JP4470198B2 - 光触媒シート、膜構造物及び光触媒シートの製造方法 - Google Patents

光触媒シート、膜構造物及び光触媒シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、基材最表面が光触媒を含むフッ素樹脂層で被覆された光触媒シート及びその製造方法に関する。
野球場,催し場などのドームやサッカースタジアム,テント倉庫,体育館,商業施設などの膜構造物や、軒出テント,トラック幌,養生シートなどに使用される基材や、防雨服,カバン,椅子などに使用される防水布、ベルトコンベア,タイミングベルトなど機械用の繊維補強樹脂の基材には、透光性や防汚性を確保するために、ほぼ透明または無色透明な表面処理剤で被覆されている。なお本明細書で基材とは、上記各種の製品自体又はこれらの製品に用いられる材料を含む概念であり、材料(素材)の表面に表面処理剤を被覆した状態又は被覆する前の状態のものを含む概念として用いている。
従来にあっては、基材の表面に、防汚や耐久性の向上や接合など目的に応じた表面膜が形成されており、この表面膜としては、基材となる膜や繊維の彩色や透光性能を損なわないように、また、防汚性などを確保するために、ほぼ透明または無色透明な表面膜を使用していた。上記膜構造材として、例えば、ガラス繊維等からなる繊維布を基材とし、この基材をフッ素樹脂層で被覆した膜構造材が知られている。この膜構造材は、はっ水性(水との接触角は115°〜125°)があり、不燃性で機械強度が高く、しかも、軽量かつ柔軟性に富むという利点を有している。しかしながら、フッ素樹脂層で被覆した膜構造材においては、大気中の煤煙、粉塵、黄砂などの細い砂等の物質が膜表面に付着して汚れるという問題がある。
近年、光触媒はガラス基板などの各種の材料の表面に被覆されている。日光に含まれる紫外線が光触媒に照射されたとき、光触媒の酸化還元反応を利用して、材料の表面に付着した有機物などによる汚れを分解する、所謂、防汚に利用されつつある。
光触媒をガラス基板に付着させる方法としては、光触媒を含んだバインダ(結合剤)を用いる方法があり、例えば、溶媒中に、バインダとなる非酸化性高分子材料及び酸化チタン微粒子を混合した組成が知られている(特許文献1参照)。上記文献においては、バインダーとして、シリコーン樹脂などの非酸化性ポリマー、多孔質材のアルミナ及びシリカ、コロイド状酸化錫やこれらの材料の混合物を使用している。このバインダは、従来のプラスティックや繊維のように、加熱による熱処理(シンター)により被覆するための熱工程が必要であった材料にも、乾燥や、低温加熱(キュア)だけで、材料の表面に被覆できることが開示されているが、光触媒を含有させたフッ素樹脂層をフッ素樹脂層上に被覆する方法は開示されていない。
また、基材に光触媒を含有させたフッ素樹脂層を被覆する方法として、特許文献2及び3には、フッ素樹脂であるPTFE層(ポリテトラフルオロエチレン)上に、光触媒酸化チタン微粒子を含有するディスパージョン(分散剤)を塗布して乾燥し、焼成する工程を繰り返して光触媒酸化チタン微粒子を露出させたPTFE層を形成することが開示されている。
また、特許文献4及び5には、膜構造材の補強層や支持体となるPTFE層上に、PTFE粉末と光触媒微粒子とを含有するディスパージョンの塗布と焼成により、光触媒層を形成することが開示されている。
また、特許文献6には、表面が平坦なアルミニウム合金基材を光触媒を含有させたフッ素樹脂で被覆したフッ素樹脂部材表面の親水化方法が開示されている。上記特許文献6においては、フッ素樹脂中にフッ化アルミニウムなどのセラミック成分を導入することにより親水化をはかった場合、再び疎水性を発現し防汚性を十分に発揮できない欠点(非特許文献1参照)を解決するためになされたものである。上記特許文献6においては、親水性を水に対する接触角が90未満の材料としている。
米国特許5,616,532号 特開平09−207289号公報(第3−4頁、図1) 特開平10−44346号公報(第5−6頁、図1) 特開平11−47610号公報(第3−4頁、図1) 特開平11−47612号公報(第2−3頁、図1) 特開平9−76395号公報 日本経済新聞1994年8月17日夕刊
膜構造物が大面積の場合には、膜構造物用基材を多数枚使用して組み立てる。この場合には、膜構造物への漏水や空気漏れなどを防止するために、各膜構造物用基材同士を接合させる必要がある。従来、表面がフッ素樹脂で被覆されている基材の場合には、重ね合わせた部分よりも幅の広い同じフッ素樹脂のテープを熱溶着させることで、膜構造物用基材同士の熱接合を行っていた。
しかしながら、表面がフッ素樹脂で被覆されている基材の場合には、基材同士の熱接合はできるものの、フッ素樹脂の表面が汚れ易く、その洗浄は、屋外スタジアムのような大規模膜構造建築物においては、洗浄に要するコストが高いという課題がある。
また、上記特許文献6のように、平滑なアルミニウム合金基材上のフッ素樹脂部材表面の親水化方法においては、紫外線を照射し光触媒の作用により親水化させているので、部材表面の十分な親水化には日数を要し、その間に汚れが付着したり、紫外線照射前は疎水性である表面領域(接触角が約90°)における親水化による洗浄作用では十分な防汚性を発揮し難いという課題がある。
一方、光触媒をフッ素樹脂層に含有させた光触媒シートにおいては、フッ素樹脂層に酸化チタンのような光触媒となる無機物を含有させると熱接合が困難となるので、熱接合ができると共に、防汚性に優れた光触媒シートは、未だ実現されていない。
本発明は、上記課題に鑑み、基材の最表面が光触媒を含むフッ素樹脂層で被覆された光触媒シートにおいて、最表面がはっ水性を有し、この最表面に紫外線が照射されたときに高い防汚性を有する新規な光触媒シート及びその製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の光触媒シートの第の構成は、基材にフッ素樹脂層が被覆され、該フッ素樹脂層のフッ素樹脂を溶融させてシート同士を互いに熱接合する光触媒シートであって、上記フッ素樹脂層は、上記基材上に被覆される第1のフッ素樹脂層と、該第1のフッ素樹脂層上に被覆される第2のフッ素樹脂層と、該第2のフッ素樹脂層上に被覆され光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層と、からなり、上記第1のフッ素樹脂層のフッ素樹脂はPTFEで、上記第3のフッ素樹脂層のフッ素樹脂はFEPであり、上記第3のフッ素樹脂層中の上記光触媒は10〜60重量%で、上記基材の表面粗さ(Ra)が10μm以上であり、上記第2のフッ素樹脂層は、上記基材の表面粗さの値より小さい値を有する厚さとし、上記第3のフッ素樹脂層は、1μm以上で上記基材の表面粗さの値より小さい値を有する厚さとし、上記第3のフッ素樹脂層表面が、水との接触角90°以上のはっ水性を有すると共に、表面にオレイン酸グリセリドを塗布して該表面に1mW/cm2 の紫外線を照射したときに、該オレイン酸グリセリドの分解速度が0.4mg/cm2 ・日以上であることを特徴とする。
