JP4465444B2 - ユビキチン依存型タンパク質分解系を利用した生体内タンパク質分解システム,及びそのシステムを利用したタンパク質の機能解明方法 - Google Patents

ユビキチン依存型タンパク質分解系を利用した生体内タンパク質分解システム,及びそのシステムを利用したタンパク質の機能解明方法 Download PDF

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Description

本発明は,タンパク質の機能解析方法,及び機能抑制方法などに関する。より詳細には,本発明は,真核細胞に普遍的な機能であるユビキチン依存型タンパク質分解系を利用して,特定のタンパク質を選択的に分解することによりタンパク質の機能を解析・抑制する方法や,それを利用したノックアウト生物の作出方法などに関する。
タンパク質の多くは単体で機能するのではなく,複合体を形成してその機能を発揮する。そのため,興味の対象であるタンパク質が,生体内でどのようなタンパク質と相互作用し,どのような機能を持つのかということを調べることは,重要である。したがって,ある特定のタンパク質の結合相手を決定する手法,及び複合体の機能を解明する手法を確立することが期待される。
一方,高等動植物細胞ではユビキチン化を受けたタンパク質が選択的に分解され,これは生体の維持に重要な役割を果たすとされている。ユビキチン依存型タンパク質分解系は,生体内に普遍的に存在しており,様々な研究が行われている(文献名:Pickart, C.M. (2001) Annu. Rev. Biochem. 70, 503-533)。たとえば,イネのユビキチン依存型タンパク質分解系において標的タンパク質を選択的にユビキチン化する酵素(ユビキチンリガーゼ:E3)の一つであるEL5と呼ばれる酵素の部分構造及び活性相関が解明され,リングフィンガードメインがユビキチン結合酵素(E2)との相互作用に必須であることが知られている(下記非特許文献1(Katoh et al. (2003), J. Biol. Chem. 278(17), 15341-15348)参照。)。しかし,ユビキチン依存型タンパク質分解系を利用して,タンパク質の機能を解明又は抑制した報告はない。
Katoh et al. (2003), J. Biol. Chem. 278(17), 15341-15348.
本発明の目的は,ユビキチン依存型タンパク質分解系を利用してタンパク質を選択的に分解することにより,タンパク質の機能を解析する方法を提供することである。本発明の別の目的は,RNAiなどによって機能を解析できないタンパク質の機能を解明できる新たな機能解析方法を提供することである。
本発明の別の目的は,ユビキチン依存型タンパク質分解系を利用してタンパク質を分解することにより,タンパク質の機能を抑制する方法を提供することである。
本発明の別の目的は,ユビキチンにより分解されるタンパク質の分解速度を制御する方法を提供することである。
本発明は,基本的には,ユビキチン修飾化により所定のタンパク質が分解されるという機能を応用したものである。すなわち,標的タンパク質(タンパク質A)と,ユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質(RFD)とを融合したタンパク質(タンパク質A−RFD)複合体を発現する。そして,タンパク質Aと結合するタンパク質Xをユビキチン修飾化することにより分解する。これにより,タンパク質Xなどの機能を解明等するものである。
〔1〕本発明の第一の態様にかかるタンパク質の機能解析方法は,標的タンパク質(タンパク質A)と,ユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質(RFD)とを融合したタンパク質(タンパク質A−RFD)を用い,前記標的タンパク質と複合体を形成し,ユビキチン修飾化されることにより分解されるタンパク質(タンパク質X)の機能,又は前記タンパク質Aと前記タンパク質Xとの複合体タンパク質(タンパク質A−X複合体)の機能を解析する方法であって,前記タンパク質A−RFDを生体内で発現させ,前記タンパク質Aと前記タンパク質Xとの複合体を形成させ,前記RFDと相互作用したユビキチン結合酵素に結合したユビキチンを前記タンパク質Xに転移させることにより,前記タンパク質Xを分解し,タンパク質X,又はタンパク質A−X複合体の機能を失活させ,タンパク質X,又はタンパク質A−X複合体の機能を解析する,タンパク質の機能解析方法である。
タンパク質A−RFDが生体内で発現すると,タンパク質A−X複合体を形成する。一方,RFDと相互作用したE2により,タンパク質Xがユビキチン修飾化される。これにより,タンパク質Xが分解されるので,タンパク質X又は,タンパク質A−X複合体の機能が破壊される。この現象を利用すれば,タンパク質Xなどの機能を解析できる。
〔2〕本発明の第一の態様にかかるタンパク質の機能解析方法の好ましい側面は,前記“ユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質(RFD)”が,配列番号1に記載されるアミノ酸配列において134-181番のアミノ酸配列からなるタンパク質,配列番号2に記載されるアミノ酸配列において257-297番のアミノ酸配列からなるタンパク質,配列番号3に記載されるアミノ酸配列において48-101番のアミノ酸配列からなるタンパク質,もしくは,配列番号4に記載されるアミノ酸配列において272-343番のアミノ酸配列からなるタンパク質,又はこれらのタンパク質のアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質である上記〔1〕に記載のタンパク質の機能解析方法である。
なお,上記〔2〕において“これらのタンパク質”とは,配列番号1に記載されるアミノ酸配列において134-181番のアミノ酸配列からなるタンパク質,配列番号2に記載されるアミノ酸配列において257-297番のアミノ酸配列からなるタンパク質,配列番号3に記載されるアミノ酸配列において48-101番のアミノ酸配列からなるタンパク質,又はもしくは,配列番号4に記載されるアミノ酸配列において272-343番のアミノ酸配列からなるタンパク質を意味する。そして,“これらのタンパク質のアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質”は,上記の“これらのタンパク質”と同様に,ユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質である。
〔3〕本発明の第一の態様にかかるタンパク質の機能解析方法の好ましい側面は,前記タンパク質Aが,配列番号5に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質,配列番号5に記載されるアミノ酸配列の117-211番目のアミノ酸を有するドメインタンパク質,配列番号7に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質,配列番号7に記載されるアミノ酸配列の362-467番目のアミノ酸を有するドメインタンパク質,配列番号10に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質,又は,配列番号12に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質である上記〔1〕に記載のタンパク質の機能解析方法である。
〔4〕本発明の第一の態様にかかるタンパク質の機能解析方法の好ましい側面は, 前記タンパク質A−RFDは,タンパク質AとRFDとが直接融合されているか,又は,タンパク質AとRFDとがリンカーにより結合され,前記リンカー中のアミノ酸残基の数が,1〜100である上記〔1〕に記載のタンパク質の機能解析方法である。
〔5〕本発明の第二の態様にかかる非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法は,標的タンパク質(タンパク質A)と,ユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質(RFD)とを融合したタンパク質(タンパク質A−RFD)を用い,前記標的タンパク質と複合体を形成し,ユビキチン修飾化されることにより分解されるタンパク質(タンパク質X)の機能,又は前記タンパク質Aと前記タンパク質Xとの複合体タンパク質(タンパク質A−X)の機能を破壊したヒト以外のノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法であって,前記タンパク質A−RFDを生体内で発現させ,前記タンパク質Aと前記タンパク質Xとの複合体を形成させ,前記RFDと相互作用したユビキチン結合酵素に結合したユビキチンを前記タンパク質Xに転移させることにより,前記タンパク質Xの機能又は前記タンパク質A−Xの機能を失活させ,ヒト以外のノックアウト動物又はノックアウト植物を製造する,非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法である。
タンパク質A−RFDが生体内で発現すると,タンパク質A−X複合体を形成する。一方,RFDと相互作用したE2により,タンパク質Xがユビキチン修飾化される。これにより,タンパク質Xが分解されるので,タンパク質X又は,タンパク質A−X複合体の機能が破壊される。この現象を利用すれば,非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物を製造できる。
〔6〕本発明の第二の態様にかかる非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法の好ましい側面は, 前記“ユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質(RFD)”が,配列番号1に記載されるアミノ酸配列において134-181番のアミノ酸配列からなるタンパク質,配列番号2に記載されるアミノ酸配列において257-297番のアミノ酸配列からなるタンパク質,配列番号3に記載されるアミノ酸配列において48-101番のアミノ酸配列からなるタンパク質,もしくは,配列番号4に記載されるアミノ酸配列において272-343番のアミノ酸配列からなるタンパク質,又はこれらのタンパク質のアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質である上記〔5〕に記載の非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法である。
なお,上記〔6〕において“これらのタンパク質”とは,配列番号1に記載されるアミノ酸配列において134-181番のアミノ酸配列からなるタンパク質,配列番号2に記載されるアミノ酸配列において257-297番のアミノ酸配列からなるタンパク質,配列番号3に記載されるアミノ酸配列において48-101番のアミノ酸配列からなるタンパク質,又はもしくは,配列番号4に記載されるアミノ酸配列において272-343番のアミノ酸配列からなるタンパク質を意味する。そして,“これらのタンパク質のアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質”は,上記の“これらのタンパク質”と同様に,ユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質である。
〔7〕本発明の第二の態様にかかる非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法の好ましい側面は,前記タンパク質Aが,配列番号5に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質,配列番号5に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質,配列番号5に記載されるアミノ酸配列の117-211番目のアミノ酸を有するドメインタンパク質,又は配列番号5に記載されるアミノ酸配列の117-211番目のアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質であり, 前記タンパク質Xが,配列番号6に記載されるタンパク質(SLR1),又は配列番号6に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質である上記〔5〕に記載の非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法である。
