JP4464276B2 - プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置 - Google Patents

プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置 Download PDF

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Description

本発明は,プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置にかかり,特に半導体ウエハなどの被処理体を処理する際,処理装置の異常検出,装置状態の予測又は被処理体の状態予測などプラズマ処理に関する情報を監視するプラズマ処理方法及びプラズマ処理装置に関する。
半導体製造工程においては,多種類の製造装置や検査装置が用いられている。例えばプラズマ処理装置は,処理室内にプラズマを発生させて被処理体に対して例えばエッチング処理や成膜処理などを行う。
これらの処理装置は,その運転状況を制御,あるいは監視するための多くのパラメータを有しており,それらをコントロールあるいはモニタして,様々な処理を最適条件で行えるようにしている。
例えばプラズマ処理装置に用いられるパラメータには,例えば,半導体ウエハやガラス基板等の被処理体に,成膜やエッチング処理を行うプラズマ処理装置では,処理室内に導入する処理ガスの流量,処理室内の圧力,処理室内に例えば対向して設置された電極の少なくとも一方に与えられる高周波電力等,制御可能なパラメータ(以下制御パラメータと称する)がある。
また,処理室内に励起されたプラズマ状態を把握するためのプラズマ分光分析等の光学的データ,そのプラズマに基づく基本波及び高調波の高周波電圧,高周波電流などの電気的データ等のパラメータ(以下プラズマ反映パラメータと称する)がある。
さらに,処理室内の電極に高周波電力を印加する際インピーダンス整合をとるために設けられる整合器の整合状態での可変コンデンサの容量や,整合器内の測定域により測定される高周波電圧等のパラメータ(以下装置状態パラメータと称する)がある。
上記プラズマ処理装置により処理を行う際には,制御パラメータを最適と思われる値に設定し,プラズマ反映パラメータや装置状態パラメータをそれぞれの検出器によりモニタしながら常に最適な処理が行えるようプラズマ処理装置を制御するわけであるが,これらパラメータは数十種類にも及ぶため,運転状態に異常が認められた場合に原因を究明するのは非常に困難である。
そこで,例えば特開平11−87323号公報には,半導体ウエハ処理システムの複数のプロセスパラメータを分析し,これらのパラメータを解析用データとして統計的に相関させてプロセス特性やシステム特性の変化を検出する処理装置の監視方法及び処理装置について提案されている。
また,上記複数のパラメータを解析用データとして多変量解析の1つである主成分分析の手法を用いて少数の統計的データにまとめ,少数の統計的データに基づいて処理装置の運転状況を監視して,運転状況を評価する方法がある。
このような従来の方法では,例えば主成分分析などの統計的な解析結果から残差二乗和,主成分得点,主成分得点二乗和などの指標を算出し,プラズマ処理装置の状態異常を検出する。そして異常が検出された場合はこれらの指標に基づいてその原因を究明し,必要に応じて例えばウエットクリーニングを行ったり,消耗品や検出器(センサ)等の部品の交換などを行ったりしてプラズマ処理装置の状態を改善させる。
しかしながら,上述したようなウエットクリーニングなどのメンテナンスを行うと,プラズマ処理装置自体に異常が生じていなくても,残差二乗和(残差得点)などの指標に大きな誤差(以下,「シフト的誤差」ともいう。)が生じ,異常検出の精度が低下する場合がある。これはウエットクリーニングなどを行うごとにプラズマ処理装置の状態の傾向が変化していることが要因の1つと考えられる。
このように,ウエットクリーニングなどにより処理装置の状態の傾向が変化した場合には,プラズマ処理装置の状態が正常であっても残差二乗和などの指標に大きな変化が生じるため,異常か否か判断できず,異常検出の精度や予測の精度が低下するというプラズマ処理装置などに特有の問題が起こる可能性があった。
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,処理装置の状態変化などにより検出器からの検出値が変化しても,処理装置の異常検出,処理装置の状態予測又は前記被処理体の状態予測などを正確に行うことができ,常に正確にプラズマ処理に関する情報の監視を行うことができるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供することにある。
上記課題を解決するために,本発明の第1の観点によれば,気密な処理容器内にプラズマを発生させて被処理体にプラズマ処理を施す処理装置における前記プラズマ処理に関する情報を監視するプラズマ処理方法であって,前記プラズマ処理の際に前記処理装置に配設された複数の検出器から前記被処理体ごとに検出される検出値を収集するデータ収集段階と,前記処理装置のメンテナンスを行うごとに区切られる区間ごとに,各区間内で前記検出器から検出される検出値を補正する補正段階と,前記補正後の検出値を解析用データとして用いて多変量解析を行い,その解析結果に基づいてプラズマ処理に関する情報を監視する解析処理段階とを有することを特徴とするプラズマ処理方法が提供される。
上記課題を解決するために,本発明の第2の観点によれば,気密な処理容器内にプラズマを発生させて被処理体にプラズマ処理を施す際に,前記プラズマ処理に関する情報を監視するプラズマ処理装置であって,前記プラズマ処理の際に前記処理装置に配設された複数の検出器から前記被処理体ごとに検出される検出値を収集するデータ収集手段と,前記処理装置のメンテナンスを行うごとに区切られる区間ごとに,各区間内で前記検出器から検出される検出値を補正する補正手段と,前記補正後の検出値を解析用データとして用いて多変量解析を行い,その解析結果に基づいてプラズマ処理に関する情報を監視する解析処理手段とを有することを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
また,上記第1の観点及び第2の観点による発明における補正は,前記各区間内の検出値のうち,一部の区間の検出値について平均値を算出し,前記各区間内の検出値から前記平均値を引算することにより,前記各区間内の検出値を補正するようにしてもよい。
また,上記第1の観点及び第2の観点による発明における補正は,前記各区間内の検出値のうち,一部の区間の検出値について平均値を算出し,前記各区間内の検出値を前記平均値で割算することにより,前記各区間内の検出値を補正するようにしてもよい。
また,上記第1の観点及び第2の観点による発明における補正は,前記各区間内のすべての検出値について平均値を算出し,前記各区間内の検出値から前記平均値を引算することにより,前記各区間内の検出値を補正するようにしてもよい。
また,上記第1の観点及び第2の観点による発明における補正は,前記各区間内の検出値について平均値及び標準偏差を算出し,前記各区間内の検出値から前記平均値を引算したものをさらに前記標準偏差で割算することにより,前記各区間内の検出値を補正するようにしてもよい。
また,上記第1の観点及び第2の観点による発明における補正は,前記各区間内の検出値について平均値及び標準偏差を算出し,前記各区間内の検出値から前記平均値を引算したものを前記標準偏差で割算し,得られた値に対してローディング補正を施すことにより,前記各区間内の検出値を補正するようにしてもよい。
また,上記第1の観点及び第2の観点による発明において多変量解析として主成分分析を行い,その結果に基づいて前記処理装置の状態異常を検出するようにしてもよい。
また,上記第1の観点及び第2の観点による発明において多変量解析として重回帰分析によりモデルを作成し,このモデルを用いて前記処理装置の状態予測又は前記被処理体の状態予測を行うようにしてもよい。
上記第1の観点及び第2の観点による発明によれば,当該装置内のクリーニング,消耗品や検出器の交換等のメンテナンスを行うごとに区切られる区間ごとに,各区間内で検出される検出値に所定の補正処理を施して,補正後の検出値を解析用データとして多変量解析を行うので,メンテナンスを行うことにより装置状態の傾向が変化して多変量解析に用いる検出値の傾向が変った場合でもその変化が多変量解析の結果に影響することを極力防止できるため,当該装置の異常検出,当該装置の状態予測又は被処理体の状態予測などの精度を高めることができ,常に正確にプラズマ処理に関する情報の監視を行うことができる。
上記課題を解決するために,本発明の第3の観点によれば,気密な処理容器内にプラズマを発生させて被処理体にプラズマ処理を施す処理装置における前記プラズマ処理に関する情報を監視するプラズマ処理方法であって,前記プラズマ処理の際に前記処理装置に配設された複数の検出器から前記被処理体ごとに時系列的に次々と検出された検出値を収集するデータ収集段階と,前記検出器で検出された現在の検出値をそれ以前に検出された検出値に基づいて補正する補正段階と,前記補正後の検出値を解析用データとして用いて多変量解析を行い,その解析結果に基づいてプラズマ処理に関する情報を監視する解析処理段階とを有することを特徴とするプラズマ処理方法が提供される。
上記課題を解決するために,本発明の第4の観点によれば,気密な処理容器内にプラズマを発生させて被処理体にプラズマ処理を施す際に,前記プラズマ処理に関する情報を監視するプラズマ処理装置であって,前記プラズマ処理の際に前記処理装置に配設された複数の検出器から前記被処理体ごとに時系列的に次々と検出された検出値を収集するデータ収集手段と,前記検出器で検出された現在の検出値をそれ以前に検出された検出値に基づいて補正する補正手段と,前記補正後の検出値を解析用データとして用いて多変量解析を行い,その解析結果に基づいてプラズマ処理に関する情報を監視する解析処理手段とを有することを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
また,上記第3の観点及び第4の観点による発明における補正は,前記検出器で検出された検出値についての現在の予測値を,直前の予測値と現在又は直前の検出値とにそれぞれ重みを付けて平均化することにより求め,その現在の予測値を前記現在の検出値から引算したものを補正後の検出値とすることにより,前記検出器で検出された検出値を次々と補正していくようにしてもよい。
また,上記第3の観点及び第4の観点による発明における補正後の検出値を解析用データとしたうちの一部の区間の検出値を用いて前記多変量解析として主成分分析を行うことによりモデルを作成し,前記モデルに基づいて前記解析用データうちの他の区間の検出値により前記処理装置の状態が異常か否かを検出するようにしてもよい。このように,予め収集された所定枚数分の検出値に上記補正処理が施された解析用データにより予めモデルが作成される。そして,実際に被処理体を処理する際に1枚ごと又は所定枚数ごと(例えば1ロットごと)に収集された検出値に補正処理が施された解析用データにより,1枚ごと又は所定枚数ごと(例えば1ロットごと)に上記モデルに基づいて処理装置の状態が異常か否かの判断がなされる。これにより,実際の被処理体をプラズマ処理する際にリアルタイムで異常か否かの判断を行うことができる。
また,上記第3の観点及び第4の観点による発明における解析用データを説明変量と目的変量とに分け,分けられた解析用データのうちの一部の区間のデータを用いて前記多変量解析として最小二乗法によりモデルを作成し,前記モデルに基づいて前記解析用データのうちの他の区間の説明変量のデータにより目的変量のデータの予測を行うようにし,さらに前記説明変量と前記目的変量のうち少なくとも前記説明変量のデータについては補正後の検出値からなる解析用データを用いてもよい。この場合,前記解析用データのうちの前記処理装置の状態又は前記被処理体の状態のデータを目的変量としてもよい。
上記第3の観点及び第4の観点による発明によれば,検出器で検出された現在の検出値をそれ以前に検出された検出値に基づいて補正するので,検出値の傾向に基づいて補正することができる。この補正後の検出値を解析用データとして多変量解析を行うので,プラズマ処理装置内のクリーニング,消耗品や検出器の交換等のメンテナンスなどにより検出値の傾向が大きく変化(シフト)したり,プラズマ処理装置の長期間の稼働などにより検出値の傾向が経時的に変化するなど様々な検出値の変動による多変量解析の結果への影響を防止することができ,プラズマ処理装置の異常検出,プラズマ処理装置の状態予測又は被処理体の状態予測などの精度を高めることができる。これにより,常に正確にプラズマ処理に関する情報の監視を行うことができ,歩留りの低下を防止し,生産性を向上させることができる。
