JP4479110B2 - エンジン自動始動用の制御装置と制御方法 - Google Patents

エンジン自動始動用の制御装置と制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転中に所定の条件が成立した時にドライバーのキー操作によらないで自動的に運転を停止する一方、自動停止中に所定の条件が成立した時にドライバーのキー操作によらないで自動的に始動を行う所謂アイドルストップ機能を有するエンジン(内燃機関)の自動始動用の制御装置と制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンを始動する際には、エンジンを確実に始動させるために、始動直後にエンジンの発生するトルクが一時的にアイドル運転時のトルクよりも大きくなるように燃料噴射量等を制御することによって、エンジンを確実に始動させた後に、エンジントルクを徐々に低減させてアイドル運転時のトルクに近づけるのが通例である。始動時にこのような特別の制御方法をとることによって、エンジンの回転数は一時的に1000rpm以上の高さまで吹き上がった後に、エンジンストールを生じない程度に徐々に低下して、アイドル運転時の回転数(500乃至700rpm)に落ち着く。
【0003】
ところで、CO2 やNOX のような有害ガスの排出量の低減と、燃料の節約(燃費の改善)という目的において、最近は自動変速機(AT)付きの一般的な乗用自動車(AT車)のような車両においても、アイドルストップ運転を行うことが試みられているが、AT車においてアイドルストップ制御を行う場合には、エンジンの自動始動時におけるドライバーによる自動変速機のシフト操作負荷を軽減するために、走行時にドライバーが選択するシフトレンジであるドライブレンジにATが設定されている状態において、エンジンの自動始動を行う必要がある。
【0004】
ATのドライブレンジにおいては、エンジンのクランク軸が、AT内のトルクコンバータ、プラネタリーギヤ(遊星歯車機構)及び油圧クラッチと、ディファレンシャルギヤ(差動歯車機構)等を介して駆動輪の車軸と連結された状態になっている。そのため、エンジンを確実に始動させる際に発生する大きなエンジントルクによって、クリープ走行時に発生する車軸トルク以上の大きなトルクがクランク軸に作用することによって、車体に前後方向の加速度が発生して、飛び出しを伴うような所謂始動ショックが発生する。この始動ショックはドライバーに不快感を与える。
【0005】
この問題を解消するために提案された従来技術として特開平11−22520号公報に記載されたエンジン制御装置が知られている。この従来技術は、アイドルストップ運転を行う車両においてエンジンを自動的に始動する時に、手動のキー操作によってエンジンを始動する場合よりも燃料噴射量を低減させたり、点火時期を遅角させたりする所謂エンジントルクの低減制御を行うことによって、始動ショックを和らげながらエンジンを始動するものである。この従来技術によれば、AT車においてドライブレンジのままでエンジンを自動始動する際に発生する始動ショックを低く抑えることができるから、この従来技術によってエンジンの始動が常に確実に行われるのであれば、ドライバーに不快感を与える問題も解消する筈である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通常のキー操作によるエンジンの始動において、エンジンの発生するトルクが一時的にアイドル運転時のトルクよりも大きくなるように制御する理由は、そのような制御がエンジンを確実に始動させるために必要なことであるからである。エンジンを自動的に始動する場合に、ショックを軽減するという目的の下に、前述の従来技術に倣って一律に燃料噴射量を低減させたり点火時期を遅角させることによって、トルクを低減させた状態でエンジンを始動させたとすれば、それによってエンジンが発生するトルクの値が、エンジン始動時に必要な最低限のトルクを下回るような場合も起こり得るので、そのような場合にはエンジンの自動始動が失敗に終わることになる。
【0007】
