JP4462494B2 - 導電性ペースト - Google Patents

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本発明は、積層セラミックコンデンサー、多層セラミック基板などの多層セラミック電子部品を製造する際に使用される導電性ペーストに関するものである。
多層セラミック電子部品に使用されるセラミック積層体は、通常、誘電層となるセラミックグリーンシートの上に導電性ペーストをスクリーン印刷し、それを交互に数十層積み重ね同時焼成して得られる。多層セラミック電子部品は、このセラミック積層体に外部電極を塗布、焼き付け加工して得られる。
セラミックグリーンシートは、セラミック誘電体粉末にポリビニルブチラール樹脂などの有機バインダーおよびエタノールなどの有機溶剤を加え混合したセラミックスラリーをドクターブレード法によりシート状に成形したものが使用される。また、導電性ペーストは、Ni、Cu、Ag、Pdなどの金属粉末などの導電性材料を、エチルセルロース樹脂などの有機バインダーおよび溶剤に溶解した有機ビヒクルに分散させたものが使用される。
導電性ペーストに使用される溶剤としては、通常、ターピネオール、メチルエチルケトン、ブチルカルビトールアセテート、ケロシンなどの溶剤が使用されてきた(特許文献1)。
しかしながら、これらの溶剤を使用した導電性ペーストでは、セラミックグリーンシート上に導電性ペーストを印刷した際、溶剤がセラミックグリーンシート層に含まれる有機バインダーを溶解する、いわゆるシートアタック現象が生じる。積層時にシートアタック現象が発生するとセラミック誘電層に穴や皺などが発生したり、膜厚の変動などにより焼成時に層間剥離現象(デラミネーション)と呼ばれる現象が生じ、積層セラミックコンデンサーの場合は、耐電圧性を低下させたり、静電容量不足が発生するなどの不具合が生じる。
また、このような耐電圧性の低下や静電容量不足は、積層セラミックコンデンサーのヒビやカケ破断の原因にもなっている。
このシートアタック現象を解決する方法として、特許文献2に水素添加ターピネオール、特許文献3にはイソボルニルアセテートおよびノピルアセテート、特許文献4には水素添加ターピネオールアセテートを使用するペースト溶剤が提案されている。
しかしながら、これらの溶剤は、ポリビニルブチラール樹脂に対する溶解性が高く、完全にシートアタック現象を抑制することができていないのが現状である。今後さらに欠品の削減や多層セラミック電子部品の薄膜化、高密度化に対応するためには、有機ビヒクルのエチルセルロース樹脂に対する溶解性を維持したままで、ポリビニルブチラール樹脂に代表される有機バインダーに対する溶解性をさらに下げる必要がある。
特開平2−5591号公報 特開平7−21833号公報 特開2002−270456号公報 特許第2976268号公報
本発明は、多層セラミック電子部品を製造する際に、シートアタック現象による層間剥離が生じない、電気的特性の劣化の発生しないセラミック積層体を製造するための導電性ペースト用の溶剤を提供する事を目的とする。
本発明は上記課題を解決するため、次のような導電性ペーストを提案した。
すなわち、本発明は、セラミック誘電体粉末およびポリビニルブチラール樹脂を含むセラミックスラリーを成形してなるセラミックグリーンシート上に印刷される金属電極層となるものであり、セルロース系樹脂あるいはアクリル系樹脂を含む有機バインダーおよび有機溶剤を含有する有機ビヒクル中に金属粉末が分散されてなる、多層セラミック部品を製造する際に用いる導電性ペーストにおいて、当該有機溶剤成分として、テルペン系化合物と(メタ)アクリレート系化合物をディールス−アルダー反応させて得られるテルペン−(メタ)アクリレート系化合物および/またはその水添物、あるいは、テルペン系化合物と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクロレインをディールス−アルダー反応後、アルコール類とエステル化させて得られるテルペン−(メタ)アクリレート系化合物および/またはその水添物を含有することを特徴とした導電性ペーストである。
また、上記テルペン−(メタ)アクリレート系化合物および/またはその水添物は、好ましくは、テルペン系化合物と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレート系化合物とのディールス−アルダー反応を用いて製造されるテルペン−(メタ)アクリレート系ディールス−アルダー化合物および/またはその水添物で、エステル側鎖部分が炭素数1〜6の炭化水素である化合物を含有する導電性ペーストである。
