JP4468568B2 - 水処理凝集剤及びその製造方法並びに水処理方法 - Google Patents

水処理凝集剤及びその製造方法並びに水処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水処理凝集剤及びその製造方法並びに水処理方法に関し、更に詳細には飲料等に供給される上水を得る上水用水処理工程において発生したスラッジから回収された水処理凝集剤及びその製造方法並びに水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
河川等から取水した原水から飲料等に供給する上水を得る上水用水処理場(以下、浄水場と称することがある)では、その水処理工程で水処理凝集剤(以下、単に凝集剤と称することがある)が用いられている。かかる凝集剤としては、アルミニウム化合物を主成分とする凝集剤が汎用されている。
従来、この凝集剤は、新たな凝集剤が使用されていたが、凝集剤の浄水場外からの搬入が必要であり、且つ薬剤費の面でもコスト高となっていた。
更に、近年、環境問題がクローズアップされてきており、凝集剤の使い捨てが問題となりつつある。このため、凝集剤を回収して再使用する方法、例えば、凝集剤の主成分であるアルミニウム化合物が大量に含有されているスラッジに硫酸を添加し、アルミニウム化合物を硫酸アルミニウムとして溶解させた後、スラッジ中の不溶固形分と濾別して得た、硫酸アルミニウムを主成分とする溶液を原料にして凝集剤を得る方法が検討された。
【0003】
しかし、浄水場で発生するスラッジ中には、主成分としてのアルミニウム化合物の他に、マンガン化合物も高濃度に含有されている。原水中に含まれている天然由来のマンガン化合物がスラッジに濃縮されるためである。
かかるマンガン化合物は硫酸と反応して溶解し、硫酸アルミニウムを主成分とする溶液中に含有される。このため、かかる溶液を原料にして得た凝集剤中にもマンガン化合物が含有され、最終的に得た凝集剤中にもマンガンが高濃度で含有される。マンガンは人体に有害な金属であるため、マンガンが高濃度で含有された凝集剤は、浄水場の水処理凝集剤として使用できない。
この様に、マンガン化合物が高濃度に含有されているアルミニウム系スラッジからマンガン化合物を除去しつつ、アルミニウム化合物を回収する回収方法が、特公昭53−35880号公報に提案されている。
この回収方法は、マンガン化合物を含有するアルミニウム系スラッジに硫酸を加えてアルミニウム化合物を溶解した後、この硫酸水溶液に飽和水溶液のpHが約7〜11を呈する弱塩基性の無機化合物を加えてpH4〜6とし再びアルミニウム化合物を析出させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記公報に提案されたアルミニウム化合物の回収方法によれば、マンガン化合物が高濃度で存在するスラッジからマンガン含有量が極めて少ない硫酸アルミニウムを主成分とする凝集剤を得ることができる。
しかしながら、浄水場のスラッジから回収して再生した硫酸アルミニウムを主成分とする再生凝集剤の凝集効果は、市販の凝集剤に比較して劣るものとなる。
そこで、本発明の課題は、主成分がアルミニウム化合物から成る水処理凝集剤を原水に添加して飲料水等に供給される上水を得る上水用水処理工程において発生したスラッジから、マンガンを除去して回収したアルミニウム化合物を主成分とする水処理凝集剤であって、市販のアルミニウム化合物を主成分とする水処理凝集剤と同程度の凝集効果を呈し得る水処理凝集剤及びその製造方法、並びに前記水処理凝集剤を用いた水処理方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく、先ず、浄水場のスラッジから回収して再生した硫酸アルミニウムを主成分とする再生凝集剤が、市販の凝集剤に比較して劣る原因について検討したところ、浄水場のスラッジには、鉄化合物も高濃度に含有されているが、前記公報で提案された回収方法では、スラッジ中のマンガン化合物の除去と同時に鉄化合物も除去される。
一方、鉄は人体に無害な金属であり、鉄イオンは凝集効果を奏するため、浄水場で再使用される再生凝集剤の凝集効果を向上させるべく、再生凝集剤中に鉄を残存させることができる。
この様な知見に基づいて本発明者等は、更に検討を重ねた結果、鉄化合物及びマンガン化合物を含有するアルミニウム系スラッジに硫酸を加えてアルミニウム化合物を溶解した後、この硫酸水溶液に苛性ソーダを添加し、アルミニウム水和物を析出せしめることによって、マンガンを除去しつつ鉄を残留させることができること、及び浄水場のスラッジから回収して再生した塩化アルミニウムを主成分とする再生凝集剤でも、市販の塩化アルミニウムを主成分とする水処理凝集剤と同程度の凝集効果を呈し得ることも見出し、本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明は、主成分がアルミニウム化合物から成る水処理凝集剤を原水に添加し、飲料用水等に供給される上水を得る上水用水処理工程において発生したスラッジから回収された水処理凝集剤であって、該水処理凝集剤の主成分が下記に示す一般式で表される塩化アルミニウムであると共に、前記塩化アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中のマンガン含有量が20ppm以下であることを特徴とする水処理凝集剤にある。
