御装置20によって制御される。
ウエハステージWSTのXY面内の位置情報は、その上部に固定された移動鏡17に測長ビームを照射するウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)18によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。このウエハ干渉計18は、ボディBDに固定され、投影ユニットPUを構成する鏡筒40の側面に固定された固定鏡28の反射面を基準とする移動鏡17の反射面の位置情報をウエハステージWSTの位置情報として計測する。
ここで、ウエハステージWST上には、実際には、図2に示されるように、走査方向であるY軸方向に直交する反射面を有する移動鏡17Yと非走査方向であるX軸方向に直交する反射面を有する移動鏡17Xとが設けられ、これに対応してレーザ干渉計及び固定鏡も、X軸方向位置計測用とY軸方向位置計測用のものがそれぞれ設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡17、ウエハ干渉計18、固定鏡28として図示されている。なお、例えば、ウエハステージWSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡17X,17Yの反射面に相当)を形成しても良い。また、Xレーザ干渉計及びYレーザ干渉計は測長軸を複数有する多軸干渉計であり、ウエハステージWSTのX、Y位置の他、回転(ヨーイング(θz方向の回転)、ピッチング(θx方向の回転)、ローリング(θy方向の回転))も計測可能となっている。従って、以下の説明ではウエハ干渉計18によって、ウエハステージWSTのX、Y、θz、θy、θxの5自由度方向の位置が計測されるものとする。また、多軸干渉計は45°傾いてウエハステージWSTに設置される反射面を介して、投影ユニットPUが載置されるボディBDに設置される不図示の反射面にレーザビームを照射し、投影光学系PLの光軸方向(Z軸方向)に関する相対位置情報を検出するようにしても良い。
ウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)は主制御装置20に送られ、主制御装置20では前記位置情報(又は速度情報)に基づいてウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTを制御する。
なお、ウエハステージWSTをリニアモータ又は平面モータなどによりXY2次元面内で移動するXYステージと、該XYステージ上にボイスコイルモータなどを含むZ・チルト駆動機構を介して搭載されたウエハテーブルとを有する、階層構造としても良い。この場合、ウエハテーブルは、Z・チルト駆動機構によってZ軸方向、θx方向、θy方向に駆動される。この他、例えばウエハテーブルをXYステージに対して少なくともX軸及びY軸方向に微動可能とすることで、ウエハステージWSTを粗微動構造のステージとしても良い。
前記ウエハホルダ70は、図2に示されるように、ウエハWが載置される領域(中央の円形領域)の周囲部分のうち、正方形のウエハステージWST(ウエハテーブル)の一方の対角線上に位置する2つのコーナーの部分がそれぞれ突出し、他方の対角線上に位置する2つのコーナー部分が前述の円形領域より一回り大きい円の1/4の円弧状となる、特定形状の本体部70Aと、この本体部70Aにほぼ重なるようにウエハWの載置される領域の周囲に配置された4枚の補助プレート22a〜22dと、を備えている。これらの補助プレート22a〜22dの表面は、ウエハW表面とほぼ同一の高さ(両者の高さの差は、最大でも1mm程度)とされている。なお、補助プレート22a〜22dは、ウエハステージWST上に部分的に形成されているが、ウエハステージWST上を全体的に覆うように形成して、ウエハステージWSTの上面をほぼ同じ高さ(面一)にするのが望ましい。この場合、移動鏡17X、17Yの上面も補助プレートとほぼ同じ高さにしておくと良い。また、補助プレート22a〜22dの表面は、必ずしもウエハWの表面の同一の高さである必要はなく、先端レンズ91の像面側に液体Lqが良好に維持できるならば、補助プレート22a〜22dの表面とウエハWの表面とに段差があっても良い。
ここで、図2に示されるように、補助プレート22a〜22dのそれぞれとウエハWとの間には、隙間Dが存在するが、隙間Dの寸法は、0.1〜0.4程度の値となるように設定されている。また、ウエハWには、その一部にノッチ(V字状の切欠き)が存在するが、このノッチの寸法は、隙間Dより更に小さく1mm程度であるから、図示は省略されている。
また、補助プレート22aには、その一部に平面視(上から見て)矩形状の開口が形成され、その開口内に、基準マーク板FMが嵌め込まれている。基準マーク板FMはその表面が、補助プレート22aと面一(同一面)とされている。基準マーク板FMの表面には、複数対のレチクルアライメント用の第1基準マークと、各対の第1基準マークとそれぞれ組を成す複数の第2基準マーク(不図示のオフアクシス(off-axis)方式のアライメント系(オフアクシス・アライメント系)のベースライン計測用の基準マーク)等が形成されている。ここで、「組を成す」とは、一対の第1基準マークとこれと組を成す第2基準マークとの位置関係と、別の一対の第1基準マークとこれと組を成す第2基準マークとの位置関係とは、同じ関係にあることを意味する。本実施形態の場合、一対の第1基準マークのそれぞれを前述した一対のレチクルアライメント検出系でそれぞれ検出するのと同時に、不図示のオフアクシス・アライメント系で、前記一対の第1基準マークと組を成す第2基準マークを検出できるようになっている。基準マーク板FMと同様の構成の基準マーク板は、例えば特開平7−176468号公報及びこれに対応する米国特許第5,646,413号などに開示されている。
なお、図示は省略されているが、投影ユニットPUの近傍に、オフアクシス・アライメント系が設けられている。このオフアクシス・アライメント系としては、例えば、特開2001―257157号公報及びこれに対応する米国特許出願公開第2001/0023918号明細書や、特開平8−213306号公報及びこれに対応する米国特許第5,783,833号などに開示される、ウエハ上のレジストを感光させないブロードバンドな検出光束を対象マークに照射し、その対象マークからの反射光により受光面に結像された対象マークの像と不図示の指標の像とを撮像素子(CCD)等を用いて撮像し、それらの撮像信号を出力する画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系のアライメントセンサが用いられている。このオフアクシス・アライメント系の出力に基づき、基準マーク板FM上の基準マーク及びウエハ上のアライメントマークのX、Y2次元方向の位置計測を行なうことが可能である。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令が許す限りにおいて、上記各公開公報及びこれらに対応する米国特許又は米国特許出願公開明細書における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
本実施形態の露光装置100では、さらに、照射系及び受光系(いずれも不図示)を含む、例えば特開平6−283403号公報及びこれに対応する米国特許第5,448,332号等に開示されるものと同様の斜入射方式の多点焦点位置検出系が設けられている。この場合、例えば、照射系が液体供給ノズル51Aの−X側にて鏡筒定盤38下方に吊り下げ支持され、受光系が液体回収ノズル51Bの+X側にて鏡筒定盤38下方に吊り下げ支持されている。すなわち、照射系及び受光系と、投影ユニットPUとが、同一の部材(鏡筒定盤38)に取り付けられており、両者の位置関係が一定に維持されている。