なお,“配列番号5に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質”は,“配列番号5に記載されるアミノ酸配列で表されるタンパク質”と同様にタンパク質Aとしての機能(ユビキチン修飾化により分解されるタンパク質Xと複合体を形成する機能)を有するものである。“配列番号5に記載されるアミノ酸配列の117-211番目のアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質”は,“配列番号5に記載されるアミノ酸配列の117-211番目のアミノ酸を有するドメインタンパク質”と同様にタンパク質Aとしての機能(ユビキチン修飾化により分解されるタンパク質Xと複合体を形成する機能)を有するものである。“配列番号6に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質”は,“配列番号6に記載されるタンパク質(SLR1)”と同様にタンパク質Xとしての機能(タンパク質Aと複合体を形成する機能)を有するものである。
〔8〕本発明の第二の態様にかかる非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法の好ましい側面は,前記タンパク質Aが,配列番号7に記載されるタンパク質(MAPKP),配列番号7に記載されるアミノ酸配列の362-467番目のアミノ酸を有するドメインタンパク質,配列番号7に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質,又は配列番号7に記載されるアミノ酸配列の362-467番目のアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質であり,前記タンパク質Xが,配列番号8に記載されるタンパク質(CaM1),配列番号8に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質,配列番号9に記載されるタンパク質(CaM3),及び配列番号9に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質のうちいずれか又は二つ以上である上記〔5〕に記載の非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法である。
なお,“配列番号7に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質”は,配列番号7に記載されるタンパク質と同様にタンパク質Aとしての機能(ユビキチン修飾化により分解されるタンパク質Xと複合体を形成する機能)を有するものである。“配列番号7に記載されるアミノ酸配列の362-467番目のアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質”は,タンパク質Aとしての機能(ユビキチン修飾化により分解されるタンパク質Xと複合体を形成する機能)を有するものである。
“配列番号8に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質”及び“配列番号9に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質”はそれぞれ,タンパク質Xとしての機能(タンパク質Aと複合体を形成する機能)を有するものである。
〔9〕本発明の第二の態様にかかる非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法の好ましい側面は,前記タンパク質Aが,配列番号10に記載されるタンパク質(Gγ),又は配列番号10に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質であり,前記タンパク質Xが,配列番号11に記載されるタンパク質(Gβ),又は配列番号11に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質である上記〔5〕に記載の非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法である。
なお,“配列番号10に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質”は,配列番号10に記載されるタンパク質と同様にタンパク質Aとしての機能(ユビキチン修飾化により分解されるタンパク質Xと複合体を形成する機能)を有するものである。
“配列番号11に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質”及び“配列番号11に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質”はそれぞれ,タンパク質Xとしての機能(タンパク質Aと複合体を形成する機能)を有するものである。
〔10〕本発明の第二の態様にかかる非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法の好ましい側面は,前記タンパク質Aが,配列番号12に記載されるタンパク質(CIGR2),又は配列番号12に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質である上記〔5〕に記載の非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法である。
なお,“配列番号12に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質”は,配列番号12に記載されるタンパク質(CIGR2)と同様にタンパク質Aとしての機能(ユビキチン修飾化により分解されるタンパク質Xと複合体を形成する機能)を有するものである。
〔11〕本発明の第二の態様にかかる非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法の好ましい側面は,前記タンパク質A−RFDは,タンパク質AとRFDとが直接融合されているか,又は,タンパク質AとRFDとがリンカーにより結合され,前記リンカー中のアミノ酸残基の数が,1〜100である上記〔5〕に記載の非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法である。
〔12〕本発明の第三の態様にかかる標的タンパク質と結合するタンパク質を同定する方法は,標的タンパク質(タンパク質A)とユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質(RFD)とを融合したタンパク質(タンパク質A−RFD)を用い,前記標的タンパク質と複合体を形成しユビキチン化されることにより分解されるタンパク質(タンパク質X)を同定する方法であって,前記タンパク質A−RFDを生体内で発現させ,前記タンパク質Aと前記タンパク質Xとの複合体を形成させ,前記RFDと相互作用したユビキチン結合酵素に結合したユビキチンを前記タンパク質Xに転移させ,前記タンパク質Xを破壊し,前記タンパク質Xが破壊された生体からタンパク質を抽出し,減少しているタンパク質を解析することでタンパク質Xを同定する標的タンパク質と結合するタンパク質を同定する方法である。
〔13〕本発明の第三の態様にかかる標的タンパク質と結合するタンパク質を同定する方法の好ましい側面は,前記タンパク質A−RFDは,タンパク質AとRFDとが直接融合されているか,又は,タンパク質AとRFDとがリンカーにより結合され,前記リンカー中のアミノ酸残基の数が,1〜100である上記〔12〕に記載の標的タンパク質と結合するタンパク質を同定する方法である。
〔14〕本発明の第三の態様にかかる標的タンパク質と結合するタンパク質を同定する方法の好ましい側面は,前記タンパク質Aが,配列番号12に記載されるタンパク質(CIGR2),又は配列番号12に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質である上記〔12〕に記載の標的タンパク質と結合するタンパク質を同定する方法である。
なお,“配列番号12に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質”は,配列番号12に記載されるタンパク質(CIGR2)と同様にタンパク質Aとしての機能(ユビキチン修飾化により分解されるタンパク質Xと複合体を形成する機能)を有するものである。
〔15〕本発明の第四の態様にかかる標的タンパク質と結合するタンパク質を同定する方法の好ましい側面は,標的タンパク質(タンパク質A)とユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質(RFD)とを融合したタンパク質(タンパク質A−RFD)を用い,前記標的タンパク質と複合体を形成しユビキチン化されることにより分解されるタンパク質(タンパク質X)の分解速度を制御する方法であって,前記“ユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質(RFD)”の変異体を用意し,これらの変異体を用いることにより前記タンパク質Xの分解速度を制御する方法である。
すなわち,RFDの無変異体と変異体とでは,タンパク質Xのユビキチン化の能力が異なる。また,RFDの変異体ごとに,タンパク質Xのユビキチン化の能力が異なる。したがって,所望の分解速度を達成するためには,あらかじめRFDの無変異体及び異性体について,タンパク質Xをユビキチン化する能力さらには分解する能力を測定し把握しておき,RFDの無変異体又は適切な異性体を用いればよい。このようにすることで,タンパク質Xの分解速度を制御できる。
本発明によれば,ユビキチン依存型タンパク質分解系を利用してタンパク質を分解することにより,タンパク質の機能を解析する方法を提供できる。
本発明によれば,ユビキチン依存型タンパク質分解系を利用してタンパク質を分解することにより,タンパク質の機能を抑制する方法を提供できる。
本発明によれば,ユビキチン依存型タンパク質分解系を利用してタンパク質を分解することにより,タンパク質と複合体を形成するタンパク質を同定する方法を提供できる。
本発明によれば,“ユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質(RFD)”の変異体によりユビキチン化の速度、すなわち分解されるタンパク質の分解速度を制御する方法を提供できる。
(1.タンパク質の機能解析方法,又は非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法の概要)
以下,図面に従って,本発明の“タンパク質の機能を解析・抑制する方法”(これらをまとめて“タンパク質の機能を解析する方法”ともいう)について説明する。図1は,本発明の方法に用いられるシステムを説明するための図である。図1(A)は,タンパク質AとRFD(後述)との融合体タンパク質の概念図である。図1(A)に示される例では,タンパク質AとRFDとがリンカーにより接続されている。図1(B)は,ユビキチンとタンパク質Xとが物理的に接近し,タンパク質Xがユビキチン修飾化される様子を示す概念図である。図1(C)は,タンパク質Xがポリユビキチン修飾化され続けポリユビキチンタグが形成される様子を示す概念図である。図1(D)は,ポリユビキチン化されたタンパク質Xが分解されることを示す概念図である。図1(E)は,タンパク質Xが分解され,タンパク質Aとタンパク質Xとの複合体の機能が消滅したことを示す概念図である。なお,図1(E)では,タンパク質Xが分解されたことを示すために,タンパク質Xが点線で表されている。