具体的な、テルペン−(メタ)アクリレート系ディールス−アルダー化合物として、テルペン系化合物と(メタ)アクリレート系化合物のディールス−アルダー反応物である、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)のような構造を有するものが、性能的に好ましい。
〔ただし、式(I)において、RはHあるいはCH、Rは炭素数1〜4の炭化水素である。〕













〔ただし、式(II)において、RはHあるいはCH、Rは炭素数1〜4の炭化水素である。〕
〔ただし、式(III)において、RはHあるいはCH、Rは炭素数1〜4の炭化水素である。〕











〔ただし、式(IV)において、RはHあるいはCH、Rは炭素数1〜4の炭化水素である。〕
〔ただし、式(V)において、RはHあるいはCH、R10は炭素数1〜4の炭化水素である。〕
〔ただし、式(VI)において、R11はHあるいはCH、R12は炭素数1〜4の炭化水素である。〕
本発明の導電性ペーストによれば、溶剤成分として、テルペン−(メタ)アクリレート系化合物および/またはその水添物を含有することにより、セラミック誘電層とPd(パラジウム)などの貴金属電極との間に層間剥離現象(デラミネーション)と呼ばれる現象が生じない、電気的特性の劣化の発生しない積層セラミックコンデンサーなどを提供することが可能となる。
本発明のテルペン−(メタ)アクリレート系化合物について説明する。
本発明に用いられるテルペン−(メタ)アクリレート系化合物は、テルペン系化合物と(メタ)アクリレート系化合物を反応させて得られる化合物およびその水添物である。
これらの化合物は、テルペン系化合物と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクロレインを反応させて得られる化合物とアルコール類とをエステル化することによって得ることもできるが、コストなどの面から、より好ましくはテルペン系化合物と(メタ)アクリレート系化合物を直接反応させて得る方法がよい。
テルペン系化合物としては、α−テルピネン、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、l−メントール、α−ピネン、β−ピネン、ターピネオール、カルボン、オシメン、フェランドレンなどである。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。また、テルペン系化合物は異性化などを伴う反応を用いて使用することもできる。
また、本発明の1つであるテルペン−(メタ)アクリレート系ディールス−アルダー化合物について説明する。
本発明のテルペン−(メタ)アクリレート系ディールス−アルダー化合物は、テルペン系化合物と(メタ)アクリレート系化合物をディールス−アルダー反応させて得られる化合物およびその水添物、ならびにテルペン系化合物と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクロレインをディールス−アルダー反応後、アルコール類とエステル化させて得られる化合物およびその水添物である。
テルペン系化合物としては、α−テルピネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、フェランドレンなどの共役二重結合を有するテルペン化合物である。
本発明の(メタ)アクリレート系化合物としては、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソ(メタ)ブチルアクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどが挙げられ、好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレートである。
ただし、本発明は、これらに限定されるものではない。
一方、本発明に用いられるアルコール類としては、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、2−ペンタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘキサノールなどが挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
