JP4467253B2 - チオフェン誘導体類、その製造方法およびこれを用いてなる有機電界発光素子 - Google Patents

チオフェン誘導体類、その製造方法およびこれを用いてなる有機電界発光素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なチオフェン誘導体類、その製造法およびこれを用いてなる有機電界発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報機器の多様化に伴って、Cathode Ray Tube(いわゆるCRT)よりも低消費電力で空間占有面積の小さい平面型表示素子に関するニーズが高くなり、特に自発光型で表示が鮮明、かつエネルギー変換効率の高い有機電界発光素子(有機EL素子)に対する注目が集まり、様々な材料並びに有機電界発光素子の提案がなされてきた。
【0003】
有機電界発光素子、特に有機EL素子の基本構造としては、例えば、ガラスやプラスチックなどの透明基板上に陽極を設け、その上に正孔輸送層および発光と電子輸送を兼ねた発光電子輸送層を順次積層し、その上に陰極を設けた構造となっているか、あるいは発光層と電子輸送(電子注入)層とを別異の化合物層として設け、透明基板上に設けた陽極の上に正孔輸送層、発光層および電子輸送(電子注入)層を順次積層し、その上に陰極を設けた構造となっている。
【0004】
このような有機電界発光素子において、陽極としては例えば導電性のIndium−Tin−Oxide(以下、ITOと略記する。)からなる透明電極が使用され、陰極としては前記ITOやマグネシウムと銀の合金電極(以下、MgAg/Agという)が使用されることが多い。
【0005】
かかる有機電界発光素子の両電極間に電圧を印加すると、正孔輸送、発光、電子輸送の各層に電流が流れ、発光層において正孔と電子の再結合により発光現象が生じ、発生した光のうち透明電極及び透明基板を厚さ方向に透過した光が外部に照射されて、10V前後の電圧の印加により100〜10000カンデラ/mといった極めて高輝度の発光が得られることから、次世代ディスプレイ素子の有力候補として注目されている。
【0006】
このような有機電界発光素子において、電子輸送層を形成するための電子輸送材料としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(いわゆるAlq)、オキサジアゾール亜鉛錯体(いわゆるZn(ODZ))、ベンゾチアゾール亜鉛錯体(いわゆるZn(BTZ))、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体(いわゆるZn(BOX))、5−ヒドロキシフラボンベリリウム錯体(いわゆるBe(5Fla))、トリス(8−キノリノラト)ビスマス錯体(いわゆるBiq)、ビフェニルビス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(いわゆるBAlq)などの発光材料としても使用されている各種金属錯体が知られている(例えば特許文献1、2参照)が、これらは比較的低電圧で有機電界発光素子を駆動させることはできてもホールブロック能が低いという問題がある。
【0007】
また、金属錯体以外の化合物としては、1,3−ビス(フェニルイル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(いわゆるOXD−7)、2−(4−ビフェニルイル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(いわゆるPBD)、1−フェニル−2−ビフェニル−5−t−ブチルフェニルトリアゾール(いわゆるTAZ)などの複素環系化合物が知られている。(例えば、非特許文献1、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6参照)が、これらは駆動電圧が高いという問題があり、実用上十分な性能を有しているとはいえなかった。
【0008】
【特許文献1】
特開昭59−194393号公報
【特許文献2】
特開平11−307260号公報
【特許文献3】
特開平5−152027号公報
【特許文献4】
特開平5−202011号公報
【特許文献5】
特開平6−92947号公報
【特許文献6】
特開平6−145658号公報
【非特許文献1】
日本化学会誌、11、1540(1991)
【0009】
このように、上記したような従来の有機電界発光素子に使用されている電子輸送材料あるいは発光電子輸送材料は、ホールブロック層や駆動電圧などの点で問題があり、有機電界発光素子としてホールブロック能に優れるとともに低電圧駆動下においても十分は発光輝度を有するのみならず、電子輸送層あるいは発光層を形成させるための真空蒸着幕における製幕性に優れた電子輸送材料あるいは発光材料の開発が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このようなことから、本発明者らは、従来より知られている有機電界発光素子の問題を解決し、有機電界発光素子としてホールブロック能に優れるとともに低電圧駆動下においても十分な発光輝度を有するのみならず、電子輸送層あるいは発光電子輸送層を形成させるための真空蒸着膜における製膜性に優れた化合物を開発するとともに、該化合物を電子輸送材料あるいは発光材料として用いた有機電界発光素子を開発すべく検討の結果、本発明に至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、下記一般式(1)
Figure 0004467253
〔式中、R及びRは互いに同じか或いは異なってそれぞれ水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基または複素環基を示し、−Ar−は下式(2)
Figure 0004467253
(式中、Rはアルキル基を示し、mは0〜3の整数である。)
または下式(3)
Figure 0004467253
(式中、Rはアルキル基を示し、nは0〜2の整数である。)
または下式(4)
Figure 0004467253
(式中、Rはアルキル基を示し、pは0〜2の整数である。)
または下式(5)
Figure 0004467253