図1に示されるように,本発明の“タンパク質の機能を解析する方法”は,以下の通りである。標的タンパク質(タンパク質A)とユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質(RFD)とを融合させた複合タンパク質(A−RFD)を形成する(図1(A))。そして,前記タンパク質A−RFDの標的タンパク質(タンパク質A)と,ユビキチン修飾化により分解するタンパク質Xとを相互作用させ,複合体(タンパク質A−X複合体)を形成する(図1(B))。するとRFDと相互作用したユビキチン結合酵素(E2)に連結されたユビキチン(図1(C))が,タンパク質Xに転移し,タンパク質Xがユビキチン修飾化されることにより分解される(図1(D))。このようにすれば,タンパク質X,又はタンパク質Xとタンパク質Aとの複合体タンパク質の機能を解析できる。また,それらの機能を破壊した生物を作出できる。以下では,本明細書において用いられる用語などについて説明する。なお,本明細書では,ポリペプチドも含めて“タンパク質”と表現する。
(1.1. タンパク質X)
“ユビキチン修飾化されることにより分解されるタンパク質” (以下,「タンパク質X」ともいう)は,ユビキチン修飾化されることにより分解されるものである。またタンパク質Xは,後述のタンパク質Aと相互作用することにより複合体を形成し,その結果,タンパク質X,又はタンパク質Aとタンパク質Xとの複合体タンパク質が機能を発揮するものであれば,特に限定されない。そして,好ましくは,タンパク質Xは,本発明によってその機能が解明され,またその機能を抑制(破壊)される。
なお,タンパク質Xが“ユビキチン修飾化”されるとは,タンパク質Xのリシン残基のε(イプシロン)-アミノ基がユビキチンのC末端グリシンのカルボキシル基と縮合してイソペプチド結合を形成し,さらにユビキチン自身のリシン残基のε-アミノ基が他のユビキチンのC末端グリシンのカルボキシル基と縮合反応を繰り返し,ポリユビキチンタグ(又はユビキチンタグ)を形成することを意味する。その結果,本発明では,タンパク質Xが分解され,その機能が破壊される。そのようなポリユビキチンタグの形成(ユビキチン修飾化)は,ユビキチンがチオエステル化したユビキチン結合酵素と,タンパク質Xが物理的に接近することにより引き起こされる。一般的に,“ユビキチン修飾化”とは,ユビキチンによるタンパク質の翻訳後の修飾反応を意味し,ユビキチンのカルボキシル基とタンパク質のリシン残基のε-アミノ基が結合する反応である。タンパク質に結合した第一のユビキチンのアミノ酸残基のうち,リシンのε-アミノ基に第二のユビキチンが結合し,この反応が繰り返されてタンパク質の特定のリシン残基に多数のユビキチン分子が結合する(ポリユビキチン化)。そして,このポリユビキチン化されたタンパク質は26Sプロテアソーム等のタンパク質分解酵素により分解されることとなる。
タンパク質Xとして,具体的には,配列番号6に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(SLR1),配列番号8に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(CaM1),配列番号9に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(CaM3),配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(Gβ),及びこれらのこれらのアミノ酸配列から1〜数個(2,3,4,5個)のアミノ酸が置換・欠損・付加又は挿入したタンパク質があげられる。
(1.2. タンパク質A)
標的タンパク質(以下,「タンパク質A」ともいう)は,ユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質(RFD)と,リンカーなどにより連結されうるタンパク質である。タンパク質Aは,RFDと融合タンパク質を形成した状態で,生体内においてタンパク質Xと複合体を形成する。タンパク質Aとタンパク質Xとは,複合体タンパク質(タンパク質A−X複合体)を形成することにより,その機能が発現するものであってもよい。
具体的なタンパク質Aとして配列番号5(NCBI accession (アクセッション) No.BAC81428)に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(GID2),配列番号5に記載されるアミノ酸配列の117-211番目をドメインタンパク質,配列番号7(NCBI accession No.BAD00043)に記載されるアミノ酸を有するタンパク質(MAPKP),配列番号7に記載されるアミノ酸配列の362-467番目のアミノ酸を有するドメインタンパク質,配列番号10(NCBI accession No. BAA07405)に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(Gγ),配列番号12(NCBI accession No. AAL62810)に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(CIGR2),及びこれらから1個〜数個(2,3,4,5個)のアミノ酸が置換・欠失・付加又は挿入したタンパク質があげられる。
上記のタンパク質Aが,上記のタンパク質Xとの複合体を形成することについては, “Gomi et al., (2004) Plant J. 37, 626-34.”; “Yamakawa et al., (2004) J Biol Chem. 279, 928-36.”;及び“kato et al., (2004) Plant J. 2004 Apr;38(2):320-31.”に記載されている。
(1.3. RFD)
“ユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質”(本明細書において,その代表例であるリングフィンガードメインにちなんで「RFD」ともいう)は,ユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質であり,しかもタンパク質Aと融合タンパク質(タンパク質A−RFD)を形成しうるものであれば,特に限定されない。
具体的なRFDとして,配列番号1(NCBI accessionNo.BAD16550(EL5))に記載されるアミノ酸配列の134-181番目のアミノ酸配列からなるタンパク質(Takai et al., (2002) Plant J. 30(4), 447-55.),配列番号2(NCBI accession No. NP 201297(CIP8))の257-297番目のアミノ酸配列からなるタンパク質(Hardtke et al., (2002) Plant J. 30(4),385-94.),配列番号3(NCBI accession No. NP 974506(Rma1))の48-101番目のアミノ酸配列からなるタンパク質(Matsuda et al., (2001) J. Cell Sci. 114, 1949-1957.),配列番号4(NCBI accession No. NP AAL26903(Hrd1))の272-343番目のアミノ酸配列からなるタンパク質(Marjolein et al., (2004) J. Biol. Chem. 279 3525-3534.),及びこれらのアミノ酸配列から1個〜数個(2,3,4,又は5個)のアミノ酸が置換・欠失・付加又は挿入したタンパク質があげられる。
導入するタンパク質A-RFD融合タンパク質の遺伝子は、宿主に応じて選択することが望ましい。たとえば植物にはRFD領域が配列番号1(NCBI accession No.BAD16550(EL5))に記載されるアミノ酸配列の134-181番目のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子,配列番号2(NCBI accession No. NP 201297(CIP8))の257-297番目のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子,配列番号3(NCBI accession No. NP 974506(Rma1))の48-101番目のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子が好ましい。一方、動物(ヒト又は非ヒト動物)には配列番号4(NCBI accession No. NP AAL26903(Hrd1))の272-343番目のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子が好ましい。
(1.4. E2)
ユビキチン結合酵素(以下,「E2」ともいう)は,ユビキチンを他のタンパク質に転移しうる酵素であれば,特に限定されない。しかし、導入するRFDに相互作用するE2には特異性がある。例えば、上記した配列番号1又は配列番号1に記載されるアミノ酸配列の134-181番目のアミノ酸配列からなるRFDに対応したE2として,OsUbc5b, Ubc4,及び UbcH5があげられる(Takai et al. (2002) Plant J. 30(4) 1-10.).上記した配列番号2又は配列番号2の257-297番目のアミノ酸配列からなるRFDに対応したE2として,UbcH5aがあげられる(Matsuda et al., (2001)J. Cell Sci. 114(10) 1949-1957.)。また,上記した配列番号3又は配列番号3の48-101番目のアミノ酸配列からなるRFDに対応したE2として,AtUBC7があげられる(Hardtke et al., (2002) Plant J.30 (4) 385-94.)。上記した配列番号4又は配列番号4の272-343番目のアミノ酸配列からなるRFDに対応したE2として,Ubc4p, UbcH5b 及びUbc7があげられる(Kikkert et al., (2004) 279 3525-3534.)。ただし、E2の選択性は種を超えて保存されている。
なお,“ユビキチン結合酵素(「E2」)が,RFDと相互作用する”とは,主にこれらが結合することを意味するが,疎水的相互作用,電気的相互作用,又は水素結合などにより結合状態が形成されることを含むものとする。
(1.5. Ub)
ユビキチン(以下,「Ub」ともいう)は,76個のアミノ酸からなるタンパク質である。ユビキチンは,真核生物に普遍的に存在する。ユビキチン(GenBank M26880)は,C末のグリシン残基により,E1(ユビキチン活性化酵素)のシステイン残基と結合した後,E1からE2(ユビキチン結合酵素)に転移される。そして,E3(ユビキチンリガーゼ)によって認識されるタンパク質のリジン側鎖のε(イプシロン)-アミノ基にイソペプチド結合する。タンパク質のリシン残基に結合したユビキチンの48番目のリシン残基にユビキチンのC末端がイソペプチド結合を繰り返す。これにより,ポリユビキチン鎖が形成される。ユビキチンシステムにより付加されたポリユビキチン鎖が26Sプロテアソームの調節サブユニットによる認識シグナルとして機能し,ユビキチン化されたタンパク質はプロテアソームにより分解される。ユビキチンは,タンパク質分解の目印として機能する他,遺伝子発現の調節,ストレス応答,リボソーム生合成,DNA修復,細胞周期制御など,種々の生体応答に関与することが知られている。
(1.6. タンパク質Aとタンパク質Xとの複合体)
“タンパク質Aとタンパク質Xとの複合体”は,タンパク質Xとタンパク質Aとを含む複合体タンパク質である。
(1.7. 融合タンパク質)
