JP4473975B2 - エンコーダ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はFA等の産業用の高精度長さ、或いは角度測定装置に用いられるインクリメンタルエンコーダに関し、特に対象物体に光を照射し、該物体から得られる光の情報を利用するエンコーダに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりFA等の産業用の高精度な位置決め装置における光ピックアップや光学測定装置では対象物体を照射し、該物体からの透過光や反射光を受光して、透過もしくは反射する物体の情報を求めるエンコーダが幅広く利用されている。エンコーダでは位置ずれをパルス列に変換し、該パルス数を計数して相対位置ずれを検出するが、絶対位置は原点位置信号を発生させ、該原点信号にてカウンタをゼロリセットして求めることになっている。
【0003】
上記のエンコーダはインクリメンタルエンコーダと呼ばれ、直進移動の変位を検出するリニアエンコーダと、回転変位を検出するロータリエンコーダとが知られている。今日これらの光学測定装置に要求されているのは、小型化、高精度化という項目である。
【0004】
近年FAの分野では、高精度化への要求に応じ、インクリメンタルエンコーダ信号の発生を回折格子の相対移動による回折光の波面の位相ずれを利用して検出する「格子干渉方式」のエンコーダが採用されている。「格子干渉方式」のエンコーダではμmオーダーの微細なピッチの格子が利用され、1パルス(周期)当たりの分解能としてサブμmの値が達成されている。
【0005】
上述の光を利用した検出装置の分野、特に変位検出の分野においては、高精度化が進むにともない、基準位置となる原点計測の精度が要求されるようになってきている。高分解能のインクリメンタルエンコーダの原点検出では、同程度の分解能を確保するため、スケールあるいはディスク上にμmオーダーで形成した微細スリットパターンに対し該微細スリットと同程度の大きさの微小集光光束を照射して検出する方法が取られていた。
【0006】
従来の原点位置計測の有効な技術としては、図46のキヤノン出願になる特開平2-93324に例示された光学式のロータリエンコーダの原点計測センサをあげることができる。図中、発光素子1から射出された光束はシリンドリカルレンズ4a,4bで線状に集光されて、ディスク3に入射する。ディスク3が回転してスリット5a,5bが前記集光された光束によって照射されると、受光素子A,Bに光束が入射し、原点信号が出力される。
【0007】
図47は特開平7-294214による光学式リニアエンコーダの原点信号の実施形態である。発光素子1から射出された光束はスケールの格子部に入射すると反射回折され、受光素子に光束が入射する。スケールが移動し、スリットの端が光束が照射している部分を越えると、センサに光束が入射しなくなる。以上の原理により、原点信号が出力される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来のエンコーダの原点計測センサでは、エンコーダ自体はかなり小型化、高精度化されている場合、例えば原点信号の検出において検出用の微小集光光束を微細スリットパターンに合致させる調整が微妙で、スケールと計測センサのヘッド部との相互位置調整に高い精度が要求される。
【0009】
高精度な格子干渉方式においては検出精度を良くするため1つの微細スリットを相対的に位置をずらした2つの受光素子により異なるタイミングで検出し、該2つの差動信号を利用して原点信号を発生させているものがあった。この時、原点信号として2つの信号のレベルが一致した時にパルス波形を発生させる方式を採用した場合、原点は「パルスの立ち上がり(立ち下がり)のエッジ部」として定義される。
【0010】
一方、低精度なインクリメンタルエンコーダにおいては、通常、1つのスリットの検出信号をA,B相のインクリメンタル信号のいずれかの波形に同期した原点信号として利用される。
【0011】
高精度な格子干渉方式においても、低精度なインクリメンタルエンコーダにおいても、より精度よく、かつ安定し、パルス幅の確定の行いやすい原点位置の情報を与える信号の生成が求められている。特に原点の情報を与える信号としてインクリメンタル信号が微細な場合に、このインクリメンタル信号と同等の幅を安定して持つ信号が求められる。更には、インクリメンタル信号と、原点情報信号が、光源部の光量変化等によって信号の出力位置がずれてしまった場合などでも安定して同期を取れることが求められる。
【0012】
本発明の目的は、原点の情報を与える信号としてインクリメンタル信号と同等のパルス幅の信号を安定して与え得る構成のエンコーダを提供することにある。本発明の第2の目的は、上述に加え更に光量変動等に依らず安定してインクリメンタル信号と原点情報を有する信号の同期がとれるエンコーダを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明のエンコーダは、発光素子から射出された光束をスケール上のインクリメンタル信号検出用の格子部と原点信号生成用のスリットに投射し、該スケール上の該格子部とスリットで反射した光束を受光素子によって検出することによりインクリメンタル信号と原点信号を得るエンコーダにおいて、インクリメンタル信号検出用の格子部のピッチをPb、ピッチPbに対する変位方向のずれの割合を示す比例定数をXとするとき、該原点信号生成用のスリットは、変位方向にずれ量がX・Pbに相当する2つのスリットで構成されるのを一つの群としたとき、変位方向にずれ量Lを持つ2つの群よりなる4つのスリットで構成するとともに、該4つのスリットに該発光素子より変位方向にずれ量δPを持つ2つのスリット状光束のうちの一方のスリット状光束は一方の群のうちの一方のスリットと他方の群のうちの一方のスリットを照射し、他方のスリット状光束は一方の群のうちの他方のスリットと他方の群のうちの他方のスリットを照射し、各群内における2つのスリットで反射した光束によって生成される検出信号の値が等しくなる位置を原点情報を有する信号の立上り及び立下りの位置として決定することを特徴としている。
【0014】
