JP4471713B2 - 再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定方法および装置 - Google Patents

再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定方法および装置 Download PDF

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Description

本発明は、例えば鋼材の板状の測定対象物についての再結晶率と結晶粒アスペクト比とを分離測定する再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置および方法に関するものである。
熱間の鋼材製造プロセスでは、鋼材に、圧延等、さまざまな処理が施される。一般に、鋼材の結晶組織を微細化することにより、高強度・高靭性の特性を有する鋼材が得られる。例えば、幅方向の結晶粒サイズに対する圧延方向の結晶粒サイズの比である結晶粒アスペクト比が大きいほど、再結晶した新しい結晶粒径が小さくなり、また、結晶内に核生成サイト(すべり面)が生じ、そこを起点として核が成長するので、結晶組織が微細化しやすくなる。このように、再結晶率および結晶粒アスペクト比は、鋼材の結晶組織の状態を知るための重要な情報である。
また、再結晶率および結晶粒アスペクト比は、当該鋼材について横波音速の異方性を表す音速パラメータと相関があることが知られている。この相関関係は、非特許文献1、2に開示されている。したがって、かかる音速パラメータを求めれば、当該鋼材の結晶粒アスペクト比を知ることができる。
NDT&E International、 Vol.33、 2000、 p.253-259、 "Ultrasonic velocity measurements for characterizing the annealing behaviour of cold worked austenitic stainless steel" 「SUS304のクリープ変形に伴う超音波速度変化」 Proc. of Japanese Material Society、 41st (1992)、 p.22-24
しかしながら、従来は、熱間の鋼材製造プロセスにおいて、再結晶率および結晶粒アスペクト比をオンラインで測定することは行われていない。上記の文献では、接触型の横波プローブを使って横波音速を測定しており、当然、この方法は、熱間オンラインでの測定に用いることはできない。もし熱間オンラインで再結晶率および結晶粒アスペクト比についての情報が得られれば、例えば、その情報を次工程の圧延条件へフィードフォワードすることにより、組織微細の鋼材を効率的・安定的に製造できるようになり、また、高精度な鋼材の製造技術による材質ばらつきの低減にも貢献できる。
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、熱間オンラインで測定対象物の再結晶率および結晶粒アスペクト比を測定することができる再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置及び方法を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、板状の測定対象物についての再結晶率と結晶粒アスペクト比とを分離測定する再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置であって、各鋼種について結晶粒アスペクト比と横波音速の異方性を表す音速パラメータとの相関関係を示すデータを記憶する記憶手段と、第一レーザビームを前記測定対象物の表面に照射することにより、前記測定対象物の内部に横波超音波を発生させる超音波発生手段と、前記測定対象物の内部に発生した、前記測定対象物の長手方向に偏波した第一の横波超音波、前記測定対象物の幅方向に偏波した第二の横波超音波の各々について、当該横波超音波が到達する前記測定対象物の所定位置に第二レーザビームを導くと共に、前記測定対象物で反射した前記第二レーザビームを取得するビーム取得手段と、前記ビーム取得手段で取得された前記第二レーザビームに基づいて、当該横波超音波の振動に起因して生じる前記第二レーザビームの周波数の変化を検出する周波数変化検出手段と、前記測定対象物の温度を測定する温度測定手段と、前記第一の横波超音波及び前記第二の横波超音波の各々について、前記周波数変化検出手段で検出された前記第二レーザビームの周波数変化を表す波形データに基づいて当該横波超音波が前記測定対象物の内部を伝播した伝播時間を求め、その求めた伝播時間に基づいて当該横波超音波の音速を算出し、且つ、前記第一の横波超音波の音速と前記第二の横波超音波の音速とを用いて前記測定対象物についての音速パラメータを求め、その求めた音速パラメータを用い、前記記憶手段に記憶された前記測定対象物と同じ鋼種についての前記相関関係を示すデータに基づいて、再結晶率及び結晶粒アスペクト比のうち、前記温度測定手段により測定された温度が所定温度以上である場合に、前記測定対象物についての再結晶率のみを演算し、所定温度より低い場合に結晶粒アスペクト比のみを演算する演算手段とを具備することを特徴とするものである。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置において、前記第一レーザビームはライン状のものであり、且つ、前記超音波発生手段は、前記第一レーザビームを、そのラインの向きが前記測定対象物の幅方向となるようにして前記測定対象物の表面に照射することにより、前記測定対象物の内部に前記第一の横波超音波を発生させると共に、前記第一レーザビームを、そのラインの向きが前記測定対象物の長手方向となるようにして前記測定対象物の表面に照射することにより、前記測定対象物の内部に前記第二の横波超音波を発生させることを特徴とするものである。