(式中、Rはアルキル基を示し、qは0〜2の整数である。)
または下式(6)
Figure 0004467253
(式中、Rはアルキル基を表し、rは0〜2の整数である。)
のいずれかを示す。〕
で示されるチオフェン誘導体類を提供するものである。
【0012】
また、本発明の第2は、下記一般式(7)
Figure 0004467253
(式中、R、RおよびRは前記と同じである。)
で示されるアリールチオフェン類をアルキルリチウムと反応させた後、得られた反応混合物に下記一般式(8)
B(OR
(式中、Rはアルキル基を表す。)
で示されるトリアルコキシボラン類を加えて反応させて下記一般式(9)
Figure 0004467253
(式中、R、R、RおよびRは前記と同じである。)
で示されるジアルコキシチエニルボラン類を得、次いで下記一般式(10)
X−Ar−X
〔式中、Xはハロゲン原子を表し、−Ar−は前記式(2)〜式(6)と同じである。〕
で示されるジハロゲン置換アリール化合物もしくは複素環式化合物と、溶媒中、パラジウム触媒及び塩基の存在下に反応させることを特徴とする前記一般式(1)示されるチオフェン誘導体類の製造法を提供するものである。
【0013】
更に、本発明の第3は、前記一般式(1)で示されるチオフェン誘導体類を含む有機層を有してなる有機電界発光素子を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
前記一般式(1)で示されるチオフェン誘導体類において、置換基RおよびRは互いに同じか或いは異なってそれぞれ水素原子、アルキル基またはアルコキシ基であり、アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分枝鎖状の好ましくは炭素数1〜4の低級アルキル基が、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基などが挙げられるが、特に好ましくは水素原子である。
【0015】
置換基Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基または複素環基であり、ここでアルキル基としては前記と同様のアルキル基が例示され、アラルキル基とはこれらアルキル基が有する水素原子をアリール基に置換した基であって、具体的にはベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ジフェニルメチル基などが例示され、アリール基としては置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、たとえばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基などが例示され、複素環基としてはピリジル基、キノリル基、イソキノリル基などが例示される。
【0016】
また、前記式(2)、(3)、(4)、(5)および(6)で示される置換基−Ar−において、各式中のR,R,R、RおよびRで示されるアルキル基は前記と同様である。
【0017】
本発明のチオフェン誘導体類(1)としては、前記一般式(1)において置換基RおよびRの全てが水素原子であって置換基Rが水素原子または複素環基であり、かつ、置換基−Ar−が前記式(2)〜(5)で示され、その置換基R,R,RまたはRの数を示すm、n、pおよびqが0であるか、置換基−Ar−が前記式(6)で示されるチオフェン誘導体類が好ましい。
【0018】
このようなチオフェン誘導体類(1)としては、例えば2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピラジン、2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリジン、4,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリミジン、3,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリダジン、1,3−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ベンゼン、2,5−ジメトキシ−1,4−ビス[3,4−ジフェニル−(2−キノリル)チオフェン−5−イル]ベンゼン等を具体的に挙げることができるが、これらの例示化合物に限定されるものではない。
【0019】
このような一般式(1)で示される本発明のチオフェン誘導体類は、例えば、前記一般式(4)で示されるアリールチオフェン類をアルキルリチウムと反応させた後、前記一般式(5)で示されるトリアルコキシボランと反応させ、次いでパラジウム触媒の存在下に一般式(7)で示されるハロゲン置換アリール化合物もしくは複素環式化合物と反応させることにより製造することができる。
【0020】
以下、この製造方法について詳細に説明する。
反応原料である一般式(4)で示されるアリールチオフェン類としては、目的とするチオフェン誘導体類に対応する化合物が選択使用され、例えば3,4−ジフェニルチオフェン、3,4−ジフェニル−2−{2−ピリジル}チオフェン等を挙げることができるがこれらに限定されない。
【0021】
また、アルキルリチウムとしては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウムなどが例示されるが、n−ブチルリチウムが取扱い性や反応性の点で好ましく使用される。
【0022】
一般式(4)で示されるアリールチオフェン類とアルキルリチウムとの反応は、通常、有機溶媒中で行われる。
有機溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に限定されず、例えば、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素等が挙げられるが、反応にはこれらの1種以上を使用することができる。
【0023】
この反応において、アルキルリチウムの使用量は一般式(4)で示されるアリールチオフェン類に対して通常0.8〜2モル倍、好ましくは1〜1.5モル倍の範囲である。
有機溶媒の使用量は特に限定はないが、一般的には一般式(4)で示されるアリールチオフェン類に対して1〜100重量倍である。