上記課題を解決するために,本発明の第5の観点によれば,気密な処理容器内にプラズマを発生させて被処理体にプラズマ処理を施す処理装置における前記プラズマ処理に関する情報を監視するプラズマ処理方法であって,前記プラズマ処理の際に,前記処理装置に配設された複数の検出器から前記被処理体ごとに時系列的に次々と検出された検出値を収集するデータ収集段階と,前記検出器で検出された現在の検出値を直前の検出値から引算したものを補正後の検出値とすることにより,前記検出器で検出された検出値を次々と補正していく補正段階と,前記補正後の検出値を解析用データとして用いて多変量解析を行い,その解析結果に基づいてプラズマ処理に関する情報を監視する解析処理段階とを有することを特徴とするプラズマ処理方法が提供される。
上記課題を解決するために,本発明の第6の観点によれば,気密な処理容器内にプラズマを発生させて被処理体にプラズマ処理を施す際に,前記プラズマ処理に関する情報を監視するプラズマ処理装置であって,前記プラズマ処理の際に,前記処理装置に配設された複数の検出器から前記被処理体ごとに時系列的に次々と検出された検出値を収集するデータ収集手段と,前記検出器で検出された現在の検出値を直前の検出値から引算したものを補正後の検出値とすることにより,前記検出器で検出された検出値を次々と補正していく補正手段と,前記補正後の検出値を解析用データとして用いて多変量解析を行い,その解析結果に基づいてプラズマ処理に関する情報を監視する解析処理手段とを有することを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
上記第5の観点及び第6の観点における発明によれば,検出器で検出された現在の検出値から直前の検出値を引算したものを補正後の検出値とする補正を行い,この補正後の検出値を解析用データとして多変量解析を行うので,プラズマ処理装置内のクリーニング,消耗品や検出器の交換等のメンテナンスなどにより検出値の傾向が大きく変化(シフト)したり,プラズマ処理装置の長期間の稼働などにより検出値の傾向が経時的に変化するなど様々な検出値の変動による多変量解析の結果への影響を防止することができ,プラズマ処理装置の異常検出,プラズマ処理装置の状態予測又は被処理体の状態予測などの精度を高めることができる。これにより,常に正確にプラズマ処理に関する情報の監視を行うことができ,歩留りの低下を防止し,生産性を向上させることができる。さらに,検出器で検出された現在の検出値から直前の検出値を引算したものを補正後の検出値とするという簡単な補正で上記効果を奏することができるので,処理時間を短縮することができ,演算負担も軽くすることができる。
また,上記第5の観点及び第6の観点における解析処理は,前記被処理体の所定数分の前記補正後の検出値を解析用データとして用いて前記多変量解析として主成分分析を行うことによりモデルを作成し,前記モデルに基づいて他の前記被処理体についての前記補正後の検出値により前記処理装置の状態が異常か否かを検出し,異常が検出されたときには,前記処理装置の装置状態修正処理を促し,装置状態修正処理がされると,前記プラズマ処理を再開するようにしてもよい。これによれば,異常が発生した時点で処理装置を停止させて,メンテナンスなど装置状態修正処理を行うことができるので,異常が発生した状態でプラズマ処理が続行され,検出値が次々と補正されることを防止できる。これにより,補正における異常が発生したときの検出値の影響を防止することができる。また,上記の処理によれば,予め収集された所定枚数分の検出値に上記補正処理が施された解析用データにより予めモデルが作成される。そして,実際に被処理体を処理する際に1枚ごと又は所定枚数ごと(例えば1ロットごと)に収集された検出値に補正処理が施された解析用データにより,1枚ごと又は所定枚数ごと(例えば1ロットごと)に上記モデルに基づいて処理装置の状態が異常か否かの判断がなされる。これにより,実際の被処理体をプラズマ処理する際にリアルタイムで異常か否かの判断を行うことができる。
また,上記の場合,モデル作成で使用する解析用データはすべて装置状態が正常なときのデータであると判断されたものであってもよい。これによれば,正常なデータでモデルを作成することができるので,このようなモデルに基づく異常検出の精度も向上させることができる。
また,上記第5の観点及び第6の観点における補正は,取得された検出値が前記処理装置の装置状態修正処理後のものか否かを判断し,前記装置状態修正処理後のものでないと判断したときは,現在の検出値を直前の検出値から引算したものを補正後の検出値とする補正を行い,前記装置状態修正処理後のものであると判断したときは,前記モデル作成手段によりモデルを再構築するようにしてもよい。これによれば,補正における異常が発生したときの検出値の影響を防止することができる。
また,上記第5の観点及び第6の観点における補正は,取得された検出値が前記処理装置の装置状態修正処理後のものか否かを判断し,前記装置状態修正処理後のものでないと判断したときは,現在の検出値を直前の検出値から引算したものを補正後の検出値とする補正を行い,前記装置状態修正処理後のものであると判断したときは,前記装置状態修正処理前における装置状態が正常なときの検出値を直前の検出値として,この直前の検出値から現在の検出値を引算したものを補正後の検出値とするようにしてもよい。これによっても,補正における異常が発生したときの検出値の影響を防止することができる。
図1は本発明の実施形態にかかるプラズマ処理装置を示す概略構成図である。
図2は本実施形態における多変量解析手段の1例を示すブロック図である。
図3は補正しない検出値を用いて主成分分析を行ってサイクルWC1の検出値によりモデルを作成した場合の残差得点Qのグラフを示す図である。
図4は補正しない検出値を用いて主成分分析を行ってサイクルWC2の検出値によりモデルを作成した場合の残差得点Qのグラフを示す図である。
図5は一部の区間の検出値の平均値を引算する補正を行って補正後のサイクルWC1の検出値によりモデルを作成した場合の残差得点Qのグラフを示す図である。
図6は一部の区間の検出値の平均値を引算する補正を行って補正後のサイクルWC2の検出値によりモデルを作成した場合の残差得点Qのグラフを示す図である。
図7は一部の区間の検出値の平均値を割算する補正を行って補正後のサイクルWC1の検出値によりモデルを作成した場合の残差得点Qのグラフを示す図である。
図8は一部の区間の検出値の平均値を割算する補正を行って補正後のサイクルWC2の検出値によりモデルを作成した場合の残差得点Qのグラフを示す図である。
図9は補正しない検出値を用いて主成分分析を行ってサイクルWC1の検出値によりモデルを作成した場合の残差得点Qのグラフを示す図である。
図10はサイクル内のすべての検出値の平均値により補正を行ってサイクルWC1の検出値によりモデルを作成した場合の残差得点Qのグラフを示す図である。
図11はサイクル内のすべての検出値の平均値,標準偏差により補正を行って補正後のサイクルWC1の検出値によりモデルを作成した場合の残差得点Qのグラフを示す図である。
図12はサイクル内のすべての検出値の平均値,標準偏差,ローディング補正により補正を行って補正後のサイクルWC1によりモデルを作成した場合の残差得点Qのグラフを示す図である。
図13は,本発明の第2の実施形態において,補正しない検出値を用いて主成分分析を行ってモデルを作成した場合の残差得点Qのグラフを示す図である。
図14はEWMA処理による補正後の検出値を用いて主成分分析を行ってモデルを作成した場合の残差得点Qのグラフを示す図である。
図15は高周波電力と残差得点Qとの関係を示す図である。
図16は本発明の第3の実施形態において最小二乗法による説明変数とするVIプローブデータの高周波電圧データを示す図であって,同図(a)は補正前のデータを示し,同図(b)は補正後のデータ示す。
図17は同実施形態において最小二乗法による説明変数とする光学的データを示す図であって,同図(a)は補正前のデータを示し,同図(b)は補正後のデータ示す。
図18は補正しないデータを用いて最小二乗法によりモデルを作成した場合の処理室内圧力の予測値を示す図である。
図19は補正したデータを用いて最小二乗法によりモデルを作成した場合の処理室内圧力の予測値を示す図である。
図20は本発明の第4の実施形態におけるモデル作成処理のフローを示す図である。
図21は同実施形態における実際のウエハ処理の1例についてのフローを示す図である。
図22は同実施形態における実際のウエハ処理の他の例についてのフローを示す図である。
図23は,同実施形態における補正をしない検出値を用いて主成分分析を行ってモデルを作成した場合の残差得点Qのグラフを示す図である。
図24は,同実施形態における補正をした検出値を用いて主成分分析を行ってモデルを作成した場合の残差得点Qのグラフを示す図である。
図25は,同実施形態における補正をしない検出値を用いて主成分分析を行ってモデルを作成した場合の残差得点Qのグラフを示す図である。
図26は,同実施形態における補正をした検出値を用いて主成分分析を行ってモデルを作成した場合の残差得点Qのグラフを示す図である。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
先ず本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(プラズマ処理装置の構成)
第1の本実施形態にかかるプラズマ処理装置の構成を示す断面図を図1に示す。プラズマ処理装置100は,例えば図1に示すようにアルミニウム製の処理室101と,この処理室101内に配置された下部電極102を絶縁材102Aを介して支持する昇降可能なアルミニウム製の支持体103と,この支持体103の上方に配置され且つプロセスガスを供給し且つ上部電極を兼ねるシャワーヘッド(上部電極)104とを備えている。
上記処理室101は上部が小径の上室101Aとして形成され,下部が大径の下室101Bとして形成されている。上室101Aはダイポールリング磁石105によって包囲されている。このダイポールリング磁石105は複数の異方性セグメント柱状磁石がリング状の磁性体からなるケーシング内に収納されるように形成され,上室101A内で全体として一方向に向かう一様な水平磁界を形成する。
下室101Bの上部にはウエハWを搬出入するための出入口が形成され,この出入口にはゲートバルブ106が取り付けられている。また,下部電極102には整合器107Aを介して高周波電源107が接続され,この高周波電源107から下部電極102に対して13.56MHzの高周波電力Pを印加し,上室101A内で上部電極104との間で垂直方向の電界を形成する。この高周波電力Pは高周波電源107と整合器107A間に接続された電力計107Bを介して検出する。この高周波電力Pは制御可能なパラメータで,本実施形態では高周波電力Pを後述のガス流量,処理室内の圧力等の制御可能なパラメータと共に制御パラメータと定義する。
また,上記整合器107Aの下部電極102側(高周波電圧の出力側)には電気計測器(例えば,VIプローブ)107Cが取り付けられ,この電気計測器107Cを介して下部電極102に印加される高周波電力Pにより上室101A内に発生するプラズマに基づく基本波及び高調波の高周波電圧V,高周波電流Iを電気的データとして検出する。これらの電気的データは後述する光学的データと共にプラズマ状態を反映する監視可能なパラメータで,本実施形態ではプラズマ反映パラメータと定義する。
また,上記整合器107Aは例えば2個の可変コンデンサC1,C2,コンデンサC及びコイルLを内蔵し,可変コンデンサC1,C2を介してインピーダンス整合を取っている。整合状態での可変コンデンサC1,C2の容量,上記整合器107A内の測定器(図示せず)により測定される高周波電圧Vppは後述するAPC(Auto Pressure Controller)開度等と共に処理時の装置状態を示すパラメータで,本実施形態では可変コンデンサC1,C2の容量,高周波電圧Vpp及びAPCの開度をそれぞれ装置状態パラメータと定義する。
上記下部電極102の上面には静電チャック108が配置され,この静電チャック108の電極板108Aには直流電源109が接続されている。従って,高真空下で直流電源109から電極板108Aに高電圧を印加することにより静電チャック108によってウエハWを静電吸着する。
この下部電極102の外周にはフォーカスリング110が配置され,上室101A内で生成したプラズマをウエハWに集める。また,フォーカスリング110の下側には支持体103の上部に取り付けられた排気リング111が配置されている。この排気リング111には複数の孔が全周に渡って周方向等間隔に形成され,これらの孔を介して上室101A内のガスを下室101Bへ排気する。
上記支持体103はボールネジ機構112及びベローズ113を介して上室101Aと下室101B間で昇降可能になっている。従って,ウエハWを下部電極102上に供給する場合には,支持体103を介して下部電極102が下室101Bまで下降し,ゲートバルブ106を開放して図示しない搬送機構を介してウエハWを下部電極102上に供給する。下部電極102と上部電極104との間の電極間距離は所定の値に設定可能なパラメータで上述のように制御パラメータとして構成されている。
