JP4456278B2 - 車両ドア支柱ボタン - Google Patents

Description

【０００１】
（発明の分野）
本発明は、車両ドアを、開位置に位置決めしかつそこに保持するためのボタンに関する。
【０００２】
（発明の背景）
一般的に、車両の製造プロセスにおいては、車両本体とドアとは同時に塗装される。これは、本体とドアの色を確実に一致させるために必要であり、ドアを別個に塗装したならば、色の一致は保証され得ないだろう。従って、ドア組立体は、ドアヒンジにはめ込まれ、車両の適切な配置（オリエンテーション）に位置決めされる。続いて、塗装プロセスの間、塗装装置で塗装されるべき全ての表面へのアクセスが可能となるように、ドア組立体は繰り返し開閉される。これらの操作のいくつかを行う間、車両ドアを、開位置に位置決めしかつ保持しなければならない。あるいは、他の操作では、車両ドアを、閉位置に位置決めしかつ保持する必要がある。従って、ドア組立体は、ドアを開位置または閉位置に解放可能に位置決めしかつ保持するための手段を備えていなければならない。
【０００３】
これまで、ドア組立体に適切な戻り止め機構、特に別個の止め具（チェック）を備えつけることは困難であった。特に、塗料の過剰噴霧および他の悪い環境状態のために、プロダクションチェックストラップ組立体を利用することができないのである。従って、一時的なチェックストラップ取付具が利用されている。特に、複数ピースのチェックストラップ組立体が、ドア組立体に固定されかつ車両本体に操作可能に連結される。一時的なチェックストラップ取付具は、開位置と閉位置との間の、ドア組立体の戻り止めを提供する。塗装プロセスが完了すると、一時的なチェックストラップ取付具が本体から連結解除され、ドア組立体が車両本体から取り外され、次いで、一時的なチェックストラップ取付具がドア組立体から取り外される。各一時的なチェックストラップ取付具は、かなり高価であるので、該取付具から過剰の塗料を除去して再調整され、他の車両本体に再使用するためにリサイクルされる。このように、この一時的なチェックストラップ取付具は、設計、設置およびメンテナンスにおいて高価である。
【０００４】
加えて、ヒンジにネジ止めされる機構または特定タイプのヒンジの使用を必要とする戻り止め機構が提案されており、これらは、「３つの直径のヒンジピン」と題する米国特許第５，５７７，２９５号に示されるような、取り外し可能なヒンジピンを有する。ネジ締めタイプの機構は、締め具の費用、本体ブラケットへの穴開けとネジ山のタップ立て、および取り外しの費用のせいで、ドア塗装プロセスにかなりの費用追加となる。ヒンジピンの取り外しを必要とする機構は、そのタイプのヒンジを使用する用途に限定される。
【０００５】
（発明の要旨）
先行技術の不都合な点は、絞め具なしで容易に設置されかつ容易に取り外される車両ドア支柱ボタンを設けることによって克服され得る。
【０００６】
主たる態様では、本発明は、一時的な車両ドアチェック機構を含むものであり、該機構は、
ドア側の部分と本体側の部分と中間ブリッジ部分とを有するヒンジと、
ヒンジのドア側の部分と本体側の部分とに共通の回転軸で回転可能に接続されているヒンジの中間ブリッジ部分と、
ヒンジのドア側の部分または本体側の部分のうちの一方にマウントされておりかつドアが閉位置から開位置に向かってヒンジの周りを回転するときにヒンジの中間ブリッジ部分にリリース可能に接触するように適合されているフレキシブルな支柱ボタンであって、前記の接触が該ボタンを押し付けそしてドアを部分的なまたは完全な開位置で解放可能に保持するのに十分な摩擦抵抗を発生するものである該フレキシブルな支柱ボタンとを、有するものである。
【０００７】
本発明のさらなる態様では、ヒンジの中間ブリッジ部分が、第１の凸状ローブと第２の凸状ローブとの間に凹状のアーチ状面を有し、ドアが回転させられると、順に、第１の凸状ローブに抗して支柱ボタンを押し付けるように該ボタンに接し、第１と第２の凸状ローブの間の凹状のアーチ状面に接して位置するように該支柱ボタンを解放し、次いで第２の凸状ローブに抗して支柱ボタンを押し付けるように適合されている。
【０００８】
本発明のさらなる態様では、車両の塗装にとって望ましくない外部の障害を最小限にするために、支柱ボタンがヒンジの内側に延びている。
【０００９】
さらなる態様では、支柱ボタンが、車両の塗装後に容易に取り外すことができるものである。
【００１０】
さらなる態様では、ヒンジの本体側の部分が、中間ブリッジ部分のための回転停止限界点を有する成形された突出部を有するものである。
【００１１】
本発明のさらなる態様では、支柱ボタンがステム部分と中空キャップ部分とを有するものである。
【００１２】
本発明のさらなる態様では、支柱ボタンが可撓性の熱可塑性材料を含み、この材料は無機物強化ナイロン樹脂であってもよい。
【００１３】
図面は、本発明の好適な実施態様を例示している。
【００１４】
（発明の説明）
図１および２を参照すると、ドアヒンジ１２にマウントされた支柱ボタン１０が示されている。ドアヒンジ１２は、車両に固定された本体ブラケット１４とＵ字形ブリッジ１６、およびボルトまたは溶接プロセスによって車両のドア２０に固定されたドアブラケット１８を有する。ドアブラケット１８は、本体ブラケット１４のピン２２および２３に、ピボット回転するようにマウントされている。
【００１５】
ドアヒンジ１２は、従来の設計および製造によるものである。このようなヒンジは、シボレー シルヴァラード（ＳＩＬＶＥＲＡＤＯ）^ＴＭに見ることができる。
