JP4474533B2 - 粉体状炭酸カルシウムの焼成方法 - Google Patents

粉体状炭酸カルシウムの焼成方法 Download PDF

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Description

本発明は粉体状カルシウム(CaCO)を焼成して酸化カルシウム(CaO)を製造するシステムを用いて、特に、微粒子の酸化カルシウムを得るために、微粒子すなわち粉体状の炭酸カルシウムを焼成する方法に関する。
一般的に、酸化カルシウム(CaO)すなわち生石灰の製造は、炭酸カルシウム(CaCO)の原料である石灰石や貝殻などを、1100〜1200℃で焼成することにより行われる。酸化カルシウムの消化反応により水酸化カルシウム(Ca(OH))すなわち消石灰を製造する場合も、先ず炭酸カルシウムを焼成して酸化カルシウムを生成する。従来は、特許文献1及び2に開示されているように、竪型シャフト炉において塊状の石灰石や貝殻を焼成する方式が一般的である。竪型シャフト炉は、堅型の炉の上部から原料・燃料などを装入し、下部から燃焼用空気などを吹き込んで炉底に溜まった生成物を取り出す方式であり、比較的大型である。従って、石灰石を原料とする場合、粒径40〜80mm程度の塊状のものを用いている。
ここで、公知の焼却炉として、廃棄物の焼却によく用いられる流動層炉がある(特許文献3等)が、流動層炉を用いて炭酸カルシウムを焼成して酸化カルシウムを製造することは、あまり一般的ではない。流動層炉を用いる場合、上記の竪型シャフト炉の場合に比べて原料である炭酸カルシウムの粒径を小さくできるが、現状では最小でも1〜3mm程度が限界である。
特開平5−170494号公報 特開2002−60254号公報 特許第3999995号明細書 特開2000−256047号公報 特開平11−76808号公報
Zement-Kalk-Gips, Vol.42, No.12, p621,1989
現在、様々な分野において、反応性の良い高活性酸化カルシウム、高活性水酸化カルシウム(消石灰)及びカルシウムを得るために、粉体状の炭酸カルシウムを効率的に焼成する技術が求められている。
その1つは、乾式排煙浄化技術の分野である。近年、種々の焼却炉からの排煙ガスに含まれる有害物質(硫黄酸化物、窒素酸化物)を除去するための排煙浄化システムが提示されている。例えば、特許文献3に開示されている。乾式排煙浄化システムでは、酸化カルシウムや水酸化カルシウム等のカルシウム系の排煙浄化剤を用いて、排煙ガス中の硫黄酸化物、窒素酸化物または塩化水素などの有害物質を吸収させて除去している。この乾式排煙浄化システムにおける脱硫反応、脱消反応または脱塩反応は固気反応であるため、カルシウム系排煙浄化剤として使用する酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムには高い反応活性が求められる。高活性の酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを得るためには、原料である炭酸カルシウムの焼成温度を、不要に高温とせずにその熱分解温度領域の近傍としかつ極力短時間で焼成する必要がある。このような焼成条件を満たすには、微粒子すなわち粉体状の炭酸カルシウムを焼成することが望ましい。
また別の分野として、製糖技術の分野では、糖液精製工程において、高濃度の糖液に多量の酸化カルシウムを添加して水酸化カルシウムとし、これに対して二酸化炭素を吹き込むことにより炭酸カルシウムを生成させ、この炭酸カルシウム生成過程で糖液中の不純物である懸濁物を吸着させて除去することにより、精製糖液を得ている。この結果、炭酸カルシウムを主成分とする廃棄物(ライムケーキ)を多量に生じるが、このライムケーキにおける炭酸カルシウムの粒径は10μm以下である。これを焼成して再び酸化カルシウムとすれば、リサイクルが可能となる。この場合にも、粉体状の炭酸カルシウムの焼成技術が必要となる。
しかしながら、上述のように、現状の炭酸カルシウムの焼成技術では、最小でも1〜3mm程度の粒径が限界であって、粒径0.3mm以下の粉体状の炭酸カルシウムの焼成技術は確立されていない。
粉体状の炭酸カルシウムを焼成する場合、以下の(i)(ii)の問題点がある。
(i)図1及び図2は、従来の流動層炉を用いて粒径1〜3mmの炭酸カルシウムの焼成実験を行った結果を示すグラフである。図1には、炭酸カルシウムの焼成温度(流動層炉内のフリーボード部の温度)と活性度の測定結果を示す。この測定では、焼成された酸化カルシウムを10分間で中和するために要する塩酸(4規定液による)消費量により、酸化カルシウムの活性を評価している。焼成温度850〜900℃の比較的低温域で、活性の最大値を示している。一方、図2は、焼成温度(流動層炉内のフリーボード部の温度)と焼成率の測定結果を示す。焼成温度が低くなるほど、焼成された酸化カルシウムの強熱減量(炭酸カルシウムの未焼成分に相当)が増加する。