通常のキー操作によるエンジンの始動のように、車両の駐車状態におけるエンジンの始動であれば、始動に失敗しても大きな安全上の問題を生じないが、アイドルストップ運転においては車両が道路を走行中であり、一時的に車両を停止した際にもエンジンの自動停止と始動を行うので、例えば、信号のある交差点において右折しようとする車両が、対向車線の直進車が通過するのを待つために交差点の中央で一時停車したような時でも、アイドルストップ機能によってエンジンが停止する。従って、目前の直進車が通過した後、次の直進車が来るとか信号が変わる時までにエンジンを自動的に始動させて右折を完了する必要があるが、このように時間的な余裕がない状況においてエンジンの自動始動が失敗に終わったとすれば、ドライバーに始動ショック以上の大きな不快感を与えるだけでなく、それが原因になって直接的に、或いは間接的に危険を招く恐れすらもある。
【0008】
従って、本発明は、ATがドライブレンジに設定されている状態においてエンジンを自動的に始動させる場合に、始動の確実性を確保した上で始動ショックを低減することができるような、エンジンの自動始動用の改良された制御装置と制御方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
アイドルストップ運転に伴うエンジンの自動始動においては、重要性の順位から言って、始動ショックを回避することよりも、むしろ始動の確実性を確保することを優先して考えるべきであり、始動ショックの回避は始動の確実性が確保された後で考えてもよい問題である。このような観点において、本発明は、前記の課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載されたエンジン自動始動用の制御装置と制御方法を提供する。
【0010】
請求項1及び4に記載されたエンジンの自動始動用の制御装置及び制御方法の発明においては、エンジンの冷却水温度が所定値よりも低い場合には、その程度に応じてトルクの低減量を少なくするという対応措置を講じている。例えば、エンジンが十分に暖機されている状態でも、ATのドライブレンジにおいてエンジンを自動的に始動させる時には、キー操作による始動時に比べてエンジントルクを40%減少させる(即ち、トルクの低減率を40%にする)という設定を行った場合に、冷却水温度が低くて70°C以下である場合には、トルクの低減率を30%から0%に変更する(抑制する)ことによって始動の確実性を確保する。
【0011】
従って、始動の確実性を確保することができないほどエンジンの冷却水温度が低い時は、トルクの低減率を零として一時的にトルクの低減制御を中止し、始動ショックの発生を許容してでも始動性を確保するのである。
【0012】
また、エンジンを始動する場合には、バッテリーからスターター(モータ)へ電力を供給することによってクランキングを開始し、数百msの時間が経過してエンジンが所定量回転した後に燃料噴射と点火を開始するのが普通であって、スターターの作動時にはバッテリーは数百Aもの大電流を流す必要がある。バッテリーは劣化すると内部抵抗が高くなって起電力(バッテリー電圧)が低下するし、バッテリーの充電量(充電残量)が減少している場合にもバッテリー電圧の降下量が大きくなるために、スターターに印加される電圧が低下する結果、そのような大電流を流すことができなくなる。このような場合にはスターターの回転数も、バッテリーが十分に充電されている時に比べて低下する。スターターが作動を開始してから数百msの間はエンジン回転数がスターターの回転数に等しいため、このような場合には、エンジン回転数が未だ十分に上昇しない状態において燃料噴射と点火を開始することになる。従って、バッテリーの充電量が少なくて起電力が低い状態は、エンジンが始動しにくい状態の1つである。
【0013】
このような状況の下において、エンジンの始動ショックを低減するためにエンジントルクを低減させる制御を行うことは、エンジンの始動性を確保することを第1に考えなければならないという観点から見て不適切である。そこで、請求項2及び5に記載された制御装置及び制御方法の発明においては、バッテリーの充電量が所定値以下である場合には自動始動時のトルクの低減率を小さくする。更に、バッテリーの充電量とも関連するが、バッテリー電圧が低下している時にも同様な問題が起きることから、同様な制御を行う。
【0014】
