JP4467679B2 - 化粧材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧材の表面に電離放射線硬化性組成物の架橋硬化した皮膜を有したものであって、下層にある撥液性模様により電離放射線硬化性組成物がはじかれて凹部を形成した、いわゆる「はじき凹凸を有する化粧材」に関するものである。
本発明のような「はじき凹凸を有する化粧材」は、紙基材の化粧材である化粧紙に適用されることが比較的多いが、紙に限ることなく、他の基材にも適用可能である。
【0002】
【従来の技術】
化粧材は、対象となる建築物、建具、家具、その他の物品に貼って装飾を施す目的で用いられるため、自身の装飾性が高いことが必要なことに加え、化粧材の持つ装飾機能が長期間にわたって維持される必要性が高く、用途にもよるが、例えば、耐摩耗性等の表面の耐久性が高いことが必要である。
ところで、「はじき凹凸を有する化粧材」としては、シリコーン等の撥液剤を含有するインキを用いて、紙等に木目の導管模様を印刷し、その上に、アミノアルキッド樹脂等の塗料を塗布することにより、木目の導管模様上の塗料がはじかれ、導管模様に沿って凹部が形成されたものが比較的古くから知られている。
「はじき凹凸を有する化粧材」の表面には、最初は木工製品に利用されていたラッカーと同様な、アミノアルキッド樹脂等の塗料が塗布されていたが、次第に表面の耐久性の要求度が高まるにつれ、ポリウレタン等のより耐久性のある塗料が使用されるようになってきた。
【0003】
近年、化粧材の耐摩耗性等の表面の耐久性を、さらに向上させるために、表面の塗装用に電子線硬化型や紫外線硬化型等の電離放射線硬化型塗料、とりわけ、電子線硬化型塗料が多用されるようになっており、従来からあった「はじき凹凸を有する化粧材」の表面塗装を電離放射線硬化型塗料で行なう試みがなされている。
例えば、特開平8−174770号公報には、基材シート上に下地絵柄層、アンカー層、撥液性を付与した模様層(=撥液性模様)、および電子線硬化型のトップコート層、およびトップコート層に形成された、模様層に同調した凹凸模様を有する化粧紙、およびその製造方法が記載されており、また、アンカー層を電子線硬化型としてトップコート樹脂と一体化して硬化させることや、撥液性を付与した模様層を電子線硬化型としてアンカー層と一体化して硬化させることが記載されている。
そして、アンカー層としては、電子線により硬化する常温で固体状の樹脂を水溶化して、熱乾燥により水を蒸発させることによってタック切れするようにマット剤を配合した水性タイプのものを使用している。
【0004】
電子線硬化型のトップコート層の形成時に、塗布量を上げて化粧材の耐摩耗性等を向上させようとすると、塗料が高粘度となるため流動性が乏しくなって、凹凸が生じにくくなり、逆に希釈して粘度を下げると、凹凸は生じやすくなるものの、十分な耐摩耗性等を得るだけの塗布量を確保することが難しくなる。
この特開平8−174770号公報においては、これらの欠点をアンカー層を形成して解消するものとしてあり、アンカー層が下地絵柄層を保護・強化し、また、撥液性模様形成時や表面塗装時に、下地の絵柄層や紙層へ浸透する度合いを制御するものとしている。
【0005】
しかし、上記の公報には、アンカー層を構成する樹脂についての簡単な説明を除くと、具体的記述が乏しく、直接の追試が困難であった。発明者の検討によれば、確かに凹凸そのものについては改善される可能性はあるが、マット剤を含有するアンカー上に電離放射線硬化型塗料を塗布すると、マット感が完全には解消しないので、化粧紙全体がマットに仕上がる。このため、撥液性模様の部分との艶の差が縮まってしまい、凹凸感が減少する欠点が避けられない欠点を有している。
この種の「はじき凹凸を有する化粧材」においてはトップコート層の厚みにもよるが、凹凸は数μm程度であるので、凹部を艶消しにし、周囲をそれよりも艶を上げるようにして、艶差によっても、凹凸感が生じるのを助ける必要があるからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術においては、アンカー層を用いながらも、単にマット剤を含有するアンカー層を形成したために、却って凹凸感を損なう結果となった点を解消し、電離放射線硬化型塗料の下層への浸透を適度に抑制しつつも、むしろ、トップコート層の塗布により、艶が上がり、艶差による凹凸感向上を実現することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
