図1は、本発明の光走査装置を4ドラムのタンデム式カラー画像形成装置に適用した実施例を示す。図1(a)は、光走査装置の光学配置を副走査方向から見た状態を示し、同図(b)は、主走査方向から見た状態を示す。図示の簡略化のため、偏向手段から被走査面に至る光路を直線的に展開して示している。
以下の説明において、Y、M、C、Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色を示す。
図1(a)において、レーザ光源1Y〜1Kは半導体レーザであって、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の「各色トナーで可視化されるべき静電潜像」を書込むための光ビームを放射する。2Y〜2Kはカップリングレンズ、3Y〜3Kはシリンドリカルレンズを示す。
レーザ光源1K(1Y)から放射された光ビームはカップリングレンズ2K(2Y)により平行光束化され、図示されないアパーチュアによりビーム整形された後、シリンドリカルレンズ3K(3Y)により副走査方向(図面に直交する方向)にのみ集束され、ポリゴンミラー4の偏向反射面位置に、主走査方向に長い線像として結像する。
同様に、レーザ光源1M(1C)から放射された光ビームはカップリングレンズ2M(2C)により平行光束化され、図示されないアパーチュアによりビーム整形された後、シリンドリカルレンズ3M(3C)により副走査方向(図面に直交する方向)にのみ集束され、ポリゴンミラー4の偏向反射面位置に、主走査方向に長い線像として結像する。
レーザ光源1K(1Y)から放射された光ビームのポリゴンミラーへの入射位置と、レーザ光源1M(1C)から放射された光ビームのポリゴンミラーへの入射位置は、ポリゴンミラーの回転軸を含む平面に対して、ほぼ対称な位置関係になっている。
図1では、イエロー(Y)、黒(K)を同方向に、シアン(C)、マゼンタ(M)を同方向に走査している図を記しているが、この組み合わせは変わってもよい。
ポリゴンミラー4は、偏向反射面を6面有し、図1においては「各偏向反射面が回転軸方向に単一の反射面となっている」が、偏向反射面として用いられない光ビーム間部分に「ポリゴンミラー4の内接円より若干小径となる」ように溝を形成したものを用いてもよい。
レーザ光源側からの4本の光ビームは、ポリゴンミラー4の等速回転に伴い、同時に等角速度的に偏向される。偏向する4本の光ビームは、走査結像レンズ5Y〜5Kと走査結像レンズ6Y〜6Kによりそれぞれ被走査面7Y〜7Kに導光され、これら被走査面7Y〜7K上に夫々光スポットとして集光し被走査面の光走査を行う。
図1(a)、(b)に示すように、走査結像レンズ5Y〜5Kと6Y〜6Kとは「結像手段」を構成している。走査結像レンズ5Yと走査結像レンズ6Yとは、被走査面7Yを光走査する光スポットを形成する「走査結像光学系」を構成する。同様に、走査結像レンズ5Kと走査結像レンズ6Kとは、被走査面7Kを光走査する光スポットを形成する「走査結像光学系」を、走査結像レンズ5Cと走査結像レンズ6Cとは、被走査面7Cを光走査する光スポットを形成する「走査結像光学系」を構成し、走査結像レンズ5Mと走査結像レンズ6Mとは、被走査面7Mを光走査する光スポットを形成する「走査結像光学系」を構成する。
即ち「結像手段」は上記4組の走査結像光学系で構成され、詳しくは、8枚の走査結像レンズ5Y〜5K、6Y〜6Kで構成されている。
被走査面7Y〜7Kは実態的には「像担持体」である。即ち、図1に示す光走査装置は、複数のレーザ光源1Y〜1Kから射出した各光ビームを、偏向手段4と結像手段5Y〜5K、6Y〜6Kとを介してそれぞれ異なる像担持体7Y〜7K上に導き、光走査を行う光走査装置であって、複数のレーザ光源1Y〜1Kから射出した各光ビームを、共通の偏向手段4を用いて光走査するように構成され、結像手段が複数の走査結像レンズ5Y〜5K、6Y〜6Kで構成される。
像担持体7Y〜7Kには、それぞれ対応する光ビームが光スポットとして集光し、これら光スポットにより光走査がなされ、像担持体7Yには「イエロートナーにより可視化されるべき静電潜像」が形成され、像担持体7M、7C、7Kにはそれぞれ「マゼンタトナー、シアントナー、黒トナーにより可視化されるべき静電潜像」が形成される。
