JP4467873B2 - 断層撮影装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線検出器から検出された投影データから被検体の関心領域の断層撮影像を作成する画像再構成手段を備えた断層撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
単一列の検出器を用いた単一列検出器型X線コンピュータ断層撮影装置(第三世代方式と呼ばれ、以下、SDCTと称す)では、当初、被検体を搭載した寝台を固定の状態で、被検体を周回するX線源から照射した放射線により被検体のあるスライス位置における360度のファンビーム投影データを収集し、続いて、被検体を周回軸に沿って移動させて同様の方法で投影データ収集し、これを繰り返し行うことによって複数のスライスの投影データを得ていた。これらのデータは360度毎に離散的であり、各スライス毎に異なる360度の投影データを基に断層撮影像を作成していた。
【0003】
しかし、スリップリングの登場により螺旋走査が可能になると、周回軸方向に連続したデータの取得が可能になり、複数の任意の撮影断面を一度に撮影可能になった。螺旋走査は、通常、被検体を介して対向配置したX線源とX線検出器を円軌道で周回させ、それに対して被検体を周回軸方向に移動することで実現できる。これにより、一度に広範囲の撮影が可能となって撮影時間は飛躍的に短縮された。しかしながら、螺旋走査では連続した360度の円軌道データではなくなり、それまで実施していたような円軌道のための画像再構成では画質の劣化を伴うため、補間を用いて螺旋軌道データを円軌道に補間し円軌道データとして再構成する重み付け螺旋補正再構成手法が用いられるようになった。
【0004】
近年、周回軸方向に複数の検出器列を配置した多列検出器型X線コンピュータ断層撮影装置(以下、MDCTと称す)が登場し、このMDCTでは、周回軸方向により狭い検出素子列を複数配列したSDCTと比べてより広い検出器とすることにより、一度に広範囲の撮影領域をカバーでき、SDCTに比べてより速い速度で被検体を移動させることにより撮影時間を短縮し、呼吸などの動きによるアーチファクトを低減し、周回軸方向の分解能を向上させることが可能となった。このMDCTでは各検出列毎に異なる周回軸方向に傾斜角度を複数セット有するため、画像再構成法も多様化され、演算が高速なMDCT用に改良された重み付け螺旋補正再構成法を初めとして、より精度が求められる場合の再構成アルゴリズムとしてFeldkamp法やWang法に代表される三次元再構成法など様々な手法が提案されている。近年は、高いスループット、つまり短時間に撮影して単位時間当たりの撮影人数を多くするため、また患者の負担を軽減するため、MDCTにおいて体軸方向により広い検出器を使用し、X線源およびX線検出器を対象物に対して相対的により高速に移動させ撮影する傾向にある。
【0005】
このような断層撮影を行う場合、撮影前に予め設定した螺旋ピッチにより移動速度を制御し、この設定した螺旋ピッチが図8(b)に示すように一定であることを前提として、螺旋ピッチを基に再構成処理を行っている。また、造影剤を使用し広範囲に多時相にわたる撮影を行う場合、螺旋スキャンにより同一部位を任意の時間間隔で複数回撮影する必要がある。このとき、従来のような一定速度での撮影では、まず被検体における撮影開始位置にX線源を移動させ、造影剤の注入を行った後に、X線源を被検体に対して相対的に一定速度で移動させて第1回目の撮影を行い、関心領域の撮影が終了した後にスキャナを停止し、スキャナを撮影開始位置へ移動するといった行程を繰り返すことで実現していた。
【0006】
また従来のX線断層撮影装置として、異なるデータ収集速度のスキャン範囲を組み合わせることで高画質撮影と高速撮影を両立するといった提案がされているが、公知の螺旋ピッチが一定である再構成アルゴリズムの使用を前提としている(例えば、特許文献1参照)。また、一定な速度での撮影の例外として、螺旋軌道スキャンの開始および終了位置において、円軌道スキャンを使用せずにより低速なピッチでの螺旋スキャンを使用するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−10998号公報
【特許文献2】
特開平10−146331号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のX線断層撮影装置は、X線源およびX線検出器を被検体に対して相対的により高速に移動させる場合、図8(a)に示すようなステップ応答的な制御は不可能であり、移動速度への加減速時間や移動速度のゆらぎや移動精度が問題となる。特に、被検体を固定してX線源を移動する場合、スキャナが数百kgから数トンの重さを有することから加減速時間が長く、移動精度も悪化する。また、これまでに提案されてきたこれらの画像再構成は、いずれもスキャナの周回速度、X線源に対する被検体の軸方向への相対的な移動速度が撮影中は一定であることを前提として検討されたものである。等速でない移動をする対象物に対して撮影を行った投影データに対して、これまでに検討されてきた画像再構成アルゴリズムをそのまま適用しようとすると、計算上のX線ビーム経路と実際のX線ビーム経路との誤差によりモーションアーチファクト的な強いアーチファクトを発生する。また、撮影時の移動速度に至るまでの加減速に要する部分では良好な画像が得られないために撮影に要する時間が長くなり、移動速度のゆらぎや移動精度も同様に画像劣化の原因となっていた。