反応温度は、通常、室温以下、好ましくは−80℃〜0℃である。
【0024】
かかる反応により、一般式(4)で示されるアリールチオフェン類のチオフェン核の5−位がリチウムで置換された下記式(11)で示されるアリールチエノリチウム類が得られる。
Figure 0004467253
(式中、R、RおよびRは前記と同じである。)
【0025】
尚、この反応においては、アルキルリチウムおよび生成したアリールチエノリチウム類が水と容易に反応して分解するところから、反応系を実質的に無水の状態に保つことが好ましい。
【0026】
次いで、かくして得られたアリールチエノリチウム類を前記一般式(8)で示されるトリアルコキシボラン類と反応させて、前記一般式(9)で示されるジアルコキシチエノボラン類を製造する。
反応方法としては前記反応混合物からアリールチエノリチウム類を単離したのち、上記したと同様の有機溶媒中でトリアルコキシボラン類と反応させてもよいが、通常は、アリールチエノリチウム類を含む反応混合物にトリアルコキシボラン類を加えて、アリールチエノリチウム類とトリアルコキシボラン類を反応させることにより行われる。
【0027】
ここで、前記一般式(8)で示されるトリアルコキシボラン類において、置換基Rのアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分枝鎖状の好ましくは炭素数1〜3の低級アルキル基が挙げられ、トリアルコキシボラン類の具体例としてはトリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリ−n−プロポキシボランなどが挙げられる。
【0028】
この反応におけるトリアルコキシボラン類の使用量は、出発原料であるチオフェン類1モルに対して通常1〜3.5モルの範囲であり、反応温度は先の反応の場合と同様に、通常、室温以下、好ましくは−80℃〜0℃である。
【0029】
反応終了後、生成したジアルコキシチエノボラン類を含む反応混合物にアルコール類例えばメタノール、エタノールなどを加えたのち、減圧留去法などにより溶媒類を除去する。
【0030】
溶媒留去後の残渣に、ジメチルホルムアミドなどの溶媒を加えてこれを溶解し、このジアルコキシチエノボラン類溶液に前記一般式(10)で示されるジハロゲン置換アリール化合物もしくは複素環式化合物を加えてパラジウム触媒および塩基の存在下にカップリング反応を行い、目的とする一般式(1)で示されるチオフェン誘導体類を得る。
【0031】
ここで、一般式(10)で示されるジハロゲン置換アリール化合物もしくは複素環式化合物としては、p−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、2,6−ジクロロピリジン、2,6−ジブロモピリジン、2,6−ジクロロピペリジン、2,6−ジクロロピラジン、4,5−ジクロロピリミジン、4,6−ジクロロピリミジン、3,6−ジクロロピリダジン、1,4−ジブロモ−2,5−ジメトキシベンゼンなどが例示され、その使用量は出発原料であるアリールチオフェン類に対して0.1〜1モル倍である。
【0032】
パラジウム触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジクロロ[ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム、ジクロロ[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム等のパラジウム錯体を挙げることができるが、ジクロロ[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムが好ましく使用される。
【0033】
かかるパラジウム触媒の使用量は、触媒に含まれる金属パラジウムが一般式(10)で示されるジハロゲン置換アリール化合物もしくは複素環式化合物1モルに対して通常0.005〜0.5モル、好ましくは0.01〜0.15モル倍である。
【0034】
塩基としては、公知の無機塩基を広く使用でき、例えば、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属フッ化物、及びアルカリ土類金属の塩基性塩が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0035】
具体的には、アルカリ金属炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムなどが、アルカリ金属炭酸水素塩としては炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が、アルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウムなどが、アルカリ金属リン酸塩としてはリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸リチウム、リン酸セシウムなどが、アルカリ金属フッ化物としては、具体的にはフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等が例示される。
【0036】
また、アルカリ土類金属の塩基性塩としては、例えばアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物等が挙げられ、これらの具体例としては炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
【0037】
塩基の使用量は、通常ジハロゲン置換アリール化合物もしくは複素環式化合物1モルに対して2〜10モル、好ましくは2〜5モル倍の範囲である。
【0038】
反応温度は、通常、室温〜反応系の沸点温度の範囲、好ましくは室温〜100℃の範囲である。
【0039】
このような反応により、一般式(1)で示されるチオフェン誘導体類を得ることができ、該チオフェン誘導体類を含む反応混合物を、ろ過、中和、抽出、濃縮、消化、再結晶、カラムクロマトグラムなどの一般的な処理操作を適宜組み合わせることにより、目的とするチオフェン誘導体類を単離することができる。
【0040】
次に、本発明のチオフェン誘導体類を用いた有機電界発光素子について説明する。
