JP4452470B2 - 複数レーザ光のコヒーレンス度相互補正方法及び装置 - Google Patents

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Description

この発明は、複数レーザ光に位相共役鏡を組合わせて出力光相互のコヒーレンス結合性を向上させた複数レーザ光のコヒーレンス度相互補正方法及び装置に関する。
複数の半導体レーザ(LDと略記)を1次元又は2次元状に配列したLDアレイは、穴明け、切断などのレーザ加工、レーザロケット、レーザ医学、非線形光学用光源、分光用光源、あるいはMJ級の大出力レーザの励起用の光源など種々の用途に利用される。このようなLDアレイの出力光を球面レンズを用いて集光し照射する際に、位相共役鏡を用いて出力光のコヒーレンス結合性を向上させる方法が、例えば非特許文献1により知られている。この方法は位相固定法とも呼ばれ、LDアレイに外部反射鏡として位相共役鏡を組合わせ、LDアレイの出力光の位相を複数のLDのそれぞれについて反射された位相共役光により揃えてコヒーレンス結合性を向上させ、出力光の集光度を得んとするものである。
位相共役鏡としては、例えばRhをドープしたチタン酸バリウムBaTiO3 (Rh:BaTiO3 と略記)を用いたフォトリフラクティブ結晶が一般に使用され、LDアレイからの出力光を結晶に対し所定の入射角で入射すると共に、そのTE偏光方向がフォトリフラクティブ結晶のC軸(Z軸)と平行となるように入射される。結晶中で発生する4光波混合に基づく位相共役反射光は、時間反転光として正確に元の方向に向い、LD発光部では最初にLD発光部を出射した時と全く同じ波面の整った位相共役光として戻され、出射光のコヒーレンス結合性を向上させることができる。
しかし、上述した従来の位相共役方式のLDアレイの構成では、その出力光と出力光相互のスローアクシス方向(SADと略記)とファーストアクシス方向(FADと略記)でのそれぞれの空間コヒーレンス度γSAD とγFAD の値において、γSAD はγFAD の約1/2程度と大きく異なり、出力光を集光した場合の集光度は必ずしも十分ではない。これはフォトリフラクティブ結晶のC軸にLDアレイのTE偏光の方向が平行、即ちTE偏光//C軸とされているからである。
一般には、LDアレイの出力光は、TE偏光のみを含むレーザ光として出力され、TM偏光を含まない。従って、TE偏光の位相共役光を最も有効に生じさせるためにはTE偏光//C軸とするのがよい。γSAD とγFAD の値が同一でなければ、コヒーレンス結合されたLD出力光を球面レンズで集光しても中心非対称の形状となり、このため回折限界まで狭く集光することができないという問題がある。
米国光学会誌論文「M.Lobel,P.M.Petersen,and P.M.Johausen;Opt.Letts,23(1998)825−827」
この発明は、上記の問題に留意して、複数のレーザ光を集光する際に位相共役鏡により位相共役光として空間コヒーレンス度を強化するため出力光にTE偏光成分とTM偏光成分を含ませて空間コヒーレンス度γSAD とγFAD を同一の値とし、コヒーレンス結合された出力光を球面レンズで集光すると回折限界まで狭く集光することができる複数レーザ光のコヒーレンス度相互補正方法及び装置を提供することを課題とする。