【0009】
また、特許文献1に示されたX線断層撮影装置では、データ収集速度は、図16に示すように画像を取得したい領域で一定である必要があり、従来の再構成法を使用すると撮影中の移動遠度に安定するまでの間は良好な画像が得られない。また、特許文献1に示されたX線断層撮影装置では、関心のある領域の対向端末においてより高いピッチと、そしてそれらの間に一様なピッチとを持つスパイラルスキャンパスをビーム源走査軌跡として規定するという記載、また関心領域の上方および下方境界スパンのステージのためのより高いピッチと、そしてそれらの間の興味ある境域スパンのステージに関する一様な、より低いピッチとを持つスパイラルスキャンパスをビーム源走査軌跡として規定するという記載のように、再構成する範囲においては一様な速度である必要がある。これは、ここで使用されている画像再構成方法が米国特許第5,257,183号明細書のアルゴリズムと方式的には変わらず、寝台移動速度に応じてX線源の周回速度を変更したり、撮影範囲中の関心領域において移動速度を変更して撮影した場合、モーションアーチファクト的な歪みを生ずる。また、ここで提案されている再構成方法では、再構成処理を行う前に所望する関心領域全体が撮影される必要があり、一定の速度でデータが収集される必要がある。また、撮影時の被曝に関しては記載されていないが、同じスキャン範囲で撮影する場合、スキャン開始位置および終了位置で使用しないデータ、つまり無効被曝を生ずるといった問題が発生する。
【0010】
このように、これまで提案されてきたいずれの再構成方法も移動速度および螺旋ピッチが一定の場合にのみしか良好な画像を取得できず、高速移動時の移動精度や移動の揺らぎによって画質が劣化し、撮影時の移動速度への加速時間にも良好な画像は得られない。これは、X線源に対する対象物の体軸方向位置と周回方向位置が正確に関連づけされないことが原因である。別の問題点としては、同一部位を多時相にわたって撮影する場合に、従来手法では一度目の撮影から次の撮影の準備まで、つまり一度目の撮影終了後、移動速度を減速停止し、次の撮影開始位置に移動し、移動速度を加速するに要する時間が長いことから、撮影準備が終了した頃には撮影を所望する時間を過ぎている場合が多く、所望の時相においてタイミングよく撮影が行えない。これは、これまでのX線断層撮影装置が螺旋ピッチ一定でしか撮影できないことが原因である。言い換えれば、一定ではない螺旋ピッチにおいて撮影されたデータから正確に再構成する手段がないことが原因である。
【0011】
本発明の目的は、一定速度を保持することなく良好な断層撮影像を得ることができるようにした断層撮影装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、放射線源と、被検体を介して放射線源に対向配置して配列した放射線検出器と、上記放射線源および上記放射線検出器を被検体に対して相対的に周回させると共に被検体の軸方向に相対的に移動可能な駆動装置と、上記放射線源からの放射線を被検体の関心領域に限定するコリメータと、上記放射線検出器から検出された投影データから被検体の関心領域の断層撮影像を作成する画像再構成手段とを備えた断層撮影装置において、上記駆動装置は、上記軸方向の相対的な移動速度を投影データの収集中に可変する可変速手段を有し、上記画像再構成手段は、上記可変速手段による可変中の投影データからその移動速度に関連して断層撮影像を作成する可変速画像再構成手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明による断層撮影装置は、軸方向の相対的な移動速度を投影データの収集中に可変する可変速手段と、可変速手段による可変中の投影データからその移動速度を関数として断層撮影像を作成する可変速画像再構成手段を備えたため、投影データの収集中における体軸方向の相対的な移動速度を一定でない移動速度で任意の移動特性を選定しても、可変速画像再構成手段によりその移動速度を関数として断層撮影像を作成することができ、従来のような強いアーチファクトの発生を防止することができ、また、撮影時の移動速度に至るまでの加減速に要する部分でも良好な断層撮影像を得ることができる。
【0014】
また請求項2に記載の本発明は上記目的を達成するために、請求項1に記載のものにおいて、上記可変速画像再構成手段は、上記放射線源の被検体に対する軸方向位置と周回方向位置を対応づける位置対応手段と、上記放射線源の位置と再構成ボクセルの位置に応じて使用するデータを決定するデータ決定手段を有することを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の本発明による断層撮影装置は、可変速画像再構成手段に、放射線源の被検体に対する軸方向位置と周回方向位置を対応づける位置対応手段と、放射線源の位置と再構成ボクセルの位置に応じて使用するデータを決定するデータ決定手段とを設けたため、放射線源に対する被検体の軸方向位置と周回方向位置が正確に関連づけられ、移動速度および螺旋ピッチが一定でなくても良好な画像を取得でき、従来のような高速移動時の移動精度や移動の揺らぎによる画質の劣化を防止することができる。