一般式
Al2(OH)nCl(6-n) 但し、0≦n<6
本発明に係る主成分が塩化アルミニウムである水処理凝集剤において、換算水処理凝集剤中の鉄含有量を1000ppm以上(好ましくは3000ppm以上)とする場合は、再生された水処理凝集剤(再生凝集剤)の凝集効果を更に向上できる。かかる再生凝集剤としては、主成分をポリ塩化アルミニウムとする水処理凝集剤とすることが好ましい。
更に、本発明は、主成分がアルミニウム化合物から成る水処理凝集剤を原水に添加し、飲料用水等に供給される上水を得る上水用水処理工程において発生したスラッジから回収された水処理凝集剤であって、該水処理凝集剤の主成分が硫酸アルミニウムであると共に、前記硫酸アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中の鉄含有量が1000ppm以上であり且つマンガン含有量が20ppm以下であることを特徴とする水処理凝集剤でもある。
本発明に係る主成分が硫酸アルミニウムである水処理凝集剤において、換算水処理凝集剤中の鉄含有量を3000ppm以上とする場合は、再生された水処理凝集剤(再生凝集剤)の凝集効果を更に向上できる。
【0007】
また、本発明は、主成分がアルミニウム化合物から成る水処理凝集剤を原水に添加し飲料水等に供給する上水を得る上水用水処理工程において発生したスラッジに、塩酸又は硫酸を添加して前記スラッジ中のアルミニウム化合物を溶解した溶液を得た後、前記溶液にpH13以上の強アルカリ性を呈するアルカリ化合物を添加し、前記溶液をpH4.5〜6.5に調整してアルミニウム水和物を析出せしめ、次いで、前記アルミニウム水和物を原料に用いて塩化アルミニウム又は硫酸アルミニウムを主成分とする水処理凝集剤を得ることを特徴とする水処理凝集剤の製造方法でもある。
本発明に係る水処理凝集剤の製造方法において、pH13以上の強アルカリ性を呈するアルカリ化合物として、苛性ソーダを用いることによって、アルカリ化合物を液状で取り扱うことができ、その取扱を容易とすることができる。
【0008】
更に、本発明は、河川等から取水した原水から飲料水等に供給する上水を得る上水用水処理の際に、この上水用水処理の水処理凝集剤として、上水用水処理工程において発生したスラッジから回収された、主成分が上記一般式で表される塩化アルミニウムであると共に、この塩化アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中のマンガン含有量が20ppm以下である水処理凝集剤、又は主成分が硫酸アルミニウムであると共に、この硫酸アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中の鉄含有量が1000ppm以上で且つマンガン含有量が20ppm以下の水処理凝集剤を用いる水処理方法でもある。
或いは、本発明は、河川等から取水した原水から飲料水等に供給する上水を得る上水用水処理の際に、水処理凝集剤として、前記上水用水処理工程で発生したスラッジから回収された、主成分が上記一般式で表される塩化アルミニウムであると共に、この塩化アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中のマンガン含有量が20ppm以下である水処理凝集剤、又は主成分が硫酸アルミニウムであると共に、この硫酸アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中の鉄含有量が1000ppm以上で且つマンガン含有量が20ppm以下の水処理凝集剤を再使用することを特徴とする水処理方法でもある。
【0009】
本発明においては、スラッジ中のアルミニウム化合物を溶解した硫酸溶液を得る。この硫酸溶液には、スラッジ中に含有されていたアルミニウム、マンガン、鉄等との硫酸化合物が含有される。
しかしながら、かかる硫酸溶液にpH13以上の強アルカリ性を呈するアルカリ化合物を添加し、硫酸溶液をpH4.5〜6.5に調整すると、アルミニウム水和物及び鉄化合物等は析出するが、マンガンとの硫酸化合物は溶解状態にある。
このため、pH調整して析出した析出物と溶液とを濾過等により分離することによって、アルミニウム水和物及び鉄化合物等を含有し、実質的にマンガン化合物が除去されたケーキと、マンガン化合物を含有する溶液とに分離できる。
次いで、ケーキに所定の処理を施すことによって、主成分が硫酸アルミニウムである水処理凝集剤を得ることができる。この水処理凝集剤では、硫酸アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中の鉄含有量が1000ppm以上で且つマンガン含有量が20ppm以下である。