請求項2の発明は請求項1の発明において、前記ずれ量X・Pbが
0.5Pb< X・Pb<1.5Pb
であることを特徴としている。
【0015】
請求項3の発明は請求項1又は2の発明において、前記発光素子と前記スケールとの間に前記発光素子から射出された光束を透過する2つのシリンドリカルレンズを有し、前記2つのシリンドリカルレンズがずれ量δPを持って配置されていることにより前記2つのスリット状光束を形成させ、
前記ずれ量δPは、調節可能になっていることを特徴としている。
【0016】
請求項4の発明は請求項1又は2の発明において、前記発光素子と前記スケールとの間に前記発光素子から射出された光束を透過する2つのフレネルレンズを有し、前記2つのフレネルレンズがずれ量δPを持って配置されていることにより前記2つのスリット状光束を形成させ、
前記ずれ量δPは、調節可能になっていることを特徴としている。
【0051】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態1の光学式ロータリエンコーダの原点計測センサの構成を示したものである。また図2は実施形態1におけるディスク板、図3は原点信号計測用のスリットを示した図である。
【0052】
図1で1は発光素子、2はハーフミラー、3はメイン信号用の格子と原点信号用のスリットが設けられているディスク、4は光束を線状に集光するシリンドリカルレンズ、5は原点信号生成用のスリット、6は受光素子である。また図3における7はディスク3上の位置変位信号検出用、即ちインクリメンタル信号検出用の格子部である。インクリメンタル信号検出用の格子の検出部については公知なので省略した。
【0053】
発光素子1から射出した光束はハーフミラー2にて折り返されてシリンドリカルレンズ4に入射する。シリンドリカルレンズ4は原点用スリット5の長手方向に対して集光された光束が同じ方向を向くように配置されている。ディスク3に入射する光束の様子を示したのが図4で、図中の10がシリンドリカルレンズ4により集光された光束である。ディスクが回転し、光束の照射位置に原点信号生成用スリットが図4のように左から右に移動していくと、スリットで反射された光束は受光素子であるセンサ6に入射し、原点信号用の出力が得られる。
【0054】
図5は図4に対応したセンサ出力を示したものである。図3に示した様にPをインクリメンタル信号検出用のスリットのピッチとした時、本実施形態では原点信号生成用スリットを2分割し、互いに変位方向にP/6だけずらして配置したことを特徴としている。
【0055】
原点信号生成用の光束は2分割されたスリットの双方にほぼ均等にまたがるように照射される。ここでセンサ6を2分割センサとし、各センサが2分割されている原点信号生成用スリットの各々と対応するように配置すると、各センサからの出力は図5のZa相、Zb相という位相がP/6、時間でΔt、距離でΔLだけずれた信号となる。
【0056】
2つの原点信号Za,Zbを用いて図6に示す様に閾値電圧Vcで矩型波原点信号を作ると、矩型の部分がP/6になる図7のZ信号(パルス信号)が形成できる。
【0057】
インクリメンタル信号の検出は不図示の検出系により特開平2−93324号公報と同様の原理で取り出され、図8に示す様に格子ピッチPの1/4ピッチの正弦波のインクリメンタル信号(位置変位信号)Bとなる。図8の位置変位信号Bから矩型波信号を作ると図7のA信号となり、A信号とこれと同等のパルス幅であるZ信号で論理を取り、これを改めて原点信号をすると、矩型波信号となったインクリメンタル信号と原点信号の同期を取ることができる。
【0058】
実施形態1は次のような特徴を持っている。即ち
1-1)原点検出光学系が1箇所ですむ非常に簡単な構成にも関わらず、矩型波信号となった位置変位信号と原点信号の精度の良い同期を取ることが可能である。
1-2)原点信号生成用スリットに工夫をしたため、従来と殆ど同じ構成でエンコーダの原点位置検出精度の向上を達成できる。
1-3)光学系の構成が従来と殆ど変わらないことから、従来と同等の組み立て易さを持つローコストな製造が可能である。
1-4)原点信号Za,Zbから矩型波を作るために必要な閾値Vcを変化させることにより、インクリメンタル信号との同期調整を簡単に行うことができる。
【0059】
図9は本発明の実施形態2の光学式リニアエンコーダの原点計測センサの構成を示したものである。また図10は実施形態2におけるスケール板、図3は原点信号生成用のスリットを示した図である。説明の都合上、前実施形態と同一の構成部材については同一の符号で示した。
【0060】
図9で1は発光素子、2はハーフミラー、3aはインクリメンタル信号用の格子と原点信号用のスリットが設けられているスケール、4は光束を線状に集光するシリンドリカルレンズ、5は原点信号生成用のスリット、6は受光素子、7はスケール3a上の位置変位検出用の格子部である。
【0061】
発光素子1から射出した光束はハーフミラー2a,2bにて光路を分割される。ハーフミラー2aを通過した光束はインクリメンタル信号用の格子部7の方に直接導かれる。インクリメンタル信号検出系については公知なので省略する。ハーフミラー2aで反射しさらに2bで反射した光束はシリンドリカルレンズ4に入射する。シリンドリカルレンズ4は原点信号生成用スリット5の長手方向に対して集光された光束の長手方向が同じ方向を向くように配置されている。スリット5に入射する光束の様子を示したのが図4で、図中の10がシリンドリカルレンズ4により集光された光束である。スケール3aが移動し、光束の照射位置に原点信号生成用スリットが左から右に移動していくと、スリットで反射された光束は受光素子であるセンサ6に入射し、原点出力が得られる。
【0062】
本実施形態でも原点信号生成用スリットは互いにP/6だけずらして2分割され、原点信号検出用の光束が2分割されたスリットの双方にほぼ均等にまたがるように照射されることが特徴である。センサ6は2分割されている原点信号生成用スリットの各々と対応する2分割センサで、図5のZa相、Zb相で示されるように位相がP/6、時間でΔt、距離でΔLだけずれた信号となる。
【0063】
