しかしながら、このような照明装置14は、射出面26内の光強度を均一にしながら、光源12から導光板10に入射する光を射出光へ変換する割合を高くすることが困難であり、透過型LCDパネル18のバックライトなどとして利用する際に光の利用効率(光源12から導光板10に入射した光のうち、照明光として望ましい角度範囲の射出光に変換される割合)が低いという問題がある。
特にLCDパネル18のバックライトとしては、射出面26の法線方向に強い光を出すことが望まれるが、従来技術では光源12と導光板10の組み合わせのみによってこれを実現することは極めて難しい。導光板10からの射出光を適切な光分布へと変換するために、導光板10と透過型表示素子の間に各種の光学フィルムを挿入する方法も提案されているが、これでは表示装置の厚みが増してしまい、製造コストも嵩んでしまうという別の問題が生じる。
また、プリズム13を用いる場合には構造が比較的大きいために目視観察時にプリズム13の配置パターンを隠すのが困難であること、またプリズム13によって導光板10の厚みが厚くなること、射出光の射出角度範囲や射出光強度を自由に制御することができないなどの問題がある。
更に、導光板10の光入射側端面11に光源12を設置した際に、光源12に近い側と遠い側との光強度を一定にするのが困難である。特に、点状の光源もしくはムラのある光源の場合には、光入射側端面11から光源12に遠い側の端面に光が向かう平均的な方向である平均導光方向(導光板内を導光する光の平均的な方向)Fと直交する方向における射出光の分布の均一性と光の利用効率を共に高くすることは一層困難である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、光の利用効率を高くし、射出面における射出光強度の均一性を高くし、さらに射出光の角度範囲を自在に制御することが可能な簡便な構成の照明装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
すなわち、請求項1の発明は、光源と、光源から入射した光を導光し、導光された光を射出面から射出する平面状の導光板とを備えた照明装置において、回折格子から構成され、射出面または射出面の対向面に、導光板の光入射側から離れるに従って配置密度が大きくなるように配置された射出用光学素子と、射出用光学素子が配置された面に、導光板の光入射側から離れるに従って配置密度が小さくなるように配置された拡散性光学素子とを備えている。
従って、光源の大きさや配置個数、光源からの射出光量ムラに起因する導光板の光入射側における光量分布の不均一性(特に平均導光方向に直交する方向の不均一性)を、拡散性光学素子により拡散することにより解消しながら、平均導光方向に沿って導光板内を導光する光量が減少することを射出用光学素子の配置密度によって補償して射出光に変換するため、平均導光方向に沿っても導光板からの射出光量を均一にできる。
このとき、平均導光方向に直交する方向の不均一性は、一般的に光源から光が導光板に入射した直後が最も大きく、また導光する光が一度均一になれば、その後は均一な導光状態を保ちやすいので、導光板の光入射側付近で不均一性を解消することが最も望ましい。請求項1の発明では、拡散性光学素子を導光板の光入射側において配置密度を大きくすることで十分な均一性を実現し、また均一性が高くなるに連れて配置密度を減らして配置することにより、導光板全体で十分な均一性が得られるようにしている。更に、導光板の射出面もしくはその対向面に拡散性光学素子と射出用光学素子を無理なく配置することが可能となり、容易に高い均一性を得ることができる。
また、射出用光学素子が回折格子から構成されていることにより、構造が極めて微小であり、また微細加工技術などにより容易に任意の領域に形成可能であるため、導光板上の配置が最適化でき、極めて均一な射出光分布を有する導光板を構成することが可能である。
加えて、回折格子の機能により射出光の角度範囲を適宜設計でき、必ずしも他の光学フィルムなどを用いること無しに、望ましい角度範囲の射出光分布を有する均一な照明装置を少ない部材構成で実現することが可能となる。しかもこれらの光学的効果は導光板上の単一面で実現されているため、射出用光学素子と拡散性光学素子の配置位置関係を高精度に保ちながら、極めて容易に製造することも可能である。