照射系は、主制御装置20によってオンオフが制御される光源を有し、投影光学系PLの結像面に向けて多数のピンホール又はスリットの像を形成するための光束をウエハ表面に光軸AXに対して斜め方向から照射する。一方、ウエハ表面で反射されたそれらの光束の反射光束は、受光系内の受光素子によって受光され、電気信号(焦点ずれ信号)に変換される。この焦点ずれ信号(デフォーカス信号)は、主制御装置20に供給されている。主制御装置20は、後述する走査露光時などに、焦点ずれ信号(デフォーカス信号)、例えばSカーブ信号に基づいてウエハW表面のZ位置、θx方向の回転,θy方向回転を算出し、その算出結果にもとづいて、ウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTのZ軸方向への移動、及び2次元方向の傾斜(すなわち、θx,θy方向の回転)を制御することで、照明光ILの照射領域(前述の照明領域と共役な領域)内で投影光学系PLの結像面とウエハWの表面とを実質的に合致させるオートフォーカス(自動焦点合わせ)及びオートレベリングを実行する。なお、本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令が許す限りにおいて、上記公開公報及びこれらに対応する米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
制御系は、図1中、主制御装置20によって主に構成されている。主制御装置20は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等から成るいわゆるマイクロコンピュータ(又はワークステーション)を含んで構成され、装置全体を統括して制御する。主制御装置20には、メモリ21が併設されている。
次に、本実施形態の露光装置で行われる、複数ロット(1ロットは、例えば25枚又は50枚)のウエハに対する一連の露光工程の処理動作について、主制御装置20内のCPUの処理アルゴリズムを示す図3のフローチャートに沿って、かつ適宜他の図面を参照しつつ説明する。ここでは、同一ロット内のウエハでは、例えばレジストやコートの種類に変更がなく、かつロット毎にレチクル交換が行われるものとする。
まず、ステップ102において、不図示のウエハローダを用いて、ウエハステージWST上に、次に露光が行われる未露光のウエハWを載置するとともに、露光対象ロット内のウエハ番号を示すカウンタのカウント値nを「1」に初期化する(n←1)。
次のステップ104では、不図示のレチクルローダを用いて、レチクルステージRST上に載置されている使用済みのレチクルを、今から露光に使用されるレチクルRに交換する。なお、使用済みのレチクルがレチクルステージRST上に載置されていない場合には、次の露光に使用されるレチクルをレチクルステージRST上に単にロードする。
次のステップ106では、レチクルアライメント及びベースライン計測のサブルーチンに移行する。
このステップ106のサブルーチンでは、まず、図4のステップ152において、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを、それぞれの基準位置に移動する。ここで、レチクルステージRSTの基準位置は、照明系による照明光ILの照射領域のほぼ中心がレチクルRのほぼ中心に一致するレチクルステージRSTの位置を指す。また、ウエハステージWSTの基準位置は、上記の基準位置にあるレチクルステージRST上のレチクルRに形成された所定の一対のレチクルアライメントマークの投影光学系PLによる投影位置に上記所定の一対のレチクルアライメントマークに対応する基準マーク板FM上の一対の第1基準マークが位置する位置を指す。このステップ152では、レチクル干渉計16の計測値に基づいてレチクルステージ駆動部12を介してレチクルステージRSTを移動させるとともに、ウエハ干渉計18の計測値に基づいてウエハステージ駆動部24を介して、ウエハステージWSTを移動させる。
次のステップ154では、液体供給装置のコントローラに水の供給開始を指示するとともに、液体回収装置のコントローラに水の回収開始を指示する。これにより、液体供給装置により液体供給ノズル51Aから給水が開始され、所定時間経過後、先端レンズ91と基準マーク板FM表面との間の隙間が供給された水で満たされるようになるとともに、隙間から外に漏れ出そうとする水が液体回収ノズル51Bを介して液体回収装置に回収されるようになる。この場合、主制御装置20からの指示に基づき、レチクルアライメントが行われる間、液体供給装置、液体回収装置それぞれのコントローラにより、単位時間当たりに供給される水の流量と回収される水の流量とがほぼ同じになるように、給・排水系の各バルブの開度が調整される。従って、先端レンズ91と基準マーク板FMとの間には、一定量の水が常に保持される。また、この場合、先端レンズ91と基準マーク板FMとの間の隙間は1〜3mm程度となっているので、水はその表面張力によって先端レンズ91と基準マーク板FMとの間に保持され、投影ユニットPUの外側には殆ど漏れ出さないようになっている。
上述の如く、給水が開始されて所定時間経過後、先端レンズ91と基準マーク板FM表面との間の隙間が供給された水で満たされるようになると、ステップ156において、基準マーク板FM上の所定の一対の第1基準マークと、その所定の一対の第1基準マークに対応するレチクルR上の一対のレチクルアライメントマークとの相対位置を、前述の一対のレチクルアライメント検出系を用いて検出すると同時に、アライメント系を用いて基準マーク板FM上の第2基準マークを検出し、アライメント系の検出中心と第2基準マークとの相対位置を検出する。
次のステップ158では、ウエハステージWST及びレチクルステージRSTを、それぞれ所定距離だけY軸方向に沿って相互に逆向きにステップ移動して、基準マーク板FM上の別の一対の第1基準マークと、その第1基準マークに対応するレチクルR上の別の一対のレチクルアライメントマークとの相対位置を前述の一対のレチクルアライメント検出系を用いて検出すると同時に、アライメント系を用いて基準マーク板FM上の別の第2基準マークのアライメント系の検出中心との相対位置を検出する。さらに、引き続いて、上記と同様にして、基準マーク板FM上の更に別の一対の第1基準マークと、その第1基準マークに対応するレチクルR上の別の一対のレチクルアライメントマークとの相対位置、及び基準マーク板FM上の別の第2基準マークのアライメント系の検出中心と相対位置を更に計測しても良い。
そして、次のステップ162では、上述のようにして得られた少なくとも2対の第1基準マークと対応するレチクルアライメントマークとの相対位置の情報と、それぞれの計測時のレチクルステージRSTのXY面内の位置情報及びウエハステージWSTのXY面内の位置情報とを用いて、レチクル干渉計16の測長軸で規定されるレチクルステージ座標系とウエハ干渉計18の測長軸で規定されるウエハステージ座標系との関係を求め、不図示のRAMなどのメモリに記憶する。これにより、レチクルアライメントが終了する。後述する走査露光では、ウエハステージ座標系のY軸方向にレチクルステージRSTとウエハステージWSTとを同期走査することにより走査露光を行うが、その際には、このレチクルステージ座標系とウエハステージ座標系との関係に基づいて、レチクルステージRSTの走査が行われるようになる。
次のステップ164では、例えば所定の基準位置に両ステージRST,WSTが位置していたときに同時計測された、所定の一対の第1基準マークとこれに対応するレチクルR上の一対のレチクルアライメントマークとの相対位置、及びアライメント系の検出中心と第2基準マークとの相対位置の情報に基づいて、アライメント系のベースライン、すなわちレチクルパターンの投影中心とアライメント系の検出中心(指標中心)との距離(位置関係)を算出し、その算出結果をRAMなどのメモリに記憶する。
このようにして、レチクルアライメント及びアライメント系のベースライン計測が終了すると、ステップ166に進み、基準マーク板FM上の水を全回収する。具体的には、投影ユニットPUの直下に基準マーク板FMがあるままの状態で、液体供給装置のコントローラに給水の停止を指示する。このとき、液体回収装置による液体回収ノズル51Bを介した水の回収は続行されているので、所定時間経過後、液体回収装置によって基準マーク板FM上の水がほぼ完全に回収される。
その後、図4のサブルーチンの処理を終了し、図3のメインルーチンのステップ112に戻る。