図6で閾値電圧Vcを用いて2つの原点信号Za,Zbから矩型波原点信号を作ると、矩型の部分がP/6になる図7のZ信号が形成できる。
【0064】
インクリメンタル信号(位置変位信号)は不図示の検出系により特開平2−93324号公報と同様の公知の原理で取り出され、図8に示す格子ピッチPの1/4ピッチの正弦波のインクリメンタルBとなり、図7の矩型波のA信号を生成する。A信号とZ信号で論理を取り、これを改めて原点信号とすると、矩型波信号となったインクリメンタル信号と原点信号の同期を取ることができる。
【0065】
実施形態2は実施形態1の効果に加えて、スケール3a上に設けられる原点検出用スリットを任意の位置に設定可能なため、任意の位置で原点信号を得られること、及び、Za相、Zb相の原点信号から矩型波を生成する際に使用する閾値Vcを変化させることにより、原点位置信号の出力される位置を容易に調整できるという効果がある。
【0066】
図11は本発明の実施形態3の光学式リニアエンコーダの原点計測センサの構成を示したものである。また図12は実施形態3におけるスケール板、図3は原点信号生成用のスリットを示した図である。説明の都合上、前実施形態と同一の構成部材については同一の符号で示した。
【0067】
図11で1は発光素子、2はハーフミラー、3a'はインクリメンタル信号用の格子と原点信号生成用のスリットが設けられているスケール、4aは本実施例の特徴で入射する光束を2分割し、線状の光束をスリット線方向と垂直方向にずれた2つの光束に変換するシリンドリカルレンズ作用を持つ分割フレネルレンズである。また、5aは原点信号生成用のスリット、6は受光素子、7はスケール3a'上のインクリメンタル信号用の格子部である。
【0068】
発光素子1から射出した光束はハーフミラー2a,2bにて光路を分割される。ハーフミラー2aを通過した光束はインクリメンタル信号用の格子部7の方に直接導かれる。インクリメンタル信号検出系については公知なので省略する。
【0069】
ハーフミラー2aで反射しさらに2bで反射した光束は分割フレネルレンズ4aに入射し、1本の単純な線の形状を持つ原点生成用スリット5aに集光される。分割フレネルレンズ4aは2つのフレネルレンズ4a1,4a2より構成されている。4a1,4a2はシリドリカルレンズの作用を持つフレネルレンズで、原点信号生成用スリット5aの長手方向と同じ方向に延びる光束を該スリット5aの位置に形成する。更にフレネルレンズ4a1,4a2はスリット5aの長手方向に垂直な方向にずれて集光される。従って、図11に示す用にスリット5aに入射する光束は図4と逆にスリット5a側が直線で、入射する光束がずれた形状をしている。スリット3a'が移動し、光束の照射位置に原点信号生成用スリット5aが左から右に移動していくと、スリットで反射された光束は受光素子であるセンサ6に入射し、原点出力が得られる。
【0070】
本実施形態では分割フレネルレンズ4による2つの光束がインクリメンタル信号を形成する格子のピッチをPとした時、互いにP/6だけずれて形成され、原点信号生成用スリットにほぼ均等にまたがるように照射されることが特徴である。センサ6は2分割された光束の各々と対応する2分割センサで、図5のZa相、Zb相で示される位相がP/6、時間でΔt、距離でΔLだけずれた信号となる。図6の様に閾値電圧Vcを用いて2つの原点信号Za,Zbから矩型波原点信号を作ると、矩型の部分がP/6になる図7のZ信号が形成でき、以下のインクリメンタル信号Aを用いた信号処理については実施形態2と同一である。
【0071】
実施形態3では光束の形状で工夫を行ったため、前の実施形態の効果に加えスケール3a'上に設けられたスリットが直線でとなり、従来の単一スリットも使用可能であるという効果がある。
【0072】
図12は本発明の実施形態4の光学式リニアエンコーダの原点計測センサの構成を示したものである。図13は実施形態4におけるスケール板、図14は原点信号計測用のスリットを示した図で、説明の都合上、前実施形態と同一の構成部材については同一の符号で示してある。
【0073】
図14で1は発光素子、2はハーフミラー、3bはインクリメンタル信号用の格子と原点信号用のスリットが設けられているスケール、4は光束を線状に集光するシリンドリカルレンズ、5bは原点信号生成用のスリット、6bは受光素子、7はスケール3b上のインクリメンタル信号用の格子部である。
【0074】
発光素子1から射出した光束はハーフミラー2a,2bにて光路を分割される。ハーフミラー2aを通過した光束はインクリメンタル信号用の格子部7の方に直接導かれる。インクリメンタル信号検出系については公知なので省略する。
【0075】
ハーフミラー2aで反射しさらに2bで反射した光束はシリンドリカルレンズ4に入射する。シリンドリカルレンズ4は集光された光束の長手方向が原点信号生成用スリット5bの長手方向に対して同じ方向を向くように配置する。
【0076】
本実施形態では原点信号生成用のスリット5bが4分割された形状をしていることを特徴としている。図14に示す様に1番上のスリットを基準とすると2番目は−X・Pb、3番目はL、4番目はL−X・Pbずれた配置となっている。1番目と2番目、3番目と4番目はペアを形成するため、原点信号生成用スリットは2群で構成されていることになる。同一の群内でのスリットのずれはX・Pb、群間でのずれがLに相当する。以下、2番目のスリットをZa1、1番目のスリットをZa2、4番目のスリットをZb1、3番目のスリットをZb2と名付け、後述の信号の相に対応させることとする。なお、Pbはインクリメンタル信号から得られる正弦波信号のピッチを示し、XはピッチPbに対するずれの割合を示す比例定数である。
【0077】
スリット5bに入射する光束の様子を示したのが図15で、図中の10がシリンドリカルレンズ4により集光された光束である。原点信号生成用の光束は4分割されたスリット5bの全体にほぼ均等にまたがるように照射される。スケール3bが移動し、光束の照射位置に原点信号検出用スリットが左から右に移動していくと、スリットで反射された光束は受光素子であるセンサ6bに入射する。センサ6bは4分割されている原点検出用スリットの各々と対応する4分割センサで、図16に示すZa1相、Za2相、Zb1相、Zb2相の原点信号を出力する。