【００１６】
図２および３を参照すると、本体ブラケット１４は、概してＵ字形であり、中間部分２４とそこから延びる２つの脚部２６、２８を有する。脚部２６、２８は、それぞれピン２２、２３をマウントするための開口を有する。ピン２２、２３は、上方に延びている。脚部２６、２８は、それぞれ成形（ｆｏｒｍｅｄ）ディンプル３０、３１を有し、これらのディンプルはそれぞれ本体ブラケット１８に停止限界点を示す。脚部２６もまた、Ｕ字形ブリッジ１６の停止限界点を示すピン３２を、ヒンジ１２のスイングの反対側の領域に有する。本体ブラケット１４は、当該分野においてよく知られた方法にて車両フレームに溶接されている。
【００１７】
ヒンジ１２はＵ字形ブリッジ１６を有し、該ブリッジはそこから延びる脚部４６および４８を有する。脚部４８の末端部はアーチ形の面５０を有する。ブリッジ１６は、脚部２６と２８との間にフィットするように構成されており、かつピン２３、２２に同軸状にマウントされている。ブリッジ１６は、ボルト３４を受け入れるための開口３３を有する。
【００１８】
ドアブラケット１８は、概してＵ字形であり、中間部分３６とそこから延びる２つの脚部３８、４０を有する。脚部３８、４０は、ピン２２、２３の頂部にかぶせて、ピボット回転するようマウントされるように構成されており、該ピン２２、２３を受け入れるための開口を有する。脚部３８および４０の末端部は、それぞれ、止め部３２および３１と接するように構成されている。中間部分３６は、タブ（ｔａｂ）４２を有し、このタブはねじ切りされた貫通孔４４を有する。ドアブラケット１８がピン２２、２３にマウントされてドア２０を車両に保持した後、ねじ切りされた孔４４は、リンク１６を通してボルト３４を受け入れる。ドアブラケット１８は、当該分野においてよく知られた方法にて車両のドア２０に溶接される。
【００１９】
図８に示すように、ドア支柱ボタン１０は、概してマッシュルーム形状であり、中空のキャップ５２とステム（軸部）５４とを有する。脚部２８は、支柱ボタン１０のステム５４を受け入れるための貫通孔穴５６を有する。キャップ５２は、脚部２８の下面上にあって下方へ延びている。キャップ５２の位置とリンク１６の回転との間の半径方向の距離は、それら間の係合が妨害（インターフェアレンス）関係であるように選択される。好ましくは、支柱ボタン１０は、無機物強化ナイロン樹脂から作製され、約５１００ＭＰａの曲げ係数（ｆｌｅｘ ｍｏｄｕｌｕｓ）を有する。
【００２０】
図４および８を参照すると、ドア支柱ボタン１０は、ドア閉位置でヒンジ１２にマウントされている。ドア支柱ボタン１０は、孔穴５６に摩擦をもって挿入されており、かつリングクリップ５５によって定位置に保持されている。キャップ５２は、塗装プロセス中の塗料のシャドーイングを最小限にするために、脚部２８の下側にある。支柱ボタン１０は、ドア２０を閉位置に保持する。
【００２１】
ドア２０およびドアブラケット１８が開けられると、脚部４８の末端部は、キャップ５２と摩擦をもって係合する。ボタン１０によって発生する圧縮力および摩擦力に打ち勝つために、いくらかの作用力が必要である。
【００２２】
ドアがさらに半ば開位置まで開けられると（図５）、脚部４８の末端部は、キャップ５２を部分的に横切って移動しており、今やキャップはアーチ状の面５０にはまり込んでドア２０を半ば開状態に保持している。ドアがさらに開けられると（図６）、脚部４８の末端部は、再びキャップ５２と係合し、発生した圧縮力および摩擦力に打ち勝つための作用力を必要とする。
【００２３】
ドアが完全に開けられると（図７）、キャップ５２は、もはや圧縮されておらずに脚部４８に接しており、そのことがドアを全開状態に保持し、そしてそのことがまた、ボタン１０の容易な取り外しを可能とする。
【００２４】
図８は、わずかに閉められてキャップ５２を押し付けたときのドアを示している。キャップ５２によって発生した圧縮力および摩擦力は、いったん所望の位置についたドアが移動するのを制限する。
【００２５】
ほとんどの用途では、塗装プロセス後に支柱ボタン１０を取り外すことが望ましい。図２および８を参照すると、支柱ボタン１０は、一般的なプライヤーを用い、支柱ボタン１０をつかんで脚部２８のボア５６から引き抜くことによって取り外すことができる。
【００２６】
特定の実施態様を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく特定の変更ができることを当業者は認識し得る。例えば、支柱ボタンは、ヒンジの本体側にマウントすることができ、そして、部品は同じ作用をつくり出すように適切に構成されうる。さらに、支柱ボタンの形状は、同じ作用をうみ出すように変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明のドア支柱ボタンと共にドアヒンジを組み込んだ車両の斜視図である。
【図２】 図１のドアヒンジおよび支柱ボタンの斜視図である。
【図３】 図１のドアヒンジおよび支柱ボタンの分解図である。
【図４】 閉状態にあるドアヒンジの上面図である。
【図５】 半開放位置にある図４のドアヒンジの上面図である。
【図６】 支柱ボタンがヒンジと摩擦をもって係合している開状態にある図４のドアヒンジの上面図である。
【図７】 塗装位置である完全な開位置にある図４のドアヒンジの上面図である。
【図８】 偏位した支柱ボタンを示すドアヒンジの断面図である。

