JP4433116B2 - 白色積層ポリエステル系フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、白色積層ポリエステル系フィルム、更に詳しくは、隠蔽性、白色性に優れ、且つ光沢性が低く、そのため情報記録材料、印刷材料等として好適な白色積層ポリエステル系フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂を主原料とした紙代替物である合成紙は、天然紙に比し、耐水性、吸湿寸法安定性、表面安定性、機械的強度等の点において優れている。そのため、近年、これらの長所を活かした用途展開が進められている。
【0003】
合成紙の主原料としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン等の樹脂が用いられているが、この中でもポリエチレンテレフタレートを代表とするポリエステルによるフィルムは、耐熱性、印刷の光沢性と鮮明性、腰の強さで優れており、印刷材料や情報記録材料としての使用範囲を拡大しつつある。
【0004】
このポリエステルフィルムを紙代替物として使用する際、必要となる隠蔽性、白色性、低光沢性を付与するための方法として、フィルム中に微細空洞を分散させる方法と白色顔料を添加する方法が検討されてきた。
【0005】
例えば、ポリエステルフィルム中に微細空洞を分散させることにより該フィルムに白色性、隠蔽性及び低光沢性を付与し、これを記録材料として利用することが検討されている(例えば、特開平4−45979号公報参照)。
【0006】
しかし、この方法により白色性、隠蔽性及び低光沢性が付与されたフィルムにおいては、空洞の存在に起因する強度低下やしわの発生といった機械的性能の低下が避けられず、その空洞含有量には自ずと上限が発生する。このため、この方法により得られるフィルムで上記用途に用いるに十分な隠蔽性、白色性及び低光沢性を有したものは得られていない。
【0007】
また、白色顔料をフィルム中に含有させることにより、フィルムに白色性を付与することができるが、隠蔽性を向上させるために、白色顔料の含有量を増やすと、フィルム製造時にフィルムの破断が多発する等、製膜安定性に問題があった。更に白色顔料を含有するフィルムは光沢度が高く、印刷性が不十分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、隠蔽性及び白色性に優れ、且つ光沢性が低く、情報記録・印刷材料として用いるに好適な白色ポリエステル系フィルムを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ポリエステル系樹脂層(B層)に白色顔料及び無機粒子を含むポリエステル系樹脂層(A層)を少なくとも一方の表面に積層し、且つ積層して得られる白色ポリエステル系フィルムの光学濃度を1.0以上(100μm換算)、該A層表面の60°グロス値を50%以下、見かけ密度を1.3g/cm 3 以上とすることにより、上記課題が達成されることを見い出した。本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
1.本発明は、ポリエステル系樹脂層(B層)の少なくとも片面に白色顔料及び無機粒子を含むポリエステル系樹脂層(A層)を積層した白色ポリエステル系フィルムからなり、
前記白色顔料が、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記無機粒子が、ゼオライトであり、
光学濃度が1.0以上(100μm換算)であり、該A層表面の60°グロス値が50%以下であり、見かけ密度が1.3g/cm 3 以上であることを特徴とする白色積層ポリエステル系フィルムである。
2.本発明は、A層中に白色顔料が10〜45重量%含有されている上記1記載の白色積層ポリエステル系フィルムである。
3.本発明は、A層中の白色顔料が酸化チタンである上記項1又は2に記載の白色積層ポリエステル系フィルムである。
4.本発明は、A層中の無機粒子の含有量が3〜25重量%である上記1、2又は3に記載の白色積層ポリエステル系フィルムである。
5.本発明は、A層中に蛍光増白剤を100〜10000ppm含有する上記1、2、3又は4に記載の白色積層ポリエステル系フィルムである。
【0010】
本発明の白色積層ポリエステル系フィルムは、上記従来技術の欠点を解消し、隠蔽性及び白色性に優れ、且つ光沢性が低く、そのため情報記録・印刷材料として好適に使用され得るものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のB層を構成するポリエステル系樹脂は、芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとグリコールとのポリエステルである。本発明では、ポリエステル系樹脂として、従来公知のものを広く使用できる。
【0012】
芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができる。また、グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等を挙げることができる。
【0013】
上記ポリエステル系樹脂は、芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとグリコールとを重縮合させて容易に製造される。
【0014】
上記ポリエステル系樹脂は、具体的には、(1)芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる方法、(2)芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後重縮合させる方法、(3)芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる方法等により製造される。
【0015】
本発明で使用されるポリエステル系樹脂の代表例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等を例示できる。
【0016】
本発明で使用されるポリエステル系樹脂は、ホモポリマーであってもよく、第三成分を共重合したものであってもよい。
【0017】
本発明においては、ポリエステル系樹脂として、エチレンテレフタレート単位、ブチレンテレフタレート単位又はエチレン−2,6−ナフタレート単位を好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上含有しているポリエステル系樹脂を使用するのがよい。
【0018】
更に、本発明では、上記ポリエステル系樹脂を1種単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。
【0019】
本発明に用いる白色顔料としては、従来公知のものを広く使用でき、例えば酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸カルシウム等を用いることができる。特に酸化チタンは、高い屈折率を有し、少量で高い隠蔽牲を発現させることが可能であるため好ましい白色顔料である。
【0020】
本発明では、これら白色顔料を粒子の形態で使用するのがよい。またこれらの白色顔料粒子には、分散性向上等の目的のため各種有機、無機表面処理を施すことができる。
【0021】
白色顔料の平均粒子径としては、0.1〜3μm程度が好ましく、0.2〜0.6μm程度がより好ましい。白色顔料の平均粒子径が小さすぎると、積層フィルムの隠蔽性や光沢性が不十分になる傾向が生じ、逆に白色顔料の平均粒子径が大きすぎると、積層フィルムの表面強度が低下する傾向が生ずる。
【0022】
本発明では、白色顔料を1種単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0023】
A層中の白色顔料の含有量は、10〜45重量%であり、15〜35重量%であることが好ましく、15〜25重量%であることがより好ましい。特に白色顔料の含有量が10重量%未満では、光学濃度が小さくなり(フィルムの光線透過率が大きくなり)、十分な隠蔽効果が得られ難くなり、更に光沢性も高くなるため好ましくない。一方、白色顔料の含有量が45重量%を超えると、製膜安定性の点で好ましくない。また白色顔料の含有量が45重量%を超えると、白色顔料が蛍光増白剤が効果を発揮するに必要な紫外線を吸収してしまうので、蛍光増白剤配合による蛍光増白効果を著しく阻害して白色度が低下する結果となり、好ましくない。
【0024】
本発明の白色積層ポリエステル系フィルムは、光学濃度が1.0以上(100μm換算)であり、該A層表面の60°グロス値が50%以下であるという要件を備えていることが必要である。このような要件を備えていない場合には、隠蔽性、白色性及び光沢性の全てに優れた白色積層ポリエステル系フィルムを得ることができず、本発明の課題が達成されない。例えば、白色積層ポリエステル系フィルムのA層表面の60°グロス値が50%以下であっても光学濃度が1.0より低い場合は、隠蔽性や白色性に優れた白色積層ポリエステル系フィルムを得ることができない。また、白色積層ポリエステル系フィルムの光学濃度が1.0以上であってもA層表面の60°グロス値が50%より大きい場合には、白色積層ポリエステル系フィルムの表面の光沢性が高くなり、光沢性の低い白色積層ポリエステル系フィルムを得ることができない。
【0025】
本発明では、白色積層ポリエステル系フィルムのA層に白色顔料以外に他の粒子を更に含有させることにより、白色積層ポリエステル系フィルムのA層表面の60°グロス値を50%以下にすることができる。
【0026】
A層中に含有される粒子としては、本発明の効果を阻害しない成分であることが必要である。本発明で使用可能な粒子としては、例えばシリカ、カオリナイト、タルク、ゼオライト、アルミナ、カーボンブラック等の白色顔料以外の無機粒子や有機粒子を挙げることができる。これらの粒子は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。これら粒子の中でもゼオライトが特に好ましい。