【0078】
図16よりZa1相とZa2相、Zb1相とZb2相で示される信号は互いに距離でX・Pbだけずれた信号となり、 Za1相とZb1相、Za2相とZb2相で示される信号は互いに距離でLだけずれた信号となる。図17の様にZa1〜Zb2という4つの原点信号において、Za1相とZb1相、Za2相とZb2相の信号出力が等しくなる位置をもって矩型波原点信号を作ると、矩型の部分がX・Pbとなる図18のZ信号が形成できる。
【0079】
インクリメンタル信号Bを図19に示すようにピッチPbを持つ正弦波とし、Bから矩型波信号を作ると、図18のA信号が形成される。図18のA信号とZ信号で論理を取り、これを改めて原点信号とすると、矩型波信号となったインクリメンタル信号と原点信号の同期を取ることができる。
【0080】
Z信号とインクリメンタル信号との同期を取るには、矩型波原点信号の矩型部X・Pbを位置変位信号から作られる矩型波信号Aの矩型部と同等の幅、具体的にはこより大きく、且つA信号の隣の矩型部と重ならないように設定しなければならない。従ってX・Pbの大きさは0.5Pb〜1.5Pbの間に設定する必要がある。
【0081】
インクリメンタル信号の検出を特開平05-15783と同じとすると、位置変位信号用の格子のピッチP 2.8μmに対し位置変位信号の周期Pbは0.7μmとなる。ここでX=1とすると、図14のスリットずれは0.7μmとなる。さらにL=3.0μmとすれば、初めのZa1信号からそれぞれ0.7μm、3.0μm、3.7μm分だけ位相がずれた4つの信号が得られ、矩型波のZ信号を作ることができる。
【0082】
実施形態4では原点信号の矩型波Z相信号がインクリメンタル信号から生成される一つの矩型波信号とのみ重なり、複数個重なることがないため、確実にインクリメンタル信号と同期を取ることができ、Z相の再現性を高めることができるという効果がある。
【0083】
図20は本発明の実施形態5の光学式ロータリエンコーダの原点計測センサの構成を示したものである。図21は実施形態5におけるディスク、図22は原点信号計測用のスリットとスリットに照射された光束を示した図である。説明の都合上、前実施形態と同一の構成部材については同一の符号で示した。
【0084】
図20で1は発光素子、2はハーフミラー、3cはインクリメンタル信号用の格子と原点信号生成用のスリットが設けられているディスク、4cは光束を2つの線に集光する分割シリンドリカルレンズ、5cは原点信号生成用のスリット、6cは受光素子、7はディスク3c上のインクリメンタル信号用の格子部である。
【0085】
発光素子1から射出した光束はハーフミラー2にて折り返され、分割シリンドリカルレンズ4cに入射する。分割シリンドリカルレンズ4cは2つのシリンドリカルレンズ4c1,4c2より構成され、原点信号生成用スリット5cの長手方向と同じ方向に延びる光束を該スリット5cの位置に形成する。シリンドリカルレンズ4c1,4c2は光束をスリット5cの長手方向に垂直な方向にδPずれて集光し、さらにδPの値は可変量として調整可能となっている。
【0086】
原点信号生成用のスリット5cは4分割された形状をしている。図22に示す様に1番上のスリットを基準とすると2番目はL 、3番目は−X・Pb、4番目はL−X・Pbずれた配置となっている。1番目と2番目、3番目と4番目はペアを形成する。3番目のスリットをZa1、1番目のスリットをZa2、4番目のスリットをZb1、2番目のスリットをZb2と名付け、後述の信号の相に対応させることとする。なお、Pbはインクリメンタル信号から得られる正弦波信号のピッチを示し、Xはピッチに対するずれの割合を示す比例定数である。
【0087】
スリット5cに入射する光束の様子を示したのが図22である。図中の10が分割シリンドリカルレンズ4cにより集光された光束でシリンドリカルレンズ4c1によって形成される光束10c1と、シリンドリカルレンズ4c2によって形成される光束を10c2はδPずれている。原点信号生成用の光束10c1はZa1,Zb1に、光束10c2はZa2,Zb2に対応し、対応するスリットにほぼ均等にまたがるように照射される。ディスク3cが移動し、図23に示す様に光束の照射位置に原点信号生成用スリットが左から右に移動していくと、スリットで反射された光束は受光素子であるセンサ6bに入射する。センサ6bは4分割センサで、4分割されている原点生成用スリットの各々と一体一対応し、図24に示すZa1相、Za2相、Zb1相、Zb2相の原点信号を出力する。
【0088】
図24では先ずδP=0の場合について示してある。δP=0だとZa1相とZa2相、Zb1相とZb2相で示される信号は互いに距離でX・Pbだけずれた信号となり、 Za1相とZb1相、Za2相とZb2相で示される信号は互いに距離でLだけずれた信号となる。Za1〜Zb2という4つの原点信号において、Za1相とZb1相、Za2相とZb2相の信号出力が等しくなる位置をもって矩型波原点信号を作ると、矩型の部分がX・Pbとなる図25のZ信号が形成できる。光束10c1と10c2の間のδPのずれを導入すると、Za1,Zb1相に対しZa2,Zb2相の信号は矢印で示したようにδPずれを生じ、Z信号の矩型部分の幅はX・Pb+δPとなる。
【0089】
インクリメンタル信号Bを図26に示すようにピッチPbを持つ正弦波とし、Bから矩型波信号を作ると、図25のA信号が形成される。図25のA信号とZ信号で論理を取り、これを改めて原点信号とすると、矩型波信号となったインクリメンタル信号と原点信号の同期を取ることができる。
【0090】
本実施形態では新たにシリンドリカルレンズ4c1と4c2のずれδPを導入したことで、矩型波原点信号の発生位置と矩型部の大きさを光学調整でき、所望の矩型波原点信号が得られる。以降の信号処理については実施形態4と同一で、例えばX・Pbの大きさは0.5Pb〜1.5Pbの間に設定される。
【0091】
実施形態5では原点信号の矩型波Z相信号の矩型部の大きさが調整できるため、光源の変化等でインクリメンタル信号に劣化が起きた場合にも対応可能な、余裕を持った原点信号を生成することができる。またδPにより矩型波原点信号の大きさだけでなく、出力位置の調整も行うことができるため、組み立てが容易となる。また、インクリメンタル信号と確実に同期を取ることができることにより、Z相の再現性を高めることができる。