この発明は、上記の課題を解決する手段として、振動方向が互いに直交するTE偏光とTM偏光を含む複数のレーザ光を両偏光を同期して発生させ、各レーザ光を屈折面に対し所定の角度で、かつ各レーザ光の両偏光のうち弱偏光の偏光方向が位相共役鏡のC軸と平行となるように位相共役鏡へ入射し、この位相共役鏡内で1のレーザ光の弱偏光が光起電力効果に基づいて直交する方向に生じる偏光を位相共役光として出射し、他のレーザ光のそれぞれの発生過程に作用させて他のレーザ光の強偏光の空間位相を上記弱偏光の位相に一致させ、かつ他のレーザ光のうちの1の強偏光が上記弱偏光と同様に光起電力効果で生じる直交する方向の偏光を位相共役光としてこのレーザ光以外のレーザ光の発生過程に作用させて各レーザ光の弱偏光の空間位相を強偏光の位相に一致させ、上記作用を複数のレーザ光相互間に生じさせて各レーザ光相互のTE偏光とTM偏光それぞれのコヒーレント結合度を1又は1に近い値に補正するようにした複数レーザ光のコヒーレンス度相互補正方法としたのである。
そして、上記方法を実施する装置として、振動方向が互いに直交するTE偏光とTM偏光を含むレーザ光を発生する複数のレーザ発振器を並設し、レーザ発振器から両偏光を同期して発生した各レーザ光を入射する位相共役鏡に対し屈折面への角度を所定の角度で、かつ各レーザ光の両偏光のうち弱偏光の偏光方向が位相共役鏡のC軸と平行となるように配設した位相共役鏡とを備え、位相共役鏡は入射されたレーザ光の1の弱偏光の散乱光が他のレーザ光の散乱により生じるブラッグ回折格子に作用して光起電力効果に基づいて直交する方向に生じる偏光を順位相共役光として出射し、かつ他のレーザ光の1の強偏光が上記弱偏光と同様に光起電力効果で生じる直交する方向の偏光を逆位相共役光として出射し、上記出射された順・逆位相共役光を各レーザ発振器へ種光として注入し発生過程でそれぞれの偏光の相互のコヒーレント結合度を1又は1に近い値に補正するように構成した複数レーザ光のコヒーレンス度相互補正装置を採用することができる。
上記の方法及び装置の発明では、複数レーザ光の相互の空間コヒーレンス度が極めて高くなるよう相互に補正が行なわれる。それぞれのレーザ光は、その偏光成分としてTE偏光とTM偏光とを含んで同時に発生され、そのうちTM偏光成分の振動方向が位相共役鏡の結晶のC軸と平行となるように配設された位相共役鏡に入射される。その際位相共役鏡の屈折面に対し内部でのブラッグ回折格子が生じ易い所定の角度で入射する。
入射されたレーザ光は、位相共役鏡内の所定領域に生じる干渉縞のブラッグ回折格子領域でブラッグ回折され位相共役光を生じ、この位相共役光を他のレーザ光の発生過程に注入して誘導放出過程で発生するレーザ光の位相を元のレーザ光に合致させることによりレーザ光相互のコヒーレント結合をする。このような位相共役光により位相の補正をする際に、TM偏光のブラッグ回折格子での回折作用において光起電力効果に基づく作用では直交する方向のTE偏光が生じ、このTE偏光成分の位相共役光が他のレーザ光の発生過程へ注入される。
上記両偏光成分の結合の際、電気光学係数とTE偏光成分のLD強度とTM偏光成分のLD強度の3つの値の積に比例した強度値がTE偏光成分とTM偏光成分の間で交換されTE偏光成分へ伝達される。このため、TM偏光成分の空間コヒーレンス度の状態がTE偏光成分に対しても、又TE偏光からTM偏光に対しても適用され、TM偏光成分の空間コヒーレンス度と同じ状態にTE偏光成分の空間コヒーレンス度が移行され、これによりTE・TM両偏光成分の空間コヒーレンス度は約100%又は100%に近い高い値となり、空間コヒーレンス度γFAD とγSAD はほぼ同じ約100%の値となる。
上記光起電力効果に基づいて位相共役光を生じる作用ではTM偏光はTE偏光に比して弱偏光であるが、結晶のC軸に平行な方向で位相共役鏡に入射されるため、TM偏光をTE偏光に変換する作用は高効率に行なわれ、確実にTE偏光の補正作用をする。他方、TE偏光は強偏光として入射されるから、TM偏光への変換効率は低くてもTM偏光への補正作用を得ることができる。
上記のように位相共役鏡で生成された位相共役光をレーザ発生過程へ戻し、発生部からの出力光に対しTE偏光成分とTM偏光成分を共に約100%の空間コヒーレンス度の出力光となるよう補正し、これにより位相共役半導体レーザアレイの出力光を空間コヒーレンス度の高い出力光として出力することができる。従って、この出力光を球面レンズで集光すれば、回折限界に近い集光度で集光できる。