また、外気温度が低い時には、燃料噴射弁から吸気管内へ噴射される燃料のうちのある割合の部分が吸気管の内壁面に付着するため、直ちに気化してシリンダ内へ流入して燃焼する割合が、外気温度の高い時に比べて著しく低くなる。これもまたエンジンが始動しにくい状態の1つであって、このような状態において始動ショックを回避するためにエンジントルクの低減を図ることは不適切であると言える。従って、請求項3及び6に記載された制御装置及び制御方法の発明においては、外気温度が所定値以下の時はトルクの低減率を少なくする。
【0015】
以上の説明においては、車両の状態検出手段として、エンジンの冷却水温度の検出手段、スターターへ電力を供給するバッテリーの充電量(充電残量)検出手段、同じくバッテリー電圧の検出手段、或いは外気温度の検出手段のいずれかを設けて、それらの検出手段によって検出される単一の信号に基づいて、エンジントルクの制御手段がエンジンの自動始動時のトルクの低減率を補正制御する装置及び方法を述べているが、それらの車両の状態検出手段を2個以上設けて、それらのうちのいずれか1つの検出信号が所定値以下となった時に、エンジントルクの制御手段がトルクの低減率を補正制御するように設定してもよいし、エンジントルクの制御手段が複数個の検出手段の信号を総合勘案してトルクの低減率を決定するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明によるエンジンの自動始動用の制御装置と制御方法においては、ATのドライブレンジにおいてエンジンを自動始動させる場合に、キー操作による始動の際のトルクに比して低減したトルクを発生するように、燃料噴射量を低減させるとか、点火時期を遅角させた状態で自動的にエンジンの始動を行わせる前に、車両が置かれている状態を検出し、その検出結果から自動的に判断して始動の確実性を確保することができないと判定された時には、トルクの低減の程度を少なくするか、或いはトルクの低減を中止する。本発明において使用されるエンジントルクの制御手段は、具体的にはアイドルスピードコントロールバルブ(ISCV)や電子制御式スロットルバルブ(吸気通路に設けられて電子式制御装置によって開度が制御されるスロットルバルブ)による吸気量の制御、燃料噴射量の制御、及び点火時期の制御等の手段を含んでいる。
【0017】
所謂ポート噴射式エンジンのように燃料噴射弁によって吸気管内へ燃料を噴射する形式のエンジンを搭載している車両においては、スロットルバルブによってシリンダ内へ吸入される吸気量、即ち空気の流量が制御され、その吸気量に比例した量の燃料が燃料噴射弁から吸気ポート内へ噴射される。空気と燃料の質量比(即ち空燃比)は約15:1である。従って、スロットルバルブの開度に対応して増大する吸気量に追従するように燃料噴射量も増大して、それによってエンジンのトルクが増大するので、吸気量が多い時ほどエンジンは大きなトルクを発生する。また、吸気量を一定に維持した場合でも、燃料噴射量を徐々に減少させて行くと発生するトルクが減少する。暖機が終わっている状態(冷却水の温度が約70°C以上)であれば、空気と燃料の質量比が約15:0.6程度まで燃料噴射量を低減させても、エンジンは失火をしないで回転を続けることができる。しかし、このように希薄な混合気による運転状態では、15:1の空燃比の場合に比べてエンジントルクが30%程度減少する。
【0018】
また、点火時期を圧縮上死点からクランク角にして数度乃至数十度進角させた状態において最大のトルクが得られるので、このクランク角が最大トルク進角値となる。従って、最大トルク進角値から点火時期を遅らせば遅らせるほど、エンジントルクが低減するという傾向がある。
【0019】
エンジンにはこのような性質があるから、ATのドライブレンジにおいてエンジンを始動する際には、キー操作による始動の場合よりもアイドルスピードコントロールバルブや電子制御式スロットルバルブを閉じ側に制御したり、燃料噴射量を減量する方向に制御したり、点火時期を遅れ側へ制御することによってエンジントルクを低減させて、自動始動時のショックを低く抑えることができる。
【0020】