【0010】
かかる水処理凝集剤は、マンガン含有量が極めて少ないため、上水用凝集剤として用いることができ、且つ鉄含有量が多いため、市販の水処理凝集剤と同程度以上の凝集性を呈する。
また、スラッジ中のアルミニウム化合物を塩酸に溶解することによって、主成分が硫酸アルミニウムである水処理凝集剤を得たと同様の操作によって、主成分が上記一般式で表される塩化アルミニウムである水処理凝集剤を得ることができる。この水処理凝集剤では、この塩化アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中のマンガン含有量が20ppm以下である。かかる塩化アルミニウムを主成分とする水処理凝集剤は、換算水処理凝集剤中の鉄含有量が1000ppm以下であっても、良好な凝集性を呈することができる。
このため、本発明に係る水処理凝集剤は、浄水場で凝集剤として用いることができ、更に本発明に係る水処理凝集剤を凝集剤として用いて発生したスラッジから、再度、水処理凝集剤を回収して凝集剤として再使用できる。
その結果、浄水場内において、水処理凝集剤を循環使用することができ、水処理凝集剤の使い捨て等を実質的になくすことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係る水処理凝集剤(凝集剤)は、主成分がアルミニウム化合物から成る凝集剤を原水に添加して飲料水等に供給される上水を得る上水用水処理工程において発生したスラッジから回収された凝集剤であって、主成分が硫酸アルミニウムであると共に、硫酸アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中の鉄含有量が1000ppm以上(好ましくは3000ppm以上)で且つマンガン含有量が20ppm以下のものである。
ここで、換算水処理凝集剤中の鉄含有量が1000ppm未満の場合、回収された凝集剤は、市販されている主成分が硫酸アルミニウムの凝集剤に比較して凝集性能が劣る。
また、換算水処理凝集剤中のマンガン含有量が20ppmを越える場合、回収された凝集剤は、浄水場で使用することは好ましくない。現在、上水の水質基準では、上水中のマンガン含有量が、0.05ppm以下となるように定められているが、上水中のマンガンは天然土壌等から溶出したマンガンと凝集剤等の添加物から溶出したマンガンとがある。このうち凝集剤等の添加物中に含有するマンガンから上水中に溶出するマンガン量が0.005ppm以下となるように管理されている。
【0012】
このため、凝集剤中のマンガン含有量を、換算水処理凝集剤中に20ppm以下とすることによって、凝集剤中のマンガン化合物の殆どが上水中に溶出したとしても、上水中に含有する凝集剤中のマンガン化合物に由来するマンガン量を0.005ppm以下にできる。
また、本発明に係る凝集剤は、主成分がアルミニウム化合物から成る凝集剤を原水に添加して飲料水等に供給される上水を得る上水用水処理工程において発生したスラッジから回収された凝集剤であって、主成分が下記に示す一般式で表される塩化アルミニウムであると共に、この塩化アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中のマンガン含有量が20ppm以下のものである。
一般式
Al2(OH)nCl(6-n) 但し、0≦n<6
上記一般式で表される塩化アルミニウムのうち、n=0の場合は、正塩の塩化アルミニウムであり、塩基度[(n/6)×100]が15〜83%(好ましくは15〜60%)の場合は、ポリ塩化アルミニウム(塩基性塩化アルミニウム)である。
かかる凝集剤においても、換算水処理凝集剤中の鉄含有量が1000ppm以上(特に3000ppm)以上であることが、凝集性を更に向上でき好ましい。
【0013】
この様な本発明に係る凝集剤を得るには、先ず、主成分がアルミニウム化合物から成る水処理凝集剤を原水に添加し飲料水等に供給する上水を得る上水用水処理工程で発生したスラッジに、塩酸又は硫酸を添加してスラッジ中のアルミニウム化合物を溶解した塩酸溶液又は硫酸溶液を得る。
かかるスラッジには、浄水場において、主成分がアルミニウム化合物から成る水処理凝集剤が用いられているため、Al2O3換算で約10重量%程度のアルミニウム化合物が含有されている。このスラッジ中のアルミニウム化合物は、添加された塩酸又は硫酸と反応して塩化アルミニウム又は硫酸アルミニウムとして塩酸溶液又は硫酸溶液中に溶解するため、塩化アルミニウムが溶解された塩酸溶液又は硫酸アルミニウムが溶解された硫酸溶液を濾過することによって、スラッジから分離できる。
【0014】
ここで、上水用水処理工程で発生したスラッジに添加する塩酸量は、スラッジに含有されているアルミニウムと当量となるように調整することが好ましい。