更に、請求項3記載の発明は、請求項2記載の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置において、前記ビーム取得手段は、前記第一レーザビームのラインの中心点を通りそのラインに直交する平面と前記測定対象物の表面又は底面とが交わる直線上に、前記第二レーザビームを導くことを特徴とするものである。
上記の目的を達成するための請求項4記載の発明は、板状の測定対象物についての再結晶率と結晶粒アスペクト比とを分離測定する再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定方法であって、前記測定対象物の温度を測定する第一ステップと、第一レーザビームを前記測定対象物の表面に照射することにより、前記測定対象物の内部に横波超音波を発生させる第二ステップと、前記測定対象物の内部に発生した、前記測定対象物の長手方向に偏波した第一の横波超音波、前記測定対象物の幅方向に偏波した第二の横波超音波の各々について、当該横波超音波が到達する前記測定対象物の所定位置に第二レーザビームを導くと共に、前記測定対象物で反射した前記第二レーザビームを取得する第三ステップと、前記第三ステップで取得された前記第二レーザビームに基づいて、当該横波超音波の振動に起因して生じる前記第二レーザビームの周波数の変化を検出する第四ステップと、前記第四ステップで検出された前記第二レーザビームの周波数変化を表す波形データに基づいて当該横波超音波が前記測定対象物の内部を伝播した伝播時間を求める第五ステップと、前記第五ステップで求めた伝播時間に基づいて当該横波超音波の音速を算出する第六ステップと、前記第一の横波超音波の音速と前記第二の横波超音波の音速とを用いて前記測定対象物についての横波音速の異方性を表す音速パラメータを求める第七ステップと、各鋼種について結晶粒アスペクト比と音速パラメータとの相関関係を示すデータが予め求められており、前記測定対象物と同じ鋼種についての前記相関関係を示すデータに基づいて、再結晶率及び結晶粒アスペクト比のうち、前記第一ステップで測定した温度が所定温度以上である場合に、前記第七ステップで求めた音速パラメータを用いて前記測定対象物についての再結晶率のみを演算し、所定温度より低い場合に結晶粒アスペクト比のみを演算する第八ステップとを具備することを特徴とするものである。
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定方法において、前記第一レーザビームはライン状のものであり、且つ、前記第二ステップでは、前記第一レーザビームを、そのラインの向きが前記測定対象物の幅方向となるようにして前記測定対象物の表面に照射することにより、前記測定対象物の内部に前記第一の横波超音波を発生させると共に、前記第一レーザビームを、そのラインの向きが前記測定対象物の長手方向となるようにして前記測定対象物の表面に照射することにより、前記測定対象物の内部に前記第二の横波超音波を発生させることを特徴とするものである。
更に、請求項6記載の発明は、請求項5記載の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定方法において、前記第三ステップでは、前記第一レーザビームのラインの中心点を通りそのラインに直交する平面と前記測定対象物の表面又は底面とが交わる直線上に、前記第二レーザビームを導くことを特徴とするものである。
以上、説明したように本発明の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置では、レーザ超音波法を用いることにより、測定対象物の内部にその表面に対して斜めに進行する横波超音波を発生させ、圧延方向に偏波した第一の横波超音波、幅方向に偏波した第二の横波超音波の各々について、当該横波超音波が測定対象物の内部を伝播した伝播時間を求め、その求めた伝播時間に基づいて当該横波超音波の音速を算出する。そして、第一の横波超音波の音速と第二の横波超音波の音速とを用いて測定対象物についての音速パラメータを求め、その求めた音速パラメータを用い、記憶手段に記憶された測定対象物と同じ鋼種についての再結晶率および結晶粒アスペクト比と音速パラメータとの関係を示すデータに基づいて測定対象物についての再結晶率および結晶粒アスペクト比を得る。したがって、本発明の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置を用いると、熱間オンラインで測定対象物の再結晶率および結晶粒アスペクト比を求めることができる。
また、本発明の再結晶率および結晶粒アスペクト比測定方法によれば、上記と同様に、熱間オンラインで測定対象物の再結晶率および結晶粒アスペクト比を求めることができる。
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態である再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置の概略構成図、図2はその再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置におけるヘッド部の概略構成図、図3は、ある鋼種についての再結晶率(a)および結晶粒アスペクト比(b)と音速パラメータとの相関関係を示すグラフである。
本実施形態による再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置は、測定対象物の再結晶率および結晶粒アスペクト比を非接触で分離測定するものである。ここで、測定対象物としては、例えば、製鉄所において、熱間プロセスにより製造される板状の鋼材(厚板)を想定している。かかる厚板の表面温度は、通常、700℃ぐらいである。また、厚板の厚さは10mm〜100mm程度である。ここで、再結晶率とは、ある領域において再結晶粒の占める割合であり、結晶粒アスペクト比とは、鋼材の幅方向における結晶粒サイズに対する鋼材の長手方向(圧延方向)における結晶粒サイズの比である。