しかしながら、エンジントルクを低減させるといっても、アイドルストップ制御によって静止状態にあるピストンやクランク軸、冷却水ポンプ、オルタネータ(発電機)等を運動させたり回転させるためのトルクは少なくとも必要であるから、起動に必要なこのトルクの値を上回る大きさのトルクをエンジンによって発生させなければならない。もし、エンジンの発生するトルクがこのトルクの値を下回るような場合にはエンジンは失火して始動しない。アイドルストップ制御が行われる車両の場合は、前述のように交差点の中で立ち往生をして、発進することもできないという事態に陥る可能性がある。
【0021】
ポート噴射式エンジンのような吸気管噴射エンジンにおいては、冬季のように冷却水の温度が非常に低下している場合には、長時間の暖機運転を行っても冷却水温度が十分に上昇しないので、燃料噴射弁から吸気管内へ噴射される燃料のうちのかなりの部分が気化しないまま吸気管の内壁面に付着して液膜を形成する。その結果、エンジントルクが目標値に達しないというように、冷却水温度が低い場合にはエンジンの始動性が悪化する。通常のエンジンの制御方法においては、冷却水温度が低い時に吸気管の内壁面に燃料が付着することによって生じるトルクの減少量を考慮して、燃料噴射量を増量補正するように制御している。いずれにしても、このような時はエンジンの始動性が悪い状態であるから、このような状態において始動ショックの低減のためにエンジントルクを低減させる制御を実行することは、エンジンの始動性を優先的に確保するという観点から見れば不適切な制御であると言える。
【0022】
このような観点において本発明は前述のような解決手段を提案したのである。そこで、本発明の制御装置と制御方法について更に詳しく説明する。まず、図1を参照して本発明を実施するために好適なエンジン自動始動用の制御システムの構成例について説明する。図1に示すブロック1は始動性を確保するための判定手段であって、ブロック2は自動始動条件の判定手段である。また、ブロック3はエンジン自動始動時のエンジントルクの制御手段を示している。これらの手段1〜3は、全体として単一の電子式制御装置(ECU)の中に構成することができるが、必要に応じて複数個の部分に分割することも可能である。
【0023】
始動性を確保するための判定手段1には、車両の状態検出手段である温度センサのような冷却水温度の検出手段4が出力する冷却水温度信号と、バッテリー電圧検出手段5が出力するバッテリー電圧信号と、バッテリー充電量検出手段6が出力するバッテリー充電量信号と、やはり温度センサのような外気温度検出手段7が出力する外気温度信号等が入力される。判定手段1は入力されたそれらの信号の1つ以上と、ROMに設定されているマップ等に基づいて、自動始動時に始動性を確保するために必要なトルクの低減率を算出して、エンジントルクの制御手段3へ供給する。
【0024】
自動始動条件の判定手段2には、一般に自動変速機(AT)に付設されているシフト位置の検出手段8が出力するシフト位置信号と、ブレーキペダルに取り付けられたポテンショメータのようなブレーキ踏み込み量の検出手段9が出力するブレーキ踏み込み量信号が入力される。判定手段2は、それらの信号とROMに設定されているマップ等に基づいて、自動始動を行うべき条件を判定し、条件が成立した時にエンジントルクの制御手段3に向かって制御信号としての自動始動信号を送信する。この自動始動条件の判定手段2は従来のアイドルストップ機能を有する車両に搭載されているものと同様なものである。
【0025】
エンジントルクの制御手段3は、自動始動条件の判定手段2からエンジンの自動始動信号を受信した時に、判定手段1から始動性を確保し得るトルクの低減率を読み込み、始動性を確保することができるエンジントルクと、そのためのトルクの低減率を決定して、燃料噴射量や点火時期等を制御することにより、適正な低減率によるトルクの低減制御を実行するか、或いはトルクの低減制御を禁止して、できるだけ始動ショックが生じない状態で、第1義的に始動の確実性を確保することができる制御を行う。
【0026】
図2は、冷却水温度の検出手段4が検出した冷却水温度信号によって、始動性を確保するための判定手段1と自動始動条件の判定手段2及びエンジントルクの制御手段3がどのように作動するかということを具体的に例示したフローチャートである。従って、このフローチャートは判定手段1,2及び制御手段3の作動のための制御プログラムの内容を示している。このプログラムは、アイドルストップ機能を有すると共に、自動変速機(AT)等を介して車軸を回転駆動するエンジンが、ATのドライブレンジにおいて自動停止した時に、所定の短時間毎に繰り返して実行される。
