JP4457553B2 - 製菓用油脂及びその製造法並びにこれを用いた製菓用油脂利用製品 - Google Patents

製菓用油脂及びその製造法並びにこれを用いた製菓用油脂利用製品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製菓用油脂及び製菓用油脂の製造法並びにこれを用いた製品に関し、特に油性感の改善された製菓用油脂及びこれを用いた製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
代表的な油性菓子であるチョコレートは、典型的には、カカオマス、ココアバター、砂糖、粉乳等から製造される。ココアバターは主としてPOSt、StOSt、POP(ただし、P:パルミチン酸、O:オレイン酸、St:ステアリン酸)といった1,3位飽和、2位不飽和のトリグリセリドよりなり、単独菓子として食される典型的チョコレート中に約32%存在する。また、チョコレートの物性改良や製造コストの節約の目的にて、ココアバターの一部または全部に代えて他の油脂(ハードバター)がしばしば使用され、ハードバターは主としてCBEと称される1,3位飽和、2位不飽和のトリグリセリド型油脂に富むものと、CBRと称されるラウリン系もしくは高エライジン酸タイプのものがある。またカカオ成分をほとんど用いない、所謂ホワイトチョコレート類もある(以下においてチョコレート類というときは、各国などの法令や規格に規定にかかわらず、所謂準チョコレート等も包含して指称する)。
【0003】
また最近のチョコレート菓子は単独に食されるだけではなく他の食品、例えば焼菓子などと組み合わせるといった組み合わせ菓子や、ホイップチョコレート、冬季限定の低融点化チョコレートといった商品も増加している。
そういった新規のチョコレート菓子を製造するためにはハードバターを用いてチョコレートの物性を改良する機会も増えている。
特に物性を向上させる為に新たにハードバターを加えたりして油分を増加させた場合は、油性感(油っぽい食感・油臭い)が強くなる傾向にある。
近年のダイエット指向の強まりと関連してか、油性菓子等の油性感を好まない傾向が出てきており、本発明者の知見では一般に高油分であるほど油性感が強まる他、同じ油分であっても例えばスイートチョコレートとホワイトチョコレートとではホワイトチョコレートの方が油性感が強い傾向がある。
また、同様の傾向としてクリーム(サンドクリーム等や乳飲料に入れた場合)においても、油性感は経時的に強まる傾向にあって、また、光や熱に長時間曝されるとより強まる傾向にある。最近の傾向として終日販売のコンビニエンス店で商品が扱われるようになると特に顕著である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、チョコレートやクリーム等を用いた油性菓子や乳飲料の油性感を改善し、それに適した製菓用油脂を提供することにある。
【0005】
【課題を解決する為の手段】
本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本来、油脂に難溶性であるアスコルビン酸を油脂中に含有させたハードバターがチョコレート等ハードバター製品の油性感を大きく軽減させる事を見出し本発明を完成させた。
すなわち、この発明の一つは、アスコルビン酸、エリソルビン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸及びリンゴ酸から選ばれた少なくとも1種の有機酸を含有してなる製菓用油脂であり、それら有機酸が2〜60ppm含まれるのがよい。
この発明は、また、製菓用油脂またはそのパーツ油脂にアスコルビン酸、エリソルビン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸及びリンゴ酸から選ばれた少なくとも1種の有機酸の溶液を添加し、加熱減圧下に乾燥することを骨子とする製菓用油脂の製造法である。