本発明の光触媒シートの第の構成は、基材にフッ素樹脂層が被覆され、該フッ素樹脂層のフッ素樹脂を溶融させてシート同士を互いに熱接合する光触媒シートであって、上記フッ素樹脂層は、上記基材上に被覆される第1のフッ素樹脂層と、該第1のフッ素樹脂層上に被覆され光触媒を含有させた第2のフッ素樹脂層と、該第2のフッ素樹脂層上に被覆され光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層と、からなり、上記第1のフッ素樹脂層のフッ素樹脂はPTFEで、上記第3のフッ素樹脂層のフッ素樹脂はFEPであり、上記第3のフッ素樹脂層中の上記光触媒は10〜60重量%で、上記基材の表面粗さ(Ra)が10μm以上であり、上記第2のフッ素樹脂層の厚さは、上記基材の表面粗さの値より小さい値を有し、上記第3のフッ素樹脂層の厚さは、1μm以上で上記基材の表面粗さの値より小さい値を有し、上記第3のフッ素樹脂層表面が、水との接触角90°以上のはっ水性を有すると共に、表面にオレイン酸グリセリドを塗布して該表面に1mW/cm2 の紫外線を照射したときに、該オレイン酸グリセリドの分解速度が0.4mg/cm2 ・日以上であることを特徴とする。
上記何れの構成によっても、光触媒シートの最上層に含有される光触媒を含有したフッ素樹脂層表面がはっ水性を有し、光触媒に紫外線照射されたときの酸化還元作用により、表面の防汚性が高い光触媒シートを提供することができる。
上記構成において、光触媒は、好ましくは、少なくとも酸化チタン(TiO2 又はTiO3 )からなる。光触媒は最上層となるフッ素樹脂上または第3のフッ素樹脂層上に露出している部分を有している。
光触媒を含有するフッ素樹脂層表面の光還元機能は、0.1N(規定)の硝酸銀水溶液中に前記光触媒シートを浸漬させ、その光触媒を含有させたフッ素樹脂層表面に1mW/cm2 の紫外線で1分照射したときの色差変化がΔE* ≧1であることが好ましい。
上記構成によれば、光触媒に光触媒の禁制帯幅以上のエネルギーを有する太陽や蛍光灯などに含まれる紫外線が照射されると、光触媒の酸化還元反応により、光触媒シートの表面に付着した有機物などの分解が行われることで、高い防汚性が付与される。
上記構成において、基材は繊維からなり、その表面形状が平坦でない凹凸面、メッシュ状のいずれかである。また、好ましくは、基材はガラス繊維であり、第2のフッ素樹脂層がFEPまたはPFAであるか、或いは、第2のフッ素樹脂層がPTFE,FEP,PFAの何れか一つの樹脂層であってもよい。
上記構成によれば、基材が繊維からなりその表面が適度な表面粗さを有しているので、平滑面に比較して、単位面積当たりの光触媒の表面積を大きくできることから、高い防汚性を得ることができる。したがって、光触媒を含有させたフッ素樹脂層に汚れが付着しても、表面粗さによりその周囲の三次元方向にある光触媒の酸化還元作用により高い防汚性を得ることができる。また、光触媒シート同士の熱接合特性を良好にできる。
次に、本発明の光触媒シートの製造方法は、基材にフッ素樹脂層が被覆され、該フッ素樹脂層のフッ素樹脂を溶融させてシート同士を互いに熱接合する光触媒シートの製造方法であって、上記基材の表面粗さ(Ra)を10μm以上とし、上記基材上に第1のフッ素樹脂層を被覆する工程と、該第1のフッ素樹脂層上に第2のフッ素樹脂層を被覆する工程と、該第2のフッ素樹脂層上に光触媒を10〜60重量%含有させた第3のフッ素樹脂層を被覆する工程と、からなり、上記第1のフッ素樹脂層のフッ素樹脂をPTFEとすると共に上記第3のフッ素樹脂層のフッ素樹脂をFEPとし、上記第2のフッ素樹脂層の厚さを、上記基材の表面粗さの値より小さい値にすると共に、上記第3のフッ素樹脂層の厚さを、1μm以上で上記基材の表面粗さの値より小さい値にし、上記光触媒を含有させたフッ素樹脂層表面を、水との接触角が90°以上のはっ水性とすると共に、上記フッ素樹脂層表面にオレイン酸グリセリドを塗布して該表面に1mW/cm2 の紫外線を照射したときに、該オレイン酸グリセリドの分解速度が0.4mg/cm2 ・日以上にすることを特徴とする。
また、本発明の光触媒シートの製造方法は、基材にフッ素樹脂層が被覆され、該フッ素樹脂層のフッ素樹脂を溶融させてシート同士を互いに熱接合する光触媒シートの製造方法であって、上記基材の表面粗さ(Ra)を10μm以上とし、上記基材上に第1のフッ素樹脂層を被覆する工程と、該第1のフッ素樹脂層上に光触媒を含有させた第2のフッ素樹脂層を被覆する工程と、該第2のフッ素樹脂層上に光触媒を10〜60重量%含有させた第3のフッ素樹脂層を被覆する工程と、からなり、上記第1のフッ素樹脂層のフッ素樹脂をPTFEとすると共に上記第3のフッ素樹脂層のフッ素樹脂をFEPとし、上記第2のフッ素樹脂層の厚さを、上記基材の表面粗さの値より小さい値にすると共に、上記第3のフッ素樹脂層の厚さを、1μm以上で上記基材の表面粗さの値より小さい値にし、上記光触媒を含有させたフッ素樹脂層表面を、水との接触角が90°以上のはっ水性とすると共に、上記フッ素樹脂層表面にオレイン酸グリセリドを塗布して該表面に1mW/cm2 の紫外線を照射したときに、該オレイン酸グリセリドの分解速度が0.4mg/cm2 ・日以上にすることを特徴とすることを特徴とする。
上記の製造方法によれば、基材の最表面が光触媒を含有したフッ素樹脂層で被覆されることで、最上層がはっ水性を有し、防汚性が高く、かつ、熱接合が容易にできる光触媒シートを低コストで製造することができる。
上記構成において、第1のフッ素樹脂層と、第2のフッ素樹脂層または光触媒を含有させた第2のフッ素樹脂層と、光触媒とを含有させた第3のフッ素樹脂層と、を形成する被覆工程が連続して行われることを特徴とする。この構成によれば、基材上に、第1〜第3のフッ素樹脂層を連続的に被覆して、最上層が光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層とした光触媒シートを効率よく製造することができる。
上記構成において、予め第1のフッ素樹脂層及び第2のフッ素樹脂層を被覆した基材に、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層を被覆する工程を行うようにしてもよい。このようにすれば、予め第1のフッ素樹脂層及び第2のフッ素樹脂層を被覆した基材を製造した後で、何時でも、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層を被覆させることで、光触媒シートを製造することができる。
また、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層が、光触媒となる酸化チタン微粒子を含有させたフッ素樹脂用分散剤を第2のフッ素樹脂層上に塗布する工程と、乾燥する工程と、第3のフッ素樹脂層に用いるフッ素樹脂の融点よりも高い温度で焼結すると共に光触媒を第3のフッ素樹脂層の表面に露出させる工程と、を含むようにしてもよい。この構成によれば、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層を基材上の第1及び第2のフッ素樹脂層に焼結でき、防汚性が高く、かつ、熱接合特性が良好な光触媒シートを製造することができる。
本発明の光触媒シートによれば、従来の最上層をフッ素樹脂層としたシートが有していた熱接合性を阻害することなく、はっ水性を有しかつ、高い防汚性を付与することができる。したがって、従来のシートに代えて、本発明の光触媒シートを膜構造物に使用すれば、シート同士の熱接合ができると共に、高い防汚性を発揮でき、シートに施した彩色の美観を損なうことなく長期間使用することができる。
また、本発明の光触媒シートの製造方法によれば、はっ水性を有し、防汚性が高く、かつ、光触媒シート同士の熱接合を容易に行うことができる光触媒シートを、低コストで製造し得る。
以下、この発明の実施の形態を図面により詳細に説明する。