これらの静電潜像は、夫々対応する色のトナーにより可視化され、後述するように同一のシート状記録媒体上に転写されて相互に重ね合わせられ、カラー画像を構成する。そして、このカラー画像がシート状記録媒体に定着される。
付言すると、上に説明した実施の形態においては、各レーザ光源からの光ビームをカップリングレンズにより平行光束化したが、カップリングレンズ透過後の光ビームを「弱い収束光束あるいは弱い発散光束」とするように光走査光学系を構成することもできる。
さらに、本発明では、ビームスポット位置間隔の疎密を補正することができるビームスポット位置補正手段と、ビームスポット位置間隔の変動を検出もしくは予測する手段を有している。この検出もしくは予測手段によってビームスポット位置間隔の変動を検出もしくは予測し、その検出もしくは予測する結果に基づいて、ビームスポット位置補正手段により、ビームスポット位置間隔の変動を補正する。このような構成にすることで、温度変化等の経時変動により、ビームスポット位置がずれたときでも、変動前のビームスポット位置に戻すことが可能であるため、温度変動等の経時変動によらない高精度な光走査が可能となる。
走査領域を複数の区間に分割し、分割区間毎にビームスポット位置間隔の疎密を補正する方法について、図5、6を用いて説明する。
図5の実施例では、遷移タイミングを指示する位相データ21と高周波クロック20により遷移タイミングを可変し、画素クロック23の位相をシフトさせた信号を光源24に入力することにより、ビームスポット位置を補正している。以下、位相をシフトさせるクロックに対応した画素を「位相シフト画素」と呼ぶ。
図6を用いてビームスポット位置間隔の疎密が補正できる様子を示す。説明の簡単化のため、位相シフト画素は等間隔に配置されているとする。また、画素クロックの位相を遅らせる方向の画素の個数は−で表す。
図6(a)は、画素クロックが均一であるとき(補正前)、図6(b)は2画素おきに画素クロックの位相を1/16PCLK(PCLKは画素クロックの意味)だけ進めた様子を表しており(位相シフト画素の個数は6個)、図6(c)は2画素おきに画素クロックの位相を1/16PCLKだけ遅らせた様子を示している(位相シフト画素の個数は−6個)。図6(b)は図6(a)に対して全体的に画素が密になっており、図6(c)は図6(a)に対して全体的に画素が疎になっているのがわかる(正確には、位相シフト画素とその隣の画素の間隔のみが変化しているが、平均的に見ると、全体的に疎または密と見なせる)。位相シフト画素の個数を変化させれば、当然画素の密(疎)の程度を変化させることができる。
有効走査領域を複数の区間に分割し、各区間により位相シフト画素の個数を変化させることで、すなわち、図6(b)と図6(c)の状態を組み合わせ、位相シフト画素の個数を調整して画素の密(疎)の程度を調整することで、有効走査領域における主走査ビームスポット位置間隔の疎密を良好に補正することが可能である。
上記のように走査領域を複数の区間に分割する際、異なった幅で分割するのが良い(以下、異なった幅で分割することを「偏分割」と呼ぶ)。ビームスポット位置間隔の疎密の発生状態によって分割区間の幅を可変できるため、効果的にビームスポット位置間隔の疎密を補正することができる。このことは、より少ない分割数で高精度な補正が可能になることを意味し、分割数を少なくすることによるメモリの低減による低コスト化と補正の高精度化の両立が図れる。
画素クロックの遷移タイミングを指示する位相データに基づいて画素クロックの周期を変化させる原理を示す図を図2、3、4に示す。
図2において、画素クロック生成回路10は高周波クロック生成回路11、カウンタ12、比較回路13及び画素クロック制御回路14からなる。高周波クロック生成回路11は画素クロックPCLKの基準となる高周波クロックVCLKを生成する。カウンタ12は高周波クロックVCKLの立上がりで動作して該VCKLをカウントするカウンタである。比較回路12はカウンタの値とあらかじめ設定された値及び外部から与えられる画素クロックの遷移タイミングとして位相シフト量を指示する位相データと比較し、その比較結果にもとづき制御信号a、制御信号bを出力する。画素クロック制御回路13は制御信号a、制御信号bにもとづき画素クロックPCLKの遷移タイミングを制御する。