図1及び図2から、従来の流動層炉を用いて高活性の酸化カルシウムを得るには、850〜900℃の最大活性が得られる焼成温度で炭酸カルシウムの焼成を行うことが望ましいが、粒径1〜3mmの炭酸カルシウムの場合、約10〜15%が未焼成となってしまうことが判る。比較的低温域で完全に焼成するには、ある程度の滞留時間は必要であるが、小さい粒子であるほど飛散しやすいため、焼成のための滞留時間が確保し難いという問題点がある。特に、粒径0.3mm以下の粉体状の場合、従来の流動層炉に投入しても、数秒程度で燃焼ガスとともに流出してしまうため、かなりの部分が未焼成のままとなる。従って、最適な焼成温度の流動層炉内において、粉体の十分な滞留時間を確保する技術が求められる。
(ii)また、炭酸カルシウムの微粒子が焼成されて酸化カルシウムの微粒子となり、燃焼ガスと共存するとき、燃料の燃焼により生じた二酸化炭素(CO)と、炭酸カルシウムの熱分解により生じた二酸化炭素とにより、燃焼ガスには高濃度の二酸化炭素が含まれることになる。このような雰囲気下においては、数1の可逆反応により、酸化カルシウムの再炭酸化が生じ、燃焼ガスの通路となる機器や配管ダクトの内壁に炭酸カルシウムが付着固化し、いわゆるコーティング閉塞現象を生じる。付着固化した炭酸カルシウムを除去するには、操業停止しなければならず、かつ除去作業の負担が大きかった。
Figure 0004474533
ここで、特許文献4は、酸化カルシウムの再炭酸化を防止する方法を開示している。特許文献4の段落0014には、石灰石(炭酸カルシウムCaCO)または生石灰(酸化カルシウムCaO)をT℃で扱う装置を運転するに際し、石灰石または生石灰の雰囲気中において生石灰の再炭酸化を生じる二酸化炭素(CO)の分圧Pを

P[MPa]=452exp(−21441/(T+179)+17.01)

の式で算出し、石灰石または生石灰の雰囲気中における二酸化炭素をP未満に下げることで再炭酸化を防止できることが記載されている。図3は炭酸カルシウムの熱分解の平衡温度と、二酸化炭素分圧との関係を示したグラフである。実線は特許文献4の式に基づいており、破線は非特許文献1に記載の式に基づいている。石灰石の産地、性状により若干の差異を生ずるが、ほぼ同じ傾向を示しており、二酸化炭素分圧が高くなるほど、炭酸カルシウムの熱分解平衡温度は高くなる。これらの曲線を境界として、高温側が熱分解領域(CaO+CO)となり、低温側が結合領域(CaCO)となる。従って、酸化カルシウムを含む所定の温度の燃焼ガスにおいて、酸化カルシウムの再炭酸化を防止する場合には、その温度で熱分解領域となるように二酸化炭素分圧を調整する必要がある。つまり、二酸化炭素分圧が高すぎる場合は、これを低減する必要がある。
以上の問題点に鑑み、本発明の目的は、粉体状(特に粒径0.3mm以下)の炭酸カルシウムを、高い焼成率で効率的に焼成することができる焼成方法を提供することである。
上記の問題点を解決するために、本発明は以下の構成を提供する。なお、括弧中の数字は、後述する実施例を示した図面の符号であり、参考のために付する。
(1)本発明による粉体状炭酸カルシウムの焼成方法は、気泡流動層を形成する第1段流動層炉(20)と噴流層を形成する第2段流動層炉(30)とを備えた2段式の炭酸カルシウム焼成炉を用いて粉体状の炭酸カルシウム(CaCO)を焼成して酸化カルシウム(CaO)を生成する方法であって、気泡流動層を形成した前記第1段流動層炉に粉体状の炭酸カルシウム及び燃料を供給して焼成する第1工程と、前記第1工程の焼成により生成した酸化カルシウム及び未焼成の炭酸カルシウムを随伴する燃焼ガスを前記第2段流動層炉に流入させ、当該第2段流動層炉の内壁に沿って旋回させて噴流層を形成することにより、前記未焼成の炭酸カルシウムを焼成する第2工程とを有することを特徴とする。
(2)上記(1)の方法において、前記第2段流動層炉が直立円筒状であり、前記燃焼ガスを、該第2段流動層炉の水平断面円周部接線方向に流入させることが好適である。
(3)上記(2)の方法において、前記第2段流動層炉と同軸に配置されかつ該第2段流動層炉の上端面(33a)を貫通して炉内空間にて開口する内筒管(32)を備え、該内筒管を通して前記燃焼ガスを流出させることが好適である。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの方法において、焼成により生成した酸化カルシウムを随伴して前記第2段流動層炉(30)から流出した前記燃焼ガスに対して冷空気を混合することにより、600℃以下に急速冷却すると同時に該燃焼ガスに含まれる二酸化炭素の分圧を低減し、酸化カルシウムと燃焼ガスとを分離する(40,41)ことが好適である。
(5)上記(1)〜(3)のいずれかの方法において、焼成により生成した酸化カルシウムを随伴して前記第2段流動層炉(30)から流出した燃焼ガスに対して水を噴霧することにより、600℃以下に急速冷却し、酸化カルシウムと燃焼ガスとを分離すると同時に酸化カルシウムを消化して水酸化カルシウムを生成する(40,41)ことが好適である。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかの方法において、前記粉体状の炭酸カルシウムに加えて、二酸化ケイ素(SiO)供給源となる石炭灰または粘土を、炭酸カルシウムの3〜30重量%混合して、前記第1段流動層炉に投入することが好適である。