“融合タンパク質”は,タンパク質A及びRFDが連結したタンパク質である。融合タンパク質は,これらのタンパク質が,この順に連結されていてもよい。また,タンパク質A及びRFDの順は反転しても良い。また,それぞれの間にいくつかのアミノ酸残基(リンカー)が挿入されていてもよい。特に,タンパク質Aと,RFDとの間には,所定のアミノ酸残基からなるリンカー部が設けられていることが好ましい。このようなリンカー部を有するので,タンパク質Xと,ユビキチンとが生体内で相互作用しやすくなる。よって,このような観点からタンパク質Aと,RFDとの間のリンカー部のアミノ酸残基の数として,1〜100,5〜40,及び5〜20があげられ,好ましくは,30〜60であり,より好ましくは,40〜50である。例えば,タンパク質Aが,S−tagの系では,好ましくは,このリンカー部のアミノ酸残基の数を30〜40となるように設計する。リンカーに用いるアミノ酸シーケンスは、特定の二次構造を形成せず、ランダムコイルを形成するものが望ましい。このようなリンカーとして,配列番号13及び配列番号14に記載されるアミノ酸配列からなるリンカーや,これらの部分配列からなるリンカー,及び配列番号13及び配列番号14に記載されるアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるリンカーなどがあげられる。
(2.作用)
タンパク質Xは,RFDと結合したユビキチン化されたE2からユビキチンの転移反応によりユビキチン化され,プロテアソームにより分解される。タンパク質Xが分解されると,複合体タンパク質A−Xの機能又はタンパク質Xの機能が破壊される。この作用を利用すれば,目的とするタンパク質である複合タンパク質A−Xの機能又はタンパク質Xの機能を解析及び抑制できる。なお,タンパク質Xは,1種類であるとは限らず,複数種類(X1, X2,・・・)が存在する場合もある。また,タンパク質Xは複数のドメインを構成するものも含まれる。そこで,以下では,タンパク質Xを場合分けして,本発明のタンパク質の機能を解析する方法をより具体的に説明する。
(2.1) タンパク質Xが1種類の系
以下では,タンパク質Aと相互作用するタンパク質Xが1種類の系について説明する。この系では,まずRFDにタンパク質Aを連結し,RFDとタンパク質Aとの融合体タンパク質(タンパク質A−RFD)を作製する。その後,タンパク質Aとタンパク質Xとを相互作用させ,またE2を介して,タンパク質Xを,ユビキチン修飾化することにより,タンパク質Xを分解する。
図2は,本発明の“タンパク質の機能を解析する方法”を用いて,イネのタンパク質が分解される例を示す概念図である。図2(A)は,タンパク質分解システムの概略を示す概念図である。図2(B)はイネが徒長する様子を示す図である。図2に示すように,イネにおけるジベレリンシグナルの負の調節因子である配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるSLR1(タンパク質Xに相当)は,配列番号5に記載されるアミノ酸配列からなるGID2(タンパク質Aに相当)と相互作用する(文献Gomi et al., (2004) Plant J. 37, 626-34.)。そこで,GID2(又は配列番号5に記載されるアミノ酸配列のうち117番目〜211番目のアミノ酸配列からなるドメインタンパク質)とRFDとの融合タンパク質を作製し,RFDに結合したE2の作用によりユビキチンをSLR1に転移する。SLR1は,このユビキチンタグによりプロテアソームに認識され,分解される。SLR1は,イネの草丈を抑制する機能を有するため,プロテアソームによりSLR1が分解された後のイネは,徒長する。
以下,タンパク質Xが1種類の別の系の例を説明する。シグナル伝達に関与する植物3量体型Gタンパク質は植物の形態形成に重要な役割を持つことが知られている。特にこの中でものサブユニットGβ(配列番号11)とGγの相互作用が強いことが知られている(文献 kato et al., (2004) Plant J. 2004 Apr;38(2):320-31.)。この機能に着目し,そのGタンパク質の機能を破壊したイネを作出する。すなわち,イネの3量体型Gタンパク質Gβサブユニットの分解を目的としてGγ−RFDを導入したイネを作出する。まず,配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるGタンパク質GγとRFDとの融合タンパク質を公知の方法により作製する。すると,RFDに結合したE2の作用によりユビキチンをGタンパク質Gβに転移する。Gタンパク質Gβは,このユビキチンタグによりプロテアソームに認識され,分解される。Gβサブユニットが分解されることによってイネがわい化し,開茎型になる。このようにすれば,所定のタンパク質の機能をノックアウトした生物を作出できる。
(2.2) タンパク質Xが複数種類の系
以下では,タンパク質Xが複数種類の系について説明する。タンパク質の中には,類似した機能を有し,ファミリーを形成するタンパク質が存在する。例えば,カルモジュリン(CaM)は,細胞内のシグナル伝達にかかわる極めて重要なカルシウム結合タンパク質である。動物細胞では,一種類の生物には一または二種類のCaMしか存在しないことが報告されているが,植物では,同じ植物から複数のCaM分子種が存在することが報告されている(文献名:Ishida et al., (2001) J. Biol. Chem. 129, 745-753.)。これらのCaM分子種は,植物間で良く保存されていることから,各分子種ごとに機能分担がされており,進化的に保存されていると考えられる。CaM分子種の中でもCaM1及びCaM3は,MAPキナーゼフォスファターゼ(MAPKP:配列番号7),又はMAPKPのドメインタンパク質(配列番号7に記載されるアミノ酸配列の362〜467番目のアミノ酸配列からなるドメインタンパク質)に結合し耐病性に関与するなど,タンパク質機能が類似していることが知られている。このような場合,RNAiなどの手法を用いてCaM1(配列番号8)又はCaM3(配列番号9)のいずれかをノックアウトしてもその機能は互いに補うことから,機能及び表現型を確認することは困難である。
このような系であっても,本発明の“非ヒトノックアウト動物又はノックアウト植物の製造方法”を用いれば,CaM1及びCaM3を同時に分解できるので,CaM1及びCaM3の機能を完全に抑制できる。図3は,本発明の方法を用いたCaM1,CaM3の機能解明・抑制方法を説明する図である。すなわち,CaM1,及びCaM3に結合するMAPKPの一部領域(たとえば,配列番号7に記載されるアミノ酸配列の362〜467番目のアミノ酸配列からなるドメイン)とRFD融合タンパク質をデザインし,CaM1及びCaM3を同時にユビキチン修飾化して分解すればよい。すなわち,本発明は,タンパク質Xが複数種類の系について特に有効に用いることができる。
また,MAPKP(配列番号7)及びMAPKPのドメインタンパク質(配列番号7に記載されるアミノ酸配列の362-467番目のアミノ酸を有するドメインタンパク質)と,CaM1(配列番号8)及びCaM3(配列番号9)が相互作用することは,“Yamakawa et al., (2004) J Biol Chem. 279, 928-36.”に記載されている。
なお,特に詳細に記載しないが,タンパク質Xが複数種類の系においても,タンパク質Xが一種類の系と同様にして所定のタンパク質の機能をノックアウトした生物を作出できる。
(2.3) タンパク質Xが未知の系
環境刺激によって発現が変化する遺伝子は多数知られている。しかし,それらの機能はほとんど解明されていない。また,他のタンパク質とどのように相互作用し,どのような機能を発現するのか不明なタンパク質も多い。本発明の方法を用いれば,あるタンパク質と相互作用することによって機能を発現するタンパク質を同定できる。すなわち,あるタンパク質と,ユビキチン結合酵素と相互作用することができるタンパク質との融合タンパク質をコードする遺伝子を構築する。この構築された遺伝子を植物体等の宿主に導入する。得られた宿主からタンパク質を抽出し,プロテオーム解析を行う。例えば,植物体から抽出したタンパク質を二次元電気泳動解析及び質量分析にかけ,ユビキチン分解により量が減少しているタンパク質の同定を行う。
本発明においては,キチンオリゴ糖エリシター及びジベレリンで早期に発現が誘導される核タンパク質を解析の対象とすることができる。核タンパク質として,例えば配列番号12に記載されるアミノ酸配列からなるCIGR2(NCBI accession No. AAL62810)があげられる。CIGR2は,PRタンパク質遺伝子発現の誘導及びジベレリン抑制タンパク質発現の抑制に関与していると考えられ,また,CIGR2は直接DNAに結合するモチーフを持たないことから,他のタンパク質と相互作用することによって機能を発現すると考えられる。そこで,CIGR2と相互作用するタンパク質の同定を行うことができる。
(2.4.タンパク質の組み合わせ例)
上記したタンパク質X,タンパク質A及びRFDの好ましい組合せとして,以下ものがあげられる。
(1)タンパク質X:配列番号6に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(SLR1),
タンパク質A: 配列番号5に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(GID2),及び/又は配列番号5に記載されるアミノ酸配列の117-211番目のアミノ酸配列からなるタンパク質,
RFD:配列番号1(EL5)に記載されるアミノ酸配列の134-181番目のアミノ酸配列からなるタンパク質(Gomi et al., (2004) Plant J. 37, 626-34.);
(2)タンパク質X:配列番号8に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(CaM1)及び配列番号9に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(CaM3),
タンパク質A:配列番号7に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(MAPKP),及び/又は配列番号7に記載されるアミノ酸配列の362−467番目のアミノ酸を有するドメインタンパク質,
RFD:配列番号1(EL5)に記載されるアミノ酸配列の134-181番目のアミノ酸配列からなるタンパク質 (Yamakawa et al., (2004) J Biol Chem. 279, 928-36.) ;及び
(3)タンパク質X: 配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(Gβ),
タンパク質A: 配列番号10に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(Gγ),
RFD:配列番号1(EL5)に記載されるアミノ酸配列の134-181番目のアミノ酸配列からなるタンパク質(kato et al., (2004) Plant J. 2004 Apr;38(2):320-31.)である。
なお,特に詳細に記載しないが,タンパク質Xが未知の系においても,タンパク質Xが一種類の系と同様にして所定のタンパク質の機能をノックアウトした生物を作出できる。
(3.機能解析・抑制方法)
以下では,本発明に係る“タンパク質の機能を解析・抑制する方法”の例を説明する。本発明の方法は,基本的には特に説明するまでもなく,バイオテクノロジーの分野における公知の手法を用いることにより達成できる。
(3.1. 融合タンパク質生成工程)
融合タンパク質(タンパク質A−RFD)を生成するためには,バイオテクノロジーの分野で行われている常法に従って,タンパク質A及びRFDを含む融合タンパク質をコードする遺伝子(以下,これらを「融合遺伝子(A−RFD)」ともいう。)を設計し,タンパク質を生成すればよい。なお,遺伝子を設計する際に,好ましくは,先に説明したとおり,ユビキチンがタンパク質Xと相互作用しやすくなるようにリンカー部分となる遺伝子を設計する。
タンパク質A及びRFDを含む融合タンパク質をコードする遺伝子は,当業者が通常行うクローニング手法により得ることができる。具体的には,mRNAからcDNAライブラリーを作製し,スクリーニングする方法があげられる。mRNAの調製,RT-PCR法などは,市販のキットを用いることにより容易に実施することが可能である。例えば,mRNAの調製にはISOGEN(日本ジーン社製),Oligotexシリーズキット(タカラバイオ社)を使用することができ,RT-PCRには“SuperScriptTM One-StepTMRT-PCR System”などを使用することができる。また,各遺伝子の塩基配列は,市販のライブラリーから入手し,化学的に合成してもよい。
