JP4461090B2 - 打込み作業工具 - Google Patents
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Description
ところで、この種の打込み作業工具による一連の打込み動作過程において、コイルバネの弾発力によって作動部材が直線状に作動し、作動部材が所定のストロークに到達した瞬間、コイルバネの作動部材側端部は、その衝突によって衝撃的に停止される。この衝突により、作動部材側のバネ端部は局所的に圧縮され局所的に応力が発生する。更にこの衝突に起因して発生する、いわゆるサージ波(衝撃波)がコイルバネの両端に伝播を繰り返すことで、コイルバネの両端部がそれぞれの端末側の部材に対し反復的に衝突するため、コイルバネ両端部に局所的な応力が発生する。従って、この種の打込み作業工具の設計にあたっては、打込み動作時にコイルバネのコイルバネ端部に局所的な応力が発生するのを抑える要請がある。
前記課題を解決する本発明の第1発明は、請求項1に記載の打込み作業工具である。
本発明のこの打込み作業工具は、被加工材に対し打込み材の打込み作業を行う打込み作業工具であって、コイルバネ、工具本体側部材、作動部材を少なくとも備える構成とされる。
本発明のコイルバネは、弾発力を蓄積可能なコイルバネとして構成される。圧縮性のコイルバネにあっては、当該コイルバネが縮められることで弾発力が蓄積され、弾発力が蓄積されたこのコイルバネが自由伸長動作することで、当該コイルバネの弾発力が解放されて、バネ端部に取り付けられた部材に対し作用することとなる。このコイルバネのバネ一端部に、工具本体側の部材である、本発明の工具本体側部材が取り付けられる。一方、コイルバネのバネ他端部に、本発明の作動部材が取り付けられる。この作動部材は、弾発力が蓄積されたコイルバネの自由伸長動作によって直線状に作動することで、打込み材に対し打込み力を付与する部材として構成される。この「打込み材」としては、先端を尖らせた直線棒状のものであって、頭部に笠を有するもの、あるいは有しないもの、更にはU字状のステープル等を用いることができる。
本構成によれば、コイルバネの自由伸長動作後に、バネ一端部及びバネ他端部の少なくとも一方のバネ端部が、工具本体側部材或いは作動部材に対し離間方向へと跳ね上がること自体が、バネ端部の止着構造によって防止されることとなる。これにより、コイルバネのバネ端部が、当該バネ端部の端末側の部材となる工具本体側部材或いは作動部材に対し反復的に衝突する現象自体が起こらない。
前記課題を解決する本発明の第2発明は、請求項2に記載の打込み作業工具である。
本発明のこの打込み作業工具は、被加工材に対し打込み材の打込み作業を行う打込み作業工具であって、コイルバネ、工具本体側部材、作動部材を少なくとも備える構成とされる。
本発明における工具本体側部材、作動部材の構成に関しては、請求項1に記載の打込み作業工具の構成要素と同様の構成とされる。本発明のコイルバネの構成に関しては、バネ一端部及びバネ他端部の少なくとも一方のバネ端部の端末が、当該バネ端部のバネ外周よりも内方の接触回避領域に配設されている。これによってコイルバネの自由伸長動作後に、このコイルバネのバネ一端部及びバネ他端部の少なくとも一方のバネ端部の端末と、それに隣接する他のバネ部位との接触が接触回避領域にて回避される。
なお、バネ端部の端末が接触回避領域に配設される構成に関しては、典型的には、バネ一端部の端末がコイル径方向内側へと巻き込まれたピッグテールエンド形状を用いることが可能である。このような構成によって、バネ端部の端末の接触回避構造が簡便化される。
前記課題を解決する本発明の第3発明は、請求項3に記載の打込み作業工具である。
本発明のこの打込み作業工具は、被加工材に対し打込み材の打込み作業を行う打込み作業工具であって、コイルバネ、工具本体側部材、作動部材、介在部材を少なくとも備える構成とされる。
本発明におけるコイルバネ、工具本体側部材、作動部材の構成に関しては、請求項1に記載の打込み作業工具の構成要素と同様の構成とされる。本発明の介在部材は、コイルバネのバネ一端部及びバネ他端部の少なくとも一方のバネ端部の端末と当該バネ端部の他のバネ部位との間に介在する部材として構成される。
本構成によれば、コイルバネの自由伸長動作後に、このコイルバネのバネ一端部及びバネ他端部の少なくとも一方のバネ端部の端末と他のバネ部位との接触が介在部材を介して回避される。
前記課題を解決する本発明の第4発明は、請求項4に記載の打込み作業工具である。
本発明のこの作業工具は、被加工材に対し打込み材の打込み作業を行う打込み作業工具であって、コイルバネ、工具本体側部材、作動部材、介在部材を少なくとも備える構成とされる。