【0027】
上記無機粒子や有機粒子の平均粒子径としては、0.1〜3μm程度が好ましく、0.2〜1μm程度がより好ましい。
【0028】
A層中の上記無機・有機粒子の含有量は、3〜25重量%であることが好ましく、5〜20重量%であることが特に好ましい。更に上記無機・有機粒子と白色顔料との合計量で、A層中に好ましくは20〜45重量%、特に好ましくは25〜43重量%含有されているのがよい。
【0029】
本発明の白色積層ポリエステル系フィルムには白色度を更に向上させるために蛍光増白剤を含有させることが望ましい。蛍光増白剤は、本発明の白色積層ポリエステル系フィルムのA層に含有させるのがよい。蛍光増白剤としては、従来公知のものを広く使用することができる。
【0030】
蛍光増白剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、A層中の蛍光増白剤の含有量が100〜10000ppm、特に500〜5000ppmになるように、蛍光増白剤を含有させるのが好ましい。上記蛍光増白剤の含有量が100ppmより著しく少なくなると、蛍光の発光量が少なくなり反射光の青味成分が減少し、その結果フィルムが黄味を帯びて見えて十分な白色度が得られ難くなる傾向が生ずるので、好ましくない。また上記蛍光増白剤の含有量が10000ppmより著しく多くなると、紫外線照射や高温高湿の条件下で蛍光増白剤が変成した際の変色が顕著になり、フィルムの耐候性が低下する傾向が生ずるので、好ましくない。
【0031】
本発明の白色積層ポリエステル系フィルムは、見かけ密度がl.3g/cm3以上であることが好ましい。見かけ密度が1.3g/cm3以上であると、フィルムの腰感が強くなり、情報記録材料、印刷材料としては特に好ましいものとなる。ここで見かけ密度とは、後記実施例の欄に記載された方法により測定されたフィルムの密度のことである。
【0032】
本発明の白色積層ポリエステル系フィルムは、具体的にはA層/B層、A層/B層/A層からなるものである。
【0033】
A層の厚みは、積層フィルム厚み全体の5〜20%とすることが好ましく、7〜15%とすることが特に好ましい。更に、本発明の白色積層ポリエステル系フィルム全体の厚みは、通常10〜250μm程度、好ましくは25〜100μm程度である。
【0034】
本発明の白色積層ポリエステル系フィルムの製造方法は任意であり、特に制限されるものではないが、例えば以下のようにして製造することができる。
【0035】
またA層をB層に接合する方法としては、A層とB層の樹脂を別々の押出し機に供給した後、溶融状態で積層して同一のダイから押出す共押出し法を採用することが最も好ましい。
【0036】
こうして得られた未延伸フィルムは、更に速度差をつけたロール間での延伸(ロール延伸)やクリップに把持して拡げていくことによる延伸(テンター延伸)や空気圧によって拡げることによる延伸(インフレーション延伸)等の延伸手段によって2軸配向処理される。
【0037】
未延伸フィルムを延伸・配向処理する条件は、フィルムの物性と密接に関係する。以下では、最も好んで用いられる逐次二軸延伸方法、特に未延伸シートを長手方向次いで幅方向に延伸する方法を例にとり、延伸・配向条件を説明する。
【0038】
まず、第一段の縦延伸工程では、周速が異なる2本又は多数本のロール間で延伸する。このときの加熱手段としては、加熱ロールを用いる方法でも非接触の加熱方法を用いる方法でもよく、それらを併用してもよい。次いで一軸延伸フィルムをテンターに導入し、幅方向にポリエステルの融点(Tm)から10℃以上低い温度で2.5〜5倍に延伸する。
【0039】
このようにして得られた二軸延伸フィルムに対し、必要に応じて熱処理を施す。熱処理はテンター中で行うのが好ましく、特にポリエステルの融点と融点から50℃低い温度との範囲内で行うのが好ましい。
【0040】
本発明の積層白色ポリエステル系フィルムにおいては、そのいずれか一方又は両方の表面に塗布層を有していてもよい。フィルム表面に塗布層を設けることにより、インキやコーティング剤等の塗れ性や接着性を改善することができる。
【0041】
塗布層を構成する化合物としては、ポリエステル系樹脂が好ましいが、この他にも、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル系樹脂等の、通常のポリエステルフィルムの接着性を向上させる手段として開示されている化合物等が適用可能である。
【0042】
塗布層を設ける方法としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式等の通常用いられている方法が適用できる。塗布する段階としては、フィルムの延伸前に塗布する方法、縦延伸後に塗布する方法、配向処理の終了したフィルム表面に塗布する方法等のいずれの方法も可能である。
【0043】
【実施例】