この発明の他の一つは、アスコルビン酸、エリソルビン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸及びリンゴ酸から選ばれた少なくとも1種の有機酸を含有してなる製菓用油脂利用製品であり、製菓用油脂利用製品はチョコレート類、とりわけ、ホワイトチョコレート、ミルクチョコレートもしくはホイップチョコレートであることができる。また該製菓用油脂利用製品は油分が30%からより高油分であるほどこの発明の効果がよく発現する。また製菓用油脂利用製品が乳化物であってもよい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する有機酸は、食品や医薬品用として一般に用いられているもので良く、単独または2種以上を組み合わせて用いても良い。
有機酸の含有量は、製菓用油脂中2ppm以上含有するのが良く、少なすぎると、油性感を減少させる効果に乏しい。また上記有機酸は一般に低油溶性なのであまり多量に含ませることは困難であり、通常60ppmより少ない。またこれら有機酸は、単に製菓用油脂中に分散している非溶解の状態では効果の発現が充分でなく、好ましくは次々項に述べるように、水溶液にして油脂と混和した後、あるいは混和しつつ水分を乾燥するとよい。
【0007】
製菓用油脂はその利用食品がチョコレート類である場合には、前記の公知のハードバターを用いることができ、そのパーツ油脂(例えば、POPに富むパーム中融点画分、StOStに富むシア脂分別油、StLSt脂、ただしLはリノール酸を示す)などであってもよく、あるいはハードバターの融点や硬さを調整する液体油であってもよい。油脂の起源は、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、落花生油、ひまわり油、こめ油、ベニバナ油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、パーム油、ヤシ油、パーム核油等の植物油脂並びに牛脂、豚脂等の動物脂であることができ、必要に応じてこれらを分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂の単品又は、これらの組み合わせでも良い。また製菓用油脂利用食品が、クリーム用油脂である場合は、通常融点5℃以上の油脂が用いられる。
【0008】
本発明の有機酸を含有してなる製菓用油脂の好ましい製造法としては、例えば、アスコルビン酸を含有してなる油脂を得ようとすれば、加温ないし加熱した油脂中にアスコルビン酸溶液、最も通常にはアスコルビン酸水溶液を加え、温度50〜180℃、真空度0.5〜100Torrの条件で攪拌しながら乾燥ないし脱溶媒するのがよい。アスコルビン酸溶液の濃度は、0.1〜22%で行うことができ、1〜10%が好ましい。少なすぎると、油脂に対する水など溶媒の量が多くなり生産効率の悪いものになってしまう。多すぎると、アスコルビン酸の結晶が析出して油脂への含有が難しくなる。温度は低すぎると、乾燥ないし脱溶媒に要する時間が長くかかり、高すぎるとアスコルビン酸が分解してその効果が乏しくなる。真空度は高いほど短時間で乾燥することができる。
【0009】
上記有機酸以外に、抽出トコフェロール、アスコルビン酸パルミテート、カテキン等の他の酸化防止剤と併用してもよく、その場合の適した使用量は通常10〜2000ppmの範囲にあると前記有機酸の添加効果を増加させることがある。これらの酸化防止剤は単純に油脂に添加溶解分散するだけで油脂に含有させることができるので、添加方法は任意の方法を採用できる。
【0010】
本発明の製造法で得られた油脂は、油性感を感じやすい場面での用途において特に適しており、比較的油分の高い(油分30%以上)食品や、光に長時間曝される油性菓子(例えば終日営業のコンビニエンス店の棚置きされる含油食品、例えばクリーム)、熱に長時間曝される乳化物(例えばホットベンダー中のクリーム含有飲料典型的にはカフェオーレ)等にてその効果をよく発揮し、油性感を低減する効果はよく顕現する。上記比較的油分の高い食品の例にはチョコレート類があげられ、一般にアイスコーティングチョコレートやホイップチョコレート類のように油分が30〜70%の油分のものによくこの技術を適用できる。また同じ油分のチョコレート類であっても、ブラックチョコレートやスイートチョコレートよりは、ホワイトチョコレートやミルクチョコレートでより効果が大きい。
【0011】
有機酸含有製菓用油脂のその利用食品への使用方法は特に限定されず、例えばチョコレート類の場合、融解した状態で、他の全原料とともに混合し、或いはコンチング後の追油として添加することができる。また前記乳化物は、水中油型のクリーム状組成物やそれを用いた乳性飲料が例示される。