かかる量の塩酸が添加されて得られた塩酸溶液中のアルミニウム濃度が低過ぎると、最終的に得られた凝集剤が不安定となり、アルミニウム等が水和物として析出し、最終的に得られた凝集剤の凝集性能が不充分となる傾向がある。他方、塩酸溶液中のアルミニウム濃度が高過ぎると、スラッジと塩酸とから成るスラリーの粘度が高くなり過ぎて濾過等の操作に支障を来す傾向がある。このため、塩酸溶液中のアルミニウム濃度が、Al2O3換算で0.1〜6重量%、特に1〜6重量%となる様に、スラッジ量、水量及び塩酸量を調整することが好ましい。
【0015】
一方、スラッジに硫酸を添加する場合も、スラッジに含有されているアルミニウムと当量となるように、硫酸の添加量を調整することが好ましい。
かかる量の硫酸が添加されて得られた硫酸溶液中のアルミニウム濃度が低過ぎると、最終的に得られた凝集剤が不安定となり、アルミニウム等が水和物として析出し、最終的に得られた凝集剤の凝集性能が不充分となる傾向がある。他方、硫酸溶液中のアルミニウム濃度が高過ぎると、スラッジと硫酸とから成るスラリーの粘度が高くなり過ぎて濾過等の操作に支障を来す傾向がある。このため、硫酸溶液中のアルミニウム濃度が、Al2O3換算で0.1〜6重量%、特に1〜6重量%となる様に、スラッジ量、水量及び硫酸量を調整することが好ましい。
尚、スラッジ中のアルミニウム化合物と塩酸又は硫酸との反応は、室温〜100℃(好ましくは50〜95℃)の範囲で行うことができる。
【0016】
かかる塩酸溶液又は硫酸溶液には、スラッジ中に含有されているマンガン化合物や鉄化合物も、アルミニウム化合物と同様に塩酸又は硫酸と反応して溶解されている。
このため、この塩酸溶液又は硫酸溶液に中和剤としてpH13以上の強アルカリ性を呈するアルカリ化合物を添加し、塩酸溶液又は硫酸溶液をpH4.5〜6.5に調整することによって、マンガン化合物を実質的に析出させることなくアルミニウム水和物(水酸化アルミニウム)及び鉄化合物を析出できる。
したがって、pH調整した溶液を濾過することによって、アルミニウム水和物及び鉄化合物が含有されているケーキと、マンガン化合物が含有されている濾液とに分離できる。この濾液は、必要に応じて公知の凝集沈殿法等によりマンガン量を低減又は除去して原水に戻すことができる。
ここで、中和剤として用いるpH13以上の強アルカリ性を呈するアルカリ化合物としては、溶液として扱うことのできる苛性ソーダや苛性カリを好ましく用いることができるが、薬剤コストの観点から苛性ソーダが特に好ましい。
【0017】
かかる中和剤に代えて、重炭酸ソーダ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の弱塩基性のアルカリ化合物を用いると、塩酸溶液又は硫酸溶液中のマンガンのみならず鉄も除去する。
また、pH13以上の強アルカリ性を呈するアルカリ化合物を塩酸溶液又は硫酸溶液に添加した溶液のpHが4.5未満の場合、スラッジに含有されているアルミニウムの回収率が低下する。一方、アルカリ化合物を添加した溶液のpHが6.5を越える場合、塩酸溶液又は硫酸溶液中のマンガンを充分に除去することができない。
この様に、化学的挙動が近似しているマンガンと鉄とを分離できる詳細な理由は明確になっていないが、浄水場で発生するスラッジには、河川水をアルミニウム系凝集剤で処理して生成したものであり、スラッジ中には土壌由来の成分も含有されていること、及び中和剤としてpH13以上の強アルカリ性を呈するアルカリ化合物を用いることに在るものと推察される。
【0018】
マンガン化合物と分離されたアルミニウム水和物及び鉄化合物が含有されているケーキと、塩酸とを反応させた後、濾過することによって主成分が塩化アルミニウムの凝集剤を得ることができる。かかるケーキと塩酸とを反応させる際に、塩酸をアルミニウムに対して当量未満とすることによって、ポリ塩化アルミニウム(以下、PACと称することがある)を主成分とする凝集剤を得ることができる。この反応の際に、塩酸に適量の硫酸塩、例えば無水芒硝(硫酸ナトリウム)を添加することによって、凝集効果の優れたPACを得ることができる。このPACは、アルミニウム含有のスラッジに硫酸を添加して回収した後、苛性ソーダで中和処理して得たケーキと塩酸とを反応することによっても得ることができる。ケーキ中に硫酸根が残留しているためである。
或いは、マンガン化合物と分離されたアルミニウム水和物及び鉄化合物が含有されているケーキと硫酸溶液とを混合し、アルミニウム水和物と硫酸とを反応させた後、濾過することによって、主成分が硫酸アルミニウムの凝集剤を得ることができる。
得られた凝集剤(以下、再生凝集剤と称することがある)中のアルミニウム含有量は、再生凝集剤の凝集効果及び再生凝集液を溶解した溶液の安定性等の観点からは、主成分が硫酸アルミニウムの凝集剤の場合は、Al2O3換算で0.5重量%以上とすることが好ましい。
一方、主成分がポリ塩化アルミニウムの凝集剤の場合は、保存期間によって異なり、例えば保存期間が1日程度の場合は、Al2O3換算で1重量%以上でよく、保存期間が1週間程度の場合は、Al2O3換算で2重量%程度でよい。更に、主成分がポリ塩化アルミニウムの凝集剤を1週間を越えて保存する場合は、3重量%以上とすることが好ましい。