反応形態については、ディールス−アルダー反応と呼ばれる環化付加反応や触媒下における付加反応などが挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで、本発明のディールス−アルダー反応について説明する。
本発明のテルペン化合物と(メタ)アクリレート系化合物とのディールス−アルダー反応とは、環化付加反応である。
ディールス−アルダー反応は、一般的な化学書などに記載されている公知の反応であり、共役二重結合(1,3−ジエン)を有する化合物が、オレフィン類と環状付加して、シクロヘキセン骨格を生成する反応である。このようにして得られる化合物は、通常、二重結合を有する環化付加反応物である。
本発明のディールス−アルダー反応および他の付加反応の反応方式は特に限定されないが、バッチ反応でも連続反応でも反応できる。
なお、ディールス−アルダー反応におけるテルペン系化合物と、(メタ)アクリレート系化合物との反応は、テルペン系化合物1モルに対し、通常、(メタ)アクリレート系化合物が0.2〜3.0モル、好ましくは0.5〜1.5モルである。(メタ)アクリレート系化合物が0.2モル未満ではテルペン化合物が過剰に存在することになり製造コスト的に好ましくなく、一方、3.0モルを超えるとアクリレート化合物が過剰に存在することになり製造コスト的に好ましくない。
このディールス−アルダー反応の反応温度は、通常、0〜250℃、好ましくは30〜200℃、さらに好ましくは50〜180℃に加熱することで反応が行なわれる。反応温度が0℃未満では反応速度が極端に遅く、一方、250℃を超えると、重合などの副反応が顕著になり好ましくない。
ディールス−アルダー反応における溶媒は使用しなくてもよいが、パラメンタンなどの高沸点の二重結合や官能基を有しない溶媒を使用してもよい。
このディールス−アルダー反応は、通常、無触媒で行われるが、触媒を用いて行ってもよい。反応触媒としては特に限定されないが、好ましくは、通常、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、活性白土、有機酸などの酸触媒が用いられる。
式(I)の化合物は、例えばテルペン系化合物として、α−テルピネン、アクリル系化合物として、ブチルアクリレートを使用して、ディールス−アルダー反応で得られた化合物である。
式(II)の化合物は、原料である式(I)の化合物を水素添加(水添)することにより得られたものである。
式(III)の化合物は、例えばテルペン系化合物としてアロオシメン、アクリル系化合物として、メチルアクリレートなどを使用して、ディールス−アルダー反応で得られた化合物である。
式(IV)の化合物は、原料である式(III)の化合物を水素添加(水添)することにより得られたものである。
式(V)の化合物は、例えばテルペン系化合物としてミルセン、アクリル系化合物として、ブチルアクリレートなどを使用して、ディールス−アルダー反応で得られた化合物である。
式(VI)の化合物は、原料である式(V)の化合物を水素添加(水添)することにより得られたものである。
本発明のテルペン−(メタ)アクリレート系化合物の水添物製造の際の水添反応について説明する。
水添する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、パラジウム、ルテニウム、ロジウムなどの貴金属またはそれらを活性炭素、活性アルミナ、珪藻土などの坦体上に担持したものを触媒として使用して行う方法が挙げられる。
この時、粉末状の触媒を懸濁攪拌しながら反応を行うバッチ方式にすることも、成形した触媒を充填した反応塔を用いた連続方式にすることも可能であり、反応形式に特に制限はない。
触媒の使用量は、反応がバッチ方式の場合、原料であるテルペン−(メタ)アクリレート化合物に対し,0.1〜50重量%、好ましくは0.2〜20重量%である。触媒量が0.1重量%未満では、水素化反応速度が遅くなり、一方、50重量%を超えても触媒効果が上がらないので好ましくない。
水添の際、反応溶媒は用いなくてもよいが、通常、アルコール類、エーテル類、エステル類、飽和炭化水素類が使用される。
水添の際の反応温度は、特に限定されないが、通常、20〜250℃、好ましくは、50〜200℃である。反応温度が20℃未満であると、水素化速度が遅くなり、一方、250℃を超えると、水添物の分解が多くなる恐れがある。
水添の際の水素圧は、特に限定されないが、通常、5〜100kg/cm(0.49〜4.90MPa)好ましくは、20〜50kg/cm(1.96〜4.90MPa)である。5kg/cm未満であると、水素化速度が遅くなり、一方、100kg/cmを超えると、水添物の分解が多くなる恐れがある。