【0012】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は重量基準を意味する。
【0013】
以下の実施例及び比較例において用いるアスコルビン酸等の詳細は下記のものであった。
アスコルビン酸 :和光純薬工業(株)製、商品名「L−アスコルビン酸」、純度99.5%
エリソルビン酸 :和光純薬工業(株)製、商品名「エリソルビン酸」、純度97.0%
乳酸 :キシダ化学(株)製、商品名「DL-乳酸」、総酸90〜92%
酒石酸 :キシダ化学(株)製、商品名「DL-酒石酸」、純度99%
クエン酸 :ロシュビタミンジャパン(株)製、商品名「クエン酸(結晶)」
リンゴ酸 :和光純薬工業(株)製、商品名「リンゴ酸」、純度97.0%
トコフェロール :エーザイ(株)製、商品名:イーミックス80
【0014】
実施例1・比較例1・比較例2
アスコルビン酸含有ハードバターの作製
70℃のハードバター(不二製油製 商品名「メラノNEW SS7」)100重量部に対し1%アスコルビン酸水溶液を0.2重量部加え、温度70℃、真空度40Torrの条件で、攪拌しながら20分間脱水を行い、TOYO No.5C濾紙(1μm相当)にて濾過し、濾液としてアスコルビン酸含有ハードバターを作製した。
別に溶解したホワイトチョコレート(不二製油製 油分約34%)90部に、上記のように作製したアスコルビン酸含有ハードバター10部を加え、品温を31℃に温調し、そこにシード剤(不二製油製/「チョコシードA」商品名)をチョコレートに対し0.2%加えテンパリング処理し冷却後、1週間のエージングを経てホワイトチョコレート(油分約41%)を得た。
比較例1としてアスコルビン酸含有ハードバターにかえて非含有のハードバター(「メラノNEW SS7」)を用いるほかは同様にしてホワイトチョコレート(油分約41%)を得た。
比較例2として、溶解した原料ホワイトチョコレート(不二製油製 油分約34%)90部にハードバター(不二製油製 商品名「メラノNEW SS7」)10部を加えて品温を31℃に温調し、更にアスコルビン酸を全体に対して10ppmとなるよう紛体で加え、全体に馴染むように攪拌・混合し、そこにシード剤を加える他は本例と同様にしてホワイトチョコレートを得た。
実施例1・比較例1・比較例2の配合と評価を表1に示す。
【0015】
Figure 0004457553
【0016】
実施例1と比較例1・比較例2はエージング直後にその風味を比較すると、実施例1に比べて比較例1・2は油性感が強かった。
さらにそれらのホワイトチョコレートをそれぞれ1週間室温(約20℃)で蛍光灯下30cmに保持した状態を経た後にその風味を比較すると実施例1に比べて比較例1・2は油性感が強く、その油性感の差異はエージング前より強かった。これより、アスコルビン酸は実施例1に示される方法で添加された場合に油性感の軽減に寄与し、無添加よりも油性感が弱くなった。またその添加方法もハードバターに粉体で添加するとその油性感低減効果を発揮できないことが明らかになった。
【0017】
実施例2・比較例3
ホワイトチョコレートにかえてミルクチョコレート(不二製油製 油分約34%)を用いる他は、実施例1及び比較例1と同様に本例の実施例2及び比較例3のチョコレート製品を得た。これらのものを評価したところ、各々実施例1及び比較例1と同様の結果であった。
【0018】
実施例3・比較例4
溶解したスイートチョコレート(不二製油製 油分約34%)90部に、実施例1で作製したアスコルビン酸含有ハードバター10部を加え、最下点26℃、リヒート点28℃でテンパリング処理し冷却後、スイートチョコレート(油分約41%)を得た。
比較例4としてアスコルビン酸含有ハードバターにかえて非含有のハードバター(「メラノNEW SS7」)を用いるほかは同様にしてスイートチョコレートを得たが、このものはエージング直後に、本例製品に比べて油性感が強く、1週間室温(約20℃)で蛍光灯下30cmに保持した状態ではより大きな差異をもって本例製品より油性感が強かった。ただし実施例3と比較例4製品の差異より、実施例1や2における比較製品との差異の方が大きかった。
実施例2・比較例3と実施例3・比較例4の配合と評価を表2に示す。
【0019】
Figure 0004457553
【0020】
実施例4・比較例5
