JP4441005B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウエット路面走行時の操縦安定性能向上を達成しうる空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、雨天時、即ち、ウエット路面走行時の性能に関して、トレッドパターンによる改良がなされてきた。トレッド部のタイヤ周方向または幅方向溝の配置やデザインにより雨天時の性能向上が図られている。
【0003】
その大きな狙いはタイヤ接地面内からの排水であり、それには溝部体積を大きくすれば良いことが知られている。
【0004】
しかし、溝部体積を大きくすることは接地面積を小さくすることにつながり、晴天時の操縦安定性能を低下させる。
【0005】
接地面積の減少を小さく、そして排水性確保の目的からサイプ( 細溝) の改良もなされてきた。
【0006】
サイプはブロック接地面内の水を排水することによって路面との接触を確実にするものである。
【0007】
そのため、ブロック内により多くのサイプを配置することによって排水性が向上すると考えられる。
【0008】
そして、排水機能を確実なものにするには、サイプはブロック周辺部に接続し、ブロック外の溝部へ接続することで水路を確保できる事が望ましい。
【0009】
ところが、多くのサイプをブロック内に配置し、なおかつそれら全てをブロック外の溝部へ接続した場合、ブロックの剛性が大幅に低下する。
【0010】
これは晴天、雨天時を通じて操縦安定性能の悪化要因となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
溝幅を小さくすれば十分な排水効果が得られない。
【0012】
また、サイプの入れ方はブロック剛性面との兼ね合いも非常に大きいため、新品時〜摩耗時まで性能への寄与は大きい。
【0013】
本発明の目的は、サイプを更に改良することで、タイヤに求められる性能を満たし、さらに排水性を向上させることによってウエット路面走行時の操縦安定性能を向上できる空気入りタイヤを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、互いに交差する複数の主溝によって形成された多数のブロックをトレッドに備え、前記ブロックにサイプを形成した空気入りタイヤにおいて、前記サイプは、前記ブロックの中央部に独立した小ブロックを形成する閉ループ状の中央部サイプと、前記中央部サイプから分岐され前記ブロックの周縁部へ向けて延びる少なくとも1つの周辺部サイプとを備え、前記周辺部サイプは、前記主溝に接続しており、前記中央部サイプは、前記周辺部サイプより薄く、かつ、前記周辺部サイプより深く、前記サイプは、最深部の深さ寸法/最浅部の深さ寸法が2.0〜8.0であることを特徴としている。
【0015】
排水能力を向上させるためには、より多くのサイプがブロック接地面内に配置され、なおかつそれらがブロック外の溝部へ連続することが必要である。
【0016】
しかし、サイプを多数配置した場合、それらをすべて個別にブロック外の溝部へ連続させることはブロック剛性面から不適当である。
【0017】
請求項1に記載の空気入りタイヤでは、ブロックの中央部に閉ループ状の中央部サイプを設けている。サイプが閉ループ状となることは、例えば、タイヤ幅方向に間隔をあけて設けたタイヤ周方向に延びる2本のサイプと、タイヤ周方向に間隔をあけて配置したタイヤ幅方向に延びる2本のサイプの合計4本のサイプと実質的に同等のサイプ長さ(サイプ密度)となるため、高い排水性が得られる。なお、踏面を平面視したときの閉ループ状の中央部サイプの形状は、矩形でも良く、多角形でも良く、円、楕円等であっても良い。
【0018】
また、閉ループ状の中央部サイプからは少なくとも1つの周辺部サイプが分岐しており、この周辺部サイプがブロック外の主溝に接続されているため、中央部サイプに取り込んだ水を順次主溝に排出することができ、中央部サイプの排水性の低下を防止することができる。
【0019】
また、ブロックには、ブロックを完全に横断するサイプを複数設けていないので、ブロック剛性を確保することができる。
【0020】
なお、周辺部サイプは一つのブロックに対して少なくとも1つあれば良いが、数が多すぎるとブロック剛性を低下させるため、ブロック剛性が低下して他の性能が低下しない範囲内で設けることが好ましい。
【0021】