(7)上記(1)の方法において、内筒(94)と外筒(95)を備え該外筒に加熱用熱流体を流すことにより該内筒の内部を加熱する間接外熱型キルンを用い、前記粉体状の炭酸カルシウムを前記第1流動層炉に投入するに先立って前記間接外熱型キルンの内筒に投入すると共に、酸化カルシウムを随伴して前記第2段流動層炉から流出した燃焼ガスを加熱用熱流体として該間接外熱型キルンの外筒に流すことにより、該粉体状の炭酸カルシウム及び燃焼用空気を予熱する予熱工程をさらに有し、前記予熱された粉体状の炭酸カルシウムを前記第1流動層炉に投入することが好適である、
(8)上記(7)の方法において、前記加熱用熱流体としての燃焼ガスが前記間接外熱型キルンの外筒を流れる途中にて、該燃焼ガスに対して冷空気を供給することにより、該燃焼ガスを600℃以下に急速冷却すると同時に該燃焼ガスに含まれる二酸化炭素の分圧を低減し、酸化カルシウムと燃焼ガスとを分離することが好適である。
(9)上記(7)の方法において、前記加熱用熱流体としての燃焼ガスが前記間接外熱型キルンの外筒を流れる途中にて、該燃焼ガスに対して水を供給することにより、該燃焼ガスを600℃以下に急速冷却し、酸化カルシウムから生じた水酸化カルシウムと燃焼ガスとを分離することが好適である。
(10)本発明による粉体状炭酸カルシウムの焼成方法は、酸化カルシウムを随伴しない燃焼ガスを間接外熱型キルンの加熱側熱流体として該内筒を加熱して粉体状の炭酸カルシウム(CaCO)を焼成し酸化カルシウム(CaO)を焼成する方法において、供給原料がライムケーキの場合はライムケーキ含有の有機物を焼却するための空気を併給して有機物を燃焼し,当該間接外熱型キルンより流出する酸化カルシウムと随伴ガスに対して冷空気,または水を供給して600℃以下に急速冷却すると同時に,空気冷却では二酸化炭素の分圧を低減して再炭酸化防止する手段を有するものである。
本発明は、2段式の流動層炉を用いた粉体状炭酸カルシウムの焼成方法であり気泡流動層を形成する第1段流動層炉で第1段階の焼成を行った後、焼成した酸化カルシウムと未焼成の炭酸カルシウムを随伴する燃焼ガスを第2段流動層炉に流入させ、旋回流により噴流層を形成して第2段階の焼成を行う。流層層炉を2段としたことにより、特に第2段流動層炉での滞留時間が十分に確保されることにより、未焼成の炭酸カルシウムもほぼ完全に焼成される。
第2段流動層炉が直立円筒状であり、第2段流動層炉の底部(例えば、第1段流動層炉の真上に第2段流動層炉が設けられる場合)または下端近傍(例えば、第1段流動層炉の上部と第2段流動層炉の下部が水平方向の連結管で連結される場合)にて水平断面円周部の接線方向に燃焼ガスを流入させることにより、内壁に沿って旋回しつつ上昇する噴流層を確実に形成することができる。
また、第2段流動層炉と同軸に配置されかつ第2段流動層炉の上端面を貫通して炉内空間にて開口する内筒管を備えたことにより、燃焼ガスは、内筒管外面を旋回下降して内筒管下端から内筒管内を上昇し流出することになり、粉体の滞留時間の確保に寄与する。
焼成により生成した酸化カルシウムを随伴して第2段流動層炉から流出した燃焼ガスに対して冷空気を混合して600℃以下に急速冷却すると同時に、この燃焼ガスに含まれる二酸化炭素の分圧を低減することにより、酸化カルシウムと燃焼ガスとを分離する。これにより、再炭酸化を生じさせず、コーティング閉塞現象を防止できる。
焼成により生成した酸化カルシウムを随伴して第2段流動層炉から流出した燃焼ガスに対して水を噴霧して600℃以下に急速冷却することにより、酸化カルシウムと燃焼ガスとを分離すると同時に、酸化カルシウムを消化して水酸化カルシウムを生成する。これにより、再炭酸化を生じさせず、コーティング閉塞現象を防止できる。軽質炭酸カルシウム(焼成により生成した酸化カルシウムから再び合成した炭酸カルシウム)を製造する場合や、ライムケーキをリサイクルする場合など、二酸化炭素分圧を低減しない方がよい場合(高濃度の二酸化炭素を必要とする)に適している。
粉体状の炭酸カルシウムに加えて、二酸化ケイ素(SiO)供給源となる石炭灰または粘土を、炭酸カルシウムの3〜30重量%混合して、第1段流動層炉に投入する。公知技術(特許文献6)として、生石灰(酸化カルシウム)を原料とする排煙処理剤であって、非結晶性二酸化ケイ素を共存させて生石灰の消化反応を行わせることにより高活性ケイ素化合物を生成させ、この高活性ケイ素化合物を成分として混練した排煙処理剤が知られている。この排煙処理剤は、高い脱硫・脱消性能を有する。本発明において、炭酸カルシウムに二酸化ケイ素を添加して焼成することにより、二酸化ケイ素との熱的結合が促進された高活性の酸化カルシウムを得ることができる。この高活性の酸化カルシウムを消化すれば、高活性の水酸化カルシウムを得ることができる。
本発明により、粒径0.3mm以下の微粒子の炭酸カルシウムの焼成が可能となり、高活性の酸化カルシウムを製造することにより、高性能な乾式排煙浄化剤をロ−コストに製造することが可能となった。
