JP4439273B2 - フランジ付き管状部材 - Google Patents
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Description
このバンパーステイ11は、図42に示すように、アルミニウム押出材を所定長さに切断して素材管15とし、この素材管15の周囲を電磁成形用の金型16(複数個の分割金型から構成される)で囲繞するとともに、素材管15の端部を前記金型16の端面(成形面)17,18から突出させ、素材管15の内部に挿入した電磁成形用コイル10に高電圧で蓄電されている電気エネルギー(電荷)を瞬時に投入(放電)することにより製造される。電磁成形とは、電気エネルギーの投入により、電磁成形用コイル10がきわめて短時間の強力な磁場を形成し、この磁場内におかれたワーク(被加工物)が磁場の反発力(フレミングの左手の法則に従ったLorentz力)によって強い拡張力や収縮力を受けて、高速で塑性変形することを利用し、ワークを所定形状に成形する技術であり、この例では、素材管15は強い拡張力により外径方向(放射方向)に拡径し、前記端面17,18の内側では素材管15は貫通穴19の内面に押し付けられ、端面17,18の外側では素材管15は拡開して該端面17,18に打ち付けられる。これにより、両端に取付用フランジ12,13が形成されたバンパーステイ11が製造される。電磁成形後は、金型16を開いてバンパーステイ11を取り出す。
なお、電磁成形自体は、下記特許文献4〜7及び非特許文献1に記載されているように、公知技術である。
一方、管状のアルミニウム合金押出材の両端部を電磁成形等により拡径してフランジを軸部と一体的に成形すれば、この問題点は解消される。しかし、この場合、フランジの外周に近いほど周方向への引張の変形量が大きく、肉厚減少を生じ、さらに薄くなると割れが生じることもある。これはアルミニウム合金押出材の軸部の径に比べてフランジの外径が大きくなるほど問題となる。
本発明はこのような現状に鑑みてなされたもので、電磁成形によりアルミニウム合金押出材からなる管材の端部を外径方向に拡開して、軸端に必要な接合しろを有する取付用フランジを一体的に形成する場合において、取付用フランジの割れ発生を防止し、かつ肉厚減少を抑えることを目的とする。
これに含まれる取付用フランジの典型的な形態として、軸部からの張り出し幅が大きい箇所が小さい箇所を挟んで周方向の複数箇所に形成された取付用フランジ、あるいはその特殊な例として、軸部からの張り出し幅が一方向及びその反対方向に大きく、それに垂直方向に小さく形成された取付用フランジを挙げることができる。
この取付用フランジは、電磁成形により、前記アルミニウム合金押出材の端部周壁を外径方向(放射方向)に拡開して成形したものであり、フランジの先端部が張り出し幅の小さい箇所で分割された構造であるため、拡開時に前記先端部においてフランジの円周方向に加わる引張力が緩和され、割れ発生を防止し、肉厚減少を抑えることができる。張り出し幅の小さい箇所の張り出し幅が張り出し幅の大きい箇所の張り出し幅に比べて小さいほど、またその箇所の数が多いほど、前記引張力が緩和される。
この取付用フランジは、フランジが周方向に分割されたフランジ片からなるため、電磁成形による拡開時に周方向への引張の変形が実質的に加わらず、曲げ成形に近い形でフランジが成形される。従って、フランジに割れや肉厚減少が生じるのを防止できる。
このフランジ付き管状部材の場合も、取付面のスペースに応じて、フランジ片の1又は複数個について、その張り出し幅を他より小さくし又は適当な形状に成形することができる。
なお、素材管の分割された端部周壁の一部を切除し又は切り欠き、当該箇所において金型の端面からの突出長さを他より小さくすることにより、取付用フランジを構成するフランジ片の1又は複数個について、その張り出し幅を他より小さくし又はフランジ形状を適当な形状とすることができる。
はじめに図1〜図21を参照して、軸部からの張り出し幅が他より小さい箇所が周方向に沿った1又は複数箇所に形成された取付用フランジを有するフランジ付き管状部材について説明する。ここに開示するのは、主としてバンパーステイの例であり、軸部の一端にバンパーリインフォースへの取付用フランジが形成され、他端にサイドメンバーへの取付用フランジが形成され、それぞれ、ボルト・ナット又は溶接等により、バンパーリインフォース又はサイドメンバーへ固定される。