また、請求項1に記載の空気入りタイヤでは、周辺部サイプは中央部サイプよりも相対的に厚いことになる。周辺サイプ部が厚ければ、溝体積が大きくなることで複数のサイプ(中央部サイプ)から流れ込む水をブロック外へ効率よく排水することができる。
【0022】
ここで、溝幅を有したサイプをブロックに形成すると接地面積は減少する。請求項1に記載の空気入りタイヤでは、ブロック中央部分では中央部サイプが形成されているため、ブロック周辺部分に比較してブロック中央部分のサイプ密度は高い(サイプ総長さは長い)が、中央部サイプを周辺部サイプより薄くしたので、接地面積の減少を抑えることができる。
【0023】
また、請求項1に記載の空気入りタイヤでは、中央部サイプは、周辺部サイプより深い。
【0024】
ブロック中央部ではサイプによるブロック剛性の低下への寄与が小さいため、中央部サイプの溝深さを深くしてもブロック剛性は確保される。したがって、中央部サイプの溝深さを周辺部サイプより深くして、溝体積(接地面の水の吸収に寄与)を確保することができる。
【0025】
中央サイプ部の厚さを周辺サイプ部よりも薄く設定した場合には、溝体積が減少するので、中央部サイプの溝深さを周辺部サイプより深くして、サイプを薄くしたことによる溝体積の減少を補うことができる。
【0026】
更に、請求項1に記載の空気入りタイヤでは、サイプは、最深部の深さ寸法/最浅部の深さ寸法が2.0〜8.0である。
【0027】
サイプは、ブロック中央付近で最も深いことが好ましく、また、周辺部では部剛性低下が大きくない程度の深さに抑える必要がある。
【0028】
通常、サイプの深さ寸法(最大)は、主溝の深さ寸法よりも小(ブロック高さ寸法よりも小)に設定されるため、この条件の下で最深部の深さ寸法/最浅部の深さ寸法が2.0未満になるということは、より具体的には、中央部サイプの深さ寸法/周辺部サイプの深さ寸法が2.0未満になることである。即ち、周辺部サイプの深さが過大になるため、ブロック剛性面の点から好ましくない。
【0029】
一方、最深部の深さ寸法/最浅部の深さ寸法が8.0を越えると、より具体的には、中央部サイプの深さ寸法/周辺部サイプの深さ寸法が8.0を越えると、排水能力が低下するため好ましくない。ここで、排水能力が低下する理由は、前述したように、サイプの深さ寸法(最大)は、主溝の深さ寸法よりも小(ブロック高さ寸法よりも小)に設定されるため、この条件の下で最深部の深さ寸法/最浅部の深さ寸法が8.0を越えるということは、最浅部の深さ寸法が最深部の深さ寸法に対して相対的に小さくなる、即ち、周辺部サイプの深さ寸法が小さくなり、水の通過経路断面積(周辺部サイプの長手方向直角断面積)が小となるからである。
【0030】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記サイプは、最厚部の厚さ寸法/最薄部の厚さ寸法が1.5〜5.0の範囲内であることを特徴としている。
【0031】
最厚部の厚さ寸法/最薄部の厚さ寸法が1.5未満、より具体的には、周辺部サイプの厚さ寸法/中央部サイプの厚さ寸法が1.5未満になると、周辺部サイプによる主溝への排水能力が不足するため好ましくない。
【0032】
一方、最厚部の厚さ寸法/最薄部の厚さ寸法が5.0を越えると、より具体的には、周辺部サイプの厚さ寸法/中央部サイプの厚さ寸法が5.0を越えると、周辺部サイプの厚さ寸法が過大になるため、ブロック剛性面、接地面積の確保の点から好ましくない。ブロックの剛性が低下したり、ブロックの接地面積が減少すると、操縦安定性を悪化させることになる。
【0033】
なお、サイプはブロック周辺部で厚くて浅い物が望ましい。サイプが厚ければ、溝体積が大きくなることで複数のサイプから流れ込む水を効率よく排水できる。逆にブロック中央部では剛性の低下への寄与が小さいため、薄くて深いサイプを複数配置することが望ましい。これは、接地面内に均等に排水部を設けると共に、薄いサイプを用いることで接地面積の減少が防げる。
【0034】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤにおいて、サイプは、屈曲した複数枚の板材を張り合わせたブレードによって形成されていることを特徴としている。
【0035】
請求項1又は2に記載の空気入りタイヤのサイプに必要なブレード(空気入りタイヤを成形するモールドに設けられた金属板)は、屈曲した複数枚の板材を張り合わせることにより製造することができる。
【0036】