また,支持体103の内部には冷媒配管114に接続された冷媒流路103Aが形成され,冷媒配管114を介して冷媒流路103A内で冷媒を循環させ,ウエハWを所定の温度に調整する。更に,支持体103,絶縁材102A,下部電極102及び静電チャック108にはそれぞれガス流路103Bが形成され,ガス導入機構115からガス配管115Aを介して静電チャック108とウエハW間の細隙にHeガスを所定の圧力でバックサイドガスとして供給し,Heガスを介して静電チャック108とウエハW間の熱伝導性を高めている。尚,116はベローズカバーである。
上記シャワーヘッド104の上面にはガス導入部104Aが形成され,このガス導入部104Aには配管117を介してプロセスガス供給系118が接続されている。プロセスガス供給系118は,Arガス供給源118A,COガス供給源118B,Cガス供給源118C及びOガス供給源118Dを有している。これらのガス供給源118A,118B,118C,118Dはバルブ118E,118F,118G,118H及びマスフローコントローラ118I,118J,118K,118Lを介してそれぞれのガスを所定の設定流量でシャワーヘッド104へ供給し,その内部で所定の配合比を持った混合ガスとして調整する。各ガス流量はそれぞれのマスフローコントローラ118I,118J,118K,118Lによって検出可能であり且つ制御可能なパラメータで,上述のように制御パラメータとして構成されている。
上記シャワーヘッド104の下面には複数の孔104Bが全面に渡って均等に配置され,これらの孔104Bを介してシャワーヘッド104から上室101A内へ混合ガスをプロセスガスとして供給する。また,下室101Bの下部の排気孔には排気管101Cが接続され,この排気管101Cに接続された真空ポンプ等からなる排気系119を介して処理室101内を排気して所定のガス圧力を保持している。排気管101CにはAPCバルブ101Dが設けられ,処理室101内のガス圧力に即して開度が自動的に調節される。この開度は装置状態を示す装置状態パラメータで,制御できないパラメータである。
また,例えば上記シャワーヘッド104には処理室101内のプラズマ発光を検出する分光器(以下,「光学計測器」と称す。)120が設けられている。この光学計測器120によって得られる特定の波長に関する光学的データに基づいて例えばプラズマ状態を監視し,プラズマ処理の終点を検出する。この光学的データは高周波電力Pにより発生するプラズマに基づく電気的データと共にプラズマ状態を反映するプラズマ反映パラメータを構成する。
(多変量解析手段)
次に,本実施の形態におけるプラズマ処理装置100が備える多変量解析手段を図面を参照しながら説明する。多変量解析手段200は例えば図2に示すように,例えば主成分分析(PCA:Principal Component Analysis)や部分最小二乗法(PLS法;Partial Least Squares法)などの多変量解析プログラムを記憶する多変量解析プログラム記憶手段201,電気計測器107C,光学計測器120及びパラメータ計測器121からの信号を間欠的にサンプリングする電気的信号サンプリング手段202,光学的信号サンプリング手段203,パラメータ信号サンプリング手段204を備える。これらの各サンプリング手段202,203,204でサンプリングされたデータはそれぞれ各検出器からの検出値となる。
なお,上記パラメータ計測器121とは上述した制御パラメータを計測する計測器である。実際に多変量解析を行う際には,必ずしもすべてのデータを用いる必要はなく,電気計測器107C,光学計測器120,パラメータ計測器121からの少なくとも1種類以上のデータで多変量解析を行う。従って,すべての計測器のデータを用いてもよく,電気計測器107Cのみのデータやパラメータ計測器121のみのデータを用いてもよい。
上記プラズマ処理装置は,多変量解析により作成したモデルなど多変量解析の結果を記憶する解析結果記憶手段205,上記解析結果に基づいて所定のパラメータの異常値の検出(診断)や予測値の算出を行う演算手段206と,演算手段206からの演算信号に基づいて予測,診断,制御を行う予測・診断・制御手段207とを備える。
上記多変量解析手段200には,プラズマ処理装置を制御する制御装置122,警報器123及び表示装置124がそれぞれ接続されている。制御装置122は例えば予測・診断・制御手段207からの信号に基づいてウエハWの処理を継続または中断する。警報器123及び表示装置124は後述のように予測・診断・制御手段207からの信号に基づいて制御パラメータおよび/または装置状態パラメータの異常を報知する。
上記演算手段206は,上述した各パラメータを構成する各検出器から検出される検出値を補正する補正手段210と,この補正手段210によって補正された補正値を解析用データとして多変量解析を行う解析手段212とを備える。
第1の実施形態における解析手段212は,多変量解析として例えば主成分分析を行う。予め基準となる最初のウエットクリーニングまでの最初の区間のサンプルウエハに対してエッチング処理を行い,この時に各検出器から検出されるそれぞれの検出値,即ち高周波電圧Vpp,光学計測器120の出力値等の検出値をウエハ毎に逐次検出してこれを解析用データとする。例えばN枚のウエハそれぞれについてK個の検出値xが存在すると,解析用データが入った行列Xは(1)式で表される。
Figure 0004464276
そして,演算手段206においてそれぞれの検出値に基づいて平均値,最大値,最小値,分散値を求めた後,これらの計算値に基づいた分散共分散行列を用いて複数の解析用データの主成分分析を行って固有値及びその固有ベクトルを求める。
固有値は,解析用データの分散の大きさを表し,固有値の大きさ順に,第1主成分,第2主成分,・・・第a主成分として定義されている。また,各固有値にはそれぞれに属する固有ベクトルがある。通常,主成分の次数が高いほどデータの評価に対する寄与率が低くなり,その利用価値が薄れる。
例えばN枚のウエハについてそれぞれK個の検出値を採り,n番目のウエハのa番目の固有値に対応する第a主成分得点は(2)式で表される。
Figure 0004464276
第a主成分得点のベクトルt及び行列Tは(3)式で定義され,第a主成分の固有ベクトルp及び行列Pは(4)式で定義される。そして,第a主成分得点のベクトルtは行列Xと固有ベクトルpを用いて(5)式で表される。また,主成分得点のベクトルt〜tとそれぞれの固有ベクトルp〜pを用いると行列Xは(6)式で表される。なお,(6)式においてP はPの転置行列である。
Figure 0004464276
さらに,寄与率の低い第(a+1)以上の高次の主成分を一つに纏めた(7)式で定義する残差行列E(各行の成分は各検出器の検出値に対応し,各列の成分はウエハの枚数に対応する)を作り,この残差行列Eを(6)式に当て填めると(6)式は(8)式で表される。この残差行列Eの残差得点Qは(9)式で定義される行ベクトルeを用いた(10)式で定義される。なお,(10)式においてQはn番目のウエハを示す。
Figure 0004464276
上記残差得点Qは,n番目のウエハの残差(誤差)を表し,上記(10)式で定義される。残差得点Qは行ベクトルeとその転置ベクトルe の積として表され,各残差の2乗の和となり,プラス成分及びマイナス成分を相殺することなく確実に残差として求めることができる。本実施形態ではこの残差得点Qを求めることによって運転状態を多面的に判別,評価する。
具体的には,あるウエハの残差得点Qがサンプルウエハの残差得点Qから外れた場合には行ベクトルeの成分を観れば,そのウエハの処理時にそのウエハのいずれの検出値に大きなズレがあったかが判り,異常の原因を特定することができる。
そして,残差行列Eの行(同一ウエハ)のうち,各検出器の残差にずれのあった解析用データを観ることにより,そのウエハではいずれの検出値に異常があったかを正確に確認することができる。
(第1の実施形態における異常検知の具体的手順)
次に,実際に多変量解析を行って例えば処理装置の異常検知を行う際の具体的手順について図2を参照しながら説明する。第1段階として先ずウエットクリーニングを行うごとに区切られるある区間のデータに基づいて多変量解析によりモデルを作成する。具体的には,モデルを作成する区間のパラメータ計測器121,光学計測器120,電気計測器107Cからのデータに対して補正手段210により後述する所定の補正を施す。次いで多変量解析プログラム手段201から所定のプログラムを読込み,解析手段212により多変量解析を行ってモデルを作成する。作成したモデルは解析結果記憶手段205に記憶する。
第2段階として例えば処理装置の異常検知を行う。すべての区間のパラメータ計測器121,光学計測器120,電気計測器107Cからのデータに対して補正手段210により第1段階と同様の補正を施す。次いで解析結果記憶手段205からモデルを読込み,演算手段206により演算して残差得点Qを求める。予測診断制御手段207により上記残差得点Qに基づいて処理装置の異常を検出する。例えば残差得点Qがある一定範囲(例えば平均値と標準偏差の3倍を加算した範囲)に入っていれば正常であり,外れていれば異常と判断する。
(第1の実施形態による補正方法)
次に,上記補正手段210による補正方法の具体例を図面を参照しながら説明する。第1の実施形態における補正手段210は,プラズマ処理装置100のメンテナンスを行うごとに区切られる区間ごとに,各区間内で検出器から検出される検出値を補正する。プラズマ処理装置に状態変化が生じる場合としては,装置の稼働により状態変化が生じる場合,メンテナンスなど装置状態を変化させる(改善させる)場合がある。例えば装置状態を変化させる(改善させる)場合としては,装置内の処理環境又は処理予測環境を改善する行為として例えばウエットクリーニングを行った場合,消耗品や検出器(センサ)の交換を行った場合などがある。また,補正の方法としては,例えば上記メンテナンスとしてウエットクリーニングを行った場合には,ウエットクリーニングを行うごとに区切られる区間(ウエットクリーニングサイクル)ごとに,各区間内の一部の区間の検出値を用いて各区間内の検出値を各パラメータごとに補正する。
(第1の実施形態による第1の補正方法)
第1の実施形態による具体的な補正方法は,以下の通りである。ウエットクリーニングを行うごとに区切られる区間をウエットクリーニングサイクル(以下,単に「サイクル」ともいう)WCとすると,サイクルWCの区間内で各検出器から検出された検出値のうちの一部の区間の検出値について各パラメータごとに平均値を算出し,この平均値に基づいてその区間内の各検出値を各パラメータごとに補正する。この補正は各サイクルWCごとに行う。例えば25枚のウエハを1ロットとし,各ロットごとにウエハをプラズマ処理する場合は,ウエットクリーニングを行った直後のロット(初期ロット)でプラズマ処理を行った検出値の平均値を用いる。
先ず,補正するサイクルWCの区間内の検出値のうちの一部の区間の検出値の平均値を各パラメータごとに求める。上記(1)式に示す行列Xにおけるパラメータkの検出値xは(11)式に示すようになる。この検出値xのうちp枚目からq枚目のウエハについての検出値の平均値をx′とすると,x′は(12)式に示すようになる。各サイクルWCの区間における初期ロット25枚の平均値を求める場合は,(12)式においてp=1,q=25とする。
Figure 0004464276
次にサイクルWCの区間内の各検出値から各パラメータkごとに平均値x′を引算することにより,そのサイクルWC内のすべての検出値を補正する。各パラメータkの平均値x′による補正後の検出値をXSUBとし,(1)式のXを用いると,(13)式に示すようになる。
Figure 0004464276
(第1の実施形態による第2の補正方法)
また,上述のように平均値x′を引算する代りに,上記区間内の各検出値を上記平均値で割算することにより,そのサイクルWC内のすべての検出値を補正してもよい。各パラメータkの平均値x′による補正後の検出値をXDIVとし,(1)式のXを用いると,(14)式に示すようになる。(14)式における右辺の行列は対角行列である。
Figure 0004464276
ここで,補正手段210により上述した補正方法で補正したデータを用いて主成分分析を行った実験結果を検討する。プラズマ処理としてウエハ上のシリコン膜に対してエッチング処理を行った場合の各ウエハごとに検出された検出器からの検出値に基づいて主成分分析を行った。エッチング条件としては,下部電極に印加する高周波電力は4000Wでその周波数は13.56MHz,処理室内の圧力は50mTorrとし,処理ガスとしてはC=20sccm,O=10sccm,CO=100sccm,Ar=440sccmの混合ガスを用いた。
先ず,補正手段210によって各検出値を補正した場合と比較するため,補正しない検出値を用いて主成分分析を行って残差得点(残差二乗和)Qを求めた結果を図3,図4に示す。ここでは検出値としてウエハを上述の条件によりエッチング処理するごとに各検出器により検出された検出値を解析用データとして用いている。また図3,図4において,点線矢印はウエットクリーニングを行った時点を示しており,縦軸に残差得点Q,横軸にウエハ処理枚数をとっている(図5〜図12についても同様)。図3,図4において,最初のウエハのデータから1回目のウエットクリーニングまでの区間をサイクルWC1とし,1回目のウエットクリーニングの後から2回目のウエットクリーニングまでの区間をサイクルWC2,2回目のウエットクリーニングの後から3回目のウエットクリーニングまでの区間をサイクルWC3,3回目のウエットクリーニングの後から最後のウエハのデータまでの区間をサイクルWC4とする。