使用する管素材27は断面円形のアルミニウム合金押出材であり、一方の端面27aは、図3に示すように、軸方向に垂直な面内でカットされたうえに両側から対称的に斜めにカットされて切り欠き33が形成され、他方の端面は軸方向に垂直な面内でカットされている。この管素材27の周囲を金型28(分割金型28a〜28dからなる)により包囲し、管素材27の両端部を金型28の端面29,30から突出させる。管素材27の両端部の端面29,30からの突出長さにより、成形後の取付用フランジ22,23の軸部24からの張り出し幅が決まる。図4及び図6に示すように、端面29側において、この突出長さは対向位置にある2カ所で大きく、その中間で小さくなっている。
図4及び図6に示すように管素材27を金型28にセットし、電磁成形用通電コイル32を内部に挿入する。続いて、図示しない衝撃電流発生装置から通電コイル32に瞬間大電流を流すと、磁界の相互作用により管素材27は瞬間的に外径方向に拡開し、金型28内では貫通穴31の内面に押し付けられ、金型28の端面29,30から突出している端部は前記端面29,30に押し付けられ、図5及び図6に示すように、管端に取付用フランジ22,23が形成される。なお、成形後は、金型28を開いてバンパーステイ21を取り出す。
また、図1に示すように、取付用フランジ22をバンパーリインフォース25の後壁25aに固定するに際し、取付用フランジ22の張り出し幅が大きい方向(X方向)が前記パンバーリインフォース25の長手方向(A方向)に向くように配置すると、当該方向の張り出し幅W1が十分大きいため、ここに複数個のボルト穴26を形成する余裕があり、一方、上下方向には張り出し幅W2が十分小さいため、取付面である後壁25aから上下にはみ出すことがなく、その全面を後壁25aに接触させることができる。なお、溶接により固定する場合でも、取付用フランジ22の張り出し幅が大きい部分で溶接長を長くとれるので、支障なく固定できる。
図7はそのようなバンパーステイ21とその製造方法を示すものである。このバンパーステイ21において、取付用フランジ22は軸部24に垂直な面に対し傾斜した平面内に形成され、かつ取付用フランジ22の張り出し幅が大きい方向が傾斜の方向(図7(b)のC方向)に一致し(この方向の張り出し幅W1)、張り出し幅が小さい方向がそれに垂直(図7(a)のD方向)に向いている(この方向の張り出し幅W2)。
図8はそのようなバンパーステイ21とその製造方法を示すものである。このバンパーステイ21において、取付用フランジ22が湾曲(車幅方向外側が後退する方向に湾曲)して形成され、かつ取付用フランジ22の張り出し幅が大きい方向が湾曲の方向(図8(b)のE方向)に一致し(この方向の張り出し幅W1)、張り出し幅が小さい方向がそれに垂直(図8(a)のF方向)に向いている(この方向の張り出し幅W2)。
図8によれば、金型28の端面29は、貫通穴31の軸方向に垂直な面に対し傾斜した湾曲面からなり、端面30は貫通穴25の軸方向に対し垂直な平面である。一方、管素材27の一方の端面は金型28の端面29の湾曲に近似する傾斜平面内でカットされたうえに両側から対称的に斜めにカットされ、他方の端面は軸方向に垂直な面内でカットされている。従って、金型28の端面29側において、管素材27の端部の前記端面29からの突出長さは、対向位置にある2カ所で大きく、その中間で小さくなっている。
図9に示すバンパーステイ21は、一方の取付用フランジ22の形状と、軸部24にビード(リング状の膨出部)32が形成されている点で、図1に示すバンパーステイ21と異なる。しかし、アルミニウム合金押出材からなり、円筒形の軸部24の両端に該軸部24の軸方向に垂直な面内に取付用フランジ22,23が形成された点、取付用フランジ22においては軸部24からの張り出し幅が周方向に異なり、取付用フランジ23においては軸部24からの張り出し幅が全周で一定である点、取付用フランジ22において(図10参照)、軸部24からの張り出し幅が一方向及びその反対方向(両矢印X)に大きく(張り出し幅W1)、前記方向に垂直な方向(両矢印Y)に小さく(張り出し幅W2)形成されている点は、図1に示すバンパーステイ21と同じである。この取付用フランジ22の形状については、内周部が一体につながり、外周部が互いに分割されたフランジ片22a,22bからなるということもできる。
このバンパーステイ21の取付用フランジ23も、フランジの外周部が張り出し幅の小さい箇所で分割された構造であるため、拡開時に前記先端部においてフランジの円周方向に加わる引張力が小さく、割れ発生及び肉厚減少が防止される。また、バンパーリインフォース25の長手方向の張り出し幅W1が十分大きいため、ここに複数個のボルト穴26を形成する余裕があり、一方、上下方向には張り出し幅W2が十分小さいため、取付面である後壁25aから上下にはみ出すことがない。溶接により固定する場合でも、取付用フランジ22の張り出し幅が大きい部分で溶接長を長くとれるので、支障なく固定できる。