【0016】
また請求項3に記載の本発明は上記目的を達成するために、請求項1に記載のものにおいて、上記可変速画像再構成手段は、上記放射線源の被検体に対する軸方向位置と周回方向位置を対応づける位置対応手段と、上記放射線源の位置と再構成ボクセルの位置に応じて重みを決定する重み付け決定手段を有することを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の本発明による断層撮影装置は、可変速画像再構成手段に、放射線源の被検体に対する体軸方向位置と周回方向位置を対応づける位置対応手段と、放射線源の位置と再構成ボクセルの位置に応じて重みを決定する重み付け決定手段を備えたため、放射線源に対する被検体の軸方向位置と周回方向位置が正確に関連づけられ、移動速度および螺旋ピッチが一定でなくても良好な画像を取得でき、従来のような高速移動時の移動精度や移動の揺らぎによる画質の劣化を防止することができる。
【0018】
また請求項4に記載の本発明は上記目的を達成するために、請求項1に記載のものにおいて、上記可変速画像再構成手段は、被検体の軸方向への相対的な移動速度を計測する計測手段と、この計測手段によって計測された移動速度から上記放射線源の被検体に対する軸方向位置と周回方向位置を対応づける位置対応手段および画像再構成アルゴリズムに反映させる反映手段とを有することを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の本発明による断層撮影装置は、可変速画像再構成手段に、被検体の軸方向への相対的な移動速度を計測する計測手段と、この計測手段によって計測された移動速度から放射線源の被検体に対する軸方向位置と周回方向位置を対応づける位置対応手段および画像再構成アルゴリズムに反映させる反映手段とを設けたため、被検体の軸方向への相対的な移動速度を画像再構成アルゴリズムに正確に反映させることができ、さらに、放射線源に対して被検体を軸方向に相対的に移動させた場合における移動精度悪や移動速度のゆらぎによる画質劣化等の悪影響を改善することができる。
【0020】
さらに請求項5に記載の本発明は上記目的を達成するために、請求項1に記載のものにおいて、上記駆動装置は、上記放射線源を被検体に対して軸方向に相対的に反復移動する反復移動手段を有することを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載の本発明による断層撮影装置は、駆動装置に、放射線源を対象物に対して体軸方向に相対的に反復移動する反復移動手段を設けたため、従来では一度目の撮影終了後、移動速度を減速停止し、次の撮影開始位置に移動し、移動速度を加速する必要があるため、撮影に要する時間が長くなっていたが、体軸方向に相対的に反復移動させることができるようになり、これによって、より短い間隔で次の撮影を行うことができ、所望の撮影タイミングで撮影を行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は、本発明の一実施の形態による断層撮影装置の概略構成を示す斜視図である。
断層撮影装置は、撮影用に用いるスキャナ1と、被検体をのせて移動するための寝台2と、マウスやキーボードなどで構成され放射線源に対する相対的な寝台移動速度情報や再構成位置など計測および再構成パラメータを入力するための入力装置3と、放射線検出器4から得られたデータを処理する演算装置5と、再構成画像を表示する表示装置6などを有している。
【0023】
図1は、上述した断層撮影装置のより詳細な構成を示すブロック構成図である。
スキャン方式はローテート−ローテート方式(第3世代)であり、スキャナ1には寝台2と、高電圧スイッチングユニット8、高電圧発生装置9、放射線制御装置10を有する放射線発生装置などの放射線源11と、被検体12を介して放射線源11と対向配置した放射線検出器13と、この放射線検出器13および放射線源11を図示しない周回方向位置および軸方向位置を検出する位置検出手段と協同させながら周回方向および軸方向に駆動する駆動装置14と、放射線源11から照射する放射線領域を制御するコリメータ15などを有している。コリメータ15を制御するコリメータ制御装置16と、駆動装置14を制御するスキャナ制御装置17と、寝台2を制御する寝台制御装置18および寝台2の相対的な移動量を計測する寝台移動計測装置19と、これらを制御する中央制御装置20とを有している。
【0024】
入力装置3から撮影条件(寝台移動速度、管電流、管電圧、スライス位置など)を入力し、その指示に基づいて撮影に必要な制御信号が中央制御装置20から放射線制御装置10、寝台制御装置18、スキャナ制御装置17に送られ、撮影スタート信号を受けて撮影を開始する。撮影が開始されると放射線制御装置10により高電圧発生装置9に制御信号が送られ、高電圧が放射線源11に印加され、この放射線源11から放射線が被検体12へ照射される。同時に、スキャナ制御装置17から駆動装置14に制御信号が送られ、放射線源11、放射線検出器13およびプリアンプ21などが被検体12に対して相対的に周回される。一方、寝台制御装置18により被検体12を乗せた寝台2が円軌道スキャン時に静止、また螺旋軌道スキャン時には放射線源11等の周回軸方向に平行移動される。