次に本発明の実施例及び比較例を掲げて、本発明をより一層明らかにする。まず本発明に用いる測定・評価方法を以下に示す。
【0044】
(1)光学濃度(OD)
伊原電子工業株式会社製透過濃度計(Ihac−T5)を用いて測定した。但しフィルム厚みを100μmに換算した。光学濃度の値が大きいほど、高い隠蔽性を示す。
【0045】
(2)60°グロス
日本電色工業社製グロスメーター(VGS−1001DP)を用い、フィルムのA層表面の60°グロスを求めた。60°グロスの値が小さいほど、光沢度が低くなることを示す。
【0046】
(3)カラーb値
日本電色工業社製色差計(Z−l001DP)を用いて色差を測定した。フィルムの白色度はb値(bo)を用いて評価した。この値が大きいほど黄色味が強いことを示す。カラーb値は目視評価とよく対応しており、カラーb値が−2.0以上であれば白色性に優れ、−3.0以上であれば極めて白色性に優れていると判断できる。
【0047】
(4)見かけ密度
フィルムを5.00cm四方の正方形に4枚切り出して試料とした。これを4枚重ねにしてその厚みを10点においてマイクロメーターを用いて有効数字4桁で測定し、重ね厚みの平均値を求めた。この平均値を4で除して有効数字3桁にまるめ、一枚あたりの平均厚みt(μm)とした。同試料4枚の重量w(g)を有効数字4桁で自動上皿天秤を用いて測定し、次式より見かけ密度を求めた。尚、見かけ密度は有効数字3桁にまるめた。
【0048】
見かけ密度(g/cm3)=(w×104)/(5.00×5.00×t×4)
実施例1
固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂(東洋紡績社製)50重量%に平均粒径0.3μmのアナターゼ型二酸化チタン粒子(富士チタン株式会社製、TA−300)50重量%を混合したものをベント式二軸押し出し機に供給して予備混練りした。この溶融樹脂を連続的にペント式単軸混練り機に供給、混練りして押出し、得られたストランドを冷却、切断して二酸化チタン含有マスターペレット(A)を調製した。
【0049】
次に固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂80重量%に平均粒径0.8μmのゼオライト粒子20重量%を混合したものをベント式二軸押し出し機に供給して予備混練りした。この溶融樹脂を連続的にベント式単軸混練り機に供給、混練りして押出し、得られたストランドを冷却、切断してゼオライト含有マスターペレット(B)を調製した。
【0050】
次に固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂95重量%にベンゾオキサゾール系蛍光増白剤(イーストマンケミカル社製、OB−1)5重量%を混合したものをベント式二軸押し出し機に供給して予備混練りした後、溶融樹脂を連続的にベント式単軸混練り機に供給、混練りして蛍光増白剤含有マスターペレット(C)を調製した。
【0051】
140℃で8時間の真空乾燥を施した、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂70重量%と上記の二酸化チタン含有マスターペレット(A)30重量%をペレット混合してフィルム原料(I)とした。また同条件で乾燥を施した、ゼオライト含有マスターペレット(B)69重量%と上記の二酸化チタン含有マスターペレット(A)30重量%、蛍光増白剤含有ペレット(C)l重量%をペレット混合してフィルム原料(II)とした。
【0052】
これらのフィルム原料をそれぞれ別の押出し機に供給し、フィードブロックを用いて原料Iからなる層(B層)と原料IIからなる層(A層)をA層/B層/A層の順に積層した。これを25℃に調温した冷却ロール上にTダイより共押出した。各押出機の吐出量を各層の厚み比が1対8対1になるよう調整し、厚み570μmの未延伸フィルムを作成した。
【0053】
得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて66℃に均一加熱し、周速が異なる二対のニップロール(低速ロール=2m/分、高速ロール=6.2m/分)間で3.1倍に延伸した。このとき、フィルムの補助加熱装置として、ニップロール中間部に金反射膜を備えた赤外線加熱ヒータ(定格出力74W/cm)をフィルムの両面に対向してフィルム面から1cmの位置に設置し、定格の35%で加熱した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、150℃に加熱して3.7倍に横延伸し、幅固定して230℃で5秒間の熱処理を施し、更に200℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚さ約50μmの白色積層ポリエステル系フィルムを得た。
【0054】
実施例2
実施例1において、フィルム原料(I)として40℃で8時間の真空乾燥を施した。固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂100重量%としてフィルム原料とした。
