JP4448676B2 - フィードフォワード歪補償増幅器 - Google Patents
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Description
また、このような増幅では、増幅器において非線形歪が発生することがあるため、歪を低減させるために、フィードフォワード(FF)歪補償増幅器などが用いられる(例えば、特許文献1参照。)。
すなわち、歪検出ループでは、入力信号を分配し、一方の分配信号の振幅と位相の一方又は両方を信号変化手段により変化させ、信号変化手段による変化後の信号を増幅器により増幅し、増幅器による増幅信号と他方の分配信号から当該増幅信号に含まれる歪成分を検出する。
また、歪除去ループでは、歪検出ループの増幅器による増幅信号から、歪検出ループにより検出された歪成分を除去する。
また、増幅器により増幅する対象となる信号(入力信号)としては、種々な信号が用いられてもよく、例えば、複数のキャリアの周波数信号が多重された信号や、周波数帯域が広帯域である信号などが用いられてもよい。
振幅変化手段としては、例えば、信号の振幅を可変な減衰量で減衰させることが可能な可変減衰器や、信号の振幅を可変な増加量で増加させることが可能な可変増幅器を用いて構成することができる。
位相変化手段としては、例えば、信号の位相を可変な変化量で変化させることが可能な可変位相器(可変移相器)を用いて構成することができる。
また、信号のレベルや、歪成分のレベルとしては、種々なものが用いられてもよく、例えば、振幅のレベルや、電力のレベルを用いることができる。
また、歪検出ループ信号変化制御手段により歪検出ループの信号変化手段による信号変化を制御する態様としては、種々な態様が用いられてもよい。
また、歪検出ループ信号変化制御手段では、例えば、信号の振幅と位相の両方の変化を制御する構成が用いられてもよく、或いは、信号の振幅の変化のみを制御する構成が用いられてもよく、或いは、信号の位相の変化のみを制御する構成が用いられてもよい。
図1には、本発明の一実施例に係るフィードフォワード型の歪補償増幅器(フィードフォワード歪補償増幅器)の構成例を示してある。
本例のフィードフォワード歪補償増幅器には、第1の方向性結合器1と、第1のベクトル調整器2と、主増幅器3と、第1の遅延線4と、第2の方向性結合器5と、第2の遅延線6と、第2のベクトル調整器7と、補助増幅器8と、第3の方向性結合器9が備えられている。
また、ベクトル調整を行う第1のベクトル調整器2や、ベクトル調整を行う第2のベクトル調整器7は、例えば、可変減衰器と可変位相器(可変移相器)から構成されている。
また、本例では、第2の方向性結合器5と、第2の遅延線6と、第2のベクトル調整器7と、補助増幅器8から、歪除去ループが構成されている。
主増幅器3により増幅する対象となる信号が、第1の方向性結合器1に入力される。
第1の方向性結合器1では、入力信号が分配されて、一方の分配信号が第1のベクトル調整器2へ出力され、他方の分配信号が第1の遅延線4へ出力される。
主増幅器3では、第1のベクトル調整器2から入力される信号が増幅されて第2の方向性結合器5へ出力される。これに際して、主増幅器3では、例えば入力信号のレベルが大きい場合に歪が発生して、出力される増幅信号に歪の成分が含まれる。
第2の方向性結合器5では、主増幅器3から入力される増幅信号が第2の遅延線6へ出力されるとともに、当該増幅信号の一部と第1の遅延線4から入力される信号とが結合されて当該結合結果が第2のベクトル調整器7へ出力される。
このように、歪検出ループでは、入力される信号を主増幅器3により増幅して出力するとともに、歪検出ループの平衡を保つことによって増幅信号中の入力信号成分(基本信号の成分)を抑圧して、例えば、歪の成分のみを抽出する。
第2のベクトル調整器7では、第2の方向性結合器5から入力される歪成分の信号の振幅や位相が変化させられ、当該変化後の信号が補助増幅器8へ出力される。
補助増幅器8では、第2のベクトル調整器7から入力される歪成分の信号が増幅されて第3の方向性結合器9へ出力される。