各種の鋼材では、再結晶率および結晶粒アスペクト比と、当該鋼材の内部を伝播する横波超音波の音速から得られる所定の音速パラメータαとの間に密接な関係がある。図3にある鋼種についての再結晶率および結晶粒アスペクト比と音速パラメータαとの相関関係の一例を示す。図3(a)において、横軸は鋼材の再結晶率、縦軸は音速パラメータαであり、図3(b)において、横軸は鋼材の結晶粒アスペクト比、縦軸は音速パラメータαである。
再結晶とは、大きいひずみのある結晶粒界に新しい結晶の核が発生し、次第に成長して、もとの結晶粒がこの新しい結晶粒(再結晶粒)に置き換わる現象をいう。そして、再結晶率とは、ある領域において再結晶粒の占める割合をいう。
結晶粒アスペクト比とは、鋼材の幅方向における結晶粒サイズに対する鋼材の長手方向(圧延方向)における結晶粒サイズの比である。例えば、鋼材が圧延されると、その鋼材の結晶粒は圧延方向に引き伸ばされることになる。結晶粒アスペクト比は、かかる結晶粒の伸び具合を表している。
また、音速パラメータαは、当該鋼材中を伝播する横波超音波の音速の異方性を表すものであり、(VS1−VS2)/{(VS1+VS2)/2}で定義される。ここで、VS1は鋼材の長手方向(圧延方向)に偏波した横波超音波の音速であり、VS2は鋼材の幅方向に偏波した横波超音波の音速である。
図3(a)のグラフの例では、鋼材の再結晶率が小さいほど、音速パラメータαの絶対値は大きく、したがって、横波音速の異方性が大きいことが分かる。また、鋼材の再結晶率が大きいほど、音速パラメータαの絶対値が小さく、したがって、横波音速の異方性が小さいことが分かる。例えば、鋼材を圧延した直後には、再結晶粒はまだ発生していないので、再結晶率は0%である。そして、この圧延直後の鋼材は、その結晶方位が揃っており、横波音速の異方性が大きい。図3のグラフの例では、最左下にプロットした点が圧延直後の状態に対応している。また、再結晶粒はその結晶方位がランダムになるように成長するので、再結晶率が100%に近づくにつれて、横波音速の異方性は小さくなる。図3(a)のグラフの例では、最右上にプロットした点は再結晶が進んだ状態に対応している。
また、図3(b)のグラフの例では、結晶粒アスペクト比は音速パラメータαに略比例することが分かる。すなわち、鋼材の再結晶率および結晶粒アスペクト比が大きいほど、音速パラメータαが小さく、したがって、横波音速の異方性が小さい。
更に、鋼材は、圧延過程において、特定温度(本明細書では非再結晶温度Tnrと称する)以上の温度領域においてのみ再結晶し、この場合、結晶粒アスペクト比は、図4に示すように、再結晶過程で再結晶率の如何に関わらず概ね2.0前後で一定となることが組織観察から判明した。他方、非再結晶温度Tnrよりも低くなると鋼材は再結晶せず、再結晶率0%であることは自明である。
そこで、本実施形態の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置は、鋼材中を伝播する横波の音速VS1、VS2を求めた後、圧延の仕上工程の直前に鋼材の表面温度を測定して、該表面温度Tsuを非再結晶温度Tnrと比較し、Tsu≧Tnrの場合に、図3(a)に示すような再結晶率と音速パラメータαとの関係を利用して、鋼材の再結晶率を求め、Tsu<Tnrの場合に、図3(b)に示すような結晶粒アスペクト比と音速パラメータαとの関係を利用して、鋼材の結晶粒アスペクト比を求めるようにした。このとき、鋼材における横波の音速はレーザ超音波法を用いて算出する。
本実施形態の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置は、図1に示すように、超音波発生用レーザ源10と、超音波検出用レーザ源20と、ヘッド部30と、干渉計(周波数変化検出手段)50と、光検出器60と、コンピュータ(演算手段)70と、温度センサ、好ましくは非接触式温度センサ、例えば赤外線温度センサ80を備える。また、この再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置には、光学部品として、光ファイバ91a、91b、91c、集光レンズ92等が設けられている。
超音波発生用レーザ源10は、測定対象物2内に超音波を励起させるためのレーザを照射する。超音波発生用レーザとしては、例えばYAGレーザやCO2レーザなどの高エネルギーパルスレーザを使用する。超音波発生用レーザ源10から照射されたレーザビームは、光ファイバ91aを介してヘッド部30に導かれる。
超音波検出用レーザ源20は、超音波発生用レーザ源10からのレーザビームの照射によって測定対象物2内に発生し、測定対象物2内を伝播してきた超音波を検出するためのレーザである。超音波検出用レーザとしては、単一周波数の連続レーザビームが用いられる。超音波検出用レーザ源20から照射されたレーザビームは、光ファイバ91bを介してヘッド部30に導かれる。
ヘッド部30は、図2に示すように、超音波発生部31と、ビーム取得部41とを備える。超音波発生部31は、測定対象物2の内部に、測定対象物2の圧延方向に偏波した第一の横波超音波(圧延方向偏波横波)を発生させると共に、測定対象物2の内部に、測定対象物2の幅方向に偏波した第二の横波超音波(幅方向偏波横波)を発生させるものである。この超音波発生部31は、シリンドリカルレンズ35と、シリンドリカルレンズ35の回転機構(図示せず)とを有する。光ファイバ91aにより超音波発生部31に導かれたレーザビームは、シリンドリカルレンズ35に入射する。シリンドリカルレンズ35は、超音波発生用レーザ源10からのレーザビームをライン状に集光させ、ラインフォーカスビーム(第一レーザビーム)L1として測定対象物2の表面に照射するものである。