Claims (7)

1. 一時的な車両ドアチェック機構であって、
   （ａ）ドア側の部分と本体側の部分と中間ブリッジ部分とを有するヒンジを有し、
   （ｂ）ヒンジのドア側の部分と本体側の部分とに、共通の回転軸で回転可能に接続されている、ヒンジの中間ブリッジ部分を有し、
   （ｃ）ヒンジのドア側の部分または本体側の部分のうちの一方にマウントされたフレキシブルな支柱ボタンを有し、
   ヒンジの中間ブリッジ部分は、第１の凸状ローブと第２の凸状ローブとの間に凹状のアーチ状面を有し、ドアが回転させられると、順に、第１の凸状ローブに抗して支柱ボタンを押し付けるように該ボタンに接し、第１と第２の凸状ローブの間の凹状のアーチ状面に接して位置するように該支柱ボタンを解放し、次いで第２の凸状ローブに抗して支柱ボタンを押し付けるように構成されており、
   前記構成によって、ドアが閉位置から開位置に向かってヒンジの周りを回転するときに、フレキシブルな支柱ボタンが、ヒンジの中間ブリッジ部分にリリース可能に接触し、前記の接触が、該ボタンを押し付けそしてドアを部分的なまたは完全な開位置で解放可能に保持するのに十分な摩擦抵抗を発生するようになっている、
   前記一時的な車両ドアチェック機構。
2. 車両の塗装にとって望ましくない外部の障害を最小限にするために、支柱ボタンがヒンジの内側に延びている、請求項１記載の一時的な車両ドアチェック機構。
3. 支柱ボタンが、車両の塗装後に容易に取り外すことができるものである、請求項１記載の一時的な車両ドアチェック機構。
4. ヒンジの本体側の部分が、中間ブリッジ部分のための回転停止限界点を有する成形された突出部を有する、請求項１記載の一時的な車両ドアチェック機構。
5. 支柱ボタンがステム部分と中空キャップ部分とを有する、請求項１記載の一時的な車両ドアチェック機構。
6. 支柱ボタンが可撓性の熱可塑性材料を含む、請求項１記載の一時的な車両ドアチェック機構。
7. 支柱ボタンが無機物強化ナイロン樹脂を含む、請求項１記載の一時的な車両ドアチェック機構。

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