課題の解決のため、体質顔料を分散させた塗料を用いて、上層形成時の浸透性を制御する層を形成することにより、その層自身の表面はマットでありながら、上に電離放射線硬化型塗料を塗布すると、浸透により、体質顔料が濡れ色となって、高い艶を呈するようになることが判明した。また、撥液性模様に被覆された部分では、体質顔料に由来する凹凸状態が撥液性模様の表面にまで影響し、撥液性模様によって塗料がはじかれることによる凹凸に加えて、艶差による凹凸感向上効果が加わったことによる、優れた凹凸効果が生じることが判明し、本発明に至ったものである。
【0008】
第1の発明は、第1の発明は、基材上に、絵柄層を介して最上層に電離放射線硬化性組成物が架橋硬化した透明樹脂保護層を有しており、前記絵柄層と前記透明樹脂保護層との間には、前記絵柄層側から、透明樹脂保護層形成用組成物の浸透性を制御する層であって樹脂中に体質顔料を分散してある浸透制御層、および、前記浸透制御層上に前記透明樹脂保護層形成用組成物をはじく性質のある撥液性模様が積層されており、前記撥液性模様上には透明樹脂保護層が無いかもしくは周囲にくらべて薄く、前記撥液性模様上の凹部の底が周囲と比べて艶消しであり、前記浸透制御層を構成する樹脂が熱硬化性樹脂であり、且つ、前記浸透制御層がOH基を有するバインダー樹脂としてポリビニルブチラール樹脂を含むバインダー樹脂がイソシアネート化合物で架橋硬化していると共に、OH基を利用して上層の透明樹脂保護層形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物との間で反応していることを特徴とする化粧材に関するものである。
第2の発明は、基材上に電離放射線硬化性組成物が架橋硬化した透明樹脂保護層を有しており、前記基材と前記透明樹脂保護層との間には、前記基材側から、透明樹脂保護層形成用組成物の浸透性を制御する層であって樹脂中に体質顔料を分散してある浸透制御層、および、前記浸透制御層上に前記透明樹脂保護層形成用組成物をはじく性質のある撥液性模様が積層されており、前記撥液性模様上には透明樹脂保護層が無いかもしくは周囲にくらべて薄く、前記撥液性模様上の凹部の底が周囲と比べて艶消しであり、前記浸透制御層を構成する樹脂が熱硬化性樹脂であり、且つ、前記浸透制御層がOH基を有するバインダー樹脂としてポリビニルブチラール樹脂を含むバインダー樹脂がイソシアネート化合物で架橋硬化していると共に、OH基を利用して上層の透明樹脂保護層形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物との間で反応していることを特徴とする化粧材に関するものである。
第3の発明は、第1または第2の発明において、体質顔料がシリカ、硫酸バリウム、もしくは炭酸カルシウムから選ばれたものであることを特徴とする化粧材に関するものである。
第4の発明は、第1〜第3いずれかの発明において、浸透制御層を構成する樹脂が更に電離放射線硬化性樹脂も含み透明樹脂保護層との間で架橋していることを特徴とする化粧材に関するものである。
第5の発明は、第1〜第4いずれかの発明において、撥液性模様がマット剤を含まない組成物から形成されていることを特徴とする化粧材に関するものである。
第6の発明は、第1〜第5いずれかの発明において、透明樹脂保護層に硬質の球状粒子が分散されていることを特徴とする化粧材に関するものである。
第7の発明は、第1〜第5いずれかの発明において、透明樹脂保護層に硬質の不定形粒子が分散されていることを特徴とする化粧材に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図面を用いながら、本発明を具体的に説明する。
図1および図2は、いずれも本発明の実施例の化粧材を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の化粧材1は、基材2上に均一着色層3a、および絵柄層3bからなる模様層3が積層され、模様層3上には体質顔料を分散してある浸透制御層4が一面に積層され、浸透制御層4上には、模様層3に同調して撥液性模様5が部分的に積層され、撥液性模様5上を含む浸透制御層4の全面に、電離放射線硬化性組成物が架橋硬化した透明樹脂保護層6が積層されたものであって、さらに、撥液性模様5上の透明樹脂保護層6は無いかもしくは周囲にくらべて薄くなって凹部7を形成しているものである。
均一着色層3a、および絵柄層3bからなる模様層3は省く場合もあり、図2は基材2上に直接に、浸透制御層4が積層され、その他は図1に示すものと同じ化粧材を示している。
なお、図示しないが、均一着色層3a、もしくは絵柄層3bのいずれかが基材上に積層してあり、その上に浸透制御層4が積層されていてもよい。
以上の各層については、以降に詳しく説明する。
【0010】
基材2としては、通常、化粧材に用いられている素材であれば、いずれも使用可能であり、大別すれば、各種の紙類、プラスチックフィルム又はプラスチックシート、金属箔、金属シート、又は金属板、木材などの木質系の板、各種の窯業系素材等の各群である。