図1は、本発明の有機電界発光素子の一実施形態を示す概念図である。
この例で示す有機電界発光素子は、透明基板(1)、導電性材料からなる陽極(2a)、有機化合物からなる正孔輸送層(3)、有機化合物などからなる発光層(4)、有機化合物などからなる電子輸送層(5)および陰極(2b)が順次積層された構造からなっている。
【0041】
ここで、透明基板としては通常ガラス、透明プラスチックなどが使用される。
また、この例においては、陽極(2a)としては厚さ110nm程度に積層された導電性材料であるITOが使用されている。
また、陰極(2b)としては、マグネシウムと銀の共蒸着により厚さ110nm程度に製幕して得られる半透明の仕事関数が小さな合金(代表的にはMgAg/Ag)が使用されている。
【0042】
正孔輸送層(3)中に含まれる化合物としては、例えば次式
Figure 0004467253
で示される4,4’−ビス−(α-ナフチルフェニルアミノ)ビフェニル(以下、α−NPDという)等が挙げられ、これらは通常50nm程度の厚さに成膜して用いられる。
【0043】
発光層(4)中に含まれる化合物としては、例えばリン光発光ホスト材料として次式
Figure 0004467253
で示される4,4’−ビスカルバゾリルビフェニル(以下、CBPという)などと次式
Figure 0004467253
で示されるリン光発光ゲスト材料としてのトリストリ(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体(以下、Ir(ppy)という)等が挙げられ、これらは上記のCBPに対して6重量%程度添加し、両化合物を20nmを程度の厚さに成膜して用いられる。
【0044】
上記の基本構造において、電子輸送層に含まれる電子輸送材料としては、前記したような各種の電子輸送材料例えばAlqなどが挙げられるが、本発明の有機電界素子の一実施態様においては、かかる電子輸送層の電子輸送材料として前記本発明の前記一般式(1)で示されるチオフェン誘導体類を用いることができ、これらは通常10nm程度の厚さに製膜して用いられる。
【0045】
あるいは、本発明の有機電界発光素子の第二の実施態様としては、図1の構成において、発光層(4)として本発明の前記一般式(1)で示されるチオフェン誘導体類を厚さ20nm程度に製幕して使用し、電子輸送材料としてAlqなどの従来公知の電子輸送材料を40nm程度に製幕して用いることもできる。
【0046】
あるいは、本発明の有機電界発光素子の第三の実施態様として、図2に示すように、本発明の前記一般式(1)で示されるチオフェン誘導体類を含む層を第一の電子輸送層(5−1)とし、これに従来のAlqなどからなる電子輸送層(5−2)を第二の電子輸送層として両層が積層された構成であってもよい。
【0047】
更に、本発明の有機電界発光素子のその他の実施態様として、図3に示すように、本発明の前記一般式(1)で示されるチオフェン誘導体類を発光層および電子輸送層を兼ねた発光・電子輸送層(6)とした構成とすることもできる。
【0048】
尚、本発明の前記一般式(1)で示されるチオフェン誘導体類とともに使用される正孔輸送層、発光層および電子輸送層として使用される化合物は、前記例示化合物に限られず、従来から当該分野において使用されている各種の化合物が適宜使用され、また、各層にはそれぞれの目的に照らして当該化合物以外の他の有機化合物が含まれていてもよい。
同様に、上記各層の厚みについても上記に限定されず、最適の厚みとなるように適宜設定される。
【0049】
【発明の効果】
本発明のチオフェン誘導体は、有機電界発光素子としてホールブロック能に優れるとともに低電圧駆動下においても十分な発光輝度を有するのみならず、電子輸送層を形成させるための真空蒸着膜における製膜性に優れ、該化合物を電子輸送材料として用いることにより上記性能を有する有機電界発光素子を得ることができる。
【0050】
【実施例】
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
尚、以下の実施例において、発光能の測定にはアジレント・テクノロジー・インク社製のAgilent 4155C semiconductor parameter analyzerおよびニューポート社製のMulti-function optical meterを使用した。
【0051】
【実施例1】
2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピラジンの合成
3,4−ジフェニルチオフェン2.0g(8.46mmol)の無水テトラヒドロフラン(以下、THFと略記する)30ml溶液を−30゜Cに冷却し、1.59mol/L のノルマルブチルリチウムヘキサン溶液8.0ml(12.7mmol)を加えた。2時間攪拌した後、トリメトキシボラン1.4 ml(19.0mmol)を加え、さらに−30゜Cで2時間攪拌した。反応液にメタノール8mlを同温で加え、その後室温まで昇温した。反応液中のTHF及びメタノールを減圧留去し、残渣をジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する)50mlに溶解した。ついで2,6−ジクロロピラジン0.32g(2.11mmol)、炭酸ナトリウム0.67g(6.32mmol)、イオン交換水10mlおよびジシクロ[1,1′−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)−ジクロロメタン0.083g(0.10mmol)を加え80゜Cで13時間攪拌した。反応終了後、反応液を0゜Cまで冷却し析出物を濾過した。濾残をクロロホルムに溶解させ、フロリジルカラムにより金属触媒を除去した。そのクロロホルム溶液をメタノール300ml中へ滴下し析出した結晶を濾過し、2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピラジンの白色固体を0.91g(収率79%)得た。
得られた2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピラジンは、空気中において安定であった。