本発明の光触媒シートの構造を図1〜図4を参照して説明する。図1及び図2は、本発明の光触媒シートの構造を模式的に示す断面図である。図に示すように、本発明の光触媒シート1は、ガラス繊維や繊維補強樹脂などからなる基材2の両面に、第1のフッ素樹脂層3と、第2のフッ素樹脂層4と、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5が順次積層された構造を有している。図1の場合には、一例として、基材2の両表面に多層のフッ素樹脂層3,4,5が被覆された構造を示しているが、図2に示すように、使用目的などに応じて、本発明の光触媒シート10は基材2の片面又は表面の所定の領域だけに、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5を被覆するようにしても勿論構わない。
基材2は、ガラス繊維,カーボン繊維,ポリイミド繊維,ポリイミド繊維,PBO繊維,シリカ繊維,バサルト繊維,ポリエステル繊維,ナイロン繊維,綿,麻,ケナフなどの繊維の織布又は不織布である。
ここで、基材2の表面形状は、後述するが、防汚性を高めるために、表面粗さ(Ra)が粗い平坦でない凹凸面またはメッシュ状のいずれかであればよい。表面粗さは、平滑なアルミニウムやガラスの基材の表面粗さの1.4μm〜2.7μm程度の数倍以上の粗さであればよい。例えば、表面粗さが10μm以上であればよい。
上記第1〜第3のフッ素樹脂層3,4,5において、一例として、第1のフッ素樹脂層3の融点が第2のフッ素樹脂層4及び第3のフッ素樹脂層5の融点よりも高く、第2のフッ素樹脂層4の融点が第3のフッ素樹脂層5の融点と同じか、または、高くしてもよい。この場合には、第2のフッ素樹脂層4と第3のフッ素樹脂層5が同じフッ素樹脂からなっていてもよい。
この例に限らず、第1〜第3のフッ素樹脂層3,4,5のフッ素樹脂の材料を適宜選定すれば、光触媒シート同士の熱接合特性を良好とすることができる。これにより、光触媒シート同士の熱接合特性を良好とする第1〜第3のフッ素樹脂層の組合わせを容易に得ることができる。
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、融点327℃),ポリビニリデンフルオライド(PVDF、融点156〜178℃),テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA、融点=310℃)、テトラフルオロエチレン−へキサフルオロプロピレン共重合体(FEP、融点=275℃)などのフッ素を含むモノマーの重合体、または、共重合体を用いることができる。なお、各材料の融点については、日本弗素樹脂工業会編、「フッ素樹脂ハンドブック」、改訂7版、日本弗素樹脂工業会、平成10年(1998年)6月、p.18を参照されたい。
本発明の光触媒シート1は、一例として、基材2はガラス繊維、フッ素樹脂層として、第1のフッ素樹脂層3はPTFE(融点T1=327℃)、第2のフッ素樹脂層4はFEP(融点T2=275℃)またはPFA(融点T2=310℃)及び光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5としてFEP(融点T3=275℃)で構成することができる。
図3は本発明の光触媒シート20の別の構造を模式的に示す断面図である。図に示すように、本発明の光触媒シート20が上記の光触媒シート10と異なるのは、第2のフッ素樹脂層4’にも光触媒を含有させた点である。この第2のフッ素樹脂層4’は、第1のフッ素樹脂層と同じフッ素樹脂層、または、融点の低いフッ素樹脂層とすることができる。光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5の融点(T3)は、光触媒を含有させた第2のフッ素樹脂層4’の融点(T2)と同じかより低い、即ち、T3≦T2というフッ素樹脂層としてもよい。他の構成は、光触媒シート10と同じであるので、説明は省略する。
本発明の光触媒シート20は、一例として、基材2はガラス繊維、第1のフッ素樹脂層3はPTFE(融点T1=327℃)、光触媒を含有させた第2のフッ素樹脂層4’としてPTFE(融点T2=327℃),FEP(融点T2=275℃)、PFA(融点T2=310℃)の何れか一つのフッ素樹脂、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5としてFEP(融点T3=275℃)で構成することができる。
この構成によれば、後述するが、光触媒を含む第2のフッ素樹脂層4’も光触媒を含むので、光触媒シート1同士を焼結により熱接合(以下、適宜、熱溶着とも呼ぶ)する際に、熱接合部における光触媒の作用による防汚性を損なうことがなく、防汚性を長期間に亘り維持することができる。
図4は、本発明の光触媒を含む第3のフッ素樹脂層を被覆した基材の表面側の構造を示す拡大断面図である。光触媒を含む第3のフッ素樹脂層5は、例えば、FEPなどのフッ素樹脂を使用し、さらに、光触媒7,8が添加されている。
ここで光触媒7,8は、直径が例えば1nm〜100nmのアナターゼ型TiO2 (二酸化チタン)などの光触媒微粒子であり、それぞれ、第3のフッ素樹脂層5内にある光触媒微粒子と、その表面5aに露出した光触媒微粒子を示している。光触媒効果を高めるためには、表面5aに露出した光触媒8の表面積を大きくするために、光触媒7,8の粒子径は、適度に小さいことが望ましい。
ここで、光触媒7,8は光半導体とも呼ばれる材料である。光触媒7,8は、アナターゼ型TiO2 (禁制帯幅3.2eV、波長388nm)のほかには、ルチル型TiO2 (禁制帯幅3.0eV、波長414nm)、三酸化チタン(TiO3 )などが使用できる。これらのチタン酸化物を総称して酸化チタンと呼ぶ。光触媒は、酸化チタン以外には、酸化亜鉛(ZnO、禁制帯幅3.2eV、波長388nm)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO2 、禁制帯幅3.2eV、波長388nm)、三酸化タングステン(WO3 、禁制帯幅3.2eV、波長388nm)などが使用できる。
また、上記光触媒を含む第3のフッ素樹脂層5中に含まれる光触媒の配合量は任意であるが、用途、性能、塗布方法により溶液の粘度を適宜調製すればよい。光触媒シート1,10,20の防汚性を高めると共に、光触媒シート同士の熱接合(以下、適宜、熱溶着とも呼ぶ)特性を良好とするためには、光触媒の配合量は、フッ素樹脂5中の固形濃度成分量として、好ましくは、10〜60重量%とすればよい。
光触媒を含有するフッ素樹脂層5表面の光酸化機能としては、フッ素樹脂層表面にオレイン酸グリセリドを塗布して表面に1mW/cm2 の紫外線を照射したときに、オレイン酸グリセリドの分解速度が0.1mg/cm2 ・日以上とすることが好ましい。また、光触媒を含有するフッ素樹脂層5表面の光還元機能としては、0.1N(規定)の硝酸銀水溶液中に前記光触媒シートを浸漬させ、その光触媒を含有させたフッ素樹脂層表面に1mW/cm2 で1分照射したときの色差変化がΔE* ≧1とすることが好ましい。
また、本発明の光触媒シートの表面は、紫外線照射の有無によらず、はっ水性を有している。この際、光触媒を含有するフッ素樹脂層5表面の水との接触角としては、おおよそ90°以上のはっ水性とすることができる。
ここで、はっ水性の定義は、水との接触角が90°以上であり、疎水性はその接触角が60°〜90°、親水性はその接触角が30°以下である。なお、これらの接触角の定義は、藤嶋 昭、橋本 和仁、渡部 俊也著、「光触媒のしくみ」、第3版、株式会社日本実業出版社、2001年3月20日発行、pp.96−97参照)を参照されたい。