これら各群に含まれる素材は単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラチスチックフィルムの複合体等、これら素材の任意の組合わせによる積層体も利用できる。これらの基体は、色彩を整える意味で塗装を施されていたり、デザイン的な観点で通常の模様が予め形成されていてもよい。塗装や通常の模様形成に先立って表面が平滑化されていたり、模様の密着度を上げるために、必要に応じて、接着性を向上させるために、コロナ放電処理等の物理的な処理のほか、プライマー層を形成する等の処理を行なってもよい。塗装や通常の模様形成後にも、後の加工を容易にするための接着性改善処理を施して差し支えない。
【0011】
各種の紙類としては、以下のものが代表的なものとして例示される。即ち、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、予め紙間の強化の目的で樹脂やラテックスを含侵してある樹脂含浸紙やラテックス含浸紙も使用できる。これらの他、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、又は紙の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われることの多い原反が挙げられる。更には、事務分野や通常の印刷、包装などに用いられる次の紙類も使用可能である。即ち、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙等である。又、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ次のような各種繊維の織布や不織布も基材2として使用できる。各種繊維とは即ち、ガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエステル繊維、若しくはビニロン繊維などの合成繊維である。
【0012】
プラスチックフィルム又はプラスチックシートとしては、次に例示するような各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。各種の合成樹脂とは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、又はポリイミド樹脂等である。
【0013】
金属箔、金属シート、又は金属板としては次に例示するような金属からなるものである。即ち、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅等である。しばしばめっき等を施して使用することがある。各種の木質系の板としては、木材の板、合板、パーチクルボード、又はMDFと呼ばれる中密度繊維板等が挙げられる。窯業系素材としては、石膏ボード、珪酸カルシウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、ホウロウ、焼成タイル等が例示される。これらの他、繊維強化プラスチックの板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂をサンドウィッチしたもの等、各種の素材の複合体も基材2として使用できる。
なお、上記した各種の素材やその複合体を基材とした化粧材は、用途によっては、さらに別の基材と貼り合わせて使用することができる。化粧材を貼る対象としての基材は、板状等の厚みのあるものが選ばれることも多いが、これらに限られない。
【0014】
均一着色層3a、および絵柄層3bとからなる模様層3は基材2に装飾性を付与するものである。
均一着色層3aは、基材2上の表面の色を整える役割を果たすもので、基材2自身が着色していたり、色ムラがあるときに形成して、基材2の表面に意図した色彩を与えるものである。不透明色で形成してあることが多いが、着色した透明色で形成し、下地が持っている模様を活かす場合もある。
一般の印刷では印刷対象は紙であることが多く、印刷濃度の薄い部分では、白色の下地が見えて、ハイライト部を形成するので、均一着色層3aを形成しないのが普通である。化粧材の印刷では、黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーを使用するよりも、特色(=調整した特別な色の意味)インキの重ね刷りを行なうことが多く、ハイライト色を均一着色層3aで形成する習慣がある。ただし、化粧材においても、基材2の素材の色を活かす場合や、基材2自身が適切に着色されているか、または自身がもともと着色していて、その色を使う場合等には、均一着色層3aの形成は省略できる。
【0015】
絵柄層3bは基材2に装飾性を与える主要な手段であり、通常は、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成されたものである。