製糖の糖液精製工程で生ずる微粒子の炭酸カルシウムを多量に含む廃棄物(ライムケ−キ)を焼成することが可能となり、酸化カルシウムとしてリサイクルするとともに、得られた酸化カルシウムから精製工程で必要な水酸化カルシウムを製糖工場内で製造することも可能にした。
さらに、間接外熱型キルンを用いる方法では、キルン外筒を流れる燃焼ガス及び燃焼ガスに随伴している酸化カルシウム(CaO)の保有熱量を、キルン内筒への間接的な加熱に用いることで熱回収し、キルン内において、流動層炉に供給するに先立って粉体状炭酸カルシウム(例えばライムケーキ)の乾燥及び予熱に利用することができる。また、流動層炉に供給する燃焼用空気の予熱にも利用することができる。これにより、流動層炉における燃焼効率が向上する。
またさらに、間接外熱型キルンを用いる方法では、燃焼ガス発生炉において燃焼ガスを発生させてキルンの外筒に流し、キルンの内筒への間接的な加熱に用いることで熱回収し、キルン内において、粉体状炭酸カルシウム(例えばライムケーキ)の焼成に利用することができる。
炭酸カルシウムの焼成温度と活性度の関係を示すグラフである。 炭酸カルシウムの焼成温度と焼成率の関係を示すグラフである。 炭酸カルシウムの熱分解平衡温度と二酸化炭素分圧の関係を示すグラフである。 粉状炭酸カルシウムの焼成システム図 (ガスガスヒーター利用)である。 粉状炭酸カルシウムの焼成システム図(間接外熱型キルン利用)である。 粉状炭酸カルシウムの焼成システム図(間接外熱型キルンによる焼成)である。 (a)は図4aのシステムの一実施例における第1段流動層炉と、別置した第2段流動層炉とを示す概略的な側断面図である。(b)は(a)のA−A断面図である。(c)は(a)のB−B断面図である。 図4aのシステムの第2段流動層炉内における燃焼ガスの流れを模式的に示す図である。 (a)は図4aのシステムの別の実施例における第1段流動層炉と、その直上に設置した第2段流動層炉とを示す概略的な側断面図である。(b)は(a)のC−C断面図である。
本発明は、粉体状の炭酸カルシウム(CaCO)を焼成して酸化カルシウム(CaO)を生成する焼成方法に係り、さらには酸化カルシウムから水酸化カルシウム(Ca(OH))を生成する過程も含んだ粉体状炭酸カルシウムの焼成方法に係る。以下、本発明の方法を適用したシステムの実施例を参照し、本発明の実施の形態を説明する。
図4a、図4b、図4cは、本発明の方法を適用した粉体状炭酸カルシウムの焼成システムの各実施例のフロー構成図である。本発明の適用対象である粉体状炭酸カルシウムの粒径は、0.3mm以下である。製糖の糖液精製工程で排出されるライムケーキに含まれる炭酸カルシウムの粒径は、10μm以下であり、本発明に好適な対象である。
図4a、図4bに示したシステムは、第1段流動層炉20と第2段流動層炉30の2つの流動層炉を備えており、2段階の焼成を行う。図4cに示したシステムは燃焼ガス発生炉20aと間接外熱型キルン90により焼成を行う。
先ず、図4aのシステムについて説明する。
第1段流動層炉20は、いわゆる気泡流動層炉であり、第1段階の焼成工程を行う。直立円筒状の第1の炉本体23を有し、その炉内空間の下部には、粒径0.5mm以上の粒子媒体を充填した気泡流動層部22を形成し、その上方はフリーボード部24であり、上端または上端近傍にガス流出口が設けられ、第2流動層炉30への連結管25の一端が取り付けられている。
気泡流動層部22の下方には、燃焼用の予熱空気の供給口と第1の加熱手段である起動バーナー21が設けられている。この第1の加熱手段により、第1段流動層炉20における焼成時の炉内温度を870〜1000℃に維持することが好適である。高活性の酸化カルシウムを得るには、焼成温度850〜900℃の比較的低温域で焼成することが望ましいが、焼成温度が低くなるほど、焼成された酸化カルシウムの強熱減量(炭酸カルシウムの未焼成分に相当)が増加し、焼成率にばらつきが生じる傾向がある。よって、ほぼ95%以上の安定した焼成率を得るには、870〜1000℃とする。因みに、850℃であっても、従来の焼成炉との比較においては、良好な焼成率92〜95%が得られている(後述する試験結果を参照)。
第2段流動層炉30は、いわゆる噴流流動層炉であり、第2段階の焼成工程を行う。直立円筒状の第2の炉本体33を有し、下端または下端近傍にガス流入口が設けられ、第1段流動層炉30から発生した燃焼ガスを移送する連結管25の他端が取り付けられている。よって、この実施例の第2段流動層炉30内では、下方から上方への旋回流が形成される。炉本体33の下端近傍には、第2の加熱手段である補助バーナー31が設けられている。第1段流動層炉20から移送された燃焼ガスは、ほぼその温度を維持している。第2の加熱手段は、必要に応じて第2段流動層炉30における焼成時の炉内温度を、好適な870〜1000℃に維持するために助燃する。
粉体状炭酸カルシウム10は、第1段流動層炉20の気泡流動層部22に対して投入される。燃料は、基本的に石炭12が好適であるが、適宜、石油13を併用してもよく、第1段流動層炉20及び第2段流動層炉30の各々の加熱手段21、31に供給される。