本実施形態では、例えば、光ファイバ91aの出射端において、超音波発生用レーザ源10からのレーザビームの直径は約5mmである。レーザビームは進行するにつれてその直径が広がってくる。シリンドリカルレンズ35の入射面においてレーザビームの直径が約10mmとなるように、光ファイバ91aの出射端とシリンドリカルレンズ35との距離を調整している。また、測定対象物2の表面において、長さ10mm、幅0.3mm〜0.5mmのラインフォーカスビームL1が照射されるように、シリンドリカルレンズ35の特性、及びシリンドリカルレンズ35と測定対象物2との距離等を設計している。
また、シリンドリカルレンズ35の回転機構により、シリンドリカルレンズ35の長手方向の軸は、測定対象物2の表面に平行な平面内において任意の方向を向くことができる。この回転機構は、例えばコンピュータ70により制御される。
ラインフォーカスビームL1を測定対象物2の表面に照射すると、測定対象物2の表面に対して所定の角度φで斜めに進行する超音波を発生させることができる。このとき、横波超音波と縦波超音波が同時に発生し、横波超音波と縦波超音波とでは、その進行方向角度φが異なる。本実施形態では、主として、超音波のうち横波だけ考えることにする。図3に示す再結晶率および結晶粒アスペクト比と音速パラメータαとの関係から再結晶率および結晶粒アスペクト比を求めるには、横波についての音速情報を得れば十分だからである。
具体的に、ラインフォーカスビームL1を、そのラインの向きが測定対象物2の幅方向に平行となるようにして測定対象物2の表面に照射すると、圧延方向偏波横波が発生し、一方、ラインフォーカスビームL1を、そのラインの向きが測定対象物2の圧延方向に平行となるようにして測定対象物2の表面に照射すると、幅方向偏波横波が発生する。
尚、点状のレーザビームを測定対象物2の表面に照射すると、測定対象物2の表面に対していろいろな方向に進行する超音波が発生する。当然、それらの超音波には、圧延方向偏波横波、幅方向偏波横波が含まれているが、その強度は小さいので、圧延方向偏波横波と幅方向偏波横波を正確に検出することは困難である。このため、本実施形態では、ラインフォーカスビームL1を用い、そのラインの向きを変えることにより、圧延方向偏波横波と幅方向偏波横波をそれぞれ独立に発生させることにしている。
ビーム取得部41は、圧延方向偏波横波及び幅方向偏波横波の各超音波について、当該超音波が測定対象物2の底面で反射して再び表面に戻ってきた位置(検出点位置)に、超音波検出用レーザ源20から発せられた第二レーザビームL2を導くと共に、測定対象物2の表面で反射した第二レーザビームL2を取得するものである。このビーム取得部41は、集光レンズ45a、45bと、ハーフミラー46とを有する。また、ビーム取得部41は、一体的に構成されており、圧延方向及び幅方向に沿って移動することができる。
光ファイバ91bによりビーム取得部41に導かれた第二レーザビームL2は、集光レンズ45aで集光され、ハーフミラー46を透過した後、測定対象物2上の検出点位置に照射される。ここで、測定対象物2の内部を伝播する横波超音波の進行方向角度φは予め分かっているので、その横波超音波の検出点位置も容易に知ることができる。ビーム取得部41は、その検出点位置に、集光レンズ45aによって集光された第二レーザビームL2を導く。
また、本実施形態では、ビーム取得部41は、ラインフォーカスビームL1の略中心点を通りそのラインに直交する平面と測定対象物2の表面とが交わる直線上に、第二レーザビームL2を導くことにしている。すなわち、当該直線上の所定位置が検出点位置となる。例えば、ラインフォーカスビームL1の端点では、点状のレーザビームを照射した場合と同じ状況になり、超音波がいろいろな方向に発生する。このため、ラインフォーカスビームL1の端点を通りそのラインに直交する平面と測定対象物2の表面とが交わる直線上には、いろいろな方向に発生した超音波が戻ってくるので、所定方向に偏波した横波を正確に検出することができない。これに対し、ラインフォーカスビームL1の略中心点では、所定方向に偏波した横波だけが発生するので、ラインフォーカスビームL1の略中心点を通りそのラインに直交する平面と測定対象物2の表面とが交わる直線上の所定位置を検出点位置とすることにより、所定方向に偏波した横波を正確に検出することができる。
測定対象物2の表面は粗面であるため、第二レーザビームL2は測定対象物2の表面においてほぼ等方的に散乱される。このとき、当該検出点位置に、測定対象物2の内部を伝播してきた超音波が戻ってくると、当該検出点位置が超音波振動をする。これにより、測定対象物2の表面で散乱された第二レーザビームL2は、測定対象物2の表面の超音波振動に起因するドップラーシフトを受けて周波数が変化する。
測定対象物2の表面で散乱された第二レーザビームL2のうち、その一部は、ハーフミラー46で反射され、集光レンズ45bで集光された後、光ファイバ91cに入射する。この光ファイバ91cは、かかる第二レーザビームL2を干渉計50に導くものである。光ファイバ91cから出射した第二レーザビームL2は、集光レンズ92で集光された後、干渉計50に入射する。
干渉計50としては、例えばファブリ・ペロー干渉計が用いられる。このファブリ・ペロー干渉計50は、超音波振動に起因して生じる第二レーザビームL2の周波数変化を検出するものであり、互いに対向する二つの反射ミラーを有する。この二つの反射ミラーは共振器を構成し、第二レーザビームL2を二つの反射ミラーの間で多重反射させることによりバンドパスフィルタとして機能する。二つの反射ミラー間の距離を調節することにより、この共振器を透過する光の周波数を調節することができる。