また、光触媒シート1,10,20を膜構造建築物に用い、光触媒シート同士を熱接合する場合には、最上層となる光触媒を含有するフッ素樹脂層5の厚さを1μm以上とすれば、光触媒シート1,10,20の熱接合特性を良好にすることができる。光触媒を含有させる第3のフッ素樹脂層5の厚さが1μm以下では、防汚性はあるものの、光触媒シート同士の摩擦や磨耗により熱接合した場合に剥離や亀裂などが生じやすく好ましくない。なお、光触媒シート同士に熱接合をしない場合には、光触媒を含有するフッ素樹脂層3の厚さを1μm以下としてもよい。
さらに、上記光触媒を含む第3のフッ素樹脂層5に、導電性や光触媒効果の増強効果をさらに付与するためには、金属材料や光触媒機能補助物質を添加すればよい。金属材料としては、Ag,Al,Au,Cu,Fe,In,Ir,Ni,Os,Pd,Pt,Rh,Ru,Sb,Sn,Zn,Zr等が使用できる。
本発明の光触媒シートは以上のように構成されており、その作用と効果について説明する。
本発明の光触媒シートの基材最上層に被覆された光触媒を含むフッ素樹脂層の表面粗さは平滑なアルミニウムやガラスの基材の表面粗さよりも粗く、光触媒の作用に係らず、最上層表面はフッ素樹脂の有するはっ水性が発現して、おおよそ、90°以上のはっ水性を有している。
また、本発明の光触媒シートは、最上層のフッ素樹脂層に含まれる光触媒の量を適宜に調整することにより、光触媒同士の熱接合を容易に行うことができる。
このような本発明の光触媒シートに、光触媒の禁制帯幅以上のエネルギーを有し、太陽光や蛍光灯に含まれている、例えば、約400nm以下の紫外線が照射されると、光触媒の酸化還元反応により、光触媒シートに付着する有機物などが分解することにより防汚性が付与される。この際、最上層のフッ素樹脂層が適度な粗さを有しているので、この最上層に露出する光触媒の表面積が大きくできることから、さらに高い防汚性を得ることができる。したがって、光触媒を含有させたフッ素樹脂層に汚れが付着しても、表面粗さによりその周囲の三次元方向にある光触媒の酸化還元作用により高い防汚性を得ることができる。
これにより、本発明の光触媒シートを、例えば、膜構造建築物に用いれば、従来の基材にフッ素樹脂を被覆したシートと同様に、光触媒シート同士の熱接合を容易に行うことができる。また、構造建築物の施工後において、光触媒シートの最上層に露出した酸化チタンなどの光触媒の酸化還元反応による高い防汚性により、長期間に亘り、シートの彩色の美観を損なうことがない。
次に、本発明の光触媒シートの製造方法を図5を参照して説明する。図5は、本発明の光触媒シートを製造する場合の工程を順次示すフロー図である。最初に、図5(A)に示すように、ガラス繊維からなる基材2にディッピングコート法を用いて、第1のフッ素樹脂層3となるフッ素樹脂分散剤を塗布する。なお、本発明において、フッ素樹脂を形成するときに用いる塗布液や分散剤、または、塗布剤などを総称して分散剤と呼ぶ。
続いて、図5(B)に示すように、フッ素樹脂分散剤の塗膜の均一性を良くするために、基材に塗布したフッ素樹脂分散剤を乾燥させる。この乾燥工程においては、乾燥温度を20℃〜100℃程度とし、乾燥時間を3分から60分程度とすればよい。乾燥工程は、フッ素樹脂分散剤の組成に応じて、室温放置による自然乾燥または風または熱源を用いた強制乾燥法で行うことができる。強制乾燥法においては、抵抗加熱などの電気炉、赤外線や遠赤外加熱などの熱源と送風機を組み合わせた装置で行うことができる。
次に、図5(C)に示すように焼結工程を施して、基材2に第1のフッ素樹脂層3を被膜として形成する。この焼結工程の処理温度は、基材2に被覆させる第1のフッ素樹脂層3の融点に応じて設定すればよい。焼成温度として、第1のフッ素樹脂の融点よりも高くすることにより、フッ素樹脂が溶融し、フッ素樹脂粉末及び光触媒粉末の各粉末間の隙間がなくなる。この焼結工程は、例えば、第1のフッ素樹脂の融点よりもおおよそ50℃高い程度の温度で3分〜30分程度行えばよい。なお、焼結温度はフッ素樹脂の融点よりも50℃以上の高温にすると、フッ素樹脂の分解温度に達し、フッ素樹脂の分解とそれに伴う基材の損傷を招く恐れがあるので好ましくない。
焼結後、冷却工程により室温に冷却される。この時点で、基材2は第1のフッ素樹脂層3の被膜で覆われる。冷却工程は第1のフッ素樹脂層3となる分散剤により形成される被膜を曇り(ヘイズ)がなく緻密で強靭な膜とするために、第1のフッ素樹脂層3を非結晶化させるために急冷することが好ましい。冷却工程は、焼結の後で第1のフッ素樹脂層3を被覆した基材2を、電気炉から取り出して室温である雰囲気において自然冷却で行うことができる。
なお、第1のフッ素樹脂層3を所定の膜厚とするために、上記の分散剤の塗布、乾燥、焼結工程を繰り替えし行ってもよい(図5(A)と図5(C)に示した点線参照)。
次に、図5(D)に示すように、第1のフッ素樹脂層3上にディッピングコート法を用いて、第2のフッ素樹脂層4となるフッ素樹脂分散剤を塗布する。
続いて、図5(E)に示すように、第2のフッ素樹脂層4となるフッ素樹脂分散剤の塗膜の均一性を良くするために、第1のフッ素樹脂層3に塗布した第2のフッ素樹脂層4となるフッ素樹脂分散剤を乾燥させる。この乾燥工程においては、乾燥温度を20℃〜100℃程度とし、乾燥時間を3分から60分程度とすればよい。
次に、図5(F)に示すように焼結工程を施して、第1のフッ素樹脂層3上に第2のフッ素樹脂層4を被膜として形成する。この焼結工程の処理温度は、第1のフッ素樹脂層3に被覆させた第2のフッ素樹脂層4の融点に応じて設定すればよい。焼結後、冷却工程により室温に冷却される。この時点で、第1のフッ素樹脂層3は、第2のフッ素樹脂層4の被膜で覆われる。
その後、図5(G)に示すように、第2のフッ素樹脂層4上にディッピングコート法を用いて、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5となる、例えば、光触媒となる酸化チタン微粒子を含有させたフッ素樹脂用の分散剤を塗布する。
そして、図5(H)に示すように、第2のフッ素樹脂層4上に塗布した光触媒を含有させたフッ素樹脂層5となる分散剤の塗膜の均一性を良くするために、乾燥させる。この乾燥工程においては、乾燥温度を20℃〜100℃程度とし、乾燥時間を3分から60分程度とすればよい。
次に、図5(I)に示すように焼結工程を施して、第2のフッ素樹脂層4上に光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5を被膜として形成する。この焼結工程の処理温度は、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5の融点に応じて設定すればよい。焼結後、冷却工程により室温に冷却される。この時点で、第2のフッ素樹脂層4は、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5の被膜で覆われる。
以上のようにして、本発明の光触媒シートを製造することができる。
ここで、上記各フッ素樹脂層に用いる分散剤を塗布する場合はディッピングコート法以外に、バーコート法、エアースプレーコート法,グラビアコート法,含浸法,スポンジ塗り法,静電スプレー法,刷毛塗り法,フローコート法,ロールコート法などが、好適に使用できる。
なお、上記の製造工程は、ガラス繊維からなる基材2にディッピングコート法を用いて第1〜第3のフッ素樹脂層3,4,5を連続的に形成する方法の説明をした。別の方法として、ガラス繊維からなる基材2に第1及び第2のフッ素樹脂層3,4だけを形成した基材を先に製造し、後で、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5を被覆する工程により製造してもよい。