ここで、位相データは走査レンズの特性により生ずる走査ムラを補正したり、ポリゴンミラーの回転ムラによってドット位置ずれを補正したり、レーザ光の色収差によって生ずるドット位置ずれを補正するために画素クロックの位相のシフト量を指示するためのデータで、一般に数ビットのデジタル値で与えられる。
図2の画素クロック生成回路の動作について図3のタイミング図を用いて説明する。ここでは、画素クロックPCLKは高周波クロックVCLKの8分周とし、標準ではデュティ比50%とする。図3(a)はVCLKの8分周に相当するデュティ比50%の標準の画素クロックPCLKを生成する様子を、図3(b)はVCLKの8分周クロックに対して1/8クロックだけ位相を進めたPCLKを生成する様子を、図3(c)はVCLKの8分周クロックに対して1/8クロックだけ位相を遅らせたPCLKクロックを生成する様子を示したものである。
まず、図3(a)について説明する。ここでは位相データとして「7」の値が与えられている。比較回路13には、あらかじめ「3」が設定されている。カウンタ12は高周波クロックVCLKの立上がりで動作しカウントを行う。比較回路13では、まずカウンタ12の値が「3」になったところで制御信号aを出力する。画素クロック制御回路13は、制御信号aが”H”になっていることから丸付き数字1のクロックのタイミングで画素クロックPCLKを”H”から”L”に遷移させる。次に比較回路13では、与えられた位相データとカウンタ値を比較し、一致したら制御信号bを出力する。図3(a)では、カウンタ12の値が「7」になったところで、比較回路13は制御信号bを出力する。画素クロック制御回路14は、制御信号bが”H”になっていることから丸付き数字2のクロックのタイミングで画素クロックPCLKを”L”から”H”に遷移させる。この時、比較回路13では同時にカウンタ12をリセットさせ、再び0からカウントを行わせて行く。これにより、図3(a)に示すように、高周波クロックVCLKの8分周に相当するデュティ比50%の画素クロックPCLKを生成することができる。なお、比較回路13の設定値を変えれば、デュティ比が変化する。
次に、図3(b)について説明する。ここでは位相データとして「8」を与えるとする。カウンタ12は高周波クロックVCLKのカウントを行う。比較回路13では、まずカウンタ12の値が「3」になったところで制御信号aを出力する。画素クロック制御回路14は、制御信号aが”H”になっていることから丸付き数字1のクロックのタイミングで画素クロックPCLKを”H”から”L”に遷移させる。次に比較回路13では、カウンタ12の値が与えられた位相データ(ここでは8)と一致したら制御信号bを出力する。画素クロック制御回路14は、制御信号bが”H”になっていることから丸付き数字2のクロックのタイミングで画素クロックPCLKを”L”から”H”に遷移させる。この時、比較回路13では同時にカウンタ12をリセットさせ、再び0からカウントを行わせて行く。これにより、図3(b)に示すように、高周波クロックVCLKの8分周クロックに対して1/8クロックだけ位相を進ませた画素クロックPCLKを生成することができる。
次に、図3(c)について説明する。ここでは位相データとして「6」を与えるとする。カウンタ12は画素クロックVCLKのカウントを行う。比較回路13では、まずカウンタ12の値が「3」になったところで制御信号aを出力する。画素クロック制御回路14は、制御信号aが”H”になっていることから丸付き数字1のクロックのタイミングで画素クロックPCLKを”H”から”L”に遷移させる。次に比較回路13では、カウンタ12の値が与えられた位相データ(ここでは6)と一致したら制御信号bを出力する。画素クロック制御回路14は、制御信号bが”H”になっていることから丸付き数字2のクロックのタイミングで画素クロックPCLKを”L”から”H”に遷移させる。この時、同時にカウンタ12をリセットさせ再び0からカウントを行わせて行く。これにより、図3(c)に示すように、高周波クロックVCLKの8分周クロックに対して1/8クロックだけ位相を遅らせた画素クロックPCLKを生成することができる。