【0027】
図2のステップ201において、自動始動条件の判定手段2は、ブレーキ踏み込み量の検出手段9の信号によって、ブレーキストローク(踏み込み量)が所定値以下であるか否かを判定する。NOの場合は車両停止を維持したいというドライバーの意思の表れであるため、エンジン停止の状態を維持して判定を繰り返す。YESの場合は停止している車両を発進させたいというドライバーの意思の表れであるため、ATのドライブレンジにおいてもエンジンの自動始動を行う。そのために、まずステップ202へ進んで、判定手段1が検出手段4から冷却水の温度信号を読み込み、ステップ203において冷却水温度に応じた始動時のエンジントルクの低減量(低減率)を算出して制御手段3へ入力する。制御手段3はステップ204においてスターター(モータ)を作動させて、エンジンを自動的に始動する。
【0028】
この際に制御手段3は、ステップ206として示したように、判定手段1から入力された低減量(低減率)に従ってエンジントルクの低減制御を行う。この結果、始動時のショックを低く抑えながらエンジンは確実に始動し、回転数が徐々に上昇して行く。そして、エンジン回転数が所定値以上に上昇したか否かが次のステップ207において判定される。YESの場合は始動が完了しているので、ステップ208へ進んでスターターの作動を停止させるが、NOの場合はステップ206へ戻って制御と判定を繰り返す。
【0029】
図3のフローチャートは、冷却水温度の検出手段4、バッテリー電圧検出手段5、バッテリー充電量検出手段6、外気温度検出手段7のように、車両の状態検出手段を複数個用いて、それらの検出手段が検出する信号に基づいて判定を行う制御方法を例示している。この実施例は、始動の確実性を判定する条件が1つでも不成立となった時に、エンジントルクの低減制御を中止するような制御のプログラムを示したものである。このフローチャートが示す内容は以上の説明から明らかであるから、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0030】
図4は、前述の各検出手段4,5,6,7によって検出された冷却水温度、バッテリー電圧、バッテリー充電量、外気温度のそれぞれに対して、自動始動時のエンジントルクの低減率を具体的に0%から40%へ(或いはその逆方向に)変更するための閾値を例示したものである。即ち、低減率を変更するためのそれぞれの閾値は、冷却水温度が90°C、バッテリー電圧が12V、バッテリー充電量(残量)が90%、外気温度が20°Cとしている。これらの閾値は、例えば図3に示したフローチャートにおける判定ブロックの所定値として使用し得る。従って、図4は1つのマップとして、始動性を確保するための判定手段1のROMに設定することができる。
【0031】
図5は、自動始動時におけるエンジントルクの低減率を更に細かく、低減率が0%から40%の範囲内で連続的に変化するように設定する場合に、前述の各検出手段4,5,6,7によって検出される冷却水温度、バッテリー電圧、バッテリー充電量、外気温度のそれぞれに対応する低減率を示すマップの内容を例示したものである。このマップもまた、始動性を確保するための判定手段1のROMに設定することができる。
【0032】
図6は、エンジンを自動始動する時に、始動の確実性が確保されていないにもかかわらず燃料噴射量を低減させて始動時のエンジントルクを低減させた場合に起こる現象をタイムチャートの形で示したものである。横軸は全て経過時間を示しているが、縦軸は上から順に、エンジン回転数、前後方向の加速度、キー操作による始動時よりも低減された燃料噴射量、スターターの作動信号をそれぞれ示している。
【0033】
図6から明らかなように、このように始動の確実性が乏しい状態でエンジントルクの低減制御を行った場合には、スターターが連続して作動していても、エンジンが自動的に始動することはなく、自動始動は失敗に終わる。
【0034】