模様としては、木目模様、大理石模様等の岩石の表面を模した模様、布目や布上の模様を模した布地模様、もしくはタイル模様等があり、これらを単位模様として複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。絵柄層3bの模様は、既に存在するものをベースとすることがあるが、かなり自由な発想により作り変えたものである。あるいは、人為的にデザインされた模様も使用できる。更には、上記した模様から出発して、これを素材として、拡大・縮小、回転、切り抜き、繰り返し、合成、特徴点の抽出もしくは間引き、またはデフォルメ等を単独または組み合わせて使用し、新たな模様を創出して使用することもできる。
これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行なう特色による多色印刷等によっても形成される。
【0016】
均一着色層3aおよび絵柄層3は、いずれも、ほぼ同様の塗料組成物またはインキ組成物を使用して形成することができる。
使用する塗料組成物またはインキ組成物中の樹脂成分としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性または電離放射線硬化性のもののいずれも使用してよいが、熱可塑性樹脂のバインダーを使用して作成した化粧材でも、通常の使用であれば十分な物性を発揮することができる。
熱可塑性樹脂としては、ロジン変成マレイン酸樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリアミド樹脂、塩化ゴム、環化ゴム、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、もしくはスチレンマレイン樹脂等が使用できる。
熱硬化性樹脂としては、種々のものがあり、原則的にいずれも使用できるが、本発明の大半を占めるシート状の化粧材においては、シートのフレキシビリティーを維持する意味で、熱硬化性樹脂としても、フレキシビリティーを有するものが望ましく、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等、特にポリウレタン樹脂が好ましい。
上記の樹脂成分には、着色剤として顔料や染料、その他の添加剤、溶剤、希釈剤等を添加し、混練して塗料組成物またはインキ組成物を調製する。
均一着色層3aまたは絵柄層3bの形成は、上記の塗料組成物またはインキ組成物を使用して、公知の塗装方法ないし印刷方法により行なう。例えば、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレイコーティング等の塗装方法、グラビア印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、インキジェット方式、凸版印刷、またはスクリーン印刷等が利用できる。
乾燥はこれらの手法を実施する際に使用する機械に付属しているものを使用して行なえばよいが、熱硬化性の樹脂成分を使用するときは、加熱、比較的低い温度での長時間加温、または常温での放置により硬化させる。電離放射線硬化性組成物を使用したときは、紫外線もしくは電子線を照射して架橋硬化させる。
電離放射線硬化性組成物を使用する際の、電離放射線硬化性化合物については後述する。
【0017】
浸透制御層4は、透明樹脂保護層6を構成するための電離放射線硬化性組成物が層4中および下層に浸透するのを制御、特に抑制する機能を有している。浸透制御層4が無いと、透明樹脂保護層6を形成するための電離放射線硬化性組成物を塗工した際に、下層の絵柄層3b中に、均一着色層3aがある場合には均一着色層3a中にも、あるいは基材2が浸透性を有していれば、基材2中に、塗工された組成物のかなりの部分が浸透し、透明樹脂保護層6の厚みが減るために、必要な表面性能を得ることが出来なくなるからである。
また、浸透制御層4は、基材2上に均一着色層3a、絵柄層3b等がある場合には、それらに接着して表面をならし、保護し、かつ透明樹脂保護層6との接着性を確保する役割をも有している。
【0018】
浸透制御層4を形成するには、熱可塑性樹脂の塗料組成物ないしインキ組成物も使用してよいが、浸透を抑制する機能が高い点で、熱硬化性樹脂または電離放射線硬化性組成物(=電離放射線硬化性化合物の塗料組成物ないしインキ組成物)を用いることが、より好ましい。これら組成物の樹脂成分は、前記した均一着色層3aおよび絵柄層3b形成用の塗料組成物またはインキ組成物の説明において挙げたものと同様である。