全脂粉乳28部、砂糖44部、実施例1と同様に作製したアスコルビン酸含有ハードバター22部、及び少量のレシチンを混合しロールリファインイング後、更にアスコルビン酸含有ハードバター6部を加えてコンチングを行い、ホワイトチョコレート類生地(油分約41%)を得た。31℃に温調した後は実施例1と同様にして作成し、ホワイトチョコレート類を得た。
比較例5としてアスコルビン酸含有ハードバターにかえて非含有のハードバターを用いるほかは同様にしてホワイトチョコレート類を得たが、このものも、実施例1や2と同様に、本例製品に比べて油性感が強かった。
実施例4・比較例5の配合と評価を表3に示す。
【0021】
Figure 0004457553
【0022】
以上のように調製・作成した実施例1〜4と比較例1〜5のチョコレートをまとめて5人のパネラーによる食感・風味を評価したところ、上記のように実施例1〜4はアスコルビン酸含有ハードバターを使用しているため、チョコレートの油性感が少なかった。これはアスコルビン酸を含有していないハードバターで作製した従来のチョコレートには無い特徴であった。特にホワイトチョコレートやミルクチョコレートなどの乳固形分を含有しているチョコレートで顕著であった。
一方、上記いずれの比較例の製品も、上記のような特徴は無かった。
【0023】
実施例5
溶解したミルクチョコレート(不二製油製 油分約34%)80部、ハードバター(不二製油製 商品名「メラノNEWSS7」10部、実施例1で作製したアスコルビン酸含有ハードバター10部、プロピレングリコールステアリン酸エステル(理研ビタミン製 商品名「リケマールPS100」) 1部を混合し、品温を31℃に調製した。そこにシード剤(不二製油製/「チョコシードA」商品名)をチョコレートに対し0.2%加えてテンパリング処理し、更に品温を25℃まで下げた。このチョコレートを、ケンウッドミキサー(ホイッパー使用)で中速攪拌し、起泡させた。このホイップチョコレートの比重は約0.6であった。
【0024】
比較例6として、アスコルビン酸含有ハードバターを用いず、含有しないハードバター(不二製油製 商品名「メラノNEWSS7」)20部を用いる他は、本例と同様の配合・手順でホイップチョコレート(比重は約0.6)を調製した。
【0025】
実施例6
アスコルビン酸にかえてエリソルビン酸を用いる他は実施例1と同様の配合・手順で作成したハードバター及びホワイトチョコレートを得た。
【0026】
実施例7
アスコルビン酸にかえてリンゴ酸を用いる他は実施例1と同様の配合・手順で作成したハードバター及びホワイトチョコレートを得た。
【0027】
実施例8
アスコルビン酸に変えて乳酸を用いる他は実施例1と同様の配合・手順で作成したハードバター及びホワイトチョコレートを得た。
【0028】
実施例9
アスコルビン酸に変えて酒石酸を用いる他は実施例1と同様の配合・手順で作成したハードバター及びホワイトチョコレートを得た。
【0029】
実施例10
アスコルビン酸に変えてクエン酸を用いる他は実施例1と同様の配合・手順で作成したハードバター及びホワイトチョコレートを得た。
【0030】
以上のように調製したチョコレートを5人のパネラーにより、食感・風味を評価したところ、実施例5・実施例6・実施例7・実施例8・実施例9・実施例10は比較例6に比べて油性感が軽減されていた。
実施例5・実施例6・実施例7・実施例8・実施例9・実施例10と比較例6の配合と評価を表4に示す。
【0031】
Figure 0004457553
【0032】
実施例11・実施例12・実施例13
アスコルビン酸含量が12ppm、6ppmまたは3ppmのハードバターを用いる他は、実施例1及び比較例1と同様の配合・手順で作成したホワイトチョコレートを得た。(実施例11・実施例12・実施例13の順にアスコルビン酸含量12ppm・6ppm・3ppmのハードバターを使用した。)
これらのものと比較例1と比較評価したところ、3ppmでも比較例1と比べて油性感が改善されていたが、アスコルビン酸量が多いほど効果は大きく6ppm、12ppm含有する方が油性感の軽減された効果は顕著であった。
実施例11・実施例12・実施例13と比較例1の配合と評価を表5に示す。
【0033】
Figure 0004457553
【0034】
実施例14・実施例15・実施例16