本発明の光触媒シートは、以上のように製造され、基材の最表面に光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層で被覆された光触媒シートを、低コストで製造することができる。
以下、本発明の光触媒シートの実施例について説明する。
最初に、基材2として、平均厚さが0.4mmのガラス繊維の両面に、第1のフッ素樹脂層3としてPTFEを約0.2mm、第2のフッ素樹脂層4としてFEPを10μm被膜した。最後に、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5であるFEP層を3μm被覆した。
図6は、実施例1において、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5の製造に用いた分散剤の組成を示す表である。分散剤は、FEPの水系ディスパージョン(固形分54重量%、三井デュポンフロロケミカル(株)製、120−J)を21kg、粒径が1nm〜100nmのアナターゼ型TiO2 を用いた水系ディスパージョン(固形分28重量%、特注品)を62.8kg、精製水を94.4kg、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー社製、L−77)1.8kg(全体の1重量%)を混合、攪拌して、調製した。FEPと酸化チタン粉末の重量比率は40:60である。
光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5は、次の製造工程で被覆した。
最初に、上記基材2に被覆された第2のフッ素樹脂層4であるFEPを形成するための上記分散剤をディッピングコート法により両面に塗布し、自然乾燥し、次に60℃で5分乾燥させた。そして、325℃で10分間焼成した後、自然冷却させ、第2のフッ素樹脂層4であるFEPを形成した。
第2のフッ素樹脂層4に上記分散剤をディッピングコート法により塗布した膜を常温で自然乾燥させた後で、60℃で5分間乾燥した。さらに、380℃で10分間加熱焼成してから自然冷却して、第2のフッ素樹脂層4上に光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5であるFEP層を3μm被覆し、本発明の光触媒シート1を製造した。光触媒シート1の表面粗さは基材のガラス繊維2の表面粗さがフッ素樹脂層を塗布してもほとんど平坦化されないので、縦糸方向及び横糸方向の表面粗さ(Ra)は、それぞれ、14μm、13μm程度であった。
FEPの分散剤組成を変えた以外は、実施例1と同様に、基材の最上層に光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5としてFEPを形成した。
図7は、実施例2において、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5に用いた分散剤の組成を示す表である。分散剤は、FEP水系ディスパージョン(固形分54重量%、三井デュポンフロロケミカル(株)製、120−J)を42.3kg、粒径が1nm〜100nmのアナターゼ型TiO2 を用いた水系ディスパージョン(固形分28重量%、特注品)を54.4kg、精製水を81.5kg、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー社製、L−77)1.8kg(全体の1重量%)を混合、攪拌して調製した。FEPと酸化チタン粉末の重量比率は60:40である。そして、実施例1と同様の製造工程により、本発明の光触媒シート1を製造した。光触媒シート1の表面粗さは実施例1と同程度であった。
FEPの分散剤組成を変えた以外は、実施例1と同様に、基材の最上層に光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5としてFEPを形成した。
図8は、実施例3において、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5に用いた分散剤の組成を示す表である。分散剤は、FEP水系ディスパージョン(固形分54重量%、三井デュポンフロロケミカル(株)製、120−J)を58.9kg、粒径が1nm〜100nmのアナターゼ型TiO2 を用いた水系ディスパージョン(固形分28重量%、特注品)を48.6kg、精製水を70.7kg、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー社製、L−77)1.8kg(全体の1重量%)を混合、攪拌して調製した。FEPと酸化チタン粉末の重量比率は70:30である。そして、実施例1と同様の製造工程により、本発明の光触媒シート1を製造した。光触媒シート1の表面粗さは実施例1と同程度であった。
FEPの分散剤組成を変えた以外は、実施例1と同様に、基材の最上層に光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5としてFEPを形成した。
図9は実施例4において光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5に用いた分散剤の組成を示す表である。分散剤は、FEP水系ディスパージョン(固形分54重量%、三井デュポンフロロケミカル(株)製、120−J)を80.9kg、粒径が1nm〜100nmのアナターゼ型TiO2 を用いた水系ディスパージョン(固形分28重量%、特注品)を39kg、精製水を58.3kg、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー社製、L−77)を1.8kg(全体の1重量%)を混合、攪拌して調製した。FEPと酸化チタン粉末の重量比率は80:20である。そして、実施例1と同様の製造工程により、本発明の光触媒シート1を製造した。光触媒シート1の表面粗さは実施例1と同程度であった。
FEPの分散剤組成を変えた以外は、実施例1と同様に、基材の最上層に光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5としてFEPを形成した。
図10は、実施例5において光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5に用いた分散剤の組成を示す表である。分散剤は、FEP水系ディスパージョン(固形分54重量%、三井デュポンフロロケミカル(株)製、120−J)を117.6kg、粒径が1nm〜100nmのアナターゼ型TiO2 を用いた水系ディスパージョン(固形分28重量%、特注品)を25.2kg、精製水を35.4kg、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー社製、L−77)1.8kg(全体の1重量%)を混合、攪拌して調製した。FEPと酸化チタン粉末の重量比率は90:10である。そして、実施例1と同様の製造工程により、光触媒シート1を製造した。光触媒シート1の表面粗さは実施例1と同程度であった。
次に、本発明の光触媒シート20を製造した実施例6について説明する。
基材2として、平均厚さが0.4mmのガラス繊維の両面に、第1のフッ素樹脂層3としてPTFEを約0.2mm被覆し、このPTFE層の両面に、実施例1のFEPの分散剤を使用して、光触媒を含有させた第2のフッ素樹脂層4’である厚さ10μmのFEP層と、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5である厚さFEP3μmのFEP層と、を順次積層して、光触媒シート20を製造した。光触媒を含有させたFEP層を形成する分散剤は、実施例2と同じであり、FEPと酸化チタン粉末の重量比率は60:40であった。光触媒シート1の表面粗さは実施例1と同程度であった。