ここで、ファブリ・ペロー干渉計50における共振曲線について説明する。図5はこの共振曲線の一例を示す図である。図5において、横軸は入射する光の周波数fを、縦軸はファブリ・ペロー干渉計50からの出力、すなわちファブリ・ペロー干渉計50を透過する光の強度Iを示している。図5から分かるように、透過光強度Iは、特定の周波数において急峻なピークを示すが、ピークの前後では速やかに低下する。このピークを示す周波数は、ファブリ・ペロー干渉計50の反射ミラー間の距離を調節することによって変えることができる。そこで、図5に示す曲線の傾きが最大となる点(共振曲線動作点)Aにおける周波数が、ちょうど第二レーザビームL2の発振周波数と一致するように反射ミラー間の距離が調節されていれば、周波数のわずかな変化±Δfを、相対的に大きな透過光強度の変化±ΔIに変換することができる。これにより、ファブリ・ペロー干渉計50は、測定対象物2の表面の超音波振動に起因するドップラーシフトを受けて周波数が変化した第二レーザビームL2が入力したときに、その周波数の変化を透過光強度の変化として出力する。
ファブリ・ペロー干渉計50から出力された透過光強度は、光検出器60に送られる。光検出器60は、透過光強度を電気信号に変換するものである。これにより、超音波振動は、最終的に電気的な信号として捉えられる。光検出器60からの信号は、コンピュータ70に送られ、波形データとして記録される。
コンピュータ70は、圧延方向偏波横波及び幅方向偏波横波の各横波超音波について、第二レーザビームL2の周波数変化を表す波形データに基づいて、当該横波超音波が測定対象物2の内部を伝播し、その底面で反射して再び表面に戻ってくるまでの伝播時間を求める。超音波発生用レーザ源10からレーザビームが発せられたタイミングと、ラインフォーカスビームL1が測定対象物2に照射するタイミングとは予め分かっている。このため、コンピュータ70は、光検出器60から送られた波形データに基づいて、周波数変化を検出したタイミングを調べることにより、横波超音波の伝播時間を求めることができる。
また、コンピュータ70は、圧延方向偏波横波の伝播時間に基づいてその圧延方向偏波横波の音速VS1を算出すると共に、幅方向偏波横波の伝播時間に基づいてその幅方向偏波横波の音速VS2を算出する。そして、その算出した圧延方向偏波横波の音速VS1及び幅方向偏波横波の音速VS2を用いて、音速パラメータα=(VS1−VS2)/{(VS1+VS2)/2}を求める。
コンピュータ70の記憶部には、図3(a)、(b)に示すような、各鋼種について再結晶率および結晶粒アスペクト比と音速パラメータαとの相関関係を示すデータがテーブルや実験式の形式で記憶されている。コンピュータ70は、その求めた音速パラメータαを用いて、記憶部に記憶された当該測定対象物と同じ鋼種についての相関関係を示すデータに基づいて当該測定対象物2についての再結晶率および結晶粒アスペクト比を求める。
ユーザは予め、各鋼種について再結晶率および結晶粒アスペクト比と音速パラメータαとの相関関係を示すデータを求めておく必要がある。
一例として、再結晶率に関するデータを得るには、鋼種毎に複数のサンプル(厚板)を用意する。ここで、サンプルとしては、厚さが約5mmであり、また、結晶粒アスペクト比が略同じ、例えば2〜3であるような厚板を用いる。そして、各サンプルについて、再結晶率と音速パラメータαとを個別に求める。具体的には、再結晶率は、当該サンプルをその長手方向に垂直な平面で切断したときの断面を顕微鏡で観察して、ある領域において再結晶粒の占める割合を実測することにより、求められる。一方、音速パラメータαは、例えば本実施形態の装置を用いることにより求められる。こうして求めた、再結晶率と音速パラメータαとをグラフで表すと、図3(a)に示すようなグラフが得られる。尚、一般に、再結晶率と音速パラメータαとの関係は鋼種毎に異なるので、かかる関係を鋼種毎に求めることにしている。
また、結晶粒アスペクト比に関するデータを得るには、まず、鋼種毎に複数のサンプル(厚板)を用意する。ここで、サンプルとしては、厚さが約10mmであり、また、再結晶率が略同じ、例えば0であるような厚板を用いる。そして、各サンプルについて、再結晶率および結晶粒アスペクト比と音速パラメータαとを個別に求める。具体的には、再結晶率および結晶粒アスペクト比は、当該サンプルをその長手方向に垂直な平面で切断したときの断面を顕微鏡で観察して、結晶粒のサイズを実測することにより、求められる。一方、音速パラメータαは、例えば本実施形態の装置を用いることにより求められる。こうして求めた、再結晶率および結晶粒アスペクト比と音速パラメータαとをグラフで表すと、図3に示すようなグラフが得られる。尚、一般に、再結晶率および結晶粒アスペクト比と音速パラメータαとの関係は鋼種毎に異なるので、かかる関係を鋼種毎に求めることにしている。
更に、種々の鋼材に関して非再結晶温度Tnrを予め知っておく必要があるが、これは一般に頒布されている金属に関するデータブック等で公知である。
ところで、サンプルの音速パラメータαを求める場合には、図1に示す装置の代わりに、図6に示すような装置でも計測可能である。図6は本実施形態の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置の変形例を説明するための図である。図6に示す再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置は、超音波発生用レーザ源10と、超音波検出用レーザ源20と、超音波発生部31aと、ビーム取得部41aと、干渉計50と、光検出器60と、コンピュータ70と、温度センサ80と、回転ステージ100とを備える。尚、図6の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置において、図1の装置と同一の機能を有するものには、同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
図6の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置が図1に示す装置と異なる点は、主に二つある。第一は、回転ステージ100に測定対象物2を載置し、回転ステージ100を回転させることによりラインフォーカスビームL1のラインの向きを変える点である。すなわち、超音波発生部31aはシリンドリカルレンズ35の回転機構を有していない。第二は、超音波発生部31aとビーム取得部41aとを別個に構成し、ビーム取得部41aを測定対象物2を介して超音波発生部31aと反対側に配置した点である。すなわち、ビーム取得部41aは、圧延方向偏波横波及び幅方向偏波横波の各超音波について、当該横波超音波が到達する測定対象物2の底面の位置に、第二レーザビームL2を導くと共に、測定対象物2の底面で反射した第二レーザビームL2を取得する。その他の構成は、図1の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置と略同様である。