このようにして得られたDNAをプラスミド等の適当なクローニングベクターに組み込んで組換えベクターを作製する。また,プラスミド以外のクローニングベクター,例えばλファージ等を用いることもできる。
cDNAの塩基配列が部分的に判明しているときは,いわゆるRACE(Rapid Amplification cDNA ends)法を採用してもよい。RACE法も当分野において周知であり,市販のキット,例えばGENE RACER(インビトロジェン社製),“SMART RACE cDNA Amplification kit” (クロンテック社製)などを使用して行うことができる。
融合遺伝子(A−RFD)は,ベクター内の所定の制限酵素部位において,一方のDNAを適当な制限酵素で切断し,これに,同じ制限酵素で切断しておいた他方のDNAを,該DNAによりコードされるタンパク質のアミノ酸配列の読み枠がずれないように連結し増幅すればよい。この際,遺伝子の向きは任意であり,同じ方向であっても,互いに向き合う方向でもよい。
先に説明したとおり,本発明においては,遺伝子を融合するために用いる複数の遺伝子結合領域に,それぞれの遺伝子翻訳産物が適切に機能するコンフォメーションがとれるように人工的なヌクレオチド配列(リンカー)を挿入することもが好ましい。例えば図1において,タンパク質A遺伝子とRFD遺伝子との間にリンカーとなる配列を挿入する。リンカーの長さは,タンパク質Aの立体構造,実験結果等を考慮して適宜設定することができ,例えばリンカーが短い場合(0〜20塩基)はユビキチン化が阻害または低下する。好ましくは30〜50塩基である。リンカーは,通常の化学合成により得ることができる。
融合遺伝子が目的のものであるかを確認するため,得られたクローン又はDNA断片について塩基配列を決定してもよい。塩基配列は公知の方法により決定すればよく,例えば,自動塩基配列決定機を用いて塩基配列を決定してもよい。
タンパク質A及びRFDを含む融合タンパク質をコードする遺伝子は,機能解析の目的に応じて,当分野において周知の部位特異的突然変異誘発法によって,変異体を作製して用いることもできる。変異誘発法は,市販の部位特異的突然変異誘発用キットを用いて行うことができる(例えば“TaKaRa Site-Directed Mutagenesis System(Mutan-K,Mutan-Super Express Km”(タカラバイオ)等)。
上記融合遺伝子は,目的となる遺伝子が発現し得るように宿主中に導入することで,形質転換体を得ることができる。形質転換は,宿主などに応じて適宜選択することができ,例えばカルシウムイオンを用いる方法,エレクトロポレーション法,スフェロプラスト法,酢酸リチウム法等,リン酸カルシウム法,リポフェクション法,アグロバクテリウム法など公知の方法を採用でき,具体的には,“Sambrook J and Russel D. Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3rd edition, CSHL Press, 2001”に記載の方法を採用すればよい。
上記形質転換における宿主は,特に限定されない。宿主として,例えば,エッシェリヒア属,バチルス属等の細菌,サッカロミセス,シゾサッカロミセス等の酵母,植物体(カルス,植物培養細胞,植物生体を含む),動物細胞,昆虫細胞等があげられる。
(3.2. タンパク質分解工程)
本発明では,タンパク質Xが,RFDと相互作用したユビキチン結合酵素からユビキチンの転移を受け,タンパク質Xがユビキチン修飾化されることによりユビキチン化され,その結果タンパク質Xが分解される。これにより,目的とするタンパク質の機能がどのように変化するのかを解析できる。また,同様にして,目的とするタンパク質の機能を抑制できる。目的とするタンパク質の機能を抑制した生物を作出することで,所定のタンパク質の機能をノックアウトした生物を作出できる。
(4.機能の確認)
タンパク質の機能は,公知の方法によって確認できる。以下では,機能が抑制されたことを確認する具体例と,その評価方法について説明する。
機能を確認するアッセイとして,植物体などの生体内で前記融合遺伝子を発現させ,得られる反応産物を抽出して解析する方法があげられる。解析法は,二次元電気泳動,ウエスタン解析など公知の方法を採用できる。
ユビキチン化には,ユビキチンと上記融合遺伝子のほか,ユビキチン活性化酵素,ユビキチン結合酵素,ユビキチン化に必要な低分子の存在が考えられるため,補助的にこれらの物質の量を測定してもよい。
具体的には,ユビキチン化アッセイは基本的にマツダら(Matsuda te al., (2001) J. Cell.Sci., 114, 1949-1957.)の方法に従って行えばよい。以下では,その具体的な方法の例を説明する。全量75μlの反応液(40 mM Tris-HCl, pH7.5, 5 mM MgCl2, 2 mM ATP, 2 mM DTT, 300 ng/μl ウシ由来ユビキチン(Sigma), 50 ng マウスE1, 100 ng OsUBC5b:E2)に, 300 ngのA-RFD融合タンパク質を加え,30℃2時間で反応させる。反応終了後,等量のSDS-PAGEサンプルバッファーを加え,100 ℃で5分間加熱し,7.5%ポリアクリルアミドゲルでSDS-PAGEを行う。泳動後,ゲルをPVDFメンブレン(Immobilon-P ; Millipore)に転写し,5% (w/v)スキムミルクを含むPBS-Tween20 (8.1 mM Na2HPO4, 1.47 mM KH2PO4, 137 mM NaCl, 2.68 mM KCl, 0.1% Tween20, pH7.4)中で室温30分間振盪することによりブロッキングする。このメンブレンを5000分の1容量の抗MBP抗体(New England Biolabs, Beverly, MA)を含むPBS-Tween20中で4℃一晩反応させる。PBS-Tween20で5分間×3回洗浄した後,4000分の1容量のペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(Jacskon Immuno Research)を含むPBS-Tween20で室温1時間反応させる。PBS-Tween20で5分間×3回およびPBSで5分間洗浄後,DABを用いて発色する。
(5.タンパク質Xの同定)
上記の方法を用いれば,タンパク質Aと複合体を形成するタンパク質Xを同定することができる。
すなわち,タンパク質Xは,標的タンパク質(タンパク質A)とユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質(RFD)とを連結したタンパク質(タンパク質A−RFD)を用い,前記標的タンパク質と複合体を形成しユビキチンと相互作用することにより分解されるタンパク質(タンパク質X)を同定する方法であって,先に説明した手法に従って,複合体タンパク質A−RFDを生体内で発現させ,前記タンパク質Aと前記タンパク質Xとの複合体を形成させ,前記RFDと相互作用したユビキチン結合酵素に結合したユビキチンを前記タンパク質Xに転移し,前記タンパク質Xを破壊し,前記タンパク質Xが破壊された生体からタンパク質を抽出し,減少しているタンパク質を解析することでタンパク質Xを同定することにより標的タンパク質と結合するタンパク質であるタンパク質Xを同定できる。
(6. タンパク質Xの分解速度の制御)
タンパク質Xの分解速度は,以下のようにして制御できる。ユビキチン化の効率はRFDと相互作用するユビキチン結合酵素との結合の強度に依存する。RFDとユビキチン結合酵素の相互作用は主に疎水的相互作用と一部静電的相互作用により制御されており、その相互作用に直接関与しているアミノ酸残基を置換することによりRFDとユビキチン結合酵素との結合の強度を制御できる。たとえば,配列番号1に記載されるアミノ酸配列のロイシン138をアラニンに置換したRFD変異体(又はそのような変異体の134〜181番目のアミノ酸配列からなるタンパク質)を用いると,ユビキチン化の効率が減少する。また,配列番号1に記載されるアミノ酸配列のロイシン174をアラニンに置換した変異体(又はそのような変異体の134〜181番目のアミノ酸配列からなるタンパク質)でもユビキチン化の効率が減少する。つまりこれらの変異体は,ユビキチン化の効率を制御できることを示しており、ユビキチン化の効率が減少すれば、プロテアソーム系に認識される効率も減少することとなり、分解が抑制される。すなわち,RFDのアミノ酸配列をわずかに変化させるとユビキチン化の効率が,変化するので,所望の分解速度に応じたRFDを設計することによりタンパク質Xの分解速度を制御できる。このような具体例は,上記に説明したとおり,RFDとして配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(又はそのような変異体の134〜181番目のアミノ酸配列からなるタンパク質)を用いるものと,配列番号1に記載されるアミノ酸配列のうち138番目をアラニンに置換したタンパク質(又はそのような変異体の134〜181番目のアミノ酸配列からなるタンパク質)を用いるものと,配列番号1に記載されるアミノ酸配列のうち174番目をアラニンに置換したタンパク質(又はそのような変異体の134〜181番目のアミノ酸配列からなるタンパク質)を用いるものとを使い分けることによりタンパク質Xの分解速度を制御するものである。
(7.配列番号の説明)
以下では,本明細書に用いる配列番号で示されるタンパク質又は核酸について説明する。
〔1〕配列番号1は,NCBI accession No.BAD16550(EL5)のアミノ酸配列に関する。本明細書では,配列番号1に記載されるアミノ酸配列の134-181番目のアミノ酸配列からなるタンパク質をRFDとして用いた。
〔2〕配列番号2は,NCBI accession No. NP 201297(CIP8)のアミノ酸配列に関する。本明細書では,配列番号2に記載されるアミノ酸配列の257-297番目のアミノ酸配列からなるタンパク質をRFDとして用いた。
〔3〕配列番号3は,NCBI accession No. NP 974506(Rma1)のアミノ酸配列に関する。本明細書では,配列番号3に記載されるアミノ酸配列の48-101番目のアミノ酸配列からなるタンパク質をRFDとして用いた。
〔4〕配列番号4は,NCBI accession No. AAL26903(Hrd1)のアミノ酸配列に関する。本明細書では,配列番号4に記載されるアミノ酸配列の272-343番目のアミノ酸配列からなるタンパク質をRFDとして用いた。
〔5〕配列番号5は, NCBI accession No.BAC81428(GID2)に記載されるアミノ酸配列に関する。本明細書では,配列番号5に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(GID2),及び配列番号5に記載されるアミノ酸配列の117-211番目のアミノ酸配列からなるドメインタンパク質をタンパク質Aとして用いた。
〔6〕配列番号6は,NCBI accession No.BAB97367(SLR1)のアミノ酸配列に関する。本明細書では,配列番号6に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をタンパク質Xとして用いた。
〔7〕配列番号7は,NCBI accession No.BAD00043(MAPKP)のアミノ酸配列に関する。本明細書では,配列番号7に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(MAPKP),及び配列番号7に記載されるアミノ酸配列の362-467番目のアミノ酸を有するドメインタンパク質をタンパク質Aとして用いた。