このように、歪除去ループでは、歪除去ループの平衡を保つことによって増幅信号中の歪成分を抑圧して、例えば、入力信号の増幅信号のみを出力する。
本例では、歪検出器11により歪成分のレベルの時間的な平均値AVGが検出されて、当該検出結果が制御部12に入力される。
オフセット回路14では、入力される信号の変動分が検出されて、当該検出結果が制御信号Voffとして加算器15へ出力される。なお、オフセット回路14は、入力信号の変動分を電圧値へ変換する変換回路である。また、入力信号の変動分としては、例えば、入力信号のレベルの平均値からの変動分が用いられる。
図2には、信号の時間変化の一例として、CDMA方式などに対応した広帯域信号或いは多周波信号の時系列特性の一例を示してある。同図の横軸は時刻(Time)を示しており、縦軸は信号のレベル(MAG)を示している。
同図に示されるように、このような信号では、平均電力(平均値)が一定である場合においても、ピーク成分を有しており、信号源を時系列的に見ると図示されるように振幅が変動している。
同図に示されるように、一般的に、増幅器では、入力信号のレベルが非線形領域に近くなると、振幅歪や、位相歪が発生する。一般的に、振幅歪と比べて位相歪の方が対レベル的に早く(低レベルで)生じ、増幅器が有する飽和電力が大きいほど振幅歪及び位相歪は高いレベルで発生する。
本例では、第1のベクトル調整器2や第2のベクトル調整器7は、減衰器と位相器(移相器)から構成される。
同図に示されるように、当該位相器では、制御電圧Vcを変化させることにより、信号の位相が変化する。
一例として、上記図4に示されるように位相特性が一次関数の変化をする位相器を使用する場合を想定する。
同図(a)及び同図(c)では、横軸は時刻(Time)を示しており、縦軸は信号のレベルを示している。
同図(b)では、横軸はオフセット回路14への入力信号のレベルPin[dB]を示しており、縦軸はオフセット回路14から出力される制御信号Voffの電圧値を示している。
同図(b)に示される点線が位相歪の領域を表しており、同図(b)に示される実線が当該位相歪に近似した特性を有するオフセット回路14の特性を表している。
なお、ここでは、近似式として、指数関数の式を用いている。
入力信号のレベルの平均時には線A(平均値)で示したような電力が入力され、入力信号のレベルのピーク時には線P(ピーク時)で示したような電力が入力される。このような入力電力に応じて、オフセット回路14ではオフセット電圧(Voff)が出力される。
同図(a)及び同図(c)では、横軸は時刻(Time)を示しており、縦軸は信号のレベルを示している。
同図(b)では、横軸はオフセット回路14への入力信号のレベルPin[dB]を示しており、縦軸はオフセット回路14から出力される制御信号Voffの電圧値(オフセット電圧の値)を示している。
同図(b)に示される点線が位相歪の領域を表しており、同図(b)に示される実線が当該位相歪に近似した特性を有するオフセット回路14の特性を表している。
なお、ここでは、近似式として、指数関数の式を用いている。
入力信号のレベルの平均時には線A(平均値)で示したような電力が入力され、入力信号のレベルのピーク時には線P(ピーク時)で示したような電力が入力される。このような入力電力に応じて、オフセット回路14ではオフセット電圧(Voff)が出力される。
そして、上記図5や上記図6に示されるように、入力信号は線Aから線Pの間で変動し、また、PARの変動によってオフセット電圧(Voff)は線A’から線P’の間の範囲で推移する。
つまり、平均電力が小さくてピーク成分が増幅器の非線形領域にわずかに届くようなときには、ピークに応じたオフセット電圧(Voff)の変動は小さく、一方、平均電力が大きくてピーク成分が非線形領域にまで到達するようなときには、オフセット電圧(Voff)の変動を大きくすることが可能である。これにより、ピーク成分による位相歪に応じて、位相器を調整することができる。