この発明の複数レーザ光のコヒーレンス度相互補正方法及び装置は、直交するTE偏光成分とTM偏光成分を有する出力光の経路に位相共役鏡をTM偏光の振動方向とC軸が平行となるように配置し、位相共役鏡での光起電力効果によりTE偏光成分に対しTM偏光成分の空間コヒーレンス結合作用を及ぼし、TE偏光成分のFAD方向モードとTM偏光成分ののSAD方向モード、またTE偏光成分のSAD方向モードとTM偏光成分のFAD方向モードとを結合することによりTE、TM偏光成分の空間コヒーレンス度を同時に約100%の値とし、その出射された位相共役光を他のレーザ光の誘導放出過程に作用させて出力光を補正するようにしたため、TE・TM偏光成分の両者共に約100%近い高い空間コヒーレンス度の出力光が出力され、これを集光すれば回折限界まで絞ることが可能であるという利点が得られる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は実施形態のレーザ光のコヒーレンス度相互補正装置の概略構成図を示す。図示の補正装置は、この発明のコヒーレンス度相互補正方法を実施する原理的な構成の組合わせによる装置を示しており、この原理を実際に応用した半導体レーザアレイのレーザ光のコヒーレンス度相互補正装置については後で説明する。なお、図示の補正装置は、後述する作用の説明を分り易く表示するため位相共役鏡20の断面をレーザ発振器群10より大きく拡大して示している。
図示のように、補正装置は複数のレーザ発振器11、12、13・・・を並設したレーザ発振器群10と、位相共役鏡(位相共役反射鏡又はフォトリフラクティブミラーとも呼ばれる)20とを備えている。レーザ発振器11、12、13・・・は、後述する実際の例では半導体レーザを採用しているが、固体レーザなどの他の形式のレーザとしてもよい。しかし、それぞれのレーザ発振器が発生するレーザ光については、振動方向が互いに直交するTE偏光とTM偏光を同期して発生させるものでなければならない。各レーザ発振器11、12、13・・・は、それぞれのレーザ光が互いに平行に送られ、各レーザ光は広がりのない平行光束であるとする。
上記TE偏光は、図示のように、位相共役鏡20のC軸と直交する方向で、レーザ光の進行方向において水平に振動する偏光、TM偏光はTE偏光と直交しC軸と平行な方向に振動する偏光である。そして、図示の例ではTE偏光は出力大きさがTM偏光より大きく、TE偏光を強偏光、TM偏光を弱偏光と呼ぶこととする。但し、出力の比は任意であり、例えば後述する実際の例における19:1(95%と5%)の比のように各レーザ光の強偏光の位相を各レーザ光相互に弱偏光により補正し、又反対に弱偏光の位相を各レーザ光相互に強偏光により補正できればよい。
各レーザ光は位相共役鏡20に対しその屈折面ABに対し所定の入射角θを以て入射される。この入射角θは、最も好ましい角度としては45°であるが、±20°の範囲内の任意の角度としてもよい。この範囲内であれば後述する光起電力効果に基づく位相共役光が生じるからであり、この位相共役光が最も効率よく起こるのが45°である。又、位相共役鏡20は、その結晶構造のC軸が各レーザ光のTM偏光と平行となる方向に置かれてレーザ発振器群10に対置されている。これも、各レーザ光のTM偏光により生じる光起電力効果に基づく位相共役光を最も有効に発生させるためである。
位相共役鏡20は、従来例と同じであり、Rhをドープしたチタン酸バリウムBaTiO3 (Rh:BaTiO3 )を用いたフォトリフラクティブ結晶が用いられている。なお、レーザ発振器群10で発生され補正されたレーザ光を外部へ取り出すため、位相共役鏡20との間に各レーザ光毎にビームスプリッタがそれぞれ置かれるが、図示簡略化のため図示を省略している。