石炭灰11は、燃料の石炭の燃焼後の灰であるが、任意に添加される。石炭灰11は、二酸化ケイ素(SiO)供給源として添加する。別の実施例として粘土でもよい。好適には、炭酸カルシウムに対し、3〜30重量% 混合する。石炭灰を添加することにより、焼成により生成した酸化カルシウムと二酸化ケイ素が結合して、より高活性の酸化カルシウムを得ることができる。石炭灰を添加して得られた酸化カルシウムを用いることにより、SO、NO、HClの吸収性の高い排煙浄化剤を製造することができる。
第1段流動層炉20及び第2段流動層炉30による2段階の焼成により、粉体状の炭酸カルシウムが焼成されて酸化カルシウムの微粒子となる。同時に、燃料の燃焼及び炭酸カルシウムの分解により燃焼ガスを生じる。燃焼ガスには、二酸化炭素(CO)や水蒸気(HO)が含まれ、上述の通り、二酸化炭素は高濃度で含まれている。燃焼ガスは、酸化カルシウムの微粒子を随伴して、第2段流動層炉30の上端に設けられたガス流出口から流出する。
酸化カルシウムの微粒子を含む燃焼ガスは、第2段流動層炉30から流出した後、2相混合器40へ誘導される。2相混合器40では、燃焼ガスの急速冷却が行われる。急速冷却手段には、以下の2通りの実施例がある。
急速冷却手段の第1の実施例では、冷却用の空気(室温でよい)をポンプ82で2相混合器40に供給し、燃焼ガスと混合することにより、燃焼ガスの温度を約600℃に冷却する。上述の通り、二酸化炭素分圧が高い燃焼ガスと共存すると、酸化カルシウムの再炭酸化を生じて炭酸カルシウムの周囲への固着を生じるおそれがある。ここでは、空気を混合したことにより、混合後の全気体中の二酸化炭素の分圧が低減するため、酸化カルシウムの再炭酸化を生じない。続いて、分級機41において、燃焼ガスと、粉体状の酸化カルシウムを分離する。粉体状の酸化カルシウムは、粉体冷却器50で冷却され、バグフイルター60で捕集し、サイロ61に貯留する。燃焼ガスは、排熱回収を行う予熱器70を通過させられることにより、冷却させられる。その後、燃焼ガスは、バグフイルター60を経て誘引通風ファン81により排気される。予熱器70は、燃焼ガスから回収した熱により、供給ファン80から送られる燃焼用空気を予熱して第1段流動層炉20へ供給する。
急速冷却手段の第2の実施例では、ポンプ82より2相混合器40に供給された噴霧水を、燃焼ガスと混合することにより、燃焼ガスの温度を約600℃に冷却する。燃焼ガスと分離後の酸化カルシウムは、水の存在により消化反応を生じ、水酸化カルシウムとなる。本実施例の場合、直ちに水酸化カルシウムを生成するため、酸化カルシウムの再炭酸化を生じない。続いて、分級機41において、燃焼ガスと、粉体状の水酸化カルシウムを分離する。粉体状の水酸化カルシウムは、粉体冷却器50で冷却され、バグフイルター60で捕集し、サイロ61に貯留する。燃焼ガスの処理は、上記の第1の実施例と同じである。
本実施例は、軽質炭酸カルシウムを製造する場合や、ライムケーキをリサイクルする場合などのように、高濃度の二酸化炭素を必要とする用途に好適である。
次に、図4bのシステムについて説明する。
第1段流動層炉20及び第2段流動層炉30は、基本的に上述の図4aのシステムと同じである。但し、第2段流動層炉30は、上端または上端近傍にガス流入口が設けられ、下端または下端近傍から燃焼ガス及びこれに随伴する酸化カルシウムが流出するように構成されている。よって、この実施例の第2段流動層炉30内では、上方から下方への旋回流が形成される。
間接外熱型キルン90は、第1段流動層炉20の前段の構成要素であると同時に、第2段流動層炉30の後段の構成要素でもある。間接外熱型キルン90は、軸を水平方向に設置した二重円筒形状を有し、キルン本体である内筒94に対象物を投入し、外筒95に加熱用熱流体を流すことにより対象物を間接的に加熱する構成となっている。
粉体状炭酸カルシウム10は、間接外熱型キルン90の内筒94の一端に設けられた入口から投入される。同時に燃焼用空気供給ファン80を介して燃焼用空気も内筒94の入口から供給される。一方、第2段流動層炉30を流出した、酸化カルシウムを随伴する燃焼ガスは、間接外熱型キルン90の加熱用熱流体として熱流体入口91から外筒95内に流入し、熱流体出口92へ向かって流れ、流出する。外筒95の熱流体入口91は、内筒94の入口とは反対側の端部に設けられている。加熱用熱流体としての燃焼ガスは、キルン通過中に内筒94を加熱し、これにより内部の炭酸カルシウム10及び燃焼用空気が加熱される。炭酸カルシウム10及び燃焼用空気は、内筒94の他端に設けられた出口から流出した後、第1段流動層炉20へ投入される。従って、内筒94での炭酸カルシウム10及び燃焼用空気の加熱は、焼成に先立っての予熱過程ということになる。また、炭酸カルシウム10が水分を含むライムケーキの場合は、乾燥過程も含まれる。これにより、流動層炉での焼成効率が向上する。予熱過程に適する温度としては400℃程度である。