図7には、一般的なダイオード検波器の特性の一例を示してある。同図の横軸は入力信号のレベルPin[dB]を示しており、縦軸は検波される電圧Vdet[V]を示している。
このような場合には、例えば、検波ICの平均値について設けられる閾値によって、検波ICの検出電圧を任意の倍数へ変換する回路を介して、オフセット電圧(Voff)を出力する構成を用いることができる。
図8には、閾値オフセット回路の入出力特性の一例を示してある。
同図の横軸は入力信号のレベルPin[dBm]を示しており、縦軸は出力されるオフセット電圧(Voff)の大きさを示している。また、縦軸には、位相歪に係る位相(Phase)の一例を示している。なお、点線は位相歪を示しており、実線はオフセット電圧(Voff)を示している。
入力レベルPinが例えば第1の閾値P1を超えると(又は、以上となると)、つまり点Aの領域になると、位相歪が発生し始めるため、入力電力点Aを閾値として、入力レベルに応じた倍率(この例では、線A−Bの傾きの値)を検波ICの検波電圧に乗じて、当該乗算結果をオフセット電圧(Voff)の値とする。
また、例えば、位相器を制御するのと同様な方法などを用いて、減衰器を制御することにより、増幅器の非線形領域の振幅歪について補正することが可能である。
図9には、フィードフォワード歪補償増幅器の一般的で基本的な構成例を示してある。
本例のフィードフォワード歪補償増幅器の構成は、例えば上記図1に示したものと比べて、第4の方向性結合器13とオフセット回路14と加算器15が備えられておらず、制御部12からの出力が第1のベクトル調整器2に入力される点を除いては、同様な構成を有している。なお、上記図1と同様な構成部分については、上記図1と同一の符号を付して示してある。
(1)歪検出器11が平均検出を行う構成について説明する。
このような構成では、歪検出器11が歪検出ループにより検出される歪成分信号のレベルの平均値を検出し、入力信号のレベルの平均値(例えば、上記図3中の点A)に合わせて歪検出ループが平衡を保つように制御される。
このような構成では、歪検出器11が歪検出ループにより検出される歪成分信号のレベルのピーク値を検出し、主増幅器3が発生する歪量が大きい高レベルでの歪検出が可能となる。しかしながら、入力信号のピーク成分の領域すなわち位相歪が発生する領域(例えば、上記図3中の点P)に合わせて歪検出ループが平衡するため、平均値部分における位相が一致せずに、平均値部分が抑圧されない。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
3・・主増幅器、 4、6・・遅延線、 8・・補助増幅器、
11・・歪検出器、 12・・制御部、 14・・オフセット回路、
15・・加算器、
Claims (1)
- 歪検出ループと歪除去ループを有し、
歪検出ループでは、入力信号を分配し、一方の分配信号の振幅と位相の一方又は両方を信号変化手段により変化させ、信号変化手段による変化後の信号を増幅器により増幅し、増幅器による増幅信号と他方の分配信号から当該増幅信号に含まれる歪成分を検出し、
歪除去ループでは、歪検出ループの増幅器による増幅信号から歪検出ループにより検出された歪成分を除去するフィードフォワード歪補償増幅器において、
歪検出ループに入力される信号のレベルの変動成分に関する制御信号値を出力する入力信号レベル変動成分値出力手段と、
歪検出ループにより検出される歪成分のレベルの平均に関する値を検出する歪成分レベル平均値検出手段と、
歪成分レベル平均値検出手段により検出された歪成分のレベルの平均に関する値に基づいて信号変化手段を制御するための制御信号値を出力する制御手段と、
入力信号レベル変動成分値出力手段による制御信号値と制御手段による制御信号値とを加算して当該加算結果に相当する制御信号値を出力する加算手段と、を備え、
加算手段により出力された制御信号値により歪検出ループの信号変化手段による信号変化を制御する、
ことを特徴とするフィードフォワード歪補償増幅器。
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