なお、位相データを、例えば画素クロックPCLKの立上がりに同期させて与えることにより、画素クロックPCLKの位相を1クロックごとに変化させることが可能となる。図4は、これを示したタイミング図である。
上記のように、簡単な構成で、画素クロックPCLKの位相を高周波クロックVCLKのクロック幅単位に±方向に制御することが可能となる。
上記のように、画素クロックPCLKの位相は1クロックごとに変化させることが可能であるため、高精細な補正が可能であるが、1クロックごとに位相を変化させるとなると、1クロックごとに位相データをメモリに持つ必要があるため、相当量のメモリが必要になり、コストアップを招く。
そこで、前述の図6に示すように、一定画素おきに位相シフト画素を配置するようにしてもよく、そうすることで前記メモリを大幅に低減させることができる。本発明における「位相データ」には、前述のように位相シフト量を指示するデータだけでなく、上記の何画素おきに位相シフトを行うかの情報も含まれているものとする。以上の方法を採用することで、ビームスポット位置間隔の疎密を補正することが可能である。また、少なくとも前記位相データを記憶手段で記憶しておき、書き換え可能としておくことで、温度変動等の経時変動時にビームスポット位置が変動したとしても、記憶手段で記憶している位相データを書き換え、ビームスポット位置の補正の状態を変化させることで、ビームスポット位置の変動を補正することができる。
記憶手段で記憶している情報を書き換えるとき、分割位置、位相データの両方を書き換えた方が、より高精度なビームスポット位置ずれ補正が可能であるが、両方書き換えると、補正アルゴリズムが複雑になるという問題がある。また、位相データのみを書き換える構成とすると、補正精度が若干落ちるが、補正アルゴリズムの簡略化が図れる。従って、補正アルゴリズムが複雑でも高精度な補正が必要なときは分割位置、位相データの両方を書き換え可能に設定しておくのがよく、補正精度が若干落ちても補正アルゴリズムの簡略化が必要なときには位相データのみを書き換え可能に設定しておくのが良い。
更に、光走査装置における走査結像レンズは、通常、光偏向装置の回転に対して主走査ビームスポット位置が線形に変化するように補正(リニアリティ補正)されているが、上記方法を用いることで、上記補正を緩めることが可能になり、他の光学特性の性能向上や、薄肉化、均肉化(中心肉厚と周辺肉厚の差が少ないこと)が図れる。この薄肉・均肉な走査レンズは加工に非常に有利であり、面精度の高い走査レンズを低コストで製作することができるため、リニアリティ補正を弱められるメリットは非常に大きい。
本発明によると、主走査方向に沿った少なくとも2つの光検出手段を設け、その2つの光検出手段間の走査時間を計測することで、ビームスポット位置の変動量もしくは各色画像間の相対的なビームスポット位置ずれを予測することができるため、ビームスポット位置を補正することができる。そのことを図1を用いて説明する。
図1のPD1〜4は光検出手段を示し、本実施例では光検出手段として、フォトダイオード(PD)を用いている。温度変動等の経時変動により光学特性が変化し、PD1〜4に到達する光線が実線から点線に変化したとする。そのように変化すると、PD1とPD2の間の走査時間は、初期状態での走査時間よりも長く観測される。PD3とPD4の間の走査時間は、初期状態での走査時間よりも短く観測される。
例えば、ビームスポット位置間隔が全走査領域に渡って同じ間隔だけ広がったり縮んだりするなら、光学特性変動前後で書き出し位置と書き終わり位置が一致するように、補正を行うだけで(ビームスポット位置間隔の歪みを補正することなく)、中間像高においてもある程度精度良くビームスポット位置変動を補正できる。しかし、通常、光学特性が変化するときは、ビームスポット位置間隔が全走査領域に渡って同じ間隔だけ広がったり縮んだりすることはなく、ある特定の箇所に歪み(疎密)を伴って変化する。従って、書き出し位置及び書き終わり位置だけでなく中間像高においてもビームスポット位置変動を補正する必要がある、つまり、ビームスポット位置の疎密を補正できる補正方法が必須となる。