特に、高圧プレス等を用いて金属板の厚さを局所的に変化させない場合、例えば、屈曲させた一定厚さの薄い板材を張り合わせ、中央部サイプを形成する部分と周辺部サイプを形成する部分とを構成すると、周辺部サイプを形成する部分の厚さは中央部サイプを形成する部分の厚さを張り合わせた枚数分足し合わせたものとなる。即ち、請求項1に記載の空気入りタイヤ用のサイプを簡単に製造することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明の空気入りタイヤの一実施形態を図1乃至図5にしたがって説明する。
【0038】
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10のトレッド12には、タイヤ周方向(矢印S方向)に沿って延びる複数の周方向溝14と、タイヤ幅方向(矢印L方向及び矢印R方向)に沿って延びる複数の横溝16とによって区画される複数のブロック18が形成されている。
【0039】
ブロック18には、各々サイプ20が形成されている。
【0040】
図2及び図3に示すように、サイプ20は、ブロック中央部分に閉ループ状に形成されて、周囲より独立した小ブロック21を形成する第1部分22A及び第2部分22Bからなる6角形の中央部サイプ22を備えている。
【0041】
また、中央部サイプ22のタイヤ幅方向両端部には、各々1本の周辺部サイプ24が分岐している。
【0042】
図1〜3に示すように、周辺部サイプ24は、本実施形態ではタイヤ幅方向に沿って延びており、周方向溝14(図2、3には図示せず。)に接続されている。
【0043】
ここで、図2、3に示すように、中央部サイプ22の厚さをT1、周辺部サイプの厚さをT2としたときに、厚さをT1<厚さをT2とすることが好ましく、厚さT1/厚さT2を1.5〜5.0の範囲内とすることが更に好ましい。
【0044】
図4に示すように、中央部サイプ22の深さ(最深部)をD1、周辺部サイプ24の深さ(最浅部)をD2としたときに、深さD1>深さD2とすることが好ましく、深さD1/深さD2を2.0〜8.0の範囲内とすることが更に好ましい。
【0045】
なお、本実施形態の中央部サイプ22は、タイヤ幅方向に沿って延びる第1部分22Aが一定深さ(D1)で最も深く設定され、これに続く第2部分22Bは、周辺部サイプ24に向けてその深さが除々に浅くなっている。また、周辺部サイプ24は一定深さ(D2)である。
【0046】
また、図5には、このサイプ20を形成するためのブレード26の一例が示されている。
【0047】
このブレード26は、プレス等で屈曲した一定厚さ(T1)の金属板からなるブレード片28を互いに逆向きに配置し、両端部分を固着したものである。
【0048】
本実施形態のブレード26は、プレス等で形成した1種類のブレード片28の組み合わせて構成できるので、比較的複雑な形状にも拘らず、簡単に製造可能である。
(作用)
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用を説明する。
(1) 本実施形態の空気入りタイヤ10では、ブロック18の中央部に閉ループ状の中央部サイプ22を設け、ブロック中央部分のサイプ密度を高めているため、ウエット路面走行時の接地面内の水を多量に吸収し、接地面内から排水させることができる。
(2) 中央部サイプ22には周方向溝14に接続された周辺部サイプ24が接続しているので、中央部サイプ22に吸収された水は周辺部サイプ24を介して周方向溝14へと順次排出することができるため、中央部サイプ22の水吸収能力が飽和することはない。
(3) 周辺部サイプ24は中央部サイプ22よりも厚いので、中央部サイプ22から流れ込む水をブロック18の外へ効率よく排水することができる。
【0049】
なお、周辺部サイプ24の厚さ寸法T2/中央部サイプ22の厚さ寸法T1が1.5未満になると、周辺部サイプ24による周方向溝14への排水能力が不足するため好ましくない。
【0050】
一方、周辺部サイプ24の厚さ寸法T2/中央部サイプ22の厚さ寸法T1が5.0を越えると、周辺部サイプ24の厚さ寸法が過大になるため、ブロック剛性面、接地面積の確保の点から好ましくない。
(4) ブロック18には、ブロック18を完全に横断するサイプを多数設けていないので、ブロック剛性を確保することができる。
(5) ブロック中央部分では中央部サイプ22が形成されているため、ブロック周辺部分に比較してブロック中央部分のサイプ密度は高いが、中央部サイプ22を周辺部サイプ24より薄く設定しているので、ブロック18の接地面積の減少を抑えることができる。