ステップ112では、ウエハステージWST上にロードされているウエハWに対し、ウエハアライメント、例えば特開昭61−44429号公報及びこれに対応する米国特許第4,780,617号などに開示されるEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)を実行し、ウエハW上のアライメントマークを水が無い状態で、不図示のアライメント系で検出して、ウエハW上の各ショット領域の配列座標、すなわちウエハステージ座標系上における各ショット領域の中心の位置座標を算出し、不図示のRAMなどのメモリに記憶する。なお、本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及びこれらに対応する米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
なお、ウエハアライメントを行う前にウエハWを濡らしたくない場合には、例えば水Lqの接触角がウエハW表面とほぼ同じ非露光ウエハ(ダミーウエハ)などをウエハWの替わりにウエハステージWSTにロードして、レチクルアライメント及びべースライン計測(ステップ106)を行い、ステップ106の終了後に次に露光されるウエハWをウエハステージWST上に戴置するようにしても良い。このようにレチクルアライメントやベースライン計測のときに、ウエハステージWST上にウエハW(または非露光ウエハ)を戴置しておくことで、ウエハホルダ70上のウエハWが載置される領域に水が侵入するのを防止することができる。
上記のEGA(ウエハアライメント)が終了すると、次のステップ114に進み、前述したカウンタのカウント値nが1であるか否かを判断することで、露光対象のウエハWがロット先頭のウエハであるか否かを判断する。そして、この判断が肯定された場合、すなわち、ウエハWがロット先頭のウエハである場合には、ステップ116に進む。
ステップ116では、そのロットのウエハ上の複数のショット領域に対する露光を行うときと同じ目標軌道に従って、ウエハステージWSTをステップ・アンド・スキャン方式で駆動し、そのときのウエハステージWSTの第1移動情報(data1)としての移動軌跡のデータを、ウエハ干渉計18を用いて計測し、その計測データをウエハ干渉計18のサンプリングクロック間隔でメモリ21に記憶するのと並行して、前記サンプリングクロックに同期して制御パラメータのデータ(data2)として、ウエハステージWSTをX軸方向及びY軸方向へ駆動するリニアモータへ供給される電流値のプロファイルをメモリに記録し保存する。ここで、「ウエハに対する露光を行うときと同じ目標軌道に従って」とは、「ウエハステージWSTとウエハステージWST上における投影光学系(及び液浸領域)との位置関係や、ウエハステージWSTの速度又は加速度などが、露光時と同一になる条件設定をし、この条件設定に従ったウエハステージの目標軌道に基づいて」の意味である。
なお、上記のdata1、data2は、離散データであり、従って、これらdata1、data2は、表形式のデータ(テーブルデータ)として、メモリ21内に保存される。
なお、主制御装置20は、これらのdata1、data2に対して関数フィッティングを行って近似関数(補完関数)を求め、その近似関数の形式でdata1、data2をメモリ21内に保存しておいても良い。
勿論、このステップ116におけるウエハステージWSTの駆動は、上記の目標軌道に基づいて、必要な推力(時間の関数)、更にはこの推力に対応したリニアモータに対する目標電流値(時間の関数)を演算で求め、この目標電流値に基づいてウエハステージ駆動部24内部のXリニアモータ及びYリニアモータを駆動することで行われる。
また、上記のウエハステージWSTの第1移動情報(data1)は、ウエハステージWSTの移動軌跡(すなわち、位置の時間変化曲線)のデータそのものに限らず、速度の時間変化曲線、加速度の時間変化曲線など、移動軌跡のデータに変換できるものであれば如何なる種類のデータでも良い。上記の制御パラメータのデータ(data2)は、電流値のプロファイルそのものに限らず、電流値のプロファイルに変換できるデータであれば、推力のプロファイルなどのデータであっても良い。
ここで、このステップ116における動作について、さらに詳述する。前提として、ウエハWに対する実際の露光の際は、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとがそれぞれの目標走査速度まで加速される加速時間をT1、両ステージRST、WSTの同期整定時間をT2、露光時間をT3、露光終了後の等速オーバースキャン時間をT4(=T2)、減速時間をT5(=T1)とする(図5(B)参照)。
まず、主制御装置20は、上記ステップ112におけるウエハアライメントの結果及び前述のベースラインの計測結果に基づいて、ウエハ干渉計18の計測値をモニタしつつ、ウエハW上のファーストショット(第1番目のショット領域)の露光のための走査開始位置(加速開始位置)にウエハステージWSTを移動させる。次に、主制御装置20は、ウエハステージWSTのY軸方向の速度Vyの変化(目標値)を横軸を時間(t)として示す図5(B)から分かるように、目標軌道に基づいて、ウエハステージWSTのY軸方向の加速を開始し、加速開始から時間T1が経過し、ウエハステージWSTが目標走査速度に達すると、主制御装置20は、時間(T2+T3+T4)の間等速移動した後、時間T5の間減速する。以下においては、上記の一連の加速、等速、減速移動動作を、走査動作と呼ぶ。なお、図5(A)には、図5(B)の速度の時間変化(目標値)に対応するウエハステージWSTのY軸方向に関する目標軌道(位置Pyの時間変化)が示されている。
このステップ116では、主制御装置20により、図5(A)の目標軌道に基づいて、図5(B)に示される速度Vyの時間変化(目標値)が算出され、さらに、この速度Vyの時間変化に基づいて図5(C)に示される推力Fの指令値(時間の関数)が算出され、さらにこの推力の指令値に基づいて、図5(D)に示される駆動電流値I(時間の関数)の指令値が算出される。そして、主制御装置20により、この駆動電流値IがYリニアモータに与えられることで、ウエハW上のファーストショットに対する上記の走査動作が行われている。
上記の走査動作が終了すると、主制御装置20は、ウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTをX軸、Y軸方向にステップ移動して、ウエハW上のセカンドショット(第2番目のショット領域)の露光のための加速開始位置に移動する。
次に、主制御装置20は、前述と同様のウエハステージWSTの走査動作を行う。本実施形態の場合、いわゆる交互スキャン方式が採用されているため、このときのウエハステージWSTの移動方向は、ファーストショットのときとは逆向きになる。
以後も、このようにして、ウエハステージWSTの走査動作とステップ移動動作とが、第M番目(MはウエハW上の総ショット数)のショット領域に対する走査動作が終了するまで、交互に繰り返し行われる。すなわち、このようにして、目標軌道に基づいてウエハステージWSTのステップ・アンド・スキャン動作が行われる。
主制御装置20では、上記のウエハステージWSTのステップ・アンド・スキャン動作中、ウエハ干渉計18の計測値を連続的にメモリ21内に書き込む。これにより、メモリ21内には、ウエハ干渉計18のX干渉計、Y干渉計の計測値が、それらの干渉計のサンプリングクロック間隔で書き込まれることになる。また、主制御装置20は、ウエハステージ駆動部24を構成するXリニアモータ、Yリニアモータに対してそれぞれのドライバから与えられる駆動電流値を、ウエハ干渉計18のX干渉計、Y干渉計のサンプリングクロックに同期して、メモリ21に書き込む。すなわち、このようにして、ウエハステージWSTのステップ・アンド・スキャン動作中の実際のウエハステージWSTの移動軌跡のデータ(data1)、及びウエハステージWSTをX軸方向及びY軸方向へ駆動するリニアモータへ供給される電流値のプロファイル(data2)がメモリ21内に保存される。