【0055】
またフィルム原料(II)として真空乾燥を施したゼオライト含有マスターペレット(B)59重量%と上記の二酸化チタン含有マスターペレット(A)40重量%、蛍光増白剤含有ペレット(C)l重量%をペレット混合したものを用いた。
【0056】
これらのフィルム原料をそれぞれ別の押出し機に供給し、フィードブロックを用いて原料Iからなる層(B層)と原料IIからなる層(A層)をA層/B層/A層の順に積層した。これを25℃に調温した冷却ロール上にTダイより共押出した。各押出機の吐出量を各層の厚み比が1対8対1になるよう調整し、厚み570μmの末延伸フィルムを作成した。
【0057】
得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて65℃に均一加熱し、周速が異なる二対のニップロール(低速ロール=2m/分、高速ロール=6.2m/分)間で3.1倍に延伸した。このとき、フィルムの補助加熱装置として、ニップロール中間部に金反射膜を備えた赤外線加熱ヒータ(定格出力74W/cm)をフィルムの両面に対向してフィルム面から1cmの位置に設置し、定格の30%で加熱した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、150℃に加熱して3.7倍に横延伸し、幅固定して230℃で5秒間の熱処理を施し、更に200℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚さ約50μmの白色積層ポリエステル系フィルムを得た。
【0058】
実施例3
実施例1においてフィルム原料(I)として40℃で8時間の真空乾燥を施した、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂60重量%と上記の二酸化チタン含有マスターペレット(A)40重量%をペレット混合してフィルム原料とした。
【0059】
またフィルム原料(II)として二酸化チタン含有マスターペレット(A)20重量%、上記のゼオライト含有マスターペレット(B)79重量%、蛍光増白剤含有ペレット(C)1重量%をペレット混合したものを用いた。
【0060】
これらのフィルム原料をそれぞれ別の押出し機に供給し、フィードブロックを用いて原料Iからなる層(B層)と原料IIからなる層(A層)をA層/B層/A層の順に積層した。これを25℃に調温した冷却ロール上にTダイより共押出した。各押出機の吐出量を各層の厚み比が1対8対1になるよう調整し、厚み570μmの未延伸フィルムを作成した。
【0061】
得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて65℃に均一加熱し、周速が異なる二対のニップロール(低速ロール=2m/分、高速ロール=6.2m/分)間で3.1倍に延伸した。このとき、フィルムの補助加熱装置として、ニップロール中間部に金反射膜を備えた赤外線加熱ヒータ(定格出カ74W/cm)をフィルムの両面に対向してフィルム面から1cmの位置に設置し、定格の30%で加熱した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、150℃に加熱して3.7倍に横延伸し、幅固定して230℃で5秒間の熱処理を施し、更に200℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚さ約50μmの白色積層ポリエステル系フィルムを得た。
【0062】
実施例4
実施例1においてフィルム原料(I)として40℃で8時間の真空乾燥を施した、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂90重量%と上記の二酸化チタン含有マスターペレット(A)10重量%をペレット混合してフィルム原料とした。
【0063】
またフィルム原料(II)としてゼオライト含有マスターペレット(B)28重量%と上記の二酸化チタン含有マスターペレット(A)70重量%、蛍光増白剤含有ペレット(C)2重量%をペレット混合したものを用いた。
【0064】
これらのフィルム原料をそれぞれ別の押出し機に供給し、フィードブロックを用いて原料Iからなる層(B層)と原料IIからなる層(A層)をA層/B層/A層の順に積層した。これを25℃に調温した冷却ロール上にTダイより共押出した。各押出機の吐出量を各層の厚み比が1対8対1になるよう調整し、厚み1100μmの未延伸フィルムを作成した。
【0065】
得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて65℃に均一加熱し、周速が異なる二対のニップロール(低速ロール=2m/分、高速ロール=6.2m/分)間で3.1倍に延伸した。このとき、フィルムの補助加熱装置として、ニップロール中間部に金反射膜を備えた赤外線加熱ヒータ(定格出力74W/cm)をフィルムの両面に対向してフィルム面から1cmの位置に設置し、定格の40%で加熱した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、150℃に加熱して3.7倍に横延伸し、幅固定して230℃で5秒間の熱処理を施し、更に200℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚さ約50μmの白色積層ポリエステル系フィルムを得た。