使用する管素材27は断面円形のアルミニウム合金押出材であり、一方の端面27aは、図11に示すように、両側から対称的に斜めにカットされて切り欠き33が形成され、傾斜面のみからなり、他方の端面は軸方向に垂直な面内でカットされている。この管素材27を包囲する金型28は、図4等に示す金型28と同じく分割金型からなり、組み合わせたとき構成される貫通穴31の一部に、放射方向にリング状に膨出した空間31aが形成されるが、その他の点では図4等に示す金型28と同じである。
電磁成形にあたり、この管素材27の周囲を金型28により包囲し、管素材27の両端部を金型28の端面30,31から突出させるが、端面30側において、その突出長さは対向位置にある2カ所で大きく、その中間で小さくなっている。この点は図6の場合と同様である。
管素材27を金型28にセットし、先に述べたと同様の手順で電磁成形を行うと、管素材27は瞬間的に外径方向に拡開し、金型28内では貫通穴31の内面に押し付けられ、金型28の端面29,30から突出している端部は前記端面29,30に押し付けられ、軸部24の途中にビード32が形成され、管端に取付用フランジ22,23が形成される。
バンパーステイ51の製造にあたっては、図7に関して説明したと同じ要領で、管素材57を金型にセットし、電磁成形を行い、管素材57の両端部を外径方向に拡開する。このパンパーステイ51の取付用フランジ52,53は、フランジの先端部が張り出し幅の小さい箇所で分割された構造であるため、拡開時に前記先端部においてフランジの円周方向に加わる引張力が小さく、割れ発生及び肉厚減少が防止される。
このフランジ付き管状部材71の取付用フランジ72は、接合されるパイプ材の外面(取付面)形状に応じて鞍型曲面に形成され、かつ前記バンパーステイ51の取付用フランジ52,53と同じように、軸部74からの張り出し幅が小さい箇所が大きい箇所を挟んで周方向の4カ所に形成されている。この取付用フランジの形状については、内周部(軸部74に近い側)が一体につながり外周部が互いに分割されたフランジ片72a〜72d(72cは図示されず)からなるといういいかたもできる。
図22(a)はバンパーステイ81の製造に使用する管素材87を示すもので、この管素材87は断面4角形のアルミニウム合金押出材からなる。管素材87の両端面は軸方向に垂直な面内でカットされ、一方の端部の各隅部には端面から同じ深さhのスリット83が軸方向に入れられ、管素材87の端部周壁93は周方向に4個に分割されている(分割された端部周壁の各面を93a〜93dとする)。
成形後のバンパーステイ81において、取付用フランジ82を構成する各フランジ片82a〜82dは、管素材87の端部周壁93の各面93a〜93dがスリット83の底83aの位置で外側に90°曲げ成形された形態をなしている。従って、拡開時にフランジの円周方向に加わる引張力がなく、割れ発生及び肉厚減少が防止される。
この管素材87を図23及び図24に示す金型88にセットし、図23及び図24に示すように管素材87の分割された端部周壁93を金型88の端面89から突出させて電磁成形を行うと、図30(b)に示すように、管端に取付用フランジ82を有するバンパーステイ81が成形される。この取付用フランジ82は周方向に4個に分割された形態をなし、取付用フランジ82を構成する各フランジ片82a〜82dは両コーナー(矢印100で示す)が斜めに切除された形態となっている。これにより、取付用フランジ82は、図30(c)に示すように、バンパーリインフォース85の後面(取付面)85aのスペース内に収まる。
この管素材87を図2及び図3に示す金型88にセットし、図23及び図24に示すように管素材87の分割された端部周壁93を金型88の端面89から突出させて電磁成形を行うと、図31(b)に示すように、管端に取付用フランジ82を有するバンパーステイ81が成形される。この取付用フランジ82は周方向に2個に分割された形態をなす。図31(c)に示すように、取付用フランジ82を構成する各面82b,82dが車幅方向にくるようにすれば、フランジ82はバンパーリインフォース85の後面(取付面)85aのスペース内に収まる。
この管素材87を図23及び図24に示す金型88にセットし、図23及び図24に示すように管素材87の分割された端部周壁93を金型88の端面89から突出させて電磁成形を行うと、図32(b)に示すように、管端に取付用フランジ82を有するバンパーステイ81が成形される。この取付用フランジ82は周方向に4個に分割された形態をなし、取付用フランジ82を構成する4個のフランジ片82a〜82dのうち上下の面82a,82cの張り出し幅Wが小さくなっている。従って、図32(c)に示すように、取付用フランジ82はバンパーリインフォース85の後面(取付面)85aのスペース内に収まる。