この2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピラジンのPL(Photo Luminescence)を測定したところ、428nmに極大吸収を示した。また、HOMOおよびLUMOレベルはそれぞれ6.0eV,3.0eVであった。
【0052】
H−NMR(400MHz,CDCl,ppm)δ:7.69(s,2H)、7.52(s,2H)、7.31(m,6H)、7.21(m,6H)、7.17(m,4H)、7.10(m,4H)
13C−NMR(100MHz,CDCl,ppm)δ:147.8、144.4、140.1、139.5、138.3、136.3、135.9、130.2、128.9、128.8、128.0、127.9、126.9、126.2
DIMS(EI)m/z:548[M+]
IR(cm−1)λ:3434、3056、1600、1513、1450、1176、1072、1027、877、752、698
Melting Point:264゜C
【0053】
【実施例2】
2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリジンの合成
3,4−ジフェニルチオフェン3.0g(12.7mmol)の無水THF30ml溶液を−30゜Cに冷却し、1.59mol/Lのノルマルブチルリチウムヘキサン溶液12.0ml(19.0 mmol)を加えた。2時間攪拌した後、トリメトキシボラン1.45ml(19.0 mmol)を加え、さらに−30゜Cで2時間攪拌した。反応液にメタノール12mlを同温で加え、その後室温まで昇温した。反応液中のTHF及びメタノールを減圧留去して、残渣をDMF65mlに溶解した。ついで、2,6−ジブロモピリジン1.35g(5.71mmol)、炭酸ナトリウム2.3g(21.4mmol)、イオン交換水10mlおよびジシクロ[1,1′−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)−ジクロロメタン0.125g(0.15mmol)を加えて80゜Cで1.5時間攪拌した。反応終了後、反応液を0゜Cまで冷却し、析出物を濾過した。濾残をクロロホルムに溶解させ、フロリジルカラムにより金属触媒を除去した。そのクロロホルム溶液をメタノール300ml中へ滴下し、析出した結晶を濾過して2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリジンの黄白色固体を2.56g(収率82%)得た。
得られた2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリジンは、空気中において安定であった。
この2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリジンのPL(Photo Luminescence)を測定したところ、396nmに極大吸収を示した。
【0054】
H−NMR(400MHz,CDCl,ppm)δ:7.43(s,2H)、7.29(s,6H)、7.18(m,10H)、7.09(m、4H)、6.99(t、J=8.0Hz、1H)、6.48(d、J=8.0Hz、2H)13C−NMR(100MHz,CDCl,ppm)δ:152.2、144.2、141.4、138.7、136.7、136.6、135.9、130.4、128.9、128.6、127.9、127.4、126.6、125.0、119.3
LCMS(ESI)m/z:548[M+1]、514、312
IR(cm−1)λ:3436、3054、1562、1457、1072、1027、906、804、754、698
Melting Point:257゜C
【0055】
【実施例3】
4,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリミジンの合成
3,4−ジフェニルチオフェン4.0g(16.9mmol)の無水THF50ml溶液を−30゜Cに冷却し、1.59mol/Lのノルマルブチルリチウムヘキサン溶液15.9mL(25.4mmol)を加えた。2時間攪拌した後、トリメトキシボラン1.45ml(19.0mmol)を加え、さらに−30゜Cで2時間攪拌した。反応液にメタノール16mlを同温で加え、その後室温まで昇温した。反応液中のTHF及びメタノールを減圧留去して、残渣をDMF70mlに溶解した。ついで、4,6−ジクロロピリミジン1.13g(7.61mmol)、炭酸ナトリウム2.42g(22.8mmol)、イオン交換水20mlおよびジシクロ[1,1′−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)−ジクロロメタン0.167g(0.21mmol)を加えて80゜Cで12時間攪拌した。反応終了後、反応液をクロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、その溶液をフロリジルカラムに通して触媒を除去した後、濃縮した。
得られた残渣にDMFを加えてよくかき混ぜ、結晶を濾過した。濾残をメタノールで洗浄し、4,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリミジンの黄色固体を1.71g (収率46%)得た。
得られた4,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリミジンは、空気中において安定であった。
この4,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリミジンのPL(Photo Luminescence)を測定したところ、405nmに極大吸収を示した。また300Kにおいて、550nmの極大吸収波長を有するリン光が観測された。
【0056】
H−NMR(400MHz,CDCl,ppm)δ:9.05(d,J=1.8Hz,1H)、7.43(s,2H)、7.12−7.23(m,12H)、6.94−6.98(broad d,J=8.0Hz,4H)、6.78−6.80(dd,J=8.0,6.6Hz,4H)、6.48(d,J=1.4Hz,1H)
13C−NMR(100MHz,CDCl,ppm)δ:159.4、158.5,144.6,141.4、138.3、136.1、135.0、129.9、128.8、128.7、127.9、127.4、126.9、126.5、115.6