ここで残差二乗和Qは,各パラメータの検出値(実測値)との残差(誤差)を示す。図3のグラフでは,残差二乗和Qがある一定範囲(例えば平均値と標準偏差の3倍を加算した範囲)に入っていれば正常であり,外れていれば異常と判断できる。大きく外れているほど誤差が大きい。
図3はサイクルWC1の検出値を用いて解析手段212によって主成分分析を行うことにより固有値及び固有ベクトルを求めてモデルを作成し,このモデルに基づいてすべてのサイクルWC1〜WC4の検出値に対して残差得点Qを求めた結果をグラフにしたものである。図4はサイクルWC2の検出値を用いて主成分分析を行って固有値及び固有ベクトルを求めてモデルを作成し,このモデルに基づいてすべてのサイクルWC1〜WC4の検出値に対して残差得点Qを求めた結果をグラフにしたものである。
図3,図4によれば,残差得点Qは各ウエットクリーニングを行った前後で大きく変化しており,ずれが生じていることがわかる。これはウエットクリーニングを行うことによって装置状態の傾向(各検出値の傾向)が変化すること(シフト的誤差)が要因の1つと考えられる。なお,図3(又は図4)においてサイクルWC1(又はWC2)では残差得点Qが装置状態が正常であると判断される許容範囲(例えば点線の値以下)に入っている。これはそのサイクルの検出値を用いて主成分分析を行ったからである。なお,図3〜図8における点線は,残差得点Qの平均値と標準偏差の3倍とを加算した値である。
このように図3,図4のいずれの場合にも残差得点Qにシフト的誤差がウエットクリーニングの前後で生じていることから,サイクルWC1,WC2のいずれの検出値を用いて主成分分析を行っても,ウエットクリーニングの前後で生じる大きなずれは解消できないことがわかる。すなわち,単にサイクルWCごとに主成分分析を行ってモデルを作成し直しても,ウエットクリーニングの前後で生じる大きなずれは解消できない。
次に,各サイクルWCごとに一部の区間の検出値の平均値を引算する補正を行った場合の実験結果を図5,図6を参照しながら説明する。ここでは各パラメータごとに各サイクルWCの初期ロットのウエハ(例えば25枚)についての検出値の平均値をそのサイクルWCの検出値から引算することによって補正を行った。
図5はサイクルWC1の補正後の検出値を用いて主成分分析を行って固有値及び固有ベクトルを求めてモデルを作成し,このモデルに基づいてすべてのサイクルWC1〜WC4の補正後の検出値に対して残差得点Qを求めた結果をグラフにしたものである。図6はサイクルWC2の補正後の検出値を用いて主成分分析を行って固有値及び固有ベクトルを求めてモデルを作成し,このモデルに基づいてすべてのサイクルWC1〜WC4の補正後の検出値に対して残差得点Qを求めた結果をグラフにしたものである。
図5,図6はいずれの場合も,残差得点Qが各ウエットクリーニングの前後で大きく変化していない。従って,図3,図4で生じていた各ウエットクリーニングの前後における残差得点Qの大きな変化(シフト的誤差)が解消されていることがわかる。このように補正手段210によって各サイクルWCごとに一部の区間の検出値の平均値を引算する補正を行うことにより,プラズマ処理装置内のクリーニング,消耗品や検出器の交換等のメンテナンスなどによる検出値の傾向の変動に基づく残差得点Qなどの指標に生じるシフト的誤差を解消することができる。これにより,主成分分析による解析精度を向上することができ,常に正確にプラズマ処理に関する情報の監視を行うことができる。
次に,各サイクルWCごとに一部の区間の検出値の平均値を割算する補正を行った場合の実験結果を図7,図8を参照しながら説明する。ここでは各パラメータごとに各サイクルWCの初期ロットのウエハ(例えば25枚)についての検出値の平均値でそのサイクルWCの検出値を割算することによって補正を行った。
図7はサイクルWC1の補正後の検出値を用いて主成分分析を行って固有値及び固有ベクトルを求めてモデルを作成し,このモデルに基づいてすべてのサイクルWC1〜WC4の補正後の検出値に対して残差得点Qを求めた結果をグラフにしたものである。図8はサイクルWC2の補正後の検出値を用いて主成分分析を行って固有値及び固有ベクトルを求めてモデルを作成し,このモデルに基づいてすべてのサイクルWC1〜WC4の補正後の検出値に対して残差得点Qを求めた結果をグラフにしたものである。
図7,図8はいずれの場合も,図3,図4で生じていた各ウエットクリーニングの前後における残差得点Qの大きな変化(シフト的誤差)が解消されていることがわかる。このように補正手段210によって各サイクルWCごとに一部の区間の検出値の平均値を割算する補正を行うことによっても,ウエットクリーニングによる装置状態の傾向のずれを解消でき,主成分分析による解析精度を向上することができる。
(第1の実施形態における第3の補正方法)
次に,上記補正手段210による他の補正方法を図面を参照しながら説明する。上述した補正方法では,サイクルWCの区間内で各検出器から検出された検出値のうちの一部の区間の検出値について各パラメータごとに平均値を求めたが,ここでは各サイクルWCの区間内におけるすべての検出値の平均値を各パラメータごとに求め,この平均値に基づいてその区間内の各検出値を各パラメータごとに補正する。この補正も各サイクルWCごとに行う。
具体的には,先ず,補正するサイクルWCの区間内のすべての検出値の平均値を各パラメータkごとに求める。具体的には上記(12)式においてpを補正するサイクルWCの最初のウエハの番号とし,qを補正するサイクルWCの最後のウエハの番号とする。こうして,算出されたサイクルWCごとの検出値の平均値をx″(k=1,2,…,K)とする。
次にサイクルWCの区間内の各検出値から各パラメータkごとに平均値x″を引算することにより,そのサイクルWC内のすべての検出値を補正する。各パラメータkの平均値x″による補正後の検出値をXSUB″とし,(1)式のXを用いると,(15)式に示すようになる。
Figure 0004464276
(第1の実施形態における第4の補正方法)
また,他の補正方法として,上述のように平均値x″を求めるとともに,補正するサイクルWCの区間内のすべての検出値の標準偏差Sも各パラメータkごとに求め,そのサイクルWCの区間内の各検出値から平均値x″を引算したものをさらに標準偏差Sで割算することにより,そのサイクルWCの区間内の各検出値を補正するようにしてもよい。各パラメータkの平均値x″,標準偏差Sによる補正後の検出値をXDIV″とし,(1)式のXを用いると,(16)式に示すようになる。(16)式における右辺の標準偏差Sの行列は対角行列である。
Figure 0004464276
(第1の実施形態における第5の補正方法)
さらに,他の補正方法として,上述のように補正するサイクルWCの区間内のすべての検出値について各パラメータkごとに平均値x″と標準偏差Sを求め,そのサイクルWCの区間内の各検出値から平均値x″を引算したものを標準偏差Sで割算し,その得られた値に対してローディング補正を施すことにより,そのサイクルWCの区間内の各検出値を補正するようにしてもよい。各パラメータkの平均値x″,標準偏差Sによる補正後の検出値をXDIV″とし,(1)式のXを用いると,(17)式に示すようになる。(17)式における右辺のRnk″は,モデルを作成するのに使用したサイクルWCとそのモデルで評価するサイクルWCによって値が異なる。例えばサイクルWC1の検出値により主成分分析を行ってモデルを作成し,サイクルWC2の検出値を評価する際には(18)式に示すようになる。この(18)式において,tW2naはサイクルWC2のn番目のウエハの第a主成分得点,pW1kaはサイクルWC1の第a主成分のパラメータkのローディング,pW2kaはサイクルWC2の第a主成分のパラメータkのローディングを示す。
Figure 0004464276
次に,補正手段210により上述した他の補正方法で補正したデータを用いて主成分分析を行った実験結果を検討する。プラズマ処理としてウエハ上のシリコン膜に対してエッチング処理を行った場合の各ウエハごとに検出された検出器からの検出値に基づいて主成分分析を行った。なお,上述した条件と異なる条件でエッチング処理を行った。ここでのエッチング条件としては,下部電極に印加する高周波電力は1400Wでその周波数は13.56MHz,処理室内の圧力は45mTorrとし,処理ガスとしてはC=80sccm,O=20sccm,Ar=350sccmの混合ガスを用いた。
先ず,補正手段210によって各検出値を補正した場合と比較するため,補正しない検出値を用いて主成分分析を行って残差得点(残差二乗和)Qを求めた結果を図9に示す。図9はサイクルWC1の検出値を用いて解析手段212によって主成分分析を行うことにより固有値及び固有ベクトルを求めてモデルを作成し,このモデルに基づいてすべてのサイクルWC1,WC2等の検出値に対して残差得点Qを求めた結果をグラフにしたものである。
図9によれば,図3,4の場合と同様に残差得点Qは各ウエットクリーニングを行った前後で大きく変化しており,ずれが生じていることがわかる。これはウエットクリーニングを行うことによって装置状態の傾向が変化すること(シフト的誤差)が要因の1つと考えられる。なお,図9においてサイクルWC1では残差得点Qが装置状態が正常であると判断される許容範囲(例えば一点鎖線の値以下又は点線の値以下)に入っている。これはそのサイクルの検出値を用いて主成分分析を行ったからである。なお,図9〜図12における一点鎖線は残差得点Qの平均値と標準偏差の3倍とを加算した値であり,点線は残差得点Qの平均値と標準偏差の6倍とを加算した値である。
次に,上述の他の補正方法により検出値の補正を行った場合の実験結果について図10〜図12を参照しながら説明する。図10〜図12はサイクルWC1の補正後の検出値を用いて解析手段212によって主成分分析を行うことにより固有値及び固有ベクトルを求めてモデルを作成し,このモデルに基づいてすべてのサイクルWC1,WC2等の補正後の検出値に対して残差得点Qを求めた結果をグラフにしたものである。
図10は各サイクルWCごとにサイクルWCのすべての検出値について各パラメータごとに平均値を引算する補正を行った場合の実験結果であり,図11は上記平均値を引算した値をさらにサイクルWCのすべての検出値においてパラメータごとに算出した標準偏差で割算する補正を行った場合の実験結果であり,図12は上記標準偏差で割算した値にさらにローディング補正を施す補正を行った場合の実験結果である。
図10〜図12によれば,残差得点Qが各ウエットクリーニングの前後で大きく変化していない。従って,図9で生じていた各ウエットクリーニングの前後における残差得点Qの大きな変化(シフト的誤差)が解消されていることがわかる。このように補正手段210によって各サイクルWCごとにサイクルWCのすべての検出値の平均値等を用いて補正を行うことによっても,ウエットクリーニングによる装置状態の傾向のずれを解消でき,主成分分析による解析精度を向上することができる。
このように本実施の形態によれば,当該装置内の処理環境又は処理予測環境を改善する行為(例えば当該装置内のクリーニング,消耗品や検出器の交換等のメンテナンス)を行うごとに区切られる区間ごとに,各区間内で検出される検出値に所定の補正処理を施して,補正後の検出値を解析用データとして多変量解析を行うので,メンテナンスを行うことにより装置状態の傾向が変化して多変量解析に用いる検出値の傾向が変った場合でもその変化が多変量解析の結果に影響することを極力防止できるため,当該装置の異常検出,当該装置の状態予測又は被処理体の状態予測などの精度を高めることができ,常に正確にプラズマ処理に関する情報の監視を行うことができる。
また,上記各区間ごとに検出値を補正するという簡単な処理だけで,検出値の傾向の変化が多変量解析の結果に影響することを極力防止できるので,多変量解析によるモデルを作り直すなどの手間を省くことができる。
なお,第1の実施形態では上述した補正処理を施した検出値を用いて多変量解析として主成分分析を行う場合について説明したが,必ずしもこれに限定されるものではなく,上記補正後の検出値を用いて部分最小二乗法(PLS;Partial Least Sqares)法などの重回帰分析を行うようにしてもよい。PLS法においては説明変数として複数のプラズマ反映パラメータを用い,目的変数を複数の制御パラメータおよび装置状態パラメータとし,両者を関連付けたモデル式(回帰式などの予測式,相関関係式)を作成する手法として用いられる。そして,作成したモデル式に説明変数としたパラメータを当てはめるだけで,説明変数のパラメータを予測することができる。上記PLS法の詳細は例えばJOURNAL OF CHEMOMETRICS,VOL.2(PP211−228)(1988)に記載されている。