リンゴ酸含量が60ppm、20ppmまたは10ppmのハードバターを用いる他は、実施例1及び比較例1と同様の配合・手順で作成したホワイトチョコレートを得た。(実施例14・実施例15・実施例16の順にリンゴ酸含量60ppm・20ppm・10ppmのハードバターを使用した。)
これらのものと比較例1と比較評価したところ、10ppmでも比較例1と比べて油性感が改善されていたが、リンゴ酸量が多いほど効果は大きく20ppm、60ppm含有する方が油性感の軽減された効果は顕著であった。
実施例14・実施例15・実施例16と比較例1の配合と評価を表6に示す。
【0035】
Figure 0004457553
【0036】
実施例17
70℃の製菓用油脂(菜種を原料とした精製油で上昇融点22℃の硬化油)100重量部に対し1%アスコルビン酸水溶液を0.2重量部加え、温度70℃、真空度40Torrの条件で、攪拌しながら20分間脱水を行い、TOYO No.5C濾紙(1μm相当)にて濾過し、濾液としてアスコルビン酸含有製菓用油脂(A)を作製した。
このアスコルビン酸添加製菓用油脂35%、カゼインNa2%、リゾレシチン0.3%、ポリグリセリン脂肪酸エステル0.5%、ショ糖脂肪酸エステル0.2%、メタリン酸Na0.1%、水61.9%の配合で、水中油型乳化物を調製した(B)。すなわち70℃30分で上記配合を予備乳化し、2段式ホモゲナイザーで上段0MPa、下段10MPaで均質化した後、高温瞬間直接蒸気式殺菌機で150℃4秒間殺菌し、さらに2段式ホモゲナイザーで上段0MPa、下段10MPaで均質化した後、5℃まで急速冷却し、当該(B)の水中油型乳化物を得た。
またこの水中油型乳化物2%、コーヒー抽出物60%(Bx1.8°のコーヒー抽出物)、砂糖5%、ショ糖脂肪酸エステル0.05%(三菱化学フーズ製 エステルP−1670)、水32.95%の配合で殺菌済みコーヒー飲料を得た(C)。即ち、60℃10分で上記配合を予備乳化した後、重曹でpH6.2にpH調整し、2段式ホモゲナイザーで上段0MPa、下段20MPaで均質化した後、190ml缶に充填し、充填した缶を121℃で30分熱水式レトルト殺菌機で殺菌処理した後、放冷して得た。
(C)は殺菌直後、5℃で14日静置後、20℃で14日静置後、または60℃で14日静置後に、開缶し官能検査による風味劣化のモニタリングを10名で行った結果、次の表7の評価を得た。また評価されたプロファイルは列挙すると、油っぽさがない、すっきりしている、飲みやすい、であった。(C)の評価を表7に示す。
【0037】
Figure 0004457553
【0038】
比較例7
上記(A)のかわりに、アスコルビン酸を含有しない油脂(菜種を原料とした精製油で上昇融点22℃の硬化油)(D)を利用する他は本例と同様にして、水中油型乳化物(E)、及び殺菌済みコーヒー飲料を得た(F)。
(F)を殺菌直後、5℃で14日静置後、20℃で14日静置後、または60℃で14日静置後に開缶し、官能検査による風味劣化のモニタリングを10名で行った結果、殺菌直後に実施例と比較して風味劣化を感じると判断する者が7名、5℃で14日後で実施例と比較して風味劣化を感じると判断する者8名、20℃で14日後で実施例と比較して風味劣化を感じると判断する者8名、60℃で14日後で実施例と比較して風味劣化を感じると判断する者10名であった。また、プロファイルを羅列すると、本例製品に比べて脂っこい、脂肪感がある、重たく、口に残る、後味が悪い、などであった。
【0039】
比較例8
比較例6の水中油型乳化物(E)の水相に、実施例8のアスコルビン酸含有製菓用油脂(A)に含有している相当量のアスコルビン酸を添加して、後は比較例6と同様な処理、評価を行った。結果は比較6と同様であった。
【0040】
【発明の効果】
本発明により、製菓用油脂の油性感を改善し、チョコレート類など製菓用油脂利用食品の油性感を改善する製菓用油脂を提供できるようになった。

Claims (2)

  1. アスコルビン酸、エリソルビン酸、乳酸、酒石酸及びリンゴ酸から選ばれた少なくとも1種の有機酸の溶液を添加し、加熱減圧下に乾燥することにより、該有機酸が2〜60ppm含まれることを特徴とする製菓用油性感改善油脂の製造方法。
  2. 請求項1の製造方法により製造された製菓用油性感改善油脂。
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