なお、本発明の導電性ペーストの溶剤中には、ボルナン骨格含有カルボン酸付加物などを含有することが可能である。
また、本発明の導電性ペーストの溶剤中には、必要に応じて、各種添加剤、溶剤を含有させてもよい。
本発明のセラミックグリーンシートについて説明する。
積層セラミックコンデンサーは、セラミック誘電層とPd(パラジウム)などの貴金属電極が交互に数十層積み重ねた積層体に外部電極が設けられた構造になっている。
セラミックグリーンシートは、このセラミック誘電層に相当するものであり、貴金属電極層が、塗布された、本発明の導電性ペーストに相当するものである。
このセラミックグリーンシートは、例えば、チタン酸バリウムや鉛を含むペロブスカイト型酸化物などのセラミック誘電体粉末とポリビニルブチラールなどの有機バインダー樹脂を混合して、ドクターブレード法により、シート状にしたものである。
このセラミックグリーンシートは、誘電体グリーンシートとも呼ばれている。
本発明の導電性ペーストについて説明する。
本発明の導電性ペーストは、貴金属電極層に相当するもので、有機バインダーとなる樹脂をテルペン−(メタ)アクリレート系化合物である本発明の有機溶剤に溶解して得られる有機ビヒクル中に、Pdなどの金属粉末を分散させたものである。
有機ビヒクル中のテルペン−(メタ)アクリレート系化合物は、60〜95重量%であることが好ましい。より好ましくは、65〜85重量%である。
60重量%未満では、エチルセルロースなどの溶解性が悪くなり、一方、95重量%を超えると、有機ビヒクルの粘度が低くなり過ぎて好ましくない。
有機バインダーとしては、エチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂や、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレートなどを重合して得られるアクリル系樹脂が使用される。
導電性ペースト中には、粘度調整用の希釈溶剤を使用してもよい。
導電性ペースト中における、該有機ビヒクルは、5〜40重量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜30重量%である。
有機ビヒクルは、5重量%未満であると、乾燥膜の強度が弱くなり、40重量%を超えると、焼成後の電極厚さが薄くなりすぎて好ましくない。
具体的には、塗布膜厚などの粘度調製として、一般に回転粘度計において100回転での粘度が40,000cps以下になるようにエチルアルコール、トルエン、トリメチルベンゼンなどに希釈溶剤を加えていることが多い。
本発明の溶剤成分について説明する。
本発明の溶剤成分に含有されるテルペン−(メタ)アクリレート系化合物は、セラミックグリーンシートに使用されるポリビニルブチラールなどの有機バインダー樹脂に対する溶解性が低く、一方、導電性ペーストに使用されるエチルセルロース、ニトロセルロース、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレートなどの有機バインダーに対しては良好な溶解性を示すものである。
したがって、セラミック誘電層とPd(パラジウム)などの貴金属電極が交互に、規則性をもって積み重ねた積層体を製造することが可能となり、デラミネーションが生じない、電気的特性の劣化の発生しない、積層セラミックコンデンサーを提供することを可能にするものである。
以下実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
合成例1
(式(I)で表される化合物の合成)
冷却管、温度計、撹拌棒を備えた1,000mlガラス製四つ口フラスコに、α−テルピネン314g(ヤスハラケミカル(株)製α−テルピネンの精留品、純度65%、1.5モル)およびブチルアクリレート192g(和光純薬製、純度99%、1.5モル)を仕込み、撹拌しながら昇温して、160〜180℃で12時間反応した。反応後、反応液を減圧蒸留(1.0mmHg、160〜165℃)することにより式(I)で表されるブチルアクリレート化テルピネン245g(収率61.3%、純度99%)を得た。
合成例2
(式(II)で表される化合物の合成)
合成例1で得られた式(I)で表される化合物を240g、および粉末状の活性化ニッケル2.4gを仕込み、次いで、これを密閉し、雰囲気を窒素ガスで置換した後、水素ガス10kg/cmの圧力をかけながら導入した。そして攪拌しながら加熱し50℃となったところで、水素の圧力を50kg/cmとし、吸収された水素を補うことで圧力を50kg/cmに保ちながら5時間反応させた。反応後、反応油に含まれる触媒を吸引ろ過にて除去し、減圧蒸留(4.5mmHg、140〜150℃)することにより式(II)で表される水添ブチルアクリレート化テルピネン197g(収率81.1%、純度98.0%)を得た。