このように,電気計測器107C,光学計測器120及びパラメータ計測器121からの検出値を補正して,上記補正後の検出値のパラメータを用いてPLS法によって多変量解析を行うことにより,制御パラメータや装置状態パラメータの予測,エッチングレートの均一性,パターン寸法,エッチング形状,ダメージなどのプロセス予測などを行う際に,メンテナンスを行うことにより装置状態の傾向が変化して多変量解析に用いる検出値の傾向が変化した場合でもその変化が多変量解析の結果に影響することを極力防止できるため,予測精度を向上させることができる。なお,上記パラメータ計測器121とは上述した制御パラメータを計測する計測器である。実際に多変量解析を行う際には,必ずしもすべてのデータを用いる必要はなく,電気計測器107C,光学計測器120,パラメータ計測器121からの少なくとも1種類以上のデータでPLS法などの重回帰分析を行う。従って,すべての計測器のデータを用いてもよく,電気計測器107Cのみのデータやパラメータ計測器121のみのデータを用いてもよい。
(第2の実施形態)
次に,本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。第2の実施形態にかかるプラズマ処理装置,多変量解析手段の構成はそれぞれ,図1,図2に示すものと同様であるため,これらの詳細な説明は省略する。
第2の実施の形態にかかる補正手段210は,各検出器で検出された現在の検出値をそれ以前に検出された検出値に基づいて補正(前処理)を行う前処理手段を構成する。すなわち,現在の検出値を以前の検出値の傾向を考慮して補正し,補正後の検出値を解析用データとして多変量解析することにより,ウエットクリーニングなどのメンテナンスの前後における解析結果のシフト的誤差及びプラズマ処理装置100を長期間稼働することによる解析結果の経時的誤差を解消することができる。この補正手段210によって補正された検出値を解析用データとして用いて解析手段212により多変量解析を行う。
(第2の実施形態における補正方法)
ここで,第2の実施形態にかかる補正手段210による補正方法(前処理方法)の具体例を図面を参照しながら説明する。本実施の形態では,上記検出器で検出された現在の検出値をそれ以前に検出された検出値に基づいて補正し,その補正後の検出値を解析用データとする。例えば,指数重み付き移動平均(EWMA;Exponentially Weight Moving Average)処理を行うことによって各検出器で検出された検出値を補正する。
EWMA処理は,一般に,既に蓄積されたデータから次の値を重みλ(0<λ<1)を用いて予測する方法である。例えばi番目のデータの重みをv,時間をtすると,v=λ(1−λ)t−iと表すことができ,重みは時間tのときの値から指数的に減少する。この式から重みλが0に近ければ,既に蓄積されたデータを十分考慮した次の値(予測値)を得ることができ,逆に重みλが1に近ければ直前のデータを重視した次の値(予測値)を得ることができる。
EWMA処理の詳細については,例えばArtificial neural network exponentially weighted moving average controller for semiconductor processes(1997 American Vacuum Society PP1377−1384)や,Run by Run Process Control:Combining SPC and Feedback Control(IEEE Transactions on Semiconductor Manufacturing,Vol.8,No1,Feb 1995 PP26−43)などに掲載されている。
ここでは,例えばEWMA処理による補正として,先ず各パラメータごとに各検出器で検出された現在の検出値についての現在の予測値を,直前の予測値と直前の検出値とにそれぞれ重みを付けて平均化することにより求める。具体的には,i番目のウエハの検出値についての予測値を現在の予測値Y,直前のi−1番目のウエハの検出値の実測値をXi−1,直前の予測値をYi−1,重みをλとすると,現在のYは(19)式により表される。なお,「*」はかけ算の演算記号を示す(以下,同様)。
Figure 0004464276
次に,上記現在の予測値Yを現在の検出値Xから引算することにより,現在の検出値を補正する。補正後の検出値をX′とすると,X′は(20)式に示すようになる。
Figure 0004464276
なお,EWMA処理による補正としては,各パラメータごとに各検出器で検出された現在の検出値についての現在の予測値を,直前の予測値と現在の検出値とにそれぞれ重みを付けて平均化することにより求めてもよい。この補正によっても,同様の検出値が得られる。この場合には,現在の予測値Yは(19)式の代りに(21)式を用いて求める。
Figure 0004464276
このように,補正手段210でEWMA処理によって検出値を補正することによって,現在の検出値をそれ以前の検出値の傾向を考慮して補正することができる。従って,補正後の検出値を解析用データとして多変量解析することにより,ウエットクリーニングなどのメンテナンスの前後における解析結果のシフト的誤差及びプラズマ処理装置100を長期間稼働することによる解析結果の経時的誤差を解消することができる。また,EWMA処理により直前又は現在の検出値に基づいて補正することによりリアルタイムに検出値を補正することができる。
次に,補正手段210により上述した補正方法で補正したデータを用いて主成分分析を行った実験結果を検討する。プラズマ処理としてウエハ上のシリコン膜に対してエッチング処理を行った場合の各ウエハごとに検出された検出器からの検出値に基づいて主成分分析を行った。この検出値としては,高周波電力を基本波から4倍波までの4種類でそれぞれ電気計測器(例えば,VIプローブ)107Cを介してプラズマに基づく高周波電圧V,高周波電流I,高周波電力P,インピーダンスZをVIプローブデータ(電気的データ)として計測した検出値を用いている。
この第2の実施形態におけるエッチング条件としては,下部電極102に印加する高周波電力は4000Wで,処理室内の圧力は50mTorrとし,処理ガスとしてはC=20sccm,O=10sccm,CO=100sccm,Ar=440sccmの混合ガスを用いた。
先ず,補正手段210によって各検出値を補正した場合と比較するため,補正しない検出値を用いて主成分分析を行って残差得点(残差二乗和)Qを求めた結果を図13に示す。ここでは検出値としてウエハを上述の条件によりエッチング処理するごとに各検出器により検出された検出値を補正しないで解析用データとして用いている。また図13において,点線矢印はウエットクリーニングを行った時点を示しており,縦軸に残差得点Q,横軸にウエハ処理枚数をとっている(図14についても同様)。図13において,最初のウエハのデータから1回目のウエットクリーニングまでの区間をサイクルWC1とし,1回目のウエットクリーニングの後から2回目のウエットクリーニングまでの区間をサイクルWC2,2回目のウエットクリーニングの後から3回目のウエットクリーニングまでの区間をサイクルWC3,3回目のウエットクリーニングの後から最後のウエハのデータまでの区間をサイクルWC4とする。
図13はサイクルWC1の検出値を用いて解析手段212によって主成分分析を行うことにより固有値及び固有ベクトルを求めてモデルを作成し,このモデルに基づいてすべてのサイクルWC1〜WC4の検出値に対して残差得点Qを求めた結果をグラフにしたものである。
図13によれば,残差得点Qは各ウエットクリーニングを行った前後で大きく変動しており,シフト的誤差が生じていることがわかる。これはウエットクリーニングを行うことによって装置状態の傾向(各検出値の傾向)が変化すること(シフト的誤差)が要因の1つと考えられる。また,各ウエットクリーニングごとに区切られる区間をウエットサイクルWC1〜WC4とすると,各ウエットサイクル区間内においても,残差二乗和Qが徐々に変化してその区間内全体のトレンド(傾き)が右上がりになっており,経時的誤差が生じていることがわかる。これはプラズマ処理装置100ではその処理室内に処理ガスを導入してプラズマを発生させるため,プラズマ処理装置を稼働するにつれて処理室内に反応生成物(堆積物)が付着し,検出器を汚すなどにより検出器からのデータが徐々に変化することが要因の1つと考えられる。なお,図13においてサイクルWC1では残差得点Qにより装置状態が正常であると判断される許容範囲(例えば実線の値以下)に入っている。これはそのサイクルの検出値を用いて主成分分析を行ったからである。なお,図13〜図15における実線は残差得点Qの平均値と標準偏差の3倍とを加算した値である。
次に,各パラメータごとにEWMA処理による検出値の補正(前処理)を行った場合の実験結果を図14,図15を参照しながら説明する。図14はサイクルWC1の補正後の検出値を用いて主成分分析を行って固有値及び固有ベクトルを求めてモデルを作成し,このモデルに基づいてすべてのサイクルWC1〜WC4の補正後の検出値に対して残差得点Qを求めた結果をグラフにしたものである。図14(a)は上述の(19)式(又は(21)式)において重みλ=0.1とした場合であり,図14(b)は上記重みλ=0.9とした場合である。
図14(a),(b)のいずれの場合も,残差得点Qが各ウエットクリーニングの前後で大きく変化していない。また,各サイクルWCの区間内でも全体的なトレンド(傾き)は水平になっている。従って,図13で生じていた各ウエットクリーニングの前後における残差得点Qのシフト的誤差及び経時的誤差がともに解消されていることがわかる。しかも,残差得点QはすべてのサイクルWC1〜WC4において,ほとんどの検出値がある一定範囲(例えば平均値と標準偏差の3倍を加算した範囲)に入っているため,装置状態が正常であることが正しく判断できる。
ここで,下部電極102に印加する高周波電力Pを変えた場合の解析精度への影響を検討する。図15は,上記高周波電力を3880W〜4120Wの範囲で変えて残差得点Qを求めたグラフである。図15において黒丸でプロットしたグラフはサイクルWC1の区間の残差得点Qであり,黒四角でプロットしたグラフはサイクルWC4の区間の残差得点Qである。
図15によれば,サイクルWC1,WC4における残差得点QはともにV字形状のグラフになり,高周波電力が4000Wのときに残差得点Qが最も低く,高周波電力が3970W〜4030Wの範囲は,装置状態が正常であると判断される許容範囲(例えば実線の値以下)内に入っている。従って,下部電極102に印加する高周波電力は4000Wとした場合が最も解析精度が高い。また高周波電力は,例えば正常と判断される許容範囲を残差得点Qの平均値と標準偏差の3倍以下とした場合にはその範囲に入る範囲(例えば3970W〜4030W)で解析精度が良好となる。
このように本実施の形態によれば,補正手段210によってEWMA処理による補正を行うことにより,プラズマ処理装置100の処理室内のクリーニング,消耗品や検出器の交換等のメンテナンスや装置の長期稼働などによる検出値の傾向の変動に基づく残差得点Qなどの指標に生じるシフト的誤差のみならず,経時的誤差についても解消することができる。これにより装置状態の異常を正しく判断することができるので,主成分分析による解析精度を向上することができる。これにより,プラズマ処理装置100の異常検出などの精度を高めることができ,常に正確にプラズマ処理に関する情報の監視を行うことができる。
(第3の実施形態)
次に,本発明の第3の実施形態を図面を参照して説明する。第3の実施形態におけるプラズマ処理装置,多変量解析手段はそれぞれ図1,図2に示すものと同様であるため,その詳細な説明は省略する。
第3の実施形態においては,多変量解析手段200で多変量解析としてPLS法(部分最小二乗法)によりモデル(回帰式)を作成して,プラズマ処理装置100の状態予測や被処理体の状態予測を行うときに,第2の実施形態で説明した補正手段210による補正後の解析用データを用いた場合を説明する。
第3の実施形態において上記多変量解析手段200は,解析手段212により例えば上記光学的データ及びVIプローブデータなどのプラズマ反映パラメータを説明変量(説明変数)とし,上記制御パラメータや装置状態パラメータなどのプロセスパラメータを被説明変量(目的変量,目的変数)とする下記(22)の関係式(回帰式などの予測式,モデル)を多変量解析プログラムを用いて求める。下記(22)の回帰式において,Xは説明変量の行列を意味し,Yは被説明変量の行列を意味する。また,Bは説明変量の係数(重み)からなる回帰行列であり,Eは残差行列である。
Figure 0004464276
第3の実施形態において上記(22)式を求める際には,例えばJOURNAL OF CHEMOMETRICS,VOL.2(PP211−228)(1988)に掲載されているPLS(Partial Least Squares)法を用いている。このPLS法は,行列X,Yそれぞれに多数の説明変量及び被説明変量があってもそれぞれの少数の実測値があればXとYの関係式を求めることができる。しかも,少ない実測値で得られた関係式であっても安定性及び信頼性の高いものであることもPLS法の特徴である。