図3に戻り、次のステップ118では、前述のステップ154と同様にして水の供給と回収とを開始し、投影光学系PLの先端レンズ91とウエハホルダ70との間(すなわち先端レンズ91とウエハ又は補助プレートとの間)に、水を供給し、保持する。本実施形態では、以後、ステップ126におけるウエハWの露光処理が終了するまでの間、液体供給装置、液体回収装置それぞれのコントローラにより、単位時間当たりに供給される水の流量と回収される水の流量とがほぼ同じになるように、給・排水系の各バルブの開度が調整される。
この一方、上記ステップ114における判断が否定された場合、すなわち露光対象のウエハWがロット内の2枚目以降のウエハである場合には、ステップ116をスキップしてステップ118に移行する。
次のステップ120では、前述したカウンタのカウント値nが1であるか否かを再び判断する。そして、ウエハWがロット先頭のウエハであり、ここでの判断が肯定された場合には、ステップ122に進む。
ステップ122では、上記ステップ116でメモリ21内に保存された、電流値のプロファイル(data2)を取り出し、この電流値のプロファイル(data2)に従う駆動電流をウエハステージ駆動部24を構成するXリニアモータ、Yリニアモータに与えて、ウエハステージWSTを液浸状態下で、ステップ116と同様に、ステップ・アンド・スキャン動作させ、その際に、上記ステップ116と同様に、ウエハ干渉計18のX干渉計、Y干渉計の計測値を、それらの干渉計のサンプリングクロック間隔でメモリ21に書き込む。このようにして、ウエハステージWSTのステップ・アンド・スキャン動作中の液浸状態下における実際のウエハステージWSTの第2移動情報(data3とする)として、ウエハステージWSTの移動軌跡のデータをメモリ21に記憶する。この移動軌跡のデータは、離散データである。従って、主制御装置20は、この移動軌跡のデータに対して関数フィッティングを行って近似関数(補完関数)を求め、その近似関数の形式のデータをdata3としてメモリ21内に保存しておいても良い。
また、ウエハステージWSTの第2移動情報(data3)は、前述した第1移動情報(data1)と同一種類のデータであれば、ウエハステージWSTの移動軌跡(すなわち、位置の時間変化曲線)のデータそのものに限らず、速度の時間変化曲線、加速度の時間変化曲線など、移動軌跡のデータに変換できる如何なる種類のデータでも良い。
次のステップ124では、上記ステップ116でメモリ21に保存した非液浸状態下でのウエハステージWSTの移動軌跡のデータ(data1)と、上記ステップ122でメモリ21に保存した液浸状態下でのウエハステージWSTの移動軌跡のデータ(data3)との差を算出し、この差に基づいて液体が存在することに起因する位置制御性の低下量(位置制御性の補正情報)を求める。この位置制御性の補正情報は、Xリニアモータ、Yリニアモータに与えられる電流値の補正量であっても良いし、その電流値の算出の基となる推力指令値の補正値であっても良いし、さらにはその推力指令値の算出の基となるウエハステージの移動情報の補正値であっても良い。ここで、移動情報の補正値とは、X軸方向、Y軸方向に関する位置の目標値、速度の目標値、加速度の目標値などの補正値が挙げられる。
なお、上記の説明では、ウエハステージWSTの走査中のみならず、ステップ移動中も上記のdata1、data2、data3を取得するものとしているが、これに限らず、ウエハステージWSTの走査中のみdata1、data2、data3を取得することとして良い。
その後、処理は、後述するステップ126に移行する。
一方、上記ステップ120の判断が否定された場合、すなわち露光対象のウエハWがロット内の2枚目以降のウエハである場合には、ステップ122、124をスキップしてステップ126に移行する。
ここで、カウント値n=1の場合に主制御装置20によって実行される、上記ステップ116、122、124の処理の一例を説明する。
例えば、ステップ116において、図5(A)の目標軌道に沿ってウエハステージWSTをY軸方向に駆動する場合を考える。
ステップ116では、図5(A)の目標軌道に基づいて、前述した手順で、図5(D)に示されるような、駆動電流値I(時間の関数)の指令値が算出され、この駆動電流値IがYリニアモータに与えられる。
その結果、ステップ116の計測結果として、図6(A)に示されるような、ウエハステージWSTの実際の移動軌跡Py=f(t)がdata1として得られ、図6(B)に示されるような電流値プロファイルI=g(t)がdata2として得られたものとする。
この場合、ステップ122では、図6(B)の電流値プロファイルI=g(t)がYリニアモータに与えられ、液浸状態下でウエハステージWSTが駆動される。その結果、図7に示されるような、ウエハステージWSTの実際の移動軌跡Py=f’(t)がdata3として得られたものとする。
この場合、ステップ124では、図8に示されるような、f(t)−f’(t)が、非液浸状態下でのウエハステージWSTの移動軌跡のデータ(data1)と、液浸状態下でのウエハステージWSTの移動軌跡のデータ(data3)との差として算出される。このf(t)−f’(t)が、液浸状態にしたことによるウエハステージWSTの位置制御性の低下量(誤差量)を示す情報そのものである。従って、ステップ124では、この差f(t)−f’(t)に基づいて、上述した位置制御性の補正情報が、演算により算出されることとなる。
図3に戻り、ステップ126では、前述の補正情報を考慮して、走査露光中のレチクルステージRST及びウエハステージWSTの少なくとも一方の位置を調整しつつ、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハWを露光する。このステップ126では、通常のスキャニング・ステッパと同様に、大略、以下のような動作が行われる。
まず、前述のウエハアライメントの結果及びベースラインの計測結果に基づいて、ウエハ干渉計18の計測値をモニタしつつ、ウエハW上のファーストショットの露光のための走査開始位置(加速開始位置)にウエハステージWSTを移動させる。
上記の加速開始位置へのウエハステージWST(ウエハW)の移動が終了すると、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとのY軸方向の相対走査のための加速を開始する。そして、加速開始から前述の時間T1が経過すると、両ステージRST、WSTがそれぞれの目標走査速度にほぼ達し、さらに時間T2が経過すると、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとが等速同期状態に達し、照明光ILによってレチクルRのパターン領域が照明され始め、走査露光が開始される。
これに先立って、光源1の発光は開始されているが、主制御装置20により、レチクルステージRSTに同期して照明ユニット10内のレチクルブラインドが駆動されているので、照明光ILがレチクルRのパターン領域外に照射されることがなく、不要な露光が防止されるようになっている。
そして、レチクルRのパターン領域の異なる領域が照明光ILで逐次照明され、上記の露光開始から時間T3が経過すると、パターン領域全面に対する照明が完了し、これにより、ウエハW上のファーストショットの走査露光が終了し、レチクルRのパターンが投影光学系PL及び水を介してウエハW上のファーストショットに縮小転写される。
ここで、上記のファーストショットの走査露光が終了した時点から時間T4の間、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとは、走査露光時と同一の速度を維持したままオーバースキャンを行った後、減速を開始し、その減速開始から時間T5が経過した時点で両ステージRST、WSTは停止する。これにより、ウエハW上のファーストショットの露光のための両ステージRST、WSTの相対移動が終了する。
ここで、主制御装置20は、先に算出した補正情報を考慮して、ウエハステージWSTの位置を調整しつつ、上記のレチクルステージRSTとウエハステージWSTとの相対移動を行っている。
また、上記の走査露光中には、ウエハW上の照明領域が投影光学系PLの結像面に極力一致した状態で露光が行われる必要があるため、前述した焦点位置検出系の出力に基づくオートフォーカス、オートレベリングが、主制御装置20によって実行される。