また、外筒95を流れる加熱用熱流体としての燃焼ガスとそれに随伴する粉体状の酸化カルシウムは、内筒94を加熱することにより温度低下する。このとき、燃焼ガス中に含まれる二酸化炭素による酸化カルシウムの再炭酸化を防止するため、燃焼ガスの急速冷却手段として、外筒95の熱流体入口91と熱流体出口92の中間において熱流体冷却口93を設け、ここから冷空気を供給する。これにより、加熱用熱流体を600℃以下に急速冷却するとともに、空気供給による燃焼ガス中の二酸化炭素分圧の減少により、再炭酸化を防止する。燃焼ガス及びこれに随伴する粉体状の酸化カルシウムは、間接外熱型キルン90から流出した後、バグフィルター60において燃焼ガスと酸化カルシウムに分離される。その後は、図4aのシステムと同じ処理となる。
図4bのシステムにおいて、加熱用熱流体としての燃焼ガスを600℃以下に急速冷却する急速冷却手段の別の実施例として、図示しないが、熱流体冷却口93から水を供給してもよい。酸化カルシウムは、水の存在により消化反応を生じ、直ちに水酸化カルシウムとなることで再炭酸化を生じない。燃焼ガス及びこれに随伴する粉体状の水酸化カルシウムは、間接外熱型キルン90から流出した後、バグフィルター60において燃焼ガスと水酸化カルシウムに分離される。その後は、図4aのシステムと同じ処理となる
次に、図4cのシステムについて説明する。
この実施例は、間接外熱型キルン90を用いて、粉体状炭酸カルシウムの焼成を行う構成である。間接外熱型キルン90は、軸を水平方向に設置した二重円筒形状を有し、キルン本体である内筒94に対象物を投入し、外筒95に加熱用熱流体を流すことにより対象物を間接的に加熱するように構成されている。
さらに図4cのシステムでは、加熱用熱流体としての燃焼ガスを発生するために、燃焼ガス発生炉20aを設けている。燃焼ガス発生炉20aは、基本的に石炭12を燃料とし、適宜石油13を併用し、これらの燃料を燃焼させることにより、燃焼ガスを発生する。燃焼ガス発生炉20aにはカルシウム系原料は投入されないので、発生する燃焼ガスは、酸化カルシウムを随伴しない。
粉体状炭酸カルシウム10は、間接外熱型キルン90の内筒94の一端に設けられた入口に投入される。一方、燃焼ガス発生炉20aを流出した燃焼ガスは、間接外熱型キルン90の加熱用熱流体として熱流体入口91から外筒95内に流入し、熱流体出口92へ向かって流れ、熱流体出口92から流出し、誘引通気ファン81を経て排気される。外筒95の熱流体入口91は、内筒94の入口とは反対側の端部に設けられている。加熱用熱流体としての燃焼ガスは、キルン通過中に内筒94を加熱し、この実施例では、これにより炭酸カルシウム10を焼成する。従って、この場合、内筒94内部の温度は、上述した炭酸カルシウムの焼成に好適な温度範囲は内筒94の耐熱強度を考慮し,また焼成炉として間接外熱キルンを使用する場合,キルン内焼成滞留時間を延長が容易であることより800〜950℃とする。こうして、内筒94内の炭酸カルシウムは、酸化カルシウムと二酸化炭素に分解され流出する。
内筒94への供給原料がライムケーキの場合、ライムケーキ含有の有機物を焼却するための空気を供給しその燃焼ガスも随伴する。流出するガス中に含まれる二酸化炭素による酸化カルシウムの再炭酸化を防止するため、流出ガスの急速冷却手段として、冷空気を2相混合器40を介して供給する。これにより、燃焼ガスを600℃以下に急速冷却するとともに、空気供給による燃焼ガス中の二酸化炭素分圧の減少により、再炭酸化を防止する。その後、燃焼ガス及びこれに随伴する酸化カルシウムは、バグフィルター60において燃焼ガスと酸化カルシウムに分離される。その後は、図4aのシステムと同じ処理となる。
図4cのシステムにおいて、内筒94から流出した燃焼ガスを600℃以下に急速冷却する急速冷却手段の別の実施例として、図示しないが、水を2相混合器40を介して供給してもよい。酸化カルシウムは、水の存在により消化反応を生じ、直ちに水酸化カルシウムとなることで再炭酸化を生じない。その後、燃焼ガス及びこれに随伴する粉体状の水酸化カルシウムは、バグフィルター60において燃焼ガスと水酸化カルシウムに分離される。その後は、図4aのシステムと同じ処理となる。
予熱器70は、燃焼ガスから熱回収し、回収した熱により、供給ファン80から送られる燃焼用空気を予熱する。予熱された燃焼用空気は、燃焼ガス発生炉20aへ供給される。
ここで、間接外熱型キルン90の内筒94の入口に供給される燃焼用空気96について説明する。原料の炭酸カルシウム10が純粋な炭酸カルシウムである場合は、この燃焼用空気96は不要である。しかしながら、好適な原料は、製糖工程廃棄物であるライムケーキであるので、通常10%程度の有機物を含んでいる。この有機物を完全に焼却するために燃焼用空気96を供給する。
図5(a)は、図4aに示したシステムの一実施例における第1段流動層炉20と第2段流動層炉30の部分を概略的に示した側断面図である。(b)は(a)のA−A断面図である。(c)は(a)のB−B断面図である。