【0025】
駆動装置14、スキャナ制御装置17および寝台制御装置18等によって、放射線源11および放射線検出器13を被検体12に対して相対的に周回させると共に被検体12の軸方向に相対的に移動可能な駆動装置を構成している。また詳細を後述するように、放射線源11および放射線検出器13を被検体12に対して相対的に周回させると共に被検体12の軸方向に相対的に移動可能な駆動装置に、軸方向の相対的な移動速度を投影データの収集中に可変する可変速手段を備えている。
【0026】
放射線源11から照射された放射線は、コリメータ16により照射領域を制限され、被検体12内の各組織で吸収減衰され、被検体12を通過して放射線検出器13で検出される。この放射線検出器13で検出された放射線は、電流に変換されてプリアンプ21で増幅され、投影データ信号として演算装置5に入力される。演算装置5に入力された投影データ信号は、演算装置5内の画像再構成手段22、特に詳細を後述する移動速度に関連して断層撮影像を作成する可変速画像再構成手段23で再構成処理される。再構成画像は、入出力装置3内の記憶装置23に保存され、表示装置6で断層撮影像として表示される。
【0027】
図3は、円軌道スキャンと螺旋軌道スキャンを示す斜視図である。
同図は、円軌道スキャン時の放射線源の移動軌跡(a)と、螺旋軌道スキャン時の放射線源の移動軌跡(b)を示している。移動軌跡(a)のように円軌道で撮影された場合には、フィルタ補正二次元逆投影を行うことで放射線源位置の画像を正確に再現することができる。しかし、移動軌跡(b)のように螺旋軌道で撮影された場合には、撮影端部位置においてデータの不連続性によりフィルタ補正二次元逆投影のみではその位置でストリーク状のアーチファクトを生じてしまう。そこで、移動軌跡(b)のように螺旋軌道で得られたデータに対し、データ補間を用いることで移動軌跡(a)のような円軌道データに補正し、その後にフィルタ補正二次元逆投影を行う。
【0028】
このように補間を用いることによって不連続性を低減した画像を得ることができる。この場合のアーチファクトの程度は、放射線源軌跡における不連続の程度によって決定され、つまり、被検体の移動速度によってアーチファクト程度は変わる。通常用いられている単一列型螺旋走査断層撮影装置(SDCT)では、一般的に螺旋ピッチ、つまり被検体移動速度の周回軸位置での放射線ビームの厚みに対する比率は2程度まで使用されている。
【0029】
図4は、単一列放射線検出器13aと多列放射線検出器13bを並記した概略側面図である。多列放射線検出器13bでは、より幅の狭い単一列放射線検出器13aが周回軸方向に複数列並べられ、全体としては単一列放射線検出器13aよりも広い検出器を実現している。
【0030】
図5は、単一列放射線検出器13aと、多列放射線検出器13bにおける1列当たりの放射線ビームのコリメーション厚さ(以下、ディテクタコリメーション厚と称す)を示す概略側面図ある。
多列放射線検出器13bは、単一列放射線検出器13aに比べてディテクタコリメーション厚が薄く、全体としては、より広い範囲を一度に撮影することができる。得られる断層撮影像の周回軸方向の空聞分解能は、ディテクタコリメーション厚に依存する部分が大きく、ディテクタコリメーション厚が薄いほど体軸分解能も向上する。
【0031】
図6および図7は、被検体12の移動速度と放射線源軌跡を示す図である。
図6は被検体12を等速で移動した場合の放射線源の軌跡25を示しており、図7は、被検体12を任意に変化する速度で移動した場合の放射線源の軌跡26を示している。図7では、移動開始付近および移動終了付近で被検体12の移動速度が低速となっているため、周回軸方向の計測が密になっている。
【0032】
図8は、被検体11の移動速度つまり寝台移動速度と撮影可能範囲を示す速度特性図である。
図8(a)はステップ応答的な速度変化によって一定速度に達したときに計測を行う場合で、撮影開始と同時に寝台移動速度がLSにまであげられ、撮影終了と同時に寝台移動速度はOになっている。この場合、撮影可能範囲は広いが、実際には寝台移動速度を上げるためには図8(b)のように加速範囲が必要であり、いずれも一定速度HSあるいはLSに達してから計測を行っている。従って、従来の等速のみを補償した再構成アルゴリズムを用いて再構成を行う場合、寝台移動速度が速くなるにつれ撮影可能範囲は狭くなる。撮影可能範囲を広くしようとすると、加速範囲を狭くしよりステップ応答的に立ち上げる必要があるが、ステップ応答的な立ち上がりは対象物への負担や機械的負担が大きいため望ましくない。
【0033】