このようにして、ウエハW上のファーストショットに対する走査露光が終了すると、主制御装置20により、ウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTがX軸方向(及びY軸方向)にステップ移動され、ウエハW上のセカンドショット(第2番目のショット領域)の露光のための加速開始位置に移動される。このファーストショットとセカンドショットとの間の、ショット間ステッピング中は、主制御装置20は、先に算出した補正情報を考慮して、ウエハステージWSTの位置を調整しながら、ウエハステージWSTを移動させても良いし、あるいは補正情報を考慮することなく、ウエハステージを移動させても良い。
次に、主制御装置20の管理の下、ウエハW上のセカンドショットに対して前述と同様の走査露光が行われ、そのセカンドショットに対してレチクルRのパターンが投影光学系PL及び水を介して転写される。本実施形態の場合、いわゆる交互スキャン方式が採用されているため、このセカンドショットの露光の際には、レチクルステージRST及びウエハステージWSTの走査方向(移動方向)が、ファーストショットとは逆向きになる。
以後、同様にして、ウエハW上の第m番目(mは2、3、……)のショット領域の走査露光と第(m+1)番目のショット領域の露光のためのステッピング動作とが繰り返し実行され、ウエハW上の全ての露光対象ショット領域にレチクルRのパターンが順次転写される。
このようにして、ロット内の第n枚目(ここでは、第1枚目)のウエハWに対する液浸露光が終了し、ウエハW上にレチクルRのパターンが転写された複数のショット領域が形成される。
次のステップ127では、前述したステップ166と同様にして、ウエハW上の水を全回収した後、ステップ128に進み、前述したカウンタのカウント値nが、N(Nは、1ロットのウエハの総枚数)以上であるか否かを判断することで、ロット内の全てのウエハの露光が終了したか否かを判断する。そして、この判断が否定された場合には、ステップ130に進んで、カウント値nを1インクリメント(n←n+1)した後、ステップ134に進む。
ステップ134では、不図示のウエハローダを用いて、ウエハステージWST上に載置されている露光済みのウエハWを、次に露光が行われる未露光のウエハに交換する。
次にステップ112では、EGAを実行し、ウエハ上の各ショット領域の配列座標を算出し、不図示のRAMなどのメモリに記憶する。
次のステップ114では、前述したカウンタのカウント値nが1であるか否かを判断するが、n=2であるからここでの判断は否定され、ステップ118に移行する。
ステップ118では、前述のステップ154と同様にして水の供給と回収とを開始し、投影光学系PLの先端レンズ91とウエハホルダ70との間(すなわち先端レンズ91とウエハ又は補助プレートとの間)に、水を供給し、保持する。以後、ステップ126におけるウエハWの露光処理が終了するまでの間、先端レンズ91とウエハホルダ70との間に、水が保持される。
次のステップ120では、前述したカウンタのカウント値nが1であるか否かを再び判断するが、n=2であるからここでの判断は否定され、ステップ126に移行する。そして、このステップ126において、前述の補正情報を考慮して、走査露光中のレチクルステージRST及びウエハステージWSTの少なくとも一方の位置を調整しつつ、ステップ・アンド・スキャン方式でロット内の第n枚目(ここでは第2枚目)のウエハに対する露光が行われる。
次のステップ127では、ウエハW上の水を全回収した後、ステップ128に進み、前述したカウンタのカウント値nが、N以上であるか否かを判断することで、ロット内の全てのウエハの露光が終了したか否かを判断する。この場合、n=2であるから、ここでの判断は否定され、ステップ130でカウント値nを1インクリメントした後、ステップ134に以降し、以後、ステップ128の判断が肯定されるまで、ステップ134→112→114→118→120→126→127→128→130のループの処理(判断を含む)を、繰り返し行う。これにより、ロット内の第3枚目以降のウエハに対する一連の露光処理が、順次行われる。
そして、ロット内の最終のウエハに対する一連の露光処理が終了すると、ステップ128における判断が肯定され、ステップ132に移行して、処理を終了すべきか否かを判断する。ここで、そのロットの処理中に、オペレータから露光終了コマンドが入力され露光終了が指示されている場合、又は予め指定されたロット数のロットのウエハに対する処理が終了している場合など、終了すべき条件を満足する場合には、本ルーチンの一連の処理を終了する。
この一方、ステップ132で、終了すべき条件を満足しない場合には、ステップ102に戻り、ステップ102以下の処理を繰り返すことで、次のレチクルを用いて、次のロットのウエハに対する処理を、前述と同様にして行う。
以後、ステップ132の判断が肯定されるまで、次ロット以降のロットのウエハに対する処理を行う。
これまでの説明から明らかなように、本実施形態では、主制御装置20、より具体的には主にCPUとソフトウェアプログラムとによって、第1取得装置、第2取得装置、及び制御装置が実現されている。すなわち、CPUが行う、ステップ116の処理によりウエハステージWST上に液浸領域が形成されていない第1の状態で、所定の目標動作が行われるようにウエハステージを移動させ、そのときのウエハステージWSTの第1移動情報(移動軌跡、すなわち位置変化情報)をウエハ干渉計18を介して取得する第1取得装置が実現され、また、CPUが行う、ステップ122の処理によりウエハステージ上に液浸領域が形成されている第2の状態で、前記所定の目標動作が行われるように前記ステージを移動させ、そのときのウエハステージWSTの第2移動情報(移動軌跡、すなわち位置変化情報)をウエハ干渉計18を介して取得する第2取得装置が実現されている。
また、CPUが行う、ステップ124の処理により、前記第1移動情報と前記第2移動情報とに基づいて、ウエハステージ上の液浸領域の存在に起因するウエハステージの制御誤差を補正するための補正情報を作成する補正情報作成装置が実現され、CPUが行う、ステップ126の処理により、前記第1移動情報と前記第2移動情報とに基づいて、レチクルステージとウエハステージとの少なくとも一方の移動を制御する制御装置が実現されている。
以上説明したように、本実施形態の露光装置100によると、主制御装置20は、前述のステップ116における第1移動情報(data1)の取得の際にも、前述のステップ122における第2移動情報(data3)の取得の際にも、同一の制御パラメータのデータ(data2)、すなわち電流値プロファイルに基づき、同じ目標動作が行われるようウエハステージWSTを移動させる。このため、第1移動情報と第2移動情報との差は、それらの移動情報の取得が行われる第1の状態と第2の状態との差、すなわちウエハステージWST上に液浸領域が形成されていない場合の移動状態と、ウエハステージWST上に液浸領域が形成されている場合の移動状態との差をそのまま反映した情報となる。
従って、主制御装置20が、ステップ126において露光を行う際に、第1移動情報(data1)と前記第2移動情報(data3)とに基づいて、ウエハステージWSTの移動を制御することにより、ウエハステージWST上の液浸領域の有無に起因する誤差が生じないようにウエハステージWSTを制御することが可能となる。この場合、例えば露光の際のウエハステージWSTの制御は、ステップ124において第1移動情報と第2移動情報との差に基づいて算出した補正情報を考慮して行われる。
また、本実施形態の露光装置100は、レチクルRを保持するレチクルステージRSTとウエハステージWSTとをY軸方向に同期移動してレチクルRに形成されたパターンを、投影光学系PL及び水を介してウエハステージWST上のウエハに転写する。このため、主制御装置20が、第1移動情報(data1)と前記第2移動情報(data3)とに基づいて、レチクルステージRSTの移動を制御する、あるいはレチクルステージRSTとウエハステージWSTとの移動を制御することによっても、移動状態の差に起因するレチクルとウエハとの位置関係の誤差を補正することが可能となる。従って、パターンの転写精度を向上させることが可能となる。