第3の実施形態における多変量解析プログラム記憶手段201にはPLS法用のプログラムが記憶され,解析手段212において上記説明変量及び目的変量をプログラムの手順に従って処理して上記(22)式を求め,この結果を解析結果記憶手段205で記憶する。従って,第3の実施形態では上記(22)式を求めれば,後はプラズマ反映パラメータ(光学的データ及びVIプローブデータ)を説明変量として行列Xに当てはめることによって,プロセスパラメータ(制御パラメータ及び装置状態パラメータ)を予測することができる。しかもこの予測値は信頼性の高いものになる。
例えば,XY行列に対してa番目の固有値に対応する第a主成分得点のベクトルはtで表される。行列Xは上記第a主成分得点(スコア)tと固有ベクトル(ローディング)pを用いると下記の(23)式で表され,行列Yは上記第a主成分得点(スコア)tと固有ベクトル(ローディング)cを用いると下記の(24)式で表される。なお,下記(23)式,(24)式において,Xa+1,Ya+1はX,Yの残差行列であり,Xは行列Xの転置行列である。以下では指数Tは転置行列を意味する。
Figure 0004464276
Figure 0004464276
而して,第3の実施形態で用いられるPLS法は,上記(23)式,(24)式を相関させた場合の複数の固有値及びそれぞれの固有ベクトルを少ない計算量で算出する手法である。
PLS法は以下の手順で実施される。先ず第1段階では,行列X,Yのセンタリング及びスケーリングの操作を行う。そして,a=1を設定し,X=X,Y=Yとする。また,uとして行列Yの第1列を設定する。尚,センタリングとは各行の個々の値からそれぞれの行の平均値を差し引く操作であり,スケーリングとは各行の個々の値をそれぞれの行の標準偏差で除する操作(処理)である。
第2段階では,w=X /(u )を求めた後,wの行列式を正規化し,t=Xを求める。また,行列Yについても同様の処理を行って,c=Y /(t )を求めた後,cの行列式を正規化し,u=Y/(c )を求める。
第3段階ではXローディング(負荷量)p=X /(t ),Y負荷量q=Y /(u )を求める。そして,uをtに回帰させたb=u ta/(t )を求める。次いで,残差行列X=X−t ,残差行列Y=Y−b を求める。そして,aをインクリメントしてa=a+1を設定し,第2段階からの処理を繰り返す。これら一連の処理をPLS法のプログラムに従って所定の停止条件を満たすまで,あるいは残差行列Xa+1がゼロに収束するまで繰り返し,残差行列の最大固有値及びその固有ベクトルを求める。
PLS法は残差行列Xa+1の停止条件またはゼロへの収束が速く,10回程度の計算の繰り返すだけで残差行列が停止条件またはゼロに収束する。一般的には4〜5回の計算の繰り返しで残差行列が停止条件またはゼロへの収束する。この計算処理によって求められた最大固有値及びその固有ベクトルを用いてXY行列の第1主成分を求め,X行列とY行列の最大の相関関係を知ることができる。
次に,上記PLS法によって(22)式のようなモデル式(回帰式)を求める場合には予めウエハのトレーングセットを用いたエッチング処理の実験によって複数の説明変数と複数の目的変数を計測する。そのために例えばトレーニングセットとして18枚のウエハ(TH‐OX Si)を用意する。尚,TH‐OX Siは熱酸化膜が形成されたウエハのことである。なお,この第2の実施形態におけるエッチング条件としては,下部電極102に印加する高周波電力は1500Wで,処理室内の圧力は45mTorrとし,処理ガスとしてはC=10sccm,O=5sccm,CO=50sccm,Ar=200sccmの混合ガスを用いた。
この場合,実験計画法を用いて各パラメータデータを効率的に設定することができる。本実施形態では例えば目的変数となる制御パラメータを標準値を中心に所定の範囲内で各トレーニングエハ毎に振ってトレーニングエハをエッチング処理する。そして,エッチング処理時に説明変数となる光学的データ及びVIプローブデータを各トレーニングエハについて複数回ずつ計測し,演算手段206を介して複数の光学的データ及びVIプローブデータの平均値を算出する。
ここで,制御パラメータを振る範囲は,エッチング処理を行っている時に制御パラメータが最大限変動する範囲を想定し,この想定した範囲で制御パラメータを振る。本実施形態では,高周波電力,処理室1内の圧力,上下両電極102,104間の隙間寸法及び各プロセスガス(Arガス,COガス,Cガス及びOガス)の流量を制御パラメータとして用いる。各制御パラメータの標準値はエッチング対象によって異なる。
例えば,上記各トレーニングエハのエッチング処理を行う時には各制御パラメータを標準値を中心にして下記表1に示すレベル1とレベル2の範囲で各トレーニングエハ毎に振ってトレーニングエハのエッチング処理を行う。そして,各トレーニングエハを処理する間に,高周波電力を基本波から4倍波までの4種類でそれぞれ電気計測器70を介してプラズマに基づく高周波電圧V,高周波電流I,高周波電力P,インピーダンスZをVIプローブデータ(電気的データ)として計測すると共に,光学計測器120を介して例えば200〜950nmの波長範囲の発光スペクトル強度を光学的データとして計測し,これらのVIプローブデータ及び光学的データを説明変量であるプラズマ反映パラメータとして用いる。また,同時に下記(表1)に示す各制御パラメータの実測値及び可変コンデンサC1,C2のポジション,高調波電圧Vpp,APC間度等が装置状態パラメータの実測値を各パラメータ計測器121を用いて計測する。
Figure 0004464276
トレーニングエハを処理するに当たって上記各制御パラメータを熱酸化膜の標準値に設定し,標準値で予め5枚のダミーウエハを処理し,プラズマ処理装置100の安定化を図る。引き続き,18枚のトレーニングエハのエッチング処理を行う。この際,上記各制御パラメータを下記(表2)に示すようにレベル1とレベル2の範囲内で各トレーニングエハ毎に振って各トレーニングエハを処理する。(表2)においてL1〜L18はトレーニングエハの番号を示している。
Figure 0004464276
そして,各トレーニングエハについて複数の電気的データ及び複数の光学的データをそれぞれの計測器から得た後,各トレーニングエハの各VIプローブデータ(電気的データ)及び各光学的データの平均値を算出するとともに,各プロセスパラメータ(制御パラメータ及び各装置状態パラメータ)の各実測値ぞれぞれの平均値を算出する。そして,これら各パラメータの平均値に対して上記EWMA処理による補正を施し,補正後の値を説明変量及び目的変数として用いてモデル式を作成する。なお,説明変数のみに補正後の値を用いてもよい。
そして,予測結果を求めるテストセットの各テストウエハを処理する毎に,多変量解析手段200の演算手段206ではそれぞれのVIプローブデータ(電気的データ)及び光学的データの平均値に補正手段210で上記EWMA処理による補正を行いつつ,補正後のデータを解析結果記憶手段205から取り込んだモデル式に代入し,テストウエハ毎にプロセスパラメータ(制御パラメータ及び装置状態パラメータ)の予測値を算出する。
次に,第3の実施の形態において上記EWMA処理による補正を施してPLS法によるプロセスパラメータの予測を行った結果を検討する。ここでは説明変数とするVIプローブデータ及び光学的データのみに上記EWMA処理による補正(前処理)を施す。この場合,モデルを作成するときの目的変数には基線補正を行うようにしてもよい。基線補正としては例えば6枚目と25枚目のウエハのデータの平均値を算出してこれを基線とし,モデルを作成するときの目的変数のデータから基線とした平均値を引算する補正を行うようにしてもよい。
先ず,VIプローブデータ及び光学的データの補正前と補正後のデータを比較する。VIプローブデータのうちの高周波電圧Vについての補正前のデータを図16(a)に示し,補正後のデータを図16(b)に示す。光学的データのうちのある波長の発光強度についての補正前のデータを図17(a)に示し,補正後のデータを図17(b)に示す。なお,図16のA区間はトレーニングセットとした部分を示し,B区間はテストセットとした部分である(図16〜図19のうち他の図面についても同様であり,他の図面についてはA区間,B区間の表示は省略してある)。
図16(a)では,補正前の高周波電圧Vは徐々に増加し,全体として右上がりのトレンド(傾き)がある。図17(a)でも補正前の光学的データの発光強度は徐々に減少し,全体として右下がりのトレンド(傾き)がある。すなわち,補正前のデータはいずれの場合も経時的な変動が見られる。
これに対して,補正後のデータである図16(b),図17(b)はいずれの場合も全体的なトレンド(傾き)が水平になっている。このように,EWMA処理による補正を施すことにより,図16(a),図17(a)で生じていた経時的な変動を解消できることがわかる。
次に,図16(b),図17(b)に示すような補正後のVIプローブデータ及び光学的データを用いてA区間によりモデルを構築し,B区間のデータによりプロセスデータ(高周波電力P,処理室内の圧力,電極間の隙間,処理ガスの流量等)を予測した。このうち,処理室内の圧力の予測値,Cの流量の予測値をそれぞれ図18,図19に示す。図18(a),図19(a)は,補正をしないVIプローブデータ及び光学的データを用いた予測結果であり,図18(b),図19(b)は,補正をしたVIプローブデータ及び光学的データを用いた予測結果である。
図18(a),図19(a)では,ともに予測値は徐々に増加し,全体として右上がりのトレンド(傾き)がある。すなわち,補正を行わない場合にはデータはいずれのデータも予測値に経時的な変動(経時的誤差)が見られる。これに対して,図18(b),図19(b)はいずれの場合も全体的なトレンド(傾き)が水平になっている。このように,EWMA処理による補正を施したデータを用いることにより,検出値の経時的な変動(経時的誤差)による予測値への影響を解消できることがわかる。
このように第3の実施の形態によれば,EWMA処理による補正を施したデータを用いてPLS法によりモデルを構築して予測値を算出することにより,各パラメータのデータを構成する検出値の変動による予測値への影響を解消できる。これにより,予測精度を向上させることができ,常に正確にプラズマ処理に関する情報の監視を行うことができる。
その他,上記補正後の検出値のパラメータを用いてPLS法によって多変量解析を行うことにより,制御パラメータや装置状態パラメータの予測,エッチングレートの均一性,パターン寸法,エッチング形状,ダメージなどのプロセス予測などを行う際においても,例えばメンテナンス前後に生じるシフト的誤差や処理装置の長期間稼働による経時的誤差を解消できるので,予測精度を向上させることができる。
また,検出値を補正するという簡単な処理だけで,検出値の傾向の変化が多変量解析の結果に影響することを極力防止できるので,多変量解析によるモデルを作り直すなどの手間を省くことができる。
(第4の実施形態)
次に,本発明の第4の実施形態について図面を参照しながら説明する。第4の実施形態にかかるプラズマ処理装置,多変量解析手段の構成はそれぞれ,図1,図2に示すものと同様であるため,これらの詳細な説明は省略する。
第4の実施の形態にかかる補正手段210は,第2の実施形態と同様に各検出器で検出された現在の検出値をそれ以前に検出された検出値に基づいて補正(前処理)を行う前処理手段を構成する。第2の実施形態と異なるのは,より簡単な演算で補正を行う点である。すなわち,第4の実施形態にかかる補正手段210は,上記検出器で検出された現在の検出値から直前に検出された検出値を引算したものを補正後の検出値としてこれを解析用データとする点である。
(第4の実施形態の原理)
このような第4の実施形態における原理を説明する。ここでは,解析用データの元になる検出器の検出値として光学計測器120例えば分光器によって得られるプラズマの全波長又は特定領域の波長に関する検出値例えば発光データSを考える。発光データSは一般に対象となるプラズマ処理装置に特有の装置関数に比例する。この装置関数は様々な要素から構成されるものと考えられるが,ここでは例えば下記(25)式に示すような要素により構成されるものと仮定する。
Figure 0004464276
上記(25)式のうち,Iorg×Ltool×(1+Cstr)は装置システム項,ΔΩは立体角項,Tfib×Tdepoは透過率項,Cbackは背景光項,ηはCCD項である。装置システム項(Iorg×Ltool×(1+Cstr))は装置やシステムに依存する要素である。Iorgはもともとのプラズマ発光による値である。従って,Iorgは同じプロセス条件では同じ値となる。Ltoolは例えばパーツの状態による変動に基づくものであり,装置状態に伴う項である。Cstrは光学計測器120内の迷光に伴う項である。
立体角項(ΔΩ)は,プラズマ光を受光する光ファイバのプラズマを見込む角と,光学計測器120例えば分光器の入口スリットや内部スリットに基づく受光量を考慮した項である。透過率項(Tfib×Tdepo)のうち,Tfibは光学ファイバの透過率の低下に基づく項であり,Tdepoは例えば処理容器の側壁に設けた観測窓へ不純物付着に基づく項である。これら光学ファイバの透過率の低下,観測窓の不純物付着は,プラズマ処理装置で透過率が変動する要因の主なものであるため,プラズマ処理装置全体の透過率をこの二つで表している。