かかる再生凝集剤中のマンガン含有量は、換算水処理凝集剤中で15ppm以下とすることができ、1ppm以下とすることもできる。このため、再生凝集剤を浄水場で使用することができる。
【0019】
また、得られた再生凝集剤中のPACは、その塩基度を50%以下とするように、塩酸の添加量を調整することができるが、凝集性能等を考慮し塩基度を15〜50%とすることが好ましい。PACの塩基度が15%未満の再生凝集剤では、凝集効果が低下する傾向にあり、PACの塩基度が50%を越える再生凝集剤を得ようとすると、ゲル化して分解し易くなる傾向にある。
この様に、塩基度が15〜50%程度のPACを主成分とする再生凝集剤は、塩基度が50%を越えるPACを主成分とする市販の凝集剤と同程度以上の凝集効果を奏することができる。
更に、主成分が硫酸アルミニウムの再生凝集剤も、硫酸アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中に、1000ppm以上(好ましくは3000ppm以上、特に好ましくは5000ppm以上)の鉄が含有されており、市販の硫酸アルミニウムから成る再生凝集剤と同程度以上の凝集効果を奏する。
この様に、再生凝集剤中に含有されている鉄は、再生凝集剤の奏する凝集性能を補っているものと推察される。このため、PACを主成分とする再生凝集剤にも、ポリ塩化アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中に、1000ppm以上(更に3000ppm以上、特に5000ppm以上)の鉄が含有されていることが好ましい。
尚、シリカも凝集剤の凝集性向上に有効に作用するものと考えられるため、浄水場のスラッジから回収された再生凝集剤中にも、その換算水処理凝集剤中に500〜3000ppm程度のシリカを含有することが好ましい。
【0020】
この様にして回収された再生凝集剤は、浄水場で凝集剤として再使用することができ、再生凝集剤だけでは凝集剤量が不足する場合には、市販の凝集剤を併用してもよい。
ところで、浄水場で発生するスラッジには、Al2O3換算で約10重量%程度のアルミニウム化合物が含有されているが、含有されているアルミニウム化合物量のうち、約50%が凝集剤由来のものであり、残りの50%が天然土壌等から由来するものと考えられている。
このため、スラッジ中に含有されているアルミニウム化合物量の約50%を回収して再生凝集剤として再使用することによって、凝集剤を循環使用することができ、凝集剤の浄水場外からの搬入及び凝集剤の使い捨ての問題を解消できる。
この様に、再生凝集剤を循環使用しても、再生凝集剤中のマンガン含有量を、換算水処理凝集剤中で20ppm以下とすることができ、再生凝集剤中にマンガン化合物が次第に蓄積される懸念を解消できる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明する。
実施例1
浄水場Aで発生したスラッジ(含有アルミニウム;Al2O3換算で11.1重量%)300gを水1800gに分散した後、35%塩酸200gを添加してスラリーとし、95℃で120分間攪拌しつつ、スラッジ中のアルミニウムと塩酸とを反応させた。
次いで、このスラリーを、No.2濾紙を用いて吸引濾過して2200gの塩酸溶液を濾別した。この塩酸溶液中の塩化アルミニウムの含有量は、Al2O3換算で1.2重量%であり、マンガン含有量は150ppm、鉄含有量は1600ppm、及びシリカ含有量は870ppmであった。
更に、濾別した塩酸溶液に、20%苛性ソーダ水溶液を攪拌しつつ徐々に加えてpH5.0として水酸化アルミニウムを析出させた。
その後、水酸化アルミニウムが析出した溶液を、No.2濾紙を用いて吸引濾過し、No.2濾紙上にケーキ440gが残った。このケーキ中の水酸化アルミニウム含有量は、Al2O3換算で5.2重量%であり、マンガン含有量は1ppm未満、鉄含有量は3900ppm、及びシリカ含有量は2100ppmであった。
No.2濾紙上に残ったケーキと、無水芒硝10gと35%塩酸96gとの溶液とを混合し、水酸化アルミニウムと塩酸及び芒硝とを反応させた後、吸引濾過することによって、主成分がポリ塩化アルミニウム(PAC)の再生凝集剤420gを得ることができた。
得られた再生凝集剤のPACは、その含有量がAl2O3換算で4.0重量%であり、塩基度が約30%であった。この再生凝集剤中のマンガン含有量は1ppm未満、鉄含有量は2200ppm、及びシリカ含有量は370ppmであった。
また、再生凝集剤に含有されているポリ塩化アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中のマンガン、鉄、及びシリカの含有量は、マンガン含有量が1ppm未満、鉄含有量が5500ppm、シリカ含有量が930ppmであった。
尚、スラッジ中に含有されているアルミニウムに対する回収率は50%であった。
【0022】
実施例2