また、液浸露光により、高解像度かつ空気中と比べて大焦点深度の露光を行うことができ、この点においても、レチクルRのパターンを精度良くウエハ上に転写することができ、例えばデバイスルールとして70〜100nm程度の微細パターンの転写を実現することができる。
なお、上記実施形態では、図3のフローチャートから明らかなように、前述したdata1、data2、data3の計測動作を、ロット先頭のウエハの露光直前毎に行う場合について説明したが、これに限らず、1ロット25枚のウエハを途中の工程で次々に分割していき、多様な製品を作る場合なども最近は多いので、前述したdata1、data2、data3の計測動作を、各ウエハの露光直前毎に行うようにしても良い。このようなことは、例えば図3のフローチャートのステップ114、120の判断ステップを省略することにより容易に実現できる。この他、例えば、ステップ114、120の判断ステップの判断内容を、(k+n)/kの余りが1であるか否かに変更することで、k枚(kは2以上の整数)に1回の割合でウエハの露光直前毎にdata1、data2、data3の計測動作を、行うようにしても良い。
なお、上記実施形態では、第1移動情報(data1)、第2移動情報(data3)として、ウエハ干渉計18の計測値に基づいて得られるXY面内方向の移動情報のみを取得する場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。すなわち、上記ステップ116、122において、前述した多点焦点位置検出系の出力を、ウエハ干渉計18の計測値の取り込みに同期して取り込み、その取り込まれた出力から算出される、Z軸方向、θx方向、及びθy方向のうちの少なくとも一方向に関するウエハステージWSTの位置、姿勢の変化に関する情報を、X軸方向、Y軸方向に関する情報の他に、前記第1移動情報、第2移動情報に含めても良い。このようにすると、ウエハステージWST上に液浸領域が存在することに起因する、Z軸方向、θx方向、及びθy方向のうちの少なくとも一方向に関する制御誤差を補正することが可能となる。この場合、特表2001−510577号公報及びこれに対応する米国特許第6,020,964号、特表2001−513267号公報及びこれに対応する米国特許第6,208,407号、あるいは特開2000−323404号公報及びこれに対応する米国特許第6,674,510号などに開示されているような干渉計を、焦点位置検出系に代わりに、あるいは焦点位置検出系とともに、用いるようにしても良い。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令が許す限りにおいて、上記各公報及び対応する米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
なお、上記実施形態では、ウエハステージWST上に液浸領域が形成されている場合の第2移動情報と、ウエハステージWST上に液浸領域が形成されていない場合の第1移動情報とを、同一頻度で取得する場合について説明したが、ウエハステージWST上に液浸領域が形成されていない場合のステージの挙動は、経時的な変化が無視できるものとすれば、変化しないものである。従って、使用が予想される複数の目標軌道のそれぞれについて、予めウエハステージの第1移動情報を取得して、メモリ21に記憶しておいても良い。この場合、露光直前には、第2移動情報のみを取得すれば良いようになるので、更に一層スループットの向上が可能である。
なお、上記実施形態では、主制御装置20、より具体的にはCPUとソフトウェアプログラムとによって、第1取得装置、第2取得装置、及び制御装置が実現されているものとしたが、これらの少なくとも一部を、別のハードウェアによって構成しても良いことは勿論である。また、上記実施形態では、主制御装置20が、ステージコントローラ、露光コントローラなどを兼ねる場合について説明したが、これらのコントローラを主制御装置20の配下に別に設けても良い。
また、上記実施形態においては、ステップ122において第2移動情報(data3)を取得するときに、ステップ116において取得された制御パラメータとしての電流値(data2)に基づいてウエハステージWSTを動作させているが、ウエハステージWSTを動作させるときに、ウエハステージ駆動部24に目標通りの電流値(制御パラメータ)が供給される場合には、ステップ122において第2移動情報を取得するときにも、ステップ116で使用した目標電流値(目標制御パラメータ)に基づいてウエハステージWSTを動作させるようにしても良い。
また、ステップ116及びステップ122において、第1移動情報及び第2移動情報を取得するときに、実際にウエハWを露光する場合と同様にしてレチクルRを動かすようにしても良い。
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を、図9に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用いるとともに、その説明を省略する。図9には、本第2の実施形態の露光装置100’の主要部の構成が示されている。
この図9に示されるように、露光装置100’は、ステージベース71上にウエハステージWST1と、ウエハステージWST2とが、それぞれの底面に設けられた不図示のエアベアリングを介して浮上支持されている。
ウエハステージWST1、WST2は、前述したウエハステージWSTと同様に構成されている。一方のウエハステージWST1は、ウエハステージ駆動部24によって前述のウエハステージWSTと同様に6自由度方向に駆動される。このウエハステージWST1上には、ウエハホルダ70を介して物体としてのウエハW1(例えば、ロット内の第1枚目(ロット先頭)のウエハ)が吸着保持されている。このウエハステージWST1のX、Y、θz、θy、θxの5自由度方向の位置は、移動鏡17を介してウエハ干渉計18によって計測されている。
他方のウエハステージWST2は、ウエハステージ駆動部24と同様の構成のウエハステージ駆動部124によって、前述のウエハステージWSTと同様に6自由度方向に駆動される。このウエハステージWST2上には、ウエハホルダ70を介して物体としてのウエハW2(例えば、ロット内の第2枚目のウエハ)が吸着保持されている。このウエハステージWST2のX、Y、θz、θy、θxの5自由度方向の位置は、移動鏡117を介してウエハ干渉計118によって計測されている。
ウエハ干渉計118の計測値は、ウエハ干渉計18と同様に、主制御装置20に供給されている。
また、ウエハステージ駆動部124は、ウエハステージ駆動部24と同様に主制御装置20によって制御されるようになっている。
また、不図示のオフアクシス・アライメント系は、投影ユニットPUを中心としてX軸、Y軸方向に45度の角度を成す方向に所定間隔を隔てて設けられている。この場合、ウエハステージWST1、WST2は、投影光学系PLによるパターンの投影領域(前述のスリット状の照明領域に共役な領域)を含むそれぞれの移動領域内で相互に独立して2次元移動可能であり、いずれもオフアクシス・アライメント系の下方にも移動できるように構成されている。
その他の部分の構成は、前述した第1の実施形態の露光装置100と同様になっている。
本第2の実施形態の露光装置100’では、ウエハステージWST2上に液浸領域が形成されてなく、かつウエハステージWST1上に液浸領域が形成されている、図9に示される状態で、主制御装置20は、露光時と同様の目標軌道に基づいて、ウエハステージ駆動部24、124をそれぞれ構成するリニアモータに同一の電流値(推力値)を与えて、両ステージWST1、WST2を駆動するとともに、前述のステップ116と同様にしてウエハステージWST2の第1移動情報(前述のdata1に相当)を干渉計118を介して計測してメモリ21に保存すると同時に、前述のステップ122と同様にしてウエハステージWST1の第2移動情報(前述のdata3に相当)を干渉計18を介して計測し、メモリ21に保存する。
そして、例えばウエハステージWST1上のウエハW1の露光を行う際には、前述したステップ126と同様に、主制御装置20は、第1移動情報と第2移動情報とに基づいて、レチクルステージRSTとウエハステージWST1との少なくとも一方の位置を調整しつつ、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW1上の複数のショット領域にレチクルRのパターンを転写する。