図7及び図8は、本発明の作用効果を、トルクの低減を全く行わない従来技術との対比において、タイムチャートの形で例示したものである。図7は燃料噴射量を低減させることによってトルクを低減させた場合であり、図8は電子制御式スロットルバルブを用いて吸気量を減少させることによってトルクを低減させた場合である。いずれの場合も、実線は冷却水温度等が高いために始動性に問題がない状態において、トルクの低減制御を全く行わない従来技術の場合を示している。始動性に問題がない状態であるから、エンジン回転数の吹き上がりは良好であるが、トルクの低減制御を行わないので前後方向の加速度が大きくなり、それが始動ショックとしてドライバーに不快感を与える。
【0035】
図7及び図8に示す一点鎖線は本発明による場合であって、冷却水温度が低いために始動の確実性が乏しいと判断されて、自動始動時にエンジントルクの低減制御を始めから中止した例を示している。従って、前後方向の加速度が示すように始動ショックが多少生じるが、始動の確実性が比較的低い条件下であるから、トルクの低減をしなくてもエンジン回転数の吹き上がりは鈍く、そのために始動ショックも問題になるほど大きくはならない。また、トルクの低減を行わないので、始動の確実性にも問題はない。
【0036】
図7及び図8に示す破線も本発明を実施した場合であって、この場合は始動の確実性が確保された範囲内でトルクの低減制御を実行した例を示している。自動始動時にトルクの低減を行うことにより、前後方向の加速度が著しく小さくなって始動ショックの問題が解消しているにもかかわらず、エンジン回転数の吹き上がりにも問題がなく、最も良好な始動性能が得られている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するためのシステム構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の1つの実施例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の他の実施例を示すフローチャートである。
【図4】検出される信号毎に定めたトルクの低減制御の閾値の例を示す線図である。
【図5】閾値を連続的に細かく設定した例を示す線図である。
【図6】従来技術の問題を示すタイムチャートである。
【図7】従来技術に対する本発明の作用効果を示すためのタイムチャートである。
【図8】従来技術に対する本発明の作用効果を示すためのタイムチャートである。
【符号の説明】
1…始動性を確保するための判定手段
2…自動始動条件の判定手段
3…エンジントルクの制御手段
4…冷却水温度の検出手段
5…バッテリー電圧検出手段
6…バッテリー充電量検出手段
7…外気温度検出手段
8…シフト位置の検出手段
9…ブレーキ踏み込み量の検出手段
10…トルクセンサ

Claims (6)

  1. エンジンの出力を車軸へ伝達する自動変速機と、
    前記エンジンの停止中に所定の条件が成立した時に自動的に前記エンジンの始動を行うエンジン自動始動制御手段と、
    該エンジン自動始動手段によって、前記自動変速機がドライブレンジの時に自動的に前記エンジンを始動させる際に、ドライバーのキー操作による始動時に比べて前記エンジンのトルクを低減させるエンジントルク制御手段と、
    前記エンジンの冷却水の温度を検出する冷却水温検出手段とを備えていて、
    前記エンジントルク制御手段は、前記冷却水温検出手段によって検出された冷却水温が所定値以下の場合には、
    前記冷却水温が所定値より大の場合であり、かつエンジンのトルク低減制御を全く行わない場合におけるエンジン回転数より低く、前記冷却水温が所定値より大の場合であり、かつエンジンのトルク低減制御を行う場合におけるエンジン回転数より高くなるように、前記エンジンのトルクの低減を抑制するか或いは中止するように構成されていることを特徴とするエンジン自動制御装置。
  2. エンジンの出力を車軸へ伝達する自動変速機と、
    前記エンジンの停止中に所定の条件が成立した時に自動的に前記エンジンの始動を行うエンジン自動始動制御手段と、
    該エンジン自動始動手段によって、前記自動変速機がドライブレンジの時に自動的に前記エンジンを始動させる際に、ドライバーのキー操作による始動時に比べて前記エンジンのトルクを低減させるエンジントルク制御手段と、