これに対して図8(c)は、放射線源11および放射線検出器13を被検体12に対して相対的に周回させると共に被検体12の軸方向に相対的に移動可能な駆動装置に、軸方向の相対的な移動速度を投影データの収集中に可変する可変速手段を設け、詳細を後述する任意速度に対応した画像再構成アルゴリズムを備えた図1の可変速画像再構成手段22を使用することにより、図8(b)のような加速範囲を必要とすることなく、広い撮影可能範囲を実現している。また、これによって図8(b)の場合のように加速範囲を狭くする必要はなくより緩やかに加速することができる。
【0034】
また、図1に示した寝台制御装置18などによって軸方向の相対的な移動速度を投影データ収集中に可変する可変速手段を構成し、この可変速手段によって図8(d)に示すように、部位毎に必要とする画質を得るための寝台移動速度を変更しながら撮影することができるようになり、より高画質な画像を得る部位では周回軸方向の計測は密にするため低速にし、より高速に撮影する部位では周回軸方向の移動速度を高速にして、非常に効率的な撮影を行うことができる。
【0035】
図9は、単一列検出器における計測軌跡を示す特性図で、図9(a)は移動速度が一定の場合のデータ軌跡であり、図9(b)は移動速度が変化する場合のデータ軌跡である。
同図において、太線は実データ軌跡27であり、点線は対向位置に放射線源がある場合の対向データ軌跡28を示している。下方の矩形29は位相が0[rad]における放射線検出器のサイズを示しており、各計測位置でデータの冗長性を一定にするためには、その時点(位相)および前後1周位置の寝台移動速度に応じてコリメーションサイズを縮小可能であることを示している。
【0036】
図10は、多列検出器におけるデータ経路中心位置における計測軌跡を示す特性図で、図10(a)は移動速度が一定の場合のデータ軌跡であり、図10(b)は移動速度が変化する場合のデータ軌跡である。
同図において、太線は実データ軌跡27であり、点線は対向位置に放射線源がある場合の対向データ軌跡28を示している。この場合、データ密度が寝台移動速度によって異なることを示している。遅い速度ではデータは密になり(重複し)、速い場合では粗になる。各速度においてデータの密度は、使用する列数を変更し、同時に放射線をコリメータで制限することで修正することが可能である。
【0037】
次に、画像を再構成するための三次元画像再構成法の一例を示す。ここでは、特開2000−102530号公報に示されるように冗長性を排除した最小の放射線検出器を利用する。
図11に示すようにステップS1で放射線源11の被検体12に対する相対的な体軸方向への移動速度を周回角度βと関連づけて移動速度T(β)を得、この移動速度T(β)に応じた重み関数を作成し、投影データにデータ補正用の重み付けをし、ステップS2で並べ替え処理を行い、ステップS3でフィルタ補正を行い、ステップS4で放射線源11と被検体12との軸方向への相対的な移動速度T(β)に応じて領域制限をし、ステップS5で放射線源11と被検体12との軸方向の相対的な移動速度T(β)に応じて三次元逆投影を実施する。
【0038】
上述した図11のフローチャートに従って三次元再構成アルゴリズムの一例について説明する。
放射線検出器の形状に応じて放射線源と各検出器素子とのエネルギーの補正を行うためにステップS1の重み付け処理を実施する。これは、放射線のエネルギーが放射線源からの距離の2乗に反比例して減衰するため、放射線検出器の形状によりビームの依存性が変化することに起因する。このため、放射線検出器の形状に応じて補正が必要となり、次のようにして補正を行う。
【0039】
放射線源を中心とした円筒面上に配置された放射線検出器を使用した場合において、投影データをPf(β,α,ν)、重み付け後の投影データをPfan(β,α,ν)、放射線源と放射線検出器間の距離をSID、放射線検出器上の周回軸方向位置をν、他方の位置をuとすると距離に対する補正処理は数式1のように示すことができる。ただし、βは周回角度、αは周回方向のファンビーム開き角度(ファンビームチャンネル方向)、νはX線源を中心とした円筒検出器上の軸方向位置である。
【数1】
【0040】
また平面検出器を使用した場合、投影データをPF(β,μ,ν)、重み付け後の投影データをPfan(β,α,ν)、放射線源と放射線検出器間の距離をSID、放射線検出器上の周回軸方向位置をν、他方の位置をuとすると重み付け処理は次に数式2のように示すことができる。
【数2】
【0041】
演算の高速化のために周回軸方向からみてファン状に照射された放射線ビーム(ファンビーム)を周回軸から見て平行な放射線ビーム(パラレルビーム)に並べ替えるために、次に、ステップS2の並べ替え処理を行う。ファンビームをPfan(β,α,ν)、パラレルビームをPpara(βP,t,ν)とすると、並べ替え処理は数式3のように示すことができる。ただし、αは周回方向のファンビーム開き角度(ファンビームチャンネル方向)、νはX線源を中心とした円筒検出器上の軸方向位置、tはパラレルビームにおけるビームに垂直な軸(パラレルビームチャンネル方向)である。
【数3】
【0042】