LCMS(ESI)m/z:549[M+1]、522、504
IR(cm−1)λ:3438、3054、1569、1504、1461、1072、1027、916、752、696
Melting Point:261−264゜C
【0057】
【実施例4】
3,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリダジンの合成
3,4−ジフェニルチオフェン4.0g (16.9mmol)の無水THF50ml溶液を−30゜Cに冷却し、1.59mol/L のノルマルブチルリチウムヘキサン溶液15.9ml(25.4mmol)を加えた。2時間攪拌した後、トリメトキシボラン1.45ml(19.0mmol)を加え、さらに−30゜Cで2時間攪拌した。反応液にメタノール16mlを同温で加え、その後室温まで昇温した。反応液中のTHF及びメタノールを減圧留去して、残渣をDMF70mlに溶解した。ついで、3,6−ジクロロピリダジン1.10g(7.61mmol)、炭酸ナトリウム2.42g(22.8mmol)、イオン交換水20mlおよびジシクロ[1,1′−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)−ジクロロメタン0.167g(0.21mmol)を加えて80℃で2時間攪拌した。
反応終了後、反応液を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラム(クロロホルム:ノルマルヘキサン=1:1)により精製した。さらに得られた結晶にメタノール60mlとDMF60mlを加えて結晶を洗浄した。固体を濾取し、3,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリダジンの白色固体を0.659g(収率16%)得た。
得られた3,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリダジンは、空気中において安定であった。
【0058】
H−NMR(400MHz,CDCl,ppm)δ:7.47(s,2H)、7.16−7.26(m,12H)、7.05−7.09(m,8H)、6.44(s,2H)
13C−NMR(100MHz,CDCl,ppm)δ:154.1、144.0、140.3、137.1、136.2、135.6、130.3、128.9、128.7、128.0、127.8、126.9、126.2、123.7
DIMS m/z:548[M+]、274
IR(cm−1)λ:3430、3054、1600、1544、1540、1386、1076、1027、908、844、752、700
Melting Point:272゜C
【0059】
【実施例5】
1,3−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ベンゼンの合成
3,4−ジフェニルチオフェン4.0g(16.9mmol)の無水THF50ml溶液を−30゜Cに冷却し、1.59mol/Lのノルマルブチルリチウムヘキサン溶液1.59ml(25.4mmol)を加えた。2時間攪拌した後、トリメトキシボラン1.45ml(19.0mmol)を加え、さらに−30゜Cで2時間攪拌した。反応液にメタノール16mlを同温で加え、その後室温まで昇温した。反応液中のTHF及びメタノールを減圧留去して、残渣DMF70mlに溶解した。ついで、1,3−ジブロモベンゼン1.8g(7.61mmol)、炭酸ナトリウム2.42g(22.8mmol)、イオン交換水20mlおよびジシクロ[1,1′−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)−ジクロロメタン0.167g(0.21mmol)を加えて80゜Cで2時間攪拌した。
反応終了後、析出物を濾取し、イオン交換水150mlを加えて超音波洗浄し、析出物中の無機塩を溶出させた。固体を濾取したのち、さらにノルマルヘキサン150mlを加えて未反応の3,4−ジフェニルチオフェンを溶出させて固体を濾取し、1,3−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ベンゼンの白色固体を0.813g(収率20%)得た。
得られた1,3−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ベンゼンは、空気中において安定であった。
この1,3−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ベンゼンのPL(Photo Luminescence)を測定したところ、370nmに極大吸収を示した。
【0060】
H−NMR(400MHz,CDCl,ppm)δ:7.28(s,2H)、7.16−7.23(m,13H)、7.07−7.13(m,4H)、6.95−7.00(m,7H)
13C−NMR(100MHz,CDCl,ppm)δ:143.6、140.0、137.6、136.8、135.9、134.6、130.8、130.3、129.0、128.2、128.1、128.0、127.9、126.9、126.7、122.1
DIMS(EI)m/z:546[M+]
IR(cm−1)λ:3436、3054、1598、1509、1477、1440、1074、1026、912、894、748、696
Melting Point:234−236゜C
【0061】
【実施例6】
2,5−ジメトキシ−1,4−ビス[3,4−ジフェニル−5−(2−キノリル)チオフェン−5−イル]ベンゼンの合成
アルゴン雰囲気下に、3,4−ジフェニル−2−(2−キノリル)チオフェン0.5g(1.4mmol)を無水THF15mlに溶解させ、−60゜Cに冷却した後15%ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液0.9ml(1.5mmol)を滴下する。同温度下に15分間攪拌後、トリメトキシボラン0.2ml(1.7mmol)を滴下し、−60゜Cに保持したまま更に1時間攪拌する。アルゴン雰囲気下にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.16g(0.14mmol)、1,4−ジブロモ−2,5−ジメトキシベンゼン0.22g(0.69mmol)、1,4−ジオキサン20ml及び水2mlをガラス製フラスコに仕込み、82゜Cに昇温後、−60゜CにてTHF溶液を注入し2.5時間還流させる。