〔8〕配列番号8は,NCBI accession No.BAB61907(CaM1)のアミノ酸配列に関する。本明細書では,配列番号8に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をタンパク質Xとして用いた。
〔9〕配列番号9は,NCBI accession No. BAB61908(CaM3)のアミノ酸配列に関する。本明細書では,配列番号9に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をタンパク質Xとして用いた。
〔10〕配列番号10は,NCBI accession No. BAA07405(Gγ)のアミノ酸配列に関する。本明細書では,配列番号10に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(Gγ)をタンパク質Aとして用いた。
〔11〕配列番号11は,NCBI accession No. BAD15277(Gβ)のアミノ酸配列に関する。本明細書では,配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質(Gβ)をタンパク質Xとして用いた。
〔12〕配列番号12は,NCBI accession No. AAL62810(CIGR2)のアミノ酸配列に関する。本明細書では,配列番号12に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をタンパク質Aとして用いた。
〔13〕配列番号13は,リンカー(linker)1のアミノ酸配列に関する。
〔14〕配列番号14は,linker2のアミノ酸配列に関する。
〔15〕配列番号15は,S-tag-RFD融合タンパク質のアミノ酸配列に関する。
〔16〕配列番号16は,MBP-(13)-RFDのアミノ酸配列に関する。
〔17〕配列番号17は,MBP-(46)-RFDのアミノ酸配列に関する。
〔18〕配列番号18は,MBP-(82)-RFDのアミノ酸配列に関する。
〔19〕配列番号19は,MBP-RFD(L174A)のアミノ酸配列に関する。
〔20〕配列番号20は,MBP-RFD(L138A)のアミノ酸配列に関する。
〔21〕配列番号21は,RFD-GID2のアミノ酸配列に関する。
〔22〕配列番号22は,NCBI accession No.AB045120(EL5)の遺伝子配列に関する。
〔23〕配列番号23は,S-tag-RFDの遺伝子を増幅する際の5'末側のプライマー配列に関する。
〔24〕配列番号24は,S-tag-RFDの遺伝子を増幅する際の3'末側のプライマー配列に関する。
〔25〕配列番号25は,MBP-(13)-RFDを作成する際に、遺伝子を増幅する際の5'末側のプライマー配列に関する。
〔26〕配列番号26は,MBP-(13)-RFDを作成する際に用いる、遺伝子を増幅する際の3'末側のプライマー配列に関する。
〔27〕配列番号27は,MBP-(46)-RFDを作成する際に用いる、遺伝子を増幅する際の5'末側のプライマー配列に関する。
〔28〕配列番号28は,MBP-(46)-RFDを作成する際に用いる、遺伝子を増幅する際の3'末側のプライマー。配列に関する。
〔29〕配列番号29は,MBP-(82)-RFDを作成する際に用いる、遺伝子を増幅する際の5'末側のプライマー配列に関する。
〔30〕配列番号30は,MBP-(82)-RFDを作成する際に用いる、遺伝子を増幅する際の3'末側のプライマー配列に関する。
〔31〕配列番号31は,配列番号17の遺伝子配列に関する。
〔32〕配列番号32は,配列番号19のL138A変異体を作成する際に用いた5'末側のプライマー配列に関する。
〔33〕配列番号33は,配列番号19のL138A変異体を作成する際に用いた3'末側のプライマー配列に関する。
〔34〕配列番号34は,配列番号20のL174A変異体を作成する際に用いた5'末側のプライマー配列に関する。
〔35〕配列番号35は,配列番号20のL174A変異体を作成する際に用いた3'末側のプライマー配列に関する。
〔36〕配列番号36は,GID2-RFDを作成する際に用いるRFD遺伝子断片を作成する際に用いた5'末側のプライマー配列に関する。
〔37〕配列番号37は,GID2-RFDを作成する際に用いるRFD遺伝子断片を作成する際に用いた3'末側のプライマー配列に関する。
〔38〕配列番号38は,NCBI accession No.AB100246(GID2)に記載される遺伝子配列に関する。
〔39〕配列番号39は,GID2-RFDを作成する際に用いるGID2遺伝子断片を作成する際に用いた5'末側のプライマー配列に関する。
〔40〕配列番号40は,GID2-RFDを作成する際に用いるGID2遺伝子断片を作成する際に用いた3'末側のプライマー配列に関する。
〔41〕配列番号41は,GID2-RFD遺伝子配列のアミノ酸配列に関する。
−Sタンパク質によるモデル実験−S-tag-RFD融合タンパク質(配列番号15)の作成方法
図4は,実施例1を説明するための概念図である。図4(A)は,実施例1における実験系の概念図である。図4(B)は,所定のタンパク質がユビキチン化されたことを示す図面に代わるゲル電気泳動図である。配列番号1に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子(cDNA配列番号22)を鋳型とし,5末にNcoI サイトを付加したプライマー5'-CATGC CATG GGGGT CGACC CGGAG GTG-3'(配列番号23)および3末にBamHI サイトを付加したプライマー5'-CGGGA TCCTT ACACG ACGAC GGTGA GGC-3'(配列番号24)を用い,公知の手法に従ってPCRを行った。 すなわち,98℃で2分後,98℃で30秒,60℃で30秒,72℃で1分を1サイクルとし,このサイクルを25回繰り返すことにより核酸を増幅した。
増幅したPCR産物は電気泳動を行いアガロースゲルより抽出した。挿入するpUC19 ベクター(TAKARA)についてはHincII処理を行い、Ligaton high(TOYOBO)を用いて目的断片をライゲーションした後、大腸菌へ形質転換し,クローンを作製した。
次にこのクローンを培養した後、大腸菌からプラスミド抽出を行った。得られたプラスミドはプライマーデザイン時に挿入した配列であるNcoIおよびBamHIにより酵素処理した後、電気泳動を行いアガロースゲルから目的断片を抽出した。さらにS-Tagを含むpET32 ベクター(NOVAGEN) についても同様にNcoIおよびBamHIで酵素処理をしLigaton high(TOYOBO)を用いて目的断片をライゲーションした後、大腸菌へ形質転換し目的クローンを作製した。得られたプラスミドの塩基配列に関してはシーケンサーを用いてシーケンスを読み取ることにより目的の塩基配列が存在することを確認した。得られたプラスミドを用いて大腸菌BL21 (DE3)を形質転換した。このようにして、得られた形質転換体(菌体)を用いてタンパク質の大量発現を行った。アンピシリンを含む2×YT培地で37℃4時間前培養し、5分間10,000×gで遠心後、回収した菌体を再び培地に移し、さらに37℃で,3時間,培養を行った。その後、最終濃度1 mMのIPTGを加え,組換えタンパク質の発現を誘導し、さらに37℃で3時間培養した。
その後、菌体を15分間5,000×gで遠心し,回収し-80℃で保存した。凍結させた菌体を解凍後50 mM Tris-HCl, 500 mM NaCl, 50 μM ZnSO4, 2.5 mMβ-ME, pH 7.4で懸濁し、超音波処理により細胞を破砕した。懸濁液を4℃で30分間27,000×gで遠心し、上清を回収した。得られた上清をNi アフィニティークロマトグラフィーに供した。 50 mM Tris-HCl, 500 mM NaCl, 50 μM ZnSO4, 2.5 mM b-ME, pH 7.4から50 mM Tris-HCl,500 mM NaCl, 50 μM ZnSO4, 500 mM イミダゾール(imidazole), 2.5 mMβ-ME, pH 7.4への直線濃度勾配によって溶出した。溶出画分をGel濾過クロマトグラフィーに供した。溶出は50mM Tris-HCl, 100mM NaCl, 20 mM ZnSO4, 2.5 mMβ-ME, pH 7.4で行った。この溶出画分にトロンビン(Thrombin)を添加し25℃で3時間放置しQカラムクロマトグラフィーに供した。50 mM Tris-HCl, 20 μM ZnSO4, 2.5mMβ-ME, pH 7.4から50 mM Tris-HCl, 600 mM NaCl, 20 mM ZnSO4, 2.5 mM b-ME, pH 7.4への直線濃度勾配によって溶出した。得られた溶出画分をNi アフィニティークロマトグラフィーに供した。素通り画分をGel濾過クロマトグラフィーに供した。溶出は50 mM Tris-HCl, 100 mM NaCl, 20 mM ZnSO4, 2.5 mMβ-ME, pH 7.4で行った。このようにして,S-tag-RFD融合タンパク質(配列番号15)を得た。
全量75 μlの反応液(40 mM Tris-HCl, pH7.5, 5 mM MgCl2, 2 mM ATP, 2 mM DTT, 300 ng/μl ウシ由来ユビキチン(シグマ社製), 50 ng マウスE1, 100 ng OsUBC5b:E2, 500 ng S-タンパク質(シグマ社製))に, 500 ngのS-tag-RFD融合タンパク質(配列番号15)を加え,30℃で16時間反応させた。なお,この例において,S-tagがタンパク質Aに相当し,Sタンパク質がタンパク質Xに相当する。
反応終了後,等量のSDS-PAGEサンプルバッファーを加え,100 ℃で5分間加熱し,7.5% SDSポリアクリルアミドゲルでSDS-PAGEを行った。泳動後,ゲルをPVDFメンブレン(Immobilon-P ; Millipore)に転写し,5 % (w/v)スキムミルクを含むPBS-Tween20 (8.1 mM Na2HPO4, 1.47 mM KH2PO4, 137 mM NaCl, 2.68 mM KCl, 0.1% Tween20, pH7.4)中で室温30分間振盪することによりブロッキングした。このメンブレンを500分の1容量の抗S-タンパク質抗体を含むPBS-Tween20中で室温において1時間反応させた。PBS-Tween20で5分間×3回洗浄した後,4000分の1容量のペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(Jacskon Immuno Research)を含むPBS-Tween20で4℃一晩反応させた。PBS-Tween20で5分間×3回およびPBSで5分間洗浄後,DABを用いて発色した。
その結果を,図4(B)に示す。図4(B)において,左からレーン番号が付されており,第1,第3及び第5レーンは0時間,第2,第4及び第6レーンは12時間後のものを示す。第1及び第2レーンは,S-tag-RFD融合タンパク質を用いたものを示す。第3及び第4レーンは,Sタンパク質を用いたものを示す。第5及び第6レーンは,S-tag-RFD融合タンパク質及びSタンパク質を用いたものを示す。図4(B)から,S-タンパク質のユビキチン化が確認できる。この結果は,RFDと融合して発現したタンパク質Aと相互作用するタンパク質Xのユビキチン化が促進されることを示しており,本発明の方法を用いることにより人工的にタンパク質分解を制御できることが示された。よって,本発明の方法によれば,タンパク質A(S-tag)とRFDを融合させたタンパク質A−RFDを生体内で発現させることで,タンパク質Aと複合体を形成するタンパク質X(Sタンパク質)を分解できることが実証された。これの方法を用いれば,Sタンパク質以外のタンパク質Xであっても,分解できることは明白である。したがって,本発明によれば,タンパク質X,又はタンパク質A−X複合体の機能を破壊できることが実証された。また,そのような機能を破壊したノックアウト生物を作出できることも実証された。さらには,破壊された機能を分析することで,タンパク質X又はタンパク質A−X複合体の機能をも解明できることも実証された。
−リンカーの長さによるユビキチン化効率の検証−