次に、投影データのぼけを修正するフィルタ補正(再構成フィルタリング)のために、ステップS3の再構成フィルタの畳み込み演算(フィルタ処理)を行う。この再構成フィルタリングには実空間で畳み込み演算する方法(実空間フィルタリング)と、フーリエ空間で乗算を行う方法(フーリエ空間フィルタリング)の2種類が存在する。フーリエ空間フィルタリングは、フーリエ変換を用いてフーリエ空間に変換しフィルタ関数(空間周波数フィルタ)を乗じた後にフーリエ逆変換を施す処理であり、一方、実空間フィルタリングは、実空間でのフーリエ逆変換したフィルタ関数の畳み込み処理である。これらは、いずれも数学的に等価であるが、演算時間が高速なフーリエ空間でのフィルタ処理が一般的に用いられる。再構成に使用するフィルタはShepp and Loganや、Ramachchandran and Lakshminarayananや、Ramp、またはこれらのフィルタ関数を臨床的経験により修正したものの中から臨床的経験に基づいて選択し使用する。パラレル投影データをPpara(β,t,ν)、フィルタ処理後のパラレル投影データをfPpara(β,t,ν)、再構成フィルタをG(ω)とすると、フーリエ空間フィルタリングは数式4のように示すことができる。
【数4】
【0043】
再構成フィルタG(ω)のフーリエ逆変換g(t)は数式5で表される。
【数5】
【0044】
従って、実空間フィルタリングは、数式6のように示すことができる。
【数6】
【0045】
次に、ステップS4のデータ領域制限について説明する。
冗長性の一定な投影データを作成するために、パラレルビーム投影角毎に制限領域によってパラレルビームを制限する。制限する領域の放射線源周回方向の長さ(幅)は、対象物の最大幅を含むように決定する。また、制限する領域の周回軸方向の長さ(高さ)は、移動速度T(β)を考慮して、T(β)によって決定され、具体的には、次にのように決定する。放射線源の周回角度βのときの移動速度T(β)より周回軸方向の放射線源位置Z(β)は、数式7で表される。
【数7】
【0046】
放射線源軌跡を含み周回軸を中心とした円柱上における制限領域の上限H(β,t)および制限領域の下限L(β,t)は、数式8および数式9で示される。
【数8】
【数9】
【0047】
その後のステップS5における三次元逆投影は、図12に示すように再構成ボクセルI(xI,yI,zI)、放射線源の初期位相角度βSO,放射線源の初期z位置zSO,放射線源の位相角度β、放射線源位置S(xS,yS,zS)、放射線源と再構成ボクセル間の距離R,放射線源と回転中心間の距離SOD,放射線源と放射線検出器間の距離SID、放射線検出器の素子幅dapp、放射線検出器の列数N、放射線検出器上のスキャナ1回転当たりの被検体の移動距離T、放射線源を中心とした円筒検出器上の軸方向位置ν、画像再構成領域FOVとすると、数式10で表される。
【数10】
【0048】
この点をさらに具体例を説明する。
初めに、移動速度TにおいてF0V内の各画素で180度のデータが得られるβの範囲(βS≦β<βe)について求めると、数式11が求められる。
【数11】
【0049】
ここで、X線源β位相におけるz位置zSはzS={T(β−βSO)/2π}+zSOとなり、放射線源を中心とした円筒検出器上の軸方向位置νへの放射線ビームの再構成ボクセル位置I(xI,yI,zI)での周回軸方向位置ZSIは、zSI=(R・ν/SID)+zSとなる。また放射線源を中心とした円筒検出器上の軸方向位置νの条件は、数式12となる。
【数12】
【0050】
また、xs=SOD・sinβ、ys=SOD・cosβ、R={(xS−xI)2+(yS−yI)2}1/2より、放射線ビームが再構成ポクセルを通過する条件は、数式13となる。
【数13】
【0051】
また、位相βにおける放射線源から発せられ再構成ボクセルI(xI,yI,zI)を通過する放射線ビームの検出器行方向の位置tI、及びθtは、SODsinθt=tI 、また、それぞれベクトルを数式14および数式15とすると、数式16が得られる。
【数14】
【数15】
【数16】
これより、数式17、さらに数式17から数式18を得る。
【数17】
【数18】
【0052】
このように図11に示した処理を実現するためには、放射線源11および放射線検出器13を被検体12に対して相対的に周回させると共に被検体12の軸方向に相対的に移動可能な駆動装置に、軸方向の相対的な移動速度を投影データの収集中に可変する可変速手段を設け、この可変速手段による可変中の投影データからその移動速度に関連して断層撮影像を作成する可変速画像再構成手段23を備えると共に、この可変速画像再構成手段23は、放射線源11の被検体12に対する軸方向位置と周回方向位置を対応づける位置対応手段と、放射線源11の位置と再構成ボクセルの位置に応じて使用するデータを決定するデータ決定手段を有したため、投影データの収集中における体軸方向の相対的な移動速度を一定でない移動速度で任意の移動特性を選定しても、可変速画像再構成手段によりその移動速度を関数として断層撮影像を作成することができ、撮影時の移動速度に至るまでの加減速に要する部分でも良好な断層撮影像を得ることができると共に、放射線源11に対する被検体12の軸方向位置と周回方向位置が正確に関連づけられ、移動速度および螺旋ピッチが一定でなくても良好な画像を取得でき、従来のような高速移動時の移動精度や移動の揺らぎによる画質の劣化を防止することができる。
【0053】