(6) 中央部サイプ22を周辺部サイプ24より深くしているので、中央部サイプ22を薄くしても溝体積(接地面の水の吸収に寄与)を確保することができる。
【0051】
ブロック中央部ではサイプ20によるブロック剛性の低下への寄与が小さいため、中央部サイプ22の溝深さを深くしてもブロック剛性は確保される。
【0052】
なお、中央部サイプの深さ寸法D1/周辺部サイプ24の深さ寸法D2が2.0未満になると、周辺部サイプ24の深さが過大になるため、ブロック剛性面の点から好ましくない。
【0053】
一方、中央部サイプの深さ寸法D1/周辺部サイプ24の深さ寸法D2が8.0を越えると、周辺部サイプ24が浅くなることになり、排水能力が低下するため好ましくない。
【0054】
このように、本実施形態の空気入りタイヤ10は、以上(1)〜(6)で説明した作用により、ウエット路面走行時の操縦安定性を向上することができる。
(試験例)
本発明の効果を確かめるために、従来例のタイヤ、比較例のタイヤ、及び、本発明の適用された実施例のタイヤを用意し、ウエット路面での操縦安定性試験を行った。
【0055】
まず、サイプの厚さ変化の効果を見るためにサイプ最大厚さ(Tmax)と最小厚さ(Tmin)の比を変化させて試験を行った。
【0056】
表1はテストドライバーによる操縦安定性能のフィーリング評点を示したもので、大きい数字ほど性能が良いことを意味する。
【0057】
次に、サイプの深さ変化の効果を見るためにサイプ最大深さ(Dmax)と最小深さ(Dmin)の比を変化させて試験を行った。
【0058】
表2はテストドライバーによる操縦安定性能のフィーリング評点を示したもので、大きい数字ほど性能が良いことを意味する。
【0059】
次に、試験タイヤに付いて以下に説明する。
【0060】
従来例1−1及び従来例1−2のタイヤ:図6に示すパターン(実施例と同一)及びサイプ形状をトレッドに有するタイヤである。図6に示すように、ブロック18には、タイヤ幅方向に直線状に延びる2本のサイプ30が形成されている。
【0061】
実施例1−1〜実施例1−5のタイヤ、実施例2−1〜実施例2−3のタイヤ、比較例2−1のタイヤ、及び、比較例2−2のタイヤ:前述した実施形態のパターン及びサイプ形状をトレッドに有するタイヤである。
【0062】
従来例、比較例、及び実施例共に、トレッド中央側の正方形のブロックの大きさは30mm(タイヤ周方向寸法L)×30mm(タイヤ幅方向寸法W)×高さ8mmであり、ショルダー側の長方形のブロックの大きさは30mm(タイヤ周方向寸法L)×50mm(タイヤ幅方向寸法W)×高さ8mm、周方向溝及び横溝の溝幅は各々5mmである(なお、W、Lについては図2、3参照。)。
【0063】
従来例1−1及び従来例2−1のタイヤは、何れもサイプ深さが8mm、サイプ幅が1mmである。
【0064】
実施例1−1〜実施例1−5の正方形のブロックのサイプの寸法は、Aが10mm、Bが15mm、Cが5mm、Eが5mm、D1が8mm、D2が2.0mm、T1(Tmin )が1mm(固定)、T2(Tmax )が各々異なるものである。
【0065】
一方、実施例1−1〜実施例1−5の長方形のブロックのサイプの寸法は、Aが約16.6mm、Bが15mm、Cが約8.3mm、Eが約8.3mm、D1が8mm、D2が2.0mm、T1(Tmin )が1mm(固定)、T2(Tmax )が各々異なるものである。
【0066】
また、実施例2−1〜実施例2−3、比較例2−1、比較例2−2の正方形のブロックのサイプの寸法は、D1(Dmax )が8mm、D2(Dmin )が各々異なるものである。なお、その他の寸法は、Aが10mm、Bが15mm、Cが5mm、Eが5mm、T1(Tmin )が1mm、T2(Tmax )が2mmである。
【0067】
一方、実施例2−1〜実施例2−3、比較例2−1、比較例2−2の長方形のブロックのサイプの寸法は、D1(Dmax )が8mm、D2(Dmin )が各々異なるものである。なお、その他の寸法は、Aが約16.6mm、Bが15mm、Cが約8.3mm、Eが約8.3mm、T1(Tmin )が1mm、T2(Tmax )が2mmである。
【0068】
上記寸法W、L、A、B、C、E、T1、T2は図2、3参照、寸法D1、D2は図4参照。
【0069】
なお、実施例のタイヤ、比較例のタイヤ、及び従来例のタイヤ共に、タイヤサイズは全て205/55R16である。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