マルトース結合(MBP)-(リンカー)-RFD融合タンパク質の作成方法
以下では,タンパク質A−RFDにおけるリンカー部位が,タンパク質Xのユビキチン修飾化にもたらす影響について検討するための実験を行った。リンカーの長さとして13,46及び82のアミノ酸残基を含むものを用意した。MBP-(13)-RFD, MBP-(46)-RFD, MBP-(82)-RFD (括弧の中はリンカーの長さを示す)は、それぞれ5'-CCGA ATTCG GAGGA GGGGT CGACC CGGAG-3': (配列番号25)と5'-CCGGA TCCTT ACACG ACGAC GGTGA GGCG-3': (配列番号26), 5'-CCGAA TTCGG AGGAG GGGTC GACCC GGAG-3': (配列番号27)と5'-CCGGA TCCTT ACACG ACGAC GGTGA GGCG-3': (配列番号28), 5'-CCGAA TTCTG CTACT GCGAC GAGCG GCGC-3': (配列番号29)と5'-CCGGA TCCTC AATCC GGACA TGCGC -3': (配列番号30)の両プライマーを用いてEL5の全長鎖cDNA(配列番号22)を鋳型としてPCRを行った。すなわち,98℃で2分後,98℃で30秒,50℃で30秒,72℃で2分を1サイクルとし,このサイクルを25回繰り返すことにより核酸を増幅した。
得られたPCR産物をEcoRIおよびBamHIで消化し、あらかじめEcoRIおよびBamHIで消化したpMAL-c2xにライゲーションした。得られたプラスミドの塩基配列を確認し、変異が導入されていないことを確認した。得られたプラスミドを用いて大腸菌BL21 (DE3)を形質転換した。得られた形質転換体(菌体)を用いてタンパク質の大量発現を行った。アンピシリンを含む2×YT培地で37℃4時間前培養し、5分間10,000×gで遠心後、回収した菌体を再び培地に移した。その後、さらに37 ℃で3時間培養を行った。その後、最終濃度1 mMのIPTGを加え組換えタンパク質の発現を誘導した。さらに37 ℃3時間培養した後、菌体を15分間5,000×gで遠心し,回収し-80℃で保存した。凍結させた菌体を解凍後50 mM Tris-HCl, 200 mM NaCl, 20 mM ZnSO4, 2.5 mM b-ME, pH 7.4で懸濁し、超音波処理により細胞を破砕した、懸濁液を4 ℃で30分間27,000×gで遠心し、上清を回収した。得られた上清をアミロースレジンに吸着させ、50 mM Tris-HCl, 200 mM NaCl, 20 mM ZnSO4, 2.5 mM b-ME, pH 7.4で洗浄後、10 mM maltose, 50 mM Tris-HCl, 200 mM NaCl, 20 mM ZnSO4, 2.5 mM b-ME, pH 7.4で溶出した。なお,MBPは,タンパク質Aではなく,ユビキチン修飾化されるタンパク質である。このようにして,マルトース結合(MBP)-(リンカー)-RFD融合タンパク質(配列番号16,17,18)を得た。
全量75 μlの反応液(40 mM Tris-HCl, pH7.5, 5 mM MgCl2, 2 mM ATP, 2 mM DTT, 300 ng/μl ウシ由来ユビキチン(シグマ社製), 50 ng マウスE1, 100 ng OsUBC5b:E2に, 500 ngのマルトース結合(MBP)-(リンカー)-RFD融合タンパク質(配列番号16,17,18)を加え,30 ℃で1時間反応させた。リンカーの長さはアミノ酸残基の数が13,46および82のものを検討した。
反応終了後,等量のSDS-PAGEサンプルバッファーを加え,100 ℃で5分間加熱し,7.5 % SDSポリアクリルアミドゲルでSDS-PAGEを行った。泳動後,ゲルをPVDFメンブレン(Immobilon-P ; Millipore)に転写し,5% (w/v)スキムミルクを含むPBS-Tween20 (8.1 mM Na2HPO4, 1.47 mM KH2PO4, 137 mM NaCl, 2.68 mM KCl, 0.1% Tween20, pH7.4)中で室温30分間振盪することによりブロッキングした。このメンブレンを500分の1容量の抗S-タンパク質抗体を含むPBS-Tween20中で室温において4℃で一晩反応させた。PBS-Tween20で5分間×3回洗浄した後,4000分の1容量のペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(Jacskon Immuno Research)を含むPBS-Tween20で室温1時間反応させた。PBS-Tween20で5分間×3回およびPBSで5分間洗浄後,DABを用いて発色した。
その結果を,図5に示す。図5は,実験結果を示す図面に代わるゲル電気泳動写真図である。左から第1番目及び第2番目のレーンはMBPのものを示す。左から第3番目及び第4番目のレーンはMBP-(13)-RFDを示し,左から第5番目〜第6番目のレーンは MBP-(46)-RFDを示し, 左から第7番目〜第8番目のレーンはMBP-(82)-RFDを示す。上記レーンのうち奇数番号のレーンは0時間後,偶数番号のレーンは1時間後のものを示す。図中kDaは,キロダルトンを示す。図5から,リンカーの長さを変えてもユビキチン修飾化は進行するものの,その進行速度をリンカーの長さにより制御できることが確認できた。このことは,RFDと,ユビキチンにより分解されるタンパク質との融合タンパク質を作出すれば,そのタンパク質を分解することができること,及びその分解速度を制御できることをも意味している。
−RFD変異体によるユビキチン化効率の制御の検証−
以下のようにして,配列番号1のロイシン138又はロイシン174をそれぞれアラニンに置換した変異体は、ユビキチン化効率が減少することを確認した。
変異体の作成方法:
L138AおよびL174A変異体は,配列番号17のアミノ酸配列をコードするcDNA(配列番号31)を鋳型としQuickchange Site-Directed Mutagenesis Kit (stratagene)を用いたPCRにより作成した。PCRには、L138A : 5'-GTGCG CGGTG TGCGC GGCGG AGCTC G-3' (配列番号32 )および5'-CGAGC TCCGC CGCGC ACACC GCGCA C-3' (配列番号33)、 L174A : 5'-CACTC CACCT GCCCG GCGTG CCGCC TCACC-3' (配列番号34)および5'-GGTGA GGGGC ACGCC GGGCA GGTGG AGTG-3' (配列番号35)を用いた。PCRは,95℃で30秒後,95℃で30秒,55℃で1分を1サイクルとし,このサイクルを12回繰り返した。
得られたプラスミドの塩基配列を確認し、目的の部位に変異が導入されていることを確認した。得られたプラスミドで大腸菌BL21 (DE3)を形質転換し、得られた形質転換体(菌体)を用いてタンパク質の大量発現を行った。アンピシリンを含む2×YT培地で37 ℃で4時間前培養し、5分間10,000×gで遠心後、回収した菌体を再び培地に移し、さらに37℃で3時間培養を行った。その後、最終濃度1 mMのIPTGを加え組換えタンパク質の発現を誘導し、さらに37 ℃3時間培養した後、菌体を15分間5,000×gで遠心し回収し-80 ℃で保存した。凍結させた菌体を解凍後50 mM Tris-HCl, 200 mM NaCl, 20 mM ZnSO4, 2.5 mM b-ME, pH 7.4で懸濁し、超音波処理により細胞を破砕し、懸濁液を4 ℃で30分間27,000×gで遠心し、上清を回収した。得られた上清をアミロースレジンに吸着させ、50 mM Tris-HCl, 200 mM NaCl, 20 mM ZnSO4, 2.5 mM b-ME, pH 7.4で洗浄後、10 mM maltose, 50 mM Tris-HCl, 200 mM NaCl, 20 mM ZnSO4, 2.5 mM b-ME, pH 7.4で溶出した。このようにして(MBP)-RFD変異体融合タンパク質(配列番号19,20)を得た。
全量75 μlの反応液(40 mM Tris-HCl, pH7.5, 5 mM MgCl2, 2 mM ATP, 2 mM DTT, 300 ng/μl ウシ由来ユビキチン(シグマ社製), 50 ng マウスE1, 100 ng OsUBC5b:E2に, 500 ngの (MBP)-RFD変異体融合タンパク質(配列番号19,20)を加え,30℃で2時間反応させた。
反応終了後,等量のSDS-PAGEサンプルバッファーを加え,100 ℃で5分間加熱し,7.5% SDSポリアクリルアミドゲルでSDS-PAGEを行った。泳動後,ゲルをPVDFメンブレン(Immobilon-P ; Millipore)に転写し,5% (w/v)スキムミルクを含むPBS-Tween20 (8.1 mM Na2HPO4, 1.47 mM KH2PO4, 137 mM NaCl, 2.68 mM KCl, 0.1% Tween20, pH7.4)中で室温30分間振盪することによりブロッキングした。このメンブレンを500分の1容量の抗S-タンパク質抗体を含むPBS-Tween20中で室温において1時間反応させた。PBS-Tween20で5分間×3回洗浄した後,4000分の1容量のペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(Jacskon Immuno Research)を含むPBS-Tween20で室温1時間反応させた。PBS-Tween20で5分間×3回およびPBSで5分間洗浄後,DABを用いて発色した。なお,配列番号1のアルギニン148をアラニンに置換した変異体R148A,配列番号1のバリン162をアラニンに置換した変異体V162A,配列番号1のアスパラギン酸163をアラニンに置換した変異体D163Aについても同様にして製造し,測定を行った。
その結果を,図6に示す。図6において,左から第1及び第2レーンはMBPを示し,第3及び第4レーンは無変異体を示し,第5及び第6レーンはL138A変異体を示し,第7及び第8レーンはR148A変異体を示し,第9及び第10レーンはV162A変異体を示し,第11及び第12レーンはD163A変異体を示し,第13及び第14レーンはL174A変異体を示す。無変異体の左から第4レーンでは,複数のポリユビキチン化したタンパク質に由来するバンドが見られた。一方,変異体のレーンでは第4レーンに比べてポリユビキチン化に由来するバンドが少なかった。このことから,変異体は変異がないものに比べ,それぞれタンパク質Xのユビキチン化効率が劣っていることがわかる。また,この結果から,ロイシン138又はロイシン174をそれぞれアラニンに置換した変異体などによりユビキチン修飾化を制御できることが確認できた。
−GID2-RFD融合タンパク質によるSLR1タンパク質分解の検証−
GID2-RFD融合タンパク質の作成方法
配列番号13をコードする遺伝子(配列番号22)を鋳型とし5末にCACC配列とクローニングサイト (Xba I, Spe I, BamH I)を付加したプライマー:5'-CACCT CTAGA ACTAG TGGAT CCATG CCAGA TCTGG GTACC GACGA CG-3'(配列番号36)および3末に終止コドンとSma Iサイトを付加したプライマー5'- CCCGG GTCAC ACGAC GACGG TGAGG CGGCA-3'(配列番号37)を用いてPCRを行った。 すなわち,98℃で2分後,98℃で30秒,50℃で30秒,72℃で3分を1サイクルとし,このサイクルを25回繰り返すことにより核酸を増幅した。