【0092】
図27は本発明の実施形態6の光学式ロータリエンコーダの原点計測センサの構成を示したものである。図22は実施形態6におけるディスク、図22は原点信号生成用のスリットとスリットに照射された光束を示した図で、説明の都合上、前実施形態と同一の構成部材については同一の符号で示してある。
【0093】
図27で1は発光素子、2はハーフミラー、3cはインクリメンタル信号用の格子と原点信号生成用のスリットが設けられているディスク、4dは光束を2つの線に集光する分割フレネルレンズ、5cは原点信号生成用のスリット、6cは受光素子、7はディスク3c上のインクリメンタル信号用の格子部である。
【0094】
発光素子1から射出した光束はハーフミラー2にて折り返され、分割フレネルレンズ4dに入射する。分割フレネルレンズ4dはシリンドリカルレンズ作用を持つ2つのフレネルレンズ4d1,4d2より構成され、原点信号生成用スリット5cの長手方向と同じ方向に延びる光束10c1,10c2を該スリット5cの位置に形成する。フレネルレンズ4d1,4d2は光束をスリット5cの長手方向に垂直な方向にδPずれて集光し、さらにδPの値は可変量として調整可能となっている。
【0095】
本実施形態ではスリット5cの構成、及びフレネルレンズ4d1,4d2により形成される光束10c1,10c2の関係が実施形態5と同一なので、以降の信号出力、信号処理も実施形態5と同一である。従ってずれ量δPの作用や、X・Pbの大きさを0.5Pb〜1.5Pbの間に設定することも同様である。
【0096】
実施形態6ではフレネルレンズを用いているため、小型化が可能で、光学系の構成が容易であるという特徴がある。
【0097】
図28は本発明の実施形態7の光学式ロータリエンコーダの原点計測センサの構成を示したものである。図29は実施形態7におけるディスク板、図30は原点信号計測用のスリットを示した図で、説明の都合上、前実施形態と同一の構成部材については同一の符号で示した。
【0098】
図28で1は発光素子、2はハーフミラー、3eはインクリメンタル信号用の格子と原点信号生成用のスリットが設けられているディスク、4は光束を線状に集光するシリンドリカルレンズ、5eは原点信号生成用のスリット、6eは受光素子、7はディスク3e上のインクリメンタル信号用の格子部である。インクリメンタル信号格子の検出部については公知なので省略した。
【0099】
発光素子1から射出した光束はハーフミラー2にて折り返されてシリンドリカルレンズ4に入射する。シリンドリカルレンズ4は集光された光束が原点用スリット5eの長手方向に対して同じ方向を向くように配置される。
【0100】
図30に示す様にピッチPの位置変位検出用格子の近傍に、4分割された形状の原点信号生成用スリット5eが配置される。5eの構造は1番上のスリットを基準とすると2番目が−P/6 、3番目がL、4番目がL−P/6ずれた配置となっている。1番目と2番目、3番目と4番目はペアを形成する。また2番目のスリットをZa1、1番目のスリットをZa2、4番目のスリットをZb1、3番目のスリットをZb2と名付け、後述の信号の相に対応させることとする。
【0101】
スリット5eに入射する光束の様子を示したのが図31で、10がシリンドリカルレンズ4により集光された光束である。原点信号検出用の光束10はスリット5eを構成するスリットZa1〜Zb2にほぼ均等にまたがるように照射される。ディスク3eが移動し、図31に示す様に光束の照射位置に原点信号生成用スリットが左から右に移動していくと、スリットで反射された光束は受光素子であるセンサ6eに入射する。センサ6eは4分割されている原点信号生成用スリットの各々と対応する4分割センサで、図32に示すZa1相、Za2相、Zb1相、Zb2相の原点信号を出力する。
【0102】
図32よりZa1相とZa2相、Zb1相とZb2相で示される信号は互いに距離でP/6だけずれた信号となり、 Za1相とZb1相、Za2相とZb2相で示される信号は互いに距離でLだけずれた信号となる。図33の様にZa1〜Zb2という4つの原点信号において、Za1相とZb1相、Za2相とZb2相の差動を取って両者の信号出力が等しくなる位置をもって矩型波原点信号を作ると、矩型の部分がP/6となる図34のZ信号が形成できる。
【0103】
インクリメンタル信号は不図示の検出系により特開平2−93324号公報と同様の原理で取り出され、図35に示す様に格子ピッチPの1/4ピッチの正弦波のインクリメンタル信号Bとなる。インクリメンタル信号Bから矩型波信号を作ると図34にある矩型の部分がP/8のA信号となり、A信号とZ信号で論理を取り、これを改めて原点信号とすると、矩型波信号となったインクリメンタル信号と原点信号の同期を取ることができる。
【0104】
実施形態7における効果は実施形態1と同様であるが、基準用スリット5eを4つの部分で構成したことから、実施形態1に比べ矩型波信号Zを作る元の信号を差動で作ることができるため、光源に光量変化が起こっても常に一定の位置で出力でき、精度の良い原点信号が生成されるという効果がある。
【0105】
図36は本発明の実施形態8の光学式リニアエンコーダの原点計測センサの構成を示したものである。また図37は実施形態8におけるスケール板、図30は原点信号計測用のスリットを示した図である。説明の都合上、前実施形態と同一の構成部材については同一の符号で示した。
【0106】
図36で1は発光素子、2はハーフミラー、3fはインクリメンタル信号用の格子と原点信号生成用のスリットが設けられているスケール、4は光束を線状に集光するシリンドリカルレンズ、5は原点信号生成用のスリット、6eは4分割された受光素子、7はスケール3f上のインクリメンタル信号用の格子部である。
【0107】
発光素子1から射出した光束はハーフミラー2a,2bにて光路を分割される。ハーフミラー2aを通過した光束はインクリメンタル信号用の格子部7の方に直接導かれる。インクリメンタル信号検出系については公知なので省略する。ハーフミラー2aで反射しさらに2bで反射した光束はシリンドリカルレンズ4に入射する。シリンドリカルレンズ4は集光された光束の長手方向が原点用スリット5eの長手方向に対して同じ方向を向くように配置される。