請求項2の発明は、請求項1の発明の照明装置において、射出用光学素子および拡散性光学素子が配置された面に複数のセルを配置し、射出用光学素子および拡散性光学素子が、複数のセルのうちの何れかに配置されるようにする。そして、射出用光学素子が配置されたセル、および拡散性光学素子が配置されたセルの配置個数および/または大きさを調整することにより、射出用光学素子の配置密度が光入射側から離れるに従って大きくなり、拡散性光学素子の配置密度が光入射側から離れるに従って小さくなるようにしている。
従って、導光板の各位置における射出用光学素子および/または拡散性光学素子の配置密度を、セルの配置個数および/またはセルの大きさの設定により、簡便に最適化することが可能となり、簡便かつ正確に均一な射出光分布を実現することが可能となる。
請求項3の発明は、請求項2の発明の照明装置において、射出用光学素子が配置されたセルの、導光板内を導光される光の平均導光方向の大きさを5μm以上100μm以下とする。
従って、平均導光方向において、射出用光学素子から射出する光をそのセルの大きさに応じて拡げる(特定方向においてセルが小さいほど、当該方向に光が拡がる)ことができ、照明装置としての射出角度範囲を調整することができる。これは、射出用光学素子を構成する回折格子が単純な回折格子である場合にも、回折格子がレンズのような作用を有し、光を拡げる機能を有する場合にも有効である。更に、光源から導光板に入射する光が白色光である場合に、回折格子の分光作用を、セルの大きさによって光を拡げる効果によって顕著でなくすことができ、より均一な波長分布の射出光を実現できる。セルの大きさは5μm以上であれば回折格子が十分な機能を発揮し、また100μm以下であれば、目視で射出面を観察したときにも十分に均一と感じられるようにセルを配置することができる。
請求項4の発明は、請求項2または請求項3の発明の照明装置において、拡散性光学素子が配置されたセルの、導光板内を導光される光の平均導光方向に直交する方向の大きさを1μm以上100μm以下とする。
従って、平均導光方向に直交する方向において、拡散性光学素子から射出する光をそのセルの大きさに応じて拡げることができ、導光板内の平均導光方向に直交する方向の光量分布を均一にすることができる。これは、拡散性光学素子自身の拡散機能に加えて、更に光を拡散するため、一層の均一化が図れることを意味する。セルの大きさが小さいほどセルの大きさによる拡散効果は大きくなり、実質的に1μm以上であれば内部に拡散性光学素子を形成でき、また100μm以下であれば拡散効果が十分になると共に、目視で射出面を観察したときにも十分に均一と感じられるようにセルを配置することができる。
請求項5の発明は、請求項1の発明の照明装置において、射出用光学素子の配置密度が光入射側から離れるに従って大きくなり、拡散性光学素子の配置密度が光入射側から離れるに従って小さくなるように、射出用光学素子および拡散性光学素子が配置された面に、射出用光学素子が配置された第1の領域と、拡散性光学素子が配置された第2の領域とを交互に入り組んで配置する。
従って、射出用光学素子が導光板の光入射側から離れるに従って配置密度が大きくなり、拡散性光学素子が導光板の光入射側から離れるに従って配置密度が小さくなるようにすることが容易に実現でき、導光板の射出面内で均一な射出光分布を極めて容易かつ確実に得ることができる。
請求項6の発明は、請求項1の発明の照明装置において、射出用光学素子の配置密度が光入射側から離れるに従って大きくなり、拡散性光学素子の配置密度が光入射側から離れるに従って小さくなるように、射出用光学素子および拡散性光学素子が配置された面に、射出用光学素子と拡散性光学素子とを入り交じるように配置する。
従って、小領域に射出用光学素子と拡散性光学素子とが含まれやすくなり、導光板の射出面上の小さい領域同士の射出光の均一性が一層向上する。
請求項7の発明は、請求項1乃至6のうちの何れか1項の発明の照明装置において、射出用光学素子は、導光板内を導光される光の方向を、射出面に対する法線方向に近づけるように曲げ、拡散性光学素子は、導光板内を導光される光を、導光板内を導光される光の平均導光方向に対する直交方向に拡散する。