浄水場Bで発生したスラッジ(含有アルミニウム;Al2O3換算で10.5重量%)330gを水1800gに分散した後、35%塩酸200gを添加してスラリーとし、95℃で120分間攪拌しつつ、スラッジ中のアルミニウムと塩酸とを反応させた。
次いで、このスラリーを、No.2濾紙を用いて吸引濾過して2100gの塩酸溶液を濾別した。この塩酸溶液中の塩化アルミニウムの含有量は、Al2O3換算で1.2重量%であり、マンガン含有量は5ppm、鉄含有量は30ppm、及びシリカ含有量は970ppmであった。
更に、濾別した塩酸溶液1000gに、20%苛性ソーダ水溶液を攪拌しつつ徐々に加えてpH5.0として水酸化アルミニウムを析出させた。
その後、水酸化アルミニウムが析出した溶液を、No.2濾紙を用いて吸引濾過し、No.2濾紙上にケーキ235gが残った。このケーキ中の水酸化アルミニウム含有量は、Al2O3換算で4.9重量%であり、マンガン含有量は1ppm未満、鉄含有量は110ppm、及びシリカ含有量は2610ppmであった。
No.2濾紙上に残ったケーキと、無水芒硝5gと35%塩酸48gとの溶液とを混合し、水酸化アルミニウムと塩酸及び芒硝とを反応させた後、吸引濾過することによって、主成分がポリ塩化アルミニウム(PAC)の再生凝集剤125gを得ることができた。
得られた再生凝集剤のPACは、その含有量がAl2O3換算で3.9重量%であった。この再生凝集剤中のマンガン含有量は1ppm未満、鉄含有量は70ppm、及びシリカ含有量は410ppmであった。
また、再生凝集剤に含有されているポリ塩化アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中のマンガン、鉄、及びシリカの含有量は、マンガン含有量が1ppm未満、鉄含有量が180ppm、及びシリカ含有量が1050ppmであった。
【0023】
実施例3
浄水場Aで発生したスラッジ(含有アルミニウム;Al2O3換算で11.1重量%)450gを水2900gに分散した後、96%硫酸147gを添加してスラリーとし、95℃で120分間攪拌しつつ、スラッジ中のアルミニウムと硫酸とを反応させた。
次いで、このスラリーを、No.2濾紙を用いて吸引濾過して3000gの硫酸溶液を濾別した。この硫酸溶液中の硫酸アルミニウムの含有量は、Al2O3換算で1.2重量%であり、マンガン含有量は130ppm、鉄含有量は1400ppm、及びシリカ含有量は980ppmであった。
更に、濾別した硫酸溶液1000gに、20%苛性ソーダ水溶液を攪拌しつつ徐々に加えてpH5.0として水酸化アルミニウムを析出させた。
その後、水酸化アルミニウムが析出した溶液を、No.2濾紙を用いて吸引濾過し、No.2濾紙上にケーキ175gが残った。このケーキ中の水酸化アルミニウム含有量は、Al2O3換算で6.3重量%であり、マンガン含有量は7ppm、鉄含有量は5400ppm、及びシリカ含有量は3600ppmであった。
No.2濾紙上に残ったケーキと、水55gと96%硫酸33gとの硫酸溶液とを混合して反応させた後、吸引濾過することによって、主成分が硫酸アルミニウムの再生凝集剤230gを得ることができた。
得られた再生凝集剤には、アルミニウム含有量がAl2O3換算で4.0重量%であり、マンガン含有量が4ppm、鉄含有量が4000ppm、及びシリカ含有量gが480ppmであった。
また、再生凝集剤に含有されている硫酸アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中のマンガン、鉄、及びシリカの含有量は、マンガン含有量が10ppm、鉄含有量が10000ppm、及びシリカ含有量が1200ppmであった。
尚、スラッジ中に含有されているアルミニウムに対する回収率は55%であった。
【0024】
実施例4
浄水場Cで発生したスラッジ(含有アルミニウム;Al2O3換算で10.2重量%)150gを水1000gに分散した後、96%硫酸45gを添加してスラリーとし、95℃で120分間攪拌しつつ、スラッジ中のアルミニウムと硫酸とを反応させた。
次いで、このスラリーを、No.2濾紙を用いて吸引濾過して900gの硫酸溶液を濾別した。この硫酸溶液中の硫酸アルミニウムの含有量は、Al2O3換算で1.1重量%であり、マンガン含有量は110ppm、鉄含有量は310ppm、及びシリカ含有量は1000ppmであった。
更に、濾別した硫酸溶液900gに、20%苛性ソーダ水溶液を攪拌しつつ徐々に加えてpH5.0として水酸化アルミニウムを析出させた。
その後、水酸化アルミニウムが析出した溶液を、No.2濾紙を用いて吸引濾過し、No.2濾紙上にケーキ170gが残った。このケーキ中の水酸化アルミニウム含有量は、Al2O3換算で6.5重量%であり、マンガン含有量は5ppm、鉄含有量は1050ppm、及びシリカ含有量は3000ppmであった。
No.2濾紙上に残ったケーキと、水55gと96%硫酸33gとの硫酸溶液とを混合し、水酸化アルミニウムと硫酸とを反応させた後、吸引濾過することによって、主成分が硫酸アルミニウムの再生凝集剤240gを得ることができた。