【0108】
実施形態8における原点信号生成用スリットは5eで実施形態7と同一の形状で、シリンドリカルレンズ4で形成される照射ビームの形状も同じなので、以降の信号発生のメカニズム、信号処理系については実施形態7と同一である。従ってZa1〜Zb2という4つの原点信号の差動を取って矩型波原点信号を作ると、矩型の部分がP/6となる図34のZ信号が形成できる。続いて、格子ピッチPの1/4ピッチの正弦波のインクリメンタル信号Bから作った矩型の部分がP/8のA信号とZ信号の論理を取り、これを改めて原点信号とすると、矩型波信号となったインクリメンタル信号と原点信号の同期を取ることができる。
【0109】
実施形態8における効果は実施形態2と同様であるが、原点信号生成用スリット5eを4つの部分で構成し、矩型波信号Zを作る元の信号を差動で作ることができるため、光源に光量変化が起こっても常に一定の位置で出力がなされ、精度の良い原点信号が生成されるという効果がある。
【0110】
図38は本発明の実施形態9の光学式ロータリエンコーダの原点計測センサの構成である。また図39は原点信号計測用のスリットとスリットに照射された光束を示した図で、説明の都合上、前実施形態と同一の構成部材については同一の符号で示した。
【0111】
図38で1は発光素子、2はハーフミラー、3gはインクリメンタル信号用の格子と原点信号生成用のスリットが設けられているディスク、4gは光束を2つの線に集光する分割フレネルレンズ、5gは原点信号生成用のスリット、6gは4分割された受光素子、7はディスク3g上のインクリメンタル信号用の格子部である。
【0112】
発光素子1から射出した光束はハーフミラー2にて折り返され、分割フレネルレンズ4gに入射する。分割フレネルレンズ4gはシリンドリカルレンズ作用を持つ2つのフレネルレンズ4g1,4g2より構成され、原点信号生成用スリット5gの長手方向と同じ方向に延びる光束を該スリット5gの位置に形成する。フレネルレンズ4g1,4g2は光束をスリット5gの長手方向に垂直な方向にLずれて集光させ、原点検出用スリット5g全体にかかる様に位置させる。なお分割フレネルレンズ4gは分割シリンドリカルレンズで構成することもできる。
【0113】
原点信号生成用のスリット5gは3分割された形状をしている。図39に示す様に1番上のスリットを基準とすると2番目はP/6 、3番目は0の位置に戻った配置となっている。3分割されてはいるが、中央の部分は実施形態7におけるZa相とZb相の共通部分として働き、等価的に4分割されたスリットとなっている。即ち、原点信号生成用スリットの1番上のスリットはZa2相、中央はZa1相とZb2相、一番下の部分はZb1相に対応し、4分割センサ6gも分割スリット等価分割にに応じてZa1〜Zb2相に対応するように配置される。
【0114】
4分割センサ6gから得られるZa1〜Zb2相の信号は図32で示され、以降の信号処理は図33〜35に従って行うことができる。3分割スリットで等価的には4分割スリットとなって図34の様な原点信号を生成できるのは2分割された照射光の効果である。原点信号生成用スリットが3分割ですむため、製造は容易で、組み立て時の位置あわせも容易であるという効果もある。
【0115】
図40は本発明の実施形態10の光学式ロータリエンコーダの原点計測センサの構成を示したものである。図41は原点信号生成用の2本スリットとスリットに照射する4分割光束を示した図で、説明の都合上、前実施形態と同一の構成部材については同一の符号で示した。
【0116】
図40で1は発光素子、2はハーフミラー、3hはインクリメンタル信号用の格子と原点信号生成用のスリットが設けられているディスク、4hは光束を4つの線に集光する分割フレネルレンズ、5hは原点信号生成用の1本スリット、6hは4分割された受光素子、7はディスク3h上のインクリメンタル信号用の格子部である。
【0117】
発光素子1から射出した光束はハーフミラー2にて折り返され、分割フレネルレンズ4hに入射する。分割フレネルレンズ4hはシリンドリカルレンズ作用を持つ4つのフレネルレンズ4h1,4h2,4h3,4h4より構成され、原点信号生成用スリット5hの長手方向と同じ方向に延びる光束を該スリット5hの位置に形成する。なお分割フレネルレンズ4hは分割シリンドリカルレンズで構成することもできる。
【0118】
フレネルレンズ4h1,4h2,4h3,4h4はそれぞれに対応して光束10h1,10h2, 10h3,10h4を、原点信号生成用スリット5h全体にかかる様に形成させる。光束10h1と10h2、10h3と10h4はペアをなし、光束の長手方向に対しP/6のずれを持っている。また光束10h1と10h3、10h2と10h4はペアをなし、光束の長手方向に対しL+ΔLのずれを持っている。
【0119】
原点信号生成用のスリット5hは1本の線よりなる単純な構成である。
【0120】
光束10h1はZa1相、10h2がZa2相、10h3がZb1相、10h4がZb2相の信号に対応し、4分割センサ6hから得られるZa1〜Zb2相の信号は図32で示される。以降の信号処理は図33〜35と同一である。本実施形態では原点検出用スリットが単純な1本の線ですむため、製造は容易で、組み立て時の位置あわせも容易であるという効果がある。
【0121】
本実施形態の変形として4分割フレネルレンズを2分割フレネルレンズ4h1と4h2の構成のみとして光束10h1,10h2を形成し、図42に示す様に原点信号生成用スリット5h'を互いに距離がL離れた2本線としてもよい。
【0122】
図43は本発明の実施形態11のリニアエンコーダの原点計測センサの構成を示したものである。説明の都合上、前実施形態と同一の構成部材については同一の符号で示した。
【0123】
図43で1は単色光源の発光素子、8はコリメータレンズ、2はハーフミラー、3iはインクリメンタル信号用の格子と原点信号生成用の回折レンズが設けられているスケール、5ZPLは原点信号検出用の回折レンズ、6PDは受光素子、7はスケール3i上のインクリメンタル信号用の格子部である。