室温まで冷却した後、水15mlを加え、析出した固体を濾別する。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2,5−ジメトキシ−1,4−ビス[3,4−ジフェニル−5−(2−キノリル)チオフェン−5−イル]ベンゼンを70mg(収率12%)を得た。
得られた2,5−ジメトキシ−1,4−ビス[3,4−ジフェニル−5−(2−キノリル)チオフェン−5−イル]ベンゼンは、空気中において安定であった。この2,5−ジメトキシ−1,4−ビス[3,4−ジフェニル−5−(2−キノリル)チオフェン−5−イル]ベンゼンのPL(Photo Luminescence)を測定したところ、488nmに極大吸収を示した。また、HOMOおよびLUMOレベルはそれぞれ5.8eV,2.6eVであった。
【0062】
H−NMR(CDCl,ppm)δ:8.09(d,J=8.7Hz,2H)、7.77(d,J=8.7Hz,2H)、7.68(dd,J=8.0,1.3Hz,2H)、7.68(dd,J=8.0,1.3Hz,2H)、7.46(dd,J=7.5,6.8Hz,2H)、7.22(m,6H)、7.14(dd,J=8.0,1.6Hz,4H)、7.08(m,6H)、6.91(m,4H)、6.86(d,J=8.7Hz,2H)、6.60(s,2H)3.26(s,6H)
Melting Point:345゜C
DI/MS(EI):861
極大吸収波長:377,277nm
【0063】
【実施例7】
1,4−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ベンゼンの合成
3,4−ジフェニルチオフェン2.0g(8.46mmol)の無水THF30ml溶液を−30゜Cに冷却し、1.59mol/Lのノルマルブチルリチウムヘキサン溶液8.0ml(12.7mmol)を加えた。2時間攪拌した後、トリメトキシボラン1.45ml(19.0mmol)を加え、さらに−30゜Cで2時間攪拌した。反応液にメタノール8mlを同温で加え、その後室温まで昇温した。反応液中のTHF及びメタノールを減圧留去して、残渣をDMF65mlに溶解した。ついで、1,4−ジブロモベンゼン0.820g(3.46mmol)、炭酸ナトリウム2.20g(20.8mmol)、イオン交換水16mlおよびジシクロ[1,1′−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)−ジクロロメタン0.141g(0.17mmol)を加えて80゜Cで2時間攪拌した。
反応終了後析出物を濾取し、イオン交換水150mlを加えて超音波洗浄し、析出物中の無機塩を溶出させた。固体を濾取したのち、さらにノルマルヘキサン を150mlを加えて未反応の3,4−ジフェニルチオフェンを溶出させて固体を濾取し、白色固体である1,4−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ベンゼン0.638g(収率15%)を得た。
得られた1,4−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ベンゼンは、空気中において安定であった。
【0064】
DIMS(EI)m/z:546[M+]
IR(cm−1)λ:3392、3054、1600、1542、1502、1440、1074、1020、902、838、750、698
Melting Point:測定不能(300 ℃以上)
【0065】
【実施例8】
ITO薄膜(陽極)がコートされているガラス基板(三容真空工業株式会社製)の上に、真空蒸着法により正孔輸送層としてα−NPDを40nm、Ir(ppy)を6重量%ドーピングした発光ホスト材料CBPの層を20nm積層し、電子輸送層として、実施例1で得られた2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピラジン層を20nm、さらにAlq層を40nm蒸着した。最後にこの有機層の上に陰極として120nmのマグネシウムと銀の合金電極(以下、MgAg/Agと略記する)層を蒸着して素子を完成させた。
この素子に電圧を印加したところ、電流密度1mA/cmにおいて、6.0lm/W以上の発光効率、4.6%以上の外部量子効率が観測された。
【0066】
【実施例9】
実施例8における2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピラジンに代えて実施例2で得た2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリジンを使用する以外は実施例8に準ずる方法で有機EL素子を作成した。
電流密度0.7mA/cmにおいて、5.5lm/W以上の発光効率、4.0%以上の外部量子効率が観測された。
【0067】
【実施例10】
実施例8における2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピラジンに代えて実施例3で得た4,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリミジンを使用する以外は実施例8に準ずる方法で有機発光素子を作成した。
電流密度0.3mA/cmにおいて、6.5lm/W以上の発光効率、4.5%以上の外部量子効率が観測された。
【0068】
【実施例11】
実施例8における2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピラジンに代えて実施例4で得た3,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピリダジンを使用する以外は実施例8に準ずる方法で有機発光素子を作成した。
電流密度1mA/cmにおいて、3.2lm/W以上の発光効率、2.4%以上の外部量子効率が観測された。
【0069】
【実施例12】