試験の結果、本発明の適用された実施例のタイヤは、従来例のタイヤ及び比較例のタイヤに比べてウエット路面走行時の操縦安定性が向上していることが確認された。
【0073】
なお、ウエット路面走行時の操縦安定性の希求水準を従来例対比約5%以上とするには、上記表1の結果から、Tmax /Tmin は1.5〜5.0とし、Dmax /Dmin は2.0〜8.0にすれば良いことが分かる。
【0074】
なお、ブロックに形成するサイプ形状は、実施形態で説明した形状に限らず、例えば、図7、8に示すような形状であっても良い。
【0075】
実施形態では、一つの中央部サイプ22に対して周辺部サイプ24を2本接続したが、少なくとも、中央部サイプ22から分岐される周辺部サイプ24は少なくとも1本あれば良く、例えば、図8(A)に示すように4本でも良い。
【0076】
ここで、図7(A)に示すブロック18では、小ブロック21を二分するサイプ23が形成されている。図7(A)で示すブロック18に形成されるサイプ20は、図7(B)に示すように、2つのブレード片28の間に真っ直ぐなブレード片29を挟持したブレード26によって形成される。
【0077】
また、図8(A)に示すブロック18では、2つの中央部サイプ22を連結したものであり、図8(B)に示すように、4つのブレード片28を組み合わせて接合したブレード26によって形成される。
【0078】
また、実施形態では、周辺部サイプ24が周方向溝14に接続されていたが、本発明はこれに限らず、周辺部サイプ24が横溝16に接続されていても良い。
【0079】
また、実施形態のブロック18の形状は矩形であったが、三角形、台形、その他の多角形等であっても良い。
【0080】
なお、ブロックの形状、大きさ等によってブロック一つ当たりの周辺部サイプの数は適宜変更することができるが、一般乗用車用のタイヤのトレッドに形成されているブロックにおいては、周辺部サイプの数はブロック一つ当たり2〜4個が好ましい範囲である。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の空気入りタイヤは上記の構成としたので、ブロックと路面間の水の排水性に優れ、また、ブロック剛性が確保されるので、ウエット路面走行時の操縦安定性を従来よりも向上することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドの平面図である。
【図2】 トレッド中央側のブロックの拡大平面図である。
【図3】 ショルダー側のブロックの拡大平面図である。
【図4】 ブロックの斜視図である。
【図5】 サイプを形成するブレードの斜視図である。
【図6】 従来例の空気入りタイヤのトレッドの平面図である。
【図7】 (A)は他の実施形態に係る空気入りタイヤのブロックの平面図であり、(B)はサイプを形成するブレードの斜視図である。
【図8】 (A)は更に他の実施形態に係る空気入りタイヤのブロックの平面図であり、(B)はサイプを形成するブレードの斜視図である。
【符号の説明】
10 空気入りタイヤ
12 トレッド
14 周方向溝(主溝)
16 横溝(主溝)
18 ブロック
20 サイプ
22 中央部サイプ
24 周辺部サイプ
26 ブレード
28 ブレード片(板材)
Claims (3)
- 互いに交差する複数の主溝によって形成された多数のブロックをトレッドに備え、前記ブロックにサイプを形成した空気入りタイヤにおいて、
前記サイプは、前記ブロックの中央部に独立した小ブロックを形成する閉ループ状の中央部サイプと、前記中央部サイプから分岐され前記ブロックの周縁部へ向けて延びる少なくとも1つの周辺部サイプとを備え、
前記周辺部サイプは、前記主溝に接続しており、
前記中央部サイプは、前記周辺部サイプより薄く、かつ、前記周辺部サイプより深く、
前記サイプは、最深部の深さ寸法/最浅部の深さ寸法が2.0〜8.0であることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記サイプは、最厚部の厚さ寸法/最薄部の厚さ寸法が1.5〜5.0の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- サイプは、屈曲した複数枚の板材を張り合わせたブレードによって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
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