本実施例では、第1段流動層炉20と第2段流動層炉30が別置きされており、連結管25で連結されている。第1段流動層炉20の起動バーナー21の起動後に、気泡流動層部22の粒子媒体が燃料である石炭を燃焼させ、それにより炭酸カルシウムを焼成し酸化カルシウムとする。しかしながら、上述の通り、粉体状の炭酸カルシウムは、1つの流動層炉のみでは十分な滞留時間を確保できないため、一部は、未焼成の炭酸カルシウムのまま、第1段流動層炉20から流出される。従って、燃焼ガスは、焼成により生成された酸化カルシウムの微粒子及び未焼成の炭酸カルシウムの微粒子を随伴してフリーボード部24を上昇し、第1の炉本体23の上端近傍のガス流出口26から流出して、第2段流動層炉30における第2の炉本体33の下端近傍のガス流入口36に流入する。
図5(b)のA−A断面図は、連結管25の位置における水平断面である。連結管25は、第2の炉本体33の水平断面円周部の接線上に接続されている。従って、第2段流動層炉30に流入する燃焼ガスは、第2の炉本体33の水平断面円周部接線方向に流入し、その後、第2の炉本体33の円周状の内壁に沿って旋回する旋回流を形成する(実線矢印参照)。加えて、第2の炉本体33の下端近傍から流入することにより、上昇流も形成する。この結果、燃焼ガスは、第2の炉本体33の内壁に沿って旋回しつつ上昇する。これにより噴流層を形成する。図5(c)のB−B断面図は、第2段流動層炉30の上端近傍における水平断面である。第2段流動層炉30のガス流出口は、第2の炉本体33の上端に設けられた円筒状の内筒管32で構成されている。
なお、図示しない別の実施例においては、第2段流動層炉30への燃焼ガスの流入を、炉上部より行ってもよい。その場合も第2の炉本体33の水平断面円周部の接線方向に流入させる。
図6は、図4aに示したシステムの第2段流動層炉30内における燃焼ガスの流れを模式的に示す図である。内筒管32は、第2の炉本体33と同軸に配置され、第2の炉本体33の上端面33aを貫通して炉内空間にて開口している。好適には、内筒管32の直径D2は、第2の炉本体33の直径D1の2分の1以下とし、かつ内筒管32の炉内空間における長さLは、内筒管32の直径D2の2倍以上とする。
燃焼ガスは、第2の炉本体33の内壁に沿って旋回しつつ上昇し、上端面33aに到達する(図6の矢印付き実線)。未焼成の炭酸カルシウムの微粒子は、燃焼ガスに随伴しつつも、炉本体33の内壁との摩擦によって、燃焼ガスの旋回速度より遅い旋回速度で流動することになる。これにより、未焼成の炭酸カルシウムの滞留時間が延長される。
上端面33aに到達した燃焼ガスは、その後、内筒管32の外壁に沿って旋回しつつ下降し、内筒管32の下端の開口32aに到達すると、開口32aから内筒管32の内側に入って上昇し、第2段流動層炉30から出ていく(図6の矢印付き破線)。一方、燃焼ガスに含まれる未焼成の炭酸カルシウムの微粒子のうち、焼成に時間を要する比較的大きな粒子ほど、燃焼ガスの流動から遅れるために流出され難く、炉内空間の上部を循環することになる。例えば、比較的大きな微粒子は、下降旋回流に随伴して内筒管32の開口に到達しても、開口から真っ直ぐ上方に向かう燃焼ガスの流れには随伴できず、再び内壁に沿った上昇旋回流に加わり循環したりする。内筒管32を設けたことにより、微粒子の粒子径による分級作用が得られる。こうして、未焼成の炭酸カルシウムは、第2段流動層炉30内での滞留時間を十分に確保することができ、完全に焼成されて酸化カルシウムとなる。
なお、第2の炉本体33の上部を循環する粒子は、気流の乱れなどにより部分的に排出されるので、循環粒子濃度が増加すれば排出量も自然に増加する。よって、装置の運転に支障のない状態で、微粒子の量が平衡に達することが実験的に確認されている。
図7(a)は、本システムの別の実施例における第1段流動層炉20と第2段流動層炉30の部分を概略的に示した側断面図である。第1段流動層炉20の直上に第2段流動層炉30が設置されている。(b)は(a)のC−C断面図である。本実施例では、第1段流動層炉20の上端のガス流出口26と、第2段流動層炉30の底部のガス流入口36とを連通させる連結管25は、炉本体23、33と同軸に設けられている。連結管25は、中心軸部25aの周囲に複数枚(図示の例では4枚)の板状羽根25bを備え、各板状羽根25bの面は、水平面に対して同角度で傾斜し、隣り合う2枚の板状羽根25bの間には、隙間が形成されている。
第1段流動層炉20のフリーボード部24を上昇した燃焼ガスは、隣り合う2枚の板状羽根25bの隙間を通過して第2段流動層炉30の底部に流入するが、その流れの方向は、板状羽根25bにより鉛直方向に対して傾斜させられる。この結果、第2段流動層炉30に流入する際は、ほぼ水平断面円周部接線方向に流入し、その後は、第2の炉本体内壁に沿って旋回しつつ上昇し、噴流層を形成する。本実施例においても、内筒管32を33の設けた上端近傍における流れの状態は、図6と同様である。
製糖における糖液精製工程で排出されたライムケーキに対し、本発明の方法による焼成システムを用いて試験を行った。また、比較例として、従来の1段式の炉を用いた同様の試験も行った。試験条件及び結果は次の通りである。
<試料>
ライムケーキ(LC):100 kg/h(供給量)、粒径10μm以下
(LC中の成分)炭酸カルシウムCaCO55.5%
有機物 10.5%
水 分 33.0%
その他 1.0%
<焼成条件>
焼成炉:流動層焼成炉 2段流動層(直径:250mm、150mm)