得られた再生凝集剤には、アルミニウム含有量がAl2O3換算で3.9重量%であり、マンガン含有量が3ppm、鉄含有量が700ppm、及びシリカ含有量gが500ppmであった。
また、再生凝集剤に含有されている硫酸アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中のマンガン、鉄、及びシリカの含有量は、マンガン含有量が8ppm、鉄含有量が1790ppm、及びシリカ含有量が1280ppmであった。
【0025】
比較例1
実施例3において、濾別した硫酸溶液1000gに、20%苛性ソーダ水溶液を攪拌しつつ徐々に加えてpH7.5とし、水酸化アルミニウムを析出させた。
更に、水酸化アルミニウムが析出した溶液を、No.2濾紙を用いて吸引濾過し、No.2濾紙上にケーキ190gが残った。このケーキ中の水酸化アルミニウム含有量は、Al2O3換算で6.9重量%であり、マンガン含有量は3000ppm、鉄含有量は5400ppm、及びシリカ含有量は3700ppmであった。
No.2濾紙上に残ったケーキと、水60gと96%硫酸36gとの硫酸溶液とを混合し、水酸化アルミニウムと硫酸とを反応させた後、吸引濾過することによって、主成分が硫酸アルミニウムの再生凝集剤500gを得ることができた。
得られた再生凝集剤には、アルミニウム含有量がAl2O3換算で4.2重量%であり、マンガン含有量が1900ppm、鉄含有量が5400ppm、及びシリカ含有量gが1500ppmであった。
また、再生凝集剤に含有されている硫酸アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中のマンガン、鉄、及びシリカの含有量は、マンガン含有量が4520ppm、鉄含有量が12860ppm、及びシリカ含有量が3570ppmであった。
この様に、換算水処理凝集剤中のマンガン含有量が4520ppmにも達する凝集剤は、浄水場の凝集剤としては使用できないものである。
【0026】
比較例2
実施例3において、濾別した硫酸溶液1000gに、20%苛性ソーダ水溶液を攪拌しつつ徐々に加えてpH4.0とし、水酸化アルミニウムを析出させた。
更に、水酸化アルミニウムが析出した溶液を、No.2濾紙を用いて吸引濾過し、No.2濾紙上にケーキ25gが残った。このケーキ中の水酸化アルミニウム含有量は、Al2O3換算で4.2重量%であった。
この時点でのスラッジ中に含有しているアルミニウムに対する回収率が6%に過ぎず、実用性が乏しいため以後の操作を中止した。
【0027】
比較例3
実施例3において、濾別した硫酸溶液1000gに、10%水酸化マグネシウムを攪拌しつつ徐々に加えてpH5.0として、水酸化アルミニウムを析出させた。
更に、水酸化アルミニウムが析出した溶液を、No.2濾紙を用いて吸引濾過し、No.2濾紙上にケーキ150gが残った。このケーキ中の水酸化アルミニウム含有量は、Al2O3換算で7.1重量%であり、マンガン含有量は3ppm、鉄含有量は80ppm、及びシリカ含有量は2500ppmであった。
No.2濾紙上に残ったケーキと、水53gと96%硫酸32gとの硫酸溶液とを混合し、水酸化アルミニウムと硫酸とを反応させた後、吸引濾過することによって、主成分が硫酸アルミニウムの再生凝集剤250gを得ることができた。
得られた再生凝集剤には、アルミニウム含有量がAl2O3換算で4.2重量%であり、マンガン含有量が2ppm、鉄含有量が60ppm、及びシリカ含有量が310ppmであった。
また、再生凝集剤に含有されている硫酸アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中のマンガン、鉄、及びシリカの含有量は、マンガン含有量が5ppm、鉄含有量が140ppm、及びシリカ含有量が740ppmであった。
【0028】
実施例5
浄水場Aで発生したスラリー状の未濃縮スラッジ(含有アルミニウム;Al2O3換算で1.3重量%)2950gに96%硫酸112gを添加し、25℃で120分間攪拌しつつ、スラッジ中のアルミニウムと硫酸とを反応させた。
次いで、このスラリーを、No.2濾紙を用いて吸引濾過して2800gの硫酸溶液を濾別した。この硫酸溶液中の硫酸アルミニウムの含有量は、Al2O3換算で0.9重量%であり、マンガン含有量は100ppm、鉄含有量は810ppm、及びシリカ含有量は700ppmであった。
更に、濾別した硫酸溶液に、20%苛性ソーダ水溶液を攪拌しつつ徐々に加えてpH4.5として水酸化アルミニウムを析出させた。
その後、水酸化アルミニウムが析出した溶液を、No.2濾紙を用いて吸引濾過し、No.2濾紙上にケーキ310gが残った。このケーキ中の水酸化アルミニウム含有量は、Al2O3換算で7.0重量%であり、マンガン含有量は5ppm、鉄含有量は2800ppm、及びシリカ含有量は2800ppmであった。
No.2濾紙上に残ったケーキと35%塩酸164gとを混合して反応させた後、吸引濾過することによって、主成分が正塩の塩化アルミニウムから成る再生凝集剤450gを得ることができた。