また、図34(a),(b)に示すバンパーステイ81は、管素材(図示せず)として6角形断面のアルミニウム合金押出材を使用して得られたものである。それぞれ管素材としては端部周壁が周方向に6個に分割された管素材が用いられるが、図34(a)に示すバンパーステイ81の場合、一方の端部の各隅部に端面から同じ深さのスリットが軸方向に入れられ、図34(b)に示すバンパーステイ81の場合、管素材の端部周壁の各面の両コーナーが斜めに切除され、かつ管素材の各隅部には端面から同じ深さのスリットが軸方向に入れられる(前者は図22(a)参照、後者は図30(a)参照)。
次に管素材87内に電磁成形用コイル体92を挿入し、電磁成形を行うと、管素材87は瞬間的に放射方向に拡開し、金型88内の軸部は貫通穴91の内面に押し付けられ、金型88の端面89から突出している端部周壁93は前記端面89に押し付けられ、軸部84の端部に傾斜した取付用フランジ81が形成されたバンパーステイ82が製造される。
図37(a)に示す管素材87は、両端面が軸方向に垂直な面内でカットされ、両端部の各隅部には端面から同じ深さのスリット83が軸方向に入れられ、管素材87の両方の端部周壁93、101は周方向に4個に分割されている。
管素材87内に電磁成形用コイル体92を挿入し、電磁成形を行うと、管素材87は瞬間的に放射方向に拡開し、金型88内の軸部は貫通穴91の内面に押し付けられ、金型88の端面89,102から突出している端部周壁93,101は前記端面89,102に打ち付けられ、軸部84の両端に取付用フランジ82,103が形成されたバンパーステイ18が製造される。
図39は取付用フランジ82をバンパーリインフォース85の後壁85aの内面側に取り付ける場合に、取付用フランジ82をバンパーリインフォース85の中空内部において成形する例を示すものである。管素材87の分割された端部周壁93を後壁85aに形成した穴を通してバンパーリインフォース85の中空内部に嵌入し、金型88をバンパーリインフォース85の後壁85aに密着させ、管素材87のバンパーリインフォース85の外部に出ている箇所の周囲を包囲する。次に管素材87内に電磁成形用コイル体92を挿入し、電磁成形を行うと、管素材87は瞬間的に放射方向に拡開し、バンパーリインフォース85の中空内部に嵌入した端部周壁93はバンパーリインフォース85の後壁85aの内面(これが成形面として機能する)に打ち付けられ、軸部84の端にフランジ82が形成されたバンパーステイ81が製造される。なお、バンパーステイ81の軸部84は金型88の貫通穴91の内面に押し付けられる。
なお、サイドメンバは前記特許文献1〜3や前記特願2002−357820の明細書及び図面にも記載されている。その先端に前記のようなバンパーステイを取り付ける(バンパーステイを介してバンパーリインフォースを固定する)場合と、その先端に直接バンパーリインフォースを固定する場合がある。また、インストルメントパネル用リインフォースは、ステアリングサポート、ステアリングハンガービーム又はピラー間クロスメンバー(PPメンバー)ともいわれ、車幅方向に配設されて両端が車両の左右のフレームに固定され、インストルメントパネル、ダクト及びステアリングコラム等を支持するとともに、車両の側面衝突に対して乗員の生存空間を確保する役割をもつ部材であり、例えば特開平11−115550号公報、特開2001−63628号公報、特開2001−71939号公報、特開2001−253368号公報、特開2002−211440号公報にはアルミニウム合金製のインストルメントパネル用リインフォースが記載されている。
22,23,32,42,52,53,62,63,72,82 取付用フランジ
24,34,54,64,84 軸部
27,57,87 管素材
28,88 金型
29,30,89 金型端面(成形面)
31,41,71 フランジ付き管状部材
52a〜52d,53a〜53d,62a〜62d,63a〜63d,82a〜82d フランジ片
58 切り欠き
83 スリット
Claims (1)
- アルミニウム合金押出材からなり、他部材に取り付けられる取付用フランジが軸端に形成され、前記取付用フランジの前面を前記他部材の取付面に接触させるフランジ付き管状部材であり、前記フランジ付き管状部材はバンパーステイであり、前記取付用フランジは電磁成形により前記アルミニウム合金押出材の端部周壁の全周を外径方向に拡開し金型の成形面に押し付けて形成したもので、軸部の全周に張り出し、かつ軸部からの張り出し幅が大きい箇所が小さい箇所を挟んで周方向に沿った複数箇所に形成され、電磁成形による拡開に伴い加工硬化していることを特徴とするフランジ付き管状部材。
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