図6の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置は、その構成が簡易であり、特に、サイズのそれ程大きくない測定対象物2に対する測定を行う場合に適している。したがって、上述したサンプルについてその音速パラメータを求める場合に好適である。但し、この装置は、測定対象物2を回転ステージ100に載置するので、熱間オンラインでの測定を行う場合に用いることはできない。
次に、図7に示すフローチャートを参照して、本実施形態の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置において、測定対象物2の再結晶率および結晶粒アスペクト比を測定する手順について説明する。
まず、温度センサ80により鋼材の表面温度Tsuが測定され、コンピュータ70は測定された温度tmを記憶する。但し、この温度測定段階は、後述する音速パラメータαを求めるプロセス(S1〜S6)のどの段階で行ってもよい。
コンピュータ70は、シリンドリカルレンズ35の長手方向が幅方向となるように、シリンドリカルレンズ35の回転機構を制御する(ステップS1)。その後、超音波発生用レーザ源10からレーザビームを発すると共に、超音波検出用レーザ源20から第二レーザビームL2を発する。超音波発生用レーザ源10からのレーザビームは、シリンドリカルレンズ35でライン状に集光され、ラインフォーカスビームL1として測定対象物2の表面に照射される。このとき、ラインフォーカスビームL1のラインの向きは測定対象物2の幅方向に平行であるので、測定対象物2の内部には圧延方向偏波横波が発生する。測定対象物2の表面で散乱された第二レーザビームL2がファブリ・ペロー干渉計50に入射することにより、ファブリ・ペロー干渉計50は、圧延方向偏波横波の超音波の振動に起因して生じる第二レーザビームL2の周波数変化を検出する。そして、コンピュータ70は、その周波数変化を表す波形データに基づいて、圧延方向偏波横波の伝播時間を求める(ステップS2)。この伝播時間はコンピュータ70の所定のメモリに記憶される。
次に、コンピュータ70は、シリンドリカルレンズ35の長手方向が圧延方向となるように、シリンドリカルレンズ35の回転機構を制御する(ステップS3)。その後、超音波発生用レーザ源10からレーザビームを発すると共に、超音波検出用レーザ源20から第二レーザビームL2を発する。このとき、シリンドリカルレンズ35で集光されたラインフォーカスビームL1のラインの向きは測定対象物2の圧延方向に平行であるので、測定対象物2の内部には幅方向偏波横波が発生する。測定対象物2の表面で散乱された第二レーザビームL2がファブリ・ペロー干渉計50に入射することにより、ファブリ・ペロー干渉計50は、幅方向偏波横波の超音波の振動に起因して生じる第二レーザビームL2の周波数変化を検出する。そして、コンピュータ70は、その周波数変化を表す波形データに基づいて、幅方向偏波横波の伝播時間を求める(ステップS4)。この伝播時間はコンピュータ70の所定のメモリに記憶される。
図8に、コンピュータ70に記録された波形データの例を示す。図8(a)は結晶粒アスペクト比が9.5である測定対象物2を用いたときに得られた波形データであり、図8(b)は結晶粒アスペクト比が3.3である測定対象物2を用いたときに得られた波形データである。ここで、図8(a)、(b)において、縦軸は検出信号の振幅(V)を、横軸は時間(μ sec)を表しており、また、実線はラインフォーカスビームL1を、そのラインの向きが測定対象物2の幅方向となるようにして測定対象物2の表面に照射したときに得られた波形であり、点線はラインフォーカスビームL1を、そのラインの向きが測定対象物2の圧延方向となるようにして測定対象物2の表面に照射したときに得られた波形である。尚、図8に示す波形データは、図6に示す再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置を用いて得られたものである。
図8(a)、(b)から分かるように、圧延方向偏波横波S1の到達時間と幅方向偏波横波S2の到達時間とはずれている。かかる到達時間のずれは、結晶粒アスペクト比が9.5である測定対象物2の方が、結晶粒アスペクト比が3.3である測定対象物2よりも大きい。このずれが横波音速の異方性を表している。本実施形態の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置では、到達時間のずれを精度良く検出することができる。
ところで、ラインフォーカスビームL1を測定対象物2に照射した場合には、横波だけでなく縦波も発生するので、図8(a)、(b)の波形データには、その縦波Lも記録されている。縦波Lの音速は横波S1、S2の音速よりも大きいので、縦波Lは横波S1、S2より早い時刻に検出されている。また、図8(a)、(b)の波形データには、反射縦波LLも記録されている。この反射縦波LLは、縦波Lが測定対象物2の底面で一度反射し、再び測定対象物2の内部を伝播した後に、検出点位置で検出されたものである。尚、縦波Lは、測定対象物2の底面で反射縦波LLとして反射する他に、一部、モード変換し、横波として反射することがある。これをモード変換横波LSという。