本発明におけるコイルバネ、工具本体側部材、作動部材の構成に関しては、請求項1に記載の打込み作業工具の構成要素と同様の構成とされる。本発明の介在部材は、コイルバネのバネ一端部及びバネ他端部の少なくとも一方のバネ端部に止着され、当該バネ端部と工具本体側部材或いは作動部材との間に介在するとともに、軟質材からなる部材として構成される。すなわち、この介在部材が、バネ端部の衝突の際のクッションとなる。この軟質材としては、樹脂やゴム等を用いることができる。
前記課題を解決する本発明の第5発明は、請求項5に記載の打込み作業工具である。
本発明のこの作業工具は、被加工材に対し打込み材の打込み作業を行う打込み作業工具であって、コイルバネ、工具本体側部材、作動部材、介在部材を少なくとも備える構成とされる。本発明における工具本体側部材、作動部材に関しては、請求項1に記載の打込み作業工具の構成要素と同様の構成とされる。本発明の介在部材は、請求項4に記載の介在部材と同様に、軟質材からなる部材として構成される。
すなわち、コイルバネのバネ一端部の配設領域においては、当該バネ一端部が工具本体側に配設された工具本体側部材に対し止着され、且つ当該バネ一端部の端末がコイル径方向内側の接触回避領域へと巻き込まれた、すなわちコイル外径が端末に向けて縮径されたピッグテールエンド形状とされている。これによって当該バネ一端部が前記工具本体側部材に対し離間方向へと跳ね上がるのを防止するとともに、当該バネ一端部の端末と、それに隣接する他のバネ部位との接触を接触回避領域にて回避するように構成される。特に、バネ一端部の端末をピッグテールエンド形状とすることで、このバネ一端部を端末にて工具本体側部材に対し止着する構造が簡素化される。
一方、コイルバネのバネ他端部の配設領域においては、当該バネ他端部の端末と他のバネ部位との間に、軟質材からなる軟質性の介在部材が介在されている。これによって、バネ他端部の端末と他のバネ部位との接触を介在部材を介して回避するとともに、打込み時の衝撃的な衝突に伴って作動部材側のバネ端部に局所的なひずみが発生する場合や、コイルバネの自由伸長動作後に、当該バネ他端部が作動部材に対し一旦離間方向へと跳ね上がり、更に近接方向へと移動するときの衝突による場合に介在部材の弾性力によって低減するように構成される。
一方、コイルバネのバネ他端部に関しては、バネ他端部の端末と他のバネ部位との間に介在部材を介在させることによって、打込み時の衝撃的な衝突に伴って作動部材側のバネ端部に局所的なひずみが発生する場合や、前述のようなサージ波の発生により、コイルバネのバネ他端部が作動部材に対し反復的に衝突する現象が引き起こされた場合であっても、当該バネ他端部の端末と他のバネ部位との間の直接的な接触が回避される。また、バネ他端部の端末と他のバネ部位との間に介在する介在部材を軟質性とすることによって、コイルバネの自由伸長動作後に、前述のサージ波の影響によってコイルバネのバネ他端部が作動部材に対し一旦離間方向へと跳ね上がり、更に近接方向へと移動するときの衝突による衝撃力を、介在部材の弾性力によって低減することが可能となる。よって、バネ他端部の端末と隣接する他のバネ部位に局所的な応力が集中するのを軟質性の介在部材によって防止することが可能となる。
本実施の形態の圧縮コイルバネ127に関しては、打込み時の衝撃的な衝突に伴ってハンマ125側のバネ前端部127aに局所的なひずみが発生し、また打込み動作後において発生するサージ波の影響によって、バネ前端部127aがハンマ125に反復的に衝突し、またバネ後端部127bが当接部(後述する当接部材128a)に反復的に衝突する現象が発生することが想定される。そこで、本発明者らは、打込み時の衝撃的な衝突に伴う局所的なひずみの発生、及びサージ波の発生によって圧縮コイルバネ127のバネ端部が影響を受けるのを極力防止するべく、圧縮コイルバネ127のバネ端部の配設領域における下記の構造を想到したのである。
図4に示すように、圧縮コイルバネ127は、そのバネ前端部127a(図4中の下端部)が、ハンマ125に止着された滑り子123の外周溝123aに係合する構成とされている。すなわち、圧縮コイルバネ127のバネ前端部127aに関しては、当該バネ前端部127aが滑り子123を介してハンマ125側に保持されることとなる。従って、この滑り子123は、「コイルバネホルダ」或いは「スプリングホルダ」とも称呼される。この滑り子123は、圧縮コイルバネ127のバネ前端部127aに作用する荷重を緩和することが可能な軟質の樹脂材料やゴム材料によって構成されるとともに、少なくともバネ前端部127aの第1端末127cと他のバネ部材との間に介在部123bが介在するように構成されている。要するに、第1端末127cは、隣接する他のバネ部位との直接的な接触が滑り子123の介在部123bによって阻止されている。従って、この滑り子123が、本発明における「介在部材」に相当する。また、滑り子123は、ハンマ125との接触面積が、圧縮コイルバネ127の横断面に関する断面積(概ねコイル一周分に関する接触面積に相当)よりも拡張されるように構成されている。