燃料 :灯油
焼成温度:850〜1000℃の間の数点の温度に維持するよう設定し、各温度において複数回の試験を行った。
<結果>
ライムケーキからの水酸化カルシウムCa(OH)の理論収率は41kg/hである。この理論収率に対する実際の収率に基づいて焼成率を算出した。例えば、焼成温度950℃での収率は、39.5kg/hであり、焼成率は96%であった。
表1は、焼成温度と焼成率の結果をまとめて示している。実施例においては、850〜900℃の範囲で若干焼成率のバラツキがあったが、900℃以上、特に950℃以上では安定した焼成率が得られた。また、850~1000℃の全範囲において、実施例では、比較例よりも高い焼成率が得られた。
Figure 0004474533
なお、上記試験では、粒径10μm以下のライムケーキを用いたが、これより大きい粒径範囲については、炉内での滞留時間がより長くなることから、当然にライムケーキよりもさらに良好な焼成率が得られる。
従来、塊状の石灰石を焼成して酸化カルシウムを製造することが一般的であったため、その燃料にはコークスまたは重油を使用している。本発明によれば、燃料として石炭を使用して粉体状の炭酸カルシウムを焼成することより、反応性の良い高活性の酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを、従来よりも高い焼成率で製造することが可能となる。
本発明による粉体状の炭酸カルシウム焼成技術により、製糖工程における廃棄物である炭酸カルシウムを主成分とするライムケーキを焼成して、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムとすることができ、製糖工程におけるリサイクルを可能とする。
また。燃料に石炭を使用することから、石炭燃焼に伴う石炭灰が二酸化ケイ素供給源となって酸化カルシウムと結合することにより、SO、NO、HClの吸収性の高い排煙浄化剤を製造することができる。
10:粉体状炭酸カルシウム
11:石炭灰
12:石炭
13:石油
20:第1段流動層炉
20a:燃焼ガス発生炉
21:起動バーナー
22:気泡流動層部
23:第1の炉本体
24:フリ−ボ−ド
25:連結管
25a:中心軸部
25b:板状羽根
26:ガス流出口
30:第2段流動層炉
31:補助バーナー
32:内筒管
32a:開口
33:第2の炉本体
33a:上端面
36:ガス流入口
40:2相混合器
41:分級器
50:粉体冷却器
60:バグフイルタ−
61:サイロ
70;燃焼用空気予熱器
80:燃焼用空気供給ファン
81:燃焼ガス誘引ファン
82:ポンプ
90:間接外熱型キルン
91:熱流体入口
92:熱流体出口
93:熱流体冷却口
94:キルン内筒
95:キルン外筒
96:燃焼用空気

Claims (3)

  1. 気泡流動層を形成する第1段流動層炉(20)と噴流層を形成する第2段流動層炉(30)とを備えた2段式の炭酸カルシウム焼成炉を用いて粉体状の炭酸カルシウム(CaCO )を焼成して酸化カルシウム(CaO)を生成する方法において、気泡流動層を形成した前記第1段流動層炉に粉体状の炭酸カルシウム及び燃料を投入して焼成する第1工程、前記第1工程の焼成により生成した酸化カルシウム及び未焼成の炭酸カルシウムを随伴する燃焼ガスを前記第2段流動層炉に流入させ、該第2段流動層炉の内壁に沿って旋回させて噴流層を形成することにより、前記未焼成の炭酸カルシウムを焼成する第2工程を有し前記第2段流動層炉が直立円筒状であり、前記燃焼ガスを、該第2段流動層炉の水平断面円周部接線方向に流入させて,第2段流動層炉と同軸に配置されかつ該第2段流動層炉の上端面(33a)を貫通して炉内空間にて開口する内筒管(32)を備え該内筒管を通して前記燃焼ガスを流出させることを特徴とする粉体状炭酸カルシウムの焼成方法。
  2. 焼成により生成した酸化カルシウムを随伴して前記第2段流動層炉(30)から流出した燃焼ガスに対して水を噴霧することにより600℃以下に急速冷却し、酸化カルシウムと燃焼ガスとを分離すると同時に酸化カルシウムを消化して水酸化カルシウムを生成することを特徴とする請求項1に記載の粉体状炭酸カルシウムの焼成方法。
  3. 内筒(94)と外筒(95)を備え該外筒に加熱用熱流体を流すことにより該内筒の内部を加熱する間接外熱型キルンを用い、前記粉体状の炭酸カルシウムを前記第1流動層炉に投入するに先立って前記間接外熱型キルンの内筒に投入すると共に、酸化カルシウムを随伴して前記第2段流動層炉から流出した燃焼ガスを加熱用熱流体として該間接外熱型キルンの外筒に流すことにより、該粉体状の炭酸カルシウム及び燃焼用空気を予熱する予熱工程において加熱用熱流体として燃焼ガスを間接外熱型キルンの外筒を流れる途中にて、該燃焼ガスに対して水を供給することにより、該燃焼ガスを600℃以下に急速冷却し、酸化カルシウムから生じた水酸化カルシウムと燃焼ガスとを分離することを特徴とする請求項1に記載の粉体状炭酸カルシウムの焼成方法。


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