従って、導光する光を拡散性光学素子によって不用意に導光板外へ射出することを抑制しながら、光源の大きさや配置個数、光源からの射出光量ムラに起因する、平均導光方向に直交する方向の光量分布の不均一性を拡散性光学素子に確実に解消し、加えて、射出用光学素子によって導光板から射出光への変換を適切かつ確実に実現できる。
請求項8の発明は、請求項1乃至7のうちの何れか1項の発明の照明装置において、射出用光学素子と拡散性光学素子とをレリーフ構造によって形成する。
この時、射出用光学素子としては表面レリーフ型回折格子を、拡散性光学素子としてはランダムに配置された凹凸パターンを用いると、簡便に実現でき、好適である。特に後者としては、平均導光方向Fに平行な線状の凹凸をランダムに配置したものが、平均導光方向Fに対して直交する方向の光拡散,平均導光方向Fの方向の導光状態の不変性の双方が両立でき、最適である。
従って、導光板の射出面もしくはその対向面に形成する射出用光学素子と拡散性光学素子とが、両方共微小なレリーフ構造であるため、導光板の該当面に対する一度の成形で上述の効果を有する導光板を形成でき、簡便に安価に照明装置を構成することができる。また、射出用光学素子と拡散性光学素子とをレリーフ原版上に正確に配置形成しておけば、レリーフの複製物として、両光学素子が正確に配置された導光板を極めて安定して安価に作成することができ、製品間のバラツキの少ない照明装置を得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、光の利用効率を高くし、射出面における射出光強度の均一性を高くし、さらに射出光の角度範囲を自在に制御することが可能な照明装置を簡便な構成によって実現することができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る照明装置の構成例を示す斜視図である。
すなわち、本実施の形態に係る照明装置16は、光源12と、光源12から入射した光を導光し、導光された光を射出面26から射出する平面状の導光板10とを備えている。そして、射出面26の対向面27に、射出用光学素子38と、拡散性光学素子39とを備えている。
図2は、同実施の形態に係る照明装置における射出用光学素子及び拡散性光学素子の配置例を示した平面図である。図2に示すように、射出用光学素子38は、例えば回折格子から構成され、射出面26の対向面27に、導光板10の光入射側端面11から離れるに従って配置密度が大きくなるように配置している。また、拡散性光学素子39は、射出用光学素子38が配置された同一面である対向面27に、導光板10の光入射側端面11から離れるに従って配置密度が小さくなるように配置している。
なお、図1は、射出用光学素子38および拡散性光学素子39を射出面26の対向面27に配置した例を示しているが、射出用光学素子38および拡散性光学素子39を射出面26の対向面27に配置する代わりに、射出面26に配置するようにしても良い。
このような構成をした本実施の形態に係る照明装置16は、光源12から入射した光を導光板10によって導光し、この導光された光を拡散性光学素子39によって拡散することによって、光源12からの射出光量のムラに起因する導光板10の光入射側端面11側における光量分布の不均一性(特に平均導光方向Fに直交する方向Rの不均一性)を解消しながら、平均導光方向Fに沿って導光板10内を導光する光量が減少することによる射出光の減少を射出用光学素子38の配置密度によって補償する。これによって、射出面26内で均一に光を射出するようにしている。
このとき、光入射側端面11側から離れるに従って光量分布の不均一性は徐々に解消するので、拡散性光学素子39は光入射側端面11側から離れるに従って少なくしても十分な均一化が可能である。
また、射出用光学素子38が回折格子から構成されていることにより、構造が極めて微小であり、また微細加工技術などにより容易に任意の領域に形成可能であるため、導光板10上の配置を最適化することができる。したがって、図2に示すような配置構造を更に細かくすることによって、極めて均一な射出光分布を有する導光板10を構成することが可能となる。