背景光項(Cback)は,プラズマ以外からの光(外乱),またはCCDの暗電流などノイズ成分を表す。CCD項(η)は,CCDの量子効率,信号増幅率の積に基づく要素である。
ここで,上記(25)式の各要素の中には,定数項にすることができるものもあるので,その観点から(25)式を単純化する。Cstr,ΔΩ,Cback,ηについては,定数項と考えられる。例えばCstrについては,光学計測器120が固定されているため,光学計測器120内の光学系アライメントが狂っていないとすれば迷光も一定のはずであるから定数と考えられる。ΔΩについては,光ファイバの取付けにずれが生じていないとすれば定数と考えられる。Cbackについては,半導体処理装置が一定光量の環境下に置かれていると考えられるので,一定とすることができる。ηについては,量子効率や増幅のゲインは常に一定であると仮定できるので,この値も一定にすることができる。
これに対して,Iorg,Ltool,Tfib,Tdepoはすべて変数と考えられる。例えばIorgについては,プラズマ自体の発光量はプロセスパラメータの変動依存を持つので,変数と考えられる。Ltoolは例えばパーツの状態による変動を表しているので,温度や劣化など時間tの関数で表されると考えられる。なお,パーツの取り付け具合など非時間依存がないものに関してはこのLtoolに含まれない。Tfibは時間が経つにつれて光ファイバ透過率が低下するので変数として取扱うことができる。Tdepoは観測窓の表面に付着する不純物による変数である。一方,一般に不純物付着による透過率の変化は時間に対して指数関数的減少に従うことが知られている。従って,Tdepoは変数として取扱うことができる。
以上のような考察により,定数項となる部分をそれぞれ,K=η×(1+Cstr)×ΔΩ,K=η×Cbackとすれば,(25)式は下記(26)式に示すように単純化することができる。
Figure 0004464276
上記(26)式のうち,Iorgはプロセスパラメータに依存する変数であり,Ltool(t),Tfib(t),Tdepo(t)は時間に依存する変数である。従って,第4の実施形態における補正処理による前処理により,時間依存する変数(Ltool(t),fib(t),Tdepo(t))がキャンセルできればよい。
パーツや透過率の時経的な変動は,微少な時間の変化t+Δtにおいてほとんど変動しないとすると,Ltool(t+Δt),Tfib(t+Δt),Tdepo(t+Δt)はほとんどLtool(t),Tfib(t),Tdepo(t)に等しいものとして扱うことができる。
ここで,上記(26)式を用いて,本実施の形態による補正処理の考え方の実証を試みる。第4の実施形態における補正処理は,発光データSなどの検出値について現在の検出値から直前の検出値を引算したものを補正後の検出値とするものである。従って,一連の発光データをS={s,s,…,s}とし,次の(27)式に示す級数を考える。
Figure 0004464276
上記(27)式において,発光データSがプロセスパラメータとの関係ですべて正常とすれば,(27)式を一般式で表すと次の(28)式に示すようになる。
Figure 0004464276
上記(28)式に示すように,もしプロセスパラメータとの関係で正常なデータが連続していれば,それらは第4の実施形態による補正処理によって補正後の検出値はほぼ0に規格化される。これに対して,あるプロセスパラメータ例えばpについて異常が起こった場合には,(27)式は下記(29)式に示すようになる。
Figure 0004464276
上記(29)式によれば,プロセスパラメータ例えばpについて異常が起こった場合には,補正後の検出値はほぼ0にならないため,他の正常データと差別化することができる。このように,第4の実施形態による補正処理によれば,時間に依存する変数例えばLtool(t),Tfib(t),Tdepo(t)の経時的誤差をなくしつつ,異常が生じた場合にはそれを判定することができることがわかる。
(第4の実施形態における補正方法)
次に,上記原理に基づく第4の実施形態にかかる補正処理を利用したモデル作成処理及び実際のウエハ処理について説明する。図20は,図2に示す多変量解析モデルのモデル作成処理のフローを示す図であり,図21は,実際のウエハ処理のフローを示す図である。ここでは多変量解析モデルは,例えば上記主成分分析により作成する。
先ず,モデル作成処理が行われる。所定枚数例えば25枚の正常なトレーニングデータを取得し,そのトレーニングデータについて主成分分析により多変量解析モデルを作成する。
具体的には,図20に示すようにステップS100にてデータ収集を行う。すなわち,プラズマ処理装置100により例えば1枚のトレーニングウエハをプラズマ処理して光学データ(例えば分光器で得られる全波長領域のプラズマ発光強度の光学データ)を検出する。ステップS100では1枚ごとにプラズマ処理した場合に限られず,複数の所定枚数からなる1ロットごとにトレーニングウエハをプラズマ処理して1ロット分の発光データを取得するようにしてもよい。なお,ステップS100では光学データの他に,後述のステップS110における異常判断において使用するエッチングレート,面内均一性などの処理結果データやPLS法による解析結果などの装置状態データなどを収集するようにしてもよい。
次いでステップS110にて収集した光学データが後述のモデル作成処理に用いるデータとして使用できるか否かを判断する。ここでは,各トレーニングウエハについて,光学データの他に収集したエッチングレート,面内均一性などのデータが異常か否かを判断する。例えばエッチングレートが正常ならば,そのときの光学データはモデル作成に用いることができるデータとし,エッチングレートが異常ならば,そのときの光学データはモデル作成に用いることができないデータとする。以下では,これら処理結果データ,装置状態データなどが正常なときの光学データを「正常な光学データ」と表現し,これら処理結果データ,装置状態データなどが異常なときの光学データを「異常な光学データ」と表現する。
上記エッチングレートは例えばエッチング開始時間と終了時間,プラズマ処理後のウエハの膜厚測定結果などから取得する。また面内均一性はプラズマ処理後のウエハ上の数点のサンプルを膜圧測定した結果などから取得する。なお,収集した光学データが異常か否かの判断は,PLS法によって予め作成されたモデルに基づいて判断するようにしてもよい。この場合,上記のように1ロット分の発光データを判定する際には,その1ロット分のうちの異常であると判断されたトレーニングウエハをさらにプラズマ処理して判定を行うようにしてもよい。
上記ステップS110にて収集した光学データが異常であると判断した場合には,ステップS120にてプラズマ処理装置100の状態を修正処理されたか判断し,装置状態の修正処理がされたと判断した場合にはステップS100の処理に戻る。具体的には,ステップS110にて収集した光学データが異常であると判断した場合には,例えばプラズマ処理装置100を停止してメンテナンス等を行うように促す旨のアラームなどの報知やディスプレイへの表示を行う。そして,ステップS120では例えばプラズマ処理装置100が再度起動したか否かを判断する。プラズマ処理装置100が再度起動したと判断した場合は,装置状態の修正処理が行われたと判断する。
なお,上記修正処理としては異常の種類に応じた処理が行われる。例えばエッチングレートが異常を示す場合には,プロセス条件(エッチング条件)の間違い,処理容器の状態変化(例えば付着物の付着具合,上部電極などの部品による処理容器内のインピーダンスの変化など)に起因する。例えば発光データの異常がプロセス条件(エッチング条件)の間違いが原因であれば,その修正処理としてそのプロセス条件(エッチング条件)を正しいものにし,処理容器内の付着物が原因であればその修正処理として処理容器内のクリーニングを行う。発光データの異常が処理容器内の部品によるインピーダンスの変化が原因であればその修正処理として部品交換を行う。また,発光データの異常がそのウエハの面内均一性に基づくものであればその修正処理としてはそのウエハはトレーニングデータから除く処理を行う。なお,上記装置状態の修正処理がプラズマ処理装置自体が自動で行うメンテナンスなどである場合には,ステップS120は装置状態の修正処理がされたかの判断する代りに,装置状態の修正処理を行うという処理に置換えてもよい。
上記ステップS110にて収集した発光データが異常でない,すなわち正常であると判断した場合には,ステップS130にて所定枚数例えば25枚のウエハの発光データが揃ったと判断した場合には,ステップS140にてこれらの発光データに対して第4の実施形態における補正手段210による補正処理としての前処理を行う。具体的には,上記(28)式に示すように発光データに対して,ウエハの発光データごとに現在の検出値を直前の検出値から引算し,これを補正後の検出値とすることにより,検出された検出値を次々と補正していく。なお,この場合,例えば最初のウエハの発光データについてはその直前の発光データは存在しないのでトレーニングデータとして使用しないようにしてもよい。また,ステップS140の補正処理としては,上述した第1〜第3の実施形態における補正処理を適用してもよい。
続いてステップS150にて上記前処理が施された発光データをトレーニングデータとして解析手段212により主成分分析による多変量解析を行い,多変量解析モデルを作成する。
このようなモデル作成処理によれば,先ずプラズマ処理装置100により25枚のトレーニングウエハをプラズマ処理して光学データ例えば特定波長のプラズマ発光強度のデータを検出する。これらのデータが異常か否かを判断して,異常であればプラズマ処理装置100のメンテナンス等を行って発光データを検出し直す。すべて正常なトレーニングデータが揃ったうえで,これらトレーニングデータに基づいて多変量解析モデルを作成する。これによれば,正常なトレーニングデータで多変量解析モデルを作成することができるので,多変量解析モデルに使用した発光データが原因で異常検出精度が低下することを防止することができる。
次に,図21に示すような実際のウエハに対する処理を行う。このとき,実際のウエハの処理が異常か否かを上記多変量解析モデルに基づいて判定する。
具体的には先ずステップS200にてデータ収集を行う。すなわち,プラズマ処理装置100により例えば1枚の実際のウエハ(テストウエハ)をプラズマ処理して光学データ(例えば分光器で得られる全波長領域のプラズマ発光強度の光学データ)を検出する。ステップS200におてもステップS100の場合と同様に1枚ごとにプラズマ処理した場合に限られず,複数の所定枚数からなる1ロットごとにテストウエハをプラズマ処理して1ロット分の発光データを取得するようにしてもよい。
次いでステップS200にて収集した発光データが後述する装置状態修正処理がされた後の最初のウエハの発光データか否かを判断する。このような判断を入れたのは,次のような理由による。例えば装置状態修正処理がされた後の最初のウエハの発光データに第4の実施形態にかかる補正処理による前処理(現在の検出値から直前の検出値を引算したものを補正後の検出値とする処理)を施す場合,装置状態修正処理後の最初のウエハの発光データを現在の検出値とすれば,その直前の検出値は異常データに相当する。このため,現在の検出値から異常データを引算すると,もし現在の検出値が正常データであった場合には,補正後の検出値は大きくなるので正常であるにも拘らず異常と誤って判断されるおそれがあるからである。また,上記とは逆に,もし現在の検出値が異常データであった場合であっても,補正後の検出値はほとんど0になるので異常であるにも拘らず正常と誤って判断されるおそれがあるからである。
従って,ステップS210にて装置状態修正処理がされた後の最初のウエハの発光データであると判断した場合には,ステップS260にて多変量解析モデルのモデル作成処理を行う。この場合のモデル作成処理は図20に示すものと同様である。例えば装置状態修正処理がされた後の最初のウエハを1枚目のトレーニングウエハとして図20に示すモデル作成処理を実行する。そして,多変量解析モデルを再構築すると,ステップS200の処理に戻り,実際のウエハの処理を開始する。
このように,装置状態修正処理がされた後の最初のウエハの発光データであると判断した場合には多変量解析モデルを再構築することにより,第4の実施形態にかかる補正処理による前処理において直前のデータが異常データであることがなくなるので,装置状態修正処理がされた後の最初のウエハを含めて各ウエハの発光データが異常か否かが誤って判断されるおそれをなくすことができる。
上記ステップS210にて装置状態修正処理がされた後の最初のウエハの発光データでないと判断した場合には,ステップS220にて第4の実施形態にかかる補正処理による前処理を行う。すなわち,ここでの前処理としては,実際のウエハをプラズマ処理して収集された発光データを現在の検出値として,この現在の検出値から直前の検出値を引算したものを補正後の検出値とする。また,ステップS220の補正処理としては,上述した第1〜第3の実施形態における補正処理を適用してもよい。