【0066】
比較例1
実施例1においてフィルム原料(I)として40℃で8時間の真空乾燥を施した、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂90重量%と上記の二酸化チタン含有マスターペレット(A)10重量%をペレット混合してフィルム原料とした。
【0067】
またフィルム原料(II)として真空乾燥を施した固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂88重量%と上記の二酸化チタン含有マスターペレット(A)10重量%、蛍光増白剤含有ペレット(C)2重量%をペレット混合したものを用いた。
【0068】
これらのフィルム原料をそれぞれ別の押出し機に供給し、フィードブロックを用いて原料Iからなる層(B層)と原料IIからなる層(A層)をA層/B層/A層の順に積層した。これを25℃に調温した冷却ロール上にTダイより共押出した。各押出機の吐出量を各層の厚み比が1対8対1になるよう調整し、厚み570μmの未延伸フィルムを作成した。
【0069】
得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて65℃に均一加熱し、周速が異なる二対のニップロール(低速ロール=2m/分、高速ロール=6.2m/分)間で3.1倍に延伸した。このとき、フィルムの補助加熱装置として、ニップロール中間部に金反射膜を備えた赤外線加熱ヒータ(定格出力74W/cm)をフィルムの両面に対向してフィルム面から1cmの位置に設置し、定格の35%で加熱した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、150℃に加熱して3.7倍に横延伸し、幅固定して230℃で5秒間の熱処理を施し、更に200℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚さ約50μmの白色積層ポリエステル系フィルムを得た。
【0070】
比較例2
実施例1においてフィルム原料(I)として40℃で8時間の真空乾燥を施した、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂60重量%と上記の二酸化チタン含有マスターペレット(A)40重量%をペレット混合してフィルム原料とした。
【0071】
またフィルム原料(II)として真空乾燥を施した固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂79重量%と上記の二酸化チタン含有マスターペレット(A)20重量%、蛍光増白剤含有ペレット(C)1重量%をペレット混合したものを用いた。
【0072】
これらのフィルム原料をそれぞれ別の押出し機に供給し、フィードブロックを用いて原科Iからなる層(B層)と原料IIからなる層(A層)をA層/B層/A層の順に積層した。これを25℃に調温した冷却ロール上にTダイより共押出した。各押出機の吐出量を各層の厚み比が1対8対1になるよう調整し、厚み570μmの未延伸フィルムを作成した。
【0073】
得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて65℃に均一加熱し、周速が異なる二対のニップロール(低速ロール=2m/分、高速ロール=6.2m/分)間で3.1倍に延伸した。このとき、フィルムの補助加熱装置として、ニップロール中間部に金反射膜を備えた赤外線加熱ヒータ(定格出力74W/cm)をフィルムの両面に対向してフィルム面から1cmの位置に設置し、定格の30%で加熱した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、150℃に加熱して3.7倍に横延伸し、幅固定して230℃で5秒間の熱処理を施し、更に200℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚さ約50μmの白色積層ポリエステル系フィルムを得た。
【0074】
比較例3
実施例1においてフィルム原料(I)として40℃で8時間の真空乾燥を施した、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂90重量%と上記の二酸化チタン含有マスターペレット(A)10重量%をペレット混合してフィルム原料とした。
【0075】
またフィルム原料(II)として真空乾燥を施した固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂28重量%と上記の二酸化チタン含有マスターペレット(A)70重量%、蛍光増白剤含有ペレット(C)2重量%をペレット混合したものを用いた。