こうして検出された波形データに基づいて、圧延方向偏波横波、幅方向偏波横波についての伝播時間が求められると、次に、コンピュータ70は、圧延方向偏波横波の伝播時間に基づいて圧延方向偏波横波の音速VS1を算出すると共に、幅方向偏波横波の伝播時間に基づいて幅方向偏波横波の音速VS2を算出する(ステップS5)。そして、圧延方向偏波横波の音速VS1と幅方向偏波横波の音速VS2とを用いて、音速パラメータαを求める(ステップS6)。
次いで、コンピュータ70は、測定された温度Tmを非再結晶温度Tnrと比較する(ステップS7)。その結果、Tm≧Tnrである場合(ステップS7においてYesの場合)、コンピュータ70は、記憶部に記憶された当該測定対象物2と同種の鋼材についての再結晶率と音速パラメータαとの関係を示すデータ(図3(a))を利用し、当該測定対象物2の音速パラメータαから当該測定対象物2の再結晶率を求める(ステップS8)。この場合、結晶粒アスペクト比は、約2.0と見積もられる(図4参照)。
ステップS7において、Tm<Tnrである場合(ステップS7においてNoの場合)、コンピュータ70は、記憶部に記憶された当該測定対象物2と同種の鋼材についての結晶粒アスペクト比と音速パラメータαとの関係を示すデータ(図3(b))を利用し、当該測定対象物2の音速パラメータαから当該測定対象物2の結晶粒アスペクト比を求める(ステップS9)。この場合、再結晶率は概ね0(零)と見積もられる。こうして得られた測定対象物2の再結晶率および結晶粒アスペクト比は、例えば、コンピュータ70の画面に表示される。
本実施形態の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置では、レーザ超音波法を用いることにより、測定対象物の内部にその表面に対して斜めに進行する横波超音波を発生させ、圧延方向に偏波した横波超音波、幅方向に偏波した横波超音波の各々について、当該横波超音波が測定対象物の内部を伝播した伝播時間を求め、その求めた伝播時間に基づいて当該横波超音波の音速を算出する。そして、圧延方向偏波横波の音速と幅方向偏波横波の音速とを用いて測定対象物についての音速パラメータを求め、その求めた音速パラメータを用い、コンピュータの記憶部に記憶された測定対象物と同じ鋼種についての再結晶率および結晶粒アスペクト比と音速パラメータとの関係を示すデータに基づいて測定対象物についての再結晶率および結晶粒アスペクト比を得る。
したがって、本実施形態の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置を用いると、熱間オンラインで測定対象物の再結晶率および結晶粒アスペクト比を求めることができる。このため、かかる再結晶率および結晶粒アスペクト比についての情報を、例えば次工程の圧延条件へフィードフォワードすることにより、組織微細の鋼材を効率的・安定的に製造できるようになり、また、高精度な鋼材の製造技術による材質ばらつきの低減にも貢献することができる。
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、上記の実施形態では、ラインフォーカスビームを測定対象物の表面に照射することにより、測定対象物の内部に横波を発生させ、その発生させた横波を検出することにより、横波の音速を求める場合について説明したが、横波と同時に縦波Lが発生するので、その縦波Lが測定対象物の底面で横波にモード変換する成分であるモード変換横波LSを検出することにより、横波の音速を求めるようにしてもよい。但し、この場合は、測定対象物の底面でモード変換しなかった反射縦波LLをも検出する必要がある。
また、上記の実施形態では、測定対象物として、熱間プロセスで製造される厚板を用いた場合について説明したが、本発明の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置は、かかる厚板以外のどのような金属に対しても適用することができる。
本発明の一実施形態である再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置の概略構成図である。 その再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置におけるヘッド部の概略構成図である。 ある鋼種についての再結晶率(a)および結晶粒アスペクト比(b)と音速パラメータとの相関関係を示すグラフである。 ある鋼種についての結晶粒アスペクト比と再結晶率との関係を示すグラフである。 本実施形態の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置におけるファブリ・ペロー干渉計の共振曲線の一例を示す図である。 本実施形態の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置の変形例を説明するための図である。 本実施形態の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置において測定対象物の再結晶率および結晶粒アスペクト比を測定する手順を説明するためのフローチャートである。 (a)、(b)は、コンピュータに記録された波形データの例を示す図である。
符号の説明
2…測定対象物
10…超音波発生用レーザ
20…超音波検出用レーザ
30…ヘッド部
31…超音波発生部
31a…超音波発生部
35…シリンドリカルレンズ
41…ビーム取得部
41a…ビーム取得部
45a…集光レンズ
45b…集光レンズ
46…ハーフミラー
50…干渉計
60…光検出器
70…コンピュータ
80…温度センサ
91a…光ファイバ
91b…光ファイバ
91c…光ファイバ
92…集光レンズ
100…回転ステージ

Claims (6)

  1. 板状の測定対象物についての再結晶率と結晶粒アスペクト比とを分離測定する再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置であって、
    各鋼種について結晶粒アスペクト比と横波音速の異方性を表す音速パラメータとの相関関係を示すデータを記憶する記憶手段と、