    バッテリーの充電量或いはバッテリーの電圧を検出するバッテリー状態検出手段とを備えていて、
    前記エンジントルク制御手段は、前記バッテリー状態検出手段によって検出されたバッテリーの充電量或いはバッテリーの電圧が所定値以下である場合には、
    前記バッテリーの充電量或いは前記バッテリーの電圧が所定値より大の場合であり、かつエンジンのトルク低減制御を全く行わない場合におけるエンジン回転数より低く、前記バッテリーの充電量或いは前記バッテリーの電圧が所定値より大の場合であり、かつエンジンのトルク低減制御を行う場合におけるエンジン回転数より高くなるように、前記エンジンのトルクの低減を抑制するか或いは中止するように構成されていることを特徴とするエンジン自動制御装置。
  3. エンジンの出力を車軸へ伝達する自動変速機と、
    前記エンジンの停止中に所定の条件が成立した時に自動的に前記エンジンの始動を行うエンジン自動始動制御手段と、
    該エンジン自動始動手段によって、前記自動変速機がドライブレンジの時に自動的に前記エンジンを始動させる際に、ドライバーのキー操作による始動時に比べて前記エンジンのトルクを低減させるエンジントルク制御手段と、
    車両の外気温度を検出する外気温度検出手段とを備えていて、
    前記エンジントルク制御手段は、前記外気温度検出手段によって検出された外気温度が所定値以下である場合には、
    前記外気温度が所定値より大の場合であり、かつエンジンのトルク低減制御を全く行わない場合におけるエンジン回転数より低く、前記外気温度が所定値より大の場合であり、かつエンジンのトルク低減制御を行う場合におけるエンジン回転数より高くなるように、前記エンジンのトルクの低減を抑制するか或いは中止するように構成されていることを特徴とするエンジン自動制御装置。
  4. エンジンの出力を車軸へ伝達する自動変速機が設けられており、前記エンジンの停止中に所定の条件が成立して自動的に前記エンジンの始動を行う時に、ドライバーのキー操作による始動時に比べてエンジンのトルクを低減させるエンジン自動始動制御方法において、
    前記エンジンの冷却水の温度が所定値以下の場合には、
    前記冷却水の温度が所定値より大の場合であり、かつエンジンのトルク低減制御を全く行わない場合におけるエンジン回転数より低く、前記冷却水の温度が所定値より大の場合であり、かつエンジンのトルク低減制御を行う場合におけるエンジン回転数より高くなるように、前記エンジンのトルクの低減を抑制するか或いは中止することを特徴とするエンジン自動制御方法。
  5. エンジンの出力を車軸へ伝達する自動変速機が設けられており、前記エンジンの停止中に所定の条件が成立して自動的に前記エンジンの始動を行う時に、ドライバーのキー操作による始動時に比べてエンジンのトルクを低減させるエンジン自動始動制御方法において、
    バッテリーの充電量或いはバッテリーの電圧が所定値以下である場合には、
    前記バッテリーの充電量或いはバッテリーの電圧が所定値より大の場合であり、かつエンジンのトルク低減制御を全く行わない場合におけるエンジン回転数より低く、前記バッテリーの充電量或いはバッテリーの電圧が所定値より大の場合であり、かつエンジンのトルク低減制御を行う場合におけるエンジン回転数より高くなるように、前記エンジンのトルクの低減を抑制するか或いは中止することを特徴とするエンジン自動制御方法。
  6. エンジンの出力を車軸へ伝達する自動変速機が設けられており、前記エンジンの停止中に所定の条件が成立して自動的に前記エンジンの始動を行う時に、ドライバーのキー操作による始動時に比べてエンジンのトルクを低減させるエンジン自動始動制御方法において、
    車両の外気温度が所定値以下である場合には、
    前記外気温度が所定値より大の場合であり、かつエンジンのトルク低減制御を全く行わない場合におけるエンジン回転数より低く、前記外気温度が所定値より大の場合であり、かつエンジンのトルク低減制御を行う場合におけるエンジン回転数より高くなるように、前記エンジンのトルクの低減を抑制するか或いは中止することを特徴とするエンジン自動制御方法。
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