【0124】
光源1から射出した発散光束はコリメータレンズ8でほぼ平行光束となり、ハーフミラー2にて反射され、スケール3i上に形成してある原点信号生成用回折レンズ5ZPLのトラックに照射される。回折レンズ5ZPLは2つの回折レンズ5ZPL1と5ZPL2よりなり、反射型回折格子として機能するように透明基板上に凹凸状の位相格子上に反射膜が施されている。スケール3iの移動により照射領域に回折レンズ5ZPL1,5ZPL2が存在すれば反射集光光束が発生し、照射光はもとの光路方向に進行する。
【0125】
2つの回折レンズ5ZPL1,5ZPL2はスケール3iの移動方向に対して空間的にずらして形成されている。5ZPL1,5ZPL2は全体として一体で移動を行うため、集光位置は一定の間隔を保ったまま空間を移動する。図43の実施形態では回折レンズ5ZPLをシリンドリカルレンズの効果を持つ構成としたので照射光束が焦点位置に線状に集光するが、円環状の回折レンズの構成とすれば点状の集光パターンを得ることができる。
【0126】
本実施形態ではスケール3iの移動とともに回折レンズ5ZPL1,5ZPL2による集光光束が通過する空間に4つの受光素子6PD1,6PD2,6PD3,6PD4が配置されている。受光素子6PD1と6PD2は回折レンズ5ZPL1からの集光光束の移動方向に並んで配置され、受光素子のすき間は集光光束径(幅)より十分小さくなるように設定してある。受光素子6PD3と6PD4は回折レンズ5ZPL2からの集光光束の移動方向に並んで配置され、受光素子のすき間が集光光束径(幅)より十分小さくなるように設定してある。図43の構成では、受光素子6PD1,6PD2のペアと、受光素子6PD3,6PD4のペアが隣り合せに配置されているので、4分割受光素子としてパッケージされたものを使用することができる。
【0127】
前述の様にスケール3i上に形成された2つの反射回折レンズ5ZPL1,5ZPL2は相互にずらしてあるので、受光素子6PD1,6PD2で検出される集光光束と、受光素子6PD3,6PD4で検出される集光光束は反射回折レンズのずれ分だけずれている。
【0128】
スケール3iの移動に伴う各受光素子の出力を示したのが図44である。スケール3iが移動すると先ず受光素子6PD1に光束が入射する。さらに移動が続くと6PD1の入射光量が減少していくとともに、受光素子6PD2への入射が始まって、受光素子6PD1と6PD2が等しくなり、次に受光素子6PD2への入射光量が最大となる。
【0129】
受光素子6PD3,6PD4の出力も同様な経過を辿るが、受光素子6PD1,6PD2と受光素子6PD3,6PD4では出力のタイミングがずれていることが特徴である。
【0130】
受光素子6PD1,6PD2,6PD3,6PD4からの信号は図45の処理回路によってデジタル信号に変換される。
【0131】
受光素子6PD1と6PD2の出力はオペアンプOP1によって加算(平均)されて1つの山型波形に変換された後、基準電位V1により窓波形W1が作成される。またオペアンプOP2は受光素子6PD1と6PD2の差信号を出力するもので、クロス電圧V2を基準に差動2値波形Z1が作成される。
【0132】
同様に、受光素子6PD3と6PD4の出力はオペアンプOP3によって加算(平均)されて1つの山型波形に変換された後、基準電位V3により窓波形W2が作成される。またオペアンプOP4は受光素子6PD3と6PD4の差信号を出力するもので、クロス電圧V4を基準に差動2値波形Z2が作成される。
【0133】
本実施形態では高分解能なインクリメンタル信号波形と同等の幅で、これに同期する原点信号波形を作成することを目的としているので受光素子6PD1と6PD2のクロスのタイミングと、受光素子6PD3と6PD4のクロスのタイミングをインクリメンタル信号のほぼ1周期分となるように設定する。各変換出力Z1,W1,Z2,W2の全ての論理(AND)を演算すると、上記2つのクロスのタイミング(クロスポイント)を結ぶ波形Z0が作成される。波形Z0の幅はインクリメンタル信号のA相信号とほぼ同等の幅になっており、Z0の一つの幅の中に一つのA相信号パルスが収納される形となっている。 Z0は原点信号を出力する原点信号発生位置領域となっている。
【0134】
エンコーダはこのまま原点信号としてZ0を出力してもよいし、さらにインクリメンタルA相信号とZ0信号の論理をとった波形ZAを出力してもよい。
【0135】
本実施形態では2つの回折レンズによる2つのクロスポイント位置の検出、及び以降の処理回路により、高分解能なインクリメンタル信号(A相)に同期する原点信号ZもしくはZAを作成することができる。なお、原点信号Z0の2つのエッジを規定するクロスポイントとインクリメンタル信号(A相)との相互位置調整は受光素子6PDのパッケージ全体を相対位置調整することで行うことができる。
【0136】
なお実施形態11の図43では回折レンズ5PDによって反射集光光束を発生させ、ハーフミラーを介して光源側に配置した受光素子にて検出した構成を示したが、回折レンズを透過型にする構成も容易に実現することができる。透過型の回折レンズの場合には透明基板上に凹凸状の位相格子構造を有し、受光素子を光源と反対側に配置する。以降の検出、処理については反射型と同一の過程を採用することができる。
【0137】
本実施形態はリニアエンコーダだけでなく、ロータリエンコーダにも適用できる。また、スケールまたはディスク上にほぼ平行な光束を照射しての原点信号を高分解能に検出できるので、スケールまたはディスク上に集光させる方式に比べ、ギャップ方向の誤差に強い構成を取ることもできるという効果がある。
【0138】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のエンコーダでは基本的に2つ以上の検出信号を利用してパルス信号を決定するので、原点情報を有する信号の両エッジの再現性が良く、微細信号も形成し易いという特徴がある。
【0139】
特に、4つの信号を発生させ、該4つの信号の差動信号から原点情報を有する信号を作る構成とした発明では、光源の光量変動の影響を受けずに環境安定性が良くなりインクリメンタル信号との同期をより容易に取ることを可能とする。