通常、均一に射出用光学素子を配置した導光板10は、光入射側端面11側ほど光の射出光強度は大きく、光源12から離れ、逆側の端面に近づくほど射出光強度は小さくなる。このため、射出用光学素子38を構成する回折格子の回折効率が一定の場合には、図2に示すように、導光板10の平均導光方向Fにおいて、光入射側端面11側から離れるほど射出用光学素子38の配置密度を高めることにより、光強度の強い光入射側端面11側において導光板10から射出する光の割合を少なく、光入射側端面11側から離れるほど射出割合を増加することができ、導光板10の射出面26全域に亘って均一な強度の光を射出することが可能となる。
更に、射出用光学素子38を構成する回折格子の機能により射出光の角度範囲を適宜設計でき、必ずしも他の光学フィルムなどを用いることなしに、望ましい角度範囲の射出光分布を有する均一な照明装置を実現することが可能となる。
ここで、光源12として光入射側端面11にほぼ平行に配置された線状の光源12を用いた場合、導光板10における平均導光方向Fは、光入射側端面11にほぼ直交する方向となる。また、図3に示すように、光源として、光入射側端面11側に配置された点状のLED等の光源12aを用いた場合、光源12aを中心とする放射方向に導光しようとするが、導光板10全体に亘って平均すると線状の光源12と同様に光入射側端面11にほぼ直交する方向が平均導光方向Fとなる。
図4は、同実施の形態に係る照明装置における拡散性光学素子の機能を示した部分平面図である。この図は、照明装置16において拡散性光学素子39が、導光中の光を射出面26に平行な面内に拡散している様子を示している。このとき、平均導光方向Fに直交する方向Rに強く拡散すると、光源12の配置位置に由来する輝度ムラ等を解消して、導光板10内を導光する光の分布を均一にできる。なお、導光する方向にはほとんど影響を与えないことにより、導光板10から不用意に光を射出することなく、光を拡散できるので、光の利用効率を高めることができる。
図5は、同実施の形態に係る照明装置における射出用光学素子の機能を示した側面図である。この図は、図1の照明装置16における射出用光学素子38が、導光板10内の光を射出する様子を示している。また、図6に示すように、透過型のLCDパネル18のバックライトとして本実施の形態に係る照明装置16を利用する場合などには、射出用光学素子38は導光中の光を、射出面26にほぼ垂直な射出方向Eに射出する光に変換することが望ましいが、射出用光学素子38として回折格子を利用することにより簡便にこれを実現する。
更に、回折格子の機能により、射出光の角度範囲を適宜設定することも可能であり、特に他の光学フィルムなどを用いなくても、ディスプレイとして最適な角度分布を持った照明光を実現することができる。
なお、図5では射出面26の対向面27に射出用光学素子38と拡散性光学素子39を配置する例を示したが、この場合は反射型の回折格子を用いることが望ましい。例えば、導光板の表面にレリーフ型回折格子を形成するだけでも良いし、その表面に金属反射膜を設けるなどしても良い。一方、射出面26に射出用光学素子38と拡散性光学素子39を配置する場合は、回折格子を透過型とすれば、同様の効果が得られる。
また、射出用光学素子38の回折格子としてレリーフ型回折格子を用いる場合、パターンの設計が容易であると共に、高効率化も容易である。このとき、レリーフ型回折格子の構造は、典型的には0.1〜1μm程度であるため、余計な突起のない、ほぼ平面と見なせる導光板10を実現できる。すなわち、照明装置16を薄くできる。
導光板10内を導光する光のうち、射出用光学素子38に入射した光は回折格子によって回折光を生じるが、通常の主要な回折光は1次回折光である。回折格子の微小領域において、回折格子の格子ピッチdと、1次回折光の射出角度(回折角)θRとの関係は、下記(1)式により表される。
ただし、mは回折次数、λは光の波長、θiは正反射角度(回折格子が反射時に作用する場合)である。
導光板10内を平均導光方向Fに進む光を射出光に変換するために、最も効果的に作用する回折格子は平均導光方向Fに沿って格子ベクトルvを持つ場合である。すなわち、格子ベクトルvの方向と平均導光方向Fとをほぼ同一あるいは180°異なる方向とし、格子ピッチdを適切に設定することにより、全反射しながら平均導光方向Fに進む光が回折格子によってθRの角度で回折し、全反射条件を外れて導光板10の射出面26から射出して行く。特にθR〜0°とすると、導光板10表面に対してほぼ垂直に照明光が射出し、透過型ディスプレイ用の照明光として最も好ましい。