    第一レーザビームを前記測定対象物の表面に照射することにより、前記測定対象物の内部に横波超音波を発生させる超音波発生手段と、
    前記測定対象物の内部に発生した、前記測定対象物の長手方向に偏波した第一の横波超音波、前記測定対象物の幅方向に偏波した第二の横波超音波の各々について、当該横波超音波が到達する前記測定対象物の所定位置に第二レーザビームを導くと共に、前記測定対象物で反射した前記第二レーザビームを取得するビーム取得手段と、
    前記ビーム取得手段で取得された前記第二レーザビームに基づいて、当該横波超音波の振動に起因して生じる前記第二レーザビームの周波数の変化を検出する周波数変化検出手段と、
    前記測定対象物の温度を測定する温度測定手段と、
    前記第一の横波超音波及び前記第二の横波超音波の各々について、前記周波数変化検出手段で検出された前記第二レーザビームの周波数変化を表す波形データに基づいて当該横波超音波が前記測定対象物の内部を伝播した伝播時間を求め、その求めた伝播時間に基づいて当該横波超音波の音速を算出し、且つ、前記第一の横波超音波の音速と前記第二の横波超音波の音速とを用いて前記測定対象物についての音速パラメータを求め、その求めた音速パラメータを用い、前記記憶手段に記憶された前記測定対象物と同じ鋼種についての前記相関関係を示すデータに基づいて、再結晶率及び結晶粒アスペクト比のうち、前記温度測定手段により測定された温度が所定温度以上である場合に、前記測定対象物についての再結晶率のみを演算し、所定温度より低い場合に結晶粒アスペクト比のみを演算する演算手段と、
    を具備することを特徴とする再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置。
  2. 前記第一レーザビームはライン状のものであり、且つ、前記超音波発生手段は、前記第一レーザビームを、そのラインの向きが前記測定対象物の幅方向となるようにして前記測定対象物の表面に照射することにより、前記測定対象物の内部に前記第一の横波超音波を発生させると共に、前記第一レーザビームを、そのラインの向きが前記測定対象物の長手方向となるようにして前記測定対象物の表面に照射することにより、前記測定対象物の内部に前記第二の横波超音波を発生させることを特徴とする請求項1記載の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置。
  3. 前記ビーム取得手段は、前記第一レーザビームのラインの中心点を通りそのラインに直交する平面と前記測定対象物の表面又は底面とが交わる直線上に、前記第二レーザビームを導くことを特徴とする請求項2記載の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定装置。
  4. 板状の測定対象物についての再結晶率と結晶粒アスペクト比とを分離測定する再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定方法であって、
    前記測定対象物の温度を測定する第一ステップと、
    第一レーザビームを前記測定対象物の表面に照射することにより、前記測定対象物の内部に横波超音波を発生させる第二ステップと、
    前記測定対象物の内部に発生した、前記測定対象物の長手方向に偏波した第一の横波超音波、前記測定対象物の幅方向に偏波した第二の横波超音波の各々について、当該横波超音波が到達する前記測定対象物の所定位置に第二レーザビームを導くと共に、前記測定対象物で反射した前記第二レーザビームを取得する第三ステップと、
    前記第三ステップで取得された前記第二レーザビームに基づいて、当該横波超音波の振動に起因して生じる前記第二レーザビームの周波数の変化を検出する第四ステップと、
    前記第四ステップで検出された前記第二レーザビームの周波数変化を表す波形データに基づいて当該横波超音波が前記測定対象物の内部を伝播した伝播時間を求める第五ステップと、
    前記第五ステップで求めた伝播時間に基づいて当該横波超音波の音速を算出する第六ステップと、
    前記第一の横波超音波の音速と前記第二の横波超音波の音速とを用いて前記測定対象物についての横波音速の異方性を表す音速パラメータを求める第七ステップと、
    各鋼種について結晶粒アスペクト比と音速パラメータとの相関関係を示すデータが予め求められており、前記測定対象物と同じ鋼種についての前記相関関係を示すデータに基づいて、再結晶率及び結晶粒アスペクト比のうち、前記第一ステップで測定した温度が所定温度以上である場合に、前記第七ステップで求めた音速パラメータを用いて前記測定対象物についての再結晶率のみを演算し、所定温度より低い場合に結晶粒アスペクト比のみを演算する第八ステップと、
    を具備することを特徴とする再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定方法。
  5. 前記第一レーザビームはライン状のものであり、且つ、前記第二ステップでは、前記第一レーザビームを、そのラインの向きが前記測定対象物の幅方向となるようにして前記測定対象物の表面に照射することにより、前記測定対象物の内部に前記第一の横波超音波を発生させると共に、前記第一レーザビームを、そのラインの向きが前記測定対象物の長手方向となるようにして前記測定対象物の表面に照射することにより、前記測定対象物の内部に前記第二の横波超音波を発生させることを特徴とする請求項4記載の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定方法。
  6. 前記第三ステップでは、前記第一レーザビームのラインの中心点を通りそのラインに直交する平面と前記測定対象物の表面又は底面とが交わる直線上に、前記第二レーザビームを導くことを特徴とする請求項5記載の再結晶率と結晶粒アスペクト比の分離測定方法。
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