上記した温度変動時に発生するビームスポット位置の歪みの箇所は、光走査装置内のレイアウト、画像形成装置内での光走査装置の設置場所等によって様々であるが、逆に、光走査装置内のレイアウト、画像形成装置内での光走査装置の設置場所等が決まっていれば、温度変動時に発生するビームスポット位置の歪みの発生箇所はほぼ決まっており、歪みの発生量は、上記のPD1とPD2(PD3とPD4)の間の走査時間とほぼ相関がとれる。
従って、上記のPD1とPD2(PD3とPD4)の間の走査時間を計測し、初期からの変動量を検出することで、温度変動等の経時変動時に発生するビームスポット位置の変動を高精度に補正できる。また、PD1とPD2の間の走査時間と、PD3とPD4の間の走査時間を比較することで、温度変動等の経時変動時の、各色間での相対的なビームスポット位置ずれを補正できる。
光学素子等の光走査装置内でのレイアウトを工夫することにより、少なくとも光偏向器で同一方向に偏向される複数の光ビーム間で、光検出手段を共用することが可能である。光検出手段を複数の光ビーム間で共用とすることで、光検出手段を少なくすることができ、コストを低減できるだけでなく、例えばフォトダイオード等の光検出手段の素子間の特性のばらつきによる検出誤差をなくすことができるため、高精度な時間検出が可能になる。
光走査装置内の温度変動を検出することによっても、温度変動等の経時変動時に発生するビームスポット位置の変動を予測することが可能である。
連続プリント時は、ポリゴンミラーが回転しつづけているためポリゴンミラーが発熱する。大きな発熱源であるポリゴンミラーの熱や、ポリゴンミラーの回転による気流の影響で、走査結像レンズの屈折率及び面形状が変化することにより、ビームスポット位置ずれが変動する。そのため、連続プリントの初めにはビームスポット位置ずれが発生していなかったとしても、連続プリントの間で徐々に発生し、当然のことながら、連続プリントの枚数が多いときには大きなビームスポット位置ずれが発生する。更に、ポリゴンミラーに近い走査結像レンズはパワーが強いことが多く、そのため、熱の影響による屈折率及び面形状変化により発生するビームスポット位置ずれ変動は大きい。
このように、温度変動等の経時変動時に発生するビームスポット位置の変動の一番の原因は、ポリゴンミラーの発熱である。従って、温度検出手段を設けることは非常に有用であり、ポリゴンミラーの発熱量や、最もポリゴンミラーに近い走査結像レンズや、最もパワーの大きい走査結像レンズの温度を検出するのが良く、その検出結果に基づいてビームスポット位置の変動を補正するのが良い。また、前記温度検出結果に基づき、各色間の相対的なビームスポット位置ずれを補正してもよい。
前記ポリゴンミラーの発熱は、駆動時間が長くなればなるほど大きくなるため、前記の温度の代わりに駆動時間を検出しても良い。
以上、光偏向器としてポリゴンミラーを例にあげて説明したが、ガルバノミラー等の光偏向器を用いても同様である。また、前記駆動時間検出結果に基づき、各色間の相対的なビームスポット位置ずれを補正してもよい。
上記のように、連続プリントの初めにはビームスポット位置ずれが発生していなかったとしても、ポリゴンミラーの熱や気流の影響により、連続プリントの間で徐々にビームスポット位置ずれが発生し、当然のことながら、連続プリントの枚数が多いときには大きなビームスポット位置ずれが発生する。
従って、上記のビームスポット位置ずれ補正は、例えば、連続プリント時の紙と紙との間等の「連続プリント時の非有効領域」時に補正を行うのがよい。また、プリントジョブとプリントジョブの間で行ってもよい。
次に、上記光走査装置を備えた画像形成装置について説明する。画像形成装置の一例として、図7に示すレーザープリンターを用いて説明する。