次に、比較例について説明する。
(比較例1)
FEPの分散剤組成を変えた以外は、実施例1と同様に、基材の最上層に光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5としてFEPを形成した。
図11は、比較例1において、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5に用いた分散剤の組成を示す表である。分散剤の組成は、FEP水系ディスパージョン(固形分54重量%、三井デュポンフロロケミカル(株)製、120−J)を14.6kg、粒径が1nm〜100nmのアナターゼ型TiO2 を用いた水系ディスパージョン(固形分28重量%、特注品)を65.7kg、精製水を97.9kg、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー社製、L−77)1.8kg(全体の1重量%)を混合、攪拌して調製した。FEPと酸化チタン粉末の重量比率は30:70である。そして、実施例1と同様の製造工程により比較例1の光触媒シートを製造した。光触媒シートの表面粗さは実施例1と同程度であった。
(比較例2)
FEPの分散剤組成を変えた以外は、実施例1と同様に、基材の最上層に光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5としてFEPを形成した。
図12は、比較例2において、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5に用いた分散剤の組成を示す表である。分散剤の組成は、FEP水系ディスパージョン(固形分54重量%、三井デュポンフロロケミカル(株)製、120−J)を8.8kg、粒径が1nm〜100nmのアナターゼ型TiO2 を用いた水系ディスパージョン(固形分28重量%、特注品)を67.5kg、精製水を101.9kg、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー社製、L−77)1.8kg(全体の1重量%)を混合、攪拌して調製した。FEPと酸化チタン粉末の重量比率は20:80である。そして、実施例1と同様の製造工程により比較例2の光触媒シートを製造した。光触媒シートの表面粗さは実施例1と同程度であった。
(比較例3)
FEPの分散剤組成を変えた以外は、実施例1と同様に、基材の最上層に光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5としてFEPを形成した。
図13は、比較例3において、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層5に用いた分散剤の組成を示す表である。分散剤の組成は、FEP水系ディスパージョン(固形分54重量%、三井デュポンフロロケミカル(株)製、120−J)を4.1kg、粒径が1nm〜100nmのアナターゼ型TiO2 を用いた水系ディスパージョン(固形分28重量%、特注品)を70.2kg、精製水を103.9kg、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー社製、L−77)1.8kg(全体の1重量%)を混合、攪拌して調製した。FEPと酸化チタン粉末の重量比率は10:90である。そして、実施例1と同様の製造工程により比較例3の光触媒シートを製造した。光触媒シートの表面粗さは実施例1と同程度であった。
(比較例4)
最上層となる第3のフッ素樹脂層に光触媒を入れない以外は、実施例1と同様の製造方法により、従来構造のシートを製造した。光触媒シート1の表面粗さは実施例よりも若干大きい程度であった。
実施例1〜6で製造した光触媒シート及び比較例1〜4で製造したシートを、膜構造建築物の施工に使用し、光触媒を含有させた最上層の光触媒機能と、はっ水性と、熱接合特性と、屋外暴露の汚れの評価を行った。
図14及び図15は、それぞれ、実施例と比較例との光触媒を含有させた最上層の光触媒機能と、接触角と、熱接合特性と、屋外暴露の汚れの評価結果を示す表である。表は、各実施例と各比較例における光触媒の第3のフッ素樹脂層中の重量%と、それに対応する最上層の光触媒機能と、はっ水性と、熱接合特性と、屋外暴露の汚れの評価結果を示している。
最上層の光触媒機能としては有機物(オレイン酸グリセリド)の分解特性を測定した。光触媒を含有させたフッ素樹脂層表面(25cm2 )にオレイン酸グリセリドを塗布して、紫外線照射を行ったときのオレイン酸グリセリドの分解量を測定した。紫外線照射は、紫外線源として15Wのブラックライトランプ(FL15BLB:東芝ライテック製)を用いて、24時間紫外線照射を行った。このときの紫外線強度は、日中の屋外の紫外線の強度と同等の1mW/cm2 であった。
図14ら明らかなように、最上層のフッ素樹脂層5に含有される光触媒が20重量%から60重量%である実施例1〜6においては、オレイン酸グリセリドの分解速度は0.4mg/cm2 ・日以上が得られ、分解速度が速いことが分かった。
また、図15から明らかなように、光触媒が70重量%以上の比較例1〜3の場合にも、オレイン酸グリセリドの分解速度が0.4mg/cm2 ・日以上であり分解速度が速い。比較例4の従来の光触媒触媒を含有させていないシートの場合には、オレイン酸グリセリドの分解作用がないので測定を行わなかった。
また、最上層の光触媒機能としての還元作用は、光触媒シートを0.1N(規定)の硝酸銀水溶液中に浸漬し、その光触媒を含有させたフッ素樹脂層表面に上記紫外線源により、紫外線1mW/cm2 で1分照射した後の色差変化(ΔE* )を調べた。色差変化の測定方法は、JIS規格のZ8701とZ8730である。測定は、分光光度計(日立U−3410型)を使用して可視光領域(380nm〜780nm)で行った。
図14から明らかなように、最上層のフッ素樹脂層5に含有される光触媒が20重量%から60重量%である実施例1〜6における、光触媒による硝酸銀水溶液中の銀の還元作用による色差変化(ΔE* )は4.94から28となり、光触媒による還元作用が高い。色差変化は、光触媒の含有量が多くなると還元機能が増大するので大きくなっている。
また、図15から明らかなように、光触媒が70%重量以上の比較例1〜3の場合にも、光触媒による硝酸銀中の銀の還元作用による色差変化(ΔE* )は26〜28あり、光触媒による還元作用が高い。比較例4の従来の光触媒触媒を含有させていないシートの場合には還元作用がないので測定を行わなかった。
さらに、最上層の接触角は、実施例及び比較例の光触媒シートの製造直後と、紫外線照射後の測定を行った。紫外線照射は、キセノンウェザーメーター(18mW/cm2 )により24時間照射した。接触角の測定は、協和界面科学社製の接触角計(CA−X型)を用い、試料表面に純水6μL(リットル)(6×10-6L)を滴下して行った。
図14から明らかなように、最上層のフッ素樹脂層5に含有される光触媒が20重量%から60重量%である実施例1〜6における製造直後の接触角は約110°から120°であり、はっ水性であった。また、各実施例1〜6において紫外線照射後の接触角は、約104°から111°であり、製造直後よりも若干低下したがはっ水性を示す。
また、図15から明らかなように、光触媒が70重量%と80重量%の比較例1及び2の場合には、製造直後及び紫外線照射後において、接触角が105°以上ではっ水性であり、光触媒が90重量%の比較例3の場合には、製造直後は接触角が約108°ではっ水性となり、紫外線照射後には80°の疎水性となった。比較例4の従来の光触媒触媒を含有させていないシートの場合にはフッ素樹脂の接触角となるので測定を行わなかった。