合成例3
(式(III)で表される化合物の合成)
温度計、撹拌棒を備えた1,000mlガラス製オートクレーブに、アロオシメン222g(ヤスハラケミカル(株)製アロオシメンの精留品、純度92%、1.5モル)およびメチルアクリレート129g(和光純薬製、純度99%、1.5モル)を仕込み、撹拌しながら昇温して、150〜170℃で12時間反応した。反応後、反応液を減圧蒸留(2〜4mmHg、133〜140℃)することにより式(III)で表されるメチルアクリレート化アロオシメン196g(収率56%、純度98%)を得た。
合成例4
(式((IV))で表される化合物の合成)
合成例3で得られた式(III)で表される化合物を100g用い、合成例2と同様の方法で水添反応を行った。反応後、反応油に含まれる触媒を吸引ろ過にて除去し、減圧蒸留(2〜4mmHg、135〜142℃)することにより式(IV)で表される水添メチルアクリレート化アロオシメン80.3g(収率80.3%、純度98.2%)を得た。
合成例5
(式(V)で表される化合物の合成)
ミルセン255g(ヤスハラケミカル(株)製ミルセンの精留品、純度80%、1.5モル)およびブチルアクリレート192g(和光純薬製、純度99%、1.5モル)を用い、反応例1と同様の方法で反応した。反応後、反応液を減圧蒸留(2〜4mmHg、150〜160℃)することにより式(V)で表されるブチルアクリレート化ミルセン220g(収率49.2%、純度98%)を得た。
合成例6
(式(VI)で表される化合物の合成)
合成例5で得られた式(V)で表される化合物を121g用い、合成例2と同様の方法で水添反応を行った。反応後、反応油に含まれる触媒を吸引ろ過にて除去し、減圧蒸留式(2〜4mmHg、155〜160℃)することにより式(VI)で表される水添ブチルアクリレート化ミルセン101.1g(収率83.6%、純度98.0%)を得た。
(ブチラール樹脂の溶解性試験:実施例1〜6)
50mL共栓付試験管にブチラール樹脂(和光純薬製:MW2,400、住友化学製:S−LEC BH−3)500mgと本発明の各溶剤(合成例1〜6で得られた式(I)、(II)、(III)、(IV)(V)、(VI)の溶剤)25gを入れ、スターラーで撹拌しながら60℃で2時間加温した。加温終了後上清を分取し、さらに2,000rpmで5分間遠沈操作を行った。このものの上澄みを1g取り、標品(旭電化工業製アデカスタブAO−20)を50mg加えてGPCを測定した。測定後、ブチラール樹脂の分子量に相当するピークエリアと標品のピークエリア比より、各溶剤25gに溶解したブチラール樹脂量(mg)を算出した。その結果を表1に示す。
(エチルセルロースの溶解性試験:実施例1〜6)
50mL共栓付試験管にエチルセルロースSTD45(和光純薬製)1,250mgと本発明の各溶剤(合成例1〜6で得られた式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)の溶剤)25gを入れ、スターラーで撹拌しながら60℃で2時間加温した。加温終了後室温まで放冷し、エチルセルロースの溶け残りが無いか目視で確認した。完全に溶解したものについては○、溶け残りが確認されたものについては×とした。その結果を表1に示す。
比較例1〜6
ターピネオール、ジヒドロターピネオール、イソボルニルアセテート、ノピルアセテート、ターピニルアセテート、ならびにジヒドロターピニルアセテートを比較溶剤として用い、実施例と同様のブチラール樹脂溶解性試験並びにエチルセルロースの溶解性試験を行った。その結果を表1に示す。
(デラミネーションの発生の測定方法)
積層セラミックコンデンサーを製造する場合について、以下の方法で、本発明の導電性ペーストを評価した。
微細化したチタン酸バリウム粉末90重量%とポリビニルブチラール(積水化学工業(株)製S−LEC SB3)4重量%、エチルアルコール6重量%からなる有機ビヒクルを混練してセラミックスラリーを作製し、ドクターブレード法により、誘電体グリーンシートを作製した。
次に、合成例1〜6および上記比較例で使用したそれぞれの溶剤30重量部に、エチルセルロース樹脂(和光純薬工業(株)製エチルセルロース)5重量部を溶解させ、有機ビヒクルを調合した。次に、この有機ビヒクル10重量部と、Pd(パラジウム)粉末を10重量部混練して、導電性ペーストを作製した。