上記のように構成した実施形態の補正装置によれば、各レーザ光のTE偏光とTM偏光は次のように補正される。図中の位相共役鏡20内のI1 、I2 、I3 、J1 、J2 、J3 はそれぞれブラッグ回折格子を示し、レーザ発振器11、12、13からの入射光とI1 、I2 、I3 の散乱光によって生じる干渉縞(丸印内に3本の斜線で示す)のブラッグ回折格子領域をそれぞれ示す。E、F、G、Hは回折光(散乱光)の進行方向を示す直線を表す記号である。
なお、上記ブラッグ回折格子I1 、I2 、I3 とJ1 、J2 、J3 は、フォトリフラクティブ結晶に含まれる不純物により所定の入射光L1 、L2 、L3 に対し図示の位置に必然的に生じるものと考えられている。従って、E、F、G、Hにより表された直線も上記各点を結ぶ仮想線として示している。
まず、レーザ発振器11からのレーザ光は位相共役鏡20に入射されると、ブラッグ回折格子I1 でブラッグ回折され、この回折光はブラッグ回折格子I2 、I3 を通過してF→G→Hの方向に進み、ブラッグ回折格子J3 、J2 、J1 へ至る。一方、レーザ発振器12からのレーザ光L2 も同様にブラッグ回折格子I2 で回折されるが、I2 で回折されずに直進する光(0次回折光)はJ2 の位置でブラッグ回折格子J2 を形成する。
そして、上記I1 →F→G→J2 へ進んだレーザ発振器11からのレーザ光L1 はJ2 でブラッグ回折され、J2 からI2 を通り過ぎてレーザ発振器12へ種光(位相共役光)として注入される。従って、レーザ光L1 はレーザ発振器12内でレーザ光の発生過程に作用してレーザ光L2 が種光と同一の性質(位相の揃った)を持ち、レーザ光L1 とL2 の相互のコヒーレント結合が図られる。
又、レーザ発振器12のレーザ光L2 は、同様にJ1 で位相共役光(種光)として回折され、レーザ発振器11へ注入されることによりレーザ光L1 の位相がレーザ光L2 の位相に一致するよう作用してコヒーレント結合される。さらに、レーザ発振器13のレーザ光L3 は、同様にしてJ2 でブラッグ回折されてレーザ発振器12へ注入され、又J1 でブラッグ回折されてレーザ発振器11へ注入され、これによりレーザ光L1 、L2 、L3 のコヒーレント結合が図られる。このような作用は相互励起型位相共役作用と呼ばれる。なお、上記のコヒーレント結合は、レーザ光のTE偏光成分とTM偏光成分のいずれにも等しく生じる。
しかし、TE偏光とTM偏光は上記の作用だけでは互いに相互作用がなく、それぞれのレーザ光のTE偏光とTM偏光はインコヒーレントであるため、複数レーザ光を集光する際の集光度はやはり向上しないが、この実施形態では上記作用に加えてさらに以下の作用が付加される。レーザ発振器11からのレーザ光L1 のうちTM偏光に注目すると、このTM偏光はI1 を通過してJ1 へ向い、J1 でTM偏光は回折されてG→F→I2 へ進む。そしてI2 に出来たブラッグ回折格子により光起電力効果に基づく直交したTE偏光がI2 で生じ、回折されてレーザ発振器12へ位相共役光(種光)として注入される。
なお、上記説明では、TM偏光の光起電力効果に基づくTE偏光への再生はI2 で生じると説明したが、I1 、J1 でも同様に発生する。但し、I1 、J1 、I2 のいずれの点でもTM偏光成分は存在するが、I2 点へ進むにつれてTM偏光成分の割合が減少し、I2 点ではTM偏光成分が光起電力効果に基づく電気分極により変換され、再生されたTE偏光成分が大きな割合を占め、これによりレーザ発振器12でのコヒーレント結合による補正が行なわれるのである。