続いて,ステップS230にて収集した発光データが異常か否かを判断する。具体的には図20に示すモデル作成処理にて作成した多変量解析モデルに基づいて異常か否かを判断する。例えば上記多変量解析モデルに基づいて収集した発光データの残差得点Qを算出し,その残差得点Qが所定の範囲を越えなければ異常でない,すなわち正常であると判断し,所定範囲を越えると異常であると判断する。
上記ステップS230にて収集した発光データが異常であると判断した場合はステップS240にて装置状態の修正処理がされたか否かを判断する。このステップS240の処理は,図20に示すステップS120の処理と同様である。
これに対して上記ステップS230にて収集した発光データが異常でない,すなわち正常であると判断した場合はステップS250にてすべてのウエハの処理が終了したか否かを判断する。ステップS250にて未だすべてのウエハの処理を終了していないと判断した場合はステップS200の処理に戻り,ステップS250にて未だすべてのウエハの処理を終了していないと判断した場合は実際のウエハ処理を終了する。
次に,上記図21により説明した実際のウエハ処理を他の方法で処理する場合について図面を参照しながら説明する。図22は,他の方法による実際のウエハ処理のフローを示す図である。図22におけるステップS200〜ステップS250までの処理は図21に示す処理と同様であるので,詳細な説明を省略する。
他の方法による実際のウエハ処理は,ステップS210にて装置状態修正処理がされた後の最初のウエハの発光データであると判断した場合の処理が相違する。すなわち,図22に示す処理では,ステップS300にて装置状態修正処理前の正常な発光データを直前の検出値として,第4の実施形態にかかる補正処理による前処理を実行する。例えば装置状態修正処理前の正常な発光データとしては,例えば異常であると判断された発光データの直前が正常な発光データであれば,その正常なデータを直前の検出値として,この直前の検出値を現在の検出値から引算したものを補正後の検出値とする。
これにより,装置状態修正処理がされた後の最初のウエハの発光データについては,その直前のデータが異常データであっても,そのデータは使用せずに,装置状態修正処理前の正常な発光データを直前の検出値として前処理を行うため,補正後の検出値は正常な値となる。これによっても,図21に示す処理の場合と同様に,装置状態修正処理がされた後の最初のウエハの発光データを含めて各ウエハの発光データが異常か否かが誤って判断されるおそれをなくすことができる。さらに,図21に示す処理のようにステップS260にて多変量解析モデルを再構築する必要がなく,正常なデータを直前の検出値とするという簡単な処理で足りる。これにより,処理時間を短縮することができ,演算負担も軽くすることができる。
次に,第4の実施形態にかかる補正手段210により上述した他の補正方法で補正したデータを用いて主成分分析を行った実験結果を検討する。プラズマ処理としてウエハ上のシリコン膜に対してエッチング処理を行った場合の各ウエハごとに検出された検出器からの検出値に基づいて主成分分析を行った。
先ず,シフト的誤差が解消した例を図23,図24を参照しながら説明する。図23は,第4の実施形態によるものと比較するための例であり,第4の実施形態による補正をしない検出値を用いて主成分分析を行って残差得点(残差二乗和)Qを求めた結果である。図24は第4の実施形態による補正をした検出値を用いて主成分分析を行って残差得点Qを求めた結果である。ここでは,プラズマ処理装置100を使用し,例えば以下の標準となるエッチング条件により実験を行った。すなわち,エッチング条件としては,下部電極に印加する高周波電力は3000Wでその周波数は13.56MHz,処理室内の圧力は40mTorrとし,処理ガスとしてはC=26sccm,O=19sccm,CO=100sccm,Ar=1000sccmの混合ガスを用いた。そして,最初の25枚をトレーニングウエハとして主成分分析を行って多変量解析モデルを作成し,26枚目以降をテストウエハとして多変量解析モデルに基づいてそのテストウエハの検出値が異常か否かの判断を行ったものである。
図23において区間Z1,Z3は,上述の標準となるエッチング条件によりエッチングを行った正常な場合である。区間Z1と区間Z3ではシフト的誤差が生じることがわかる。これは,区間Z1,区間Z3では異なる日にエッチング処理を行ったものである。このようにエッチング処理を異なる日に行ってプラズマ処理装置を立上げ直した場合も,上述したメンテナンス前後のようなシフト的誤差が生じることがわかる。また区間Z2,Z4は,標準となるエッチング条件を変えて異常状態を実験的に作り出したものである。
図24によれば,区間Z1,Z3については残差得点Qがともに0に近い値に変化していることがわかる。これによれば区間Z1,Z3はともに正常データと判断され得る。しかも,図24の区間Z2,Z4については残差得点Qも大きく変化している。これによれば区間Z2,Z4は異常データと判断され得る。このように第4の実施形態にかかる補正処理を行うことにより,シフト的誤差を解消しつつ,正常か否かの判断も正確に行うことができることがわかる。
また,経時的誤差が解消した例を図25,図26を参照しながら説明する。図25は,第4の実施形態によるものと比較するための例であり,第4の実施形態による補正をしない検出値を用いて主成分分析を行って残差得点(残差二乗和)Qを求めた結果である。図26は第4の実施形態による補正をした検出値を用いて主成分分析を行って残差得点Qを求めた結果である。ここでは,プラズマ処理装置100とは異なり,下部電極のみならず上部電極にも高周波電力を印加するタイプのプラズマ処理装置を使用した。上部電極に印加する高周波電力の周波数は例えば60MHzであり,下部電極に印加する高周波電力の周波数は例えば13.56MHzである。
このようなプラズマ処理装置を使用して例えば以下の標準となるエッチング条件により実験を行った。すなわち,エッチング条件としては,上部電極に印加する高周波電力は3300Wであり,下部電極に印加する高周波電力は3800Wである。処理室内の圧力は25mTorrとし,処理ガスとしてはC=2.9sccm,O=47sccm,Ar=750sccmの混合ガスを用いた。そして,最初の25枚をトレーニングウエハとして主成分分析を行って多変量解析モデルを作成し,26枚目以降をテストウエハとして多変量解析モデルに基づいて正常か否かの判断を行ったものである。
図25においては残差得点Qが徐々に大きくなるような経時的誤差が生じている。またウエハの処理枚数が600枚〜700枚あたりに残差得点Qが大きくなるものがある。これは正常であるにも拘らず残差得点Qが異常を示した部分である。
図26によれば,残差得点Qは全体にわたりほとんど0に近い値に変化していることがわかる。これによれば全体にわたり正常なデータと判断され得る。しかも,図26によれば,図25に示す600枚〜700枚あたりに残差得点Qが大きく出ていた部分についても,ほとんど0に近い値になっている。この部分も実際は正常であったため,それが残差得点Qに現れていることがわかる。このように第4の実施形態にかかる補正処理を行うことにより,上述したシフト的誤差のみならず,経時的変化をも解消しつつ,正常か否かの判断も正確に行うことができることがわかる。
なお,第4の実施形態では上述した補正処理を施した検出値を用いて多変量解析として主成分分析を行う場合について説明したが,必ずしもこれに限定されるものではなく,上記補正後の検出値を用いて部分最小二乗法(PLS;Partial Least Sqares)法などの重回帰分析を行うようにしてもよい。
以上,添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば,プラズマ処理装置としては,平行平板型のプラズマエッチング装置に限られず,処理室内にプラズマを発生させるヘリコン波プラズマエッチング装置,誘導結合型プラズマエッチング装置等に適用してもよい。また,上記実施の形態では,ダイポールリング磁石を用いたプラズマ処理装置に適用した場合について説明したが,必ずしもこれに限定されるものではなく,例えばダイポールリング磁石を用いず上部電極と下部電極に高周波電力を印加してプラズマを発生させるプラズマ処理装置に適用してもよい。
このように本発明によれば,当該処理装置の状態が変化して検出値の傾向が変化した場合でも,当該装置の異常検出,当該装置の状態予測又は被処理体の状態予測などの精度を高めることができ,常に正確にプラズマ処理に関する情報の監視を行うことができる。
産業上の利用の可能性
本発明は,プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置に適用可能であり,特に半導体ウエハなどの被処理体を処理する際,処理装置の異常検出,装置状態の予測又は被処理体の状態予測などプラズマ処理に関する情報を監視するプラズマ処理方法及びプラズマ処理装置に適用可能である。
符号の説明
100 プラズマ処理装置
101 処理室
101A 上室
101B 下室
101C 排気管
101D バルブ
102 下部電極
102A 絶縁材
103 支持体
103A 冷媒流路
103B ガス流路
104 上部電極(シャワーヘッド)
104A ガス導入部
104B 孔
105 ダイポールリング磁石
106 ゲートバルブ
107 高周波電源
107A 整合器
107B 電力計
107C 電気計測器
108 静電チャック
108A 電極板
109 直流電源
110 フォーカスリング
111 排気リング
112 ボールネジ機構
113 ローズ
114 冷媒配管
115 ガス導入機構
115A ガス配管
118 プロセスガス供給系
119 排気系
120 光学計測器
121 パラメータ計測器
122 制御装置
123 警報器
124 表示装置
200 多変量解析手段
201 多変量解析プログラム記憶手段
202 電気的信号サンプリング手段
203 光学的信号サンプリング手段
204 パラメータ信号サンプリング手段
205 解析結果記憶手段
206 演算手段
207 予測・診断・制御手段
210 補正手段
212 解析手段

Claims (6)

  1. 気密な処理容器内にプラズマを発生させて被処理体にプラズマ処理を施す処理装置における前記プラズマ処理に関する情報を監視するプラズマ処理方法であって,
    前記プラズマ処理の際に前記処理装置に配設された複数の検出器から前記被処理体ごとに検出される検出値を収集するデータ収集段階と,
    前記処理装置のメンテナンスを行うごとに区切られる区間ごとに,各区間内で前記検出器から検出される検出値を補正する補正段階と,
    前記補正後の検出値を解析用データとして用いて多変量解析を行い,その解析結果に基づいてプラズマ処理に関する情報を監視する解析処理段階と,
    を有し,
    前記補正段階は,前記各区間内の検出値について平均値及び標準偏差を算出し,前記各区間内の検出値から前記平均値を引算したものを前記標準偏差で割算し,得られた値に対してローディング補正を施すことにより,前記各区間内の検出値を補正することを特徴とするプラズマ処理方法。
  2. 前記多変量解析として主成分分析を行い,その結果に基づいて前記処理装置の状態異常を検出することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理方法。
  3. 前記多変量解析として重回帰分析によりモデルを作成し,このモデルを用いて前記処理装置の状態予測又は前記被処理体の状態予測を行うことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理方法。
  4. 気密な処理容器内にプラズマを発生させて被処理体にプラズマ処理を施す際に,前記プラズマ処理に関する情報を監視するプラズマ処理装置であって,
    前記プラズマ処理の際に前記処理装置に配設された複数の検出器から前記被処理体ごとに検出される検出値を収集するデータ収集手段と,
    前記処理装置のメンテナンスを行うごとに区切られる区間ごとに,各区間内で前記検出器から検出される検出値を補正する補正手段と,
    前記補正後の検出値を解析用データとして用いて多変量解析を行い,その解析結果に基づいてプラズマ処理に関する情報を監視する解析処理手段と,
    を有し,
    前記補正手段は,前記各区間内の検出値について平均値及び標準偏差を算出し,前記各区間内の検出値から前記平均値を引算したものを前記標準偏差で割算し,得られた値に対してローディング補正を施すことにより,前記各区間内の検出値を補正することを特徴とするプラズマ処理装置。
  5. 前記多変量解析として主成分分析を行い,その結果に基づいて前記処理装置の状態異常を検出することを特徴とする請求項に記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記多変量解析として重回帰分析によりモデルを作成し,このモデルを用いて前記処理装置の状態予測又は前記被処理体の状態予測を行うことを特徴とする請求項に記載のプラズマ処理装置。
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