上記誘電体グリーンシート上に、この導電性ペーストをスクリーン印刷し、そのシートを120℃で10分間乾燥させた。その後、そのシートを積層し、80℃、100kg/cm、3分間で熱圧着し、30層の積層体である内部電極を作製した。その積層体を3mm×5mm角に切断し、大気炉にて1,350℃で2時間焼成した。その後焼成体を研磨し、断面を光学顕微鏡で観察し、デラミネーションの発生の有無を観察した。結果を表1に記載した。
表1に示すように、本発明の溶剤〔合成例1〜6で得られた式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)の溶剤は、エチルセルロースに対する溶解性を保ちながらも従来の金属ペースト用溶剤として使用されているターピネオールやイソボルニルアセテート、ターピニルアセテートなどと比較して、ブチラール樹脂の溶解性が著しく低下している。この性質のため、これら溶剤を用いた導電性ペーストは、従来のものと比較し、積層時のシートアタック現象やそれに伴うデラミネーション現象を抑制することができる。
本発明の導電性ペーストは、積層セラミックコンデンサーなどの製造の際に使用される導電性ペーストとして利用できる。

Claims (6)

  1. セラミック誘電体粉末およびポリビニルブチラール樹脂を含むセラミックスラリーを成形してなるセラミックグリーンシート上に印刷される金属電極層となるものであり、セルロース系樹脂あるいはアクリル系樹脂を含む有機バインダーおよび有機溶剤を含有する有機ビヒクル中に金属粉末が分散されてなる、多層セラミック部品を製造する際に用いる導電性ペーストにおいて、当該有機溶剤成分として、テルペン系化合物と(メタ)アクリレート系化合物をディールス−アルダー反応させて得られるテルペン−(メタ)アクリレート系化合物および/またはその水添物、あるいは、テルペン系化合物と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクロレインをディールス−アルダー反応後、アルコール類とエステル化させて得られるテルペン−(メタ)アクリレート系化合物および/またはその水添物を含有することを特徴とした導電性ペースト。
  2. テルペン系化合物がα−テルピネンであり、有機溶剤成分を構成する、テルペン−(メタ)アクリレート系化合物が下記式(I)で表される化合物であり、該テルペン−(メタ)アクリレート系化合物の水添物が下記式(II)で表される化合物である請求項記載の導電性ペースト。
    〔ただし、式(I)において、RはHあるいはCH、Rは炭素数1〜4の炭化水素である。〕
    〔ただし、式(II)において、RはHあるいはCH、Rは炭素数1〜4の炭化水素である。〕
  3. テルペン系化合物がアロオシメンであり、有機溶剤成分を構成する、テルペン−(メタ)アクリレート系化合物が下記式(III)で表される化合物であり、該テルペン−(メタ)アクリレート系化合物の水添物が下記式(IV)で表される化合物である請求項1記載の導電性ペースト。
    〔ただし、式(III)において、RはHあるいはCH、Rは炭素数1〜4の炭化水素である。〕
    〔ただし、式(IV)において、RはHあるいはCH、Rは炭素数1〜4の炭化水素である。〕
  4. テルペン系化合物がミルセンであり、有機溶剤成分を構成する、テルペン−(メタ)アクリレート系化合物が下記式(V)で表される化合物であり、該テルペン−(メタ)アクリレート系化合物の水添物が下記式(VI)で表される化合物である請求項1記載の導電性ペースト。
    〔ただし、式(V)において、RはHあるいはCH、R10は炭素数1〜4の炭化水素である。〕
    〔ただし、式(VI)において、R11はHあるいはCH、R12は炭素数1〜4の炭化水素である。〕
  5. 有機ビヒクルを構成する有機バインダーが、エチルセルロースおよびニトロセルロースから選ばれたセルロース系樹脂、あるいは、ブチルメタクリレートおよび/またはメチルメタクリレートを重合してなるアクリル系樹脂であり、導電性ペーストを構成する金属粉末が、Ni、Cu、AgおよびPdから選ばれたものである、請求項1〜4いずれかに記載の導電性ペースト。
  6. 有機溶剤成分として用いられる前記テルペン−(メタ)アクリレート系化合物および/またはその水添物の割合が有機ビヒクル中に60〜95重量%であり、かつ導電性ペースト中における有機ビヒクルの割合が5〜40重量%である、請求項1〜5いずれかに記載の導電性ペースト。
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