一例として、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルポリオール、ポリエステルエラストマー等のように、OH基を有しているものを浸透制御層4の素材として使用し、イソシアネート化合物で架橋させると共に、OH基を利用して、上層の透明樹脂保護層6形成用の電離放射線硬化性組成物との間で反応を起こさせると、密着強度の改善ができ、好ましい。
浸透制御層4を形成するバインダーとしては、さらに、ポリエステルポリオール、およびイソシアネートからなるポリウレタン形成用成分と電離放射線硬化性化合物であるトリメチロールプロパントリアクリレート等の多官能モノマーとをほぼ1/1に配合したものは、熱硬化性を有しながらも、透明樹脂保護層6を紫外線又は電子線の照射により硬化させる際に、透明樹脂保護層6との間で架橋が生じるため、化粧材の耐久性、特に耐溶剤性を、より一層向上させることができて好ましい。
【0019】
浸透制御層4を形成するのに使用する電離放射線硬化性組成物の樹脂成分としては、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものを用いる。
電離放射線硬化性組成物中のプレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物が挙げられる。
電離放射線硬化性組成物中のモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等が挙げられる。
【0020】
通常、電離放射線硬化性組成物中のモノマーとしては、以上の化合物を必要に応じて1種若しくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性組成物に通常の塗布適性を与えるために、前記のプレポリマー又はオリゴマーを5重量%以上、前記モノマー及び/又はポリチオール化合物を95重量%以下とするのが好ましい。
電離放射線硬化性組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーが要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用するとよい。電離放射線硬化性組成物を塗布し、硬化させたときの耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使う等、電離放射線硬化性組成物の設計が可能である。ここで、官能基が1のものとして、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートが挙げられる。官能基が2のものとして、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクレリート等が挙げられる。
電離放射線硬化性組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーや表面硬度等の物性を調整するため、電離放射線硬化性組成物と、電離放射線照射では硬化しない樹脂を併用することもできる。具体的な樹脂の例としては次のものがある。ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂である。中でも、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等と併用がフレキシビリティーの向上の点で好ましい。
電離放射線硬化性組成物の塗布後の硬化が紫外線照射により行われるときは、光重合開始剤や光重合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性組成物100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
【0021】
浸透制御層4には、体質顔料を配合することによって、電離放射線硬化性組成物の適度な浸透性を付与することが、接着性の点で好ましい。体質顔料としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機質粒子、プラスチックのビーズの細かいもの、等が使用できる。中でもシリカ、特にポーラスな(=多孔性の)シリカが好ましく、シリカとしては処理シリカであっても未処理シリカであってもよい。
使用する体質顔料の粒径と配合量の例としては、粒径が5〜15μmであり、また浸透制御層4形成用の塗料組成物ないしインキ組成物中の配合量は、多くても20重量%程度が限界である。体質顔料の配合量が多いほど、浸透制御層4単独での艶が消え、透明保護樹脂層6形成時に艶が出ると言う艶の変化が大きくなるが、反面、体質顔料の配合量が多いほど、製品が白色味を帯びるため、体質顔料の過度の配合は好ましくない。5〜8重量部程度である。
これらの体質顔料を添加してあるため、浸透制御層4を形成した状態で眺めると浸透制御層4の表面は艶が非常に消えた状態となっているが、後述するように、上層の形成により、艶が逆に出て来るものである。