以上のように、レーザ光L1 のTM偏光がI2 で光起電力効果に基づいてTE偏光に変換されレーザ発振器12へ注入されるため、レーザ発振器12内での誘導放出過程に作用してTM偏光がTE偏光に結合し、レーザ発振器12のレーザ光のTE偏光の位相がレーザ発振器11のTM偏光の位相と一致するようコヒーレント結合が行なわれる。同様に、レーザ発振器12からのTE偏光はJ2 →G→F→I1 へ進み、I1 で光起電力効果に基づいて直交するTM偏光を生じ、I1 で回折されてレーザ発振器11へ位相共役光(種光)として注入され、その発生過程に作用してコヒーレント結合される。
なお、上記各ブラッグ回折格子領域でレーザ光が回折することにより位相共役光が出射される作用において、位相共役鏡の結晶のC軸に平行な成分の電界ベクトルは、電界によって屈折率が変化する電気光学効果の係数と作用し、フォトリフラクティブ効果(光屈折効果)は大きくなるが、C軸に垂直な電界は電気光学係数の小さな係数と作用するためフォトリフラクティブ効果は小さくなる。
従って、各レーザ光のTE偏光とTM偏光が入射される際に、TM偏光成分は弱く、TE偏光成分は強いレーザ光であっても、TM偏光成分はC軸と平行なためフォトリフラクティブ効果が大きく、TM偏光によるTE偏光への相互作用でのフォトリフラクティブ効果が大きい。一方、TE偏光成分はC軸と垂直であるため、強いレーザ光であってもフォトリフラクティブ効果は小さい。このため、TE偏光とTM偏光は相互に補正し合って共にコヒーレント結合度が1又は1に近い値となり、各レーザ光同士のコヒーレント結合性が格段に向上する。
図2に第2実施形態のレーザ光のコヒーレンス度相互補正装置の概略構成の斜視図を示す。この実施形態では複数のレーザ発振器群10として半導体レーザ(LD)アレイを用いている。図示の補正装置は、複数の半導体レーザ11、12、13を一次元状に配列したLDアレイの発光窓141 〜143 から出力される出力光L1 〜L3 の縦及び横方向への広がりをほぼ平行光とするコリメートレンズ系151 〜153 と、上記出力光L1 〜L3 を一部反射し、残りを透過させるビームスプリッタ161 〜163 と、透過したレーザ光のそれぞれを集光する球面レンズ171 〜173 と、集光したレーザ光を位相共役反射する位相共役鏡20とを備えている。
上記LDアレイの半導体レーザ11、12、13は、図示の例では波長808nmを有し、その発光窓141 〜143 からの出力光L1 〜L3 は、発光窓141 〜143 の長い開口方向と垂直な全広がり角約40度の回折方向である縦方向(ファーストアクシス方向)(相互コヒーレンス度;γFAD )と、上記開口方向と平行な全広がり角約10度の回折方向である横方向(スローアクシス方向)(相互コヒーレンス度;γSAD )とに広がる性質を一般に有するが、縦方向の広がりは円柱状マイクロ棒(ロッド)レンズにより、横方向の広がりは円柱レンズによりそれぞれの方向の広がりを平行状とするレンズの組合せから成るコリメートレンズ系151 〜153 によりほぼ平行状に矯正される。
又、LDアレイの発光窓141 〜143 からの出力光L1 〜L3 は、一般のLDでは長い開口の方向と平行な直線偏光(TE偏光と略記する)であるのに対し、図示のようにTE偏光成分と、TE偏光成分と直交する方向のTM偏光成分とを有する形式の半導体レーザが用いられるものとする。但し、TE偏光成分はTM偏光成分より大きいとする。図示の半導体レーザではTE偏光とTM偏光は次のように設定される。即ち、半導体レーザに対しTE偏光のみで発振する発振閾値の注入電流を越えてTM偏光を同時に発生する閾値以上の注入電流を注入してTM偏光も発振させる。このような作動状態の半導体レーザは、例えばTE偏光出力95%、TM偏光出力5%の出力が得られ、TE偏光とTM偏光の比は19:1である。