【0140】
、本発明によれば、この様な原点情報を有する信号を形成するのに適した構成のエンコーダが実現できる。
【0141】
又、本発明によれば、この様な原点情報を有する信号を形成するのに適した構成のロータリーエンコーダが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1のロータリエンコーダの原点検出系を示す図、
【図2】 実施形態1で用いるエンコーダのディスクを示す図、
【図3】 インクリメンタル信号用格子と原点信号生成用スリットを示す図、
【図4】 検出ビームと原点信号生成用スリットの関係を示す図、
【図5】 Za相とZb相の信号出力を示す図、
【図6】 Za相とZb相の信号の相対関係を示す図、
【図7】 原点検出のZ信号とインクリメンタル信号のA信号を示す図、
【図8】 インクリメンタル信号のB信号を示す図、
【図9】 実施形態2のリニアエンコーダの原点検出系を示す図、
【図10】 実施形態2、3で用いるエンコーダのスケールを示す図、
【図11】 実施形態3のリニアエンコーダの原点検出系を示す図、
【図12】 実施形態4のリニアエンコーダの原点検出系を示す図、
【図13】 実施形態4で用いるエンコーダのスケールを示す図、
【図14】 インクリメンタル信号検出用格子と原点信号生成用スリットを示す図、
【図15】 検出ビームと原点信号生成用スリットの関係を示す図、
【図16】 Za相とZb相の信号出力を示す図、
【図17】 Za1相〜Zb2相の信号の相対関係を示す図、
【図18】 原点検出のZ信号とインクリメンタル信号のA信号を示す図、
【図19】 インクリメンタル信号のB信号を示す図、
【図20】 実施形態5のロータリエンコーダの原点検出系を示す図、
【図21】 実施形態5、6で用いるエンコーダのディスクを示す図、
【図22】 インクリメンタル信号検出用格子と原点信号生成用スリットを示す図、
【図23】 検出ビームと原点信号用スリットの関係を示す図、
【図24】 Za1相〜Zb2相の信号の相対関係を示す図、
【図25】 原点検出のZ信号とインクリメンタル信号のA信号を示す図、
【図26】 インクリメンタル信号のB信号を示す図、
【図27】 実施形態6のロータリエンコーダの原点検出系を示す図、
【図28】 実施形態7のロータリエンコーダの原点検出系を示す図、
【図29】 実施形態7で用いるエンコーダのディスクを示す図、
【図30】 インクリメンタル信号検出用格子と原点信号生成用スリットを示す図、
【図31】 検出ビームと原点信号生成用スリットの関係を示す図、
【図32】 Za1相〜Zb2相の信号出力を示す図、
【図33】 Za1相〜Zb2相の信号の相対関係を示す図、
【図34】 原点検出のZ信号とインクリメンタル信号のA信号を示す図、
【図35】 インクリメンタル信号のB信号を示す図、
【図36】 実施形態8のリニアエンコーダの原点検出系を示す図、
【図37】 実施形態8で用いるエンコーダのスケールを示す図、
【図38】 実施形態9のリニアエンコーダの原点検出系を示す図、
【図39】 検出ビームと原点信号生成用スリットの関係を示す図、
【図40】 実施形態10のリニアエンコーダの原点検出系を示す図、
【図41】 実施形態10の検出ビームの形状を示す図、
【図42】 実施形態10の変形の原点信号生成用スリットを示す図、
【図43】 実施形態11のロータリエンコーダの原点検出系を示す図、
【図44】 実施形態11の信号出力と処理波形を示す図、
【図45】 実施形態11の原点信号発生処理回路を示す図、
【図46】 従来のロータリエンコーダの原点検出系を示す図、
【図47】 従来のロータリエンコーダの原点検出系を示す図。
【符号の説明】
1 光源
2 ハーフミラー
3 ディスクまたはスケール
4 シリンドリカルレンズまたはフレネルレンズ
5 原点信号生成用スリット
6 受光素子
7 インクリメンタル信号用格子
8 コリメータレンズ

Claims (4)

  1. 発光素子から射出された光束をスケール上のインクリメンタル信号検出用の格子部と原点信号生成用のスリットに投射し、該スケール上の該格子部とスリットで反射した光束を受光素子によって検出することによりインクリメンタル信号と原点信号を得るエンコーダにおいて、インクリメンタル信号検出用の格子部のピッチをPb、ピッチPbに対する変位方向のずれの割合を示す比例定数をXとするとき、該原点信号生成用のスリットは、変位方向にずれ量がX・Pbに相当する2つのスリットで構成されるのを一つの群としたとき、変位方向にずれ量Lを持つ2つの群よりなる4つのスリットで構成するとともに、該4つのスリットに該発光素子より変位方向にずれ量δPを持つ2つのスリット状光束のうちの一方のスリット状光束は一方の群のうちの一方のスリットと他方の群のうちの一方のスリットを照射し、他方のスリット状光束は一方の群のうちの他方のスリットと他方の群のうちの他方のスリットを照射し、各群内における2つのスリットで反射した光束によって生成される検出信号の値が等しくなる位置を原点情報を有する信号の立上り及び立下りの位置として決定することを特徴とするエンコーダ。
  2. 前記ずれ量X・Pbが
    0.5Pb< X・Pb<1.5Pb
    であることを特徴とする請求項1記載のエンコーダ。
  3. 前記発光素子と前記スケールとの間に前記発光素子から射出された光束を透過する2つのシリンドリカルレンズを有し、前記2つのシリンドリカルレンズがずれ量δPを持って配置されていることにより前記2つのスリット状光束を形成させ、
    前記ずれ量δPは、調節可能になっていることを特徴とする請求項1または2に記載のエンコーダ。
  4. 前記発光素子と前記スケールとの間に前記発光素子から射出された光束を透過する2つのフレネルレンズを有し、前記2つのフレネルレンズがずれ量δPを持って配置されていることにより前記2つのスリット状光束を形成させ、
    前記ずれ量δPは、調節可能になっていることを特徴とする請求項1または2に記載のエンコーダ。
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