また、例えばウエハステージWST2上のウエハW2の露光を行う際には、前述したステップ126と同様に、主制御装置20は、第1移動情報と第2移動情報とに基づいて、レチクルステージRSTとウエハステージWST2との少なくとも一方の位置を調整しつつ、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW2上の複数のショット領域にレチクルRのパターンを転写する。
この場合において、主制御装置20は、前述したステップ124と同様にして、上記第1移動情報と第2移動情報とに基づいて、ウエハステージWST1上の前記液浸領域の存在に起因するそのウエハステージWST1の制御誤差を補正するための補正情報を作成し、その補正情報を考慮して、上記のウエハW1上の複数のショット領域にステップ・アンド・スキャン方式でレチクルRのパターンを転写する際に、レチクルステージRSTとウエハステージWST1との少なくとも一方の移動を制御しても良い。
同様に、主制御装置20は、ウエハW2上の複数のショット領域にステップ・アンド・スキャン方式でレチクルRのパターンを転写する際にも、上記の補正情報を考慮して、レチクルステージRSTとウエハステージWST2との少なくとも一方の移動を制御するようにしても良い。その理由は、次の通りである。
本第2の実施形態の場合、ウエハステージWST1、WST2は同様の構成であるので、ウエハステージWST2上に液浸領域が形成されてなく、ウエハステージWST1上に液浸領域が形成されている図9の状態で得られた、ウエハステージWST2の第1移動情報、ウエハステージWST1の第2移動情報と、ウエハステージWST1上に液浸領域が形成されてなく、ウエハステージWST2上に液浸領域が形成されている状態で得られる、ウエハステージWST1の移動情報、ウエハステージWST2の移動情報とは、リニアモータに対する推力値(駆動電流値)が同一である限り、大差がないと考えられ、従って、上記の補正情報を、後者の状態において前者の状態と同様にして使用することで、同等の結果が得られることが期待できるからである。
これまでの説明から明らかなように、本第2の実施形態では、主制御装置20によって、取得装置、補正情報作成装置及び制御装置それぞれの少なくとも一部が構成される。
以上説明した本第2の実施形態によると、前述した第1の実施形態と同等の効果を得られる他、上述したウエハステージWST1(又はウエハステージWST2)の第1移動情報、ウエハステージWST2(又はウエハステージWST1)の第2移動情報の取得のための一連の動作を、並行して行うことができるので、スループットの向上が可能となる。
また、本第2の実施形態では、例えば特開平10−214783号公報及びこれに対応する米国特許第6,341,007号などに開示される露光装置と同様に、一方のウエハステージ上のウエハに対する露光動作と、他方のウエハステージ側でのウエハ交換、ウエハアライメント動作が並行して行われることで、この点においてもスループットの向上が図られている。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及びこれに対応する米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
また、本第2の実施形態で説明した2つのウエハステージの駆動方法は、例えば特表2000−511704号公報及びこれに対応する米国特許第6,262,796号などに開示されるスイッチング方式のツインウエハステージタイプの露光装置にも好適に適用できる。
なお、上記第2の実施形態では、ウエハステージWST2上に液浸領域が形成されてない状態でのウエハステージWST2の第1移動情報(前述のdata1に相当)の取得と、ウエハステージWST1上に液浸領域が形成されている状態でのウエハステージWST1の第2移動情報の取得とを、並行して行う場合について説明したが、これに限らず、同一の目標軌道に基づいて両ステージWST1、WST2を駆動するのであれば、ウエハステージWST2上に液浸領域が形成されてない状態でのウエハステージWST2の第1移動情報の取得後に、ウエハステージWST1上に液浸領域が形成されている状態でのウエハステージWST1の第2移動情報の取得を行っても良い。かかる場合であっても、上記第2の実施形態と同様に、ウエハステージWST1(又はウエハステージWST2)上のウエハの露光を行う際に、主制御装置20が、第1移動情報と第2移動情報とに基づいて、レチクルステージRSTとウエハステージWST1(又はウエハステージWST2)の少なくとも一方の位置を調整しつつ、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハ上の複数のショット領域にレチクルRのパターンを転写することで、液浸領域の存在に起因するウエハステージの制御誤差の影響を補正した高精度なパターンの転写が可能となる。
この場合においても、主制御装置20は、上記第1移動情報と第2移動情報とに基づいて、ウエハステージ上の前記液浸領域の存在に起因するそのウエハステージの制御誤差を補正するための補正情報を作成し、その補正情報を考慮して、レチクルステージRSTとウエハステージとの少なくとも一方の移動を制御しても良い。
なお、本第2実施形態においても、ウエハステージ上に液浸領域が形成されていない場合のステージの移動情報については、使用が予想される複数の目標軌道のそれぞれについて、予め取得して、メモリ21に記憶しておき、露光直前には、ウエハステージ上に液浸領域が形成されている状態での移動情報のみを取得するようにしても良い。
なお、上記第1、第2の実施形態では、局所液浸タイプの露光装置に本発明が適用された場合について例示したが、これに限らず、本発明は、ウエハ液浸タイプであっても適用することは可能である。
なお、上記第1、第2の実施形態においては、1枚のウエハW(W1,W2)上の複数のショット領域に対する露光を行うときと同様にウエハステージWSTを移動して、第1移動情報及び第2移動情報を取得し、その情報に基づいて、ウエハステージWSTとレチクルステージRSTの少なくとも一方の位置制御を行いながら、ウエハW上の複数のショット領域を順次露光するようにしているが、例えばウエハWの1つのショット領域を露光するときと同様にウエハステージWSTを移動しながら、第1移動情報及び第2移動情報を取得し、その情報に基づいて、ウエハステージWSTとレチクルステージRSTの少なくとも一方の位置制御を行いながら、ウエハW上の複数のショット領域を順次露光するようにしても良い。
またウエハW上の一部のショット領域に関して、同様に第1移動情報と第2移動情報とを取得するとともに、各情報を平均化して、その平均化された第1及び第2移動情報に基づいて、ウエハステージWSTとレチクルステージRSTの少なくとも一方の位置制御を行いながら、ウエハW上の複数のショット領域を順次露光するようにしても良い。
また上述の第1、第2実施形態においては、ウエハWの露光時に着目してウエハステージWSTの第1移動情報と第2移動情報とを計測するようにしているが、それに限ることなく、例えばウエハステージWST上のセンサを用いて計測するときと同様にウエハステージWSTを動作させて第1移動情報と第2移動情報とを取得し、その計測を行う際に、第1移動情報と第2移動情報とに基づいてウエハステージWSTとレチクルステージRSTの少なくとも一方の位置制御を行うようにしても良い。さらに、ウエハステージWST上に水Lqが供給されていない状態で計測動作が行われる場合には、先に取得された第1移動情報と第2移動情報とに基づいて、ウエハステージWST上に水Lqが供給されていない状態で、ウエハステージWSTとレチクルステージRSTの少なくとも一方の位置制御を行うようにしても良い。