次に、光触媒シートの熱接合特性は、光触媒シート同士の熱接合部を試験機あるいは試験者の手により、おおよそ、20mm/分の速度で剥離することにより行った。熱接合特性は、フッ素樹脂層同士が完全に溶融し、フッ素樹脂層全体が基材であるガラス繊維から完全に剥がれる場合を良好として○印で示し、その他のフッ素樹脂層間で剥離が生じる場合などの不良を×印で示している。
図14及び図15から明らかなように、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層中の重量%(以下、適宜、光触媒の重量%と呼ぶ)が10%から60%である実施例1〜6及び光触媒を含有させていない比較例4の熱接合特性は良好である。一方、光触媒が70重量%〜90重量%である比較例1〜3においては、熱接合特性が不良となった。
このように、光触媒がおおよそ70重量%以上で不良となるのは、第3のフッ素樹脂層5に含まれる光触媒が増加するために、第3のフッ素樹脂5とその下層にある第1のフッ素樹脂層3及び第2のフッ素樹脂4,4’との密着力が低下するためと推測される。
次に、屋外暴露の汚れの評価は、上記実施例及び比較例のシートを屋外に12カ月暴露した後、シート表面の汚れを評価した。汚れが付着していないシートを優良として○印で示し、汚れが殆ど付着していないシートを良として△印で示し、汚れが付着したシートを不良として×印で示している。屋外暴露は、本出願人の空間技術研究所(大阪府枚方市)屋上にて行った。
図14から明らかなように、最上層のフッ素樹脂層5に含有される光触媒が20重量%から60重量%である実施例1〜4及び実施例6は防汚性が優れている。さらに、図14及び図15から明らかなように、光触媒が10重量%である実施例5及び同70重量%以上の比較例1〜3の場合には、汚れが付着し難いことが分かる。一方、比較例4の最上層に光触媒を含有させない従来のシートは防汚性がないことが分かる。
実施例5において、防汚性がやや悪くなるのは、フッ素樹脂層中の光触媒が少ない(10重量%)ことに起因しているが、光触媒を含有させていない比較例4の防汚性がないのに比べると、はるかに防汚性が高く光触媒添加の効果が顕著である。
これに対して、比較例1〜3のように光触媒を多く含有している場合に防汚性が低下するのは、最上層の光触媒を含有させたフッ素樹脂層3とその下部のフッ素樹脂層3,4との熱接合性が悪いために、時間を経過すると光触媒を含有させたフッ素樹脂層3の欠落が生じ、光触媒を含有させていない下部のフッ素樹脂層4,5が直接外気に接触するためと推定される。しかし、実施例1〜6の熱接合部の防汚性に関しては、実施例6の光触媒シート20が最も汚れが付着しないことが分かった。これは最上層の第3のフッ素樹脂層5と第2のフッ素樹脂層4’の両方に光触媒が含有されているので、光触媒を含有したフッ素樹脂層の厚さが厚いので、時間が経過しても、光触媒を含有させたフッ素樹脂層5の傷などによる欠陥が生じにくいからと推定される。
これにより、光触媒を含有させる第3のフッ素樹脂層のフッ素樹脂に対する酸化チタンが10〜60重量%の範囲において、良好な熱接合特性と共に、高い防汚性が得られることが分かる。
以上の実施例及び比較例の各項目の測定を総合評価すると、実施例1〜6において、高い防汚性と熱接合特性が得られた(図14の総合評価において○)。また、比較例1〜4においては、高い防汚性と熱接合特性が同時に得られなかった(図15の総合評価において×)。
本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。例えば、上記実施の形態で説明した、基材やフッ素樹脂は目的に応じて適宜選択することができ、また、光触媒を含有させたフッ素樹脂の分散剤の組成も適宜に選択できることは勿論である。
本発明の光触媒シートの構造の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の光触媒シートの構造の他の例を模式的に示す断面図である。 本発明の光触媒シートの別の構造を模式的に示す断面である。 本発明の光触媒を含む第3のフッ素樹脂層を被覆した基材の表面側の構造を示す拡大断面図である。 本発明の光触媒シートの製造工程を順次示すフロー図である。 実施例1において、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層の製造に用いた分散剤の組成を示す表である。 実施例2において、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層に用いた分散剤の組成を示す表である。 実施例3において、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層に用いた分散剤の組成を示す表である。 実施例4において、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層に用いた分散剤の組成を示す表である。 実施例5において、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層に用いた分散剤の組成を示す表である。 比較例1において、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層に用いた分散剤の組成を示す表である。 比較例2において、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層に用いた分散剤の組成を示す表である。 比較例3において、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層に用いた分散剤の組成を示す表である。 実施例の光触媒を含有させた最上層の光触媒機能と、接触角と、熱接合特性と、屋外暴露の汚れの評価結果を示す表である。 比較例の光触媒を含有させた最上層の光触媒機能と、接触角と、熱接合特性と、屋外暴露の汚れの評価結果を示す表である。
符号の説明
1,10,20:光触媒シート
2:基材
3:第1のフッ素樹脂層
4:第2のフッ素樹脂層
4’:光触媒を含有させた第2のフッ素樹脂層
5:光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層
5a:光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層の表面
7:第3のフッ素樹脂層内の光触媒
8:第3のフッ素樹脂層の表面に露出した光触媒

Claims (16)

  1. 基材にフッ素樹脂層が被覆され、該フッ素樹脂層のフッ素樹脂を溶融させてシート同士を互いに熱接合する光触媒シートであって、
    上記フッ素樹脂層は
    上記基材上に被覆される第1のフッ素樹脂層と、
    該第1のフッ素樹脂層上に被覆される第2のフッ素樹脂層と、
    該第2のフッ素樹脂層上に被覆され光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層と、からなり、
    上記第1のフッ素樹脂層のフッ素樹脂はPTFEで、上記第3のフッ素樹脂層のフッ素樹脂はFEPであり、
    上記第3のフッ素樹脂層中の上記光触媒は10〜60重量%で、
    上記基材の表面粗さ(Ra)が10μm以上であり、
    上記第2のフッ素樹脂層は上記基材の表面粗さの値より小さい値の厚さでなり、上記第3のフッ素樹脂層は1μm以上で上記基材の表面粗さの値より小さい値の厚さでなり、