なお、バネ前端部127aの第1端末127cには、オープンエンド形状、タンジェントテールエンド形状などが適宜用いられる。このバネ前端部127aが、本発明における「バネ他端部」に相当する。
一方、この圧縮コイルバネ127は、そのバネ後端部127b(図中の上端部)が、工具本体側のスライドガイド121に対し止着される止着構造(「バネ固定端構造」ともいう)とされる。すなわち、バネ後端部127bは、その端末が後述するピッグテールエンド形状とされており、当該端末が、スライドガイド121に取り付けられたスリーブ128と当接部材128aとの間の空間に嵌まり込むことで、工具本体側に止着されることとなる。このとき、スリーブ128と当接部材128aとの間の距離をコイル一巻き分の大きさとし、工具本体側に対するバネ後端部127bの動作を完全に規制する固定状の取り付け態様を採用してもよいし、或いはスリーブ128と当接部材128aとの間の距離をコイル二巻き分程度の大きさとし、工具本体側に対するバネ後端部127bの有る程度の動作を許容する取り付け態様を採用してもよい。このような取り付け態様も本発明における「止着」に包含される。これらスライドガイド121、スリーブ128及び当接部材128aは、工具本体側の部材であり、本発明における「工具本体側部材」に相当する。また、図5及び図6に示すように、この圧縮コイルバネ127は、バネ後端部127bの第2端末127dがコイル径方向内側へと巻き込まれた、すなわちコイル外径が第2端末127dに向けて縮径されたピッグテールエンド形状とされている。このバネ後端部127bが、本発明における「バネ一端部」に相当する。
なお、圧縮コイルバネ127のコイル外周径に関しては、このバネ後端部127bの第2端末127d周辺(ピッグテールエンド処理部分)以外は、バネ前端部127aからバネ後端部127bにわたって概ね一定のコイル外周径とされている。
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、本実施の形態に基づいた種々の応用例や変更例を想到することができる。例えば、本実施の形態を応用した以下の形態を実施することもできる。
なお、第1の構成に関しては、滑り子123にかえて、軟質材以外の材質からなる部材を用いたり、滑り子123を省略して、バネ前端部127aをハンマ125に対し直接的に固定する構成を用いることもできる。
また、第2の構成に関しては、端末がピッグテールエンド形状とされたバネ後端部127bと当接部材128aとの間に、滑り子123のような軟質性の部材を介在させたり、端末が一般的なオープンエンド形状とされたバネ後端部127bを、当接部材128aに対し直接的に固定する構成を用いることもできる。
101 本体部
103 モータハウジング
105 ギアハウジング
107 ハンドグリップ
109 バッテリケース
111 マガジン
112 射出部
112a ピン打込み口
113 駆動モータ
115 減速機構
115a 出力軸
115b 駆動ギア
117 打込み機構
119 ハンマ駆動機構
121 スライドガイド
123 滑り子
123a 外周溝
123b 介在部
125 ハンマ
125a 上部の係合突起
125b 下部の係合突起
126 ストッパ
127 圧縮コイルバネ(コイルバネ)
127a バネ前端部
127b バネ後端部
127c 第1端末
127d 第2端末
128 スリーブ
128a 当接部材
129 ドライバ
131 連結ピン
133 上部のギア
133a 軸
134 フレーム
135 下部のギア
135a 軸
137 上部のリフトローラ
137a 支持軸
139 下部のリフトローラ
139a 支持軸
140 カム
141 トリガ
143 セーフティレバー
145 ライト
147 ライト点灯用スイッチ
148 第1スイッチ
161 スイッチ機構
Claims (5)
- 被加工材に対し打込み材の打込み作業を行う打込み作業工具であって、
弾発力を蓄積可能なコイルバネと、
前記コイルバネのバネ一端部に取り付けられる工具本体側部材と、