なお、露光装置がウエハを保持するステージとは別に、測定用の部材やセンサを搭載して投影光学系の像面側で移動する測定ステージを備えていても良い。この場合、測定ステージについてもウエハを保持するステージと同様に、第1移動情報と第2移動情報とを取得して、第1移動情報と第2移動情報とに基づいて測定ステージの移動を制御するようにしても良い。なお、測定ステージを備えた露光装置は、例えば特開2000−164504号及びこれに対応する米国出願第09/593,800号に開示されており、本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及びこれに対応する米国出願における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
また、上記各実施形態の露光装置の光源は、ArFエキシマレーザに限らず、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)、F2レーザ(出力波長157nm)、Ar2レーザ(出力波長126nm)、Kr2レーザ(出力波長146nm)などのパルスレーザ光源や、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの輝線を発する超高圧水銀ランプなどを用いることも可能である。また、YAGレーザの高調波発生装置などを用いることもできる。この他、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、投影光学系は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良い。
なお、上記各実施形態では、液体として超純水(水)を用いるものとしたが、本発明がこれに限定されないことは勿論である。液体としては、化学的に安定で、照明光ILの透過率が高く安全な液体、例えばフッ素系不活性液体を使用しても良い。このフッ素系不活性液体としては、例えばフロリナート(米国スリーエム社の商品名)が使用できる。このフッ素系不活性液体は冷却効果の点でも優れている。また、液体として、照明光ILに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、また、投影光学系やウエハ表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油等)を使用することもできる。また、F2レーザを光源とする場合は、フォンブリンオイルを選択すれば良い。
また、上記各実施形態で、回収された液体を再利用するようにしても良く、この場合は回収された液体から不純物を除去するフィルタを液体回収装置、又は回収管等に設けておくことが望ましい。
なお、上記各実施形態では、投影光学系PLの最も像面側の光学素子が先端レンズ91であるものとしたが、その光学素子は、レンズに限られるものではなく、投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整に用いる光学プレート(平行平面板等)であっても良いし、単なるカバーガラスであっても良い。投影光学系PLの最も像面側の光学素子(上記実施形態では先端レンズ91)は、照明光ILの照射によってレジストから発生する飛散粒子又は液体中の不純物の付着等に起因して液体(上記実施形態では水)に接触してその表面が汚れることがある。このため、その光学素子は、鏡筒40の最下部に着脱(交換)自在に固定することとし、定期的に交換することとしても良い。
このような場合、液体に接触する光学素子がレンズ91であると、その交換部品のコストが高く、かつ交換に要する時間が長くなってしまい、メンテナンスコスト(ランニングコスト)の上昇やスループットの低下を招く。そこで、液体と接触する光学素子を、例えばレンズ91よりも安価な平行平面板とするようにしても良い。
また、上述の液浸法を適用した露光装置では、投影光学系PLの先端レンズ91の射出側の光路空間を液体(純水)で満たしてウエハWを露光する構成になっているが、国際公開第2004/019128号に開示されているように、投影光学系PLの先端レンズ91の入射側の光路空間も液体(純水)で満たすようにしても良い。
また、上記各実施形態において、液体(水)を流す範囲はレチクルのパターン像の投影領域(照明光ILの照射領域)の全域を覆うように設定されていれば良く、その大きさは任意で良いが、流速、流量等を制御する上で、照射領域よりも少し大きくしてその範囲をできる限り小さくしておくことが望ましい。
また、上記各実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、本発明の適用範囲がこれに限定されないことは勿論である。すなわちステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置にも本発明は好適に適用できる。
また、投影光学系を持たないタイプの露光装置、例えば、プロキシミティ型露光装置や干渉縞をウエハ上に形成することによってウエハを露光する二光束干渉型の露光装置を使用することもできる。
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
《デバイス製造方法》
次に上記各実施形態の露光装置をリソグラフィ工程で使用するデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
図10には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図10に示されるように、まず、ステップ201(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ202(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ203(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップ204(ウエハ処理ステップ)において、ステップ201〜ステップ203で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ205(デバイス組立てステップ)において、ステップ204で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ205には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
最後に、ステップ206(検査ステップ)において、ステップ205で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
図11には、半導体デバイスにおける、上記ステップ204の詳細なフロー例が示されている。図11において、ステップ211(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ212(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ213(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ214(イオン打ち込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ211〜ステップ214それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ215(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ216(露光ステップ)において、上記各実施形態の露光装置によってマスクの回路パターン(デバイスパターン)をウエハに転写する。次に、ステップ217(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ218(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ219(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップ216)において上記各実施形態の露光装置及びその露光方法を用いて、液体を介してウエハ上にデバイスパターンが転写される。従って、高スループットかつ高精度な露光を長期に渡って実現することができ、微細パターンが形成された高集積度のマイクロデバイスの生産性(歩留まりを含む)を向上させることができる。これにより、製造されるマイクロデバイスのコストダウンなどの効果も期待できる。