レーザープリンター100は潜像担持体111として「円筒状に形成された光導電性の感光体」を有している。潜像担持体111の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ112、現像装置113、転写ローラ114、クリーニング装置115が配備されている。帯電手段としては「コロナチャージャ」を用いることもできる。更に、レーザビームLBにより光走査を行う光走査装置117が設けられ、帯電ローラ112と現像装置113との間で「光書込による露光」を行うようになっている。また光走査装置117における光源(図示しない)は、前述のとおり、画素クロックの周期を可変する手段をもっている。
図7において、116は定着装置、118はカセット、119はレジストローラ対、120は給紙コロ、121は搬送路、122は排紙ローラ対、123はトレイ、Pは記録媒体としての転写紙を示している。
画像形成を行うときは、光導電性の感光体である像担持体111が時計回りに等速回転され、その表面が帯電ローラ112により均一帯電され、光走査装置117のレーザビームLBの光書込による露光を受けて静電潜像が形成される。形成された静電潜像は所謂「ネガ潜像」であって画像部が露光されている。この静電潜像は現像装置113により反転現像され、像担持体111上にトナー画像が形成される。
転写紙Pを収納したカセット118は、画像形成装置100本体に脱着可能であり、図のごとく装着された状態において、収納された転写紙Pの最上位の1枚が給紙コロ120により給紙され、給紙された転写紙Pは、その先端部をレジストローラ対119に捕らえられる。レジストローラ対119は、像担持体111上のトナー画像が転写位置へ移動するのにタイミングを合わせて、転写紙Pを転写部へ送り込む。送り込まれた転写紙Pは、転写部においてトナー画像と重ね合わせられ転写ローラ114の作用によりトナー画像を静電転写される。トナー画像を転写された転写紙Pは定着装置116へ送られ、定着装置116においてトナー画像を定着され、搬送路121を通り、排紙ローラ対122によりトレイ123上に排出される。トナー画像が転写された後の像担持体111の表面は、クリーニング装置115によりクリーニングされ、残留トナーや紙粉等が除去される。
潜像担持体111に光走査により潜像を形成し、上記潜像を可視化して所望の記録画像を得る画像形成装置において、潜像担持体111を光走査する光走査装置として、請求項4に記載の光走査装置を用いるものであり、潜像担持体111は光導電性の感光体であり、その均一帯電と光走査とにより静電潜像が形成され、形成された静電潜像がトナー画像として可視化される。
前記画像形成装置の光走査装置を本発明の光走査装置とし、各光走査装置で温度変動等の経時変動時に発生するビームスポット位置ずれの変動を検出もしくは予測し、その検出もしくは予測結果に基づいて、ビームスポット位置ずれの変動を補正する。このような構成とすることで、温度変動等の経時変動時でも、画像の歪み等のない高品位な画像が得られる。
また本発明では、トナーパターンを描き、それを検出することによりビームスポット位置ずれの変動を補正することも可能である。しかし、トナーパターンを描く回数が多くなると、それだけトナー消費量が多くなるため、環境に悪影響を与える。従って、経時変動時のビームスポット位置ずれ予測手段を併用することで、トナー消費量を削減することが望ましい。
以下に、上記の光走査装置を複数備えたカラー画像形成装置について説明する。図11は、本発明が適用されるタンデム型フルカラーレーザプリンタを示す。
装置内の下部側には水平方向に配設されて給紙カセット1から給紙される転写紙(図示せず)を搬送する搬送ベルト2が設けられている。この搬送ベルト2上にはイエローY用の感光体3Y,マゼンタM用の感光体3M,シアンC用の感光体3C及びブラックK用の感光体3Kが上流側から順に等間隔で配設されている。なお、以下、添字Y,M,C,Kを適宜付けて区別する。これらの感光体3Y,3M,3C,3Kは全て同一径に形成されたもので、その周囲には、電子写真プロセスに従いプロセス部材が順に配設されている。感光体3Yを例に採れば、帯電チャージャ4Y、光走査光学系5Y、現像装置6Y、転写チャージャ7Y、クリーニング装置8Y等が順に配設されている。他の感光体3M,3C,3Kに対しても同様である。即ち、本実施の形態では、感光体3Y,3M,3C,3Kを各色毎に設定された被照射面とするものであり、各々に対して光走査光学系5Y,5M,5C,5Kが1対1の対応関係で設けられている。