射出用光学素子38を構成する回折格子は、導光板10を導光している光を回折光として射出するのみでなく、その回折光の拡がり方(射出角度範囲)を制御することも可能である。具体的には、図7(a)にその平面図、図7(b)にその断面図を示すような直線状の回折格子40のパターンは、平均導光方向Fに沿って導光される光を曲げる働きのみを持つ。また、図8(a)にその平面図、図8(b)にその断面図を示すような曲線状の回折格子41のパターンは、射出する回折光の範囲をそのパターンによって任意に設計できる。図7、図8において、xは、平均的な格子ベクトルvに一致する方向、yは、xと直交する方向、hは、格子高さをそれぞれ示している。
ここで、導光板10上での回折格子のパターンは、図7および図8に示すように、平均導光方向Fと、平均的な格子ベクトル方向vとを一致もしくは180°異なる方向にすると、全反射条件を満たす光に対して効果的に作用する構成とすることができる。すなわち、導光中の光に対して、射出光の方向を大きく異ならせることができ、確実に導光板10から射出できるようになる。
更に、射出用光学素子38と拡散性光学素子39とがレリーフ構造によって構成されている場合、導光板10と一体成形可能であり、また、単一面の成形のみでよいため、極めて簡便に安価に製造可能である。このとき、射出用光学素子38と拡散性光学素子39の配置位置は原版の製造時に決定し、原版の複製(成形)による量産時には常に互いの配置位置が安定して再現されるため、極めて高精度な導光板が容易に製造できる。
以上のように、本発明の実施の形態に係る照明装置16から射出される光は、射出角度範囲が制御されており、射出面26内で均一な分布を実現でき、その他の光学シートなど余分な構成物を追加する必要なく、光の利用効率が高く、薄く、安価な照明装置を提供できる。
なお、導光板10は、図1に示すように平均導光方向Fに沿って進むにつれてその厚みが徐々に薄くなる場合のみならず、その厚みを一定とするような構成であっても良い。
また、図9に示すように、導光板10の対向面27の表面を覆うように反射体32を配置することにより、対向面27からの漏れ光を再び導光板10側へ反射し再利用することができ、光の利用効率を一層高めることができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る照明装置は、第1の実施の形態に係る照明装置の変形例であって、射出用光学素子38および拡散性光学素子39が配置された面に複数のセルを配置し、更に、射出用光学素子38および拡散性光学素子39が、複数のセルのうちの何れかに配置されるようにする。そして、射出用光学素子38が配置されたセル、および拡散性光学素子39が配置されたセルの配置個数または大きさを調整することにより、射出用光学素子38の配置密度が光入射側端面11から離れるに従って大きくなり、拡散性光学素子39の配置密度が光入射側端面11から離れるに従って小さくなるようにしている。
その一例を図10に示す。図10に示すように、導光板10の射出面26またはその対向面27には、多数の射出用光学素子38および拡散性光学素子39が互いに入り交じって配置している。ここで、各射出用光学素子38および各拡散性光学素子39のおのおのがそれぞれセルに相当している。そして、拡散性光学素子39からなるセルの配置個数を、光入射側端面11側ほど多く、そこから平均導光方向Fの下流側に行くほど少なくなるようにしている。また、射出用光学素子38からなるセルの配置個数を、光入射側端面11側ほど少なく、そこから平均導光方向Fの下流側に行くほど多くなるようにしている。
また、別の例を図11に示す。図11に示すように、導光板10の射出面26またはその対向面27には、多数の射出用光学素子38および拡散性光学素子39が互いに入り交じって配置している。ここで、各射出用光学素子38および各拡散性光学素子39のおのおのがそれぞれセルに相当している。そして、拡散性光学素子39からなるセルの大きさを、光入射側端面11側ほど大きく、そこから平均導光方向Fの下流側に行くほど小さくなるようにしている。また、射出用光学素子38からなるセルの大きさを、光入射側端面11側ほど小さく、そこから平均導光方向Fの下流側に行くほど大きくなるようにしている。