なお、体質顔料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または電離放射線硬化性化合物の光の屈折率と近いものを使用すると塗膜が白色化せず、好ましい。
浸透制御層4の厚みは、体質顔料の添加量によっても多少異なるが、1〜5μm程度であり、均一性が要求されるときは、塗布手段または印刷手段を2回使用して連続的に2回形成するのがよい。
浸透制御層4を形成する際の乾燥、硬化は前に述べた均一着色層3a、絵柄層3bの形成の際と同様であるが、電離放射線硬化性組成物を使用するときは、紫外線もしくは電子線を照射して架橋硬化させる。
【0022】
撥液性模様5は、浸透制御層4上に形成されるもので、上層の透明樹脂保護層を形成する際に用いる電離放射線硬化性組成物をはじいて、架橋硬化した際に凹部7を生じさせる機能を有する。
生じる凹部7は、化粧材1が持つ装飾機能を向上させる。このように、凹部7を伴なう化粧材1は、単に、基材2上に模様層3、および透明樹脂保護層6を形成しただけでは得られない複雑な外観を有するものとなるが、撥液性模様5としては、下層の模様層3、特に絵柄層3bの模様と調和したものであることがより好ましい。
一例として、模様層3の模様が木目模様であれば、木目の導管模様を撥液性模様5とすることが好ましいし、織物を模した模様であれば、織物の織目の凹凸を模したものが好ましい。大理石模様等の岩石を磨いた表面を模した模様に関してであれば、表面に発生するひび割れ模様、タイルを模したものであれば、模様の凹凸や目地部分等、任意に選択できる。
凹部7と模様層3の模様の特定部分と一致していた方が好ましいが、必ずしも同調していなくても、同調しているときと同程度の大きさや頻度を有していれば十分効果がある場合がある。
【0023】
撥液性模様5は、下層の浸透制御層4、上層の透明樹脂保護層との接着性を考慮して選択したインキ組成物ないし塗料組成物中に、シリコーン樹脂、シリコーンオイル、ワックス等の撥液性物質を含有させたものを使用し、好ましくは、下層の模様層3形成時と同じ印刷手段を用い、できれば、模様層3形成と同時に形成するとよい。
使用するインキ組成物ないし塗料組成物中の樹脂成分としては、熱可塑性樹脂も使用してよいが、撥液性模様5上の透明樹脂保護層は薄いか、もしくは無い場合もあるため、最表面もしくはその直下の耐久性を確保する意味で、熱硬化性樹脂または電離放射線硬化性化合物を用いることが、より好ましい。これら組成物の樹脂成分は、既に、他の層を形成する素材として挙げたものと同様である。
【0024】
本発明においては、透明樹脂保護層6に生じる凹部7の深さに由来する凹部感に加えて、凹部7の周囲を凹部7よりも艶を上げて向上させることを狙いとしているが、凹部7を周囲にくらべて艶消しとし、艶差を拡大して凹部感をより一層向上させることは差し支えなく、撥液性模様5形成用のインキ組成物ないし塗料組成物中にマット剤を適宜に添加して用いるとよい。
ただ、本発明においては、浸透制御層4の表面は、内部に体質顔料が分散してあるために凹凸を有しており、その凹凸の影響は上にある撥液性模様5にも及ぶから、撥液性模様5は艶消し傾向にあるので、必ずしも、マット剤を添加しなくてもよい。
なお、絵柄層3、および撥液性模様5を同調させて形成する場合には、同一の多色印刷機上で一時に形成するとよく、絵柄層3、浸透制御層4、および撥液性模様5は、いずれも乾燥性の良い非水性組成物を用いて行なうとよい。
【0025】
透明樹脂保護層6は、電離放射線硬化性組成物が架橋硬化したものであるが、本発明においては、透明樹脂保護層6は一様ではなく、下層の撥液性模様5のある部分の上では、透明樹脂保護層6は周囲より薄いか、あるいは、理想的には無い状態になっている。
透明樹脂保護層6の形成に用いる電離放射線硬化性組成物としては、希釈剤として、溶剤もしくはモノマー、好ましくはモノマーを用いて、凹部を形成し得る粘度に調整する。電離放射線硬化性組成物は、下層の浸透制御層4中の体質顔料の配合量を増やせば、浸透制御層4中に浸透しやすくなるが、表面に形成される透明樹脂保護層6が薄くなるので、本発明においては、電離放射線硬化性組成物の浸透により浸透制御層4の艶が出れば足りる。
【0026】
透明樹脂保護層6の厚みは、表面保護の目的から厚い方がよいが、要求される性能や、経済性、基材がシート状である場合に必要なフレキシビリティー等の観点と、凹部の形成性の観点から、2〜10μmが厚みとして好ましい。
透明樹脂保護層6を形成する手法、乾燥、硬化等に関しても、前に述べた均一着色層3a、絵柄層3b、もしくは浸透制御層4の形成の際と同様である。
【0027】