実施例8における2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピラジンに代えて実施例5で得た1,3−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ベンゼンを使用する以外は実施例8に準ずる方法で有機発光素子を作成した。
電流密7mA/cmにおいて、2.5lm/W以上の発光効率、2.5%以上の外部量子効率が観測された。
【0070】
【実施例13】
実施例8における2,6−ビス(3,4−ジフェニルチオフェン−2−イル)ピラジンに代えて実施例6で得た2,5−ジメトキシ−1,4−ビス[3,4−ジフェニル−5−(2−キノリル)チオフェン−5−イル]ベンゼンを使用する以外は実施例8に準ずる方法で有機発光素子を作成した。
電流密度2mA/cmにおいて、3.0lm/W以上の発光効率、3.2%以上の外部量子効率が観測された。
【0071】
【実施例14】
ITO薄膜(陽極)がコートされているガラス基板(三容真空工業株式会社製)の上に、真空蒸着法により正孔輸送層としてα−NPDを50nm、発光層として実施例6で得た2,5−ジメトキシ−1,4−ビス[3,4−ジフェニル−5−(2−キノリル)チオフェン−5−イル]ベンゼンを20nm、電子輸送層としてAlqを40nmそれぞれ蒸着した。最後にこの有機層の上に、陰極として、マグネシウムと同時に銀を共蒸着し、110nmのMgAg/Ag層を蒸着して素子を完成させた。
この素子に電圧を印加したところ、電流密度1mA/cmにおいて、1.0lm/W以上の発光効率、0.8%以上の外部量子効率が観測された。
【0072】
【発明の効果】
本発明のチオフェン誘導体類は、有機電界発光素子としてホールブロック能に優れるとともに低電圧駆動下においても十分な発光輝度を有するのみならず、電子輸送層あるいは発光層を形成させるための真空蒸着膜における製膜性に優れ、電子輸送材料あるいは発光材料として用いることにより優れた有機電界発光素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機電界発光素子の一実施態様を示す概念図である。
【図2】本発明の有機電界発光素子の第二の実施態様を示す概念図である。
【図3】本発明の有機電界発光素子の他の実施態様を示す概念図である。
【符号の説明】
1:透明基板
2A:陽極
2B:陰極
3:正孔輸送層
4:発光層
5:電子輸送層
5−1:電子輸送層
5−2:電子輸送層
6:発光電子輸送層

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0004467253
    〔式中、R及びRは互いに同じか或いは異なってそれぞれ水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基または複素環基を示し、−Ar−は下式(2)
    Figure 0004467253
    (式中、Rはアルキル基を示し、mは0〜3の整数である。)
    または下式(3)
    Figure 0004467253
    (式中、Rはアルキル基を示し、nは0〜2の整数である。)
    または下式(4)
    Figure 0004467253
    (式中、Rはアルキル基を示し、pは0〜2の整数である。)
    または下式(5)
    Figure 0004467253
    (式中、Rはアルキル基を示し、qは0〜2の整数である。)
    または下式(6)
    Figure 0004467253
    (式中、Rはアルキル基を表し、rは0〜2の整数である。)
    のいずれかを示す。〕
    で示されるチオフェン誘導体類。
  2. 下記一般式(7)
    Figure 0004467253
    (式中、R及びRは互いに同じか或いは異なってそれぞれ水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。)で示されるアリールチオフェン類をアルキルリチウムと反応させた後、得られた反応混合物に下記一般式(8)
    B(OR
    (式中、Rはアルキル基を表す。)
    で示されるトリアルコキシボラン類を加えて反応させて下記一般式(9)
    Figure 0004467253
    (式中、R、R、RおよびRは前記と同じである。)
    で示されるジアルコキシチエニルボラン類を得、次いで下記一般式(10)
    X−Ar−X
    〔式中、Xはハロゲン原子を表し、−Ar−は下式(2)
    Figure 0004467253
    (式中、Rはアルキル基を示し、mは0〜3の整数である。)
    または下式(3)
    Figure 0004467253
    (式中、Rはアルキル基を示し、nは0〜2の整数である。)
    または下式(4)
    Figure 0004467253
    (式中、Rはアルキル基を示し、pは0〜2の整数である。)
    または下式(5)
    Figure 0004467253
    (式中、Rはアルキル基を示し、qは0〜2の整数である。)
    または下式(6)
    Figure 0004467253
    (式中、Rはアルキル基を表し、rは0〜2の整数である。)
    のいずれかを示す。〕
    で示されるジハロゲン置換アリール化合物もしくは複素環式化合物と、溶媒中、パラジウム触媒及び塩基の存在下に反応させることを特徴とする下記一般式(1)
    Figure 0004467253
    (式中、R、R、R及び−Ar−は上記と同じである。)で示されるチオフェン誘導体類の製造方法。
  3. 請求項1記載の一般式(1)で示されるチオフェン誘導体類を含む有機層を有してなる有機電界発光素子。
  4. 透明基板上に陽極、正孔輸送層、電子輸送層、発光層および陰極が積層されてなる有機電界発光素子において、電子輸送層が請求項1記載の一般式(1)で示されるチオフェン誘導体類を含む有機層からなる請求項3記載の有機電界発光素子。
  5. 発光層がイリジウム錯体を含む請求項4記載の有機電界発光素子。
  6. 請求項1記載の一般式(1)で表されるチオフェン誘導体類が電子輸送層および発光層の双方に含有されている請求項4記載の有機電界発光素子。
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