更にまた、別の例を図12に示す。図12に示すように、導光板10の射出面26またはその対向面27に、拡散性光学素子39を配置するための拡散素子用領域42と、射出用光学素子38を配置するための射出素子用領域43とを設ける。拡散素子用領域42は、平均導光方向Fに向かって刃先が細くなるような櫛刃状をしており、拡散素子用領域42が配置された面において、拡散素子用領域42以外の領域は射出素子用領域43としている。したがって、このように拡散素子用領域42と射出素子用領域43とが交互に入り組んだ面の拡散素子用領域42に拡散性光学素子39を、射出素子用領域43に射出用光学素子38を配置することによっても、射出用光学素子38の配置密度が光入射側端面11から離れるに従って大きくなり、拡散性光学素子39の配置密度が光入射側端面11から離れるに従って小さくなる。
このようにすることで、導光板10の各位置における射出用光学素子38や拡散性光学素子39の配置密度を、簡便に最適化することが可能となり、第1の実施の形態と同様の効果を有しながら、より簡便かつ正確に均一な射出光分布を実現することが可能となる。
特に図12に示すように、拡散素子用領域42と射出素子用領域43とが交互に入り組んだ構成とすることにより、射出用光学素子38が導光板10の光入射側端面11から平均導光方向Fに沿って離れるに従って配置密度が大きくなり、拡散性光学素子39が光入射側端面11から平均導光方向Fに沿って離れるに従って配置密度が小さくなるようにすることが容易に実現でき、導光板10の射出面26内で均一な射出光分布を極めて容易かつ確実に得ることができる。
一方、図10および図11に示すように、導光板10上において射出用光学素子38と拡散性光学素子39とが入り交じって配置するようにすることによって、小領域に射出用光学素子38と拡散性光学素子39とが含まれるようにし、射出面26上の小さい領域同士の射出光の均一性を一層向上し、すなわち導光板10全体としての均一性が保証される。
ここで、図10、図11、および図12では、セルの外形形状として、図13(a)にその拡大図を示すような長方形状としているが、セルの外形形状は、長方形状に限定されるものではなく、図13(b)に示すような楕円形状や、図示していないが円形状であってもよい。また、同一の導光板10に配置されるセルは全て同一形状であっても、長方形状と円形状と楕円形状とが混在していても良い。最適な設計例としては、拡散性光学素子39のセルは平均導光方向Fに長く、それと直交する方向Fに短い形状を持ち、射出用光学素子38のセルは平均導光方向Fに短く、それと直交する方向Rに長い形状を持つようにすれば、それぞれの光学的機能をセルの形状による回折効果によってサポートすることができる。
また、各セルの大きさとしては、肉眼でも観察できるほど大きな値にしてしまうと見栄えが損なわれてしまうため、本実施の形態では、100μm以下としている。100μm以下の大きさでは肉眼では観察できないために、見栄えを損なうことはなく、好適である。
一方、セルの形状による回折の効果について、フラウンホーファー回折による開口大きさと回折光の拡がり幅との関係を示す図14を用いて説明する。
図13(a)に示すような矩形開口のフラウンホーファー回折による光強度分布は下記式で計算でき、それぞれ矩形開口の辺に直交した方向I(x、y)に、開口の大きさに依存した光の拡がりが生じることが分かる。
このとき、光の波長をλ、矩形開口の大きさを直交する2方向(x方向、y方向)においてそれぞれDx、Dy、開口から光強度を観察する面までの距離をRとしている。Aは矩形開口の大きさに依存しない値であるので、ここでは定数として扱える。ここで、sinc関数は、
である。
従って、本発明においてはセルの大きさが開口に相当するので、セルの大きさに従ってx方向、y方向に1次回折光の拡がり方を制御することができる。特に射出用光学素子38の場合は、回折格子による1次回折光がこのような拡がりを持つことになり、特定方向の射出光の拡がりをセルの大きさによっても制御することができることになる。また、拡散性光学素子39の場合は、拡散光が更にこのような拡がりを持つことになるので、特定方向の拡散性を更に強めるように設計することもできる。