また、搬送ベルト2の周囲には、感光体5Yよりも上流側に位置させてレジストローラ9と、ベルト帯電チャージャ10が設けられ、感光体5Kよりも下流側に位置させてベルト分離チャージャ11、除電チャージャ12、クリーニング装置13等が順に設けられている。また、ベルト分離チャージャ11よりも搬送方向下流側には定着装置14が設けられ、排紙トレイ15に向けて排紙ローラ16で結ばれている。
このような概略構成において、例えば、フルカラーモード(複数色モード)時であれば、各感光体3Y,3M,3C,3Kに対してY,M,C,K用の各色の画像信号に基づき各々の光走査装置5Y,5M,5C,5Kによる光ビームの光走査で静電潜像が形成される。これらの静電潜像は各々の対応する色トナーで現像されてトナー像となり、搬送ベルト2上に静電的に吸着されて搬送される転写紙上に順次転写されることにより重ね合わせられ、フルカラー画像として定着された後、排紙される。
前記画像形成装置の光走査光学系5Y,5M,5C,5Kを配備した光走査装置を、本発明の光走査装置とすることで、色ずれが無く、高品位な画像再現性が確保できる画像形成装置を実現することができる。
この画像形成装置における光走査装置は、ビームスポット位置間隔の疎密を補正することが可能なビームスポット位置補正手段と、基準色画像に対する各色画像の相対的なビームスポット位置ずれを検出もしくは予測する手段を有している。基準色画像に対する各色画像の相対的なビームスポット位置ずれを検出もしくは予測する手段により、基準色に対する各色画像の相対的なビームスポット位置ずれを検出もしくは予測し、前記検出もしくは予測結果に基づいて、基準色画像に対する各色画像の相対的なビームスポット位置ずれを補正することができる。このような構成とすることで、温度変動等の経時変動時においても、各色間での相対的なビームスポット位置ずれを補正することができ、連続プリント時等の温度変動が起こる状況においても常に色ずれが少ない高品位な画像が得られる画像形成装置を提供することができる。
また本発明では、トナーパターンを描き、それを検出することにより相対的なビームスポット位置ずれを補正することも可能である。しかし、トナーパターンを描く回数が多くなると、それだけトナー消費量が多くなるため、環境に悪影響を与える。従って、上記の経時変動時のビームスポット位置ずれ予測手段を併用することで、トナー消費量を削減することが望ましい。
温度変動等の経時変動時の各色間での相対的なビームスポット位置ずれを予測する、上記とは別の手段として、光検出手段を少なくとも一つ設け、光検出手段による検出結果を各色間で比較することにより、各色間の相対的なビームスポット位置ずれを補正することができる。このことを図8を用いて説明する。
一例として、マゼンタで現像される像担持体上のビームスポット位置と、シアンで現像される像担持体上のビームスポット位置の相対的な位置ずれを補正することを考える。PDMはマゼンタで現像される像担持体上に導かれる光ビームを検出するフォトダイオード、PDCはシアンで現像される像担持体上に導かれる光ビームを検出するフォトダイオードとする。
初期はPDM、PDCで検出される光線が両方とも実線であった光線が、温度変動等の経時変動により、走査特性が各色間で異なった変化をし、PDMで検出される光線は点線、PDCで表される光線は一点鎖線のように変化したとする。このとき、画像の書き出し位置の調整により、各色間で書き出し位置を合わせたとしても、中央像高でビームスポット位置間隔の疎密が発生し、その疎密の発生量、発生位置は各色間(例えば、シアン、マゼンタ間)で異なる。従って、ビームスポット位置間隔の疎密を補正できる補正方法が必須となる。
ここで、PDMとPDCで検出される信号の時間差は、初期はある時間差t0であったものが、温度変動等の経時変動後には、PDMとPDCで検出される信号の時間差がt0から変化する。従って、シアンとマゼンタで光学特性の変化に差異が生じたときには、PDMとPDCで検出される信号の時間差が初期での時間差t0から変化する。