前記コイルバネのバネ他端部に取り付けられるとともに、弾発力が蓄積された前記コイルバネの自由伸長動作によって直線状に作動することで、前記打込み材に対し打込み力を付与する作動部材と、
を備え、
前記コイルバネのバネ一端部及びバネ他端部の少なくとも一方のバネ端部は、前記工具本体側部材或いは作動部材に対し止着されており、これによって前記コイルバネの自由伸長動作後に、当該バネ端部が前記工具本体側部材或いは作動部材に対し離間方向へと跳ね上がるのを防止する構成であることを特徴とする打込み作業工具。 - 被加工材に対し打込み材の打込み作業を行う打込み作業工具であって、
弾発力を蓄積可能なコイルバネと、
前記コイルバネのバネ一端部に取り付けられる工具本体側部材と、
前記コイルバネのバネ他端部に取り付けられるとともに、弾発力が蓄積された前記コイルバネの自由伸長動作によって直線状に作動することで、前記打込み材に対し打込み力を付与する作動部材と、
を備え、
前記コイルバネのバネ一端部及びバネ他端部の少なくとも一方のバネ端部の端末は、当該バネ端部のバネ外周よりも内方の接触回避領域に配設されており、これによって前記コイルバネの自由伸長動作後に、このコイルバネのバネ一端部及びバネ他端部の少なくとも一方のバネ端部の端末と他のバネ部位との接触が前記接触回避領域にて回避されることを特徴とする打込み作業工具。 - 被加工材に対し打込み材の打込み作業を行う打込み作業工具であって、
弾発力を蓄積可能なコイルバネと、
前記コイルバネのバネ一端部に取り付けられる工具本体側部材と、
前記コイルバネのバネ他端部に取り付けられるとともに、弾発力が蓄積された前記コイルバネの自由伸長動作によって直線状に作動することで、前記打込み材に対し打込み力を付与する作動部材と、
前記コイルバネのバネ一端部及びバネ他端部の少なくとも一方のバネ端部の端末と当該バネ端部の他のバネ部位との間に介在する介在部材と、
を備え、
前記コイルバネの自由伸長動作後に、このコイルバネのバネ一端部及びバネ他端部の少なくとも一方のバネ端部の端末と他のバネ部位との接触が前記介在部材を介して回避されることを特徴とする打込み作業工具。 - 被加工材に対し打込み材の打込み作業を行う打込み作業工具であって、
弾発力を蓄積可能なコイルバネと、
前記コイルバネのバネ一端部に取り付けられる工具本体側部材と、
前記コイルバネのバネ他端部に取り付けられるとともに、弾発力が蓄積された前記コイルバネの自由伸長動作によって直線状に作動することで、前記打込み材に対し打込み力を付与する作動部材と、
前記コイルバネのバネ一端部及びバネ他端部の少なくとも一方のバネ端部に止着され、当該バネ端部と前記工具本体側部材或いは作動部材との間に介在するとともに、軟質材からなる介在部材と、
を備え、
前記コイルバネの自由伸長動作後に、前記コイルバネのバネ一端部及びバネ他端部の少なくとも一方のバネ端部が前記工具本体側部材或いは作動部材に対し一旦離間方向へと跳ね上がり、更に近接方向へと移動するときの衝突による衝撃力を、前記介在部材の弾性力によって低減するように構成されていることを特徴とする打込み作業工具。 - 被加工材に対し打込み材の打込み作業を行う打込み作業工具であって、
弾発力を蓄積可能なコイルバネと、
前記コイルバネのバネ一端部に取り付けられる工具本体側部材と、
前記コイルバネのバネ他端部に取り付けられるとともに、弾発力が蓄積された前記コイルバネの自由伸長動作によって直線状に作動することで、前記打込み材に対し打込み力を付与する作動部材と、
軟質材からなる介在部材と、
を備え、
前記コイルバネのバネ一端部の配設領域においては、当該バネ一端部が前記工具本体側部材に対し止着され、且つ当該バネ一端部の端末がコイル径方向内側の接触回避領域へと巻き込まれたピッグテールエンド形状とされており、これによって当該バネ一端部が前記工具本体側部材に対し離間方向へと跳ね上がるのを防止するとともに、当該バネ一端部の端末と他のバネ部位との接触を前記接触回避領域にて回避する構成である一方、
前記コイルバネのバネ他端部の配設領域においては、当該バネ他端部の端末と他のバネ部位との間に前記介在部材が介在されており、これによってバネ他端部の端末と他のバネ部位との接触を前記介在部材を介して回避するとともに、前記コイルバネの自由伸長動作後に、当該バネ他端部が前記作動部材に対し一旦離間方向へと跳ね上がり、更に近接方向へと移動するときの衝突による衝撃力を前記介在部材の弾性力によって低減する構成であることを特徴とする打込み作業工具。
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2005
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