具体的には、x方向を平均導光方向Fとすると、x方向におけるセルの大きさが100μmの場合、500nmの波長λに対して、300mm離れた位置で、回折光の拡がり(回折光のピークを中心に最初に強度が0になるところ同士の幅)は約3mmとなる。一方、x方向におけるセルの大きさが5μmの場合には、回折光の拡がりは約60mmとなる。また、x方向におけるセルの大きさが10μmの場合には、回折光の拡がりは約30mmとなる。上記条件において、これらをグラフにすると図14に示す通りとなる。
従って、セルの大きさが5μm以上100μm以下の範囲であれば、回折光の拡がりを60mmから3mmまでと、現実的に十分な範囲に亘って制御することができる。更にセルの大きさを5μm以下とすると、更に拡がりを大きくすることも可能である。射出用光学素子38の場合、セルの内部に形成した回折格子を効果的に機能させるために5μm以上であることが望ましいが、拡散性光学素子39では、粒状のものや、凹凸パターンで形成することによって1μmまで小さくしてセルの大きさによる拡散性を積極的に活用してもよい。
以上から、セルの各方向における長さにより回折光の拡がり幅を制御することが可能となり、本実施の形態に係る照明装置から射出する照明光の拡がり方を適宜設計することが可能となる。特に、白色光を照明光として射出する場合に、射出用光学素子38の回折格子によって回折光が分光する度合いは上記(1)式により求められるが、格子ベクトル方向vのセルの長さDxを十分に小さくすることで、回折光の拡がり幅を大きくし、分光の影響を抑制することもできる。
また、セルの外形形状を、導光板10上で同一とすることで、回折光の拡がり方の均一化を図ることができる。あるいは、大きさや形状の異なるセルや、導光板10の表面における配置方向を異とするセルによって、セル形状に依存する回折光の拡がり方を任意に制御することができる。
例えば、セルの形状を長方形とすることにより、長方形の各辺に直交する方向へのみ回折光を拡がらせることができ、拡がり方を当該方向における長方形の大きさで制御することができる。従って、2方向への射出光の拡がり方を自由に設計可能である。一般的には、導光板10の平均導光方向Fに対して、一組の辺を直交するように長方形を配置し、各辺に直交する方向の射出光の拡がり方を制御するのが望ましい。これにより、平均導光方向Fとそれに直交する方向Rの射出光の拡がり方を独立に設定し、適宜、拡散する方向や強さを制御したり、射出光の角度範囲を制御したり、回折格子による波長分散効果を打ち消したりできる。
また、セルの形状を円形もしくは楕円形とすることにより、あらゆる方向に拡がりを持つ射出光を実現できる。その際、セルの大きさにより射出光の拡がり方を制御できる。また、楕円形の場合には、長軸、短軸に直交する方向への回折光の拡がり方を、当該方向における大きさで制御することができる。従って、2方向への射出光の拡がり方を自由に設計可能である。一般的には、導光板10の平均導光方向Fに対して、片方の軸が直交するように配置し、各辺に直交する方向の射出光の拡がり方を制御するのが望ましい。これにより、平均導光方向Fとそれに直交する方向Rの射出光の拡がり方を独立に設定し、適宜、拡散する方向や強さを制御したり、射出光の角度範囲を制御したり、回折格子による波長分散効果を極小化できる。
また、セルの配置間隔を100μm以下とすると、一般的な観察条件における人間の目の解像度以下となり、このような照明装置の射出面26を目視観察した場合でも、セルの大きさは十分小さく、単位面積あたりに十分な数のセルを配置できるため、均一な射出光を出す面として観察させることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲の発明された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
E…射出方向、F…平均導光方向、d…格子ピッチ、v…格子ベクトル方向、10…導光板、11…光入射側端面、12…光源、13…プリズム、14,16…照明装置、18…LCDパネル、24…表示装置、26…射出面、27…対向面、32…反射体、38…射出用光学素子、39…拡散性光学素子、40,41…回折格子、42…拡散素子用領域、43…射出素子用領域