このように、フォトダイオードで検出される信号の各色間での時間差と、各色間でのビームスポット位置の各色間での相対的な変動量の関係をあらかじめ調べておけば、温度変動等の経時変動時の各色間での相対的なビームスポット位置ずれが補正できる。
温度変動等の経時変動により、各色間で相対的なビームスポット位置ずれが生じた際には、まず、各色に対応した各LDに入力する走査開始タイミング信号の時間を調整することにより画像の書き出し位置が各色間でほぼ一致するように調整する。その後、各色間で画像の書き終わり位置が略一致するように画像幅を略合わせる手段により、各色間で画像幅を補正する。この補正は、画素クロックの周波数を変化させることにより行っても良いし、図5(b),(c)で説明した補正を有効走査領域全域に適用することで画像幅の補正を行っても良いし、この2つの方法を併用してもよい。
書き出し位置と書き終わり位置が一致した後、各色間で相対的なビームスポット位置ずれがないように、中間像高においてビームスポット位置間隔の疎密を補正すればよい。ただし、中間像高においてビームスポット位置間隔の疎密を補正する際、書き終わり位置が変化しないように補正データを設定する必要がある。
このような方法を用いると、画像の書き出し位置と書き終わり位置を非常に高精度で一致させることができるため、中間像高においても相対的なビームスポット位置ずれ補正が行いやすく、高精度な補正が可能である。さらに、画像の書き出し位置と書き終わり位置が高精度で一致していると、中間像高で補正すべき相対的なビームスポット位置ずれ量は少ない量で済むため、中間像高においても高精度に補正することができ、その結果、画像全域に渡って色ずれが少ない高品位な画像を得ることができる。
温度変動等の経時変動により、各色間で相対的なビームスポット位置ずれが生じた際には、まず、各色に対応した各LDに入力する走査開始タイミング信号の時間を調整することにより画像の書き出し位置が各色間でほぼ一致するように調整し、その後、中間像高において、各色間でビームスポット位置ずれが少なくなるように、それぞれの色でビームスポット位置間隔の疎密を補正していく。その際、画像幅の変動もしくは各色間での画像幅のずれが補正されるように、位相データの設定を工夫することで、画像幅の変動もしくは各色間での画像幅のずれを補正できる。ビームスポット位置間隔の疎密の補正を行うための情報としては、前述の予測手段による予測結果から補正データを得るのがよい。
このような補正方法は、簡単なアルゴリズムで実行でき、且つ高価なフォトダイオード等の高価な光検出手段を少なくすることができ、且つ各色間でのビームスポット位置ずれを小さくすることができ、色ずれの少ない高品位な画像が得られる。
出力画像において、一方の端に向かう方向を正、もう一方の端に向かう方向を負と定義する。複数の光源からの光ビームを光偏向器により同一方向に偏向される際は、光偏向器に最も近い走査レンズの副走査方向の上下で図9(a)に示すような温度分布差が生じやすい。このような温度分布差が発生すると、画像の書き出し位置と書き終わり位置を揃えたときには、中心像高付近は影響を受けにくいが、両側の像高は互いに正負逆のビームスポット位置ずれが生じ、また、位置ずれ量は中心像高付近に対して対称になりやすい。このようなときには、中心像高付近を中心にして、両側の像高で補正方向が逆になるようにビームスポット位置ずれの補正をし、補正量は中心に対して略対称になるように設定するのが良い(図9(b))。
出力画像において、一方の端に向かう方向を正、もう一方の端に向かう方向を負と定義する。図1に示すように、複数の光源からの光ビームを、光偏向器に対して互いに反対方向に偏向するときは、光偏向器に最も近い走査レンズにおいて、図10(a)に示すような温度分布が生じやすい。このような温度分布が発生すると、画像の書き出し位置と画像の書き終わり位置を揃えたときには、中央像高付近で最もビームスポット位置ずれ量が大きく、ビームスポット位置ずれ方向は全像高に渡って同一方向(同一符号)に発生しやすい。このようなときには、ビームスポット位置ずれ補正の方向が全像高に渡って同一方向になるようにし、且つ中心像高付近で最も補正量が大きくなるようにするのが良い(図10(b))。