    上記第3のフッ素樹脂層表面が、水との接触角90°以上のはっ水性を有すると共に、表面にオレイン酸グリセリドを塗布して該表面に1mW/cm2 の紫外線を照射したときに、該オレイン酸グリセリドの分解速度が0.4mg/cm2 ・日以上であることを特徴とする、光触媒シート。
  2. 基材にフッ素樹脂層が被覆され、該フッ素樹脂層のフッ素樹脂を溶融させてシート同士を互いに熱接合する光触媒シートであって、
    上記フッ素樹脂層は
    上記基材上に被覆される第1のフッ素樹脂層と、
    該第1のフッ素樹脂層上に被覆され光触媒を含有させた第2のフッ素樹脂層と、
    該第2のフッ素樹脂層上に被覆され光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層と、からなり、
    上記第1のフッ素樹脂層のフッ素樹脂はPTFEであると共に上記第3のフッ素樹脂層のフッ素樹脂はFEPであり、
    上記第3のフッ素樹脂層中の上記光触媒は10〜60重量%で、
    上記基材の表面粗さ(Ra)が10μm以上であり、
    上記第2のフッ素樹脂層は上記基材の表面粗さの値より小さい値の厚さでなり、上記第3のフッ素樹脂層は1μm以上で上記基材の表面粗さの値より小さい値の厚さでなり、
    上記第3のフッ素樹脂層表面が、水との接触角90°以上のはっ水性を有すると共に、表面にオレイン酸グリセリドを塗布して該表面に1mW/cm2 の紫外線を照射したときに、該オレイン酸グリセリドの分解速度が0.4mg/cm2 ・日以上であることを特徴とする、光触媒シート。
  3. 前記光触媒は、少なくとも酸化チタン(TiO2 又はTiO3 )からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光触媒シート。
  4. 前記光触媒は前記最上層となるフッ素樹脂層上または第3のフッ素樹脂層上に露出している部分を有していることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光触媒シート。
  5. 前記光触媒を含有するフッ素樹脂層表面の光還元機能が、0.1N(規定)の硝酸銀水溶液中に前記光触媒シートを浸漬させ、その光触媒を含有させたフッ素樹脂層表面に1mW/cm2 の紫外線で1分照射したときの色差変化がΔE* ≧1であることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の光触媒シート。
  6. 光触媒シート同士を熱接合した場合に、該接合部を20mm/分の速度で剥離した時、上記第1乃至第3のフッ素樹脂層が上記基材から剥がれる熱接合特性を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の光触媒シート。
  7. 前記基材は繊維からなり、その表面形状が平坦でない凹凸面、メッシュ状のいずれかであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光触媒シート。
  8. 前記基材はガラス繊維であり、前記第2のフッ素樹脂層がFEPまたはPFAの樹脂層であることを特徴とする、請求項1〜7の何れかに記載の光触媒シート。
  9. 前記基材はガラス繊維であり、前記第2のフッ素樹脂層がPTFE,FEP,PFAの何れか一つの樹脂層であることを特徴とする、請求項1〜7の何れかに記載の光触媒シート。
  10. 請求項1乃至9に記載の光触媒シート同士が熱接合された、膜構造物。
  11. 基材にフッ素樹脂層が被覆され、該フッ素樹脂層のフッ素樹脂を溶融させてシート同士を互いに熱接合する光触媒シートの製造方法であって、
    上記基材の表面粗さ(Ra)を10μm以上とし、
    上記基材上に第1のフッ素樹脂層を被覆する工程と、
    該第1のフッ素樹脂層上に第2のフッ素樹脂層を被覆する工程と、
    該第2のフッ素樹脂層上に光触媒を10〜60重量%含有させた第3のフッ素樹脂層を被覆する工程と、からなり、
    上記第1のフッ素樹脂層のフッ素樹脂をPTFEとすると共に上記第3のフッ素樹脂層のフッ素樹脂をFEPとし、
    上記第2のフッ素樹脂層を、上記基材の表面粗さの値より小さい値の厚さにすると共に、上記第3のフッ素樹脂層を、1μm以上で上記基材の表面粗さの値より小さい値の厚さにし、
    上記光触媒を含有させたフッ素樹脂層表面を、水との接触角が90°以上のはっ水性とすると共に、
    上記フッ素樹脂層表面にオレイン酸グリセリドを塗布して該表面に1mW/cm2 の紫外線を照射したときに、該オレイン酸グリセリドの分解速度が0.4mg/cm2 ・日以上にすることを特徴とする、光触媒シートの製造方法。
  12. 基材にフッ素樹脂層が被覆され、該フッ素樹脂層のフッ素樹脂を溶融させてシート同士を互いに熱接合する光触媒シートの製造方法であって、
    上記基材の表面粗さ(Ra)を10μm以上とし、
    上記基材上に第1のフッ素樹脂層を被覆する工程と、
    該第1のフッ素樹脂層上に光触媒を含有させた第2のフッ素樹脂層を被覆する工程と、
    該第2のフッ素樹脂層上に光触媒を10〜60重量%含有させた第3のフッ素樹脂層を被覆する工程と、からなり、
    上記第1のフッ素樹脂層のフッ素樹脂をPTFEとすると共に上記第3のフッ素樹脂層のフッ素樹脂をFEPとし、
    上記第2のフッ素樹脂層を、上記基材の表面粗さの値より小さい値の厚さにすると共に、上記第3のフッ素樹脂層を、1μm以上で上記基材の表面粗さの値より小さい値の厚さにし、
    上記光触媒を含有させたフッ素樹脂層表面を、水との接触角が90°以上のはっ水性とすると共に、
    上記フッ素樹脂層表面にオレイン酸グリセリドを塗布して該表面に1mW/cm2 の紫外線を照射したときに、該オレイン酸グリセリドの分解速度が0.4mg/cm2 ・日以上にすることを特徴とすることを特徴とする、光触媒シートの製造方法。
  13. 前記第1のフッ素樹脂層と、前記第2のフッ素樹脂層または前記光触媒を含有させた第2のフッ素樹脂層と、前記光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層と、を形成する被覆工程が、連続して行われることを特徴とする、請求項11または12に記載の光触媒シートの製造方法。
  14. 予め前記第1のフッ素樹脂層及び前記第2のフッ素樹脂層を被覆した前記基材に、光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層を被覆する工程を行うことを特徴とする、請求項11または12に記載の光触媒シートの製造方法。
  15. 前記光触媒を含有させた第3のフッ素樹脂層が、光触媒となる酸化チタン微粒子を含有させたフッ素樹脂用分散剤を前記第2のフッ素樹脂層上に塗布する工程と、乾燥する工程と、前記第3のフッ素樹脂層に用いるフッ素樹脂の融点よりも高い温度で焼結すると共に前記光触媒を前記第3のフッ素樹脂層の表面に露出させる工程と、を含む工程により被覆されることを特徴とする、請求項11または12の何れかに記載の光触媒シートの製造方法。
  16. 光触媒シート同士を熱接合した場合に、該接合部を20mm/分の速度で剥離した時、上記第1乃至第3のフッ素樹脂層が上記基材から剥がれる熱接合特性を有することを特徴とする、請求項11又は12に記載の光触媒シートの製造方法。
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