上記の透明樹脂保護層6には、耐摩耗性を向上させる意味で、特開平8−183147号(特許第274093号)に記載されているような、層6の平均膜厚t(mm)と球状粒子の径d(mm)との関係が0.3t≦d≦2.0tである硬質の球状粒子を含んでいてよい。
この硬質の球状粒子は、有機質又は無機質、好ましくは無機質であって、架橋硬化した樹脂よりも高硬度なものであることが望ましく、高高度の球状粒子を添加すると、一層の表面強化が実現される。なお球状粒子とは、表面が滑らかであれば真球でないものも使用でき、そのようなものをも含むものとする。硬質の球状粒子の役割は、層6の表面からその一部が突出して、摩耗の原因となる外力を微状子が受け止め、粒子自身が次第に摩耗することによって、下層の摩滅を防止する事である。硬質の球状粒子としてはα−アルミナ、シリカ、酸化クロム、酸化鉄、ダイアモンド、黒鉛等があるが、中でも、硬度が高く、球形のものが多い点から、球形のα−アルミナ(昭和電工株式会社の球状アルミナAS−10からAS50)が推奨できる。硬質の球状粒子の粒径は、平均粒径で5〜100μmが好ましい。無機質の硬質の球状粒子を表面保護層に用いる際に、表面保護層を構成する樹脂中での密着性を上げる意味で、予めシランカップリング剤等で処理するとよい。
【0028】
さらにまた、硬質の不定形な粒子も使用でき、特に15〜25μm程度の長径を持つ素材としては上記の球状粒子の場合と同様なものが適しており、やはりα−アルミナが好ましい。この硬質の不定形な粒子は、性能的には、球状のものに匹敵し、しかも、透明樹脂保護層6形成用の電離放射線硬化性組成物中で沈降しにくい特性を持っており、生産上、非常に好ましいものである。粒子の沈降速度は粒子径の2乗に比例するため、不定形粒子は長径が重力方向を向いて分散する結果、沈降が遅く、しかも長径が大きいために、耐摩耗性が出るものと考えられる。
【0029】
【実施例】
(実施例1)
基材として、60g/m2 のアクリル樹脂ラテックス含浸紙((株)興人製、GF601)を使用し、アクリル樹脂とニトロセルロースとをビヒクル成分とするグラビアインキを用い、グラビア印刷法にて、着色ベタ層(=均一着色層)と木目絵柄層とを形成して印刷紙を得た。
得られた印刷紙上に、ポリエステルポリオールとトリレンジンソシアネートからなるポリウレタン樹脂形成成分、およびポリビルニブチラール樹脂とをビヒクル成分とし、体質顔料としてシリカ20重量%を含む塗料組成物を使用して、浸透制御層を形成した。
続いて、尿素メラミンアルキッド樹脂とニトロセルロースとをビヒクル成分とし、インキ中にシリコーンオイルを10重量%含む撥液性インキを使用して、グラビア印刷により、先に形成した木目模様層に同調した導管模様を印刷し、印刷後、170〜180℃の温度で30秒間加熱乾燥した。
最後に下記の組成の電離放射線硬化性組成物Aを使用し、グラビアロールコーティングにより塗布して、25g/m2 の透明樹脂保護層塗膜を形成し、電子線照射装置を用い、加速電圧175KV、照射線量5Mradの条件で電子線を照射して、塗膜を硬化させて、透明樹脂保護層とし、化粧材を得た。
〔電離放射線硬化性化合物A〕
・ビスフェノールAエチレンオキサイド
変成ジアクリレート 50重量部
・トリメチロールプロパンエチレンオキサイド
変成トリアクリレート 20重量部
・疎水シリカ(平均粒径5μm) 9重量部
・球状アルミナ(平均粒径25μm) 20重量部
・シリコーンオイル 1重量部
得られた化粧材は、導管模様上の透明樹脂保護層が凹部を形成しており、しかも凹部の底が周囲とくらべて艶消しとなっており、また、導管模様を有する部分以外が艶が出た化粧材となっていて、凹部感が優れた化粧材が得られた。
また、JAS(=日本農林規格)の摩耗A試験に準じた方法で絵柄が取られ始めるときの回転数(=イニシャルポイント)を求めたところ、400回であり、実用上、良好な値を示した。
【0030】
(実施例2)
下記の組成の電離放射線硬化性組成物Bを使用した以外は、実施例1と同様にして透明樹脂保護層を形成し、化粧材を得た。
〔電離放射線硬化性化合物B〕
・ビスフェノールAエチレンオキサイド
変成ジアクリレート 60重量部
・トリメチロールプロパンエチレンオキサイド
変成トリアクリレート 20重量部
・鱗片状および不定形アルミナ粒子(長径;約20μm) 20重量部
得られた化粧材は、実施例1で得られたものと同様に凹部感が優れており、また、実施例1の化粧材の評価と同様にして測定したイニシャルポイントは400回であり、同様に良好な値を示した。
【0031】
【発明の効果】
請求項1または請求項2の発明によれば、体質顔料を分散してある熱硬化性樹脂による浸透制御層を有しているので、上層の電離放射線硬化性組成物の浸透を適度に制御することが確実にできる上、電離放射線硬化性組成物が浸透制御層に浸透した部分の艶が高くなる結果、撥液性模様により生じた凹部が、周囲との艶さにより、凹部感が強調された、すぐれた凹部感を有し、しかも、浸透制御層に前記特定の樹脂を用いているので上層の透明樹脂保護層との密着強度が改善した化粧材を提供できる。また、請求項1の発明によれば、絵柄層を有しているので、一層の装飾効果のある化粧材を提供できる。