得られた再生凝集剤には、アルミニウム含有量がAl2O3換算で4.4重量%であり、マンガン含有量が4ppm、鉄含有量が1600ppm、及びシリカ含有量gが800ppmであった。
また、再生凝集剤に含有されている塩化アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中のマンガン、鉄、及びシリカの含有量は、マンガン含有量が9ppm、鉄含有量が3640ppm、及びシリカ含有量が1820ppmであった。
尚、スラッジ中に含有されているアルミニウムに対する回収率は52%であった。
【0029】
実施例6
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び比較例3で得られた再生凝集剤、及び市販されている凝集剤の各々について、凝集能を調査すべくジャーテストを行い、結果を下記の[表1]に示した。
このジャーテストでは、荒川水系の原水(濁度;10.3°,pH;7.4,水温25℃)を用いて行い、再生凝集剤及び市販の凝集剤の原水に対する添加量は、アルミニウム添加量がAl2O3換算で2.0mg/リットル(原水)となるように添加した。
【表1】
Figure 0004468568
表1から明らかな様に、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4及び実施例5の再生凝集剤は、いずれも市販の凝集剤と同等以上の凝集効果を呈するものである。
これに対して、比較例3の再生凝集剤は、市販の凝集剤よりも凝集効果が劣るものであった。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、浄水場で発生したスラッジから回収した凝集剤は、その凝集剤に主成分として含有されている塩化アルミニウム又は硫酸アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中のマンガン含有量を20ppm以下にでき、且つ市販の凝集剤と同程度以上の凝集性を発揮し得るため、浄水場の凝集剤として再使用できる。
このため、浄水場においては、凝集剤を循環使用することができ、浄水場外から凝集剤の搬入や環境問題を解消することができる。

Claims (10)

  1. 主成分がアルミニウム化合物から成る水処理凝集剤を原水に添加し、飲料用水等に供給される上水を得る上水用水処理工程において発生したスラッジから回収された水処理凝集剤であって、
    該水処理凝集剤の主成分が下記に示す一般式で表される塩化アルミニウムであると共に、前記塩化アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理剤中のマンガン含有量が20ppm以下であることを特徴とする水処理凝集剤。
    一般式
    Al2(OH)nCl(6-n) 但し、0≦n<6
  2. 換算水処理剤中の鉄含有量が、1000ppm以上である請求項1記載の水処理凝集剤。
  3. 水処理凝集剤の主成分が、ポリ塩化アルミニウムである請求項1又は請求項2記載の水処理凝集剤。
  4. 主成分がアルミニウム化合物から成る水処理凝集剤を原水に添加し、飲料用水等に供給される上水を得る上水用水処理工程において発生したスラッジから回収された水処理凝集剤であって、
    該水処理凝集剤の主成分が硫酸アルミニウムであると共に、前記硫酸アルミニウムがAl2O3として10重量%となるように換算した換算水処理凝集剤中の鉄含有量が1000ppm以上であり且つマンガン含有量が20ppm以下であることを特徴とする水処理凝集剤。
  5. 換算水処理凝集剤中の鉄含有量が、3000ppm以上である請求項4記載の水処理凝集剤。
  6. 主成分がアルミニウム化合物から成る水処理凝集剤を原水に添加し飲料水等に供給する上水を得る上水用水処理工程において発生したスラッジに、塩酸又は硫酸を添加して前記スラッジ中のアルミニウム化合物を溶解した溶液を得た後、
    前記溶液にpH13以上の強アルカリ性を呈するアルカリ化合物を添加し、前記溶液をpH4.5〜6.5に調整してアルミニウム水和物を析出せしめ、
    次いで、前記アルミニウム水和物を原料に用いて塩化アルミニウム又は硫酸アルミニウムを主成分とする水処理凝集剤を得ることを特徴とする水処理凝集剤の製造方法。
  7. 塩化アルミニウムを、ポリ塩化アルミニウムとする請求項6記載の水処理凝集剤の製造方法。
  8. アルカリ化合物を、苛性ソーダとする請求項6又は請求項7記載の水処理凝集剤の製造方法。
  9. 河川等から取水した原水から飲料水等に供給する上水を得る上水用水処理の際に、請求項1又は請求項4記載の水処理凝集剤を用いることを特徴とする水処理方法。
  10. 河川等から取水した原水から飲料水等に供給する上水を得る上水用水処理の際に、水処理凝集剤として、請求項1又は請求項4記載の水処理凝集剤を再使用することを特徴とする水処理方法。
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