ビームスプリッタ161 〜163 は、ハーフミラー形式のものが用いられ、上記出力光L1 〜L3 は一部が反射されて出力光LEXとなり、残りはハーフミラーを透過して球面レンズ171 〜173 で集光され、位相共役鏡20で反射されたレーザ光は、ビームスプリッタ161 〜163 で再びその一部が反射され、残りはそのまま上記出力光L1 〜L3 と逆向きに向い、反射された一部のレーザ光IM は出力光LEXと反対方向に出てモニタ部へ向う。
このモニタ部では、横方向18と縦方向19に設けた2つのピンホールの前に直線偏光板(図示せず)を置き、これらを通過した光の干渉縞の明瞭度(visibility)により、反射された位相共役光の空間コヒーレンス度が測定される。上記球面レンズ171 〜173 により集光されたレーザ光は、位相共役鏡20へ入射される際に、そのTM偏光が位相共役鏡20のC軸(Z軸)と平行となる方向に位相共役鏡20が配設されている。
上記の構成としたこの実施形態の補正装置は、基本的な構成においては第1実施形態と同じであり、作用についても基本的に同じである。従って、作用の説明を繰り返すことは省略するが、TM偏光→TE偏光への変換と、相互コヒーレンス度γFAD とγSAD の関係は次の通りである。上記出力光相互のコヒーレンス度を考えるとき、第2実施形態のように、TE偏光95%、TM偏光5%が混在している場合、γSAD とγFAD はTE偏光によるものとTM偏光によるものとが混在していると考えられる。このとき、γFAD の値が100%近く、γSAD の値が20〜30%程度であるとし、TM偏光の光起電力効果によるTE偏光への変換がないとすると、γSAD の値は元のまま改善されない。
しかし、実際にはTM偏光が光起電力効果に基づきTE偏光へ変換される際、TM偏光のFAD方向のモードとTE偏光のSAD方向のモードが結合され、また同時にTE偏光のFAD方向のモードとTM偏光のSAD方向のモードも結合し、TE偏光とTM偏光のコヒーレンス度が100%又は100%近くまで向上することでレンズによる集光の際に対称性が良くなり、高い集光密度が得られることとなる。
上記のγFAD 、γSAD の値は、図示の装置では半導体レーザ11と12、12と13、・・・のように相互に隣接する半導体レーザ間の空間コヒーレンス度として18の2つのピンホールでγSAD が、19の2つのピンホールでγFAD が、上述したように光の干渉縞の明瞭度により測定される。なお、図示LDアレイは1次元の配列のものを示しているが、2次元LDアレイでも同様に適用できることは詳細に説明するまでもない。
この発明のコヒーレンス度相互補正装置は、複数のLDアレイを光源とし位相共役鏡を用いてレーザ光相互の位相を高精度に補正できるものであり、レーザ加工、レーザロケット、レーザ医学、非線形光学用光源、分光用光源、MT級大出力レーザの励起用光源など種々の用途に利用できる。
第1実施形態の位相共役半導体レーザアレイの全体概略構成図 第2実施形態の位相共役半導体レーザアレイの全体概略構成図
符号の説明
11、12、13 半導体レーザ(レーザ発振器)
14 発光窓
15 コリメートレンズ系
16 ビームスプリッタ
17 球面レンズ
20 位相共役鏡

Claims (7)

  1. 振動方向が互いに直交するTE偏光とTM偏光を含む複数のレーザ光を両偏光を同期して発生させ、各レーザ光を屈折面(AB)に対し所定の角度(θ)で、かつ各レーザ光の両偏光のうち弱偏光の偏光方向が位相共役鏡(20)のC軸と平行となるように、上記複数のレーザ光のうちの1のレーザ光の弱偏光を上記位相共役鏡(20)へ入射し、この位相共役鏡(20)内で、上記入射光と、この光の散乱光との間の干渉光によるフォトリフラクティブ効果によって生じたブラッグ回折格子(I )によって上記入射光を回折させ、この回折光を上記位相共役鏡(20)内で反射させ、他のレーザ光によって生じたブラッグ回折格子(J 、J )によって、上記反射させた回折光を再び回折させ、上記弱偏光が光起電力効果に基づいて直交する方向に生じる偏光を位相共役光として出射し、他のレーザ光のそれぞれの発生過程に作用させて上記複数のレーザ光のうちの他のレーザ光の上記強偏光の空間位相を上記弱偏光の位相に一致させ、かつ上記他のレーザ光のうちの1の強偏光が上記弱偏光と同様に光起電力効果で生じる直交する方向の偏光を位相共役光としてこのレーザ光以外のレーザ光の発生過程に作用させて各レーザ光の弱偏光の空間位相を強偏光の位相に一致させ、上記作用を複数のレーザ光相互間に生じさせて各レーザ光相互のTE偏光とTM偏光それぞれのコヒーレント結合度を1に補正するようにした複数レーザ光のコヒーレンス度相互補正方法。
  2. 前記TE偏光を強偏光、TM偏光を弱偏光としたことを特徴とする請求項に記載の複数レーザ光のコヒーレンス度相互補正方法。
  3. 前記レーザ光を位相共役鏡(20)へ入射する所定の角度(θ)を前記弱偏光が光起電力効果を生じ得る25〜65°の範囲内としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の複数レーザ光のコヒーレンス度相互補正方法。
  4. 振動方向が互いに直交するTE偏光とTM偏光を含むレーザ光を発生する複数のレーザ発振器(11、12、13)を並設し、レーザ発振器(11、12、13)から両偏光を同期して発生した各レーザ光を入射する位相共役鏡(20)に対し屈折面(AB)への角度を所定の角度(θ)で、かつ各レーザ光の両偏光のうち弱偏光の偏光方向が位相共役鏡(20)のC軸と平行となるように配設した上記位相共役鏡(20)とを備え、上記位相共役鏡は、上記入射光と、この光の散乱光との間の干渉光によるフォトリフラクティブ効果によって生じたブラッグ回折格子(I )によって上記入射光を回折させ、この回折光を上記位相共役鏡(20)内で反射させ、他のレーザ光によって生じたブラッグ回折格子(J 、J )によって、上記反射させた回折光を再び回折させ、上記複数のレーザ発振器(11、12、13)から入射されたレーザ光のうちの1の弱偏光の散乱光が他のレーザ光の散乱により生じるブラッグ回折格子(J 、J に作用して光起電力効果に基づいて直交する方向に生じる偏光を順位相共役光として出射し、かつ上記複数のレーザ発振器(11、12、13)から入射された他のレーザ光の1の強偏光が上記弱偏光と同様に光起電力効果で生じる直交する方向の偏光を逆位相共役光として出射し、上記出射された順・逆位相共役光を各レーザ発振器(11、12、13)へ種光として注入し発生過程でそれぞれの偏光の相互のコヒーレント結合度を1に補正するように構成した複数レーザ光のコヒーレンス度相互補正装置。
  5. 前記複数のレーザ発振器を複数の半導体レーザから成る半導体レーザアレイ(10)とし、半導体レーザアレイ(10)の発光部からの出力光をコリメートレンズ系(15)で平行光源とし、その出力光をビームスプリッタ(16)で一部を反射、残りは球面レンズ(17)で集光し、所定の入射角(θ)で位相共役鏡(20)へ入射させるように構成したことを特徴とする請求項に記載の複数レーザ光のコヒーレンス度相互補正装置。
  6. 前記位相共役鏡(20)をチタン酸バリウムBaTiO3のフォトリフラクティブ結晶により形成したことを特徴とする請求項又はに記載の複数レーザ光のコヒーレンス度相互補正装置。
  7. 前記半導体レーザアレイ(10)の各半導体レーザにおけるTE偏光とTM偏光が19対1の割合で出力されるように各レーザへの注入電流を発振閾値を超える値に設定したことを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の複数レーザ光のコヒーレンス度相互補正装置。
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