上述したアルゴリズムにおいて、実際は離散的に扱われるべき投影データや再構成画像を連続的なデータとして扱っているため、実際にはLagrange補間等の補間法を用いて、補間により離散的に算出する必要がある。理想的には、位相方向、検出器チャンネル方向、検出器列方向の3方向の補間により算出する。
【0054】
次に、MDCTにおける画像再構成アルゴリズムの他の例、重み付け螺旋補正再構成アルゴリズムについて図13に示すフローチャートを用いて説明する。
この重み付け螺旋補正法では、ステップS6で投影データに補正用重み付けを行い、ステップS7で並べ替え処理を行い、ステップS8で放射線源の被検体に対する相対的な体軸方向への移動速度を周回角度βと関連づけられた移動速度T(β)を用い、放射線源の被検体に対する軸方向への相対的な位置に応じて変化する重み関数を作成し、これをステップS9で投影データに加重し、ステップS10でフィルタ処理し、ステップS11で従来から用いられている二次元逆投影を行う。
【0055】
ここでは、上述したステップS3の変化する重み関数の作成方法を図14を用いて説明する。
移動速度T(β)から再構成スライス位置となる周回位相βiを算出し、βiを挟んでπ[rad]離れた位相(β1、β2)から、β1、β2における体軸方向位置Z(β1)、Z(β2)を算出する。
【数19】
【0056】
このβ1、β2における体軸方向位置Z(β1)、Z(β2)から重み関数は、β1≦β<βiのとき数式20およびβi≦β<β2のとき数式21のように補間により求まる。
【数20】
【数21】
【0057】
このように図13に示した処理を実現するためには、放射線源11および放射線検出器13を被検体12に対して相対的に周回させると共に被検体12の軸方向に相対的に移動可能な駆動装置に、軸方向の相対的な移動速度を投影データの収集中に可変する可変速手段を設け、この可変速手段による可変中の投影データからその移動速度に関連して断層撮影像を作成する可変速画像再構成手段23を備えると共に、この可変速画像再構成手段23に、放射線源11の被検体12に対する体軸方向位置と周回方向位置を対応づける位置対応手段と、放射線源11の位置と再構成ボクセルの位置に応じて重みを決定する重み付け決定手段を備えたため、投影データの収集中における体軸方向の相対的な移動速度を一定でない移動速度で任意の移動特性を選定しても、可変速画像再構成手段によりその移動速度を関数として断層撮影像を作成することができ、撮影時の移動速度に至るまでの加減速に要する部分でも良好な断層撮影像を得ることができると共に、放射線源に対する被検体の軸方向位置と周回方向位置が正確に関連づけられ、移動速度および螺旋ピッチが一定でなくても良好な画像を取得でき、従来のような高速移動時の移動精度や移動の揺らぎによる画質の劣化を防止することができる。
【0058】
さらに、いずれの処理においても、可変速画像再構成手段23に、被検体12の軸方向への相対的な移動速度を計測する寝台移動計測装置19などの計測手段と、この計測手段によって計測された移動速度から放射線源11の被検体12に対する軸方向位置と周回方向位置を対応づける位置対応手段と、画像再構成アルゴリズムに反映させる反映手段とを有しているため、被検体12の軸方向への相対的な移動速度を画像再構成アルゴリズムに正確に反映させることができ、さらに、放射線源に対して被検体を軸方向に相対的に移動させた場合における移動精度悪や移動速度のゆらぎによる画質劣化等の悪影響を改善することができる。
【0059】
図15は、放射線源の被検体に対する体軸方向への相対的な反復移動について説明する特性図である。
上述したように、放射線源11および放射線検出器13を被検体12に対して相対的に周回させると共に被検体12の軸方向に相対的に移動可能な駆動装置に、軸方向の相対的な移動速度を投影データの収集中に可変する可変速手段を備えている。この可変速手段は、放射線源11を被検体12に対して軸方向に相対的に反復移動する反復移動手段を有する。この反復移動手段によって図15に示す反復運動を実現することができる。
【0060】
図15の反復運動は、被検体12に対する放射線源11の軸方向への相対的な移動速度を、予め設定された移動速度関数T(β)に基づいて、正負にわたり正弦的に変化させ移動させることで実現できる。このとき、放射線源11の軸方向位置を固定し被検体12を移動させることで実現してもよいが、被検体12を固定し放射線源11を移動させてもよい。また、放射線源11と被検体12の移動を組合せ、同期させて移動させてもよい。
【0061】
同一部位を多時相にわたって撮影する場合、従来の手法では、移動速度を加速した後に一度目の撮影を行ない、撮影終了後に移動速度を減速し停止させ、次の撮影位置に移動させた後再び移動速度を加速しなければならないため、全体の撮影に要する時間が長くなってしまう。しかし、駆動装置に、放射線源11を被検体12に対して軸方向に相対的に反復移動する反復移動手段を設けたため、体軸方向に相対的に反復移動させることができるようになり、これによって、より短い間隔で次の撮影を行うことができ、所望の撮影タイミングで撮影を行うことができるようになる。
【0062】