増幅したPCR産物は電気泳動を行いアガロースゲルより抽出し、TOPO cloning kit(Invitrogen)を用いてクローニングを行い、RFDのエントリーベクターを作製した。挿入する配列番号5で表されるタンパク質の遺伝子についてはGID2のcDNA(配列番号38)を鋳型とし5末にCACC配列とXba Iサイトを付加したプライマー5'-CACCT CTAGA ATGAA GTTCC GCTCT GATTC-3'(配列番号39)および3末に終止コドンを削除しさらにBamH Iサイトを付加したプライマー5'- GGATC CCCCG CATTG GCCCC CTCCA TTCTT ATC-3'(配列番号40)を用いてPCRを行った。すなわち,98℃で2分後,98℃で30秒,50℃で30秒,72℃で3分を1サイクルとし,このサイクルを25回繰り返すことにより核酸を増幅した。 増幅したPCR産物は電気泳動を行いアガロースゲルより抽出し、TOPO cloning kit(Invitrogen)を用いてクローニングを行い、GID2エントリークローンを作製した。
次にGID2のエントリープラスミドをプライマーに挿入した配列であるXba IおよびBamH Iにより酵素処理し、電気泳動を行いアガロースゲルからGID2断片を抽出した。さらにRFDエントリーベクター についても同様にXba IおよびBamH Iで酵素処理をしLigaton high(TOYOBO)を用いてGID2断片をライゲーション後、大腸菌へ形質転換しGID2-RFDクローンを作製した。得られたプラスミドの塩基配列に関してはシーケンスにより目的の塩基配列が存在することを確認した。
遺伝子の導入方法
CaMV 35Sプロモーターのエンハンサー領域を4反復させたプロモーターとノパリンシンターゼ遺伝子由来ターミネーターの間に、GID2遺伝子(配列番号38)あるいはGID2-RING遺伝子(配列番号41)を連結し、バイナリーベクターpBI121(Clontech社)のT-DNA領域に35Sプロモーターとハイグロマイシンフォスフォフォトランスフェレース(HPT)遺伝子とノパリンシンターゼ遺伝子由来ターミネーターを有するプラスミドpBI-HPTに導入し、pBI-EN4-GID2およびpBI-EN4-GID2RINGを構築した。これらのプラスミドの構造を図7に示す。図7(A)は,プラスミド“pBI-EN4-GID2”の開裂地図である。図7(B)は,プラスミド“pBI-EN4-GID2RING”の開裂地図である。図中,35Sは,CaMV 35Sプロモーターを示し,HPTは,大腸菌ハイグロマイシンリン酸転移酵素遺伝子(ハイグロマイシン耐性遺伝子)を示し,CaMV3'は CaMVターミネーターを示し,EN4は35Sプロモーターの転写開始点の上流-290から-90の領域を4反復させた人工35Sプロモーターを示し,NOS3'はノパリン合成酵素遺伝子のターミネーターを示し,RBはT-DNA領域right border配列を示し,LBは T-DNA領域left border配列を示し,NPTIIIは ネオマイシンリン酸転移酵素遺伝子(カナマイシン耐性遺伝子)を示す。
形質転換アグロバクテリウムは、Nagelらの方法(Nagel et al., (1990) Microbiol. Lett., 67, 325.)に従ってバイナリーベクターpBI-EN4-GID2およびpBI-EN4-GID2RINGをエレクトロポーレーション法により癌腫菌(アグロバクテリウム ツメファシエンス:Agrobacterium tumefacience)に導入した後、50μg/mlのカナマイシンと50μg/mlのハイグロマイシンを含むLB培地上、28℃で2日間培養することによって得た。
イネの形質転換は超迅速形質転換法(特許3141084号公報)に従って行った。すなわち、籾殻を取り除いたイネの完熟種子を無傷の状態で2.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液中で殺菌し、滅菌水で十分に洗浄後2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)を含むN6D培地(30g/Lスクロース、0.3g/Lカザミノ酸、2.8g/Lプロリン、2mg/L 2,4−D、4g/Lゲルライト、pH5.8)に播種し、5日間28℃に静置した。
形質転換されたアグロバクテリウムの懸濁液に前培養した上記の種子を浸漬した後、2N6・AS培地(30g/Lスクロース、10g/Lグルコース、0.3g/Lカザミノ酸、2mg/L 2,4−D、10mg/L アセトシリンゴン、4g/Lゲルライト、pH5.2)に移植し、28℃暗黒下で3日間共存培養した。
ゲルライトを除いたN6D培地にアグロバクテリウム用抗生物質であるカルベニシリンを500mg/Lを加えた洗浄液を用いて種子からアグロバクテリウムを十分洗浄した後、カルベニシリン500mg/Lと選抜マーカーとしてハイグロマイシンを50mg/L加えたN6D培地(選抜培地)に洗浄した種子を置床して28℃で2週間培養した。
ハイグロマイシン耐性カルスを約2週間ごとに新しい選抜培地に4回植え継ぎ、GID2遺伝子、あるいはGID2-RING遺伝子導入イネカルス系統とした。
ハイグロマイシン耐性カルスを再分化培地(500mg/Lカルベニシリン、30mg/Lハイグロマイシン、30g/Lスクロース、30g/Lソルビトール、2g/Lカザミノ酸、2mg/Lカイネチン、0.002mg/L α−ナフチル酢酸(NAA)、4g/Lゲルライト、pH5.8となるよう添加したMS培地)に移植して、28℃で再分化するまで培養を続けた。
再分化固体を発根培地(ハイグロマイシン30mg/Lとなるように添加した、ホルモンフリーのMS培地)に置床し、ハイグロマイシン耐性を検定した。非形質転換体は新しい根が伸長せず1週間ほどで枯死するのに対し、遺伝子が導入されたと考えられる形質転換体は耐性を示し、野生株と同様の成育を示した。形質転換植物が大きくなったところで、馴化を経てポットに移植し温室内で生育させた。
本発明のタンパク質の機能を解析する方法は,タンパク質及びそのタンパク質をコードする遺伝子の機能を解析するために利用できる。
本発明のタンパク質の機能を解析する方法は,特に遺伝子破壊法やRNAiなどの手法とは別の方法によりタンパク質の機能を解析するので,これらの解析法では解析することが難しい多重遺伝子族の機能を解析することに特に有効に利用できる。
本発明のタンパク質の機能を抑制する方法は,タンパク質及びそのタンパク質をコードする遺伝子の機能を抑制するために利用できる。また,その機能をノックアウトしたノックアウト動物の作生に有効に利用できる。
また,本発明で用いるユビキチン依存型タンパク質分解系は動植物に普遍的であるため,本発明の方法は,その応用範囲が広いものである。
図1は,本発明の方法の概要を示す概念図である。図1(A)は,タンパク質AとRFD(後述)との融合体タンパク質の概念図である。図1(A)に示される例では,タンパク質AとRFDとがリンカーにより接続されている。図1(B)は,ユビキチンとタンパク質Xとが物理的に接近し,タンパク質Xがユビキチン修飾化される様子を示す概念図である。図1(C)は,タンパク質Xがポリユビキチン修飾化され続けポリユビキチンタグが形成される様子を示す概念図である。図1(D)は,ポリユビキチン化されたタンパク質Xが分解されることを示す概念図である。図1(E)は,タンパク質Eが分解され,タンパク質Aとタンパク質Xとの複合体の機能が消滅したことを示す概念図である。なお,図1(E)では,タンパク質Xが分解されたことを示すために,タンパク質Xが点線で表されている。 図2は,SLR1分解システムのモデル図である。図2(A)は,タンパク質分解システムの概略を示す概念図である。図2(B)はイネが徒長する様子を示す図である。 図3は,CaM1及びCaM3分解システムのモデル図である。 図4は,S-tag-RFD融合タンパク質によるS-タンパク質のユビキチン化実験を示す図である。。図4(A)は,実施例1における実験系の概念図である。図4(B)は,所定のタンパク質がユビキチン化されたことを示す図面に代わるゲル電気泳動写真図である。 図5は,リンカーの長さによるユビキチン化効率の検証を行った実験結果を示す図面に代わるゲル電気泳動写真図である。 図6は,RFD変異体によるユビキチン化効率の制御の検証を行った結果を示す図面代わるゲル電気泳動写真図である。 図7は,プラスミドの構造を示す図である。図7(A)は,プラスミド“pBI-EN4-GID2”の開裂地図である。図7(B)は,プラスミド“pBI-EN4-GID2RING”の開裂地図である。
配列番号32:合成タンパク質
配列番号33:合成タンパク質
配列番号34:合成タンパク質
配列番号35:合成タンパク質
配列番号36:合成タンパク質
配列番号37:合成タンパク質
配列番号38:合成タンパク質
配列番号39:合成タンパク質
配列番号40:合成タンパク質
配列番号41:合成DNA
配列番号42:合成DNA
配列番号43:合成DNA
配列番号44:合成DNA
配列番号45:合成DNA
配列番号46:合成DNA
配列番号47:合成DNA
配列番号48:合成DNA
配列番号32:合成DNA
配列番号33:合成DNA
配列番号34:合成DNA
配列番号35:合成DNA
配列番号36:合成DNA
配列番号37:合成DNA
配列番号39:合成DNA
配列番号40:合成DNA

Claims (2)

  1. 標的タンパク質(タンパク質A)と,ユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質(RFD)とを融合したタンパク質(タンパク質A−RFD)を用い,
    前記標的タンパク質と複合体を形成し,ユビキチン修飾化されることにより分解されるタンパク質(タンパク質X)の機能,又は前記タンパク質Aと前記タンパク質Xとの複合体タンパク質(タンパク質A−X複合体)の機能を解析する方法であって,
    前記タンパク質A−RFDを生体内で発現させ,
    前記タンパク質Aと前記タンパク質Xとの複合体を形成させ,
    前記RFDと相互作用したユビキチン結合酵素に結合したユビキチンを前記タンパク質Xに転移させることにより,前記タンパク質Xを分解し,タンパク質X,又はタンパク質A−X複合体の機能を失活させ,
    タンパク質X,又はタンパク質A−X複合体の機能を解析し,
    ここで,前記“ユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質(RFD)”が,
    配列番号1に記載されるアミノ酸配列において134-181番のアミノ酸配列からなるタンパク質,
    又は配列番号1に記載されるアミノ酸配列において134-181番のアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質である,
    タンパク質の機能解析方法。
  2. 標的タンパク質(タンパク質A)とユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質(RFD)を融合したタンパク質(タンパク質A−RFD)又は前記RFDの変異体と前記タンパク質Aとを融合したタンパク質を用い,
    前記標的タンパク質と複合体を形成しユビキチン化されることにより分解されるタンパク質(タンパク質X)の分解速度を制御する方法であって,
    前記融合したタンパク質(タンパク質A−RFD),または前記RFDの変異体と前記タンパク質Aとを融合したタンパク質を生体内で発現させ,
    前記タンパク質Aと前記タンパク質Xとの複合体を形成させ,
    前記RFD又はその変異体と相互作用したユビキチン結合酵素に結合したユビキチンを前記タンパク質Xに転移させることにより,前記タンパク質Xを分解し,タンパク質X,又はタンパク質A−X複合体の機能を失活させ,
    ここで,前記“ユビキチン結合酵素と相互作用できるタンパク質(RFD)”が,
    配列番号1に記載されるアミノ酸配列において134-181番のアミノ酸配列からなるタンパク質,
    又は配列番号1に記載されるアミノ酸配列において134-181番のアミノ酸配列から1〜4個のアミノ酸残基が置換,欠損,付加又は挿入したアミノ酸配列からなるタンパク質であり,
    前記変異体は,
    配列番号1に記載されるアミノ酸配列において148番目のアミノ酸残基をアラニンに置換したもの,又は
    配列番号1に記載されるアミノ酸配列において162番目のアミノ酸残基をアラニンに置換したものである,
    前記タンパク質Xの分解速度を制御する方法。
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