【0076】
これらのフィルム原料をそれぞれ別の押出し機に供給し、フィードブロックを用いて原料Iからなる層(B層)と原料IIからなる層(A層)をA層/B層/A層の順に積層した。これを25℃に調温した冷却ロール上にTダイより共押出した。各押出機の吐出量を各層の厚み比が1対8対1になるよう調整し、厚み570μmの未延伸フィルムを作成した。
【0077】
得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて65℃に均一加熱し、周速が異なる二対のニップロール(低速ロール=2m/分、高速ロール=6.2m/分)間で3.1倍に延伸した。このとき、フィルムの補助加熱装置として、ニップロール中間部に金反射膜を備えた赤外線加熱ヒータ(定格出力74W/cm)をフィルムの両面に対向してフィルム面から1cmの位置に設置し、定格の30%で加熱した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、150℃に加熱して3.7倍に横延伸し、幅固定して230℃で5秒間の熱処理を施し、更に200℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚さ約50μmの白色積層ポリエステル系フィルムを得た。
【0078】
比較例4
実施例1においてフィルム原料(I)として40℃で8時間の真空乾燥を施した、固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂90重量%と上記の二酸化チタン含有マスターペレット(A)10重量%をペレット混合してフィルム原料とした。
【0079】
またフィルム原料(II)として二酸化チタン含有マスターペレット(A)97重量%、蛍光増白剤含有ペレット(C〉3重量%をペレット混合したものを用いた。
【0080】
これらのフィルム原料をそれぞれ別の押出し機に供給し、フィードブロックを用いて原料Iからなる層(B層)と原料IIからなる層(A層)をA層/B層/A層の順に積層した。これを25℃に調温した冷却ロール上にTダイより共押出した。各押出機の吐出量を各層の厚み比が1対8対1になるよう調整し、厚み570μmの未延伸フィルムを作成した。
【0081】
得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて65℃に均一加熱し、周速が異なる二対のニップロール(低速ロール=2m/分、高速ロール=6.2m/分)間で3.1倍に延伸した。このとき、フィルムの補助加熱装置として、ニップロール中間部に金反射膜を備えた赤外線加熱ヒータ(定格出力74W/cm)をフィルムの両面に対向してフィルム面から1cmの位置に設置し、定格の30%で加熱した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、150℃に加熱して3.7倍に横延伸を試みたが、破断が多発して製膜不可であった。
【0082】
以上の方法で得られた白色積層ポリエステル系フィルムについて、各層の組成を表1に、物性を測定した結果を表2に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
表2から、以下のように結論できる。実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4のフィルムは、本発明で規定する要件を満たしており、高い隠蔽性(光学濃度)と適切なグロス値による良好な光沢性をバランス良く有する白色積層ポリエステル系フィルムが得られた。これに対し、本発明で規定される要件をいずれも満足しない比較例1のフィルムは、隠蔽性が不十分であり、且つ光沢度も高く、また比較例2及び比較例3のフィルムは、60°グロス値が本発明の範囲外であり、光沢度が高かった。
Claims (5)
- ポリエステル系樹脂層(B層)の少なくとも片面に白色顔料及び無機粒子を含むポリエステル系樹脂層(A層)を積層した白色ポリエステル系フィルムからなり、
前記白色顔料が、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記無機粒子が、ゼオライトであり、
光学濃度が1.0以上(100μm換算)であり、該A層表面の60°グロス値が50%以下であり、見かけ密度が1.3g/cm 3 以上であることを特徴とする白色積層ポリエステル系フィルム。 - A層中に白色顔料が10〜45重量%含有されている請求項1記載の白色積層ポリエステル系フィルム。
- A層中の白色顔料が酸化チタンである請求項1又は2に記載の白色積層ポリエステル系フィルム。
- A層中の無機粒子の含有量が3〜25重量%である請求項1、2又は3に記載の白色積層ポリエステル系フィルム。
- A層中に蛍光増白剤を100〜10000ppm含有する請求項1、2、3又は4に記載の白色積層ポリエステル系フィルム。
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