尚、本実施の形態における断層撮影装置の放射線源としては、X線、ガンマ線、中性子線、陽電子や電磁エネルギーや光を用いることも可能である。また、スキャン方式も第1世代、第2世代、第3世代、第4世代といずれの方式かに限定されるものではなく、放射線源を複数搭載した多管球断層撮影装置やドーナツ型管球断層撮影装置に対しても使用することが可能である。また、放射線検出器の形状も放射線源を中心とした円筒表面に配置した放射線検出器、平面放射線検出器、放射線源を中心として球面上に配置した放射線検出器、周回軸を中心として円筒表面に配置した放射線検出器などいずれにも適用することが可能である。
【0063】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明の断層撮影装置によれば、一定速度に達するまでの加減速領域においても撮影を行うことができるので、被検体の移動精度の影響を受けず、かつ移動時の揺らぎの影響を受けずに、関心領域における良好な断層撮影像を高速に得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による断層撮影装置のブロック構成図である。
【図2】図1に示した断層撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図3】円軌道スキャンと螺旋軌道スキャンの焦点軌跡を示す斜視図である。
【図4】単一放射線検出器と多列放射線検出器の腰部側面図である。
【図5】単一放射線検出器と多列放射線検出器の1列当たりのX線ビームのコリメーション厚さを示す側面図である。
【図6】被検体が等速で移動したときの放射線源軌跡を示す斜視図である。
【図7】被検体が可変速で移動したときの放射線源軌跡を示す斜視図である。
【図8】被検体がそれぞれ異なる速度特性で移動したときの撮影可能範囲を示す特性図である。
【図9】単一列検出器における計測軌跡を示す説明図である。
【図10】多列検出器における計測軌跡を示す説明図である。
【図11】図1に示した断層撮影装置による画像再構成アルゴリズムの処理動作を示すフローチャートである。
【図12】図11に示した再構成アルゴリズムにおける三次元逆投影の説明図である。
【図13】図1に示した断層撮影装置による他の画像再構成アルゴリズムの処理動作を示すフローチャートである。
【図14】図13に示した画像再構成アルゴリズムの処理動作における重み関数作成の説明図である。
【図15】図1に示した断層撮影装置における反復移動手段による動作特性図である。
【図16】従来の断層撮影装置における移動速度と撮影可能範囲の関係を示す特性図である。
【符号の説明】
2 寝台
5 演算装置
11 放射線源
12 被検体
13 放射線検出器
14 駆動装置
15 コリメータ
18 寝台制御装置
22 画像再構成手段
23 可変速画像再構成手段
Claims (5)
- 放射線源と、被検体を介して放射線源に対向配置して配列した多列放射線検出器と、上記放射線源および上記多列放射線検出器を被検体に対して相対的に周回させると共に被検体の軸方向に相対的に移動可能な駆動装置と、上記放射線源からの放射線を被検体の関心領域に限定するコリメータと、上記放射線検出器から検出された投影データから被検体の関心領域の断層撮影像を作成する画像再構成手段とを備えた断層撮影装置において、上記駆動装置は、上記軸方向の相対的な移動速度を投影データの収集中に可変する可変速手段を有し、上記画像再構成手段は、放射線検出器の形状に応じて多列検出器の各検出器素子の位置に基づいた投影データを補正する補正手段と、この補正後の投影データの収集中の可変するその移動速度に基づいて、上記放射線源の被検体に対する軸方向位置と周回方向位置を対応づける位置対応手段と、この対応づけられた放射線源の位置と再構成ボクセルの位置に応じて使用する投影データを決定する投影データ決定手段と、この投影データに基づいて画像再構成を行う再構成処理手段と、を有することを特徴とする断層撮影装置。
- 請求項1に記載のものにおいて、上記補正手段での放射線検出器の形状とは、円筒状に配列された多列検出器の形状又は平面状に配列された多列検出器の形状とする請求項1に記載の断層撮影装置。
- 請求項1に記載のものにおいて、上記画像再構成手段は、更に、上記対応づけられた放射線源の位置と再構成ボクセルの位置に応じて、放射線源の被検体に対する相対的な体軸方向への移動速度T(β)を用い、放射線源の被検体に対する軸方向への相対的な位置に応じて変化する重み関数を決定する重み関数決定手段と、上記投影データ決定手段で得た投影データに、上記重み関数から得た重みを加重させて、加重後の投影データを上記再構成処理手段へ出力せしめる加重手段と、を有することを特徴とする断層撮影装置。
- 請求項1に記載のものにおいて、被検体の軸方向への相対的な移動速度を計測する計測手段を有し、画像再構成手段の位置対応手段は、この計測手段によって計測された移動速度から上記放射線源の被検体に対する軸方向位置と周回方向位置を対応づけるものとしたことを特徴とする断層撮影装置。
- 請求項1に記載のものにおいて、上記駆動装置は、上記放射線源を被検体に対して軸方向に相対的に反復移動する反復移動手段を有することを特徴とする断層撮影装置。
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