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明の効果に加え、使用しやすく、浸透性の制御、艶の調整がしやすい体質顔料を特定した化粧材を提供できる。
請求項4の発明によれば、請求項1〜3いずれかの発明の効果に加え、耐久性、特に耐溶剤性が向上した化粧材を提供できる。
請求項5の発明によれば、請求項1〜4いずれかの発明の効果に加え、マット剤無しの撥液性模様でも該模様上の凹部の底が周囲と比べて艶消しの化粧材を提供できる。
請求項6の発明によれば、請求項1〜5いずれかの発明の効果に加え、硬質の球状粒子が分散されているので、特に、耐摩耗性が優れた化粧材を提供できる。
請求項7の発明によれば、請求項1〜5いずれかの発明の効果に加え、硬質の不定形粒子が分散されているので、特に、耐摩耗性が優れ、かつ、製造の際に、透明樹脂保護層形成用の組成物が長時間安定に使用できるので、製品の耐摩耗性が一定した化粧材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの構造を示す断面図である。
【図2】本発明の化粧シートの別の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 化粧材
2 基材
3 模様層(3a;均一着色層、3b;絵柄層)
4 浸透制御層
5 撥液性模様
6 透明樹脂保護層
7 凹部
Claims (7)
- 基材上に、絵柄層を介して最上層に電離放射線硬化性組成物が架橋硬化した透明樹脂保護層を有しており、前記絵柄層と前記透明樹脂保護層との間には、前記絵柄層側から、透明樹脂保護層形成用組成物の浸透性を制御する層であって樹脂中に体質顔料を分散してある浸透制御層、および、前記浸透制御層上に前記透明樹脂保護層形成用組成物をはじく性質のある撥液性模様が積層されており、前記撥液性模様上には透明樹脂保護層が無いかもしくは周囲にくらべて薄く、前記撥液性模様上の凹部の底が周囲と比べて艶消しであり、
前記浸透制御層を構成する樹脂が熱硬化性樹脂であり、且つ、前記浸透制御層がOH基を有するバインダー樹脂としてポリビニルブチラール樹脂を含むバインダー樹脂がイソシアネート化合物で架橋硬化していると共に、OH基を利用して上層の透明樹脂保護層形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物との間で反応していることを特徴とする化粧材。 - 基材上に電離放射線硬化性組成物が架橋硬化した透明樹脂保護層を有しており、前記基材と前記透明樹脂保護層との間には、前記基材側から、透明樹脂保護層形成用組成物の浸透性を制御する層であって樹脂中に体質顔料を分散してある浸透制御層、および、前記浸透制御層上に前記透明樹脂保護層形成用組成物をはじく性質のある撥液性模様が積層されており、前記撥液性模様上には透明樹脂保護層が無いかもしくは周囲にくらべて薄く、前記撥液性模様上の凹部の底が周囲と比べて艶消しであり、
前記浸透制御層を構成する樹脂が熱硬化性樹脂であり、且つ、前記浸透制御層がOH基を有するバインダー樹脂としてポリビニルブチラール樹脂を含むバインダー樹脂がイソシアネート化合物で架橋硬化していると共に、OH基を利用して上層の透明樹脂保護層形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物との間で反応していることを特徴とする化粧材。 - 体質顔料がシリカ、硫酸バリウム、もしくは炭酸カルシウムから選ばれたものであることを特徴とする請求項1または2記載の化粧材。
- 浸透制御層を構成する樹脂が更に電離放射線硬化性樹脂も含み透明樹脂保護層との間で架橋していることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の化粧材。
- 撥液性模様がマット剤を含まない組成物から形成されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の化粧材。
- 透明樹脂保護層に硬質の球状粒子が分散されていることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の化粧材。
- 透明樹脂保護層に硬質の不定形粒子が分散されていることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の化粧材。
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